「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 ブラームス ヴァイオリン協奏曲
Brahms: Violin ConcertoBrahms: Violin Concerto


オイストラフ セル クリーヴランド管弦楽団 1969年
David Oistrakh
George Szell Cleveland Orchestra



録音状態は69年のわりには良いが、ちょっと、古めかしい感じは否めない。 ワタシには解りづらい楽曲なのだが、う〜ん。これは解りやすい。やっぱり名盤だと言われるだけあって、謎を解き明かしてくれたみたいに、スッキリ聴ける。
端正だが豊かで、懐の深さを、つくづ感じさせられる演奏だ。

1楽章
ゆったりとしたテンポで、かっしりした端正なセルの伴奏オケで始まる。
カシカシカシ・・・とした弦の響きがあり、歯切れのよいフレーズを作る。で、木管の一本筋の入った通る揺れない音色が印象的だ。
「みぃ〜 そみどしぃ〜 そしみそし〜そみし そっふあ〜」
「ふぁ〜 みふぁそらぁ〜 そらしどぉ〜し ら〜そ ふぁ〜 みふぁそふぁみ〜れ」
「らぁ〜 らぁ〜 らっ〜し〜し しれっ どぉ〜しら み〜れ〜どし らぁ〜そ〜 ふぁっし」
柔らかいフレーズではなく、区切りのよい音を置いていく感じで、タッタ〜タタタっ。
低弦の響きも、太くて、逞しい。この逞しさは、う〜ん。すごい。
そこに、オイストラフさんのヴァイオリン・ソロが、テンポはゆったりしているが、艶やかで、太い音が出てくる。
まあ、ひとことで言っちゃうと、野武士風というか筋金入りというか。
そのくせ、大きく歌うんだよね。大きな、ゆったりとした、うねりを持っている演奏というか、う〜ん、さすがに今まで聴かれている巨匠だっ。古い録音なのだが、さすがに、聴き継がれてきているCDだよなあ〜と感心しちゃう。
まあ、カッシとした、構成力と、引き締まったフレージングで硬いなあ〜と思うのだが、でも、高音域になると、伸びるんですよねえ。美空ひばりさんの歌声のようだ。低音は ビブラートがかかって太く良く響き、高音になると、ころり〜っと裏声の細い声に変わって、まるで別人みたいになるでしょ。それみたい。
「らどみれ どみそふぁ みそどし ら〜」
「らどみれ どみそふぁ みそどし らぁ〜し〜み れふぁどし ら〜しどぉ〜 しふぁしら どしれ〜」
と、音が高音になると、綺麗に、声が裏声にひっくりかえって、すわ〜っと歌われてしまうのだ。

で、この歌うヴァイオリンの裏で、ピチカートで余計な響きを出さないオケも、すごい。
残響がほどよく、さりげなく、つま弾かれているのだ。
重音の掻き上げて弾かれる逞しさ、そして高い音域の時の、良く通る音色っ。うぐ すごいやん。やっぱ。
オケのティンパニーが入った時は、ちょっと録音状態が苦しいけれど、ヴァイオリンの音色に限って言うと、これは、やっぱり1度聴いておかなければ、、、と思うCDだ。

2楽章
「しそれぇ〜そ し〜らそら〜れ しぃ〜それ〜そ どしらそ ら〜み ふぁ〜られそ〜ふぁられそぉ〜」
牧歌的な穏やかな楽章で、そこに、透き通るヴァイオリンの音色が流れてくる。
ムズカシイと思ったり、解りづらい楽曲だな〜と感じてしまうCDが多いのに、なぜ、オイストラフさんの演奏だと、こんなに、妙にすんなりと〜フレーズが胸に納まってくるんだろ〜
フレージングの妙なのだろうか。
細切れに、フレーズを区切ってて、切ない胸の内を、ぽそぽそと語っているような感じだ。
空想しながら、過去を巡り、そして、未来に淡い恋心を抱いて、ウツウツとしつつも、どこかシアワセ感が漂うような演奏だ。どこか、無骨なくせに、少女のような可愛らしさがイメージされ、思いが募ってくる。
いや〜 この2楽章って、こんなに可愛いフレーズだったっけ。
あらら〜これは、淡くて切ない恋心だ。
オイストラフさんの演奏は、歌心だけでは語れない、初恋のような、ちょっと悶々としつつも、穏やかで、どこかシアワセ感が漂う。

3楽章
この楽章は、アタッカ強めに、ガツンっと出てくるかと思っていたのに、あまり決然としたフレージングではなく、意外と優しい。
「そぉ〜 ららし そぉ〜 らららし そっれ そっど そぉ〜」
「ららしふぁ〜 そそらみぃ〜 ふぁふぁど れっら そっど れ〜」
オケもすっきり淡泊系で、ふぁぁぁぁ〜っ ららぁぁぁ〜っと鳴っている。
いつも聴くCDだと、恐ろしいほどに声を震わせて泣いているのが多いのだが、泣き節というよりも、小鳥のさえずりのような、さっぱり感がある。
で、オイストラフさんのヴァイオリンが、しっかり聞こえてきて嬉しい。
ついつい、オケの音量の方が大きく、ヴァイオリンの音のバランスが悪いものだが、強いアクセントでもなく、腰の柔らかさと共に、弾力性のある懐の深さ、説得力あふれる自信に満ちた優雅さが ヴァイオリンから感じられる。
力強い男性ぽさ、直線的に「みっふぁっ そっらっ らっしっ どっ どっれ みっー」と印象的なフレーズを昇っていくが、「そしぃ〜 そしぃ〜  そっそ らそふぁみっ」
決然としているわけでもなく、優美でもなく、木訥としていながら素朴すぎない。

う〜ん。牧歌的すぎず、かといって、冷たい都会センスでもなく、古風な演奏なのだが、どことなく解りやすく、妙に納得させられる良い演奏だ。 う〜ん。どこが、どう違うのか、、、、
何度となく同曲を聴いているのだが、他の演奏家との違いが、あまりワタシの耳とアタマでは解らない。
なんか、聞きやすい、親しみやすい演奏に聞こえる。
ホント、短いセンテンスで、句読点をたっぷり打って、巧く、パッチワーク的にはめ込んであって、その積み重ねが、素人でも、遠めに、すっきりと見えるというか。あまり、クチャクチャ、ヤヤコシクして演奏していないというか。大づかみで、一筆が気みたいに描きながら、ちゃんと、アンサンブルが精緻なところが、気持ちよく感じられるのかも 。

下手に計算して、凝りに凝っても、この楽曲は、糸が絡まり、こんがらがるような気がする。
近くで見れば、何が描いてあるのか解りづらいのに、遠めでみたら、おおっ 何が描いてあるか、わかるやん。って感じの絵みたいだ。(もちろん、素人判断ですけどね。)
まっ なんしか、妙ちくりんな演奏ではないのである。これは、古いCD、演奏と言えども納得〜っ。


クレーメル バーンスタイン ウィーン・フィル 1982年
Gidon Kremer  Leonard Bernstein
 Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。ライブ盤。 バーンスタインさんの振る浪漫派的な濃厚なオケの響きと、鋭利なヴァイオリンソロの組み合わせという、微妙なバランスで演奏されている盤。クレーメルの録音は、カラヤン盤、このバーンスタイン盤、アーノンクール盤の3種類がある。

1楽章
ゆったりとしたテンポで、ロマンティックに、バーンスタインさんの振るオケが鳴り響く。
ちょっぴり古風な感じのする、濃い演奏って言えるかもしれない。まあ、ブラームスって感じ。
ライブ盤なので、録音状態は、完璧とは言えないが、重みが適度にあって、重厚な低弦と、するっ〜っと流麗に響くヴァイオリンの響きが、サンドウィッチ状態になった音である。
木管の透る響きもあり、う〜ん。さすがに綺麗だなあ。と思って聴いたのだが、長いオケのフレーズが終わり、クレーメルさんのソロヴァイオリンが重なってくると、この音質が一変する。

クレーメルさんのヴァイオリンは、オイストラフさんの音色とは全く異なっており、かなり神経質っぽい。
強く、ささくれだった、ちょっと粗いな〜と感じるほどのカシカシした響きと、細くて切れそう〜な、うねる音と両方を持っている。 切れ味が鋭いというか、エッジの立ったキツイ音というか。区切り方の激しいボーイングで、ざっくり傷口が見えるような感じがする。耳には優しい音質とは言い難く、ワタシ的には、とてもとても〜苦手な音質だ。
それに、フレージングが柔らかくないし、ほとんど、あまり、いや全く・・・歌わない。

まっ このバーンスタイン盤は、オケとヴァイオリンは、どうも音質が違いすぎるような気がするんだけどね。
オケは優雅なので、オケの方に耳に気持ち良く行ってしまう。
ところどころ、ソロヴァイオリンにも、豊かな音が入ってくるのだが、総体的にキツイというイメージが出来てしまって〜 どうも感覚的に、受け付けないって感じだ。
確かに高音域に至るところは、ぞっとするほどの美しさ、妖しさのある音が、垣間見られる。
そうだなあ。冷たい妖しさというか。ヒンヤリした空気感というか。
泣き節のフレーズなんぞ、背後から、首筋や背筋を、ふいに細い白い指で、なでられた感じというか。幽霊のように、すーっとするほどの音が、どこからやって来るの。って感じだ。

まっ 1楽章のカデンツァは、いつも聴くヨアヒム版ではなく、マックス・レーガーの「前奏曲とフーガニ短調」を使っているとのことで、これも驚き。えっ 何これっ。別モノじゃん。
耳慣れないことと、どーしてブラームスにゲンダイオンガクを繋げるのか、ちょっと解らない。

2楽章
テンポは遅く、細い木管の音と、ヴァイオリンがマッチングしてて、この楽章は白眉となっている。
「しそれぇ〜そ し〜らそら〜れ しぃ〜それ〜そ どしらそ ら〜み ふぁ〜られそ〜ふぁられそぉ〜」
ストイックなオーボエと、柔らかいクラリネットやフルート等のハーモニーだ。
かなり穏やかな楽章だが、ここに、ヒンヤリした硬めのヴァイオリンが重なってくる。
氷が張った湖面って感じで、すごいヒンヤリしてて、真夏に聴くと涼を得られるかもしれないが〜 
う〜ん。ワタシ的には、安心感や穏やさが欲しいかも。
牧歌的な楽章だと思っているのが、冷気漂う演奏だ。クレーメルさんのヴァイオリンを聴くと、牧歌的なフレーズが、悲嘆にくれているような気分になってしまう。
まあ、これも1つのアプローチであって、細身の女性が、悲しみにくれて、さめざめ〜と、むせび泣いているかのようなフレーズに変化するのも、心情的な感じがして良いかも。
この楽章の叙情性、深い悲しみ、美しさという新しい面を開拓しているとも言える。

3楽章
「そぉ〜 ららし そぉ〜 らららし そっれ そっど そぉ〜」
「ららしふぁ〜 そそらみぃ〜 ふぁふぁど れっら そっど れ〜」
この楽章は、アタッカでガツンっと出てくるが、わりと柔らかく〜 ここはテンポが速めである。
もっと重量感があると思っていたんだけどねえ〜 ウィーン・フィルの柔らかさが出ており、ソロヴァイオリンに焦点があたっている。ヴァイオリンの弦を揺らす音が、へえ〜 良く聞こえるのだ。
「ふぁぁぁぁ〜っ ららぁぁぁ〜っ」と、揺らして泣く様は、2楽章ほどに執拗ではない。
えっ もっともっと泣くと思っていたのに、結構、サッパリしているのだ。
ちょっと拍子抜けしちゃった。(単に、ワタシの予想が外れただけなのだが〜 笑)
この3楽章は、ホント、オケよりヴァイオリンに録音の焦点が当たっているかのように音量が調整されている。きっと、ヴァイオリンの音が、オケに埋もれるのを危惧したんだろうと思う。

で、力強い男性的な、カッシリした構成で鳴らしてくるのではなく、この盤では極めて女性的だ。
ヴァイオリンのフレージングは、直線的で冷たく、鋭利なのだが、オケが鳴る音質が柔らかいためか、全体的には、まろやかに変化しそう〜 になっている。
ちょっと、微妙なバランスだけど。
ところどころ、聴いたことのないようなフレーズが、アタマをもたげてくるし〜
重厚だけだった楽章ではなく、織り目が見えそうで、見えないような〜
なんか、まどろっこしいような感じもするし、面白いとも言えるし〜 なんしか、妙なバランス、調和で成り立って演奏されている。

聴きようによっては、えーっ。と変な感じもするし、際どいと言えば際どいが、面白いと言えば面白いバランスなのだが、相容れないと感じて、結局、水と油じゃん。と結論づけちゃうか。う〜ん。 その点、微妙ですねえ。ワタシ的には、ちょっと危うい感じがして〜 あまり気持ちよく、すっきりとは聴けませんでした。

ムター カラヤン ベルリン・フィル 1982年
Anne-Sophie Mutter
Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

う〜ん。どうだろ

録音状態は、まずまず。若い10代のムターさんの演奏。華麗なる演奏なのだが、それが全体の風合いとして、好ましいのかどうか、微妙〜。
後に、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲がカップリングされたCDが発売されているが、これはブラームスしか収録されていない。

1楽章
「みぃ〜 そみどしぃ〜 そしみそしぃ〜 そみし そっふぁ〜〜」
「ふぁ〜 みふぁそらぁ〜 そらしどぉ〜し らぁ〜そ そ〜」
「らぁ〜 らぁ〜 らっしぃ〜 しぃ〜」
「しっ〜れぇ〜 どぉっ しら みぃ〜れ〜 どっし らぁ〜そぉ〜ふぁっしぃ〜 しぃ〜 そみどししぃ〜」
カラヤンの振るオケは、華麗な弦の音色で、華麗すぎる高い音で、きぃーんっという感じで鳴ってくる。
まあ、キンキン輝いているわけではないのだが、腰の高い、引きの強い硬めの音だ。
低弦のごりごり感はないのだが、ムターさんのヴァイオリンの入ってくるフレーズ前の、ガツンっとした音が格好良いというか、ふくよかな音ではないのだが、力強く、そして、高音域のひらひらした音のウェーブ感が、ひやーっとした冷たい音に裏返ってくところが、細くなっている。

低い音は太く、で、高く伸びていくところは途中で、ひゅーっと細くなって声が裏返る。これが特徴である。
この、ある一瞬の変わるところが、すごいな〜って思う。ある意味。ヴァイオリンの特徴でもあるのだが、まあ、昭和を代表する美空ひばりさんの声のようだ。
82年の録音なので、ムターさんが、20歳にもなっていない頃の録音である。高い音域で奏でる線の細さは、やっぱり細い筋で、ぴーんっと強い。
低い音の引きは強いものの、まだまだ歯切れは甘めかもしれない。ざっざっざっ・・・という音が深くない。

でも、甘く歌うところのフレージングは、結構、甘美で〜 アハハ〜 甘く太めの耽溺傾向が感じられる。
艶があって、ふくよかなのかと言われたら、う〜ん。まだ。そんな感は受けないし、なにせ、楽曲がブラームス。
う〜ん。 ブラームスのヴァイオリン協奏曲って、楽曲自体が、あまり甘くないし、旋律だってゴツイ、無骨だ。
華麗さなんて〜無いに等しいが、そこを揺れて歌うところが垣間見られる。・・・ う〜ん。さすがというか・・・
「しっ みぃ〜〜 どっどぉ〜っ どっみぃ〜そみど しぃ〜〜」
ソロの部分の渋い跳躍の後、伸ばす音が、カデンツァは、なんか、最初は、たどたどしさを感じさせるものの、おおっ〜っと高い音のヒロヒロと舞うところは、はぁ〜 さすがです。

2楽章
「しそれ〜そ し〜らそらぁ〜れ しそれ〜そ どしらそ らぁ〜み ふぁ〜 られそ〜 ふぁられそ〜」
このフレーズは、結構、シンプルに木管たちが淡々と歌っていく。
透き通るような線の細い音色だが、甘めには歌わない。
ちょっと硬めのひんやりしたオーボエの音質が、まず最初の基調として存在し、そこに、絹糸が絡むようにヴァイオリンが入ってくる。
クラリネットの少し甘めの音、フルートのふわっとした空気感、ホルンのまろやかな音等が、個々に絡んでいく。
ソロ同士の楽しい、そして、緊張感あふれる演奏が、この楽曲の白眉でもあり、醍醐味かもしれない。

しかし、 若い頃は、どうも、ブラームスは苦手で、特にこのヴァイオリン協奏曲は、この2楽章が超にがて。
はじめて聴いたらなんだか、わからなくって〜 退屈にもなりかねない楽章でもある。
今でも、すーっとやり過ごしてしまいがち。いい加減に聴いてたら、ついつい、眠くて〜やりすごしてしまいそうになる。(笑) ムター盤で聴いても、ふっと〜 よそ見をしてしまった・・・。(あらら)
1楽章が、綺麗すぎたためか、2楽章の牧歌的な側面は、う〜ん。イマイチよく感じられない。

3楽章
録音状態が、イマイチよろしくないのか、オケの音が腰高なのが、さらに一段高くなった感じで〜
オケの音全体が、ひぇ〜っと裏返った感じになっている。ブラームスの重たい重厚な音が、どうなってしまったんだろ〜?
堅牢なピラミッドが、転がりそうになっているようなバランスの悪さだ。
ブラームスの珍しい明るい雰囲気が、とんでもなく、ひらひら〜 軽妙というか、薄っぺらな感じというか。煌びやかな繁華街のような雰囲気というか、う〜ん。なんだか変な感じ。

「そぉ〜 ららし そぉ〜 ららら し そっれ そっ どっ そぉ〜」
「ららし ふぁ〜 そそら みぃ〜 ふぁふぁど れぇらっ そっど れ〜」
いつも、低弦の響きが、らららら〜っと喉を震わせて歌うバックのオケの音が、あまり感じられない。
奥行きが、あまり感じられないし、特に、ティンパニーの音は奥まっており、オケの弦が、イマイチ存在感が薄い。
平面的という感じで、オケの重厚さが感じられない。

また、ブラームス独特の厚みのある響き、ごごご〜っとオケが鳴ってこないのは、ちょっと寂しい感じがする。
まあ、その点は録音のいただけない点だが、ムターさんの演奏は、厚みのある音だが、まだまだ、音を切り裂くような感じではないし、跳躍感のある演奏でも、アクセント強めでもなく、意外とタメも少なめで、ちょっと淡泊に感じられる。
いや〜 これは、後年の甘美で、太めの豪華な演奏を知っているからかもしれないけれど・・・。

華麗なる演奏なのだが、それが全体の風合いとして、好ましいのかどうか、微妙〜だなあ。と思う。
ワタシ自身が、この楽曲の良さが、イマイチ把握しれていないというか。好きじゃーないというか、いや。好きになりかけているんだが〜 まだ、その段階で止まっているからなのか・・・ 
なんだか、やっぱり。微妙なんです。う〜ん。やっぱり、わかりません・・・ (すみません)


竹澤恭子 C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団
1995年

Kyoko Takezawa Colin Davis
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
(Bavarian Radio Symphony Orchestra)

録音状態は良い。穏やかで、ほんわかした演奏だが、楽曲自体が渋いと思いこんでいるためか、ワタシには、どうもムズカシイ。
←ブラームス 交響曲全集、ピアノ協奏曲1番、2番(オピッツ)、ヴァイオリン協奏曲(竹澤恭子)5枚組BOX

1楽章
渋い弦の響きと、オーボエかと思うほど高い木管の音色で、主題が流れてくる。
「しぃ〜 そみどしぃ〜 そしみそし〜そみし そふぁあ〜」
「ふぁ〜 みふぁそらぁ〜 そらしどぉ〜し ら〜そ そぉ〜みふぁそふぁみれ」
「らぁ〜 らぁ〜 らしっし〜 しれ どぉ〜しら み〜れ〜どし らぁ〜そ〜 ふぁっし」
「しぃ〜 (れっれ〜)そみどし〜 みっそ〜 みっそ〜 みそ〜みどしっ・・・」
ピアノ協奏曲よりは、まだマシ。渋すぎないかな〜とは思うが、メンデルスゾーンに比べると、ホント、苦みが多い。
木管が入ってくる冒頭のフレーズは、穏やかで綺麗なのだが、ヴァイオリンのソロは、なかなか登場してくれないのだ。なーんか恨めしい。
弦が主体なんだよなあ〜 ビオラとか、チェロの穏やかな渋いフレーズがメインになっていて、どこか呻くような弦のフレーズで掻き上げてくる。「しっし〜し みれっ み〜」
この掻き上げてくるフレーズが、これまた、なんとも渋くて、ジミーで、ムズカシイ。
見え隠れして、なかなかに言いたいことを言わないような、まどろっこしさ。ホント、ピアノ協奏曲1番や2番よりは、まだ取っつきやすいし、解りやすいのだが〜
弦の厚みのうえに、通る木管が乗っかって、そこにソロヴァイオリンが絡む。

で、ヴァイオリンのソロの主題は、そんな渋くて硬い弦の低音の厚い層から、殻を破って出てくる。
低弦の響きに負けないぞーっ!
栗の渋皮みたいに、甘いフレーズの外には、苦みがたっぷりの皮がついている。
主題の後、夢見がちな、優美なフレーズがヴァイオリンで奏でられる。
「みぇ〜 そみどしぃ〜 そしみ そ〜し〜 そみし そ ふぁ〜」

竹澤さんのヴァイオリンは、穏やかだし、C・デイヴィスさんの振るバイエルン放送響の音質も、まろやかで、明るさのなかの渋さ、スピードはあまりないが、中庸的で、落ち着いているというか。
あー やっぱり苦手な楽曲だ。優美かと思えば、暗く、勝手に沈む。ブラームスの楽曲は、渋さと甘さ、はあ〜 耐えないと甘さは出てこないのか。渋みを噛みしめないと、甘さが出てこないような感じだ。
低弦のフレーズの方が、主体となっていて渋い和音を響かせるのだが、それじゃー ソロ・ヴァイオリン要らないやん。と言いたくなってしまう。(あ〜 まだブラームスの良さがワカランのですかねえ)

竹澤さんの演奏は、安心して聴いていられるというか、落ち着いている。ことさらに熱いワケでもないし、軋み方も、まずまず、美音だと思う・・・。
それにしても、竹澤さんのソロは、渋いけれど、穏やかさを持って、決められた枠のなかで、夢を見ているような少女のような、夢幻的なヴァイオリンのようだ。
この息づかい、間合いの良さは、好きである。まっ 遅いって言えば遅いが、細めの音でもなく、結構、ブラームスには、音質があっているような感じがする。
硬いけれど、太めで、カッチリしているかと思えば、優美だし、 う〜ん。意外と役者なのかも。
カデンツァ部分は、ブラームスは書いていないので、自由らしいが〜 ヨアヒム版だと思う。

2楽章
この楽章は、オーボエばっかりが登場する。えっ 主題は、オーボエなのだ。ヴァイオリンで弾かせたら良いのに、どーしてオーボエなんじゃ。
「しそれぇ〜そ し〜らそら〜れ しぃ〜それ〜そ どしらそ ら〜み ふぁ〜られそ〜ふぁられそぉ〜」
おいおい、オーボエ協奏曲じゃないのに、なぜオーボエなんじゃ。ワタシは、ブラームスがワカランです。
その主題が終わったら、ようやく高音域の透き通るようなヴァイオリンが被さってくる。
この楽章は、ヴァイオリンにとっては、出だしこそ、う〜ん まだかっ。といらつくものの、やっぱりアンタが主役っというぐらい、美味しいフレーズが待っている。待たせただけあって、登場すれば、歌う。歌うっ。
聴かせ処となっており、う〜ん、やっぱり白眉楽章なのである。

3楽章
「そぉ〜 ららし そぉ〜 らららし そっれ そっど そぉ〜」
「ららしふぁ〜 そそらみぃ〜 ふぁふぁど れっら そっど れ〜」
「らぁ〜 (そそらっ) らぁ〜(そそらっ) らっみ ふぁっど らぁ〜」
「そそら ふぁ〜 そそら み〜 れっらっそっどれ〜」
ふぁぁぁぁ〜っ と声を震わせて泣いているのは、何の楽器だろっ。鳥が二枚舌で鳴いているような、たららららら〜というフレーズが、とても印象的な楽章だ。
で、ヴァイオリンの出番はあるのだが、なんとも、皮肉なモノで、この鳥の鳴き声が気になって、、、
その直後に、技巧的に跳躍して、ソロ部分を奏でるのだが、美味しいところは、やっぱり違う。
「ふぁっそらっし どっどれみふぁ〜」と上昇するが、同じフレーズをオケで奏でられてしまうし、う〜ん。
「そし〜 そし〜 れっれっそ そし〜そし〜」というオケの音の方が強い。
「ふぁ〜 ふぁ〜」と声を震わせて泣いているフレーズが、ブラームスのヴァイオリンコンチェルト。って感じの印象で、、さて、ヴァイオリンがなあ。あまり目立たないのである。
なんかソロ・ヴァイオリンのフレーズは、オケのフレーズとは、そぐわないというか、とってつけたみたいに感じてしまうのは、ワタシだけだろうか。
何度か繰り返される主題は、確かに聴き応えはあるが、「みっふぁっそっらしっどっどれ〜」と階段を登るところだけが印象に残るっていうのも、う〜ん。イマイチ。

ヴァイオリンソロと、オケのゴンっという低音の音が、比較対比されてリズムは生まれているが〜
ワタシとしては、竹澤さんのヴァイオリンを聴きたいのに、オケのフレーズに気を取られて、、、
楽曲に文句を言っても仕方ないけど。
ヴァイオリニストが主役としてホントに存在できるのか、どうも煮え切らない。オケに埋没して、曖昧な存在になりかねないようで〜  穏やかで、ほんわかしているものの。う〜ん。やっぱり、このコンチェルトは、ワタシ的には、噛みしめるにはちょっと〜 ヒイテシマウかも。

ギドン・クレーメル アーノンクール コンセルトヘボウ 1996年
Gidon Kremer
Nikolaus Harnoncourt
Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

さっぱりワカラン

録音状態は、まずまず。ライブ盤 3回目の録音で、その都度カデンツァが異なる意欲的で挑戦的な演奏だと思う。けど・・・どうも相性が悪いようで〜スミマセン。
カップリング:ブラームス ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 チェロ:クレメンス・ハーゲン(97年)

1楽章
クレーメルさんのブラームスは、これで3回目の録音である。1回目はカラヤン、2回目はバーンスタイン、3回目が、このアーノンクールだ。
で、この盤で話題になったのが、使用されているカデンツァである。
カラヤンの時は普通のクライスラー版、バーンスタンの時はマックス・レーガー作曲の「前奏曲とフーガ」第6の前奏曲を使用した。で、今回はエネスコのカデンツァを使用しているとのこと。
まあ、素人には、よくわかんない人なのですが、天才の挑戦なんだと思います。

クレーメルさんとの相性は、ワタシ的にはイマイチ良くない。それがわかっているのに、つらされて〜買っちゃった。
ブラームスのヴァイコンで3枚目をゲットする?(あーっ 反省)
さて、エネスコのカデンツァ・・・ という前に、演奏そのものが、穏やかに、丸くなっているんじゃー? えっ? あれだけ、ツンツン 尖っていたのに、穏やかに、いたって普通に演奏されていることに驚きましたね。
テンポも遅めで、は? どうしたの? 
幾分かすれ声で、音の幅の狭い、きぃ〜んとした神経質そうな声で、裏返ったり飛んだり、お忙しい方なのだ。
で、どちらかというと、まろやかで、太めで安定しているヴァイオリンの声が好きなワタシの好みでは、まーったく違う。
ロマンティックな楽曲とは思うんですけど〜 このアプローチでは、どこか、素っ気ない感じがする。
クレーメルさんのファンの方には申し訳ないのだが、強奏場面になると、まるで、ぴしゃっと、むち打たれるかのようにも聞こえるのだ。
で、エネスコのカデンツァを拝聴したのだが、う〜ん。わかんないですね。
主題を、プツプツと細切れにして、ちょっと現代風に、ちょっぴり幻想的に、室内楽っぽく、アレンジした感じがするのだけど。う〜ん クライスラーのカデンツァとの違いと言われても困るしなあ。 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の時も、シュニトケで超驚いたけれど、今回は、あまり印象に残らず、何度聴いても耳を通過しちゃっいました。

2楽章
ヴァイオリンの前に、オーボエのソロが入ってくるが、細めのすーっと透る声で、とても美しい。
また、クレーメルさんのヴァイオリンの音質と、よく似ていて双子のようだ。
「しそれぇ〜そ し〜らそら〜れ しぃ〜それ〜そ どしらそ ら〜み ふぁ〜られそ〜ふぁられそぉ〜」
ひんやりとした声なのだが、どことなく、柔らかく穏やかなフレーズとして聴ける。つーんとした声のように思っていたのだが、意外と、バーンスタイン盤とは、アプローチが違っているのかもしれない。
(これは、また、聞き直さないといけないかなぁ〜) フレーズの曲線、間合いが、ゆったりとして優美さが感じられる。

3楽章
「そぉ〜 ららし そぉ〜 ららら し そっれ そっ どっ そぉ〜」
「ららし ふぁ〜 そそら みぃ〜 ふぁふぁど れぇらっ そっど れ〜」
あーっ このフレーズは、やっぱりクレーメルさんのダイナミックな、かすれ声が満載で、あ〜やっぱり。
ざっくりとした弓さばきというか、大柄な音というか、大なたで料理されているというか、振り下ろされているかのような音だ。
オケは、ここに至るまで、さほど気にならなかったのだが、ティンパニーの ごごごごぉ〜という連打が強調されている。
「みっ ふぁっそら しっどれっれみ そっふぁみれ どっしらそ ふぁみれ・・・」と昇っていくところも、切れ切れになった運動のように感じる。それに、テンポが、思っていた感じより遅めに思えて〜 イキイキした感じがしないのだ。

オケ全体は、ちょっと、かさっとしてて、いつものコンセルトヘボウとは、ちょっと思えない。
1楽章のヴァイオリンが登場するまでの演奏は、美しさが感じられるが、中音域の豊かな音は、ふっとした間に垣間見られるぐらいで、総体的には、どうかなあ〜 瑞々しさに乏しいかもしれない。
フルートの音色とか、美しいんですが。
で、録音状態なんだと思うが、低音が、幾分、こもった感じがしている。

マキシム・ヴェンゲーロフ バレンボイム シカゴ交響楽団 1997年
Maxim Vengerov  Daniel Barenboim
Chicago Symphony Orchestra



録音状態は良い。すごく熱いのだが、冷たいヒンヤリした演奏で、段々とスケールアップするにつれ、切れ味抜群で、アタマが締め付けられる感じがする。ライブ盤 (拍手無し)
カップリング:ブラームス ヴァイオリン協奏曲、ブラームス ヴァイオリン・ソナタ第3番(1998年)

1楽章
「みぃ〜 そみどしぃ〜 そしみそしぃ〜そみし そっふあぁ〜」
「ふぁ〜 みふぁそらぁ〜 そらし どぉ〜し らぁ〜そ ふぁ〜 みふぁそ み〜れ」
「らぁ〜 らぁ〜 らっ〜しぃ〜し どぉ〜ど れぇ〜どしら・・・」
低弦のものすごく厚いオケで、力強い。
「れれぇ れれぇ〜」と、喉をつぶさんばかりに弦の引きの強い合奏が奏でられる。
艶っぽさの少ない音質だが、録音状態が良いので、結構弱音部分が、通っていく。
木管の涼やかな響きが入ってくるが、どこか全体的にクールな響きとなっている。オケが、結構、大袈裟風に時代がかった雰囲気を持っているが、総体的には弦の歯切れの良さが、意志の強さとなって現れているように感じる。
で、ヴェンゲーロフさんのヴァイオリンも、筋金入りの強さである。
ふくよかさや、たっぷりの音色ではなく、どこか、しなやかさに欠けているようだが、これは、これで凄い演奏だ。すーっと、高音の音色が伸びてくるかと思ったら、一瞬、ぴたっと高いところで、一息入れて止まっている。この止まる具合が、なーんとも言えない風情がある。
ヴェンゲーロフさんの音は、音が揺らがないというか、引き締まった音というか、二重音のように音符自体は揺れていても、すっとキレが良い。
喉でビブラートをかけて歌うのとは、違う歌い方で、音が一定の高さで止まっている感じがする。
端麗辛口系って感じなんだなあ。音の出し方が、キレがあって強靱でタイトなのだ。かと言って、完全メタリック調にならないところが、凄いっていうか、高音域になって「ぴぃろぴぃろ〜っと」と喉を振るわせて歌うところが、ホント凄すぎ。

太い切れ味があり、熱いのだが、クールな響きが特徴だろうか。
中音域のアルトの声の部分なんぞ、もっと太めに振るわせて歌って欲しい気もするが、つれないね〜と思わせる、ちょっぴり冷たさが、このクールさがたまらないかも。甘すぎない、耽溺しないで、声を引きつらせて熱く語る。
カデンツァは、自作らしい。ぴろぴろ〜っと振るわせて綺麗なものの、今までのフレーズを垣間見せながらも、聴きなれないフレーズのため、ちょっと隙間が空いてしまった。聴きなれたヨアヒム版で良かったのに〜 
まっ もちろんテクは超テクですけど・・・。
結構、長めの独奏カデンツァ部で、本人も、結構酔ってしまっているかもしれない。

2楽章
「しそれぇ〜そ し〜らそらぁ〜れ しぃ〜それ〜そ どぉしらそ らぁ〜み ふぁ〜られそ〜」
しみじみと牧歌的で、可愛い楽章だ。
透明度の高いフレーズが、ぴーんと緊張感あふれる響きとして奏でられる。
木管の音色が、すごく通っているのがよく解るのだが、どことなーく、バレンボイムさんのオケ自体が、冷たく歌わないんだなあ。えー モッタイナイ。
オケもヴァイオリンも、暖色系の音質ではない。冷えた凜とした感触があり、青空の下で、霧氷でも見ているような、キラっとした煌めきのある空気感である。

ワタシ的には、ヴェンゲーロフさんの汗の漂う、ちょっぴり男臭い音色が好きなのだが、色気が漂うほどの温度に達しておらず、ぎゅっと閉じこめられたタイトな、ストイックな感じを与える。
凄い弱音部分の音色も、とっても安定していて、演奏自体は、すごいな〜って思う。
ただ、ブラームスの垣間見せる、淡い恋心のような、ふわっとした少女風の可愛らしさが感じられないのが、う〜ん。残念か。 しかし、ヴァイオリンの音の綺麗なこと、このうえない。
だが、音が音楽になりきれず、広がり感が少なく、綺麗なのだが〜 あー 綺麗で終わっちゃうよぉ。って感じになってしまった。 純粋に、ヴァイオリンの演奏を聴くだけだと、耳にご馳走って感じがする。

3楽章
この楽章は、もの凄いパワーがある。キレが抜群だし、引きが強い。
「そぉ〜 ららし そぉ〜 ららら し そっれ そっ どっ そぉ〜」
「ららし ふぁ〜 そそら みぃ〜 ふぁふぁど れぇらっ そっど れ〜」
甘さのカケラも出せないほどに、強いし、ごごご〜っとオケも鳴っている。巌を砕くような荒波のようで、凄いパワーが炸裂しているが、それが嫌みになっていない。
オケも「タララ ラララ らぁっ」と、引きずってこないで、切れ味バリバリ音を立てて音が炸裂している。
もっとしなやかでも良いのに〜と思いつつ、音を切り裂くような感じで、そのくせ、跳躍してくるので、リズミカルだ。アクセントは強め。

重厚さと言うより、丸い音がないので、音が重ならず、ほとんど、切り裂き状態になっている。
でも、テンポは、さほど速くない。
「ふぁぁぁぁ〜っ ららぁぁぁ〜っ」と、ビブラートをかけて鳴っている感じが、オケもヴァイオリンもしないので、ひやー冷たくて凍りそう。おそろしく硬さと冷たさが、表面に出てくる感じ。
氷の粒が飛んでくるような感じがするが、何故か、嫌いじゃないな〜。
キッパリしてて、好感が持てるが、ちょっと、近寄りがたいかもしれない。
ヴァイオリンの音色は、はーっ 綺麗だ。
「ふぁっ そっらっし どれみふぁ〜」っと擦れながらも、しゅるしゅる〜っと昇っていく。
「みっふぁっ そっらっ らっしっ どっ どっれ みっー」
「そしぃ〜 そしぃ〜  ・・・ そっそ らそふぁみっ」と、意志の強さ、強靱さ、そのくせ高みを目指す力強さを感じる。
中間部は、はぁ〜 一息着けそうな、柔らかさが出てくる。淡いフレーズがあるが、切れ味が鋭く、ふっと緩む感じがするものの、なかなか息を吐き出して、ほっとできる状態ではない。(笑)
またまた、ムチで打たれそうな勢いのあるキレが出てきて、ひーっ と言う音が奏でられると、もう、アタマがガシガシに冷たく凍ってしまいそうである。
テンションがあがればあがるほど、引き締まってきて、オケも、一体になって、熱いのだが、冷たく、悲痛な感じで演奏されており、冷たい氷河のような高い高山に登っている風情というか、氷山が浮かぶ海を航海しているような〜 そんな感じだ。
う〜っ この演奏を聴いていると、段々と、アタマが締まってくる感じ。
締め付け感のある演奏で、どっか、ほんわかした、オイストラフ盤のような、およそ、シアワセ感が漂ってくるような演奏ではない。これがライブ盤とは、う〜ん。凄い。

ヒラリー・ハーン マリナー  
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ 2001年
Hilary Hahn
Neville Marriner Academy of St. Martin-in-the-Fields

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。とても瑞々しい、マイナスイオンが降り注ぐかのようなブラームスで、目から鱗状態っ。まるで、別の楽曲を聴いているかのよう。すごいっ!
カップリング:
ブラームス  ヴァイオリン協奏曲(2001年)
ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲(2001年) 
1楽章
ブラームスのヴァイオリン協奏曲っていうと、聴き慣れた楽曲だが、厚みのある重厚な楽曲だというイメージが強い。
が、このハーン盤は、とってもスマートで現代的というか、すっきりしてて、ちょっと冷たい感じのする音質だ。
でもね〜 オケの方もすっきりしているが、力強く、歯切れよく、縦にカッシリと打ち込んでいくような堅牢な感じを与えているし、さほど大きな編成とも思えないのだが、
「しぃ〜しぃ し どぉ〜 どぉ〜 ど れぇ〜どぉ〜しら」
「みぃ〜れ〜 どっし らぁ〜そ ふぁっし しぃ〜しそみれぇ〜」
というフレーズなど、キレを気にしているのか、悲痛なほどにカシカシとボーイングしているように聞こえる。
まあ、張り裂けんばかりという感じがするので、ちょっと余裕なく弾いているみたいでもあるだけど。

しかし、長い序奏の部分が終わると、キレの良いスマートなヴァイオリンが、出てくる。
ヴァイオリンとオケの短いフレーズとの掛け合いのとこなんぞ、キレキレっ。
ごつい音で、オケをノックアウトする声ではないのだが、うえにのびて、天を突くかのような、はじけるような音が出ている。
また、軽やかに細身の声で、タメをもって歌い、ころころと喉を震わせて歌うので、チャーミングで、とても巧い。
聴いてて、とっても嬉しくなってくる。
軽やかにステップを踏む、美少女のように、なんともチャーミングで、あの分厚いブラームスとは、とっても思えないほど。
うわぁ〜 心を鷲づかみにされたみたいに、目から鱗っ・・・ 耳からアカが落ちたみたいで。(ちょっと汚くてごめんなさい)
引き締まった音でありながら、フレージングの優美さには、まいりました。

2楽章
「しぃ〜そ れそ しぃ〜らそ らぁ〜れ しそれそ どしらそ らぁ〜」というオーボエの旋律から始まる。
正直言って、オケのフレージングは素っ気なく、歌が巧くなく、あまり情感が籠もっていない感じがするのだが、ヴァイオリンは、ハハハ〜 これは巧い。すっきりした音だが、艶のある華やかな音が、ところどころ感じられる。
高音域のノビ感もすごいが、低い音になったときの、一瞬、ぐっと力の入り方が絶妙で、アクセントが効いている。
冷たい音っぽく聞こえるが、音の変わりめに、するっと音が流れるようなところがあり、そこが、妙に色香を感じるところだ。
なにせ、高音域にさしかかったところの音の艶と、スリリングさ、張り詰めた感覚は、たまらないですね。
ヴァイオリンによるコロラトゥーラのアリアと評される部分だそうだが〜 ここは、唸るしかないというか、とても、聴き惚れてしまう以外にないかしらん。まるで、オペラの歌姫のようだ。こりゃ〜すごいです。
この楽章だけで、メチャクチャ、拍手っ! 何度でも聴けちゃいます。ほれぼれ〜

3楽章
ちょっと前にのめりがちに、テンポよく進んでいく。
最初のヴァイオリンのフレーズを、のばしぎみに、タメがちに演奏する方もおられるように思うのだが、ハーンさんの演奏では、小気味良く、弓の返しが速いのかなあ。とてもリズミカルだ。
で、ヴァイオリンが喉を震わせたように歌うところで、オケが分厚くないので、すっきり聞こえてくる。
ホント、この楽章を聴くと、小編成ぎみのオケで、良かった〜と思った。
とても、弾むかのように、軽やかにリズムを刻んで行くのと、波の揺れが速い。
トリルの回転が速いのと、付点の刻みがとても、キレがあるので、とっても歯切れが良く、細かく音が綴られていき、うわ〜っと息をのんでしまうほどに速くて、きめが細かくて、うっ うつくしすぎる〜ホント美しい。これだけ速くて、瑞々しくて、 テンポよく、きめの細かいフレージングは、見たことがないほど〜っ。
リリカルだが、瑞々しく、カデンツァの部分も、驚異的というか〜
厚めの濃厚なブラームスではないが、いやぁ〜 息をのむ暇もないほどに、明るく、のびのびとしてて、ピュアで、開放的で喜びに満ちあふれている演奏は嬉しい。オケとは格が違いすぎるような気がするが、ヴァイオリンの魅力にのめり込んしまうので、気にならない。

これほど瑞々しく、森林浴というか、マイナスイオンを浴びているような、清らかな泉で、水浴びをしているような、軽やかなシーンを思い浮かべてしまうようなブラームスのヴァイコンってあったかしらん。
ひゃ〜っ 妖精のように、水の精をみているかのような、演奏で、絶句しちゃいました。
ホント、もじゃもじゃ髭の、おじちゃんブラームスとは思えないほど、違った面を見せてもらったようで〜
とっても嬉しい1枚です。文句なしに、拍手喝采っ! とれびあーんっ! 一気に聴かせていただき、大満足っ!


樫本大進 チョン・ミョンフン シュターツカペレ・ドレスデン 2006年
Daishin Kashimoto  Myung-Whun Chung
Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

はぁ?   う〜ん。どうだろ 


録音状態は良い。綺麗な音で奏でられているのだが、テンポが遅めで、ここまで遅いと、別の曲のようで〜 違和感が残る。
別世界すぎてついていけない。
2006年11月ライブ盤
1楽章
「みぃ〜そみどしぃ〜そしみそしぃ〜そみし そっふぁ〜〜」
「ふぁ〜みふぁそらぁ〜そらしどぉ〜し らぁ〜そ そ〜ふぁそらふぁ〜み」
「らぁ〜らぁ〜 らっしぃ〜 しぃ〜」
「しっ〜れぇ〜どぉ〜しら みぃ〜れ〜 どっし らぁ〜そぉ〜ふぁっしぃ〜しぃ〜 そみどししぃ〜」
ミュンフンの振るオケは、ゆったり、超ゆったりしており、綺麗な音色ではあるのだが、勢いがない。
で、Daishinさんのヴァイオリンも、これまた、オケ以上にゆったりと奏でられていく。

この冒頭のところで、タイムスリップしたかのような、ゆったりさ。時代がかっており、甘美すぎて〜 倒錯した、退廃的な甘美さというか〜 超あやしげである。まるで、ヴィスコンティの映画を見ているかのような錯覚を感じる。
1楽章だけで24分27秒という長さなのだ。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、第1楽章が長大で、バランスの悪さを指摘されているところだが〜
ミュンフン盤を聴いていると、執拗というか、こだわりが強いというか、う〜ん。 他人の陶酔状態を、第三者的に、ひぇ〜っと引きながら、見ている感覚がしてきて、ちょっと冷や汗ものである。
つきあってられないなあ〜というのが、率直な感想である。
語尾のしゅるっと抜けていくところが、キモイという感じもするし、テンポを、するっと抜け落ちるかのように落とす場面とか、いや〜 すごいこだわりがあるんだろうな。とは思うが、ちょっと尋常じゃない。
別世界の感覚って感じがしちゃって、ついていけない。ひやぁ〜 これが先進的なんだろうか。いや〜 スピードは懐古調だしなあ。よくわかんない。

2楽章
「しそれ〜そ し〜らそらぁ〜れ しそれ〜そ どしらそ らぁ〜み ふぁ〜 られそ〜 ふぁられそ〜」
オーボエの美しい旋律が有名な楽章である。
この吹き方が、スピード感がなく、緊張が切れそうになっている。
甘美だが、力のない美しさで、消え入りそうになっている儚い美しさなのだ。
そこに、輪を掛けたように、消え入りそうな儚げなヴァイオリンが入ってくる。

東洋人なら、ある程度認識して、わかったうえで、受け入れられる美しさかな〜とは思うのだが、あぁ〜 ワタシでも、ダメだ。これ、やりすぎなんじゃーないかしらん。 豪華な装飾過多の演奏ともちがうし、シンプル・イズ・ベストという、そぎ落としたような演奏とも違うし、なんていうんでしょうねえ。
時間・空間を飛び越えた、とろみ感とも言えなくはないいけど・・・ 単純に、通常の時間×1.3倍、1.5倍程度の倍速にした緩さとも、いわれかねないし。あ〜 わかんない。

3楽章
「そぉ〜 ららし そぉ〜 ららら し そっれ そっ どっ そぉ〜」
「ららし ふぁ〜 そそら みぃ〜 ふぁふぁど れぇらっ そっど れ〜」
この楽章は、他盤でも聴く程度のスピードがあって、はあ。普通に戻りましたっ。て感じだ。やれやれ〜
綺麗な弦の高い響き、ふわっとしているのではなく、鋭利な切れがある。
適度な低音のごろごろ〜という響きと、ヴァイオリンの高みに上っていくパワーも感じられる。

喉を震わせて泣くフレーズも、まあ、そこそこの強さではあるが、他盤で聴くような低音の強さは少なめ。
ヴァイオリンの音色は、線の細さがあるが、なかなかに前に出てくる強さが感じられて、緊張感もあり。他盤では聴けないフレーズも見え隠れして、なかなかに新鮮である。
ただ、柔軟性に富んでいるかといわれた、う〜ん。硬いかも。
柔らかくしたい〜が、硬質感の残る美しさ。でも、ノビ感は少ないので、ちょっと聴いててつらくなってくる。
いや〜最後まで、テンポをいじらないで、結構、そのままいっちゃいましたねえ。
たいてい、スピードアップして、男性的に終わるんですけど、う〜ん。

総体的には、ある意味、性別のワカラナイ弾き方というか、ある意味、中性的でキモイです。
男性的というか。女性的というか。普通は、どっちかでしょう。そういう意味では、既成概念を打ち破る演奏ではある。
でも、まあ1楽章だけで、この演奏は一期一会的には聴けても、はあ〜 何度も聴けません。
15分程度聴けば、もう我慢できず〜 何度も、CDを止めちゃいそうになった。 確かに、東洋人2人なので、なんとなく表現したい気持ちはわかるんですけれど、(聴いているワタシも日本人なんで)
相乗効果ありすぎ、ダブルパンチって感じで、やりすぎでしょう〜的な、美意識過剰な足の無い幽霊的なブラームスで、これは、ちょっと・・・ ひいちゃったというのが正直なところ。 ちょっと受け入れづらいのは覚悟のうえ〜かもしれない演奏です。かなり個性的な演奏で、恣意的だし、試行的かもしれません。

凄い別世界的なCDだとは思います。演奏家に対して応援もしてるんですけどね〜
でも、よくわかんないです。共感を感じられるかといわれたら、う〜ん。考えこんじゃいますね。 通常聴いているブラームスのヴァイオリン協奏曲とは違うんで〜 でも、耳は、あまり喜んでいないんです。 何度も、何度も聞いているうちに、好きになれるかもしれないんですが、ちょっと、今は。拒絶反応中です。
音楽は、好きか嫌いか的な、感覚的世界のところでもあるので〜。(今は、すみませんって感じ・・・です)


1955年 ハイフェッツ ライナー シカゴ交響楽団  
1959年 コーガン コンドラシン フィルハーモニア管弦楽団 EMI  
1969年 オイストラフ セル クリーヴランド管弦楽団 EMI ★★★★
1971年 グリュミオー C・デイヴィス ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 Ph  
1976年 クレーメル カラヤン ベルリン・フィル EMI  
1982年 クレーメル バーンスタイン ウィーン・フィル ★★★
1981年 ムター カラヤン ベルリン・フィル ★★★
1992年 ムローヴァ アバド ベルリン・フィル Ph
1995年 竹澤恭子 C・デイヴィス バイエルン放送響 ★★★
1995年 F・P・ツィンマーマン サヴァリッシュ ベルリン・フィル EMI
1996年 クレーメル アーノンクール コンセルトヘボウ ★★★
1997年 ヴェンゲーロフ バレンボイム シカゴ交響楽団 Tle ★★★★
2000年 チョン・キョンファ ラトル ベルリン・フィル EMI  
2001年 ハーン マリナー アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ SC ★★★★★
2006年 樫本大進 ミュンフン シュターツカペレ・ドレスデン SC ★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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