バルトーク ピアノ協奏曲第1番 Bartok: Piano Concerto No.1


 バルトーク ピアノ協奏曲第1番
Bartok: Piano Concerto No.1
マウリツィオ・ポリーニ クラウディオ・アバド シカゴ交響楽団 1977年
Maurizio Pollini Claudio Abbado Chicago Symphony Orchestra

ポリーニの演奏は、めちゃくちゃ硬くてコワモテの演奏だが、聞き込むと癖になるかもしれない。弦の出番はなく、ピアノは、打楽器の一部となり、パーカッションと一緒になって走り回る。せわしない音楽で、次から次へと音が飛び交い、音圧が強烈に迫る。格好良いトランペットのリズムに惹かれてしまうが、この曲はピアノ協奏曲だ。
ポリーニさんの硬い音で鞭打ちになりそうになりながら、ぞーっとする怖さに息をのみ、唖然としつつスピードに圧倒される。こうなると、ひれ伏す以外ない。第1楽章は弦が登場していなかったが、第2楽章は金管が登場しないので一瞬、睡魔に襲われる。1楽章が凄まじいだけに、緩やかになった途端、緊張感が落ちてしまうのだ。第3楽章は、ティンパニーの乱れ打ちで目が覚め、目玉が飛び出しそう。油断していたのを見抜かれたようだ。トランペットが、ファンファーレ風に吹いて、弦・金管が一同に会する場面は、ローマの競技場(コロッセムのような)にて、野獣に追いかけられるかのよう。野蛮、恐怖、不安を掻き立てられる。ここでは、旋律美っていうものが、ほとんど感じられない。リズムに身を浸して 快感と感じられたら幸せなのだろう。プスンっと唐突に終わってしまって、エナジー切れ。唖然として終了である。ポリーニの演奏は硬い。鋼鉄のように振り落される音は心臓に悪い。お仕事終わりに聴くと、立ち直れない。


 バルトーク ピアノ協奏曲第1番
Bartok: Piano Concerto No.1
ピーター・ドノホー サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 1992年
Peter Donohoe Saimon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra

見通しが良く、リズミカルに時を刻んで行く、格好が良いというと語弊があるかもしれないが、スマート。不可思議で怪しげなフレーズを合図にして、ピアノが打楽器のように短いフレーズを叩いていく。シンコペーションのリズムを聴くのが聴き方になるのだろうか。旋律というよりもリズム。ラトル盤で聴くと、スピード感があり、爽快でノリの良さを感じる。打楽器の音に勢いとキレがある。楽曲自体が斬新で、バルトーク本来の持ち味である抽象画のタッチだ、何を表しているのかを知るのは、難しい。オケのパーカッション軍団に勢いがあり、がらっと一瞬で速度が変わるので、機能性が要求される。 自然に加速・減速するので鞭打ちにはならない。スネアのリズムは気持ち良い。縦線がぎっしり刻まれ、淡々と演奏している。

ピアノは、後年に作曲されるピアノ協奏曲第3番のように、襞を付け、トリルを交えたフレーズが顔を覗かせている。装飾的でもあって古典的だ。シンプルだけど、複雑でもあるという、マクロとミクロの世界。1つ1つは小さいけれど、集まれば旋律になるというような実験的作品なのだろうか。顕微鏡を覗いていると、1つの音は小さいが、動くアメーバーのように不思議な感触だ。一応、日曜日の半日かけて繰り返し聴いてみたんだけど。とっつきづらい曲で、へばりました。


 バルトーク ピアノ協奏曲第1番
Bartok: Piano Concerto No.1
ゲザ・アンダ フェレンツ・フリッチャイ ベルリン放送交響楽団 1959~60年
Géza Anda Fricsay Ferenc Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin(Berlin Radio Symphony Orchestra)

ゲザ・アンダの演奏は、リマスタリングされ、透明度が高い演奏だ。すっきり、ひんやりした空気感のなかで演奏される。古い録音年なので心配したが、かつての名盤は良い録音でCD化されていた。バルトークのピアノ協奏曲は、第3番が一番人気なのだが、1番を最初に聴いた時は、ピアノが打楽器として使われていたことに大ショック。綺麗な旋律が皆無だと嘆いたものだ。シンコペーションの繋がりが構成要素となっており、まったりしたフレーズが無いのである。「ンジャンンジャン」ところどころ拍子は変わり、耳を慣れさせる必要がある。しばらく聴かないでいると、すっかりカラダは拒否反応。とても面倒くさい楽曲だ。
ペトルーシュカのように聞こえる場面のみ可愛い(ワタシの偏見)が、打楽器のようなフレーズが繰り返され、単調なフレーズが積み重なってのオブリガート。
ストラヴィンスキーの春の祭典をイメージし、原初的で、蛇遣いのような木管の音色に、ぞっとしたり。聴くと毎回疲れます。何に対して怒っているのか、怒りをぶつける相手がわからないのか、八つ当たりしないでほしい。そう思う。カラダも心も慣れて、打たれ強くなり、快感に変わったら、しめたものだが、それには時間も忍耐が必要です。



バルトーク ピアノ協奏曲第1番
1960年 アンダ フリッチャイ ベルリン放送交響楽団 G ★★★★
1974年 パスカル・ロジェ ヴァルター・ヴェラ ロンドン交響楽団 Dec 未聴
1975年 コヴァセヴィッチ C・デイヴィス ロンドン交響楽団 Dec 未聴
1977年 ポリーニ アバド ベルリン・フィル G ★★★
1984年 コチシュ フィッシャー ブタペスト祝祭管 Ph 未聴
1992年 ドノホー ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI ★★★
1994年 ブロンフマン サロネン ロサンジェルス・フィル SC 未聴
1996年 シフ フィッシャー ブタペスト祝祭管 T 未聴
2001年 ブーレーズ ツィメルマン シカゴ交響楽団 G 未聴

バルトークは、現在のルーマニア(当時はハンガリー)で生まれた作曲家で、多くの管弦楽曲や協奏曲があります。ピアノ協奏曲第1番(Sz.83, BB 91)は、1926年の作品です。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、バルトークの新古典主義時代の幕開けを告げる作品で、バロック音楽への関心が増してから着手されたもの。対位法が多用されていますが、特有の苛烈さも依然として残されており、ピアノが、打楽器的に扱われている一方、管楽器を主体とする管弦楽法には、ストラヴィンスキーからの影響が感知されます。

第1楽章は、導入部の後ピアノに登場しますが、オスティナート主題が、さまざまに変形・展開されて作品全体を支配しています。(オスティナート主題そのものも、導入部の太鼓連打の変形と見なしうる)ソナタ形式によりますが、古典的な協奏ソナタ形式は採用せず、普通のソナタ形式を用いています。第2楽章は、静謐で異国的ですが、第3楽章は、驀進する楽章で、この2つはアタッカによって連結されています。確かに、ところどころ新古典主義~と感じさせるフレーズも見えますが、全体的には、ゲンダイオンガクそのまま的な楽曲で、ワタシ的には、難しく、約25分の嵐に耐えなければならない楽曲です。何度か聴いて慣れてくることができると、荒々しさが痛快に変わるのですが、ちょっぴり根気が要ります。


 

YouTubeでの視聴

Bartók: Piano Concerto No.1, BB 91, Sz. 83
マウリツィオ・ポリーニ - トピック アバド ベルリン・フィル
Maurizio Pollini - Topic
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=KBHUDmfURj8
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=hcT-N2Z17pY
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=APAUiuOWPKE

Bartók: Piano Concerto No. 1, BB 91, Sz. 83
アンダ・ゲーザ - トピック Géza Anda - Topic  アンダ フリッチャイ ベルリン放送交響楽団
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=nddGYO6nHEU
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=hPxHikOkzhg
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=-5QJoGVv_xs


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