「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番
Beethoven: Piano Concerto No.4


ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58は、1806年に作曲し、「運命」と同様、冒頭は、同音連打のメロディの主題です。ピアノソロから始まる冒頭は、それまでに非常に数少なかった形式です。もしかして初めて?

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
第1楽章 ト長調 4/4拍子 協奏的ソナタ形式
「運命の動機」を含む穏やかな主題が、ピアノ独奏でいきなり奏されると、オーケストラはロ長調によりそれに応え、新鮮な印象を受けます。カデンツァはベートーヴェン自身により2種類が書かれており、1つは100小節あり、多くのピアニストはこちらを演奏します。もう1つは、50小節あり、ポリーニ、ブレンデルなどの録音により確認することができます。

第2楽章 ホ短調 2/2拍子 自由な形式
オーケストラが低音に抑えられた弦のユニゾンだけで、即興的で瞑想的な音楽を歌うピアノと淡々と対話を続けるもの。

第3楽章 ト長調 2/4拍子 ロンド形式
ト長調だが、主題はハ長調に始められます。カデンツァはベートーヴェン自身により1種類書かれて35小節。
バックハウス作によるドラマティックで技巧的なカデンツァも有名であるとのこと。

4番は、虚を突かれるかのような出だしで、えっと言っている間に引き込まれます。とってもチャーミングで、まるで少女のように、瑞々しく詩情感たっぷり〜 でも、最終楽章は、やっぱり威厳をもって演奏されます。
硬くて、堅牢な、ベートーヴェンのイメージを180度変えてくれるような楽曲です。

ブレンデル ハイティンク ロンドン・フィル 1975年
Alfred Brendel
Bernard Haitink
London Philharmonic Orchestra

いかすぜっ

録音状態はまずまず。とても繊細で、煌めき度の高い、理知的な演奏だ。最終楽章は、光の粉を撒き散らして疾走している感じ。
カップリング:
1〜3 ピアノ協奏曲第5番皇帝
4〜6 ピアノ協奏曲第4番
1楽章
繊細なピアノから始まる。初めて聴いた時には、えっ、ピアノ協奏曲なのに、ピアノのソロから始まるの?と、驚いた楽曲だが、最初の主題の提示は、とってもチャーミングなのだ。
ブレンデルさんのピアノは、柔らかく始まる。右手の高音域のキラキラしたところは、さすがに繊細で、美しい。
詩情あふれる出だしで、これがベートーヴェンとは思えないぐらい〜 まるで、ショパンのピアノ協奏曲を聴いているかのようだ。しかし、感情あふれんばかり〜っていうわけではない。 情感を抑制しつつも、リリカルに歌われているところは、う〜ん 唸ってしまう。
細やかな粒立ちの良い、それも立って輝く音で、柔らかいフレーズのなかで、さざ波のように煌めいて聞こえてくる、すごいっ。 硬質感のある鉱石のような音ではなく、もう少し柔らかいが、高貴さがあって、透明度の高さを感じさせるものとなっている。美しい同音連打のメロディが、柔らかくも、細やかな音で、まるで、わき水のように、砂地から、細かな気泡が出てくるかのようで〜 すごすぎっ。思わず、清水に手を入れてみたくなっちゃった。

オケの方は、弦のフレーズが軽やかだが、ありきたり〜 ハイティンクさんが振っているので、もう少し、カチッと抑制されたものかと思ったのだが、どこか、無造作に流れて行く。
オーボエの音は、すごく特長があって、細くて、硬めのうわずった音がする。
ブレンデルさんのピアノは、決してムードには流されないんだけどなあ。もう少し繊細にピアノが奏でてるんだから、丁寧に演奏してよぉ〜っと感じてしまった。

カデンツァの部分は、もちろん キラキラし過ぎるほどの煌めき度抜群で〜 圧倒される。
まあ、古い録音なので、その点は、ちょっと悲しい気になっちゃう。で、高音域に焦点があたっているのか、高音域の粒立ちのよさは、特筆に値するが、低音域になると、ほんの少しくぐもっている感じがするのと、どういえばいいのか、う〜ん。
腰高な感じなので、ちょっぴり表面的かな。という感じはしちゃうかも。
愉悦性の高い演奏ではなく、結構、地味めで、ストイックな感じで、抑制されている。

2楽章
この楽章では、冒頭、弦のユニゾンで、力強く奏でられる。
「ふぁ〜 らそっら ふぁっど れっど れっれ れぇ〜 」
ここは、入れ込んで、ガッツリした感じのタッチではなく、いたって、普通の弦だ。
そのあと、ピアノが、悲しそうに入ってくる。弦とピアノの呼応は、素朴な弦のタッチだが、ピアノの悲しそうなフレージングには、驚いてしまった。
オケは、どちらかというと、素朴なオジチャンって感じで、まあ、普通のおっちゃんなのだ。
繊細な美女を相手には、ちょっと平凡すぎるかも・・・。あのねっ、ピアノの余韻に被さって弦出ないでよぉ〜
ああ〜 このオケ、繊細な気持ちが欠けているのだ。壊れ物を扱っているかのように、ピアノを大事にしていない。
あーっ 丁寧に、奏でててよぉ〜 泣きたくなっちゃう。
静まったところでの間合いが、すごく長めで、弦のかすかに聞こえる震えが、弱音過ぎて、少し驚く。 で、引き続き3楽章に入っていく。

3楽章
この楽章のピアノは、よくまわる装飾音で彩られており、軽快なフレーズで始まる。
でも、オケの方が、どうも鈍重というか、ダサいというか。細やかに、繊細なピアノを、ちゃんとエスコートできていないというか、はぁ〜っ。まったく、マズイというわけではないんだけど、これだけの美女だと、う〜ん。もう少しキレがあっても良いかもしれない。
ブレンデルさんは、理性的で、ここには、この音でなければ〜という感じで、ぶれてない。
繊細なんだけど、とってもカチッと、理詰めのような感じがする。で、愉悦性は高いわけではないのだが、ラストになると〜
キラキラ光るピアノが、ちょっぴり鈍重そうなオケに乗っかって、キラキラ光るモノを撒き散らして、疾風怒濤のごとく走り抜けていく。うわぁ〜 ここも、かなりインパクトのある演奏となっている。
 
オケとピアノは、ちょっと性質が異なるようだ。ハイティンクさんが、ムチを打って、頑張って走った感じがする。
役柄に応じた相手を選べば良いのに〜 って、これだけ、キラキラされると、合うオケはあったのだろうか。(笑)
まあ、何を置いても、この楽曲は、冒頭が命・・・。
ここで決まっちゃうと言っても過言ではないだろうし〜 これだけ、詩情あふれる演奏されちゃうと、この1楽章の冒頭だけを何度も繰り返して聞きたくなっちゃう。(まあ、実際に、何度か繰り返して聴いちゃった。)
このCDは、ブレンデルさんにとっては、2回目の全集からの分売である。この後、83年のレヴァイン、シカゴ響とのライブや、98年のラトル、ウィーン・フィルとの演奏もある。

ルドルフ・ゼルキン 小澤征爾 ボストン交響楽団 1981年
Rudolf Serkin
Seiji  Ozawa
Boston Symphony Orchestra

満足っ満足っ

録音状態はまずまず。ご高齢にもかかわらず、詩情たっぷり、しみじみ〜
カップリング:
1〜3 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第2番(1984年)
4〜6 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番(1981年)
R・ゼルキンさんは、1903年生まれだったので、4番の演奏は、すでに78歳なのである。
少し、テンポは遅めだが、キラッとした音で、しっかり指もまわっているし、すごすぎる。
しみじみとした味わい深い演奏となっている。う〜ん。ホント、すごいですね。
とっても、お元気で、羨ましい、あやかりたい〜って感じだ。

オケの方は、頑張ってサポートしているんでしょう。
抒情的なフレーズで始まる4番なので、さほど、ガシガシと弾かれていくわけではないし、ホント、しみじみ〜
じわじわ〜っと、穏やかなフレージングであり、力強く演奏されている。
特に、2楽章は、とっても味わい深いものだ。
オケの方は、勇壮に弦のユニゾンを奏でているが、ピアノは、疲れ果て〜という感じで、枯れて、気落ちした感じとなっており、かなり、虚無的な雰囲気がする。
まるで、後期のピアノ・ソナタを聴いているかのような雰囲気が漂っているのだ。
これだけ、ピアノが、か細い声で、間合いをあけて、息も絶え絶え〜という様相なのに、オケが、力強く演奏するのも、どうかと思うのだが・・・
きっと、これが、小澤さんとR・ゼルキンさんが決めたアプローチなんだろう。
ピアノとオケとが、全く別の世界に存在しているかのような感じもするのだが、そう考えるワタシは、凡人なのだろう。
これだけ、弱音で、しみじみ〜 と演奏されてしまうと、語る言葉が見つからない。

3楽章は、精一杯走って行く。
ピアノが、「ふぁぁ〜 ふぁらど ふぁ〜 ふぁらど ふぁらど みぃ〜」
「ふぁ〜(タタタっ) 「ふぁ〜(タタタっ) ふぁ〜 らどみっ みっ れっどし しっみれ どらっ られど しっみっ しらっれぇ・・・」
ピアノのフレーズに、オケの全合奏が重なって、リズミカルに勢いよく、力づよく始まる。
やっぱり、ちょっと、この速いフレーズに対しては、指は怪しくなってしまうけれど、毎日の練習の賜なのだろう。
いやいや〜 すごく、頑張っておられる。
ピアノの方は、余裕で演奏されているという感じで、何ものにも代え難い、右手の煌めく高音域が聞こえてくるのに、オケの方が、バタバタしてて、なんとも〜情けない。
カクシャクとしていて、若々しいし、ハイ、いい演奏を拝聴させていただきました。
思わず手を合わせて祈りたくなるような〜感謝の気持ちとなりましたデス。

エマニュエル・アックス プレヴィン ロイヤル・フィル 1986年
Emanuel Ax
André Previn
Royal Philharmonic Orchestra

ばっちグー!

録音状態は良い。とても瑞々しさがあり、泉のごとく清冽な響きが聞こえてくる。
とってもチャーミングな演奏で、楽しさを誘う。
カップリング:ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番、5番「皇帝」
1楽章
「どぉ〜 どどどど しししし どどどど れぇ〜 し みぃ みふぁそらしぃ〜 れぇ〜どどしぃ」
また、オーボエなどの木管を伴って主題が奏でられる。
「そそそ そぉ〜ふぁふぁふぁ ふぁ〜ししし しぃ〜ららら ら〜れれれ れぇ〜どぉ〜しぃ し〜ら」
「みっみ〜れ どっどぉ〜し どどぉ〜し どどぉ〜し」
3番や5番とは異なり、4番の出だしは意表を突かれる。ピアノのソロから始まり、そこに弦が加わって、まるで室内楽のように穏やかにスタートする、
で、繊細だが、そこに弦のパートがさらに加わって、重みのある弦合奏となる。
この弦の和音が、とっても素敵で〜 抒情的というか、女性的なのだ。
「どどどど しししし そそ らら みぃ〜 ふぁぁ〜みれれどしっらっそっら ふぁぁ〜み〜」
書いたらメチャクチャ、シンプルな音が続いているのだが、この部分の弦合奏は、とても印象に残る。

で、ピアノは、自分でリズミカルに刻み、「みみ れれ みみれれ みれれれ みれれれ・・・」と序奏をつけて、繊細なフレーズとして、自然に〜 さらっ〜っと入ってくる。
アックスさんのピアノは、雨あがりの朝、葉水が転がってくるかのような感じで、う〜ん。とっても綺麗だ。
いやぁ〜 ホント、唖然とするほどシンプルなのだが、なんてチャーミングな楽曲になっているんだろ。モーツァルトだって、こんなチャーミングなピアノ協奏曲を書いてたっけ。
まるで、ベートーヴェンの堅牢で、雄大な楽曲とは、まるで別人が乗り移ったかのようで〜 詩情たっぷり。
雲泥の差っ。うっそーっ て感じなのである。激することなく、瞑想の世界だ。

ホントに、瑞々しく、岩の間から一筋水が湧いて、それが、落ちてきているかのような感じで、とっても透き通った音色で奏でられている。穏やかさと、瑞々しさ、詩情たっぷりの楽想に、清冽なピアノで〜 うっとり。
まるで、ハープのようにパラパラパラ・・・と弾かれているし、思わず息をのんで聞き惚れてしまった。

2楽章
低弦だけで、「ふぁ〜 らそっら ふぁっど れっど れっれ れぇ〜 れっど しっら そっら しっら そぉ〜」と、強く弾かれたあと、ピアノが、物憂げに出てくる。 低弦のユニゾンの力強さと、不気味さ。
ピアノの瞑想しているかのような、つぶやき、ぽつり ぽつり・・・ この呼応が、ものすごい対照的で、
弦の、足を引きづったような悲壮感というのか、なんだか、険しい表情で、強い要求をしている、おっチャン。
でも、しかたないじゃない〜の、言わんばかりの弱々しい女性という感じで、ピアノが続くのだが、そのうちに弦のユニゾンは奥まって去って行く。
なんだか、悲しい物語を読んでいるかのようで・・・ えっ イメージ膨らませすぎかな?
いや、やっぱ人の会話みたいに聞こえますねえ〜 で、中間部では、迷いの生じた若い女性が、かぶりをふって〜 
(アックスさんの演奏は、決して、髪の毛を振り乱しているわけじゃーない)
ちょっと、お悩み中なのだ。

3楽章
ピアノが、「ふぁぁ〜 ふぁらど ふぁ〜 ふぁらど ふぁらど みぃ〜」
「ふぁ〜(タタタっ) 「ふぁ〜(タタタっ) ふぁ〜 らどみっ みっ れっどし しっみれ どらっ られど しっみっ しらっれぇ・・・」
ピアノのフレーズに、オケの全合奏が重なって、リズミカルに勢いよく、力づよく始まる。
いったんは、静まるが、再度主題が奏でられる。
前の楽章とは、うってかわって、活気あふれ、噴水のように、キラキラした水が迸って飛び出してくるかのようで〜
主題が何度も繰り返し出てくるロンドなのが、また、チャーミングで可愛いピアノで、また、オケが楽しそうに、低音を伴って、でも重く鳴りすぎないように弾んでいるのが、なかなかにオツな対比である。

アックスさんのピアノも、とっても煌めいてて良いが、プレヴィンさんのリズム感が、ワクワクするというか、とっても楽しげなのだ。詩情感が漂っているし、対比させるのも巧いし、とても魅力的で、聴いてて楽しい。
それにしてもベートーヴェンって、ホントすごい人ですねえ。
皇帝のような、 がぶり四つの相撲もできるし〜 この4番のように虚をつくのも巧いし、う〜ん。すごい!
いろんなパターンを作り出せ、これだけ多くの要素を盛り込んで、曲を紡ぎ出せるなんて〜
やっぱ天才だと、改めて思っちゃいました。

ポリーニ アバド ベルリン・フィル 1992年
Maurizio Pollini
Claudio Abbado
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

う〜ん。どうだろ

録音状態は普通。ライブ盤なので最後に拍手が入っている。繊細な出だしなのだが、ラストはオケが燃える。なんで〜ここだけ?
ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集3枚組BOXより

1楽章
ピアノのつぶやき、「どぉ〜 どどどど しししし どどどど れぇ〜しそぉ みふぁそらしぃみ れぇ〜どしぃ」
オケのそろっとした出方、オーボエが入ってくるところのフレーズ、全合奏するところのフレージングの仕方が、微妙に違ってて、う〜ん、この冒頭でやられてしまった。
表情の繊細さは、みごとだと思う。
低弦の響きが、ちょっとイマイチなのだが、シンプルな音が、それぞれに表情を持っていて、フレージングの繊細なところと、木管の音色の輪郭が鮮やかなことなど、う〜ん。やっぱ天下のBPOだよなあ。と、ひとりごちてしまった。

で、ピアノは、自分でリズミカルに刻み、「みみ れれ みみれれ みれれれ みれれれ・・・」と序奏をつけて、入ってくるのだが、右手のメチャクチャ煌めきのある音で、あぜん・・・ まったく音色が違うっ。
これは、ショパンっ? って感じのリリシズムで、粒立ちが違うのに仰天っ。
で、それでいながら、ふくよかに歌う。
低音のごろごろごろ〜っとしたところとの対比が、ありすぎて〜 ピアノの音域の広さを、改めて感じた。
オケの方の響きが、いまいちヌケが良くなく、低弦の響きが硬く砂を噛んでいるような感じなのが、玉に瑕って感じだが、ピアノには関係ないですねえ。
ポリーニさんの硬質感のある、瑞々しい音が、迸って出てくる。
打音の強さもあって、ぐっと、ガツっと入ってくるのだが、右手の薬指、小指あたりの音のまわりぐあいが、ハハっ〜 絶品でございます。しかし、ワタシ的には、左手がダイナミックすぎて、ぐわ〜っとパワフルに弾かれ、右手の細かい硬い粒が、顕微鏡を見ているかのようになってて、この音のレンジ幅の大きさ、一粒一粒の粒の多さについていけない。
右手は細かいうもっと弱音で、繊細で、優しい音の方が好きなんですけどね。
ライブ盤だから仕方ないのだと思うが、耳元でピアノを置かれているかのように、直接音がバンバン入ってきているので、かなり聴き疲れしてしまう。

2楽章
低弦だけで、「ふぁ〜 らそっら ふぁっど れっど れっれ れぇ〜 れっど しっら そっら しっら そぉ〜」と、強く弾かれたあと、ピアノが、物憂げに出てくる。 オケの堅牢さ、ピアノの硬いつぶやき・・・ 音の広がり感が少なく、物憂げなシーンなら、もう少し、自然に音がまろやかに広がっていけば良いのにねえ。
瞑想するかのような雰囲気というより、哲学的に考え込んでいるかようで、ロダンの彫刻でも見ている感じ。
木々のもとで、ひとり座って〜穏やかに過ごす時間ではなく、古めかしい図書館で、書物に囲まれている感じがして、ちょっと疲れる。

3楽章
2楽章から3楽章に移る際には、鉄砲玉のように図書館から飛び出して、いきなり戦争にかり出されたかのような〜激しさが顔を覗かせる。オケの大音量と、突撃ムードの変わり身で、この場面展開には、思わずのけぞってしまった。
この急激な変化には、どうも、ついていけない。3楽章に入ったら極端にスピードが速いんですよねえ。
まあ、いったん、スピードは静まるのだが、オケの火がついたように、突然に変化するし、さっきまで可愛く弾いていたピアノが、ますます硬い音で、スピードアップしていくのと・・・。
なんだか、この急激な変化は、驚かされる。

1992年〜93年、ベルリンのフィルハーモニーでおこなわれた演奏会のライヴ盤なので、ライブ特有の燃え方なのだとは思うが、オケが伴奏に徹しているわけではなく、ピアノに負けじと、ピアノを煽るかのように演奏している。
でも、4楽章だけ、それも、タタタっ タタタっ と、馬が駆けているかのようなフレーズだけを勇壮に演奏されてもねえ。
1楽章の冒頭は、なんと繊細なんだろう〜と、惚れ惚れしたんですけど。なんだー 4番も5番と同じように演奏するわけか。 ベートーヴェンは、これぐらい勇ましく演奏しなくっちゃ〜って、なんだか固定観念の塊のように、みなさんが描いているベートーヴェン像は、これでしょっ・・・って感じに演奏されているように思えて、どうもなあ・・・。
ベートーヴェンだって、いろんな面をお持ちでしょうにねえ。

エレーヌ・グリモー クルト・マズア ニューヨーク・フィル 1999年
Hélène Grimaud
New York Philharmonic

これもありかっ

録音状態は良い。ピアノの静謐で内省的な演奏と、オケがの組み合わせが。
ちょっと雰囲気が違う。
カップリング:
1〜3 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番
4〜6 べートーヴェン ピアノ・ソナタ第30番(作品109)
7〜9 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第31番(作品110)
1楽章
グリモーさんは、1969年生まれなので、30歳頃の演奏である。え〜 ピアノ協奏曲と、後期のソナタをカップリングしてくるの。と、驚き、CDを開けて、狼とのツーショット写真に、超たまげたというCDである。まあ、今は驚かないのですが。

「どぉ〜 どどどど しししし どどどど れぇ〜 しそ みふぁそらしぃ〜 れぇ〜どどしぃ」
とても柔らかいタッチで、ふわーっと始まる。
オケの方も、息づかいも柔らかいし、オーボエが立ちのぼってくるところも、雰囲気があって良いなあと思う。
弦の刻みも悪くないし、低弦の響きが、もそもそしているところは、ちょっと録音のせいなのだろうが〜 フレーズや息づかいは、ふわっとしてて、まずまず。まあ、もっとクリアーな録音状態を望んでしまうけれど。
ピアノのタッチは、さらっとしてて水彩画のような雰囲気がする。
水っぽいというと怒られるかもしれないが、煌めき感は、水滴のようだ。
綺麗な演奏ではあるのだが、ガツンっと入ってくるところは、なんか、パワーが足らないというか、もっと、ガツンっと厳しく一発かまして欲しい感じがする。「みみ れれ みみれれ みれれれ みれれれ・・・」と、もっと、硬く、ごつく〜っ。
と、ワタシの他盤で聴いて染みついた印象が、ぬぐえないんでしょうねえ。
とても、細かな音で紡いでいくので、とっても、清潔で美しいし、透明度も高く、チャーミングには歌うのだが、とても美しいのだが、うぐぐぅ〜っという圧というか、聴き手を、ぐいっと鷲づかみしちゃうような、はじける一面も欲しいかもしれない。
ハイ、スミマセン、無い物ねだりで・・・。

2楽章
「ふぁ〜 らそっら ふぁっど れっど れっれ れぇ〜 れっど しっら そっら しっれ どぉ〜」と、厳しい低弦の響きのあとに、超寂しげにピアノが入ってくる。
この楽章は、とっても聴かせてくれる。
とても内省的で、低弦のユニゾンがウルサイほどに感じられて〜 邪魔するなあーっ。って感じだ。
ここでは、低弦は悪魔のような感じで、小鳥を食べちゃうぞ〜といわんばかりの悪いモノ、で、その怖ろしい世界に震えるピアノという、どこか二元論のような世界が広がっている感じがする。
怖くて身を固め、雨に濡れて、震えてるような感じのピアノだ。

3楽章
ピアノで、「ふぁ〜 ふぁらどふぁ〜 ふぁらど ふぁらど ふぁっ」
この出だしの部分は、ちょっとギクシャクしている感じがするのだが、左手の合いの手の入れ方かなあ。
「ふぁ〜(タタタっ) 「ふぁ〜(タタタっ) ふぁ〜 らどみっふぁっ・・・ししどど ししどど ふぁっ・・・」と、勢いづいて進んで行くのだが、やっぱりこのフレーズよりも、穏やかに抒情的に弾かれていくフレーズの方が魅力的だ。
オケの方が、たまらずに、ドカンっ。という感じで、激しく、打ち鳴らしてくる。まあ、ピアノも一緒に音を出しているんだけど。
なんだか、ここの部分は興ざめ・・・。

とてもテンポ良く、瑞々しいピアノだし、内省的なところもあって良いのだが、ごろごろ〜っと、昔ながらに低音の音を鳴らそうとしているようなオケで、う〜ん。ちょっと、アプローチが、お互いに違うんじゃないのだろうか。
静謐に行こうとしているピアノを包むような雰囲気はなく、粗野とは言わないが、低音の部分は荒々しく聞こえちゃう。
ピアノのフレーズに、オケが、がっしり受け止めるというのではなく、バババぁ バババぁ〜ん と鳴ってくるのは、ちょっと。
ああぁ〜 馬脚が・・・。ラストに向けての走りっぷりは、なかなか良かったんですけどね。狼ならぬ、ゴツイ足のウマが、どどどーっと走って行くみたいに聞こえちゃいました。

総体的には、ピアノは、とてもピュア。
活き活きとしているが、あまりエモーショナルではなく、静謐さが基本だ。
抒情的であり、あまり情熱を爆発させるタイプではないように思うので、情熱的に、盛り上がっていきたい場合は、ちょっと他盤をあたってくださいという感じ。オケは、1楽章は意外なほど軽やかなのだが、3楽章がなあ。ちょっと・・・。
で、グリモーさんのCDには、ラヴェルやドビュッシーのピアノソロは、発売されないように思うのだが。どうしてかなあ。
風景画のような、フランス系の楽曲が似合っているのではないかしらん。と、ワタシ的には思うのですが、いかがでしょう。
1975年 ブレンデル ハイティンク ロンドン・フィル Ph ★★★★
1981年 R・ゼルキン 小澤征爾 ボストン交響楽団 Teldec ★★★
1986年 アックス プレヴィン ロイヤル・フィル ★★★★
1992年 ポリーニ アバド ベルリン・フィル ★★★
1999年 グリモー マズア ニューヨーク・フィル Teldec ★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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