「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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ブラームス ピアノ協奏曲第1番
Brahms: Piano Concerto No.1


  エミール・ギレリス ヨッフム ベルリン・フィル 1972年
Emil Gilels  Eugen Jochum  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

もえてるぅ〜   ひぇーぇぇ〜    殴られた気分だ    倒れました。

録音状態はまずまず。鋭い刃で振り下ろしてくる怖さがある。
自然界の神の逆鱗に触れた感じで、険しい山から谷底に突き落とされ、そこから這い上がってくる精神力がなきゃ〜これは最後まで聴けません。覚悟めされ〜
カップリング:ブラームス ピアノ協奏曲第1番、2番 2枚組BOX
1楽章
「み〜」 ティンパニーの1発。まるで、オルフのカルミナ・ブラーナのような始まりだっ。 この1発で、雷に打たれてしまったような感覚でになってしまう。
どろどろどろどろ〜っ。という激しくて長いティンパニーのロール。乾いた音で震えるティンパニーは、ホント怖い。
神々がお怒りになっているかのような激しさで、 う〜ん。まるで津波が押し寄せてくるような気配がする。スケールでかっ。
それに、ヴァイオリンを初めとした弦の硬く、「どぉ〜そ〜み みっそっ そらし〜らそれっど〜」
ひぃ〜 目玉が飛び出しそうなるほど、本当に恐ろしい出だしだ。ブラームスのピアノ協奏曲って、はあっ。
冒頭から疲れるのである。 ただでさえこの楽曲は疲れるのに、この盤は、その頂点をなすかのような峻厳で〜とても険しい。厳しくて、 これじゃー 硬くて歯が立たない。うぐっ。おっかない。涙が出そうなほど怖いのである。
西ベルリンにあるイエス・キリスト教会での録音だというが、残響より、この強烈で、屹立した峻厳な峰に立たされているかのような恐れで、真っ青になってしまう。
威厳とか壮大とかという前に、これじゃー 自然界の強烈で圧倒的な迫力、畏怖心を醸し出す。
まるで、ゼウスの神が、お怒りになっているみたいだ。

「し〜 ふぁ れふぁっ らしどぉ〜 しらみっれ ふぁしど〜 しらそっふぁ〜」
このベルリン・フィルのティンパニーは、ホント、乾いて強烈なロール である。このベーム盤は、オケで、のけぞって〜 まず、恐れ多くてひれ伏してしまう。弦も硬くて、怖いし。
また、ギレリスさんのピアノも、硬くて強烈な打音である。
まっ いつも思うのだが、これだけの激しい出だしでないと、ブラームスは納得しなかったのかしらん。
ギレリスさんのピアノ・ソロ 最初のフレーズこそ、柔らかくて、可愛く始まってくるのだが、パラパラパラパラ〜 「ど〜〜しら〜そふぁ〜みれふぁし れふぁし〜」と奏でてオケと一体となるうちに、火がついて、めらめらと舞い上がる。

「れそらし〜ら そしみ ら〜そ ふぁられ れ〜ど」という、ピアノソロの部分になると、平安がようやく訪れる。ボクトツと語るおじいちゃんのよう。
あの、激しい冒頭との差が大きすぎて、はぁ。もう1楽章の中間で、つまづいてしまった。
でも、この中間部では甘いのだ。じわ〜っと、心の底を洗うかのような、すくい上げられる感じになる。
ホルンも、さほど甘くも、豊かではないのだけど。シンミリ・・・。
「れっそ〜 それっそ〜 しれそし そみれど れどしれ しらそし そみれど れどしれ〜」
カミソリみたいに鋭いけれど、ガシガシしておらず、粒立ちの綺麗なこと。
硬いけれど、その輝きは認めちゃうが、オケが厳しすぎるのかなあ〜 このギレリスさんのピアノは、可愛く思ってしまうほど、オケとは異なる叙情性を持って、優しく繊細な弱音で、歌おうとしている。
でも〜でも〜 そんな部分は、わずか。心の葛藤なのか、神のお怒りなのか、平和なフレーズは、ごくわずかである。

情け容赦なく、バババ バン バババ バンっ。と弦が機関銃のように繰り出してくるオケ。
いやいや、ギレリスさんのピアノも、オケに挑発されたのか、バンバン バンバン バンバン・・・ クールな筈だけど。
冒頭の部分に再度戻ってきたら、ひぃ〜 すっかり熱くなってて〜 鳥肌モード。
1楽章が終わったころには、すっかり丸焼き状態に・・・。
う〜ん。やっぱ疲れる。オケが硬いて怖い。面を殴られているみたいで、ぼこぼこになっちゃった。
ヨッフムさんって、こんな峻厳な音を出してたっけ? は〜っ。熱すぎない?
いやいや、ブラームスだって、天の邪鬼なのだ。腹8分目、いや7分目ぐらいで切り上げてしまう。陶酔しきらせない嫌らしい性格っ。
それにしても、これだけ厳しく、硬く、ガンガン バンバン ゴンゴンと打ってこないと演奏できない楽曲なんでしょうか?
ワタシには強靱すぎるっ。あ〜っ シンドイ。すでに1楽章で憔悴しきってしまいました。

2楽章
「み〜(らそふぁみ)し〜らそふぁみれどし〜ら し〜みふぁそ ら し〜」
叩かれ撃たれ、ボロボロになってしまった前楽章とうってかわり、穏やかな楽章なのだが、すっかり、この盤では、死に絶えてしまったような感じがする。 フレーズが長めにとられていないし、途切れ途切れで、鬱々と、音を置きに行っているだけのように聞こえるし、生きた心地がしない。草も生えてないって感じ・・・に、ワタシ的には感じちゃう。
まあ。神のお怒りに触れ、いや、上司でも奥さんでもなんでも良い。とにかく、逆鱗に触れて、追放処分になっちゃったような気分だもん。うちひしがれても仕方ないよね。

しっかし、そこから立ち上がろうとする、生命力が生まれてくる。その気配が、じわじわ〜っと、楽章の中盤に聞こえてくるのだ。オーボエの音色が、「そそそ そ〜ら ふぁれ〜れ〜れ そそ ふぁ〜み」
ちょっぴり、ほんのちょっぴり明るい陽射しが、射し込んでくる。
楽章最後、ピアノが、崖を登り始める。ご〜っという低弦のもとで、「し〜み〜 し〜ら〜 られどれどられど そふぁそ〜」不可思議な和音と伴って、へぇ〜と思うほど、1歩1歩 噛みしめてのぼっていくような。ひやひやするのだが、この無骨な音が、じわっと熱くなってくる。 木管が優しく見守っているかのような音で、バックを務めているし・・・。
もしかしたら、落ち込んでいる時に、この2楽章だけ聴くと、癒されるかもしれない。
崖下から這い上がってくるようなパワーが、めげない強靱な精神力が、音となって描かれているようだ。
それにしても、精神力が鍛えられていないと、人並みの気力、精神力を持たないと、そうじゃないと、このギレリスさんの盤は聴けないですね。 

3楽章
「しっみ〜 ふぁ そしっみ〜み れみふぁそ れ〜 れみふぁそ れ〜」
短めのフレーズでテンポは速め。トリルが入ってくるのだが、ハイ。あまり歌わないです。
舞曲風の楽章だから、ちょぴり、色気ぐらい欲しいものだが、はあ。素っ気ない。
ちっとも楽しげじゃーないし、地に足がついて離れてくれないらしい。
最終楽章ぐらい変貌してて欲しいのだが、あいもかわらず、コワモテなのである。ストレート1本で、剛速球を投げてて、快速に突き抜けていく。
「そぉ〜らしれ〜られ み〜みふぁそ〜そふぁ」「しぃ〜みそしぃ〜し ど〜(しど)れら ど〜」
はあ。素っ気なく通過・・・。
ホルンが吹かれて、さすがに場面が変わる筈だと思ったのだが〜 みごとに、雪崩落ち。
唖然とするほど、猛烈スピードで、轟音をたてて雪崩を引き起こしている・・・ ごぉぉぉぉぉぉ〜 呆気にとられてしまった。
確かに、抒情的に弾かれ繊細さも持ち合わせたピアノだが、なにせ、オケが硬くて、 泥臭い舞曲 「どれふぁそれっ! どれふぁそれっ!」
かたっ。かたっ。ドンドン シコ踏んじゃった。 なんとも、これがオブリガート風で、繰り返されていく〜 そして、段々と熱っぽくなるんですけどね。 叩かれ、打たれ、打たれ続けて、これが、ついに快感に変わるっ〜 (えっ? ぞっ・・・。)

救済されるのは、ホルンのフレーズだけで〜 神のような神々しさあり。
しかし、遙か彼方、手の届かない存在で〜 神に憧れ、みあげながら〜  力尽きて、倒れてしまったのでアリマシタ。
崖下に突き落とされ、ナマハンカには聴けない盤である。
叩かれても叩かれても、負けない精神力、これを鍛えるために聴くには、もってこいの1枚かもしれない。しかし、精神力のヤワイ私には、とっても強烈すぎて・・・。 完全にボコボコにされちゃいました。疲れたぁ〜

ルービンシュタイン メータ イスラエル・フィル 1976年
Arthur Rubinstein Zubin Mehta
Israel Philharmonic Orchestra


これもありかっ


録音状態は良い。マッチョで力強く、ロマンティックなフレーズで、音の大津波に呑み込まれる。
ルービンシュタインさん、90歳近くの年齢の時の演奏。恐れ入りましたと、ただただ・・・圧倒されて聴かされる。すごい方だったんですね。スケールの大きな演奏である。
1楽章
どろどろどろ〜という重低音の響きが、ものすごい。分厚く、いかついティンパニーのロールが、ヴァイオリンの旋律、木管のフレーズの底辺で鳴り続ける。およそ55秒。
すっげ〜っ。タラリと汗が出そうなほどの音量だ。
まっ メータさんのことだから、分厚い勢いのあるマッチョな響きを出すだろうな〜とは思っていたが、さすがにボリューム満点。この低弦の響きは、う〜ん。すごい。地響きが、これだけ続くと、たらり〜っと汗ばんできて、思わず顔を引きつらせながらも、苦笑いしちゃうほど。
いや〜 のっけから一発かまされた気分だ。本当に、すごい音だ。
ティンパニーのロールの音も凄いが、これだけコントラバスやチェロの低い弦の音が入ってくると、建物を揺るがすようなギシギシ感があり、震えさせるような響きと音圧で迫ってくる。大地震並み。
たっぷりとなる金管といい、全てマッチョで、ぶっとい二の腕で、スタミナ抜群、ファイトいっぱ〜つ型のオケだと思わせる。肉感的で、野性的で、たっぷり〜分厚いブラームスの協奏曲?である。
で、ようよう出てくるピアノ。

この時のルービンシュタインさん、なんと、90歳になろうかという時らしい。
いやはや、これだけ揃っていると、聴いているほうも拝みたくなるってなモンである。
さすがに、テンポはゆったりしているが、これだけ音が華やかで若々しいとは、思いもよらなかったデスね。
はあ。マッチョなオケに、枯れたピアノと想像していたが、恐れ入りました。
「れっそぉ れっそ しれそし そみれそ れどしら・・・」と崩れ落ちるところの、綺麗で強い音には、ホント脱帽です。
また、クリアーな録音なのだ。デッカの録音方法だと思うが、目の前で弾かれているような気分で〜
鮮明で鮮烈。ピアノと共に、低弦で弾かれるフレーズが、よく聞こえて〜。ダイナミックで、逞しく、ぐっさぐっさと刻まれていくようなタッチだが、そのくせ楽曲自体が持つ、ロマンティックに明るさがあり、ほんのり優しく、シアワセイッパイ的に広がっていく。
妙なバランスで成り立っているというか、ちょっとしたカルチャーショックのように、このギャップには、はぁ〜っとため息をついてしまうが。まっ セコセコしなさんな〜 大きく行きましょうっという感じだ。
ただただ、圧倒されるというか。とにかく、他の盤では、なかなか聴けないほどのスケール感がある。
これには、ただただ、だまって〜 おっしゃるとおりです。と聴いているのみ。(笑)
「しみふぁ そ〜ふぁ みそど み〜れ れどし らそら しみふぁ ふぁ〜(れどしら)」
「しみふぁ そ〜ふぁ みそど ふぁ〜み れふぁし し〜ら〜し ら〜そ〜ら そ〜ふぁ」
ピアノのタッチは、明確で力強い。およそ90歳とは思えない。ホントに。
アシュケナージさんの方が、よっぽどヤワイ感じがする。力強いねえ。ホントに力強い。オケもピアノも美音ではないが、強い意思と大きな自信で、疑うことも、迷うこともなく、しんみり〜オセンチには聴いてられない。俺についてこい〜型で、鬱々としたブラームスではない。
ここまで演奏されると、あっぱれっ。惚れる。

2楽章
前楽章のマッチョさが消えて、とても美しく、穏やかに変貌する。
オケ自体は、さほど美音ではないので、音の艶や音の広がり、飛翔感や天上感という点では、どうかとは思うが、フレーズの豊かさや膨らませ方、息の深さと長さは、みごとだと思う。
ひと昔前の演奏スタイルかな〜とは思うが、ゆったりとした時間や、たっぷりとした重さ。そのオケのなかを、幾分、ひんやりとした質感を持つピアノの音が、1粒1粒が並んでいく。
暖かみのある音が広がり、まろやかに響く、球体なかを、ピアノの粒が並んで、つーんと1本の糸が通っていくようだ。で、低弦、低音の木管の響きがすごい。9分30秒あたりから聞こえてくるコントラバスの弦の響きか低木管か、ずっと、ごぉ〜っと響き渡っているのが良く聞こえる。

3楽章
思っていた以上に早いテンポで、スマートに飛ばしていく。
90歳とは、とっても思えないほどの艶のある強いタッチで、トリルも美しいし、軽やかで可愛いピアノだ。
オケは、たっぷり〜 うふふっ。すごい肉厚感のあるグラマーな音を響かせている。
今時、これほど、たっぷりと鳴らすオケ、マッチョでグラマーなオケは無いかもしれないし、クラシカルな演奏スタイルかもしれないけれど、ワクワクして、飛翔感のあるブラームスも良いなあ。と思ってしまった。
オケは、もちろん重量感があるが、ピアノも、負けてない。
力強さと同時に、飛翔感と繊細な線の細さもある、すごい。うん。オケに負けてません。 70年代中頃とは思えないほど、なかなかの録音で、ホント良い音で残っていることに感謝だ。
まっ なにせ、長大な1楽章で、脱帽しちゃった〜という演奏です。

アシュケナージ ハイティンク コンセルトヘボウ 1981年
Vladimir Ashkenazy  Bernard Haitink
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

いかすぜっ


録音状態は良い。煌めきもあり、まったり感もあるし叙情性もあるし、そこそこ迫力もある。オケの響きが、まずよろし〜い。って感じ だが、大袈裟で苦笑い。これは曲のせいもあるのだけど・・・。
1楽章
「タタンっ どぉ〜そ〜み みっそっ そらら〜らそれっど〜」
ティンパニーのロールが派手になって重々しい幕開けとなる。ピアノ協奏曲というよりは、ピアノ付き交響曲と言われるような楽曲だけど、これが、またロマンティック。
「し〜 ふぁ れふぁっ らしどぉ〜 しらみっれ ふぁしど〜 しらそっふぁ〜」
ヴァイオリンも木管も、声を震わせながら、悶えているような雰囲気がする。
しかし、この序奏部分が終わると、弦が奏でる甘いフレーズが、つらつらと流れてくる。
「らそふぁ〜れどぉ〜 しらそ〜しそぉ〜 ふぁ〜み〜」
「そふぁ〜 らそ〜 れふぁれ〜」という、ふんわりした響きが、どことなくエロティックなのだ。  
う〜ん。渋いが華もある、豊穣感たっぷりの響きが伝わってくる。
甘い女の声って感じがする。

低弦の響きが柔らかく、木管の声も、う〜 さすがコンセルトヘボウって感じの響きで、このアルトのくすぐったい、ちょっぴり甘めの声質がタマラン。ブラームスだからと、厳しさとか、ごついめの声が好きな方は、モノ足らないかもしれないが。美音だと思う。
まっ 執拗な感じで繰り返してくるが、テンポアップして、「しっ どっ しっ らっ そしみぃ〜 しふぁ みしみ〜 ふぁ みしみぃ〜」っと、歯切れの良いフレーズも入ってくるので飽きないかな。
長い序奏が終わって、「そ ふぁふぁそそ らふぁふぁそそ れれみみ ふぁふぁれれみ〜」
アハハ〜 なんて可愛く入ってくるピアノなのだろう。アシュケナージさんのピアノは、まあ。クリスタルガラスとまではいかないけれど、柔らかく、印象的なフレーズへと繋いでいく。
「れそら し〜ら そしみそ〜ふぁ〜 ふぁみれ どしど れ〜」
「れそら し〜ら そしみら〜そ ふぁらど ど〜し〜ど し〜らしみ」
この主題は、なかなかに渋いし、甘いっ。このフレーズがオケによって形を変えていくが〜 主題が絡み合って、ホルンの柔らかい開放的なフレーズ 「れっそ〜 れ ら れ それっそ〜 れ ら れ れ〜」
やっぱ、ピアノ協奏曲って感じがしないところが、異質なのだけど。オケが綺麗だよなあ。
「れっそぉ れっそ しれそし そみれそ れどしら・・・」と崩れ落ちる。

ピアノのフレーズは、わりと単純だけど、オケに寄り添うような女性的な変わり身で、いろんな姿を現す。
いや、ピアノだけではなく楽曲そのものが、女性っぽい抒情的な部分と、厳つく激しい部分が絡み合って、一筋縄でいなかいところが、まっ、ブラームス的なのだろうが、若い時の作品なので、わりと表現がストレートな甘さが出ている。 
アシュケナージ盤は、どちらかと言えば女性的で、甘さを持って歌う。
まどろっこしく迷いがちな、悪く言えば、思わせぶりな軟弱さ。そして、ショパンのような叙情さ。
陰影はあるものの、それでも若い。自然と歓びが満ちあふれてくる。ちょっぴり青臭いな〜とは思うけど、わりと明るめに演奏されており、青春してるだろ〜って感じる。鬱々としていないところが、この楽曲には○なんだろうと思う。

2楽章
1楽章のように、主題が男と女のように絡まず、気怠さが漂う緩楽章だ。
「み〜(らそふぁみ)し〜らそふぁみれどし〜ら し〜みふぁそ ら し〜」
「しみ〜れど(らふぁみれ)・・・」
弦部だけで奏でられ、音が入れ替わるが、メッチャ単純なフレーズで、一音ずつ、あがりくだりしてるだけじゃん。と、思わず、笑えるほどの緩やかさだが、でも、穏やかで、ほっとする楽章である。
ピアノも、協奏曲というよりは、ピアノの小品という趣き。可愛い、ほのぼの感を漂わせる。このあたり、アシュケナージさんの持っている雰囲気が、ぴったりハマッテいるという感じ。特に、この楽章に難癖をつける人はいないんじゃーないだろうか。

3楽章
「しっみ〜 ふぁ そしっみ〜み れみふぁそ れ〜 れみふぁそ れ〜」
舞曲風のような軽やかで、妙に重い、妙ちくりんな楽曲で快速で飛ばす。オケも追随していく。
でも、この主題が繰り返されて終わってしまうと、「れ〜れ れ〜れ れ〜れ れ〜れ」と、低音で響く続く音を持ちながらも、煌めきを飛ばす右手。
「そぉ〜らしれ〜られ み〜みふぁそ〜そふぁ」「しぃ〜みそしぃ〜し ど〜(しど)れら ど〜」
甘いフレーズを、ポコンと入れてくる。よくワカランな〜と思いつつも、耳には直ぐ馴染むし、まあ晦渋なブラームス楽曲とは違っている。
それにしても、毛色の違う主題を入れすぎっ。ポコンと空間が空いて無音状態になったと思ったら、「しみっふぁし〜 しみっふぁし〜」という金管が吹かれる。
で、また冒頭の舞曲風の快速主題に戻る。ロンド形式っていうけど、ホント、入れ替わり立ち替わりにテーマが出てくるので、まあ。面白いっちゃ〜面白いけど。これって、ピアノ協奏曲だったよねえ。
アシュケナージさんの出番って・・・と思ってしまう。
まあ。どっちでも良いんだけど、シンフォニーねえ。確かにっ。ピアニスト泣かせだと思うし、腕っぷしが強くないと、ピアノが埋もれちゃうと真剣に思う。
この派手で、泥臭い舞曲風「どれふぁそれっ! どれふぁそれっ!」 このテーマが、オケでガンガンに鳴らされてしまうと、ピアノなんて要らないやん。と思うもん。その後、ピアノのカデンツァも、相当にガンガンに叩きつけないと、オケに迫力で負ける。
そのくせ最後、華麗なクラシック調な、「たらら ららら〜」と、タメにためたピアノの見せ場を用意されており、ホルンと共に木管の音色が美しく響く。
はあ。ピアノは? パララ〜という音色だけ欲しいんかい。と思うほど、煌めきは出るのだけど、シツコイ終わり方で〜 やっぱ、オケじゃん。

はあ。疲れたっ。大袈裟で長〜い大曲である。アシュケナージさんのピアノは綺麗です。
オケも、結構明るく派手めで、ねちこく、シアワセ感もあって充実してるんじゃーないかと思う。 最終楽章が、力強く演奏され、煌めきもあって〜 良かったと思う。ピアノの音質が、ちょっと強く、カンカンと響いている点が気になるけど。これも最後だけで。まっ、渋さよりも明るさが勝っているかと思う。
それより〜楽曲自体が持つ複層的なところを弾き分ける方が、難しいかな。という印象を受けた。
ブレンデル アバド ベルリン・フィル 1986年
Alfred Brendel  Claudio Abbado Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

いかすぜっ

録音状態は、まずまず。低音の響きが、ごごご〜っと響くなか、ピアノは繊細で可愛い。オケとピアノの対比が凄い。特に2楽章は聴かせてくれます。
← ブラームス ピアノ協奏曲第1番と第2番とのカップリング盤 2枚組BOX
ブレンデルさんにとって2回目の録音で、73年にハンス・シュミット=イッセルシュテット、コンセルトヘボウとの録音がある。
1楽章
強烈なティンパニーのロールから始まる。
「みぃ〜 どぉ〜そみ みっそっ そらしぃ〜 らそれどっ そらしぃ〜 らそふぁみっ みふぁそらぁ〜 そふぁ みぃ〜」
再度、音を変えて同じフレーズを奏でるという念の入れよう。
かっっ〜っと。このフレーズを奏でた後は、一気に静まって、胸キュンになるぐらいの切々とオケが歌う。
ゴリゴリとした低弦とティンパニーの硬い音が鳴り響き、
そっから、そろっとピアノのソロが始まる。

録音状態は良いと言えば良いのだが、ヌケがイマイチよろしくないので、ごごごぉ〜っという地響きがする。
低音が入りきらないというか、ティンパニーとコントラバスが、カンカンカン・・・と弾んでいくのだが不気味に軋んでいる。
ピアノそのものの音は、クリアーにとらえているが、抒情的で〜 かなり可愛い。
しぃ〜らそふぁぁ〜っというトリルが、ちょっと怪しいけれど〜 このごっついオケに負けないような感じで、いかにも鉄杭を打つがごとくピアノを叩くという感じではなく、軽く、いなす〜という感じに聞こえる。
このオケとピアノの対比は、面白い。
しかし、こりゃ〜このオケのパワーに負けないように演じるのは、超大変だと思う。

透明度の高い音で、「れそ〜 れられ そぉ〜 れられ しぃ〜」と、風のようにたなびくように奏でていく。
オーボエも、それに呼応して、すーっと 風通しのよい音で、チェロも甘めに歌い始める。ホルンの音色までが〜
むふふっ ピアノによって、オケの音質が、全て入れ替わったかのように雰囲気が柔らかくなるのだ。
「れそぉ〜 れられ そそぉ〜 れられ そそぉ〜 そぉ〜」というホルンも、かなり美しい。

この曲は、当初、2台のピアノのためのソナタを作っていたのだが、それを交響曲に改作しはじめたが、管弦楽になっていた1楽章を、ピアノ協奏曲に書き直したと言われている。
そのため重厚だというのだが、はあ〜確かに。
ピアノが、「れそ〜 れっそぉ しれそしそみれそ・・・・」と、落ちていくと、また、あの怖い主題のオケが蘇る。
ピアノが、1番目の主題をオケに代わって演奏するが、再現部に入るのが、提示されたものと似てて〜 よくわかんなくなってしまうのだ。
メラメラと炎を立てて、怒りを爆発しているようなオケに対して、う〜ん。ブレンデルさんのピアノは、軽やかでチャーミングで、中音域の弦とのハーモニーが美しい。
ほっと、ひと息つけるような、ほのぼの〜とさせてくれるホルンの音色に呼応して、ピアノも、やわらぎを与えて、すーっと柔らかな日射しを与えてくれる。ホントに、一筋の光のようだ。

2楽章
宗教的とも言えるような、心穏やかな旋律の2楽章は、ファゴットと弦の主題と、ピアノが同じようなフレーズを奏でていく。
ホント、ふわっとした、心温まるフレーズで、祈りを捧げる人のようだ。
なんでも、カトリックのミサから着想されたというが、草稿には、ベネディクトの一節が記されているという。
木管フレーズに耳を傾けながら、ブレンデルさんの囁きに近い繊細な音が、聞こえてくる。
他盤だと、緩い〜 気怠い、眠い〜 なんでこんなにツマンナイ楽章なんだろ〜 思っちゃう楽章なのだが、このブレンデル盤で聴くと、木管とピアノの繊細な音が、素朴ながらも、小さな教会で、日常のシアワセを、こい願う人のように感じられる。
ピアノの小品という感じで、一粒、一粒、いとおしむかのように、そっとした祈りのように、聞こえてくる。
これまで、なんだか、とってつけたような楽章だと思っていたが、強烈な1楽章にうちひしがれた後だけに、こんなにも、やわらぎを必要とする意味が、なんとなく解った感じに〜 妙に、神妙な気持ちにさせられ、小さなシアワセが、これからも続きますように〜と手を合わせたい気持ちに。

3楽章
「しっみぃ〜ふぁっ(たららら) そしっみぃ〜みっ れみふぁそ れ〜 れみふぁそ れ〜(たららら) れっら〜ぁ」
爽やかな、たららら〜っと、巻き舌を使ったトリルが気持ち良く、軽快に入ってくる。よく転び、よく歌う。
オケも、おいおいと言いたくなるほどの巻き舌風で、速くて力強い舞曲である。
ピアノが雪崩を起こした後、オケの主題を弾き出すが〜
ピアノが、 「そぉ〜らしれ〜られ み〜みふぁそ〜そふぁ しぃ〜みそしぃ〜し ど〜(しど)れら ど〜」と歌う。
美しいシーンだが、なかなか、主題がくせ者で、再度のピアノの雪崩れ落ち、で落ちたら、また最初の主題に戻る。
歌謡風フレーズと、軽快な舞曲風主題との組み合わせでできているが、チェロの甘い囁き、ピアノの繊細な響きが、聴き応えあり。ピアノソロで、超テクニックを見せつけるというような場面は、設定されていないと言っても過言ではなく〜
ちょっと、その点が、協奏曲なの? と言われちゃう所以なのだろうが、ゴツイ舞曲のなかを、粉雪が舞うように繊細に奏でていくピアノが、この盤の聞きどころにちがいない。
ごんごんごんごん・・・と低音のゴリゴリ感を出しながらオケが走って行くなかを、力強く、華麗なフーガを演じ、夢のような、歌謡風フレーズを間に挟み、ささやかだけど可愛いピアノのカデンツァを演じて、豪快に幕を閉じる。

はぁ〜 やっぱ長大な、雄大なピアノ協奏曲で、聴き応え満載で、う〜ん。相当にパワフルです。
ごっついオケと、軽やかなタッチのピアノとの組み合わせで、妙なマッチングなんですが、オケが、威圧的であるなか、軽やかに、繊細に、華奢に、駆け巡るピアノが、なんだか可愛そうな感じだけど・・・
聴いている方は、妙に、ほっとさせられて〜 特に、2楽章の繊細さが、特筆する場面かもしれません。

  スティーヴン・コヴァセヴィッチ サヴァリッシュ ロンドン・フィル 1991年
Stephen Kovacevich Wolfgang Sawallisch
London Philharmonic Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。野武士系のなかなか格好の良い演奏。思わず惚れちゃいました。
カップリング:ブラームス「アルトのための2つの歌(鎮められたあこがれ、聖なる子守歌)」 P協1番・2番のカップリングCDもあるし、サヴァリッシュ、ブラームス交響曲、協奏曲全集7枚組BOXにも収録されている。79年、C・デイヴィス、ロンドン響と共演した盤もある。
1楽章
この盤のピアニスト、Stephen Kovacevichさんは、コワセヴィッチ、コバセビッチ、コワセヴィッチ、コヴァセヴィチなど、いろんな表記になって紹介されている。それに、昔は、Stephen Bishop Kovacevich とも言っていたようで、ビショップさんでもあるのだ。
古いCD、特に、中古CDを探す時には、なんとも、ややこしい。どれが正しいのやら〜
で、この名前がヤヤコシイことが、ポピュラーになっていない理由なのか、あまり人気がない。
そのくせ、あのアルゲリッチ姉さんの元彼で、娘もいるのだ。(まっ、そんなことは、どうでもよいけど〜 )

冒頭、強烈なロールが入ってくる。
録音状態は良い。サヴァリッシュさんの振るロンドン・フィルの熱い演奏が始まって、いきなり序奏部分で、ぐいっ。とつかまれた。 1音目なんぞ、クイズ「ドレミファ ドン」(イントロ当てクイズ)だと、オルフの「カルミナ・ブラーナ」と間違えて、おてつきしちゃうかも。それぐらいのパワーがある。
音の広がり、音の強さ、豊かさ、低弦の迫力が三拍子揃っている。
ロールの叩き方が巧いっ。← 素人だからテクニックは、わかんないが〜 ぐぐっと来ちゃうのだ。
「どぉ〜そ〜み みっそっ そらら〜 らそれっど〜」
「し〜 ふぁ れふぁっ らしどぉ〜 しらみっれ ふぁしど〜 しらそっふぁ〜」
ビブラートの掛かっているフレーズなので、ヴァイオリンも木管も声を震わせながら、悶えてくるのだが〜
このサヴァリッシュ盤では、それが大層に大袈裟に鳴ってこない。そのくせ、オペラの幕開けのような壮大なスケールがある。
硬めでキレがあり、緩いビブラートの塊のようなフレーズになっていない。
まあ、女の声で泣き節のような悶えるような震えも素敵なのだが、このオケは、ぐぐぐ〜っと我慢して震えている感じなのだ。
ひぇ〜 ピアノが始まるまでに、もう、この盤っ、格好ええやん。惚れ惚れ〜!

サヴァリッシュさんの演奏で、やられた〜っと思うのって超珍しいのだが。ホンマに、やられちまったぜ〜。
コヴァセビィッチさんのピアノは、野武士である。端正で、華麗でもないくせに、じんわり〜っと渋いのだ。
ホントに渋くて、底辺の甘みのある声ではないのだが、ボクトツもしておらず、無口なくせに決めるところでは、しっかり熱く語って決めるという感じ。
このコンビは、バッチリ〜 昔の男気質たっぷりの演奏だ。渋くて、ハードボイルド系だ。
サヴァリッシュさんの演奏で、ハードボイルドとは、ちょっと違和感があるんだけど、この曲に限って〜そうなのだ。そうねえ〜 あえて言うなら、映画「カサブランカ」のハンフリー・ボガートみたいかな。
ルービンシュタインおじいちゃんのような、華やかな色香もないし、色のある役者じゃーない。
まったく正反対だと思う。
でも、存在感ありなんだよねえ。オケも美音じゃないし、まろやかさも少ない。ホルンなんぞ、他のオケに比べると貧相だし、もっと、うっとりするぐらい甘く、強めに吹いてぇ〜と、文句の一つも言いたいぐらい。
ヴァイオリンのソロだって〜音が弱いし、アルトの声でオケの中音域、低音域は、もっと歌っても良いと思う。オーボエだって、フルートだって〜 もっと歌ってくれ〜 
でもねっ。この威勢の良さ、キレは良いと思う。
で、コヴァセビィッチさんのピアノは、ペダルが長いので音が濁りがち。クセなんでしょうかねえ。
でも、バックのオケと合体してて、ぼーぼーと炎があがって燃えているように熱いっ。
あまったるい青春してますというアシュケナージ盤とは、ハイ、違います。
まだまだ、Hが好きですよぉ〜 まだ、くどいちゃいますよぉ〜というような、おじいちゃんピアニストとも違います。ぐっと、こらえて、そのくせ一気に燃える。

2楽章
端正だけど、しみじみと語るピアノ。寂しさというより、ちょっぴり諦念の入った演奏かな。
さほど息が長い旋律を奏でるわけでもないし、牧歌風でも、天上的でもない。コヴァセビィッチさんのピアノは、 現代的にクールさも、ちょっと入った、速めのテンポで、さらりとしている。
でも、複雑に、内省的に弾かれており、オーボエが、そこに、鬱っとした雰囲気を醸し出している。
オケの弦で「れれ そそ しし ふぁふぁ〜 みふぁれ〜」と弾かれているところだけに、刺激を与えられるが、また沈んでしまう。 自然体に近いし、低音の響きを受けて、素っ気ないというに近い。
それに、特段、美しいわけでも、深い内面をえぐるかのような演奏でもないが、しみじみ〜 感慨に耽るだけの音は広がっていると思う。

3楽章
歯切れが良いのだが、ペダルがちょっと長めだ。
「しっみ〜 ふぁ そしっみ〜み れみふぁそ れ〜 れみふぁそ れ〜 (れどれ)みっら〜しっ〜」
舌がもつれるほど、たらら らった〜た の「たらら」が、巻き舌みたいに巻いている。
「タララ ラタッタ ター」
で、左手が強くて、ちょっと音が濁って聞こえてしまうようなところがあるんだけど、でも、これがラテン的に開放的で陽気に聞こえる。思わず、スペインかイタリアのような、南ヨーロッパ系かと思ったぐらい。
でも、この方アメリカ生まれだ。(パパとママは、アメリカ人じゃないけど)  エネルギッシュで、トリルが快速、快適、よーくまわる。とても 回転率が高くて熱いっ。

情熱的で、およそ鬱々としたブラームスではありません。でも、これがまた良いんだよなあ。だけど、語尾は短い。フレーズが膨らまず、すっと語尾が消える。
まっ、それでも、すごくリズミカルで、ノリノリになっちゃうほどのブラームスって、他に聴いたことが、あたっけ?
う〜ん。サヴァリッシュさんも、よく燃えてるよなあ。すげ〜。
音が強めで、飛んでる〜って感じ。
って言っても、メチャ強いんです。マジメに、強めに、飛ぶって難しいって思うんだけど、山なりにならず、ストレート気味に飛ぶ。よこっとび〜系かな。
跳ねるけれど、ノー天気じゃなく、かなり知的で硬め。余計なノビやタメは、あまりない。
歌うって感じのカンタービレ調、おなみだ頂戴系でないところが、個性でしょう。う〜ん。いやいや、ホント。

微妙なところで調和がとれているっていうか。フレーズによって、いや主題によって、アプローチが違うっていうか。でも筋が通っていて、かっしり筋肉質で、男気のある演奏だと思う。
表現が難しいけれど、いやいや、なかなかの武士系である。
きゃ〜 惚れそうっ。これは、いいっ。拍手っ。
しかし、このラテン系のノリノリ感と、武士のような硬いフレーズが、どうして一体として生まれているのか、とても不思議なのだが・・・。これが、この盤の個性なんだろうか。
細部にこだわって言うと、まあ、もっと〜もっと〜と欲が出てくるのだが、3楽章の協奏曲。
楽章によってアプローチを変えて、オケと一心同体に演奏し、鬱々とし、ラテン風にも変貌する。
この器用さ、そして、オケとピアノが一心同体に燃えて、聴かせてくれる盤だと思う。
思わぬ掘り出し物的(あっ 失礼しました。)で、なかなか良いんじゃないだろうか。

ブッフビンダー アーノンクール コンセルトヘボウ 1999年
Rudolf Buchbinder  Nikolaus Harnoncourt
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

いたってフツウ

録音状態は、まずまず。クリアとは言い難いが、演奏としては、シンミリしてて抒情
的。ちょっとまじめくさってて地味め。ウツっとしてて凡な感じもするが、見通しの良い演奏である。ライブ盤 2枚組BOX カップリング:ブラームス ピアノ協奏曲第1番、2番
1楽章
う〜ん。初めて聴いた時には、暑苦しいブラームスとは違って、クールな感じがする。
冒頭の出だしこそ、ティンパニーのロールが、どろどろどろ〜と響いてはいるが、イマイチ迫力に欠ける。 火の吹くようなクールで熱い出だしだと思っていたのだが、あれま。
で、シンミリとした序奏部分で、ピアノが入ってきても、歓びを感じず。
端正と言えば端正で、すっきりしているのだが〜 どこか、カビ臭いというか、じめっとした湿気を感じて、う〜ん。ちょっと、唸ってしまった。
とても見通しは良いし、 抒情的な雰囲気は出ているのだが、音の透明度の高い透き通った音色に欠けており、煌めきが感じられない。アーノンクールさんの振るコンセルトヘボウも、おとなしいというか、色彩的に沈み込んでしまって、地味すぎのような気がする。
きめの細かい木質感は、幾分少ないような気がする。 録音状態はライブ盤だからか、イマイチ、明晰さには欠けている。う〜 もったいないっ。 ブッフビンダーさんのピアノの音質は沈んではいるが、しっかりと丁寧に刻まれていることと、決して熱くならず、中庸だが大らかさが感じられる。
堂々とした彫像のような風格には、う〜ん、ちょっと遠い。ブラームスなので、もう少しダイナミックでも良いんだけどな。と思ってしまった。

なんかマジメ臭いような、しんみり〜と弱音で語るような音の置き方で、粒立ちの良さも感じないし、リズミカルでもなく、うねる高揚感も感じられない。
ホルンの音色も、前に出てこないし。う〜ん。期待していただけに、ちょっと残念。
「れっそ〜 それっそ〜 しれそし そみれど れどしれ しらそし そみれど れどしれ〜」
↑ このピアノのフレーズは、大きく、語り口は堂々としているが。もっと怒濤のような激しさが欲しいような気もする。うねりが少ないのかなぁ。
音が切れ切れに、細切れになってて、波のような押してくる力が増してこず、パワーが継続されないのが悲しいかも。
大曲だということで、聴き手のワタシが、大きい器で、どっぷりと聴きたいという欲望があって、それに期待してしまうのかもしれない。ブッフビンダーさんのピアノは、大柄で歌いっぷりの大きな演奏ではない。
幾分、きまじめなのか、大見得を切らず、抑揚も少ないものの、へ? と意外なほど、弱音の良さを持っている。聞き込むと、大らかでありながらも抒情的であるし、大きく歌う押しの強さはないものの、崩れない冷徹さを持ち合わせているようだ。カッシリした丁寧な構築性の感覚が見えてくるようだ。

2楽章
1楽章以上に、しんみりとした語り口で、木訥とした雰囲気を持っている。
これまた、へっ。と、驚くぐらいのしんみり感で、鬱々としてて、かったるくなってしまった。どうも、ワタシとは相性が悪いらしい。ただ、異色の2楽章という感じだ。
やる気が出ないくらい虚脱してて、抜け殻的な音の響きに聞こえてしまう。ギレリス盤でも、死に絶えてしまったような感じがしたので、同じようなアプローチなのだと思う。
ただ、ギレリス盤とは、ちょっと違ってて、1楽章からおとなしめだったので、虚脱感みたいに感じちゃうのだ。(ギレリス盤は、神の怒りに触れたような、キワキワの恐ろしい楽章だった)
オーボエの音色や木管の美しい音色があるのだが、光のようにまでは感じないし、ピアノの音色も、和音の美しさは感じられるものの、神々しいまでには光輝かず、なーんか、惜しい感じがした。
木管が、もう少し抑揚が欲しいかなあ。音がせっかく上昇しているのに、上に向かってのノビが足らないような気がするのだ。上昇指向的な、生きる意欲的なフレーズには聞こえない。活力不足というか。
妙に沈む音色が耳に残ってしまって。そこが悲しい・・・。

3楽章
前楽章とはうってかわって、快活なフレーズ、「しっみ〜 ふぁ そしっみ〜み れみふぁそ れ〜 れみふぁそ れ〜」と、テンポが上がる。
小回りの良さは感じるが、勢い自体はあまり感じない。どうも、ひっかかる。アクセントが泥臭くなってないためか、小節がまわらないというか。ノリ感が少ない。淡泊だ。この楽章で、ようやく、活気が戻ってきたと思ったものの、すぐに沈殿しちゃって。ストンと素っ気ない。
歌わないのねえ。やっぱり・・・。
快速ではあるし、いきなりテンションはあがるものの、人を巻き込む要素が少ないのかな。
ホルンが鳴った直後の、鋭いテンポが入って、これもみごとな雪崩落ち。
怖さは感じないものの、熱い。ヒンヤリした感覚のなかの怖さだが、すぐに沈殿しちゃうのは、相変わらずで、聴き手としては、もどかしい。速いのだが、粘りが少ないクセに、湿気だけがあるような〜
なんか、中途半端な感覚で〜 それに、弦の美しさが際立っているのだが、ほんの少し垣間見られるだけの、この痒さ。あー じれったい!
楽想自体が、ようやく美しい音色が聴けるのが、最後の方だ。
牧歌的で、叙情性は豊かで綺麗だと思う。

それにしても、テンポが落ちると、沈むのは何故なんだ。ネクラなのかしらん。複合的で、織りの複雑な、要素がたっぷり入った難しい楽曲だとは思うが、なーんか、やっぱり、かったるさが感じられて、秋はブラームスとは言うものの、すっきりしない、ハッキリしないお天気というか、女心のようで。
いやいや、最近のオンナゴコロは、ハッキリしてますよねえ。
直ぐに、三行半を突きつけられると思うんだけどなあ。で、この演奏は、最後の最後は、メチャンコ速いです。さすがにアーノンクールさんの鋭い拍感覚だ〜 どうも、切れちゃったらしい。
ハイ、ピアノの音色も、際立ってくるし〜 ようやく解放されたっ。
じれったさから、晴れやかに、解放感が歓びに変わるのですが、ただ、この盤では、後味が悪く〜
モコモコとしたところが長いっ。 
雲一つ無い快晴という天気にはならず、相変わらず、すっきりしないんですけどねえ。
何故なんでしょ。なんか、納得できないんだよなあ。スカッとした感覚の一歩手前で終わっちゃいました。

1953年 バックハウス ベーム ウィーン・フィル Dec  
1961年 カーゾン セル ロンドン交響楽団 Dec  
1972年 ギレリス ヨッフム ベルリン・フィル ★★★★★
1976年 ルービンシュタイン メータ イスラエル・フィル ★★★
1979年 ポリーニ ベーム ウィーン・フィル
1981年 アシュケナージ ハイティンク コンセルトヘボウ Dec ★★★
1983年 ツィマーマン バーンスタイン ウィーン・フィル  
1986年 ブレンデル アバド ベルリン・フィル Ph ★★★★
1990年 グティエレス プレヴィン ロイヤル・フィル Telarc  
1991年 コヴァセヴィッチ サヴァリッシュ ロンドン・フィル EMI ★★★★★
1993年 オピッツ C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団  
1997年 グリモー ザンデルリング シュターツカペレ・ベルリン  
1997年 ポリーニ アバド ベルリン・フィル  
1999年 ブッフビンダー アーノンクール コンセルトヘボウ ★★★
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