「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドヴォルザーク チェロ協奏曲ロ短調
Dvorak: Cello Concerto


ドヴォルザークのチェロ協奏曲ロ短調作品104は、チェコへ帰国前の1894年頃に書かれています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
協奏曲としては、異例な程オーケストラが活躍する曲で、特に木管楽器のソロは素晴らしい。さらには、主題操作の妙や確かな構成と、協奏曲に求められる大衆性と芸術性を高度に融合させた傑作で、チェロ協奏曲の範疇にとどまらず協奏曲というジャンルの最高傑作の一つとして評価される作品である。

第1楽章 ロ短調、比較的厳密なソナタ形式(協奏ソナタ形式)4/4拍子
序奏はなく、曲の冒頭でクラリネットがつぶやくように奏でる主題が第1主題で、第2主題はホルンが演奏するニ長調の慰めに満ちた主題となっています。オケが、主題を提示し、チェロが第1主題を奏で、その動機をカデンツァ風に発展させながら登場します。速い経過句を経て、第2主題をチェロが奏で、提示部コーダから展開部へと移る。
再現部は、オケが第2主題を演奏し、チェロが繰り返します。提示部のコーダ、第1主題の順に再現された後、ロ長調でトゥッティによる短いコーダで力強く終わるもの。

第2楽章 ト長調 三部形式 4/3拍子
ドヴォルザークのメロディーメーカーとしての天賦の才能がいかんなく発揮された、抒情性に満ちた旋律を堪能できる緩徐楽章で、のどかな主題が木管楽器で提示され、これをチェロが引き継ぎます。木管とチェロが掛け合いで進行するうちに他の弦楽器も加わり、ト短調の中間部は、オケの強奏で表情を変えて始まるが、すぐにチェロがほの暗い主題を歌いあげます。やがて、第1主題がホルンに再現され、第3部に入り、チェロがカデンツァ風に変奏し、静かに終わるもの。

第3楽章 ロ短調 自由なロンド形式 4/2拍子
ボヘミアの民俗舞曲風のリズム上で、黒人霊歌風の旋律が奏でられるドヴォルザークならではの音楽です。
ロンド主題の断片を、オケ受け渡しながら始まり、チェロが完全なロンド主題を演奏します。まどろむような第1副主題、民謡風の第2副主題と、いずれも美しい主題がロンドの形式に則って登場します。ラストは、1楽章の第1主題が回想され、急激に速さを増して全曲を閉じるもの。

若い頃は、なんて渋くて、泥臭い楽曲なんだろ。センスがないなあ〜と思っていましたが、とんでもない。美しく、切なくなるようなフレーズが多く登場します。しみじみさせられる2楽章なんぞ、新世界と同様に涙なしに聴けません。

フルニエ セル ベルリン・フィル 1962年
Pierre Fournier
George Szell
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は、しっかりリマスターされており極めて良い。節度を持った郷愁感であり、端正で爽やかな演奏だ。
カップリング:エルガー チェロ協奏曲

1楽章
クラリネットが、呟くように「どぉ〜 れみどぉ〜 どぉ〜しそ どぉ・・・」
フルートが、「そぉ〜 しらそぉ〜 」が、それを、なだめるように柔らかく吹かれ、オケの チェロが甘く「そぉ〜らしど〜 そぉ〜ふぁれそ〜」と奏でたあと、弦が駆けあがって高揚していく。

雄大な「どーれみど ど〜しそど どみそふぁみ〜れ どーっしらそっ・・・」
この一節で、いっきにドヴォルザーク独特の土の匂いがプンプン。
地の底からわき上がるようなパワーで、大変印象的なフレーズなのだが、大昔、最初に聴いた時は、ぞっとしたものだ。
フルニエ・セル盤は、冒頭が、かなりスマートで美しい。
エネルギーを持ちながらも、川のように流れるような雰囲気で、さらさら・・・と演奏してくる。
木管が、ぱらぱら〜っと演奏するなか、まずホルンが、「ら〜そふぁれらー れみそしそみふぁ〜 ふぁそーふぁみれふぁ らられそどふぁ〜」
そして、クラネット、フルートが続く。この甘いほろ苦いフレーズが、今では良いな〜っと思い、弦が喜びを跳ねて表現していることに、苦笑いさせられるほど余裕ができた。 同じようなフレーズを一巡したなか、チェロが待ち受けたように登場する。
「どーれみど どーしそど どみそっふぁみれどっし・・・」

フルニエさんのチェロは、ちょっとハスキーボイスである。 ちょっとクルーな弾き方で、あまったるくもなく、ちょっと渋いダンディさである。 テンポは速いっ。「どーれみど しーそふぁし」
ちょっと甘えた仕草もするが、全般的には、スマートなダンディさで、擦れた声が良い。余計なモノを落としたような音色で、ビブラートなんぞカケラもないが、すっきりして端麗辛口ってところだろうか。
それでいて、呟きに似たパッセージ「たらら〜 たららら〜」と、フルートの音色に合わせて可愛く踊る。
オケが、力強く「そ〜みれどらど〜そ どれれみそみどれ〜」と奏でる前の、ほんの短い駆け下りるパッセージ。ソロの「そ〜み〜れぇど らど〜そっど れそらみれそ〜 そどら〜 そふぁみれ〜ら・・・」
ロストロポーヴィチ盤も良いが、ワタシ的には、フルニエさんが、白髪のおじさま風で好きである。
この楽章の終わりの金管のファンファーレも、おみごっと。 クリーヴランド管のトロンボーン 「そーどれどー しーらどしー らーしらそ ふぁ ふぁーみれど」
トランペット 「どーれみどー どーれみどー どれみどれみどれみどれみ そみみ〜」
なんとのびやかに、爽やかに、ストレートに耳に届くのか。う〜ん。素晴らしいっ。

2楽章
緩徐楽章である2楽章は、ふかぶかと、「れ〜れ〜み〜どれ〜 れそ〜れし〜れどそ・・・」 と、3拍子のワルツ風の歌を歌う。1楽章とは、うってかわってフルニエさんのチェロは、もの悲しく甘い。
揺れ落ちるように「みふぁそそ〜ふぁ れみ〜れ〜ど〜しし〜らら〜そそ〜ふぁ〜」
このバックの抑揚もみごとで、泣かされる。で、唐突に哀しみが襲ってくる。
金管と弦の恐ろしほどの哀しみ。「らー らどしららー どーれみ みそふぁみみ・・・」 でも、けなげなんだなあ。
「らーみ れどしら〜 しどれ〜 しそふぁみ〜 ど〜しら〜 そふぁみそどそ・・・」と歌う。 ここら辺は、メチャ白眉っ。
オケの音色と、チェロの勢いが、これほどマッチングしたものは珍しいのではないかと思う。
透明度も高く、大泣きにもならず、これだけ抑制が効いているのもなあ。みごとだと思う。 抑えた悲しみが、表現されているので、けなげさを感じるのだ。
ロストロポーヴィチ盤では、ここは、大泣きなのだ。はあ? と思うほど、感情が高ぶってて、ちょっと手が付けられない。
女性的な泣き方だ。(えっ ロストロさんは、複数のいろんな盤があったけどなあ。苦笑)
でも、フルニエ盤では、男の哀しみなんだろうなあ。背中で泣いてるぜっ。という感じで、 端正に歌いあげるが、大袈裟にならず、抒情的に爽やかに終わる。

3楽章
タンタン・・・としたリズムのなかで、弦が「タタータタタ」と畳みかけてくる。
まるで軍隊の行進のようだ。段々と高揚してきて、弦の甲高い声と共にトライアングルが鳴る。
チェロが、「そ〜どれーみれど そーふぁみれどれ〜 れ〜みふぁそしらそふぁ・・・」と奏でる。
その後、ブンチャカ風に「たーた たらららん たーら ららら〜」と合奏があるが、その後、変わった舞曲風のフレーズになる。
主題は、あくまでもチェロが奏でたフレーズなのだが、形を変えて、いろんなパートに受け継がれていく。 とても印象的で、歌謡風なのだが、物悲しい暗いメランコリックなフレーズだ。 チェロも、木管の音色にあわせて、「ぱ〜ららら〜 ふぁそ〜 ふぁそ〜」と泣いているし、 チェロ協奏曲というより、伴奏に近い存在でもあるのだが、オケのなかの中心ではある。

「チャン チャカ〜 チャン チャカ〜 しっふぁっそっらっしぃ〜」とヴァイオリンがのぼっていくが、チェロのソロも、「れ〜そ れそ〜 れーそそふぁみれどれ〜」と小節をまわしている。
フルニエ盤では、ここは、おとなしいが、この沈静化された雰囲気に染まっている。
舞曲のなかでは、チェロは、主人公にはなれないのだが、「どーど〜 しどれみらみらみ〜」と独りごちた呟きを囁く。
ふふっ。舞曲では蚊帳の外だが、この主人公の呟きが手に取るように聞こえる。 人間くさいといえばクサイのだが、しかし、チェロの音色は、人の声に近いので親近感がわく。

最後、1楽章の主題が戻ってきて、活力を得ながら爽やかに、歌いはじめる。
1楽章では擦れた声だったのに、ここでは、のびやかに若い声で「そーどー れーみれど」と歌っている。
オケ全体に、まるで祝福されているように囲まれて、深々と同じフレーズを何度も奏でている。 フルニエの音は、爽やかだ。
ドヴォルザークの書いたこの曲が、何度もフレーズが登場し、最後には執拗だな〜感じるものなのだが、このフルニエ盤は、ホント、さらっと終わる。その潔さこそ、そこに余韻が残り、若さと未来を感じさせてくれるのだ。

フルニエのドボコン(ドヴォルザークのコンチェルトの略)は、乾いた土の匂いがする。
例えが悪いがロストロさんは、いかにも湿っぽい土だ。セルのテンポの良さ、切れ、クリーヴランド管のほどよい明るい音色が、フルニエさんの擦れたチェロを引き立てている。フルニエさんの渋さ、いぶし銀のような美しさが、セルによって更に磨かれて聞こえてくる。 むふふっ。これは絶品だ。
ロストロポーヴィチとカラヤンの、とろとろの組み合わせとは、正反対っ。性格にもよるし、聴くときの気分によっては、どちらがどうとは言いづらいが、しかし、このフルニエ盤・・・  香り高いモルトウィスキーを傾けながら、ちびり ちびり・・・。
夜のひとときを過ごすには、うってつけの友になってくれると思う。ある意味、理想的な男性像なのかもしれない。


ロストロポーヴィチ カラヤン ベルリン・フィル 1968年
Mstislav Rostropovich  Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

昇天しちゃいました   倒れました。

録音状態は良い。リマスタリングされている。オケもチェロも一緒になって、大甘のフレージングで、どっぷり〜。美しいというより、怖いぐらいの陶酔状態にひきづり込まれて、泣きの涙で、のぼぜて倒れてしまうかも。ある意味、ドクです。
カップリング:ドヴォルザーク チェロ協奏曲、チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲
1楽章
クラリネットが、うめくように「どぉ〜 れみどぉ〜 どぉ〜しそどぉ〜 どれみれ どしらそふぁみ そぉ〜」
フルートが、「そぉ〜 しらそぉ〜」 オケの チェロが甘く「そぉ〜らしど〜 そぉ〜ふぁれそ〜」と奏でたあと、弦が駆けあがって高揚していく。
で、全合奏風になって、「どぉ〜 れみどぉ  どぉ〜しそどぉ〜 どみそふぁみ〜れ どーっしらそっ ふぁ そらふぁ・・・」
ここのベルリン・フィルの底力というか、低音域の響きがとても分厚く、がっしりと演奏されている。木管も弦も、いっきにテンションマックスだが、そこでも、フルートや弦は、美音をするっと奏でていく。
ホルンが、「そぉ〜 ふぁみどみぃ〜し みふぁそ しぃ〜そみふぁぁ ふぁ そぉ〜ふぁみどみぃ〜し し し〜れそどふぁ〜」
続くクラが、また甘くて〜 フルートも・・・。う〜ん。ここで、もう、悶えそうなぐらいのレガートの聴いた旋律を堪能する。
あれっ これ、チェロ協奏曲だよなあ。

満を持して、独奏チェロが登場。
なんとも艶のある音色で、カラヤンのベルリン・フィルの分厚い演奏のうえを、ふわーっと、時に、ガシッと捕らえて、美音で奏でていく、なんとも美しい限りだが・・・。
ロストロさんが、きっとカラヤンに寄り添っているんだと思うのだが、カラヤンの方向性と同質化しちゃっている感がする演奏で、ほとんど快楽、陶酔の世界に、否が応でも追いやられてしまいます。
まあ、オケも立派に演奏しないといけない協奏曲なので、フルートとのチェロのセッションとか、なだらかなフレージングの妙は、やっぱり巧いし、泣かせどころのツボをよくご存知ですよね〜という感じです。

2楽章
クラリネットから、甘くも切ないフレーズが奏でられる。「みぃ〜み ふぁ〜れみぃ〜」
「みみぃ ふぁれみぃ〜 らみどぉ どぉ みれれ〜ど みぃ〜」
クラの甘い声とチェロの甘い声の相乗効果で、とろっとろっ。
まるで、ラフマニノフの2番でも聴いているかのような、息の長いフレージングとなっており、完全にこりゃ〜悶えます。
「みぃれ〜ぇ みぃ〜れっ れど どし しら らそ そふぁ・・・」
ひぇーっ ドヴォルザークの楽曲って、こんなに身もだえしないといけない曲だっけ。
で、いったん静まったと思ったのだが、オケの全奏で「らぁぁ〜〜 らどしら らぁあ〜  どぉ〜れみぃ みそふぁみ みぃ〜」  
ありりゃ オペラだっけ? またまた、ここから、大甘のフレーズで、大泣き場面となる。
もはや、違う楽曲でしょ・・・ と、唖然、陶然としつつ、一緒になって、泣く羽目に・・・。

3楽章
マーチングバンドのような、「そ〜どれーみれど そーふぁみれどれ〜 れ〜みふぁそしらそふぁ・・・」というフレーズで有名なのだが、なんともゆったりと演奏されており、えっ 遅いやんっ。
「ふぁ〜 そしら ふぁ〜 そしら ふぁぁ・・・ ふぁそぉ〜 ふぁ〜そしらふぁ〜」
揺れて揺れて、心情的に揺れ動いているのか、それとも媚び売ってるの?
いや、こりゃ、もしかして、スクリャービンの世界なのではないかと、想像を遙かに絶するような別世界に誘惑される。
もう。ホント、とろんとろん〜の甘さで、フルニエさんのチェロのように、潔く、きっぱりと、男は背中で勝負っ!って感じではなく、いつまでも女々しく、湿気た大地で、メソメソないている女性みたいで。ひぇ〜

ロストロ、カラヤン盤は、もはや陶然としすぎて、骨抜きにされちゃうほどのフレージングで、泣き泣き演奏してるんじゃーないかと思うほど、ため息の出そうな旋律が満載となっている。
泣きの涙で、上に、下にと、旋律をひきづり、それがまた甘いっ。足を引きづって老人が歩いているわけではなく、膨らみ感がすごくあり、流麗すぎて〜 カラダをくねくねさせて、悶えちゃうという感じ。
双方共に、そんな性質を持っていたのかどうか、わからないが、煽られ、もらい泣きしそうなオケ全体で別世界に行っちゃいましたという感じ。
分厚いオケに、分厚い太めの声のチェロが、またマッチして、いやマッチしすぎた〜というはまり具合で同体化して、この長い楽曲を共に歩んでいる。まるで、ワーグナーのトリスタンのような、麻薬的な陶酔劇を見ているような感じで、ゴージャスというよりは、美化しすぎて、後戻りできない怖さがある。ちょっと、これは・・・ もう聴けないですね。
しばらくは、ちょっと・・・ 違った意味でのお蔵入りという感じ。鍵を掛けてしまっておかないと。クワバラクワバラ・・・。


マイスキー バーンスタイン イスラエル・フィル 1988年
Mischa Maisky
Leonard Bernstein
Israel Philharmonic Orchestra



録音状態は良い。バーンスタインと一緒に、感情移入の深い演奏で、とろとろ〜状態。カップリング:ブロッホ「ヘブライ狂詩曲 シェロモ」 ジャケット写真は同じで、エルガーのチェロ協奏曲とカップリングされている盤、他のチェロ協奏曲のセットBOXもある。

1楽章
伴奏を務めるオケが、すごく、とろり〜としていて、バーンスタイン特有の世界に、いきなり突入。
こりゃ。他の盤とは違う。テンポからして、もう超スロー。
チェロが超甘く、「そ〜らしど〜 そ〜ふぁみどぉ〜」と奏でたあと、弦が駆けあがってくるのだが、高揚感が一気に高まるというよりは、退廃的ムードが漂っている。
「ど〜れみどぉ〜 ど〜しそどぉ〜」
ティンパニーの叩き方も、ぼわぁーっ。弦にも引きずるような重さがある。
綺麗なことは綺麗なのだが、冒頭からの数分で、まどろみ的世界に入ってしまった。

ホルンの音色も、なんとも言えない午睡的な雰囲気で、超長い。語尾だけが長いわけでなく、フレーズ全体が長大になって、あ〜っ もうちょっと締まってくれないと。うぐっ。
弦が、「た〜ららっ らたったっ」と弾んでくれるフレーズは、ありがたく、気分が変わって、いよいよソロ部分に入るが、意外と細身で、くねくねした感じがする。 フレーズ間の隙間が、ほとんどなく、語尾が重なるような感じで紡ぎ出されている。歌謡的なフレーズでは、おもいっきり歌う。「ど〜れみどぉ〜し そぉ〜ふぁしぃ〜」
特に甘い声でもなく、ハスキーボイスでもないのだが、雄大に歌う感じもない。
幾分、小声で、細めの声で、ブツブツ呟いているような感じで、はあ? 

あれれ〜 これじゃーオケに負けるよ。バーンスタイン風世界に飲み込まれてしまったのか。
ソロの部分ぐらい、もっと自分を出して弾けば良いのに〜 ひぃ〜 なんと感情没入的になってきて、いよいよ、陰鬱に、ひとりこもるという感じになっている。
開放的なフレーズ オケが、力強く「そ〜みれどらど〜そ どれれみそみどれ〜」と奏でるだけで、う〜ん。どんより曇り空的である。
ヴィブラートたっぷりで、喉を振るわせ歌う歌い方が、嫌いってワケではないのだが、この楽曲だと、端麗辛口の方が良いように、私的には感じてしまう。
オケは雄大に、とろり〜っと、広大な平野を表現してくるのだが、チェロが甘いロマンティックな要素を持ちながら、なんだか、引き籠もって出てこない感じがする。ちょっと残念。

2楽章
「れ〜れ〜み〜どれ〜 れそ〜れし〜れどそ・・・」 マイスキーは、ここで、たっぷり歌う。
情感たっぷりに、泣きが入ってくる。とろみがたっぷりついたフレーズで、まったり。
フレーズが、次から次へと、山を描いて下りてくる。まるで餡かけ風丼状態なのだが、哀しみを押し殺すというよりは、身を縮めているかのように感じる。
で、オケが、「らぁ〜 らどしららぁ〜 どぉ〜れみぃ〜 みそふぁみみぃ〜 らどしららぁ〜」
おいおい、これじゃー まるで、オペラじゃん。笑えるほどの悲劇的要素を加味している。なんてことするんだぁ〜と思いながら、おもいっきり笑ってしまった。
オケが、気宇壮大に奏でようとしていることが嫌なんでしょうかねえ。
浪漫的と一言で表現するには、惜しいほどの感情没入型だが、私的には、マイスキー盤は、わかりやすい。かなり女性的で、なよなよ的で悲嘆にくれている様な感じがする。
かなり、ノスタルジックで、陰影が深く、哀しみもよく表れている。
この楽章のみ取り出して聴いたらよいかもしれないが、この調子で、全楽章を演奏されるとツライ。

3楽章
軍隊の行進風フレーズで始まるものの、リズミカルではなくキレが鈍い。
「そ〜どれーみれど そーふぁみれどれ〜 れ〜みふぁそしらそふぁ・・・」と奏でるところも、きっぱり、すっぱりと行かず、「どぉ〜ろ ど〜ろろろぉ」と聞こえてくる。
その後、ブンチャカ風に「たーた たらららん たーら ららら〜」という合奏があるが、この舞曲のフレーズでは、擦れた声で、泣いているように聞こえる。ただ、訴える力は、あまり強くない。
オケのティンパニーが、ブンチャチャとウルサイ。弦が艶っぽく振る舞っているが、う〜ん。ださいっ。 舞曲風フレーズは、これは良いね。マイスキー盤で、ほぉ〜 ここ聴き応えありだわ。

伴奏にまわったチェロの音色の綺麗なこと。 その後、チェロのソロが、「れ〜そ れ〜そ ふぁそ〜 ふぁそ〜」と泣いているシーンがあるのだが、う〜ん。
ここは、甘み甘味料てんこ盛り状態で、これは聴いてられないっ。う〜 まだ泣くかっ。 ええかげんに、せんかいっ!
じとじと〜 「ふぁぁ〜そぉ。たら〜ららら たら〜ららら」 もーやだっ。
最後は、小春日和風に終わってくれたのだが、音楽は時空間ゲイジュツだ。プロセスが、いかに大事とはいえ、大変な、とろとろ部分を抜けてきましたなあ。ようやく最後に到着。はあ。疲れたっ。

マイスキー盤では、聴いているうちに、かなりストレスがたまってしまった。
なよなよ〜 どろどろ〜 うぷっ。スミマセン、私的には肌に合いません。
フルニエ盤が乾いた荒地なら、ロストロポーヴィチ盤は湿った大地だ。マイスキー盤は、これじゃー まるで熱帯雨林的じゃん。(← ちょとオーバーなので、雨季のアジアにする)
かなり人間臭い。泣くのが嫌じゃーないんだよ。しかし、個人的には、もっと爽やかに泣いてくれ〜と思うのと、泣いて、その後、どーなるんじゃ。という展開が欲しいかな。 あんたが表現したいドヴォルザークのチェロ協奏曲は、わかった。
で、ドヴォルザークは、ここで何が言いたかったんじゃ。それを、私に伝えてくれ〜っ。
(ワカラン、感じないおまえが悪いって? う〜ん。そうとも言えるが・・・)  冗談さておき、ワタシ的には、かなりの異質感があるのだが、何度か、楽章を取り出して聴きたいと思う。
表現のベクトルの違いはあるが、一方の雄という感じはするので・・・。


マイスキー メータ ベルリン・フィル 2002年
Mstislav Rostropovich  Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)



録音状態は、イマイチで、大きく歌う、とろとろ系。ライブ盤 冒頭拍手入り
カップリング:
1〜4 ドヴォルザーク チェロ協奏曲
5〜18 R・シュトラウス 交響詩「ドン・キホーテ」
ヴィオラ:タベア・ツィンマーマン Tabea Zimmermann
タベア・ツィマーマンが参加した「ドン・キホーテ」も聴きものだというので、買ったのだが〜
ここでは、とりあえず、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を・・・。

最近は、SHM-CD仕様のCDがでているようだが、ワタシが所有しているのは、2003年のメイドインEUというもの。
マイスキーさんにとっては、1988年のバーンスタインとの協演から、15年ぶりというライブでの再録音なのだが、ワタシ的には、録音状態は良くないように思う。
う〜ん 録音状態はイマイチで、なんじゃこりゃ〜という感じで、あっけにとられてしまった。
冒頭の木管フレーズ、クラリネットやフルートが、「そぉ〜 らしどぉ〜」と歌うのだが、ティンパニーの音のみが、異様に大きく、ちょっと作為的に感じてしまった。
また、全体的には、とにかく、霞がかかった感じで奥行き感はないし、イマイチすぎるかも。
これが2003年のレコード・アカデミー賞を受賞したものだというんだけど、ちょっと、あんまりでしょうか。

オケ全体にキレがなく、ホルンのフレージングは、まったりしているし、木管のフレージングも、ちょっと大味かなあ。
濃厚な演奏は、もはや織り込み済みなのだが、音自体に迫力がなく、フレージングの切迫感もなくリアルさに欠けているように思う。やっぱり大味なんだろうなあ〜と思う。
メータさんとマイスキーさんという組み合わせも、バーンスタインさんとの組み合わせも、いずれも濃い。
満を持してのチェロが入ってくるが、ゴツイ響きはわかるし、ぐぐっと、歌うところは大きく、だれかの歌舞伎を見ているかのような、隈取りの大きさ、骨太感、見栄を切るところは、さすがマイスキーさんのアプローチだ。
この方の弾き方は、大きい。大きすぎて、とろとろ〜
まあ、ホント、何度も言うようだが、そこは織り込み済みなのだ。
だが、音自体がまるすぎて、ぼやけているような気がして、ワタシ的には、ちょっと〜 
ソロの部分は、泣きが入ってて、陶酔的で、やっぱりとろり〜 
で、音が揺れるというか、透き通った音色ではなく、音があまり綺麗じゃない。すーっと通っていく音ではなく、リズミカルなフレーズもシャープさが、あまり感じられないし、なんでこんなに、とろとろなんでしょう。情感が籠もっているのは解るが〜

2楽章も、締まりが無いというか、溶解してて〜 3楽章も、リズミカルなところが、引きづった感じで、聴いててどうも、やっぱり苦手ですね。オケの弦のピチカートも、ボコボコしているし、う〜ん、ホント、スミマセン、ワタシとは、どうも相性が悪いようです。(謝)


1962年 フルニエ セル クリーヴランド管弦楽団 ★★★★★
1968年 ロストロポーヴィチ カラヤン ベルリン・フィル ★★★★
1970年 デュ・プレ バレンボイム シカゴ交響楽団 EMI  
1977年 ロストロポーヴィチ ジュリーニ ロンドン・フィル EMI  
1985年 ロストロポーヴィチ 小澤征爾 ボストン交響楽団  
1986年 ヨーヨー・マ マゼール ベルリン・フィル SC  
1988年 マイスキー バーンスタイン イスラエル・フィル ★★★
1992年 トゥルルス・モルク ヤンソンス オスロ・フィル Virgin  
1993年 アルト・ノラス サラステ フィンランド放送交響楽団 apex  
2002年 マイスキー メータ ベルリン・フィル ★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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