「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ヘンデル ハープ協奏曲
Handel :Harp Concerto


ニカノール・サバレタ ポール・ケンツ ケンツ室内管弦楽団
1966年
Nicanor Zabaleta 
Paul Kuentz & Paul Kuentz Chamber Orchestra



録音状態は良い。66年なので、古めかしいことは致し方ないが、強くつま弾くところと、柔らかい残響を残すメリハリのついた演奏だと思う。柔らかいが、楷書体で丁寧で、カッシリしている感じがする。

カップリング:ヘンデル ハープ協奏曲、ヴァーゲンザイル ハープ協奏曲、シュポア ハープのための変奏曲、モーツァルト フルートとハープのための協奏曲

普段、あまりバロックは聴かないのだが、のどかな昼下がりなんぞは、ちょこっと聴きたくなってCDを取り出す。ここで取り上げるCDは、ヘンデルのハープ協奏曲である。
で、このハープを弾いているニカノール・サバレタさんは、スペイン人の男性ハープニストだ。ハープを弾いておられるのは、何故か圧倒的に女性が多い。NHK交響楽団でも女性の方だし、男性の方って、拝見したことがないように思うのだが〜。何故なんでしょ。やっぱ柔らかい楽器で、女性の方が雰囲気があっているんでしょうか。

吟遊詩人が登場している頃は、ちっさくて、片手でつま弾くような竪琴って形だし、男性が弾いているようなイメージもあるんだけどなあ。
改良に改良を重ねられて、ペダルもついて、現在のように大きい楽器になったようである。
さて、ハープって、管弦楽曲のなかに採り入れられた曲も多いし、気持ちの良い楽器であることは確かだが、普段メインになって弾いているのを聴いたことがない。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、「ヘンデルのハープ協奏曲変ロ長調が、音楽史上最初のハープ協奏曲とされる。バロックや古典派の時代にも作曲されているが、むしろ近代、現代に作品が多い。」とあった。
へっ。バロックぐらいしか、楽曲が無いモノだと思っていたのだが、どうやらワタシの勝手な思い違いだったらしい。まっ、もっともヘンデルの楽曲自体を、さっぱり聴いていないので、恥ずかしくて〜
ワタシが知っていたハープが使われた有名曲っていえば、モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲ぐらいだったので、ミヨーにヴィラ=ロボス、ヒナステラ、グリエール等、結構、最近の作曲家がハープ協奏曲を書いていたことに、超びっくり〜 あらら〜 身が縮む。ハズイ。

1楽章
「そらしどっ みみみ みぃ〜 そらしどっ れれれ れぇ〜」
「みふぁそ〜 みふぁそ〜 らしど〜 らしど〜」
「どれみ ふぁっそっふぁみれ れれれれ れれれれぇ〜」という超軽やかなフレーズから始まる。
この出だし、聴いたことがあるっ。
まるでヒーリング音楽のようで〜 ご大層な硬いクラシック音楽とは違ってて、あくまでも人を喜ばすような心地良い楽曲である。まっ 時代が時代ですもんねえ。王侯貴族のためのサロン音楽ってことだろうし、春のうららかなお天気のような、心地良いオルゴールのようなハープが流れてくるのだ。
「れっ そしられ そしられ そしられ しみれど し〜らら らそそぉ〜」
とっても短い楽曲で、3楽章まであるが、サバレタ盤で13分程度だ。
冒頭のフレーズが繰り返し使われてて、音が違って使いまわされている。すごく解りやすく、可愛い曲で、耳にすれば一度に好きになっちゃうと思う。
「みふぁそ〜 みふぁそ〜 みふぁそ〜 そっ どみれそ そっ どみれそ どみらっれ〜」
延々に可愛く続いていくような感じがする。

2楽章
ゆったりとした、儚げな楽章である。パンフルートのような音色の木管楽器が綺麗に入っている。
「みぃれ〜 どぉしら〜 ふぁっみれ〜そ み〜れどし みしどれ どしら〜」
ハープで弾くとき、長くのばす音の部分は、どうしているんだろ。
ペダルを踏むのかなあ。
ハープ独特の和音が綺麗で、柔らかい残響がすごく綺麗だ。主旋律をツヨメに弾いていて、その他の音は柔らかく添えられているし、フレーズの盛り上がるところは、琴のように鋭く弾かれている。
この強弱も、う〜ん。見事だよなあ。
「みふぁそ らっ どっどっどっ〜 みふぁそ らどみ らぁ〜」
流れるようなフレージング、パラパラパラ〜とした細かい音。

3楽章
「そっ らぁ〜そ ふぁみふぁれみ れどれしど っそ」「どっそぉ どっそぉ〜 そっ らそふぁみれ〜」
明るい跳ねるようなフレーズから始まる。
穏やかな音と、弾んで跳ねる音と、結構、ハープって多彩なんだなあ。と感じる。
お星様が瞬いているような綺麗な音だ。
シンプルなフレーズ「どっそぉ〜 どっそぉ〜 そ〜らそふぁみれ〜」の繰り返しなのだが、これだけ聴いているだけでも、音楽もシンプル・イズ・ベストなんじゃないだろうかと思うほど。
後期ロマン派の楽曲のように、フレーズが込み入ってて、ぐちゃぐちゃした感情が入り乱れ、複雑怪奇に膨らんだ楽曲も良いけど、まー なんてシンプルなんだろ。
広い草原で、夕方、空を見上げて、一番星みーつけたっ。的な、喜びを感じちゃうなあ。
爽快で軽やかで、ホント気持ちの良い楽曲で〜 ヘンデルさんを見直しちゃいました。

サバレタ盤は、66年という古い録音のCDだが、適度な残響の良さがある。
サバレタさんのつま弾くハープは、硬めだが、柔らかくも聞こえ、メリハリのついた演奏だと思う。初期ステレオから移行したCD盤だと思うので、透明度が高くないのは致し方ない し、奥行きは、どうしても焦点のはっきりしないソフトフォーカス的録音ではあるが、その古さを凌ぐ、演奏のメリハリの良さ、人肌の温かい空気感に包まれるという独特の 雰囲気を持っている。

ユッタ・ツォフ レーグナー シュターツカペレ・ドレスデン
1973年

Jutta Zoff  Heinz Rögner
Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)



録音状態は良いが、残響が少し多め。サバサバしているくせに、どこか、ちょっと、メリハリ感に乏しい。

カップリング:ヘンデル「ハープ協奏曲」、ディッタースドルフ「ハープ協奏曲」、フランセ「ハープとオーケストラのための6楽章の詩的な遊戯」

1楽章
「そらしどっ みみみ みぃ〜 そらしどっ れれれ れぇ〜」
「みふぁそ〜 みふぁそ〜 らしどぉ〜 らしどぉ〜」 「どれみ ふぁっそっふぁみれ れれれれ れれれれぇ〜」ツォフさんの演奏は軽やかで天使の羽根みたいで、チャーミング。
まるで、柔らかいオールゴールの音色のようで、粒立ちのキラキラ度の高い演奏というよりは、残響が少し多めなので、天上音楽のような宙を音が舞っていくような感じがする。
細かい動きになると、その点、音が残響で濁るような感じがする。

余韻が残っている間に、オケの音と被さってしまっているのと、「みふぁそ〜みふぁそ〜 らしど〜らしど〜」という主旋律や、細かくフレーズがつま弾かれて時に、左手(?)の「みそみど ふぁどらふぁ・・・」って感じの伴奏フレーズが入ってくるところは、音の像が、ぼんやりしちゃう。
多分、残響だと思うのだが〜 ハープって、片一方の手で残響を押さえるんだけど、両手で弾いていると余韻を押さえることができないでしょ。(手で弦を押さえて残響を止めちゃう)
で、きっと、音が被さって、音の像が、ぼんやりしちゃうのかもしれない。フレージングも、どこか、ギクシャクしているような感じがするし、ちょっと、その点が気になっちゃった。
サバレタ盤では、残響が気にならなかったんだけどなあ。サバレタさんは、どうやって音を止めているんだろ。特殊なペダルを使っているのかなあ。不思議だな〜。

2楽章
サバレタ盤だと、結構、ゆったりとした演奏で、夢幻の世界的な、はかなげ〜って感じの楽章だと思ったのだが、ツォフ盤で聴くと、さっぱり、あっさり系。
もう少し雰囲気があるのかと思っていたのに、ちょっと拍子抜け。濃厚さというか、コクが少なめで、情感たっぷり〜切なく〜という情緒的な演奏ではない。

また、ハープ独特の残響は綺麗だし、教会で録音しているので、空間的な広がりを期待していたのだが、この盤で聞くと、ハープが元々持っている残響の広がりは、どことなく、ぼんやりしてて、充分にマイクに拾えてないような気がする。
間接音を聴いているような喜びは少ない。
ソフトフォーカスされすぎて〜 ピントが合っていないような感じ。
また、サバレタ盤だと、強く、つまびくように弾かれていた音が、際立っておらず、メリハリ感が少なめで、そのためか、インパクトが少ない。平板な感じがしてしまった。
録音は、ルカ教会でされており、ここの教会で録音されたオケの演奏は、大好きである。しかし、オケとはハープは違うしねえ。なにせ、73年録音のCDだからな〜 仕方ないかも。

3楽章
「そっ らぁ〜そ ふぁみふぁれみ ふぁみふぁれど っそ」「どっそぉ どっそぉ〜 そっ らそふぁみれ〜」
「そっら〜そっ ふぁみふぁれみ れどれしど っそ」
「どっそ〜 どっそ〜」というフレーズが、まるで鳥が鳴いているような感じがする。
明るくて、飛び跳ねるような可愛いフレーズなのだが、このユッタ・ツォフさんの弾くハープは、あまり弾まない。可愛いのは可愛いのだが、湿気の含んだ音質であり、明晰なフレーズとなっていない。
粘りまでは感じないんだけど、やっぱ、湿気の含んだ重みを感じちゃうかな。

「どっそ〜 どっそ〜」と、語尾に向かって、尻上がりに明るく、弾まないんだよね。
内省的というか〜 おとなしいというか。う〜ん。ワタシとの相性、性格の違いかしらん。
もっとも、お上品って言い方もあるかもしれないが・・・。ワタシ的には、もう少し外向的でも良いんですけどね。(笑) 
明るくて、のびのびした弾んでいく楽章だと期待していたのだが、ツォフ盤で聞くと、どこか平板で、活気がなく、暗く沈む感じがしちゃうのだ。テンポのゆったり感から来るモノかもしれないが、どこか、感情の豊かさ、深さ、広がり感、楽しさが少ないと感じてしまう。

レーグナーさんの指揮と、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏は、この盤では、完全にバックに徹しているが、ワタシ的には、もう少し可愛く、しっとり感があれば嬉しいかも。
1楽章は良かったのになあ。(← それでも、3楽章同様の感想で、どことなく内省的ですけどね)
1966年 ニカノール・サバレタ ケンツ ケンツ室内管弦楽団 ★★★★
1973年 ツォフ レーグナー シュターツカペレ・ドレスデン DS ★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

Copyright (c) mamama All rights reserved