「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ワーグナー トリスタンとイゾルデ 前奏曲、愛と死
Wagner: "
Tristan und Isolde"


クーベリック ベルリン・フィル 1963年
Rafael Kubelik
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。(リマスタリング盤) 上品で静謐で、弱音がことのほか美しい演奏である。
カップリング:「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、「ローエングリン」第1幕への前奏曲、「ジークフリート牧歌」
「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲、愛の死

「トリスタンとイゾルデ」 第1幕への前奏曲、愛の死

ワタシ的には、 この曲が苦手なうえに、クーベリック盤は、相当にテンポが遅くて〜 前奏曲だけで12:27
で、愛の死は、7:39である。結構、クーベリック盤にしては遅めだが、 でも、美しい。このうえもなく美しいと思う。
美意識の結晶のような、陶酔的な楽曲だが、意外と楷書体でありながら、とても美しく感じる。

ワタシ的には、文字通り、息絶えてしまいそうなほど長い・・・。長いのだが、それも息をのんでしまうほど美しいのだから、困ったものである。 どろどろ、コテコテに鳴らず、う〜ん、静謐で上品で、天上的で〜 人間臭くないところが凄い。
ひとえに、これ、弦の音だと思うのだが、 息のながいフレーズを、弦の音が揺れず、ちょっと硬めに弾き通せるところ。
ノンヴィブラート気味に弾かれているところに、仰天してしまった。
ナルシスト系のように、どっぷり〜浸りたいっていうなら、ちょっとどうかと思うが、ストイック系に聴きたいワタシは、大変ありがたい一枚である。
重々しくもなく、悲痛きわまりないものでもなく、耽溺してどっぷり系の演奏ではない。とても、均整のとれた、理知的で、自制心のある理性的な演奏で、素直に感情移入して良いという演奏会用の演奏である。
金管の音の大きさに比較して、弦の動きが、大変激しく、そしてよく聞こえます。理想的な演奏だ。

ショルティ シカゴ交響楽団 1972年〜77年
Georg Solti
Chicago Symphony Orchestra



録音状態は良い。豪快で、活劇風。ダイナミックレンジの大きさに驚かされる。
「さまよえるオランダ人」序曲
「タンホイザー」序曲
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲・愛の死

「トリスタンとイゾルデ」 第1幕への前奏曲・愛の死
トリスタンとイゾルデは、う〜ん。有名などろどろバージョンのバーンスタイン盤があるが、こっちは、すっきり系で、ちょっと淡泊と言えば淡泊。今風かな。
まあ、ショルティにしては、ためを充分にとり、シナを作っている方だと思うのだが、今となっては、 もう少し録音の透明度が高ければより嬉しいかも。 また、シカゴ響は、弦が硬めなので、ちょっとカスカスして艶が少ない。
ヴァイオリンの高音域が、もう少し伸びと艶があり、それでいて儚げな雰囲気を持ってくれれば良いのだが 〜。その点は残念かもしれません。 う〜ん。これをショルティに要望してもねえ・・・。(笑)
どろどろの情念は、やっぱりバーンスタインさんの出番となるでしょうか。

ハイティンク コンセルトヘボウ 1978年(74年)
Bernard Haitink
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)



録音状態は良い。地味だけど美しい音色に彩られている。
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
「パルジファル」第1幕への前奏曲
「ローエングリン」第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」前奏曲、愛の死
「ジークフリート牧歌」

「トリスタンとイゾルデ」 前奏曲と愛の死
ワーグナーのなかでも、とりわけ自己陶酔型の、どっぷりした楽曲なのだが、ハイティンク盤は、耽溺せずスケール大きく奏でているという感じがする。
独特のトリスタン和音を、いったん深く、どど〜っとさがって、ぶわ〜っと、太く盛り上げるタイプではないし、そうかといって、魂がフワフワ浮いているかのような浮遊感があるわけでもない。
わりと、さらり〜っ。 もちろん、テンポはゆったりしたものなのだが、力加減というのか、木管を透き通るように吹かせており、そこが、爽快さに繋がっているように思う。爽快さねえ。

また、低い弦の音が、しっかり出ているし、「愛の死」のバスクラも、ネチネチ吹いておらず、管弦楽バージョンの締めくくりとしては良いと思う。最後は、自然的にもりあがって行くところが、好感が持てますが、やっぱ几帳面なのでしょうか。
几帳面の楷書体で行くのであれば、もう少し テンポは、速めの方が、ワタシ的にはありがたいかな〜と思います。

レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団 1995年
James Levine
The Metropolitan Opera Orchestra

「さまよえるオランダ人」序曲
「タンホイザー」序曲とヴェーヌスブルグの音楽
「ローエングリン」第3幕への前奏曲
「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行〜
「ニュールンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」〜前奏曲と愛の死〜

「トリスタンとイゾルデ」 前奏曲と愛の死
トリスタンとイゾルデは、まぁ。とろとろになっちゃう定番楽曲なのだが、少し青い青春時代風になっているように感じた。
成熟しきれないところが見えちゃったんで、イマイチなのだが、ワタシ的には、ストーリーの悲劇性が感じらず、ちょっと楽観的のように感じてしまった。もう少し真摯に、深刻さが欲しいかなあ。それと陶酔的な香りが〜
うっ。ちょっと俗っぽいよ。やっぱり、 もう少し、モワモワ 模糊状態の、形にならないような形が、ふわーっと浮かんでいくようなシーンとして描いて欲しかったでしょうか。
魂が抜けて出て行っちゃう感じのようにね。レヴァイン盤では、あまりに肉感的で・・・ちょっと、とほほ。

バレンボイム シカゴ交響楽団 1994年
Daniel Barenboim
Chicago Symphony Orchestra

「さまよえるオランダ人」序曲
「タンホイザー」序曲
「ローエングリン」第1幕への前奏曲
「ローエングリン」第3幕への前奏曲
「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
「トリスタンとイゾルデ」前奏曲、愛の死

また今度、聞きます。

ジェシー・ノーマン C・デイヴィス ロンドン交響楽団 1975年
Jessye Norman  Colin Davis
London Symphony Orchestra

昇天しちゃいました

録音状態は良い。理屈抜きで、うっとり〜
1 楽劇「トリスタンとイゾルデ」 前奏曲  2 同、愛の死
3 「ヴェーゼンドンクの5つの歌」 天使  4 同止まれ!  5 温室
6 悩み 7 夢
ソプラノ歌手であるジェシー・ノーマンさんの歌で、楽劇「トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死」「ヴェーゼンドンクの5つの歌」が収録されているCDである。

ワーグナーの楽劇のなかでも、自己陶酔度マックスなのが、ワタシ的には、トリスタンとイゾルデではないかと思う。
昔、バーンスタイン、バイエルン放送交響楽団の演奏会形式でのCDを聞いたことがあるのだが、もう〜 どろどろというか、とろとろ〜 ずぶずぶ〜状態で、へろへろになってしまい、完全に骨抜きにされてしまった。
青春時代に聞いたらダメですよねえ。鼻血は出る、勉強が手につかない、憧れがマックスで、現実が見えない。
誇大妄想狂になるし、理性が完全にぶっ飛び状態になって、アブナイ状態になってしまう。わ〜っ こりゃあかん。
普通の生活には、戻れないと思って〜 ワーグナーは封印しちゃたのです。

ワーグナーは、アブナイ楽曲だ。耽溺型の甘い誘惑が満載だ。自制心がなくなる。これは、音楽ではなくて毒だ。と、気づいたのは良かった(?)けれど、そこから、はやくも数十年経っちゃいました。
誘惑には負けない自信はありますし、もう大丈夫ですけど・・・
それと引き替えに、すっかり年月と感性が失われちゃったかもしれません。

で、トリスタンで取り上げられるのは、トリスタン和音。
ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら・・・ 第1幕への前奏曲冒頭部分。前半の「憧憬の動機A」と、後半の「憧憬の動機B」が繋がる着色箇所が、「トリスタン和音」と呼ばれる。冒頭に半音階的下行フレーズAが現れ、これにつづいて4音による上行フレーズBがつづく。フレーズBは、冒頭のフレーズAの反行形である。
フレーズAの終わりと、フレーズBの始まりが連結される際に生じる和音(ヘ−ロ−嬰ニ−嬰ト)が「トリスタン和音」と呼ばれるもので、劇中のさまざまな重要な場面で現れる。とあった。

専門家ではないので、なんとも言えないが〜 
この不可思議な浮遊感のある半音のフレーズは、やっぱり虜になる響きだと思う。
オケの方も、最後にかけてのもりあがりも、しっかりと打楽器の音が下支えとなって、うねるような上昇をしていくところが、やっぱり劇的な効果を生んでいく。
うっとり〜っ これでもか〜っというような上昇が、やっぱり理屈抜きで、美しいっ。

「ヴェーゼンドンクの5つの歌」は、このトリスタンとイゾルデを作曲している時の、ワーグナーの不倫相手マティルデ・ヴェーゼンドンクさんの、5つの詩に音楽をつけたものとされ、「夢」は、トリスタンの第2幕の二重唱に、「温室にて」は、第3幕の前奏曲に含まれているとのこと。
まあ、この歌曲については勝手にして頂戴・・・。
不倫を美化しちゃ〜いかんよねえ。とは思いつつ、身を焦がす恋のひとつぐらい〜したかったなあ〜という憧れの気持ちもちょっぴり残ってて〜 CDを聴きながら、空想の世界で遊ぶのもよろしいかと。
トリスタンの前奏曲と愛の死におけるノーマンさんの歌声は、う〜ん 包み込まれるような美しさがあり、約20分ぐらいは、陶酔させていただくのも良いかと。若さを保つ特効薬として、たまには聞くのも良いかもしれません。


1963年 クーベリック ベルリン・フィル ★★★
1972年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★
1978年 ハイティンク コンセルトヘボウ Dec ★★★
1981年 バーンスタイン バイエルン放送交響楽団 Ph  
1995年 レヴァイン メトロポリタン歌劇場管弦楽団 ★★★
1975年 C・デイヴィス ロンドン交響楽団 Ph ★★★★★
所有盤を整理中です。

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