「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

イベール フルート協奏曲、アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲
Ibert:
Flute Concerto, Concertino da camera


ジャック・イベール(Jacques Ibert)さんは、1890年パリ生まれの作曲家です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
1910年、パリ音楽院に入学し、第一次世界大戦中は海軍士官として従軍されています。1919年、カンタータ「詩人と妖精」でローマ大賞を受賞し、代表作は「寄港地」ですが、楽しい協奏曲も作曲しています。
その作風は、軽妙、洒脱、新鮮、洗練などと言った言葉で評されます。

協奏曲の作品は、
1926年 チェロと管楽合奏のための協奏曲
1934年 フルート協奏曲
1935年 アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲
1948年 オーボエと弦楽合奏のための協奏交響曲
1953年 ルイヴィル協奏曲などがあります。

ティモシー・ハッチンズ
デュトワ モントリオール交響楽団 1992年
Timothy Hutchins  Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)



爽やかで色彩感豊かな演奏である。
録音状態は良い。カップリングは下記のとおり。
イベール 作品集「寄港地」 デュトワ モントリオール交響楽団

1 寄港地〜3つの交響的絵画〜 ローマ〜パルレモ
2 寄港地〜3つの交響的絵画〜 チュニス〜ネフタ
3 寄港地〜3つの交響的絵画〜 バレンシア
4 フルート協奏曲
5 モーツァルトへのオマージュ
6 交響組曲「パリ」
7 バッカナール
8 ボストニアーナ
9 ルイヴィル協奏曲

イベール フルート協奏曲

イベールの作品って、生粋のパリジャンって感じで、メチャ楽しい楽曲が多い。
でも、代表作と言えば「寄港地」って感じで、あとは、意外とメジャーではない。寄港地も、異国情緒タップリの楽曲だが、単なる風景画的な曲だと思いこんでいた。フルート協奏曲は、20世紀のフルート協奏曲作品としては、かなり有名らしいが、実のところ完全なモグリで知らなかった。でも、聴けば、こりゃ〜 面白いよね。イベールのフルート協奏曲は、20分弱の楽曲である。

1楽章
冒頭、「れみ〜 れ〜(タラララララ〜)れっ そっ!」
まるで、デュカスの「魔法使いの弟子」の最後の終わり方のような、物語の落ち「○○でした〜」
「ジャ〜ジャ ジャン」から始まる。
は? 物語の終わったような「落ち」から、フルートが生まれてくる。
いやはや、ケッタイな始まりである。
で、フルートは透明度のある音色だが、なーんか、よくワカンナイようなフレーズが、たらららら〜と続いていくのだ。たらら たらら〜というより、ピコピコピコ〜という感じ。
これが、主題なのかしらん。速すぎて音はとれません。でも、なーんか心地良く響いてくるだよなあ。
ピアノも打楽器のように使われるけど、フルートも長音だけじゃないようだ。
で、ところどころ、「ぴろろろ ろろろ〜」と鳴るところが面白かったりする。
主題が変わると、長音になってて〜 「らどみ〜みふぁ〜 そどみ どふぁふぁ〜 らそふぁ〜」
って感じなのだが、これ半音がイッパイ入ってて、硬めのドイツ系のフレーズとは、まーったく色合いが違う。
まっ この音の並び方は予測不可能に近い。
でも、フルート自体の音色が柔らかいことと、不快なキーンと耳障りに鳴る楽器ではないので、不快な感じは、まったくしない。
風のように通り過ぎてしまって、後に残らないっていう感じ。音が、なにせ止まらない。ひたすら流れていくのである。はあ。これも、なーんとも、とらえどころのないことで。
シッカリ音を把握して、頭のなかで構築しないと気が済まない方には、ちょっとなぁ〜 ダメかもしんない。
でも、私的には、さらさら〜 ぴこぴこ〜 ぴろろ〜 この感覚は面白い。
中間部で、ティンパニーがパンっと叩かれて、「れ〜どら れ〜どら〜」
また、そこから、無窮動で、ジグザグ〜 あらぬ方向にむかって飛び跳ねていくし、決まった音型を繰り返して、ピコピコ パコパコ〜と続いていく。金管が合わさってボリューム感も出てくるが、なにせ、テンポが速く、息も継がせぬほど、場面展開もスピーディで、ぺろンっと音が合わさって終わる。

2楽章
弦が、「れみら〜 ふぁしら〜」
フルート 「どぉ〜みどぉ〜 ふぁみれど〜 し〜らふぁ〜 れ〜みら ふぁみれ〜」
「し〜らみ〜れ〜 どみそ〜ふぁしれらそふぁ〜れ〜みど〜 れみふぁ〜」
↑半音たっぷりだが、めちゃ穏やかで、懐かしい気分にされる郷愁感たっぷりの楽章である。
「れそ らし〜み らふぁ〜どふぁ〜そら れそみ ど〜ふぁそら〜しどれみふぁ〜そら〜」
どこで音が切れるのやら、拍の調子はつかみづらいし、かといって解りやすい気もするし。
なーんか、不可思議な音の波が続く。音のあがりさがりが、特に予測しづらい。
あがるかと思っていたら、1オクターブ下がったりして〜 あれれれ〜 
この予測不可能に諦めて、聞き進むうちに、ぼわ〜っと暖かい雰囲気で、生ぬるい湯に浸かっているような気がしてくる。感覚的には、ふわ〜っ、ぷわ〜っと浮かんでは、ぽわぽわ〜 
浮遊感たっぷり。
ハッチンズさんのフルートも、柔らかく色彩的で、暖かい音色で、煌めきも適度にあって、光の粒のように感じる。そうだな、あえて例えるなら、シャボン玉風である。
小さな粒や大きな粒が作られて、ふわ〜っと飛んでいくような、なーんとも言えない、のどかな童心に戻る心情に近い。草原で作られたシャボン玉のように、キラキラしつつ、ちょっとした風にもなびいて、放たれていく。バックのオケは、柔らかくソフトである。フルートが二重奏になっている箇所があり、音の幅が広がっている。ささやかな開放感、素朴感、音の持つ不思議さ、自然に耳を傾ける心情になる。
テンポ設定が、ゆったりしているなか、適度な色彩があり、フレーズの柔らかさと共に、煌めきを持っており、そこが締まっている感を与える。バックのオケ 特にヴァイオリンの音色が、綺麗な細い線を描いていることと、金管の音色の柔らかい煌めきが、まるで、銀レフのように、フルートに柔らかい光を与えている。
これは絶品っ。

3楽章
ティンパニーと共に、弦と金管が、「そぉ そっそっ そぉ そっそっ」 開放的なブラスの「どれど しらし そ〜」「っん〜 ジャジャ っん〜 ジャジャ」 これが繰り返されて、遊園地みたいな雰囲気だ。
楽しいロンド形式のちょっと派手めの楽章だが、デュトワ盤は、あまり派手に鳴らさない。ちょぴり上品さを装っているらしい。ふふふっ。幾分テンポをゆったりめにとっており優美だ。
とても印象的な楽章で、ブラスバンド好きな人だったら、メチャ嬉しいだろう。
フルートは、この明るくて開放的で、陽気でたまらんフレーズに乗って、タラララン タララランを繰り返して行く。春の陽気そのものって感じで、湧き上がる陽気さに、うかれてしまいそうだ。

序奏部分は、やっぱりブラス部分の明るくて、ちょぴり割れた音の構築、弦の、タララ ラララ ラララ〜というリズム感、
中盤は、全く色の違う主題が入ってきて、横笛的に、風をイメージする音が入ってくる。
なーんていう構成なんだろう。と驚かされるが、違う色合いを持ってきて、バランスを取る感覚が、わからなくもないけれど。この主題のつなぎ方が鮮やかかな。驚かされちゃうんだけど。
「れ〜 ふぁらどみらふぁ〜」← 音が違うと思うんだけど。微妙な色彩感覚に、こりゃ〜やられちゃう。
最後は、またフルートによって、プチプチと音の粒が生まれてきて、動き始めるのだ。
弦は、冒頭の「れっれ れっ れっれ れっ」というリズムを添えてくるし、う〜ん。
フルートの多彩な一面を見せつけられたような気がする。
フルートの色が、メチャ多彩なことだけは、よーくわかった。
陰と陽 そして、中間の色彩の幅の広いこと。すっげ〜明度も彩度も、するっと移行しちゃえるんだなあ。
楽器自体の知識もないし、聞き込んだこともなかったけれど、いや〜すげっ。感心しきり。
3楽章は、とっても陽気な楽章だが、単なる陽気でハチャメチャに演奏されておらず、かなり上品で、オチャメになっていた。

クラシックって、ドイツ系の至上主義みたいなところがあって、学校では、フランスモノを教えてくれなかったんじゃーないだろうか。(ワタシの時代は、Bから始まる人ばっかりだったような〜)
まっ そんなことは、卒業してから、幅を広げれば良いわけだが・・・
フルートが、パユさんの盤(ジンマン トーンハレ管)も聴いたが、どちらが良いとは、言い難い。
色彩感覚的には、やっぱりデュトワ盤に軍配はあがるけど、もっと聴ける盤が欲しいというのが、正直なところ・・・。
須川展也 デビット・パリィ フィルハーモニア管弦楽団 1996年 
Nobuya Sugawa
David Parry
Philharmonia Orchestra of London

録音状態は良い。楽しい、ホントに洒脱の効いた軽快な演奏だ。
カップリングは下記のとおり。

サイバーバード 須川展也サクソフォン協奏曲

1〜3 吉松隆 サイバーバード協奏曲
4    グラズノフ サクソフォン協奏曲
5    ドビュッシー ラプソディ ヴィラ=ロボス ソプラノ・サクソフォーンと室内管弦楽のための幻想曲
6〜8 イベール アルトサクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲

イベール アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲
Concertino da camera pour saxophone alto et onze instruments

1楽章
「そぉ〜っどぉ〜みっ そぉ〜っどみっ そぉ〜どみ そぉ〜どみ・・・」と言う、警告音のような、パラパラパラ〜という短い序奏のあと、「れぇ らぁ〜し れ ら ふぁれらしぃ〜 どぉ〜み」って感じの軽快な主題が出てくる。
ちょっと、ワタシの耳には速すぎて、ついていけないのだが、明るい楽しいフレーズなのだ。
で、2つめの主題は、「みし〜らどぉ〜 みし〜らどぉ〜 みしれ〜どみぃれ みれ しらぁ」と歌うもの。
パラパラ・・・と、とっても速いし、ホントに、パラパラ〜と吹かれちゃって、アハハ。(汗)
サックスの主題を、オケが繰り返して弾いてくれるので、優しく、甘く残っていく。
ミヨーの楽曲に似た感じもして、なかなかに、軽快だ。

2楽章
サックスのソロで、「れぇ〜どぉ〜 れぇ〜どぉ〜 れどみ らそし ふぁ〜そ そどし ふぁ〜」
「そらみれ どしらそ ふぁみぃ〜 ふぁしられどみれ そふぁ しら・・・」って半音いっぱいの音で、吹かれている。
オケが入ってくると、ちょっぴり様相がかわり、明るくなるのだが、最初は、編み笠をかぶった僧侶みたいな雰囲気なのだ。
暗いけれど甘いというか、甘いけど暗いというか、陰翳の濃い、しみじみとしたフレーズだ。
後半は、オケが入ってきて曲想が、がらり〜とかわる。
軽快になっており、階段を上り下りするような、軽快で明るいもの。
無窮動風というが、そんな速いものではないんだけど、「しぃ〜れふぁぁ〜」という、ちょっと長めの音しか、ワタシの耳で捕らえきれず、ここには、言葉に表すことができない。
もちろん、須川さんのサックスは、表情は豊かだし、オケの方も軽快なのだが、あっという間に終わっちゃう。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に、この楽曲の概要を記述すると
第1楽章 ソナタ形式 4/2拍子
短い序奏の後、サクソフォーンが生き生きとした第1主題を奏し、トゥッティの後、ファゴットと弦に支えられてサクソフォーンが伸びやかな第2主題を歌い徐々に高揚する。いったん静かになった後、展開部となり、第1主題のみが再現されて終わる。

第2楽章 序奏を伴うロンド形式 序奏は4/3拍子
サクソフォーンが独白のように無伴奏で語り、弦が入ってから穏やかな主題を奏する。
拍子が4/2拍子に変わり、活発な無窮動風のロンド主題が、弦、サクソフォーンの順に登場する。
続いて、サクソフォーンで奇想曲風の副主題が奏され、2つの主題が発展した後、カデンツァ、主題再現の順に進み、軽妙に締め括るもの。

独奏アルト・サクソフォーン、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバスで構成され、約12分の楽曲である。
フルート協奏曲
1992年 ハッチンズ デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★
2002年 パユ ジンマン チューリヒト・トーンハレ管弦楽団 EMI  
アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲
1996年 須川展也 パリィ  フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★
所有盤を整理中です。

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