バルトーク ピアノ協奏曲第2番 Bartok: Piano Concerto No.2


 バルトーク ピアノ協奏曲第2番
Bartok: Piano Concerto No.2
イェフィム・ブロンフマン エサ=ペッカ・サロネン ロサンジェルス・フィル 1993年
Yefim Bronfman Esa-Pekka Salonen Los Angeles Philharmonic Orchestra

ブロンフマンの演奏は、超快速で、冒頭からいきなりMAXのハイテンション状態となっている。とにかく速い、速い。冒頭からいきなりの超ハイテンション状態で、びっくり仰天させられる。荒々しいキンキン声のピアノと金管が、絶叫マシンのよう に咆吼して走って行く。細かいピアノの軽やかな動きにクラクラ。んパカ んパカ 打楽器と共にピアノが叩かれている。打楽器と金管のコラボレーションで騒々しい楽曲なのだ。ハチャメチャに聞こえてくるが、演奏している方は、きっと楽しく、賑 々しく演奏しているに違いない。金管奏者は、顔を真っ赤にこめかみに血管を浮き上がらせて演奏しているに違いない(と、勝手に心配する)
静寂のなかに放り出され、迷路に迷い込んだような第2楽章は、もわもわとした空気感のなか、静かにティンパニーが打たれ、お化けが出るぞと告げている。前楽章が、賑々しく叩きつける激しさだったのに、湿気の高い沼地のなかを彷徨う感じだ。 鳥肌が立ち初めて、息を飲み青ざめて言葉を失う。第3楽章は、大太鼓一発のあと、短いフレーズが導火線となって、パーカッション群が、次々に爆発する。ピアノは、完全に打楽器で破裂音を出す。ピアノは、花火の仕掛けの一つとなって、楽しんでいる。 さほど愉悦性の高い演奏ではないが、クールすぎず、客観すぎず、有機的に音を生み出す機械のよう。スケールで加速度がつく。木管はお化けのように漂い、ピアノは星空を見あげる。
演奏者のアプローチに納得するものの共感は感じない。怖じけて感覚を同化できないのかもしれないし、底知れぬ不気味さに、いつ引きずり込まれるかわからないという恐れで、同化できないのだろう。ブロンフマンのピアノは、無呼吸状態で100メー トルを走り、沼に潜み、花火を楽しむという風情だが、左手のフレーズが力強く迫力があるのが特徴だろうか。爽快に感じる。


 バルトーク ピアノ協奏曲第2番
Bartok: Piano Concerto No.2
スティーヴン・コヴァセヴィチ C・デイヴィス BBC放送交響楽団 1969年
Stephen Kovacevich Colin Davis London Symphony Orchestra

コヴァセヴィッチの演奏は、躍動感はあるのだが、雑駁な感じがする。録音状態は良いし、ピアノの音も近くに音像があり、明快な響きで綴られていくが、全ての楽器が接近戦で望まれている感じがする。とても、音の響きが、パンパカ パンパカ、 リアルすぎて一斉に騒ぎ立てているかのように賑々しく派手に鳴り響く。音の洪水に呑み込まれそうだ。ピアノの打音が強く、豪放磊落で、ペダルをずーっと踏んでいるのか濁り感がある。野獣が吠えて、歯をむき出しに飛びかからんとする、凶暴な荒くれ節が続く。
第2楽章では、アフリカの草原で1人、暗闇のなかキャンプをしているようなもの。近くに野獣が忍んでいるような気配が漂う。ピアノと一緒になって、ティンパニーが、ごろごろ~言い始めると、遠くで雷が鳴っている気配がする。 ティンパニーの音に負けないように頑張っているピアノが放つエネルギーは大きい。あまりに苛烈なので、快感には繋がらない。弱音での持続音のあと、静かな湖面に落ちて沈んでしまう。ピアノのエネルギーが尽きたのだ。 プロコフィエフなら、この後、青白く光り、うっとりするようなフレーズが続くのだろうが、バルトークは光らない。変容しないので面白みに欠ける。第3楽章は、おきまりの花火大会である。大太鼓の一発、ピアノの短いフレーズが導火線となって、 パーカッション群が次々に大爆発をしていく。タムタム、ティンパニなどのパーカッション群団は、奥まっている。
正直、この楽曲、かなり疲れます。暴力的、野性味たっぷり、その男、凶暴につきというか。取り扱い注意って感じでしょうか。元気な時に聴くと、まだしも~ 夜、会社勤めに疲れたカラダで、これを聴くと、受け止められません。音のパン チが強烈です。接近戦で、断続的にパンチを食らいます。この演奏は、荒々しすぎる。ワタシは猛烈に疲れました。コヴァセヴィッチ盤は、これは戦いですね。コラボという域ではなく、打倒、打楽器!って感じでしょう。


 バルトーク ピアノ協奏曲第2番
Bartok: Piano Concerto No.2
ピーター・ドノホー サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 1992年
Peter Donohoe Saimon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra

バルトークのピアノ協奏曲は、第3番は好きだけど、あとは抽象的で晦渋すぎ。どこが面白いのか、どこが面白くないのか、あまりハッキリ言葉にできない。バルトークのピアノ協奏曲2番は、冒頭の金管のファンファーレが格好良い。しかし、 ピアノは、その他大勢に埋もれている。ピアノの音自体は聞こえるものの、金管が格好良すぎて、そちらに耳を奪われる。(こらっ 浮気ものっ)
どす黒い闇の世界、都会の裏側、細い路地、冷たい夜の雨という連鎖反応でイメージが湧く。怖いティンパニーのロールに突き落とされる。ボクシングの真似をして、えいやーっ! ラストこそ明るめの爆発で終わりを告げるが、鬱憤がたまる。
バルトークのピアノ協奏曲2番は、ラトル盤で聴くと、金管ファンファーレの印象が強い。


バルトーク ピアノ協奏曲第2番
1969年 コヴァセヴィチ C・デイヴィス BBC放送交響楽団 ★★★
1992年 ドノホー ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI ★★★
1993年 ブロンフマン サロネン ロサンジェルス・フィル ★★★

バルトークのピアノ協奏曲第2番は、1931年に作曲されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、「私が作曲したピアノ協奏曲第1番は、自分でも良くできた作品だと思うが、構成面でオーケストラにとっても、 そして聴衆にとっても難しいところがあった。そこで、それと平衡をとるようなオーケストラの演奏がそれほど困難でなく、聴衆にとってもっと快い作品としてこの第2番を作曲した。」とは、ご本人の弁ですが~ いやいや、なかなかに晦渋な楽曲です。
第1楽章 ト調 4/3拍子 ソナタ形式
弦楽器が全く使われておらず、管楽器のけたたましい、華やかな音色を用いたオーケストレーションと、ピアノの音色の対比が際立った楽章です。ピアノには、打楽器的な要素が多いのですが、軽やかに疾走する部分もあります。
第2楽章 ハ調 三部形式
両端部に、コラール的な楽想が使われていますが、第1楽章とは反対に、弦楽器が中心で、金管楽器は登場しません。スケルツォ的な中間部(プレスト、4/2拍子)の一部パートで左右10本の指では押さえられない和音があり、トーンクラスターのように、両手の掌を使う必要があるとのこと。
第3楽章 4/2拍子 ロンド形式
この楽章では、弦楽器も管楽器も登場します。舞踊を感じさせる主要主題と、いろんな主題が交錯するもの。いわゆる「アーチ方式」があり、主題は、第1楽章の楽想に基づくもので、変奏曲としての要素を持っています。

ピアノの打楽器的な使用、短い断片的な旋律、重厚なピアノの和音塊などが特徴です。演奏は、困難を極め、数あるピアノ協奏曲の中でも、最高難度に位置する作品なのだそうです。


 

YouTubeでの視聴

Bartók: Piano Concerto No.2, BB 101, Sz. 95
スティーヴン・コヴァセヴィチ - トピック
Stephen Kovacevich - Topic
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=SKnWNPLytDk
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=j1UHAD38t5k
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=F7IHRw8qPug


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