ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 Beethoven: Piano Concerto No.1


 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番
Beethoven: Piano Concerto No.1
内田光子 クルト・ザンデルリンク バイエルン放送交響楽団 1997年
Mitsuko Uchida Kurt Sanderling Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks(Bavarian Radio Symphony Orchestra)

内田さんのピアノの幻想的な要素と、打楽器のような弾むリズム感あふれる、とても楽しい。第1楽章の冒頭、オケによる長い序奏部があり、最初は、モーツァルトのようにチャーミングだ。繰り返しは、とても重みのある音で勇壮に出てくる。オケが、クライマックスをつくった後、ピアノが登場する。転がるフレーズがモーツァルト似で、高音域で可愛く跳ねてみたりする。途中転がっているなかで転ぶ。カデンツァでは、ピアノは柔らかくペダルを踏み、ゆったり幻想的に描いていく。その後、雪崩おちてくるとオケと共に、主題を繰り返す。すわーっと走って階段を優雅に上り下りし、雪が舞い散るように可憐だ。息づかいの長さ、深さ、沈みゆく間合い、速さと細やかさ、和音が破裂した感じなど、息を呑んで聴いてしまった。すごく繊細で可憐。ベートーヴェンの1番って、こんなに多彩だったのか。内田さんのピアノは表情が豊かだ。いろんな面を、手の込んだ料理のように演出して見せていただいている。それに 長大なカデンツァ。勇壮なオケに挟まれた、つかぬ間の幻想的な響き。うわぁ~ 息を飲み込んでしまった。
第2楽章は、内省的な楽章だが、残響が柔らかく、左手のリズムが、ぼん ぼんと響くなかを、ゆったりと清流が流れていく。第3楽章では、いきなりピアノが登場し、オケもピアノも快活に演奏される。シンコペーションになっており、裏拍子つきで楽しいロンドになっている。木管の二重奏も、美しいハーモニーのなかに、微妙な揺らめきがある。ピアノも遊び心満載で、フランス風の軽やかな愉悦性の高いリズムが続けていく。斬新な拍感覚のそうに感じられる。愉快なリズムが詰まっており、愉悦性の高い楽曲だと改めて認識させられた。幻想的なピアノ、打楽器のような弾むピアノ、その両方が楽しめる演奏で嬉しくって。地味だと思い込んでいた1番が、こんなに素敵だとは。ドングリマナコ状態で感激しました。ブラボーっ!


 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番
Beethoven: Piano Concerto No.1
ウラディーミル・アシュケナージ ズービン・メータ ウィーン・フィル 1983年
Vladimir Ashkenazy Zubin Mehta Wiener Philharmoniker (Vienna Philharmonic Orchestra)

ベートーヴェンにしたら、ホントにチャーミングな曲である。序奏部分のオケは長く、まろやかで流れるように奏でられる。流麗で爽やかな感じがするが、しっかり刻まれているのでリズム感が出ている。木管も重要な役割を担っている。小さなクライマックスが作られて、 さらっと何気なくピアノが登場する。トリルが入ってきたり、可愛いピアノのフレーズが絡んだり、印象に残るキュートな音で彩られている。硬くて厳つい楽曲が、ベートーヴェンではないという証拠のような楽曲だ。アシュケナージさんのピアノは、目のくりくりとしたチャーミングな子供のようだと言いたいところだが、でも、まあ十分に可愛い。響きが丸すぎて、ぽわんとした可愛らしさで、 カデンツァの部分も、幻想的で丸い音が流れていく。第2楽章は、内省的で、オケのフレーズが緩め。聴かせどころではあるが、緩くなる危険も含んでいるので、難しい楽章だと思う。木管がピアノと一緒に室内楽を演奏しているかのよう。
第3楽章では、愉悦性の高いフレーズが続く。オケがピアノに乗っかって、同じフレーズを奏でていくのだが、少し重いかも。オケの質感として重みがあるので、十分な跳躍がないとだれる可能性がある。ステップも少し重みがあり、ジャズのような字余り的な即興性、くだけたところが、イマイチ遊びきれておらず杓子定規的。うーん、アシュケナージさんの気質が出たのだろうか。ピアノの低音やオケの低音は良く聞こえるが、高音域の転がる音が、もっとキラッとして欲しい気がする。内田さんのピアノを聴いてしまったあとでは、どうしても欲張りになってしまう。


ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番
1983年 アシュケナージ メータ ウィーン・フィル Dec ★★★
1997年 内田光子 ザンデルリンク バイエルン放送響 Ph ★★★★★

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番(作品15)は、1795年の24歳頃の作品です。ホントは、2番の方が先に作曲されているのですが、楽譜の出版が逆になっています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
1楽章 ハ長調 4/4拍子 協奏的ソナタ形式
ピアノソナタ第21番「ワァルトシュタイン」にもつながる明朗快活な楽章で、主題は、溌剌としたC音の連打と上昇音階が続きます。モーツァルトの影響が強いものの、中間部で、遠隔調の変ホ長調を採用する点にロマン的な萌芽が認められるもの。しかし、カデンツァは作者のもの(3曲残され、1曲は未完成とのこと)、カール・ライネッケのものもあるが、いずれも第3番と同じく、演奏者に任せる伝統的な形になっています。再現部の前のピアノの独奏移行部は、非常に演奏が困難で、演奏の際には多くの場合、右手のみのグリッサンドで演奏されます。

第2楽章 変イ長調 4/4拍子 三部形式
落ち着いた緩徐楽章で、随所にピアノの華麗な音階進行が取り入れられています。

第3楽章 ハ長調 2/4拍子 ロンド形式
楽しげなロンドで、独奏と管弦楽との掛け合いがにぎやかな演出をしており、最後のベートーヴェン特有のティンパニの連打は、史上最初の打楽器ソロの難解なパッセージです。約35分のモーツァルト似の明るさ愉快さ多彩なリズムで、おちゃめな楽曲です。


 

YouTubeでの視聴


Beethoven: Piano Concerto No. 1 in C Major, Op. 15
内田光子 - トピック ザンデルリンク バイエルン放送響
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=yvoXCO9bhj8
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=U1vJPVnw2bI
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=Pj1nupHAzuQ


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