「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

グラズノフ アルト・サクソフォンと弦楽オーケストラのための協奏曲
Glazunov:
Saxophone Concerto (Concerto for alto saxophone and string orchestra)


グラズノフのアルト・サクソフォンと弦楽オーケストラのための協奏曲(作品109)は、登場年代が新しく、古典派・ロマン派の作品に恵まれないサクソフォンにとって貴重なレパートリーだそうです。

あまり馴染みがないので、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら
早熟の天才として知られたグラズノフですが、1900年代初頭を境に急速に創作意欲が衰え、ロシア革命を経てのパリ亡命後はその傾向が著しくなります。
このアルトサックスのための協奏曲は、この亡命時の最晩年の作品で、1934〜36年に作曲されたのではないかと推定されています。作品は、北欧出身のサクソフォーン奏者シグールト・ラッシャーさんに捧げられています。
切れ目なく演奏される単一楽章の作品で、大きく3つの部分に分かれています。
急・緩・急の構成になっていますが、最初に登場する2つの主題のモチーフを、変形して発展させる形で、他の部分の主題が形成されていくという構成だそうです。

1 変ホ長調、4/4拍子
弦のユニゾンが直ちに第1主題を奏でます。続いてサクソフォンが主題を変形させつつ反復し、主題に含まれるいくつかの要素が、変形されつつ登場し、展開していきます。
第2主題は、ト短調に転じ、第2主題の音階的なパッセージの要素が次第に拡大して、急速に下降する音形で、半ば唐突に曲が終わります。

2 変ハ長調、3/4拍子
先の第1主題の要素から発展した主題から始まり、サクソフォンのカデンツァとなります。
カデンツァの末尾から、先の第2主題の変形の断片が繰り返され、12/8拍子のフーガ主題に発展していきます。

3 サクソフォンにあらわれたフーガ主題は弦楽に引き継がれ、先の主題も組み合わされて、対位法のテクスチュアをつくり、主題の再現と回顧を繰り返します。冒頭に出てきた第1主題に戻って終わるもの。

約15分の楽曲です。冒頭の弦のユニゾンは、とても泥臭いインパクトが強く〜 暗いっ、と叫んでしまいそうですが、すぐに弦が歌謡風フレーズを奏で始め、アルトサックスが入ってくると、がらり〜と雰囲気が変わります。

須川展也 デビット・パリィ フィルハーモニア管弦楽団 1996年 
Nobuya Sugawa
David Parry
Philharmonia Orchestra of London

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。とってもオシャレで〜 嬉しくなっちゃた。
カップリングは下記のとおり。
サイバーバード 須川展也サクソフォン協奏曲

1〜3  吉松隆 サイバーバード協奏曲
4    グラズノフ サクソフォン協奏曲
5    ドビュッシー ラプソディ ヴィラ=ロボス ソプラノ・サクソフォーンと室内管弦楽のための幻想曲
6〜8 イベール アルトサクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲

須川さんの盤は、録音状態がとっても良い。で、とても楽しい。
冒頭、低弦のユニゾンで、「ふぁ〜み そぉら れ しぃ〜ら どぉ〜 しらそふぁみれど ふぁみれ〜ら どぉ〜」
この前、ケルケゾス盤で聴いたのだが、このフレーズが、とっても重くて、のけぞりそうになったことがある。メチャクチャ泥臭くて、湿気があって、極端な話し、泥沼に足を取られたような不快さがあった。
この須川盤で聴くと、さらっと流れて出てくるので、全く違う。かなり印象が異なる。
オケは、同じフィルハーモニア管なのに、こうもアプローチが違うのかしらん。

で、「どしら〜 そら そふぁみ〜 れみ れどしぃ〜ふぁそぉ〜 そふぁみぃ〜」っと、風が吹いてくるかのようなフレーズだ。
この序奏のあとに、サックスが入ってくる。
「ふぁ〜そふぁみ そぉ〜ら れ みふぁそ らぁ〜そ れぇ〜ど しらそふぁ らぁ〜そふぁみれ そぉそ そぉ〜」
「どみそ らぁ〜 ふぁ そぉ〜そそ そぉ〜」
「どみそ らぁ〜 れふぁら しぃ〜ら れぇ〜ふぁみれしそ どぉ〜み れどらふぁ しれど〜し そぉ〜らみそふぁ どみ・・・」と、主題を転がるフレーズを交えて吹いてくる。
あーっ 爽やかな春風のような雰囲気だ。聴きようによっては、秋風のようなフレーズかも。
ここは、聴き手の心情にまかされているようにも感じる。ワタシは、春なんですけどね。

柔らかい弦の、さらっとした雰囲気が心地よいし、サックスの ちょっと寂しげな歌謡風フレーズが、素敵だ。
オシャレに仕上げようという、意図が感じられるし、フレーズによって、太いところこと細身のところの吹きわけが、巧妙で、ジャズっぽいところが感じられて素敵だ。
ちょっとテンポをあげて、小声で、早口で回転して、スピードをあげるところが、一様ではない。
こういちゃなんだが、メリハリがあって、さらっと、やりすごす。ベタにやらない。この軽妙さが、すごく巧いように思う。

で、また、あの主題が戻ってくるのだが、この須川盤では、泥臭いのを強調しているわけではないので、とっても聴きやすい。まあ、ひとくちで言うと、とっても洗練されている。
カデンツァ部分も、表情が豊かだ。
繊細さと野太い声の太さがあって、特に声自体が、とっても柔らかい。
そして、音質の変わり方が、するっと変わって巧妙だし、特に、甘く、セクシーに囁かれるようなフレーズには、むふふ〜っと、なってしまう。
クラリネットも、低音と高音で、かなり音質が変わる楽器だと思うが、サックスは、それに加えて、セクシーさが加わる。
(あっ クラリネットも、もちろんセクシーですよ)
しかし、 このセクシー度合いは、やっぱり、コーラングレかサックスが、ダントツでしょう。
須川さんのサックスには、リズム感の良さと、テンポの良さ、そして、弱音部分のふっとした息づかいがすごい。で、とっても、色気が感じられる。そうそう、女性も、ちょっとした仕草で、雰囲気が変わるでしょ。

で、 須川さんの演奏で、グラズノフさんの楽曲を聴くと、あの泥臭い演奏が、すっかり洗練された楽曲に早変わり。
どう、ワタシ、オシャレでしょ。と言った感じで、ちょっぴりセクシーな女性が、目の前に立っているかのようで〜 とっても魅惑的に感じちゃう。へえ〜 サックスの吹き方で、こうも印象が変わるのかぁ〜と、改めて驚いてしまった。
もちろん拍手〜っ。

セオドア・ケルケゾス マーティン・ブラビンズ フィルハーモニア管弦楽団
2002年
Theodore Kerkezon
Martyn Brabbins
Philharmonia Orchestra

げっ ぞっ


録音状態は良い。主題の部分が、とても重くて、泥臭く聞こえる。
このCDは、Music for Saxophone and Orchestra とタイトルされたものでナクソス盤である。
カップリングは、次のとおり。

1       ドビュッシー アルト・サクソフォンと管弦楽のための狂詩曲(オリジナル版)
2〜4     ミヨー アルト・サクソフォンと管弦楽のための組曲「スカラムーシュ」
5〜7     イベール 室内小協奏曲
8〜10   ヴィラ=ロボス ソプラノ・サクソフォン、3本のホルンと弦楽のためのファンタジア
11     グラズノフ アルト・サクソフォン協奏曲
12〜14 エカテリーニ・カラメッシーニ サクソフォン協奏曲「デュオニュソスの歌」

冒頭、低弦のユニゾンで、「ふぁ〜み そぉら れ し〜ら どぉ〜 しら そふぁみれど ふぁみれ〜ら どぉ〜」というゴツイ旋律が奏でられる。
もう、このインパクトが強すぎて、ごっつーっ。泥臭い。およそアルトサックスの協奏曲とは思えないほどなのだが・・・。
すぐに、甘い歌謡風の柔らかい弦が登場する。
そして、すかさず、アルトサックスで、「ふぁ〜みそ ら〜れ ら〜れ どしらそふぁ・・・」と、同じ歌謡風フレーズを甘く吹いてくるのだ。んじゃ、あの暗くて強烈に泥臭い低弦のユニゾンは、なんだったの?
まあ、冒頭が主題で、そこから、楽器によって、ふわふわ〜っと変形していくのである。で、気持ち良く吹かれているな〜スケールのようなフレーズも登場するなあ。と思っていると、また、あの暗いテーマが再登場する。
う〜ん 唐突な登場だ。
全く性質を異にするテーマを入れることによって、明暗を描いているのかもしれないが、あまりにも違いすぎて、曲が分断されるような、違和感を覚える。
アルトサックスのフレーズは、歌謡風で、どちらかというと、たらたらしてて冗長的かもしれない。
もっと快活なフレーズはないの? と言いたくなってしまうような、今でいうムード音楽っぽいかも。いつまで続くの?
と、文句を言っていたら、またあの冒頭のフレーズが、サックスで吹かれたりする。

サクソフォンのカデンツァは、音階的で、付点がついててリズミカルっていうモノではない。
だから、音が、均一に飛んでいくところが、ちょっぴり、つまらない。
ら〜ら ら〜ら らら らら そふぁみれ・・・と遊んで、オケが再登場してくるのだが、ちょっとなあ。
どことなく、フランスっぽい遊びも垣間見られるので、軽妙で楽しい雰囲気もするのだが〜 もう少し、この部分が、たくさんあって、もっと、のってのって、弾んでくれたらよかったのに。

ワタシには、まるで、冒頭の暗い第1主題はグラズノフの祖国ロシア、ちょっぴり軽妙なスケールのような第2主題は、グラズノフが亡命していたフランス。という感じに聞こえる。
まあ、そういう感じで聞いたら、納得できるけど、いかにも、泥臭いテーマがねえ、足を引っ張っているようで〜
あまりに極端な主題なので、最初聴いた時には、全く、馴染めなかったです。
この当時、サックスの協奏曲は珍しかったらしいのだが、やっぱり、軽快で、ころころと転がって、気持ち良く弾んでいくところと、甘くとろり〜っと、耳元で囁くような呟きが欲しいかあな。
ワタシ的には、このCDで聴くと、ミヨーの室内楽の楽曲が、メインでしょうね。
グラズノフさんの曲は、ちょっと分が悪いかも。

1996年 須川展也  デビット・パリィ  フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★★★
2002年 セオドア・ケルケゾス  マーティン・ブラビンズ フィルハーモニア管弦楽団 Naxos ★★
所有盤を整理中です。

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