「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 ドヴォルザーク バイオリン協奏曲
Dvorak: Violin Concerto


チョン・キョンファ ムーティ フィラデルフイア管弦楽団 
1988年
Kyung-Wha Chung Riccardo Muti Philadelphia Orchestra



録音状態は良い。いつも睡魔に襲われ、オケもヴァイオリンも別の楽曲かと思うぐらい、かなり優美な演奏で、これは違うだろぉ〜って感じだが、これだけやられると〜 あらら〜
カップリング:ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲、ロマンス、バルトーク「ラプソディ1番・2番」 ラトル バーミンガム市響 1992年

1楽章
まず冒頭、オケが勇壮に出てくる。
「ふぁししぃ〜 ふぁししぃ〜 ふぁしぃ〜ふぁ れれっふぁみれど し〜どれっみ ふぁぁ〜」
「ふぁ〜れみふぁ ふぁ〜 ふぁ みれど しら〜ふぁ〜 みそし らふぁ〜 みそし らぁふぁ〜」
まあ、煌びやかな 音色だし、さすがフィラデルフィア管弦楽団だと思わせる。チョンさんのヴァイオリンの音色もさすがに煌めきがあり、スラブ風というよりは、都会的センスあふれる冒頭だ。
で、ちょっと驚いちゃうのだが、力強さもあり、「られれぇ〜 られれぇ〜」と粘ってくれる。
ちょっと、変かな〜と思う節回しだが、弾力性のあるフレーズを、しっかり腰をためてノビのある音を奏でているし、オケの低弦の響きも良い。
歌謡風フレーズは、しっかり歌っているし、カンタービレ調で、間合いもゆったりしている。
「しぃ〜〜ふぁ〜らししぃ〜 しぃ〜ふぁ〜みれどしぃ  ふぁ〜みそし ふぁぁ〜」
ちょっと持ってまわったような感じで、音をワザと上下に回転させて、癖のある言い回しなのだが、まっ。
許せる範囲だし、これはこれで面白いと思う。
で、オケの方も、フレージングにキレもあるし〜 木管も綺麗だし〜音色には文句なし。
声を震わせて泣き節風でもあるが、ヴァイオリンは、切々と歌うので1楽章は、う〜ん、聴きどころ満載。

「らっふぁ〜 みふぁら らふぁ〜  みふぁら らふぁ〜」
このあとの木管の可愛いこと。
「ふぁっどぉ〜 らっら どしらそ ふぁ〜そ〜 らっら ししどれみ〜」と、可愛く、朝露が転がるように吹かれている。おおっ これは可愛いっ。すごいっ。
ただ・・・最初の方が良いんだけどなあ。
ヴァイオリン・ソロの部分に入ってくると、美しいことは美しいが、睡魔に襲われてしまうのだ。
で、なーんか、そのうちに、ダレてしまうというか、なーんか、緩やかすぎて間延びしてしまうのだ。
階段を登っていくようなフレーズが入ってくる場面でも、するする〜っと優美にあがっていくので、カッシっと、弾かれていないというか、歯ごたえを感じない。
また、激しさとか、熱さとかよりは、やっぱり柔らかさが勝っている。
それに、確かに、ヴァイオリンの声で、歌うのは歌っているのだけどねえ。太い幅の広いゴツイ、ヴァイオリンの音色の方が、この楽曲には似合っているのかもしれない。
眠気が誘われてしまって、、、聴き手のワタシが悪いのでしょうが。

2楽章
1楽章と2楽章の切れ目が、とっても解りづらいというか、1楽章に引き続き〜という感じで、するり〜っと入ってこられる。
「れそら しぃ〜どれど しぃ〜 らそ ら れぇ〜」「れらそ ふぁみれ どみど しぃ〜」
途中から、子守歌のように聞こえて、そのまま冥界に入ってしまう感じで、綺麗すぎるなあ。(笑)
オケが被さってきても、おお〜 緩やかで。ホルンの入ってくる場面でも、良い響きで、とても柔らかいし、かなり牧歌的だ。
いきなり天上世界に誘われて行くんですけどねえ。ところどころ、ドヴォルザークの渋い音が響くのですが、このまま、草木のうえで、寝っ転がってしまいたい、午睡を楽しみたいって感じである。
う〜ん。ホント、いつもこのチョン盤を聴くと、1楽章終わりから2楽章は、睡魔に襲われてダウン。
どこを聴いているのか、解らないことになってしまう。
オケが、低弦の響きたっぷりに、「そぉ〜そらしどしらそ ふぁっそ ふぁっそ (パッカパッカー)」と入ってくると、あっ イカン、と眠気を吹っ飛ばすのだが、再度、ヴァイオリンの甘いフレーズに。また、うとうと。
弦の和音フレーズが奏でられる場面など、美しく、優雅に、ホント、随所に美しさがちりばめられているので、悪くはない筈なのだが、、、緊張感が続かず、弛緩してしまうのは、甚だ惜しい。
しかし、ここの楽章は、ホント白眉なのだ。
この楽章を、これだけ美音で弾かれると、天使のワッカが、アタマの上にできること間違いなし。
あー それにしても、どうしてなんでしょう。眠くなってしまうのは。
ホント、ドヴォルザークの子守歌。とでも、名づけて欲しいんですけど。でも、この2楽章は、聴くとシアワセ感に入れます。

3楽章
激しい舞曲風楽章だが、おお〜 スラヴ風というよりは、ウィーンの宮廷でワルツでも踊っているかのような優美さである。
「しぃれ〜 みふぁ そっふぁ〜 みふぁ そっふぁ〜 みふぁ しふぁ みっどれ〜」
「ふぁっ どっどぉどぉ〜みれど ふぁっ どっどぉど〜そみれど」
ドヴォルザーク独特の跳ねるような楽章なのだが、えっ〜と、のけぞってしまうほど、弾まない。
レガート気味に演奏されていて、ヴァイオリンもオケも、優美このうえなく〜 えーっ。
オケの方も、完全に優美でピチカートの筈なのだが、なんとも可愛らしく、「みふぁ そぉ〜ふぁぁ〜」と語尾をしっかり伸ばしている。
ホント、長いドレスの裾を持ち上げて、ワルツでも踊っているかのような感じなのだ。
えーっ すごい。これは、これで変わり種って感じだが・・・。
おいおい、ちょっと、楽曲を間違ってませんか。ホント、細かくリズミカルに、弾んで踊りまくるぞぉ〜という意気込みに欠けているというか。え〜っ。目が点になっちゃって〜 思わず、のけぞった。

ホント、オケもヴァイオリンも綺麗で、ハイ、文句ないほどに綺麗に演奏されてます。
ひとことで言うと、完全にクラシカルな宮廷文化を描いていますという感じ。貴族の館での園遊会風というか、宮廷庭園でのヒトコマというか、午睡を楽しみ、夜は、優雅にイブニングドレスで踊りましょう〜という感じだ。はあ。これは、とんでも盤かなあ。
でも、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲は、これで良いんかい。と思いつつも、これだけ綺麗に描かれると、別世界へ誘われるアプローチってことで、どひゃ〜ん。恐れ入りました。

フランク・ペーター・ツィンマーマン メスト ロンドン・フィル
1993年
Frank Peter Zimmermann
Franz Welser-Möst London Philharmonic Orchestra

録音状態は良い。最初は、線の細さが気になっ ていたが、弾力のあるテンポの良さに、知らず知らず、乗せられていく心地よさがあり。カップリング:ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲、グラズノフ ヴァイオリン協奏曲

1楽章
まず冒頭、「ふぁし しぃ〜 ふぁし しぃ〜 ふぁしぃ〜ふぁ れれっ ふぁみれど しっどれっみ ふぁぁ〜」「ふぁ〜 れみふぁ ふぁ〜」「ふぁ〜みれどしら〜ふぁ〜 みそし らふぁ〜 みそし らぁふぁ〜」
ツィンマーマンさんのヴァイオリンは細めだが、オケがカッチリとした音色で勇壮に奏でてくる。
ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲って、どーして、こんなに人気がないのか、ちょっと不思議なぐらい。
なかなかにロマンティックだ。冒頭こそ勇壮に出てくるのだが、ころり〜っと変わって、女性的なフレーズが出てきて、線の細い高音域で喉を振るわせて歌う。
男は泥臭い響きだが、女は都会的。というような両面があって、タメもあって、親しみやすいフレーズも、たっぷり詰まっている。

ツィンマーマンさんのフレーズは、確かに線は細いのだが、逞しさ、無骨さではなく、女性的な面に光があたっている感じがする。確かに、この楽曲はスラヴの濃厚な民族的なフレーズが特徴だし、思わず、泥臭さが聴きたい、土臭いところが魅力的なのだ。
でも、それだけではなく、「られれぇ〜 られ れっふぁ ふぁっふぁっ らそふぁみ れっ ふぁっそらぁ〜」というオケのテンポの良さ。ヴァイオリンの「ふぁ〜 れみふぁ ふぁ〜 ふぁ〜 みれどしらふぁ〜 みそし らぁ ふぁぁ〜みそし らぁ ふぁぁ〜」という歌謡風のフレーズは、しっとりと歌いあげる。

このしっとり感とか、じわじわ〜と切なく歌いあげてくる歌い方は、う〜ん。やられる。
ヴァイオリンの響きこそ、線は細めだが、キレがあって、タメも充分にあって、しなやかに強い。瑞々しい響きが充満しながら、うえに、うえにと伸び上がっていく力と、気持ちよく訴えてくるパワーが感じられる。
喉の太い、ごっつい響きが理想的なのかもしれないのだけど〜
いや、それだけでは、ドヴォルザークのこの協奏曲は、ダメなんだなあ。って、思ってしまった。

演歌のように、小節は回っていないけれど、細やかなフレーズが、キラキラしながら、さらっ〜と流れていくのだ。でも、あれれ〜 ど演歌じゃーなくても良いやん楽曲じゃん。と思わされてしまったのだ。
あらら〜 何故、この線の細い、クソ演歌でない演奏でも、良いと感じるんだろ。と、不思議に思って、何度か聴いてみたのだが・・・。
やっぱテンポが良いんですね。スピードがあって、弾力性たっぷりに跳躍するような、付点のリズム感が良いんだわ。と思った次第。スピード感が無いと、タメにタメてしまうと執拗になりすぎて、どろどろ〜となってしまうフレーズが満載のところを、快速で、シャキシャキ感に乗り越えてしまう演奏です。
どろ臭く歌う演奏もあり、それはそれの魅力があるんですが〜 ツィンマーマンさんの演奏は、アプローチが違います。このCDでは、1楽章が2つに区分されており、2主題めは、草原のなかで寝っ転がっているようなフレーズで、満天の夜空を見上げているような叙情的なフレーズがある。

2楽章
「れみふぁ ふぁ〜 ふぁ ら〜」「れそら しぃ〜どれどしぃ〜 らそら れぇ〜」「れそら ど〜どれどぉし〜」
「れらそ ふぁみれ どみど しぃ〜」と、子守歌のような綺麗な楽章だ。
この楽章は、ツィンマーマンのヴァイオリンが、歌う。細身のフレージングが、長めに歌われ、うるうる〜しちゃうぐらい、生きてくる。
切なくも綺麗で〜 ひっそりと、細やかに〜
オケの木管もかなり綺麗だし、ホルンの響きももちろん巧いし、オケとヴァイオリンとのフレージングの間合いが、ホント良さが手に取るように見えるというか、時空間の広がり方が、ホント気持ちよい。
音がまろやかに上に昇っていくような感じがする。ヴァイオリンのフレーズも、適度な緊張感があって、音が切れないし、オケとの間合いが寸断されず、息の長いフレーズを歌う。
特に、たっぷりと思わせぶりに歌わないのに、歌っているんだよなあ。執拗なタメを感じをしないで、さらり〜っと歌うんだけど、切々とした感覚が残るのだ。
不思議な気持ちにさせられて、ころりと、ヤラレる。

3楽章
スラブの香りが満喫っという、険しいぐらいに、激しい舞曲風の楽章 の筈なのだが、ツィンマーマン盤で聴くと、舞曲というよりは、気持ちの良いのど笛のように、鼻歌のように聞こえてくる。
嫌みではなく、ホント、テンポのよい、タラン タランっ、んタタっ んタッタっ。というシンコペーションのリズムが整理されているというか、小気味よく刻まれていくので、驚いてしまった。
涼しげで、さらっとした草の香りがしてて、爽快で〜 あらら。驚きのフレーズだ。
チョン・キョンファ 盤で聴くと、まるで宮廷ワルツかと思うほど、場違いな優美さがあって、こってり気味だったのだが、なんて爽やかなのぉ〜 オケの響きも、ちょっと硬めの癖に、見通しが良く、ピチカートが跳ねている。重々しく鳴ってこないところが良いのかもしれない。

音のキレが良いんですねえ。キレキレに鋭く過ぎないくせに、パンっ パンっ。と弾むリズム感が抜群だし、ころころっと回る節回しが、嫌らしいぐらいに回るってわけじゃーないのに、モノ足らないワケでもない。
弦をつま弾くように踊ってて、細かい弾みが大変心地良い。ホント、んっパパっ んっパパっ というリズムが、柔らかいくせに、沈み込まずに、よく弾む。この弾み方が、イチバンなのかもしれない。
もちろん、オケも、ヴァイオリンを邪魔しないように、適度な厚みを持っているし、歌謡風フレーズと、独特の舞曲のリズム感を、スパンっとうまく切り替えて、交互に情感たっぷりに流してくる。
決して、大上段に構えて、すごい〜っという演奏ではないんだが、気持ちは良い。
最後なんぞ、もっと熱狂的に演奏して欲しいのだが、渋すぎ〜というぐらいに抑えぎみ。でも、目立たないんだけど〜 瑞々しいリズム感と、線は細めだが、よく伸びるフレージング、間合いの良さに拍手っ。
これは、分厚い響きと、ゴッツイ響きのヴァイオリンでないと、ダメだ〜と思っていたが、宗旨替えしなきゃ。と思わされちゃったデス。

クリスチャン・テツラフ リボール・ペシェック チェコ・フィル
1993年

Christian Tetzlaff Libor Pešek
Ceska filharmonie(Czech Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。ロマンティックに奏でており、語り口が巧い。1楽章は、切々と訴えてくる良さがあって、メロメロになっちゃう。
ある意味、ドヴォルザーク臭くって〜 なかなか良いっ。
カップリング:ラロ スペイン交響曲、ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲

1楽章
まず冒頭、「ふぁし しぃぃ〜 ふぁし しぃぃ〜 ふぁししぃ〜ふぁ れれっ」
「ふぁみれど しっどれっみ ふぁ〜」
この出だしが、とっても力強く、堂々として豪勢である。ティンパニーも低弦を含めた弦の重みのあるフレーズが聞こえてくる。
で、「ふぁ〜 れみふぁ ふぁ〜」「ふぁ〜みれどしら〜ふぁ〜 みそしぃ らふぁ〜 みそしぃ らぁふぁ〜」
テツラフさんのヴァイオリンも、繊細でありながら、力強い。
まず、オケの低音の鳴りっぷりに、ほほぉ〜っと喜んでしまった。

で、ヴァイオリンの最高音域を目指して昇っていくところも、ひぃ〜っと鳴っていく場面では、すわーっと背筋が伸びるような鳴りっぷりで、これも、凄いっ。
芯の太い、ごつい音で、一本筋が通ってます。という音質だ。そのくせ、高音域へ昇っていくスピード感と、その線の細さに、強烈な差があって、激しい一面を持っている。こりゃ〜 一本とられたって感じで、唖然としてしまった。 弦のキレも、歯切れの良さもある。

このドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲、メチャクチャ、泥臭いのだが、メロウなのである。
特に、この1楽章は、このご時世、流行らないだろ?って思うぐらい、メチャメチャ ロマンティックなのである。チェコ・フィルの艶のある弦と、ヴァイオリンのすすり泣くようなフレーズと絡むと、うっ。やっぱり〜 胸がキュンと鳴るような、胸が詰まってくるような切なさとか、可愛らしさとか、 哀切感とか〜。
そのくせ、ある場面になると、激しく、強く、ぐい〜っと伸びてくるパワーがあって、そんな両面を持っている楽曲である。
そう、振幅の大きい、迸るようなエネルギーと、切々と沈み込むような、感情の起伏の大きい曲だ。

テツラフさんのヴァイオリンは、う〜ん。間合いがとっても巧い。
歌うというよりも、語りかけるような、ゆったりとした間合いを持ったヴァイオリンで、切々と訴えてくる。
こりゃ〜 黙って聞いてあげないと、、、
聴いていて、耳がそばだってくる〜 そして、目の前に、ふわ〜っとした、若い女性が座っているかのような幻影が出てくる感じすらする。テツラフさんの語りを聴いてみると、ホント、豊かな情感が、いっぱい詰まっていて、なにげに聞き過ごせない。ストーリー性も感じるし、共感を覚え、妙に納得させられていくような、自然な感情の発露というか、巻き込まれ感っていうか。
素直で、自然で、素朴な訴えなのだが、若くて、瑞々しさがあって、説得されてしまうというか、説得感があるんですねえ。う〜ん。どうして、そう感じるんだろ。フレーズの語り口調っぽい弾き方だからかなあ。

この楽曲、下手したら、オバサンのタメ口っぽくなりそうなのだが、テツラフ盤は、どっぷりとした厚めの鬱陶しさもないし、強いが、しなやかだし、すわっとした爽快さがあって、柑橘系の香りが、ほのかに香り、そのくせ、クールさも持ち合わせている。繊細すぎず、厚かましくもなく、さりげないけど、持って回った演技過剰でもないし〜 微妙なバランスで成り立っている感じがする。
で、バックのチェコ・フィルも巧いですねえ。
低音の支えがしっかりとあって、ぴたり〜と寄っているし〜 ワタシ的には、この1楽章で大満足。

2楽章
「れそら しぃ〜どれどしぃ〜 らそら れぇ〜」
「れらそ ふぁみれ どみどぉ しぃ〜」と、 目頭が熱くなってくるような、しんみりした美しいフレーズが流れてくる。ヴィオラのような渋い音質と、透き通るようなフルートのフレーズが絡む。
暖かい、太めのオケの音質が、まろやかに響く。透明度は高くないが、柔らかいホルンの響きもあって、ブラームスの子守歌のような楽章。
ツィンマーマンさんの盤だと、細身のヴァイオリンが優美で、歌われていくが、テツラフ盤は、この楽章は、オケの方が、メインのようになっている。
録音状態によると思うが、少し奥の方が、ふんわかした感じなので、イマイチ、ヴァイオリンの音色の透明度の高さが感じられず、ちょっと残念な感じもするが〜
総体的には、力強く、ゆったりと歌われている。
ヴァイオリンは、もちろん、高音域にさしかかると、光が射し込むような雰囲気が出てくる。

3楽章
「しっ れ みふぁ そっふぁ みふぁ そっふぁ みふぁ しふぁ みっどれ〜」
とっても可愛いフレーズが、妖精のように飛び跳ねる。
まっ 弦のピチカートも良く聞こえるし、「ふぁっしっ」と合いの手を入れる弦も気持ちよく、力強く入っているし、「ふぁっ どぉ どぉ〜ど そみれ どぉ〜」っと、スラブの香りが満喫 という、フレーズに続いていく。
オケの低い弦の響きが、しっかり入ってくるので、ヴァイオリンが、「ふぁみみみ・・・」と、飛んでいる感じもするしているし、リズミカルでもある。
独特の、小節回しっていうか、リズムが、ころころ変わるし、オケが重く、ティンパニーが、妙にデカク鳴っている部分もあるが、まあ、こんなモノかなあ。テンポは普通なので、ヴァイオリンの超絶技巧的な楽曲って感じがしないし、歌謡風フレーズと、シンコペーションの変わり身が面白い楽章でもあるのだが、ちょっと、主人公のヴァイオリンが、ちょっと、目立たないんである。

低い音を奏でていくところがあるので、華麗だとか、色彩的に豊かって世界からは、遠く〜 ハッキリ言っちゃうと、土臭いっていうか、別にヴァイオリン協奏曲でなくても、良いんじゃ〜という、バタくささ、泥臭さを持った楽章なのだ。
中間部の歌謡風フレーズは、これまた、メロウなのだ。この重音の部分は、綺麗ですねえ〜
ゆったりめに、歌うなあ。切々とした面が、垣間見られて〜 可愛い。

ところどころ、オケの方がボリュームが大きくなるので、ヴァイオリンが、オケにのみこまれないかと心配しちゃうが〜 チェコ・フィルは、オケが、ちょっぴり重くなっていく感じがして、足元がぬかるんでくるが、テツラフさんのヴァイオリンは、キチンと、高音域で跳躍している。
まっ、オケと一緒に、泥臭く演奏しているって感じ。(あっ キレ味は抜群ですけどねっ)

もう少しテンポアップしていたら、どう変わっていたか解らないけれど、ちょっと3楽章は重いかも。
総体的に言うと、1楽章は、切々と奏でられて〜涙目になっちゃう。うるうる〜
でも、3楽章になると、オケ全体のリズム感がイマイチかな。って感じがする。
ツィンマーマン盤のように、細めに奏でて、鼻歌を歌うような、軽やかな舞曲という感覚では無い。
この点、聴き手の好みによるかもしれないが〜 全く別のモノって感じの好対照な演奏だ。
まっ ツィンマーマンさんのように、都会的に洗練された感じは無いけれど、ワタシ的には、ドヴォルザーク臭くて、そこそこの重さを持ちながらも、跳躍感、躍動感があって良いと思う。

諏訪内晶子
イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 1999年

Akiko Suwanai Iván Fischer
Budapest Festival Orchestra

録音状態は良いが、オケの低音はヌケに欠ける。演奏も、特に熱いわけでもなく、土俗性が少なく、個性が弱い。
ちょっとスマートすぎるかも。
カップリング:サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、「カルメン幻想曲」ドヴォルザーク「マズルカ」、ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」

ドヴォルザークの協奏曲って言えば、まず、チェロ協奏曲が有名だが、このヴァイオリン協奏曲も、なかなかに甘くて切なくて名曲だと思う。が、イマイチ、メジャーになりきれていない協奏曲である。

1楽章
諏訪内さんが演奏するサラサーテの「カルメン幻想曲」が聴きたくて買ったCDである。でも、ここでは、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を〜 
まず冒頭、オケが勇壮に出てくる。
「ふぁししぃ〜 ふぁししぃ〜 ふぁしぃ〜ふぁ れれっふぁみれど し〜どれっみ ふぁぁ〜」
「ふぁ〜れみふぁ ふぁ〜 ふぁみれど しら〜ふぁ〜 みそし らふぁ〜 みそし らぁふぁ〜」
スラブ色の強いヴァイオリン協奏曲だが、出だしは、どこかベートーヴェンか、ブラームスみたいな雰囲気を持っている。厳めしく硬いというか、 がっしりとした和音重視というか、全体的に重い感じのする楽曲なのだ。作曲する時に、有名なヴァイオリン演奏家のヨアヒムに助言を求めていたというが、さて、どうだろ。
技巧的な面では、他のヴァイオリン協奏曲と遜色ないと思うのだが、ドヴォルザークのわりには、あまり歌わない楽曲かもしれない。

「ふぁそらしど れぇ〜」
「られれぇ〜 られれぇ〜 られれっら ふぁふぁ らそふぁそふぁみれ〜 れっみふぁ〜」
この出だしは、諏訪内盤は、ちょっと緩い感じがする。オケの方が、イマイチ勇壮さに欠けている。
ヴァイオリンのフレーズも、続いて演奏されるが、どこか勇壮さと厳しさと、乾いた冷たい大地のような広がり感が少ない。勇壮な出だしのわりには、いっきに 、この楽曲の持つ世界に連れて行かれるようなダイナミックやイマジネーションを膨らませてくれる要素に欠ける。
録音のせいなのか、どこか嶮しさに欠けてて、ちょっぴりクールさが少ない感じがするし、緩いなあ〜。
「っれっれっ ふぁみれどっ」 
「れぇっ しどれっ らどしらっ れぇっ しどれっ らどしらっ しれしら そしそふぁ みそみれ どみどら・・・」

ワタシは、この落ちていくフレーズ感が好きなのだが、この点、テツラフ盤もチョン・キョン・ファ盤も、歯ごたえあった。オケとヴァイオリンが、鋼鉄のようにギシギシっと、合わさってて気持ちが良い 筈なのだが、諏訪内盤は、その点は、ちょっと隙間が空いている感じがする。
テクニック的には、どうのこうのと、あまり言えないのだが、情感そのものも、イマイチ深めではないというか。
素っ気ない感じが否めない。
やっぱり〜高音域のヴァイオリンの美しさは、細めで美しい。 でも、なんか〜間合いがタイトで、セカセカしているというか、太い声で歌ってくれない分、スラヴ地方をイメージした演奏とはなっていないし、霜が立って、カシカシ、ガシガシと大地を踏みしめているかのような逞しさや、歯ごたえ感は、ちょっと感じられない。
それと、オケの低音が、ちょっとこもり気味に聞こえるからか、ヒンヤリ感にも欠けて、大地の広がりをイメージするには、ちょっと・・・。

で、ガシっとした冷たさのあとに、主題が変わって甘いフレーズが流れてくる。
「ふぁ〜 れみふぁ ふぁ〜 ふぁ〜 みれどし らふぁ〜 みそしら ふぁ〜 みそし ら〜ふぁ〜」
この大地の冷たさから、人肌の暖かさに変わる、この主題2つの変わり方が、なんとも言えない切ない気持ちにさせるんですけどねえ。 この部分のヴァイオリンは、柔らかいし、音色からすると、美しい大地が、すわ〜っと広がっているような感じがするが、、、まっ、総体的に、土俗性とか、土臭さ、民俗的なイメージは皆無に等しく、ハイソな感じだ。
もっと、低音の響きと共に、粘りとノビがあってもよいかもしれない。
主題の変わり目は、聴いてて、あんまり楽しくない。というか、演奏家の楽曲に対する共感が 感じられないし、イマイチ、聴き手のこちらにも伝わらないというか、ぐわ〜っとした感情が湧かないんですねぇ。
う〜ん。困ったなあ。ヴァイオリンよりも、ワタシ的にはオケの方が、緩めに感じるんですけど。

2楽章
「れそら し〜どれど〜し〜らそ〜られ〜 れそら し〜どれど〜し ら〜」と、緩やかな叙情性あふれる楽章で、柔らかい木管が寄り添っている。 「れらそ ふぁ〜みれ どみど〜 みれど どしら そぉ〜」
アダージョ部分は、ほんと、木漏れ日のようで、柔らかく親しみやすいフレーズとなっている。
ヴァイオリンの演奏でなくてもよさげだが〜 柔らかいフレーズとフルートの音色が絡んで、柔らかい草木の香りがする。この盤に限って言えば、ホルンの音色が、もう少し、 色が綺麗だと良かったのだが。

で、唐突に、「そぉ〜そらし らそぉふぁ、、、」と落ち込むが、ふっと聴いているとブラームスみたいだ。
いや、もっと、感覚的には、さらり〜としているかもしれない。
「どれみ しぃ〜 らしどぉ〜どら そふぁ〜れ どれみ しぃ〜」
粘りもないし、さらり〜っとしていながら、風が吹くような形の無いモノとして、心地良いもの、ちょっと、留まらない嫌いがあって、耳に残らない、そんなつらさもある。
悲劇的な短いフレーズが、ホルンで吹かれているが、ヴァイオリン協奏曲というより、こぢんまりしたソナタの小品のようでもある。

3楽章
「しっれ みふぁ そっふぁ みふぁ そっふぁ みふぁ しふぁ みっどれっ」
「ふぁっ どっどぉどぉ〜みれど ふぁっ どっどぉど〜そみれど」
ドヴォルザーク独特の舞曲のような、跳ねるような小粋な楽章である。
この楽章を1度聴くと、ワクワクして、耳に残って、う〜ん ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲って、結構良いじゃん。と言って貰えると思う。
オケも同じフレーズを繰り返すし、オケとヴァイオリンの掛け合いが熱い。
ヴァイオリンが細かく震えるフレーズを奏でていくし、リズム的に面白い。6分の8拍子だと思うが、細かく、リズミカルに刻まれて、この跳躍感も申し分はない。
「ンチャチャ ンチャッチャ・・・」 ヴァイオリンの繊細さは解るが、もう少し熱くても良いかもしれない。
「そっそっ〜ら ふぁれどしらそ  そっそっ〜ら しっし〜ど」 同じ短いフレーズを繰り返すが、半音の音がちょっと聞きづらいかな。
ティンパニーを伴って段々と高揚していくのだが、う〜 諏訪内盤は、ちょっとスマートすぎるかなあ。
途中で拍が変わっているが、ちょっとギクシャクしているかも、ギアチェンジの入れ替えは、巧いとは思うが、楽曲としては、もっと意図するところを強調しても良かったかもしれない。
総体的には、ちょっとスマートすぎるかしらん。という感じ。
ヴァイオリンよりも、オケの方に私的には不満。
リズム感は悪くないが、せっかくオケが、地元だと思われるブタペスト祝祭だというのに、オケ自体の演奏に熱気も、粘りも少なく、高揚感も、舞曲を奏でている熱さも感じられず、う〜ん。
厳しいことを言うと、せっかくなのに、なーんだよぉ。全く、匂いのしないニンニクを食べたような気分だ。
もっと、もっと、個性たっぷりに演奏して欲しかったデスね。
1988年 チョン・キョンファ ムーティー フィラデルフィア管弦楽団 EMI ★★
1993年 F・P・ツィンマーマン メスト ロンドン・フィル EMI ★★★★★
1993年 テツラフ ペシェック  チェコ・フィル Virgin ★★★★★
1999年 諏訪内晶子 フィッシャー ブタペスト祝祭管弦楽団 Ph ★★★
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