「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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バルトーク ピアノ協奏曲第3番
Bartok: Piano Concerto No.3


バルトークは、現在のルーマニア(当時はハンガリー)で生まれた作曲家で、多くの管弦楽曲や協奏曲がありますが、このピアノ協奏曲第3番は、1945年に、ラスト17小節の管弦楽のみを補筆されて完成された作品です。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
第1楽章は、ホ長調 伝統的なソナタ形式 
開始でピアノが、両手のユニゾンによって旋律を弾き始めます。
第2楽章は、3部分形式で、ハ調の教会旋法により、弦楽器のコラールとピアノが交わす対話は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番の緩徐楽章に性格的に似ています。
中間部はピアノや木管に切れ切れな動機が飛び交い、ややスケルツォ的な雰囲気を漂わせる。
第3楽章は、ロンド形式で、管弦楽のための協奏曲のフィナーレと同じような民族舞曲調の主題が、ロンド主題に用いられ、フーガ風のパッセージや歌謡風の主題をはさみつつ進行します。とのこと。

激しい打楽器の打ち込みは、最後まで影を潜め、非常に静かで内省的、幻想的な雰囲気を持っているので、じっくりと聴きたい楽曲です。ラストの楽章は、リズミカルで、明るいノリの良い旋律が続くので燃えます。

パスカル・ロジェ ヴァルター・ヴェラー ロンドン交響楽団 1976年 
Pascal Rogé  Walter Weller
London Symphony Orchestra

う〜ん。どうだろ

録音状態は極めて良い。繊細で揺れる。この揺れがワタシ的には気持ち悪いが、2楽章を含めて幻想的な香りが高い。
カップリング:バルトーク ピアノ協奏曲1番〜3番、ピアノと弦楽のためのラプソディ、ヴァイオリン協奏曲第1番、2番、vn:チョン・キョン・ファ(ショルティ ・シカゴ響)2番(デュトワ・フィルハーモニア管)2枚組BOX

1楽章
とっても録音状態が良く、ダイナミックに響く。70年代中期の録音としては、すこぶる良いので驚いた。
「どしぃ れど〜 しらそっ ふぁ らしど どふぁ〜 みれどれど どふぁ〜 しらそらふぁ」
「ふぁしぃ しどれど どそっふぁそ ふぁそらし らしどっしっ しふぁ〜みふぁ〜」
ロジェさんのピアノは、とっても繊細で、細かく震えながら進んでいく。
なんとも言えないか細さと、ゆらゆら〜っと揺れて、音の多さが、ガラスの煌めきのようにキラキラさせながら、でも蜃気楼のように、ほわぁ〜っと立ち上ってくる。 適度に区切りのあるフレーズで、柔らかくて少し暖かめの音で中性的だ。

ちょっと音のカッシリ感というか、硬めが好きな方には、えっ?一瞬、音が均一に並んで来ないことに苛立ちを感じるかもしれない。ワタシ的には、この曲を初めて聴いたのがアンダ盤だったので、少しールで、 硬質感のあるヒンヤリした硬めが好きである。
ロジェ盤は、即興的に聞こえるのだ。どこか音と音の間の揺れがあり、均質には聞こえてこない嫌いはあるけれど、音が柔らかいのと、これはフランス風でしょ・・・と感じてしまうような、微妙な鍵盤のタッチ感っていえばよいだろうか、さらっと横に音が流れるような感じを受ける。

タラララ ララララっと音が落ちてくるところも、どこか、滑り方が独特で、フレーズのなかで、はっしょってしまって、カチカチ カチカチとは、音が落ちて来ないんである。
正直言って、ちょっと違和感を覚えたのだが、柔軟で、温かみのある音質が、馴れれば心地良い。
揺れるような楽曲ではあるのだが、やっぱ〜 即興的という感じで、バルトークの渋くて硬めな、どこか哲学的なイメージは、ちょっと崩れますが。
オケは明るめの音質で、もうちょっと内省的で、硬めの響きの方が、雰囲気があって良いんじゃーないでしょうか。 と言いたくなるかも。ワタシ的には、まっ 風変わり的な即興的、フランス的な演奏のように感じた。 ふわーっとした空気感が欲しいところでは、弦が柔らかく響くし、う〜ん難しい。
まあ、ちょっとノー天気っぽく、オケの木管が、イマイチの音質で、ピアノの口調と合ってないやん。平板すぎるな〜って思ってしまう場面もあるし、ジャズの要素を含んだ俗っぽさが、深夜の繁華街の裏側を見ているような感じにもなる。

明晰でありながら、どこかピントがずれているっていうか、ぼんやり感があり、音はクールなんだけど、雰囲気としては輪郭がぼやけているような楽曲っていうか。う〜ん。 あまりダイナミックすぎても、へっ?と思うし、かといって即興的に弾かれると、えっ?だし、柔らかすぎても、硬すぎても、う〜ん。って感じの、ワタシにとっては、大変、感覚的に楽しめる楽曲なのだ。 (これって、とても勝手な感想で、わがままですが。)
ワタシ的には、この曲は、両面持っているっていうか、描かれているのは具象なのだが、別世界に飛んでいっているような、異次元的空間っていうか、抽象的なのだ。
まっ この点、いろんな方の演奏を聴いて、それぞれの雰囲気を楽しみ、聞き比べてみると面白いという楽曲である。
バルトークのピアノ協奏曲1番と2番は、結構、ピアノを打楽器として使われている感じがするが、この3番は打楽器的ではなく、幻想的なフレーズが、たっぷり盛り込まれており、イメージのなかで、遊べる楽曲でもある。

2楽章
「ふぁみれみ〜 ふぁみれら〜 ふぁみれみふぁ〜 らみれみふぁ〜」
教会のコラール風な響きがあり、とても沈静してて、内省的で、懺悔をプチプチと呟いているような感じのする美しい楽章である。 ロジェ盤は、この2楽章は、めっちゃ雰囲気があって、音が柔らかく、小さく、丸く、沈むような、水的な響きがあり、水滴が、ぽつん、ぽつん〜っと落ちてくるような感じがする。
ピアノと弦の間合いが、かなりゆっくりしてて、緊張感も漂うが、音の余韻が切れそうなところで、ポツンっと入ってくる。
中間部は、「ふぁどみっ しみどっ ふぁっ ・・・ 」 木管の小鳥が鳴いているようなフレーズとの絡みは、もう、バッチリ呼吸があって、すごいっ。
まるで春の祭典のピアノ版かと思うような、ちょっと、原始的な音の並びって感じがするが、へえ〜 こんな面白い音が出てくるんだ。と感心しちゃった。「どっ そっ しっ ふぁっ しっ そっ どどっ」と、ピチピチとした動物的な飛び跳ねる音、そして、木管の大地の蠢きのような響き。
跳躍感と、「しみ しししっ ふぁふぁふぁっ・・・」と、硬質的な響きを出してピアノは主張するが、ふっとした間合いの後、また柔らかい地表に音が落ちていくようで。
幻想的な世界が、ふわーっと、目の前に広がって行き、そして、まるで夢を見終わったような感じで終息する。この2楽章は、う〜ん。絶品っ。

3楽章
2楽章の終わりから、猛烈なスピードで、「パンっ ふぁ〜みっ ふぁっふぁれ ふぁれ〜ふぁっ そそっ〜そそ そそっ〜 そそっ〜」と、疾風怒濤に走っていく。
弦も金管も、ピアノも、ティンパニーも、独特の民族的な舞踏に沸き返るという楽章だが、ロジェ盤は、 血湧き肉躍るというタイプではなく、どちらかというと線が細め。
「ん ター たたたっ」という付点のリズム感の強調よりも、すんなり、すばしっこいピアノが走っていく感じがする。
土俗的で民族くさいアクセントは少なめで、もっとパンチを繰り出して欲しい感じがするが、適度にティンパニーの響きは入ってくる。
 「ふぁ ふぁぁ〜ふぁそらっ ふぁっ ふぁぁ〜 ふぁっ ら〜そふぁ・・・」と、金管のフレーズは、ちょっと乱暴な感じがするが、爆発性はあり。 「どどぉ〜どどっ〜」という怒濤のような勢いやパワーは、オケに力強さがある。
金管の咆吼やティンパニーの打ち込みに、スピード感があるし、70年中期とは思えないほどの録音の良さがある。木管のフレーズやピアノの音も、オケに埋没せず、トランペットの高音の輝きも、あますところなく伝わってくる。

中間部分の歌うフレーズは、パラパラした音が煌めいており、音が綺麗に聞こえて嬉しいんだけど〜
オチャメなフレーズも、楽しくて、ウキウキする気持ちの高揚感もあり、単に力任せになっていない。
開放感あふれるフレーズも上品だし、色彩感もたっぷり、幻想的なピアノの音のクリアーだし、また、最後に向けて、もののみごとにスピードを持って駆け抜けていく。

悪魔的でもなく諧謔的でもないし、土俗性も薄いな〜とは思うのだが、さらり〜っとスマートに駆け抜け、ところどころ幻想的な雰囲気をまき散らし、洒脱に富んでいるところは好感が持てちゃう。
最後は、なかなかにノリノリ感があって〜 むふふっ。楽しめちゃうが、バルトークというよりは、パリ風で、 この点、かなり好みが、わかれちゃうかもしれません。 ロジェ盤は、土俗性や民族的という臭いではなく、バルトークという風でもなく、上品で洒脱に富んだ、世紀末っぽい幻想的な香りのする盤である。
もっと端正な方が良いのでは。要らぬ香りかもしれない。

  コヴァセヴィッチ C・デイヴィス ロンドン交響楽団 1975年
Stephen Kovacevich  Colin Davis
London Symphony Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手 ←ピアノ   むむっ〜 ←オケ 特に録音状態

録音状態はイマイチなのだが、多彩さでは群を抜いているような気がする。躍動感もあるし、静謐感も、ジャズっぽさもあり、う〜ん。ホント楽しい。描く世界が広くて大きい。
カップリング:バルトーク ピアノ協奏曲第1番〜3番
2番のみ1969年 BBC放送交響楽団との録音

1楽章
ふぁふぁふぁふぁ・・・と弦が細かく小さく鳴るなか、ティンパニーがどっふぁ どっふぁ・・・と叩く。
そのなかに、ピアノのフレーズが登場。
「どし れど〜 しらそっ ふぁ らしど どふぁ みれどれど どふぁ しらそらふぁ」
「ふぁしぃ しどれど どそっ ふぁそ〜 ふぁそらし らしどしっしふぁっ みふぁ〜」
コヴァセヴィッチさんのピアノは、起伏があって凸凹しているが、そこが面白い。 弾み方が、ちょっと個性的だ。
タランとしたフレーズを奏でるピアニストもいるのだが、引きつったようなフレージングで、そふぁっ みふぁっ ギクシャクした、んっ タラン そふぁみれど っそふぁみれどっ んっ。
という、ちょっぴり、つんのめった感じがする。それが、また〜 楽しいっ。
刺激的で、硬いのだが、その硬さと、んぐーっ。という、何とも言えない組み合わせが生じている。

で、伴奏のオケは、多彩な音が入っており面白いし、へぇ〜 こんなところでパーカッションが入っているのかあ。と思ったりする面も多いのだが、なんか〜 素人がこんなことを言っちゃ怒られるのかもしれないが、音が濁って聞こえてしまう。
金管のフレーズとティンパニーと、ピアノが同じように重なってくるところとかは、う〜ん。一緒に並んで演奏しているみたいになってて、誰か、奥に引っ込んでよ〜 どちらか前に出てきてよぉ。という感じで聞こえてくる。
なにも、同じような音量で一緒に鳴らなくても〜
えーっ ここでは、ピアノ前にでてきてくれると良いんだけどなあ。と思ったりする。

「らぁ〜  み〜そふぁみぃ〜 れしら れどどれみぃ〜 みら〜そふぁみふぁ み〜」
と、鼻が詰まったような木管の乾いた音が気になったりするんだけど〜 ちょと変わって面白い。
ピアノは、ハイ、抜群です。よく回る指で、これだけキレの良いリズム感は、とても気持ちが良い。
オケも、金管のタランと落ちてくる「みららみ そぉ〜」っていうフレーズなんぞ、まるでジャズっぽく鳴ってくるし、なかなかオシャレなのだ。洒脱が効いている。
まあ、幾分、録音状態が宜しくないのが最大の難点で、平面的だし、弦も擦れたような音で、透明度が悪い。で、イマイチ美音じゃーないところが、う〜超悲しいのだが。 ピアノもオケも、すこぶる面白く聴けちゃう。
気怠さと硬さ、ぬめっとした感覚とドライ感が、妙に両方聴けちゃうような気がするし、
つんのめったかと思えば、ジャズの洒落た下手なだじゃれを言って、ずっこけているかのような面白さが潜んでいるし、う〜ん。これは多彩だ。

2楽章
これは、う〜ん。凄いっ。緩やかな楽章だが、静謐感と神秘的な感覚がある。
オケの緩やかだが、「みれどれみ らぁ〜 みれみふぁ みれみふぁ みれみれみふぁ・・・」と、清潔なフレーズが聞こえてきて、思わず耳を傾け、静かな高揚感が湧いてくる。
そこに、ポツンっと雨粒のようなピアノが、「ど ふぁ み ら そ みれどれみ・・・」と入ってくる。
音自体は、あまり響かないのだが、水琴窟を聴いているような、覗き込んで音が落ちていくのを、見ているような、不思議な神秘性がある。 冷たいような響きではないのだが、無機質でもなく。濁った和音が、これがまた、不自然なアクセントをつけて聞こえてくる。強く鳴ってくるところも、音の強いタッチというより、山間の谷、岩から、ポツンと清水が落ちてくるのを見ているかのような感じで、思わず息をのむ。

「ふぁ〜〜 ど ふぁ らっ どふぁらっ ふぁどっみっ しみどっ ふぁっ・・・」
ふぁどし しみっ オーボエの鵞鳥のような鳴き声と共鳴するピアノ、「どそみ」「どっそ」「ふぁっしっそっ」
と、呼応している響きが、メチャメチャ面白い。
音がピチピチしているという言う以上に、自然界に放り込まれたようなシアワセ感が漂い、生の生物的な世界が広がっている。それでいて地底に潜ったような気持ちになったり、生物学的な地球上の生命の不思議をビジュアルで見ている感じがする。 生命の誕生に立ち会っているような気分になるし、 年月が経って、死を迎えるような気になったり。 すごく聴いてて楽しいっ。聴く人によって、想像する世界は違うだろうが〜
この楽章を聴いて、イマジネーションが湧かないなら、音楽を聴いてる意味ないやん。って言いたくなるぐらい、それぐらい、いろんなイマジネーションを与えてくれるのではないだろうか。

3楽章
「パラパラパラ〜 っふぁふぁ〜みっ ふぁれ〜ど っし ふぁっら〜どっし そ そっ〜そそ そ そっ〜そそ」と、疾風怒濤に走っていく。
シンコペーションがハッキリしてて、コミカルなぐらいに、つんのめる。
ティパニーのドドンっという響きも入ってくるが、ちょっと濁ってて、響きとしてはイマイチなのだが、すぐに血湧き肉躍る感じで、弾み方が鋭い。
パパパっ。。と弾む金管も、パンチはそこそこなくせに、何とも言えない野蛮さがあって、汚く濁るところもニンマリ笑えてしまえるところが〜ニヒルな感じで、感覚的には面白い。
なんか、聴いているうちに、肩がクリクリと動いて、ふにゃふにゃ〜っとなってしまったり、ガツンっときたり。

野蛮さの後に訪れる、「ふぁどしみ れらそど そどしみっ・・・」と、聴きやすいフレーズは優しいし。
う〜ん。楽曲そのものの多彩さが、存分に描かれている。
このピアノとオケで聴くと、バルトークの面白さが、ますます広がって、どの方向から見ても飽きない感じ。
多角面を見ているようで〜 へっ こんな面があるの?って驚く。
ワタシの耳は、鳴ってくるいろんな音を拾いきれず、悲しくなってしまうのだが、感覚的には、3次元的に、それもベクトルが、鋭く伸びていく。
土俗性が高くて、悲鳴を挙げて走っていくようで、軋みつつ野蛮で、とんがってて〜 無機質的でありながら、うねる動物的でもあり、メチャメチャ面白い。 突然、摩訶不思議な万華鏡のような世界も、綺麗に広がってくるし、なんとも贅沢な6分19秒の世界である。ピアノを聴いている楽しさが倍増する、幅の広い演奏だ。
すばしっこさもあれば、鈍いごつい響きもあり、繊細でもあり、う〜っ。すげーっ。

ホント録音状態はイマイチで、メチャクチャ、がっかりなのだが〜
ワタシが所有している盤は、西ドイツ製の輸入盤で廉価版である。もしかしたら、リマスタリングしている盤が、出ているかもしれない。 追記:コヴァセヴィチさんとも、コヴァチェヴィチ、コヴァチェヴィッチとも表記される。また、昔は、スティーヴン・ビショップ、ビショップ=コワセヴィチとも名乗っておられている。

アシュケナージ ショルティ ロンドン・フィル 1979年
Vladimir Ashkenazy   Georg Solti
London Philharmonic Orchestra

もえてるぅ〜

録音状態はまずまず。派手に泥臭く、最後、火を噴くような演奏となっている。
カップリング:バルトーク ピアノ協奏曲第3番、プロコフィエフ ピアノ協奏曲3番
(プレヴィン ロンドン交響楽団 1975年)
発売時で、カップリングが異なっている場合があります。

1楽章
バルトークのピアノ協奏曲のなかでは、ロマンティックな要素があるというか、残っているというか。
ほのかに香る程度ですが、幻想的で、たゆとう気分にさせてくれるワタシ的には、大好きな楽曲である。
冒頭、ふぁどふぁどふぁど〜と、木管と弦が、ゆらめくなか、ものすご〜く低い弦と、柔らかいティンパニーが、ボンボンっと響く。(し〜ふぁ〜ど〜)
そのなか、煌めきながらもフワフワとした影のように、そう、蜃気楼のようにピアノが立ちあがってくる。
「どし〜れど〜 しらそふぁ〜らしど〜 どふぁ〜みれどれど どふぁ〜しらそらふぁ〜」
「ふぁし〜ど しどれど どそ〜ふぁそ〜 そらし〜 らしどっしっ しふぁ〜みふぁ〜」
「みふぁそら〜 しらそふぁ しどれど〜 らっそふぁ しらそふぁ〜 そふぁみふぁ〜」

あとは、転がるようにオケと合体していくのだが、アシュケナージ盤では、このフレーズが、ジャズっぽく鳴っていく。
途中でスタッカートが入っているし、ひっ こんなコミカルに弾かないでよぉ。あちゃ〜 アンダとフリッチャイ盤とは、趣きが異なっている。
ティンパニーの響きも良いし、低弦のゴリゴリという音も、良く聞こえる。ショルティの振るオケは力強いし、メリハリもあるのだが、ピアノのアシュケナージのフレーズは、装飾音で、明るいアプローチで、やわらかめ。

主題が変わって、「ら〜」 と鳴った後、ピアノのカデンツァがある。
そのなか、木管が出だしを間違っていたように思う。「み〜ふぁ〜みれみ〜 れ〜しら れどどみ〜 みふぁ〜そふぁみ〜み れどれし〜」 半音階であがっていくような、つかみどころのなさが、色っぽいところだ。
で、ショルティさんの振るオケと合体すると、アシュケナージさんのピアノのペダル音が、ごわ〜っと響きすぎて、 これが、ソフトでロマンティックな要素も生むのだが、ぼわ〜っと、輪郭が無くなってしまって、ピントが合わない。
何度か繰り返して聴いたが、明解さには、ちょっと欠けてしまう様な気がする。

コミカルな要素もあるし、力強さもあるが、「みっ どららみそ〜」 ここなんて、完全にジャズを意識しているし、ジャズそのものの楽しいフレーズという感じがする。
う〜 バルトークが、アメリカに渡っていた最晩年の作品なので、ジャズの要素も加味した成果だと思う。
ショルティのオケも、ティンパニーや低弦を力強くメリハリあるリズムで、ボンボンと叩くイメージを出している。2人して、ジャズ
風味を加味したって感じに聞こえるのだが、ワタシ的には、う〜 ちょっと違和感が残るフレーズとなっていた。

改めてCDの解説書を読んでみると、「いかにもハンガリー民謡風の、土のにおいを感じさせる素朴な曲想である。第2主題も、やはりピアノで奏されるもので、楽譜にはスケルツァンド(諧謔的な)と記されている。」って書いてあるが、
(↑ 解説は、志す鳥おじさん この国内盤、いつ買ったんだろう。古いなあ。)
解説はどーでもいいけど、う〜ん。曲想と、この演奏とは、う〜ん。どう聴いても違うんだけど。ああ〜っ。

2楽章
「ふぁみれみ〜 ふぁみれら〜 ふぁみれみふぁ〜 らみれみふぁ〜」
教会のコラール風で、大変美しい楽章である。弦楽器の二声によるコラールって感じで、 こじんまりとした、密やかで柔らかく、静謐で清潔感がある。 儀式化されたものではなく、弦とピアノの小声での囁きというか小さな祈りだ。
「ら〜し〜 し ど れ〜ど れど しら そ」 ピアノのフレーズだが、ちょっとした和音が入っている。
これが、普通の和音じゃなくって、教会旋法的な和音っていうのかなあ。ちょっと変わった音なのだ。 専門的知識の無いのが、痛いっ。うまく説明できません。
中間部分は、これまた解説書によると「夜の音楽」と呼ばれている、ハンガリーの夜の自然のたたずまいが描かれているらしいのだが、朝だと思いこんでて〜
「ふぁ〜 らしどっ みっふぁっ ふぁどみっ しみどっ ふぁ〜 ふぁどみっ らどみっ・・・」
「どっそっしっ ふぁっしっど どっ」 
鳥が鳴いているフレーズが、木管にて聞こえくるので、てっきり朝だと思っていたのだが、単なる思い込み勝手なイメージだとは思う。 では、梟のような夜の鳥の鳴き声なんだなあ。と思い直したが、 カエルに近い鳴き声も聞こえており・・・
まあ、この楽章に関しては、自分の好きなイメージのなかで遊べば良いかと〜
あまり宗教的でもないし、瞑想的でもないが、別の世界が、楽しく広がっているようである。

3楽章
前楽章から、きれめなしに演奏されるのだが、いきなりカデンツァがある。
また、このカデンツァから切れ目なしに、猛烈な勢いで、アシュケナージもショルティも走り出す。
「ふぁ〜みっ ふぁれ そそっーそそ そそっーそそっ らそふぁっ」
疾風怒濤とはこのことで、唖然とさせられる。ティンパニーも同様、弦も金管も、血湧き肉躍る〜
「ふぁふぁ〜ふぁふぁ ふぁふぁ〜ふぁふぁっ」
「られど れみふぁそら ど〜れふぁ みどれ」と、動きのすばやいピアノが、また踊り出していく。
何度か聴くと、これが、痛点を通り過ぎた快感さに変わり・・・。こっちもテンションがあがる。

この楽曲、華麗なる舞曲というより、土俗的な匂いがプンプンしてくる。
「ふぁーみふぁれ ふぁーみーふぁど ふぁら〜ふぁみ れどしら れ・・・」
不可思議な、どろくさーい 異臭が立ちそうな、魑魅魍魎とした血湧き肉躍るタイプの舞曲なのだ。
ショルティのオケが、野趣あふれていて、汗くさく男臭く、腕力勝負で、ガンガンにいきまくり。
「パパー パッパ」のリズムが、地を揺るがすようなバーバリズムっぽい。 で、アシュケナージは、このオケに負け時と、これ魔女のダンスのように弾いている。
ピアノの音量、力強さは、オケに負けていない。かなり図太い音で、猛烈に速い強いなタッチだ。
ショルティのオケの快活で、力任せなパッセージが火祭りのようで、そこに魔女が踊り狂っているピアノのように聞こえる。

しかし、どことなくジャズっぽい匂いもしており、ハンガリー+アメリカ 相乗効果抜群と称すべき主題だろうか。
絡みついた民族で、カオス的というか、坩堝というか。ぐつぐつ煮立った坩堝状態で、そこから、力まかせに、のし上がっていくような、そんなパワーが感じられる。
この低弦、ティンパニーの力強い音と速さが、猛烈パワーを演出しているし、ぐわーっ どわ〜って感じの強烈パワーで、最後の駆け上っていくカデンツァは、 一気に、ぐわぁ〜っと火柱が立っている。
ホント、まるで火柱があがり、最後燃え尽きて、火の鳥のように舞い上がるかのようなイメージである。

う〜ん。これは、最後、勢いに押されて圧倒されてしまうなあ。だはぁ〜 こりゃ強烈だっ。
もっとクールに演奏してもらった方が、凍り付く怖さが出てくるのだが、ショルティ、アシュケナージは、猛烈マッチョ型、火を噴くというタイプで、う〜む。一方の雄という感じがする。 参りましたっ。

  ピーター・ドノホー ラトル バーミガム市交響楽団 1992年
Peter Donohoe
Simon Rattle
City of Birmingham Symphony Orchestra

まっ こんなモン


録音状態は良い。ワタシ的には、もっと繊細さが欲しいと思ったのだが〜
これからは、カジュアルな雰囲気でもいいのかも。
1〜3 ピアノ協奏曲第1番(1992年)
4〜6 ピアノ協奏曲第2番(1990年)
7〜9 ピアノ協奏曲第3番(1992年)
1楽章
バーミンガム市響時代のラトルさんの演奏で、ピアノは、ドノホーさんである。
ラトルさんとドノホーさんとの組み合わせは、ストラヴィンスキーの楽曲でもあったように思う。

改めて、ドノホーさんのことを、ウィキで調べてみると〜
バーミンガム市響に打楽器奏者として在籍されていたが、82年のチャイコフスキーコンクールで2位だったことから、ピアニストとして注目を集めたそうだ。で、ラトルのお気に入りのピアニストの一人として、演奏会や録音で共演を重ね、2002年、ベルリン・フィルの首席指揮者に就任してから、最初の演奏会でも共演を果たしたそうである。
レパートリーも協奏曲だけで160曲を数えるという、すごい人らしい。
多才な方なのだ。しかし、ピアノ協奏曲だけで160曲って・・・ そんなにあるの?

この楽曲に関しては、ワタシ的には、静かに湖面をすーっと歩いて行くというか、湖面のうえを撫でるかのような、ひんやりした空気感を醸し出すような演奏が好きなのだが、ドノホー盤は、明るくて元気で〜 ちょっとバタバタしすぎじゃないかなあ。と思う。
ティンパニーが、そろっと叩かれるなか、 「どし れど〜 しらそっ ふぁ らしど どふぁ みれどれど どふぁ しらそらふぁ」というフレーズをピアノが奏で始める。
そこでは、平坦な感じがするのだが、付点のリズムが入ってきたところから、ギクシャクした感じになる。
付点のリズムが入ってくるのだが、充分に弾んでいるような感じがなく、オケの方も、ごつい〜分厚い音だ。
確かに、金管のフレーズのなかに、ジャズの要素が入っており、楽しい曲だ。
また、打楽器の要素もあって、バンバンと叩いている場面もある。
でも、指が太いのかしらんと思うほど、重ための音で、粒立ちが、細かく、立ってくるという感じの音ではないのだ。あちゃー もうちょっと、神経を細やかに、演奏してもらいたいモンだっと、思わず文句が出そうになってしまった。ひきつけを起こした子供のような付点のリズムなのだが、しかし、ドノホーさんのプロフィールを拝見したら打楽器奏者だというし〜
これが正確なリズムなのだろう。しかし、もうちょっと、繊細に奏でて欲しいわあ。

2楽章
「ふぁみれみ〜 ふぁみれら〜 ふぁみれみふぁ〜 らみれみふぁ〜」
教会のコラール風な響きが充満してくる楽章で、とっても内省的なフレーズが続く。前楽章とは、うってかわって、まるで別人がピアノを弾いているかのような神妙な雰囲気が漂ってくる。この楽章は7分24秒というクレジットになっており、他盤と比較して遅いのどうかは、ともかく、冷たい感じではないが、まずまず、雰囲気は出ていると思う。

3楽章
この楽章は、 「パラパラパラ〜 っふぁふぁ〜みっ ふぁれ〜ど っし ふぁっら〜どっし そ そっ〜そそ そ そっ〜そそ」
「う ぱぁーぱー ぱ ぱーぱぱぱ」という、とっても楽しいリズミカルで、パワフルな、とっても楽しい楽章である。
で、最初のピアノのパラパラ〜というフレーズから、もっと、エキサイティングしてくるのだと思ったのだが、意外とおとなしい。
しかし、ここでは、ピアノの熱さは控えめだが、さすがに、テンポが速めで、ノリノリ感が出てくる。
ティンパニーが入って、いったん盛り上がるが、すぐに静まり、速いピアノの弱音での付点リズムが、次々に繰りだされて、満載となっている部分は、やっぱり聴きどころだ。
ピアノだけでなく、オケの内声部の木管フレーズや金管の短いパッセージなど、オケの見通しもよいし、ピアノとオケの掛け合いも、とっても楽しいものとなっている。
「どっ どぉ〜し〜れ れれら そぉ〜み」なんていうフレーズも力強い。
歌謡風、フーガ風、警告音のようなアラームのようなフレーズなど、いろんな色彩を持つ主題が、処狭しと並んで出てくるのが面白いのだが、それを軽々と、飄々と楽しみながら演奏されている感じがする。
また、ラストに向けてのダイナミックな走り方は、もっと火柱が立つのかと期待したが、ちょっと、そこまでには至らず。
すばしっこさ、エキサイティングさでは、他盤に譲るかもしれないが、まずまず重量級で、愉悦性の高い演奏だと思う。

総体的には、1楽章では、繊細さに欠けていると思ったし、楽天的だな〜と思った。
まあ、しかし、そんなに張り詰めてなくても、ちょっぴり肩の力を抜いて、カジュアルで良いのかも・・・。
 

イェフィム・ブロンフマン サロネン ロサンジェルス・フィル 1994年
Yefim Bronfman
Esa-Pekka Salonen
Los Angeles Philharmonic Orchestra

いかさねぇ〜


録音状態は、年代のわりには透明度が低めで、あまり良いとは言えない。音像がイマイチぼやけていて、ピアノの音もどこか遠いし、元気がないというか。硬質感はあるが、パンチが少なめで、エキサイトできない。
カップリング:バルトーク ピアノ協奏曲第1番〜3番

1楽章
弦のトレモロとティンパニーが、どっふぁ どっふぁ・・・と叩いているなか、
「どしぃ れど〜 しらそっ ふぁ らしど どふぁ みれどれど どふぁ しらそらふぁ」
「ふぁしぃ ど しどれど どそっ ふぁそ〜 ふぁそらし〜 らしどしっ しふぁっみふぁ〜 みふぁそら〜 しらそふぁ〜」
ブロンフマンさんのピアノは、しゃくりあげるように、小刻みに飛び跳ねて、ピアノのソロになると、しゃくりあげて前につんのめって転んでいく。なんだか、この冒頭で、こけちゃって〜
オケ全体が、カクカク〜っと、蝶番が外れてしまった感じがするのだ。
まあ、それが面白い楽曲ではあると思うのだけど、外観が、几帳面そのものという感じがするので、へぇ?
テンポが速くなった感じがしたり、硬いのか柔らかいのか、なんだか気持ちが悪いというか、はれぇ?

録音状態もイマイチで、金管の音も、ぼわ〜としているし、色彩感が少なく、音のメリハリが少なく、 はっきり言っちゃうと、エッジが鋭くなく、録音自体に、バルトーク独特の硬質感が感じられないし、ピアノの音が引っ込んでいる感じがする。
録音状態が悪いやん。う〜ん。グラミー賞を受賞したCDとは、ちょっと思えないんだけど。
まあ、ブツブツ思っているうちに、オケとピアノが溶け込んでいくようで、呼吸があってきた感じがするのだ。
どこから、そうなったとは、はっきり言えないんだけど〜
伴奏のオケは、多彩な音が入っており面白い。ピアノの旋律の裏で、低弦が唸っていたりする。
で、ごーぉっというピアノの音、ピアノがバックにまわって木管と絡んだり、表裏に忙しいのだ。コヴァセヴィッチ盤でも、音が濁った感がしていたので、これは楽譜どおりに鳴っているんでしょうか。(笑)
しかし、金管のタランと落ちてくる「みららみ そぉ〜」っていうフレーズは、あまりジャズっぽくは鳴ってくれないし、およそ、崩しには遠いかもしれない。崩したくても、跳ねる方法以外にないのかもしれない。
何度か聴いてみたが、やっぱり、ちょっと硬いかなあ。どこか、関節痛のような、顔をしかめたくなる感じで〜
性格が違うというか、柔軟に、おちゃめには振る舞えないようで、洒脱には遠い感じがするが。どうだろう。

2楽章
この楽章は、内省的で、「らふぁみれみふぁ〜」「らぁ〜 みれみふぁ みれみふぁ・・・」と、宗教的なフレーズが静かに聞こえてくる。
そこに、ポツンっと雨粒のようなピアノが、「れ そ ふぁ し ら ふぁみれみふぁ み・・・(らみれみら〜)」と入ってくる。
他盤で聴くと、神秘的な音が響き、映像が浮かんでくるだが、ブロンフマン盤は、どことなくクールで、モノトーンで、余計な映像は、まるで、必要ないかのように生まれてこない。
どこか、音のない世界に放り込まれているかのようで、水滴が落ちていくのを見ているのだが、水滴が、水面に落ちても響かない。音が吸収されて、吸い込まれて音が立たない、そんな虚無感が漂っており、不思議な感じがする。
修行僧のように、かなりストイックなのだ。
だが、木管が入ってくると、生命体が生まれてきたかのように響き始めるのだ。
ピアノだけだと吸い込まれて、音が無いのに、他とセッションを始めると、命が宿っていくような感じがする。
う〜 うまく表現できないのだが、ま逆なのが、面白いタイプの演奏なのかもしれない。

3楽章
この楽章になると、生き返ったみたいに奏でられる。
「パラパラパラ〜 っふぁふぁ〜みっ ふぁれ〜ど っし ふぁっら〜どっし そ そっ〜そそ そ そっ〜そそ」
「う ぱぁーぱー ぱ ぱーぱぱぱ」
まずまずのリズム感ではあるのだが、パンチが少なめで、何か足らないと思ってしまった。
理知的なのかもしれない。もっと、はじけてくれても〜(笑)
ティンパニーの音も、もう少し派手でも良いのかも。
土俗性もねえ。色彩感も、もっとあってもよかったのに。あー ワタシのイメージと違う。
どちらかというと、中間部の数学的な響き、幾何学的模様のところが綺麗で、金管も上品に絡んでくる。
また、主題が入れ替わり、立ち替わりで流れていくのだが、そこのつなぎが、結構、ぱっくりと空いている。 パーツで演じてます、という感じで、センテンスごとに区切りがついてしまっており、間合いをあけないで一気に流して欲しい感じがする。
勢いがあっても良いんじゃーないだろうか。

ぐぐーっと勢いのある疾風感が、とりこになるような楽曲なのではないかと思う。
なんでもありの遊園地のような、風変わりな、ごった煮になった主題が、悲鳴をあげてつっぱしていくのを見ているも、なんだか痛快なのだが・・・どうだろうか。う〜ん。これも普通の解釈とは違うのかも。
ちょっと、はぐらかされた気分で、エキサイトできなかった。 この楽章が速いほうが、ワタシ的には好きだが、ちなみにブロンフマンさんの演奏は、7分03秒である。

他盤だと、演奏のなかで、いろんな多彩な世界を、積極的に提示してくれるのだが、ブロンフマン盤では、あまり積極的には提示されてこない。だから、聴き手は、自分の意思で、この盤のなかで、世界をのぞき込まないと、何も見えない・・・という感じがする。提示されるのを待っていたら、そこで止まってしまうのじゃーないだろうか。
まあ、いずれの演奏でも、受け止め方、聴き手次第という面もあるとは思いますが、ワタシのは邪道な聴き方かもしれません。すみません。

 

グリモー ブーレーズ ロンドン交響楽団 2004年
Hélène Grimaud  Pierre Boulez
London Symphony Orchestra

録音状態は良い。しなやかに、さわっとしているが、きちんと自己主張しつつ軽やかに遊び、春風を運んできてくれそうな感じで演奏されている。

こりゃ良いわ〜拍手

カップリング:バルトーク ピアノ協奏曲1番〜3番
1番:ツィメルマン ブーレーズ シカゴ交響楽団(01年)
2番:アンスネス ブーレーズ ベルリン・フィル(03年)
3番:グリモー ブーレーズ ロンドン交響楽団(04年)

1楽章
このCDは、指揮者がブーレーズさんで決定、ピアニストは3人、オケも3つの団体という、バラバラのセッションで録音された大変贅沢な仕様である。ブーレーズさんの80歳記念企画らしいが、う〜ん。この企画が大ヒット。企画が成立するだけでも驚きだし、ホント嬉しい、びっくり箱のような企画で、ヒットしない筈はないでしょう〜という感じだった。
で、この3番は、エレーヌ・グリモーさんと、ロンドン交響楽団との録音だ。

バルトークならではの独特の和音づかいで、さわさわ〜っとした弦をバックにして、ピアノが出てくる。
「どしぃ れど〜 しらそっ ふぁ らしど どふぁ〜 みれどれど どふぁ〜 しらそらふぁ」
「ふぁしぃ ど しどれど どそ ふぁそ〜 ふぁそらし〜 らしどしっ しふぁっみふぁ〜 みふぁそら〜 しらそふぁ〜」
回転率が高いというか、拍の間に動くピアノの節回しが速く、独特の付点のリズム感が良い。
で、録音状態もよく、オケも見通しが良く、弦の切れ味、ピアノのふしまわしの切れ、パンパンっと、リズミカルで跳ねている。この付点のリズムが、なんていうか、泥臭くないというか、シャキっとしており、大変気持ちが良い。
単なる鋭いという言葉では、表現しつくせない味わいがあるというか、粘着性のあるフレージングではなく、近未来的というか、ローカル色を配した、もはや共通語でしょ。って感じで、ハイソな感じに仕上がっている。

で、ジャズの要素も含んだ旋律も楽しげなのだが、もう少しだけ、余裕が欲しいというか、洒脱が効いててもよいのでは〜という感じで、遊び心があった方が、聴いている方には嬉しいかも。
ピアノもオケも、スピードがあがるのではなく、間合いを楽しむ的なフレージングの妙があっても良いのかと。
緻密で、粒立ちも良く、見通しが良いなかに、密度が濃いというオケ、ピアノで、う〜ん 格調高く、びしっと決まってます。

2楽章
この静謐で、内省的な楽章は、う〜ん。とても聴き応えがある。
弦楽器の二声によるコラールって感じで、呼応しており、美しい。
清潔感で、きっちり〜 しかし、しなやかに柔らかく、暖かみがあるのだ。弱音のピアノが、暖かくも、すわ〜っと響くので、イメージが大きく膨らんでいく。木管のオーボエが神秘的に響き、鳥のさえずりのなかで、森の奥で瞑想しているかのような雰囲気があり、また、その響きは、とてもチャーミングだ。幻想的で瞑想しつつも、心のなかでは、人を恋しく感じているかのような、ノスタルジックな面も感じさせてくれる。
修行僧のような、ストイックさを感じさせ、また、虚無的な空間だと思わせる盤もあるが、グリモーさんは、静かに、女性が佇み、すっと心を平穏にして座っているかのような感じで、ほんわか〜とした気持ちにさせてくれる。

3楽章
最後のロンド形式の楽章は、「う ぱぁーぱー ぱ ぱー ぱぱぱ」というリズム感が最高に楽しい楽章である。
で、グリモー盤は、決して熱くなりすぎずに理知的だ。
血湧き肉躍る快感を求めている方には、ちょっとお薦めできないが、なかなかに、いろんな楽器が、多層的に聞こえてくるので、この盤は面白い。
ああ〜 ここで、パコパコっと木管が鳴っているんだとか、弦の補強された音や、アクセント使いで補強されている音が、よく聞こえてくる。
また、ティンパニーだけでなく、大太鼓のドスンっという響き、そして、複雑なリズムが、ワクワク感を生む。
もちろん、ピアノのソロも柔らかく弾んでおり、中間色ながらも、自己主張をしている。
それに、柔らかくチャーミングなのだ。
これだけの音が飛び交うなかで、なんてチャーミングな音で、彩りを添えてくれるのだろう。
激しい火柱が立とうかという音の洪水のなかで、血湧き肉躍る、どこか原始的で、蛮行を繰り返す付点のなかで、まるで、水遊びをしているかのような、春風を運んできてくれそうな感じで演奏されている。
右手の弾み具合が目に浮かびそうなほど、理知的なのだが、楽しげで〜 難しい付点のリズムだと、思いつつも何度も、一気呵成に聴き通してしまった。あぁ〜面白いっ。

それにしても、3人の有名なピアニストを差し置いて、ブーレーズおじいちゃんは、1人CDジャケットに収まっている。
う〜ん 確かに重鎮には違いないが、満足げな笑いにも見えるお姿が、なんとも大胆不敵っ。(笑)
でも、この企画 とっても嬉しく〜 満足しちゃってます。企画してくださった方、ありがと〜♪

1959年 アンダ フリッチャイ ベルリン放送交響楽団  
1976年 パスカル・ロジェ ヴェラー ロンドン交響楽団 Dec ★★★
1975年 コヴァセヴィッチ C・デイヴィス ロンドン交響楽団 Ph ★★★★★
1979年 アシュケナージ ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★★
1984年 コチシュ フィッシャー ブタペスト祝祭管 Ph
1992年 ドノホー ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI ★★★
1994年 ブロンフマン サロネン ロサンジェルス・フィル SC ★★★
1996年 シフ フィッシャー ブタペスト祝祭管
1997年 アルゲリッチ デュトワ モントリオール交響楽団 EMI
2004年 グリモー ブーレーズ ロンドン交響楽団 ★★★★★
所有盤を整理中です。

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