「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ワーグナー ニーベルングの指輪 抜粋版  ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリート、神々の黄昏
Wagner: Der Ring des Nibelungen


セル クリーヴランド管弦楽団 1968年
George Szell
The Cleveland Orchestra



録音状態は、リマスタリングされており良い。端正で、すっきりしているが、もっと豪快に演奏して欲しいな〜という曲もある。 ワーグナー「ニーベルングの指環」 からの管弦楽集で、透明度も高いしヌケの良い録音で驚かされる。
もちろん、アンサンブルはみごと。カップリングは下記のとおり。

 

「ラインの黄金」〜ワルハラ城への神々の入場〜
「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行〜
「ワルキューレ」〜魔の炎の音楽〜
「ジークフリート」〜森のささやき〜
「神々のたそがれ」〜夜明けとジークフリートのラインへの旅〜
「神々のたそがれ」〜ジークフリートの葬送行進曲と終曲〜

1 「ラインの黄金」 〜ワルハラ城への神々の入場〜
透明度が高い録音なので良いのだが、なんかブルックナーの原始霧のような始まりなので、ちょっと〜
もうちょっと〜 茫洋としてて靄がかかっていても良いかなと思う。
冒頭のホルンは、すっきりしているものの厚みがあって良いが、やっぱ、ここか靄っとした雰囲気が足らないかなあ。で、ホルンの後、地獄の釜が開いたような、チ〜ンと軽い鐘が鳴るのだが、その鐘がねえ。
間の抜けた高い音で、これには、多いにずっこけた。
う〜ん。なんだか違うような気がするんだがなあ。これが、雷のつもりなんだろうか。仏壇のチーンとなる鐘みたいなんだけど。(笑) しかし〜 そこから始まる弦のうねりは、一糸乱れずという感じですごい。凄みがある。
メチャ突き進んでいくパワーが全開。
この楽曲、ワタシ的には、黒々と渦が巻いているような、とろとろ、どろどろ〜ブクブクとした液化した、カオス状態の方が、冒頭には相応しいような気がするのだが、セル盤は、クリアーすぎて怖いぐらい、鏡のような、透き通った状態で雲ひとつない、澄み渡った秋空の元での場面のようになっているのだ。
う〜ん。ちょっと、すっきりしすぎだよなあ。ホント、澄んだ透明度の高さには驚かされる。
まっ 劇的ではないけれど、楽曲を通して聞くには安定してて、見通しの良さと知的な明晰さがあるので、じっくり何度も繰り返して聴くと、じわじわ〜と熱いモノを感じ てくる。

2 「ワルキューレ」 〜ワルキューレの騎行〜
なんとも拍子抜けしそうなほど、パワフルさがない。派手さはないし、権力志向でも華麗でもないので、エキサイトできない。う〜ん。クールだあ。唖然とするほど、なんと理知的で、落ち着いた演奏なのだろう。
映画「地獄の黙示録」風な演奏とは、対極にあってスマートである。劇的というよりも、管弦楽曲に徹している。
「たらら〜 たらら〜」冒頭は良かったが、「んたらら〜 んたらら〜」 3連符の分散和音に力がない。
弦の響きは良いのだが、ブラスの迫力が少なめだが、弦のエッジは硬 くて鋭いし、刃物で切り込んでくるスピード感は抜群だ。ドスが効いていないので、ちょっと綺麗過ぎてモノ足らないかも。
女神たちが、掛け声をかけて天上に昇っていく、女性の声が入ってくるところのフレーズも、かなり弱々しい。ヒスを起こしているかのような、狂気に近いテンションの高さがなく、あくまでインテンポで通していく。
天上に駆け上るどころか、う〜ん。地上で美女たちが田圃を耕作しているようで、興奮を求めるむきには、かなり不満が残ってしまうだろう。

3 「ワルキューレ」 〜魔の炎の音楽〜
ブリュンヒルデが眠る岩が、ヴォータンによって、炎に包まれる場面である。
「たらら〜 ららら〜」「どれど らそふぁ〜」のモチーフが繰り返され、チューバのぶっとい声が、あわさってくるところは、なかなかに迫力があるのだが、劇的な効果は薄い。 でも、勢いだけで聴くのではなく、ライトモチーフなどを考えて聴くには良いと思う。 静かに、哀しみを含んだ演奏になっている。

4 「ジークフリート」 〜森のささやき〜
このセル盤は、静謐で、深い森の雰囲気がバッチリ出ている。特に、チェロの響きが豊かで、木管と鉄琴等による小鳥たちの歌うように鳴いている様子が、リアルに描かれている。
クラリネットのカッコウのような「たっ たたたぁ〜」 フルートの転がる音色が、弾むフレーズに色を添えている。まるで、エコーが掛かっているかのような響きがあり驚かされる。弦の伸びやかさも、とても気持ちよい。

5 「神々のたそがれ」 〜夜明けとジークフリートのラインへの旅〜
ホルンの厳かな夜明け、こりゃ〜すごい演奏で、深々と雲の切れ間に光が射し込んでくる様子が描かれているようだ。低弦と、まろやかなホルンの音色、そこに、ヴァイオリンの透き通るような音。
テンポもゆったりめで、透明度の高い、すーっと1本の音色が奏でられている。
希望の見えるような美しさがあり、幸せ感がたっぷり。これはヴァイオリンの音色に、やられる。
低音の響きはイマイチだが、ティンパニーと金管が、「どど〜ら ふぁ〜そら どど〜ら ふぁ〜そら」
「どどーら どどーら どどーら ふぁそら しらそ〜れ〜」と、ドタバタ鳴るところはパワフル。
また、ジークフリートの角笛が美しい。テレテレしない、すっきりとした区切りのよい、リズミカルさがある。

6 「神々のたそがれ」 〜ジークフリートの葬送行進曲と終曲〜
ティンパニーの厳かで沈んだ叩きから、「ふぁふぁ ふぁふぁ」と溜息のようなフレーズに、チューバが哀しみたっぷりに鳴ってくる。 地の底から、わき上がってくるというところまではいかないが、まずまずのパワーで、 粘りや厚みは、さほどないが、すっと立ち上っていくスマートさが絶品だ。
低弦の響きのなかで、弦のうねりが生じてくるところが、美しい。そこに、すっと金管のストレートで、上品な音色が、あわさってくるところは、ホント絶品だ。 セル盤の良さは、線が綺麗なところだと思う。
「どどっ れっ そっ ど〜 そっそっ れっそ〜 そっそ れそそ れそそっ」
↑ 我ながら、拙い表現で呆れるんだが。このテンポも、ゆったりめに演奏している。
ちょっと和音の音が変なところもあるけど、すごく立派な演奏だなあ〜と聞き惚れてしまった。

ワルキューレの騎行は、私的にはいただけないが、それを除くと、収録されている「神々の黄昏」なんかは、まずまず理知的な演奏で良いと思う。全体的には、スペクタル風ショルティ盤とは異なり、劇的要素は少ないが、真摯なアプローチで好ましい。すっきりとした 、丁寧で几帳面な演奏。

チェリビダッケ ミュンヘン・フィル 1993年
Sergiu Celibidache
Münchener Philharmoniker (Munich Philharmonic)

録音状態は良い。 ライブ盤 曲の前後に拍手が入っている。いつものテンポの遅さは、収録されている曲では、違和感がほとんど感じられず、スケールの大きさと、普段聞こえないフレーズが聞こえるので面白い。

カップリング:ワーグナー ニュルンベルグのマイスタージンガー 第一幕への前奏曲、ジークフリート牧歌、神々の黄昏〜葬送行進曲〜、タンホイザー序曲

「神々のたそがれ」 〜ジークフリートの葬送行進曲〜
葬送行進曲は、元々テンポが遅い楽曲なので、テンポ設定に違和感はないし、チェリ盤は、凄いティンパニーの 叩きが聴ける。どっと深い、おごそかなティンパニーの音である。
すげっ。音量と嶮しさで圧倒される。
また、沈んだ音から、「ふぁふぁっ ふぁふぁっ」と、地底からマグマが噴き出すような、どろっとした息で、金管が、たっぷりに鳴ってくる。 粘りと重い音、そこから立ち上ってくる金管の細い響き。
う〜ん。太さと細さが絶妙に合わさってていて、緩やかなフレーズを描いている。
ライブ盤なので、録音状態が特別に良いわけではない。奥行きのあるホール感や残響も、さほどあるわけでもないのだが、おおっ立派〜という勇壮さやスケール感がある。

レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団 1995年
James Levine
The Metropolitan Opera Orchestra

「さまよえるオランダ人」序曲
「タンホイザー」序曲とヴェーヌスブルグの音楽
「ローエングリン」第3幕への前奏曲
「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行〜
「ニュールンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」〜前奏曲と愛の死〜

「ワルキューレ」 〜ワルキューレの騎行〜
弦の細やかな動きが、よくわかる演奏になっている。
ちゃんと制御されてはいるのだが、自由闊達で、勢いよく天馬が駆け抜ける。
良くも悪くも、ちょっとおおざっぱなのだが、まあ〜いいか。
残響が多めで、シンバルの音色が、空中に広がっていく。カラフルな音色で、明るくてキラキラしており、極彩色風 ・・・。
まるで、虹のうえを白馬が走っているような雰囲気が漂う。
なんとも、メルヘンティックで、ひえ〜っ。信じられない。極彩色系統なのは、ホントは不釣り合いなんだろうけど。

レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団 1989年
James Levine The Metropolitan Opera Orchestra

録音状態は良い。
抜粋盤(ハイライト盤)

ブリュンヒルデ:ヒルデガルト・ベーレンス (Brünnhilde:Hildegard Behrens)
ジークリンデ:ジェシー・ノーマン(Sieglinde:Jessye Norman)
ヴォータン:ジェイムズ・モリス(Wotan:James Morris)
ジークムンテ:ゲイリー・レイクス(Siegmund:Gary Lakes)
ワルキューレと言えば、単純にワルキューレの騎行としか浮かんでこない。
それも、1979年のコッポラの映画「地獄の黙示録」での使われた映像と音楽が、一緒になって完全に刷り込まれしまっており、どうもインパクトに残ってしまって、ちょっとトラウマ的なのだ。
そう、海面すれすれで、ヘリコプターで攻めてくるシーンで、この曲が大音量で流されている。ナパーム爆弾を落として殺戮をした後、黄色いスカーフで、カーボーイハットをかぶったふざけた軍人が、サーフィンするシーンが、どうも・・・。
で、 北欧の神話だとか、ギリシャ神話を下敷きにしたモノと言われても、う〜ん。
あのシーンが、記憶から剥がれませんね。

昔に購入したCDだが、放置状態のまま既に、十数年経ってしまったし、久々に ハイライト盤を聴いても、ワルキューレの騎行のモチーフだけしか、反応できないですね。
まあ、その後も勉強してないし、今後も、勉強をするかどうかもハテナ。CDを所有しているというだけです。


1962年 セル クリーヴランド管弦楽団 SC ★★★★
1993年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI ★★★★
1995年 レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団 ★★★★
1989年 レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団
所有盤を整理中です。

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