「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

グラズノフ ヴァイオリン協奏曲
Glazunov: Violin Concerto


グラズノフのヴァイオリン協奏曲(作品82)は、1904年の作品です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

レオポルト・アウアーに献呈されており、1905年に、アウアーの独奏で初演されています。
3楽章の作品ですが、単一楽章のようにまとめられており、中間楽章は実質的に、カデンツァとなっています。
カデンツァは、作曲家自身が書いており、重音奏法を駆使して、作品中の最大の難所となっているとのこと。
3楽章の構成で
1楽章は、イ短調、自由なソナタ形式
2楽章は、緩徐楽章とカデンツァの融合で、前半部は、第1楽章第2主題を、後半は第1主題を素材とするもの。
頻繁に転調するため調性は流動的である。
3楽章は、イ長調、三部形式風のロンド形式

グラズノフの器楽曲としては、独奏パートの演奏技巧の追究と、オーケストラの音色表現の充実ぶりにおいて、全般的に華麗な表現技巧が際立っており、オケには、ハープや、グロッケンシュピールが必要となっています。
歌謡風のフレーズの平明な、甘美な旋律にうっとりさせられる楽曲です。

ムター ロストロポーヴィチ ナショナル交響楽団 1988年
Anne-Sophie Mutte Mstislav Rostropovich
 The National Symphony Orchestra

いかすぜっ

録音状態は、ちょっと古びている。演奏は、なんともカッチリした楷書体で驚かされるものの繊細さも感じる。繰り返して聴くと、スルメ的に味わいが出てくる。
キッパリ、端麗辛口系の演奏です。
 
カップリング:グラズノフ ヴァイオリン協奏曲、プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番、シチェドリン:オーケストラのためのスティヒラ

グラズノフのヴァイオリン協奏曲は単楽章で、3つの楽章が続いている。ホントに3つかと言われると、かなり怪しくて〜 カデンツァ部分を挟んで、2楽章にしても良いかもしれない。

冒頭の「しふぁ〜そ ふぁみ ど〜しれ〜 どら〜ふぁ〜し〜」
「どふぁ〜みしどら〜 どふぁ〜みしどら〜」
深い音色で渋いっ。メチャ渋いけれどフレーズそのものは甘いっ。抒情的というか、ちょっぴり悲しめの恨み節風のフレーズで、女々しく泣いている感じがする。
どれみふぁ〜という白鍵音ではなく、黒鍵ばかりだが、あまり暗さはなく、明るめだ。
「れ〜し〜そ〜 み〜 どしら どみそ〜ふぁ みふぁし〜 れみふぁ そふぁれ〜」 
室内楽っぽく、弦楽四重奏的に聞こえるような、金管は不要ではないかしらんと思うほどで、オケ全体で音を構成しなくても、弦五部だけで、よいんじゃーないかしらんと思うほどの、弦中心の響きとなっている。
だから、渋みもあるし甘みもある楽曲だが、ヴァイオリン協奏曲とはいえ、高音域の音色がほとんど使われておらず、ビオラでよいんじゃーないかと思うほどの、音の高さだ。

「ら〜れ〜 ふぁみれ〜ら らしどれ み〜ふぁ〜 そふぁみらぁ〜 らしそふぁみーしみ〜」
何度も主題を使っているが、それが大河のようなうねりにならず、チョロチョロと清流のようになっていて、主題が展開していかないという、もどかしさが残るが、 楽器を変えて主題が繰り返されるため、そのうちに、耳に馴染む。
ダメ押しをするほどの甘さではないし、少し甘いフレーズを使って、あまり展開していかないというか、歌が広がっていかないので、結局演歌かな〜って感じになってしまう。

これが、グラズノフって言えばグラズノフなのだろう。親しみやすさはある。憎めないおっちゃんなのだ。
短い4つの音を、音階式に繰り返すような箇所が出てくるが、これだって、なんで〜こんなフレーズを使っているのだろう。あまり意味のない、アクセントとして入っているだけのようで、楽曲の構成がヤワイんですかねえ。
さびの部分が耳あたりが良いが、さびしかないと、う〜ん。ちょっと、 やっぱ飽きちゃうかもしれない。
結局、何が言いたいの? と問いかけたくなるんですが。 鼻歌を、大きく構成しようと思っても、難しいかなあ。

カデンツァは、堂々とした迫力には欠けているが、旋律美は、さすがに美しい。
「そらし れっどっ」と、弦をつま弾くところ。重音で弾かれるところ。声を震わせて〜ハラハラと音が泣くところ。むふふ。
女ごころたっぷり〜という風情になっている。
ムターさんのヴァイオリンは、イメージ的には、たっぷり〜としているのだが、この楽曲では、濃厚ではあるが、全体的にはさらり〜風味で、意外と、どっぷり型ではなかった。まあ、楽曲自体が甘いので、これ以上は〜ということだろうか。

カデンツァ後は、金管が入って舞曲風の華やかさが出てくる。
「ふぁ しっしっ どれみ ふぁっふぁっ らふぁ〜 みれ〜どし〜」 
「ふぁ しっしっ どれみ ふぁっふぁっ らふぁ〜 みれ〜どし〜」
さあ舞踏会の開催ですよ〜と、可愛く、優美に、ちょっぴり高らかにファンファーレが吹かれ、陽気な雰囲気となってくる。祝祭的といえば良いだろうか。
この旋律だと、赤ら顔をしたウォッカ大好きって、おじちゃんたちが群がってきそうだが・・・。
ムター盤では、可愛く、上品で、どこかお子ちゃま向き風な、メロディーとしての雰囲気を出している。
まるで、オルゴールのように〜 ディズニーみたいに〜 (笑)

ロストロポーヴィチさんとムターさんでは、かなりコテコテ〜 ロシアの匂いというよりは、ウォッカの匂いがするんだろうな。
と思っていたが、意外とあっさり。あれれ〜 拍子抜けという感じだ。  
下手しちゃうと、世俗的に、単なるお祭り騒ぎとして鳴りそうなモノだが・・・ そこは、上品に仕上げてあった。
コテコテ、ネチネチの演歌にはなっていないところが、まあ素敵なのだが、第一級の音楽家は、これはベタには演奏できないわ。ってなことなんだろうか。ちょっぴり、モノ足らない感じ。
(↑ ワタシは、何を期待していたのだろう・・・ 笑)
最後は、快速ですっ飛ばし〜 超高音で、かっと〜飛ばして〜 さらり〜っ。あがりっ。ぽん。だった。
たった20分のヴァイオリン協奏曲だが、20分3秒で正解なんでしょうねえ。

フランク・ペーター・ツィンマーマン フランツ・ウェルザー=メスト
ロンドン・フィル  1993年

Frank Peter Zimmermann
Franz Welser-Möst London Philharmonic Orchestra



録音状態は良い。爽やかで、意外と都会的でさえあって〜
嬉しい一面が見られる。
カップリング:ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲、グラズノフ ヴァイオリン協奏曲
グラズノフのヴァイオリン協奏曲は単楽章で、3つの楽章が続いていると言われる。
でも、このCDは、親切にインデックスが5つに区分されている。

冒頭の「しぃ ふぁ〜そ ふぁみ どぉ〜しれ〜」 渋い色で、甘い旋律が続く楽曲だ。
でも、このツィンマーマンさんのヴァイオリンは、さっぱり系で、あっさり〜 弾かれてしまう。
歌謡風のフレーズの 「れぉ〜 し〜そ〜みぃ〜」「どしら どみそ〜ふぁ みふぁしぃ〜 れみふぁ らそれ〜」
そよ風が吹いているかのように、ささーっと 流れていく。
良くも悪くも、さっぱりしてて〜 意外と音に抑揚をつけないで歌い込まない。
ちょっぴり鼻声で、甘く、すり寄ってくるかのようなフレーズが続くのだが、ここでは、こねくりまわさない。
くどく歌い込まず、高音のヴァイオリンのさらっとした音の響きで、うえに向かって、音をきれいに舞いあげていく。

新鮮だと言えば新鮮に聞こえてくるし、若いね〜と言えば若い。
妙なセンチメンタルな感傷に浸らず、音が重くならず、とろ〜とした感覚はない。かとって、夢みる夢子さん的でもないし、しっかり足元を見て、現実的だ。
爽やかに、草原を散策して、木陰に座り、ひとしきりおしゃべりをしては、木綿のハンカチを振って、別れてきたわ〜って感じで、あっけらかんとしている。

特に、高音域に透明感があって、明るいトーンで、楽しげで清潔感があふれている。
後半の歌謡風フレーズ、 「ふぁ しっしっ どれみ ふぁっ ふぁっ らふぁ〜 れっれっ みれどし〜」
泥臭く演歌調にならず、可愛く、少女を演じているかのようで、特に、弦のつま弾く、はずんだフレーズがとっても可愛く、高音域の粒が、小さなマンドリンのように響いている。

そのくせ、生活臭くもないし、どこか、洗練された雰囲気を持っていて〜
大衆くさいかと思えば、しっかり、都会的に、スマートに演奏されているところもある。
なんだか、このアプローチは意外と難しいんじゃーないの? だって、この楽曲、結構、泥臭い。普通に演奏したら、泥臭くなっちゃうと思うんですよね。それが、爽やかで都会風にさえ聞こえるってんだから〜 
著名なヴァイオリニストが弾くと違う・・・(笑)

グラズノフのヴァイオリン協奏曲って、難曲でもなさげだし〜 素朴だし〜 中央に配置されたカデンツァも、その存在感は、さほど、強力で圧倒的でもないし・・・ 
民族的でアクの強そうなこの楽曲が、これじゃー まるで少女趣味だよぉ〜と、思っちゃうほど、様変わりしており、そのキラキラした高音域の音色が、可愛すぎるので、思わず笑えてしまう。 
寒い大地のロシアという感じではなく、パリで、都会のハイソな女性と、コミカルに、粋に遊んでいるかのような〜
そんな光景さえ浮かんでくるほどの演奏で、嬉しい誤算でした。

1988年 ムター ロストロポーヴィチ ナショナル交響楽団 ★★★
1993年 ツィンマーマン フランツ・ウェルザー=メスト ロンドン・フィル EMI ★★★★
1995年 ヴェンゲーロフ アバド ベルリン・フィル  
1996年 シャハム プレトニヨフ ロシア・ナショナル・フィル
所有盤を整理中です。

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