「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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ハチャトゥリアン ヴァイオリン協奏曲 (編曲:フルート協奏曲)
Khachaturian: Violin Concerto


アラム・ハチャトゥリアン((Aram Khachaturian)は、1903年生まれのグルジア(旧ソ連)の作曲家です。このヴァイオリン協奏曲は、アルメリアの首都エレヴァン周辺で民俗音楽を調べていたことを契機にして生まれたとされています。

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
第1楽章 ニ短調 4/4拍子 ソナタ形式
全合奏による短い導入の後、ヴァイオリンがG線上で第1主題を提示します。管楽器とヴァイオリンの経過部を経て、第1主題が反復され、弦による経過句を経た後、グリーグのピアノ協奏曲を彷彿とさせるイ長調の第2主題が現れます。この主題は次の楽章でも再現されます。

第2楽章 ト短調 3/4拍子 三部形式
短い導入の後、ヴァイオリンが歌謡風に主題を提示します。中間部は、管弦楽の伴奏の後、弱音器をつけて民俗風の主題がハ短調で奏でられます。

第3楽章 ニ長調 3/8拍子 拡大されたロンド形式
58小節の導入後、民俗音楽的な主題が現れ、繰り返された後、嬰ヘ短調の主題が現れます。

演奏時間は、約35分の楽曲です。有名なフルート奏者のランパルさんが、68年に、フルート協奏曲として編曲しています。民俗的なフレーズが個性的で、とても情熱的で、汗が迸り、文字どおり血湧き肉躍る、炎が舞いあがる〜という、スケールの大きな楽曲です。豪快な弾きっぷりに、しびれちゃう〜っという曲で、ちょっと汗臭いかもしれません。

ルッジェーロ・リッチ アナトール・フィストゥラーリ ロンドン・フィル 1956年
Ruggiero Ricci    Anatole Fistoulari London Philharmonic Orchestra

いたってフツウ


録音状態は、56年からすると良い。スマートな演奏。
カップリング:ハチャトゥリアン ピアノ協奏曲 P:ラローチャ 1972年、ヴァイオリン協奏曲、組曲「仮面舞踏会」ブラック ロンドン交響楽団 1977年、交響曲第2番「鐘」 ハチャトゥリアン ウィーン・フィル1962年  2枚組BOX
1楽章
録音が1956年なので、さすがに良いとは言えないが、ティンパニーの響きなど、低音がボコボコしているもの、それでも56年にしては良い方だと思う。
「ど〜らし〜そ どしどら〜ふぁ〜」
「そ〜みふぁ〜れ そふぁそれふぁ〜 し〜そふぁれそしふぁ そ〜ら〜」
あまり泥臭い、重々しい冒頭ではない。
ヴァイオリンのソロ部分は、「みそふぁそ みそふぁそ ふぁらそらふぁ ・・・」のところを、「みみそふぁそ・・・」という感じで、1音分のところを2音弾いている感じで、装飾音的に奏でている。
でも、全体的には迫力がない。オケの切れかなあ。
どーしてなんだろう、コーガンさんとモントゥーさんコンビの方が、シャープである。
リッチさんのヴァイオリンも、スマートだしシャープなのだが、切れ味が、コーガンさんと比べると分が悪そう。
違いは、高音域の響きの、ひや〜っとした響きだと思うんだが。
でも、う〜ん。やっぱり比較しづらい。
一番違うのは、カデンツァのところで、コーガン盤ではショート・カットされているようだが、ひぇ〜という首が寒くなるようなフレーズを、長く奏でている。すすり泣き風に、すきま風のように歌う。
短いフレーズを転がるように無窮動風に進んできて、「れ〜れどしれふぁれ〜」をテーマにした、この泣きのカデンツァには、ホント泣ける。ちょっと長いため、くどい感じも受けるが、これがハイライトだろう。
カデンツァ部分が終わると、オケが、「しっ ど〜ら それしそふぁ〜 ら〜 そし〜 し〜」と、転げ落ちるのだが、この入り方が決まってない。
なんとも、まぬけた感じで、がっくり。もっと、ビシっと決めてくれなきゃ。

2楽章
木管が、「み〜ふぁそら ふぁそら しどれ〜 み〜 みふぁれみ〜みふぁれみ〜」と歌い始める。
ふっとい声の木管で、ゆったりと歌うのではなく、風雲を告げるような出だしとなっている。
その後、3拍子で、「しふぁ〜 どふぁ〜 しふぁ〜 どふぁ〜」 ゆったり 感が出てくるが、ヴァイオリンが、「どみふぁ〜 ふぁ〜ふぁら そらそふぁ〜」と歌い始めるところは、どよ〜んとした感じになっている。
コーガン盤は、夢の揺りかご的だったのだが、リッチ盤では、う〜ん。豊満さは感じるが、ちょっぴり緩め。
ちょっぴり、うっぷ・・・。特にオケが重いのかなあ。
湿気の少ない草原的な広がり、枯れ草が、風になびくような雰囲気とは、ちょっと違う。
音が飛翔していかないので、地べたに足がついている、どっしりとしたアラビア風、マッチョなおじさん風が歌う歌声のように聞こえてくる。低音の響きが、ボンボンと響いているためかもしれない。

3楽章
三流のミュージカル映画で見ているような出だしなのだが、ま〜 硬いっ。
オケに軽妙さがないというか、ウジャウジャ・・・と音が薄っぺらい。小気味よく、跳ねてくれ〜
リッチさんのヴァイオリンは、わりと頑張ってオチャメに弾かれていると思う。でも、まあ几帳面だよなあ。
遊び心が満載の楽章なので、ここは崩してくれないと、面白みに欠けてしまうのだが。
う〜ん。気候風土の違った国からやってきました。という感じで、ちょっと杓子定規的に聞こえてしまう。
オブリガート風に刻むリズムも、あまり、オケは弾んでくれていない。
主題が戻ってくる箇所も、「ふぁ〜れどれ そらふぁ〜」という甘いフレーズが、イマイチに感じてしまった。
スマートすぎるのだろうか、ねちっこさ、アクの強さ。独特の土臭さ、草の枯れた匂い。が、漂ってきそうで、漂ってこない。
(って言っても、私にアルメニアのDNAは入っていないのだから、ワカラナイのだが)
リッチ盤は、優しいフレーズに鳴っているし、楽しげで、優美に最後は盛り上がってくる。
じわ〜っとクールに燃えてくるコーガン盤とは違って、ちょっと、お上品なのかもしれない。
でも、うふふ。オケは貧相だし、ちょっと文句も言いたいが〜 でも、楽しい楽曲なのだ。

レオニード・コーガン モントゥー ボストン交響楽団  1958年
Leonid Kogan   Pierre Monteux    Boston Symphony Orchestra

あちゃ〜

録音状態は良い。リマスタリング盤。繊細な音ではあるが、リズム感がすごく良くクールに跳躍し、テンションがあがってくる。
カップリング:ハチャトゥリアン ヴァイオリン協奏曲、プロコフィエフ「アレクサンドル・ネフスキー」 ライナー シカゴ交響楽団 1959年

1楽章
「ど〜らし〜そ どしどら〜ふぁ〜」
「そ〜みふぁ〜れ そふぁそれふぁ〜 し〜そふぁれそしふぁ そ〜ら〜」
いきなり、全合奏で序奏部分を奏でたあと、ヴァイオリンの不可思議な踊るフレーズが出てくる。
メッチャ個性的なフレーズだ。しっかり音が採れない。
「みそふぁそ みそふぁそ ふぁらそらふぁ ・・・」 最初は、機械的に動くフレーズが登場するが、そのうち、
「しぃ〜らし そ〜しらそふぁ〜ふぁれし そ〜しらふぁ〜」 短いフレーズを転がるように歌い始める。
これが哀愁が漂う主題となっている。
金管の短いパッセージも入って、今まで聴いたことがないような踊りのパッセージなのだ。
それがまた、速いっ。すばしっこく俊敏で、するり〜と逃げ去っていく。
第2主題は、「しど れ〜ど〜しれふぁれ〜 しどれ〜 れ〜れどしれふぁれ〜 れ〜どれど・・・」
線の細い、かぼそく民族色豊かな中央アジアっぽい、なんとも言えない旋律なのだ。
この主題は甘いのだが、コーガンさんのヴァイオリンにかかると、すーっっ伸びきって、まっすに飛んでいってしまいそうな雰囲気である。音がスマートで、直線的に響いてくる。
で、旋律は「ふぁらそら ふぁらそら・・・」と走り出すのだが、ここにまた、金管やシンバルが挟まって、ジャンジャンと入ってくる。
「どっれれ っれれっどれみ れっどっ」「しっど どどっしっどれ・・・」
ヴァイオリンの旋律とオケの旋律が、対比されているというか、一体になっているというか。よくわからん。
オケのリズムも個性的だし、パーカッション専門家だと、この不思議なリズム感が、カラダでわかるのだろうが、う〜ん。ど素人には音符が跳ねているとしか思えず、捕まえられない。
とーっても複雑な音の並びで、なーんとも言えない不思議な音とリズム、そして、間合いが詰まっている。
しかし、わからない。とらえどころに迷うくせに、感覚的には、う〜ん。妙に懐かしい雰囲気を持っていて、DNAを呼び覚まされてしまうような感じになるのだ。理性より感性が、ビンビンに刺激される。
重音の音色が妖艶であり、首をくすぐられているような感じのするヴァイオリンのフレーズが鳴っているかと思ったら、オケが、「ど〜ら それしそふぁ〜 ら〜 そし〜 し〜」と、転げ落ちるし。
滑稽な感じというか、はぐらかされているような気もする。妙に複雑なフレーズなくせに、合いの手は超シンプルである。何度も、「みそふぁそ みそふぁそ ふぁらそらふぁ ・・・」このフレーズが繰り返されるので耳に残る。直線型のフレーズとクネクネしたフレーズで、絡み取られてやられる。

2楽章
歌謡風の旋律が詰まった楽章である。
木管が、「み〜ふぁそら ふぁそら しどれ〜 みふぁれみ〜みふぁれみ〜」と歌い始める。
「しふぁ〜 どふぁ〜 しふぁ〜 どふぁ〜」という、ゆったりとした3拍子で、揺りかごのようだ。
この揺りかごのなかで、ヴァイオリンが、「どみふぁ〜 ふぁ〜ふぁら そらそふぁ〜」と歌い始める。
「みぃ〜ふぁそら しどれふぁそら ららら らそら〜 ふぁそら らそら〜」
↑ 半音が入ってくるので妙に音が揺れる。官能的だが暗い。ゆったりしており、眠気が襲うのだが、これが、また刺激的であって、妙に覚醒され。う〜ん。なんとも言えない夜のまだるっこしい、とろり感があり。
雰囲気は場末っぽいのだが、これが妙に品があって、きわどい。
この品の良さは、コーガンさんのす〜っとした音質から来るモノだと思うが。
これを太い音で奏でられると、うぷっとするだろうけど。湿気がなく乾いている。
で、中間部ではオケが、「らしら〜 そらふぁそ〜らどしそら〜」 アラビアンナイト風の旋律、遠くからのエキゾチックな風が吹いてくるようだ。ここ、砂漠か草原かしらん。なにせオリエンタル風情が満喫できる。
で、ヴァイオリンも、それに連れて弱く、れどれど〜 らそそふぁ〜風のように鳴る。
「どぉみふぁ〜 ふぁふぁ ふぁ〜らそふぁ〜 どみふぁ〜ふぁふぁふぁ ふぁら〜そらそふぁ〜」
オケが豪快に、エキゾチックなフレーズを奏でると、妖艶さがぶっ飛んでしまうのだが、力強く、劇でも見た後のような感触が残る。
とにかく、一般的な西洋音楽ではないので、これにハマルと、なかなか抜け出せない感覚。

3楽章
うってかわって、ど派手な3楽章である。
一気に、アメリカナイズされ、夜のラスベガスに飛んでしまったような派手な出だし。はあ?
「しっしししし ふぁっふぁふぁふぁふぁ そっそそそそ らっららら〜」と、金管が鳴り出して。はあ? 
↑ このリズム正確じゃーありません。
で、ウジャウジャ鳴っているなか、「しど どっど ふぁみふぁ〜そふぁ〜みっし」って感じのフレーズが出てきて、そっからは跳躍三昧っ。踊りはねて〜 高音域に飛んで行っちゃう。
すげーっ テクがなければ、恐らくこれだけ速く飛べないと思うんだが、このテクは、さておき。
三流のミュージカル映画で見ているような感じがしないでもないのだが、この不可思議なフレーズの音色に、まず驚かされる。また、この細かく揺れるリズムと、付点リズム。
で、前の楽章で出てきていた主題、「ふぁ〜れどれ そらふぁ〜」という甘いフレーズが、オケが、チャンチャ チャチャチャと、おとなしく鳴っているなかを弾いてくる。
一筋縄でいかないというか、構成が複雑に入り組んで、それがそれぞれ個性的で、驚かされる。
ごった煮的とも言えるし、交錯しているとも言えるが。(笑)
「ふぁ〜み〜ふぁ〜み れ〜ど れど〜どし〜」 オケはいたって単調に鳴らしているが、ヴァイオリンは、オブリガート風に刻んでいく。木管や金管との絡みもテンポ良く進んでいる。
で、最後に主題が戻る。「しど どっど ふぁみふぁ〜そふぁ〜みっし〜」「しど どっど ふぁみふぁ〜そふぁ〜みっし〜 そふぁみ どれみ〜ふぁ〜れしっ」 この細かいフレーズの最後が聞き取れない。
メチャ速いっ。躍動感ありすぎ〜 それに、哀愁の漂うオケのフレーズに乗って、風のように舞い上がっていくところの姿が、すごすぎ。

このリズム感に、まず身に委ねて、聴きまくらないと面白くない。それに、無機質なオブリガートではなく、繊細でありつつ、豪快であり、粘りや執拗さがなければ面白くないし、派手さも必要。
強いアクセントというか、アクも主張も必要だと思うし、かなり濃い味付けも必要なのである。
結構、要求される要素って多い。
って言っても、結構、この楽曲の素材本来の持ち味には、たっぷりと濃い味がついているから、クールに演奏しても、大丈夫だろうけど。コーガンさんのヴァイオリン は、線がピンっと張った細身の繊細で、いささかクールな演奏だ。しかし、楽曲の熱っぽさにほだされ、こっちまでが舞い上がることは、間違いない。
いずれにせよ、あまりCDが出ていない。
躍動感あるアルメニアの民族調のフレーズと、甘さと、超テクが混在しており、一風変わった楽曲なので、マニアックな楽曲なのかもしれないが、流行ってもよいのになあ〜。 惜しいよなあ。って思う。
今のところ古い録音しかないのだが〜 この楽曲のCDを見つけて入手したら、即聴くことにする。

パールマン メータ イスラエル・フィル 1983年
Itzhak Perlman   Zubin Mehta   Israel Philharmonic Orchestra

まっ こんなモン

録音は良い。民族的な色彩は薄いし、粘っこく演奏されていないが、やっぱりテクはあるし、録音が少ないので、はずせない盤かと思う。
カップリング:ハチャトゥリアン ヴァイオリン協奏曲、チャイコフスキー(グラズノフ管弦楽編)瞑想曲
1楽章
録音が1980年代なので、まあ新しい方の部類に入ってしまう盤である。だって〜 他の50年代の録音盤と比べると、そりゃ〜良いです。
ツボにハマルと、メチャ面白いリズミカルで、アルメニアという風土を楽しめる楽曲なのだが、なにせ録音が少ないのである。だから、パールマン盤は、はずせない・・・というのが現状だ。
泣き節的な、背筋が、すーっとくるような音は絶妙だ。
「ど〜らし〜そ どしどら〜ふぁ〜」
「そ〜みふぁ〜れ そふぁそれふぁ〜 し〜そふぁれそしふぁ そ〜ら〜」
しかし、あまり泥臭い、重々しい 雰囲気、とろみ味の出ている演奏ではない。それでも、スマートながら、ノリノリ感のある演奏になっている。オケとヴァイオリンのバランスは、まあソツのないところだと思う。
迫力があって、汗くさく、粘っこく演奏してもらう方が、ワタシ的には嬉しいのだけど・・・。妖艶さには少し欠けているかも。
クネクネした、なんとも、粘っこく執拗で、しつこいくらいに世俗的な色気があった方が、もっとエキゾチックさが出てくるのだと思うが、ヴァイオリンもオケも、わりとスマートで、線が細めである。
クネクネ感よりも、直線的であり、すーっとした、機械的にさえ聞こえてくるような無窮動さが目立つ。
醸し出してくる、立ち上ってくる、匂ってきそうな色気は少ないし、動物的とは言えない。
それに、オケが、あまり目立たず、鳴りっぷりの良い方ではない。
全体的なトーンとしては渋いのだが、華やかな色彩感や、押しくる厚かましい、押しつけがましいようなリズムや、世俗的な押しの強い威圧感は少ない。
圧倒的でパワフルな感じはしないようだ。
ごつさ、ぶっとい音色、音量では迫ってこないのは、ちょっと残念かも。
昔ながらのオイストラフ盤が良いという方も多いが、残念ながら、今のところ所有していないので、聞き比べが出来ない。(泣)

2楽章
木管が、「み〜ふぁそら ふぁそら しどれ〜 み〜」「みふぁれみ〜みふぁれみ〜」と歌い始める。
ファゴットだと思うのだけど、この怪しげな出だしから、3拍子で「しふぁ〜 どふぁ〜 しふぁ〜 どふぁ〜」
というフレーズは、思わせぶり感がある。まるで、枯れススキが、風になびいているような寂しげな風情が漂う。このフレーズの部分は、抒情的だし、スマートさからキレを感じる。
打楽器は、奥深く鳴っており、全体的に暑苦しいような、うねるようなパワフルさには欠けている。
バランス良く、抑制が効いていると言えば良く聞こえるかもしれないが、う〜ん。どうだろう。
まるで風景描写のように客観的で、クールさが良いのか。
ヴァイオリンの高音域のフレーズが前面に出てくるし、酒に酔ったオッチャンが、悲しい歌を歌っているかのような雰囲気よりも、枯れススキが、風になびくような植物的な感覚かもしれない。
もっと人間臭くても良いんだけどな〜と思いながら聴いてしまった。
まるで映画音楽風〜にも聞こえちゃって。格調が高いという感じではない。

3楽章
結構、ノリノリの派手な出だしとなっている。シャープだし勢いもあるが、ま〜 ちょっと軽いかなあ。
軽薄な感じもしちゃう出だしだ。パールマンさんのヴァイオリンは、さすがに軽妙で、小回りの効く、すばしっこさがあり、小気味よく、跳ねている。
民族的な色彩については、う〜ん。もっと粘って、小節がまわっていても良いような気もするが、小気味良い、すかっとしたテクニックで、コロコロと音が踊っている。
湿気や深い音色が、もう少しあった方が良いのかもしれない。1楽章同様に、泥臭い匂いを感じたい気がする。オケも、中間部分は、わりと几帳面で地味め。パールマンさんのヴァイオリンも、テンポアップしているところは軽妙だが、ゆったりした箇所では、アクセントやリズミカルが意外と淡泊な気がする。

う〜ん。よくワカランなあ。初めは、粘りやアクの強さをイメージしていたのだが、結構、淡泊だ。
さらりと弾いているのか、粘りを意識して少なめにしたのかもしれない。
全体的には、まあまあ。感動して、拍手〜ってワケにもいかないし、痛快だっ。とも思えない。
無窮動風に、わりと機械的な演奏だな〜という気もするが、アクが強すぎて鼻につく、という人には、現代風な演奏で良いかもしれない。
あまり録音されていない楽曲なので、選択の余地が少なく、貴重な存在だということに変わりはない。

アラベラ・シュタインバッハー フェドセーエフ モスクワ放送交響楽団  2003年 
Arabella Steinbacher  Vladimir Fedoseyev
Tchaikovsky Symphony Orchestra of Moscow Radio

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態はまずまず。ハチャトゥリアン生誕100年の記念演奏会のライブ盤である。ベタでバタクサイ楽曲だと思い込んでいたが、洗練されたスタイリッシュな楽曲に早変わり。驚きの1枚である。最後拍手入り。

1楽章
ハチャトゥリアンは、ガシっとしたゴツイ音で奏でられるというイメージがある。
「どぉ〜ら しぃ〜そ どしどら らぁ〜ふぁ」
「そ〜み ふぁ〜れ そっふぁそれ ふぁ〜れ し〜ら そみどらそっ」
で、ヴァイオリンの音が、ギアの歯車がカミカミになって、音そのものが、ギシギシ音を立てているような、ヴァイオリンのフレーズが、まず登場する。
ヴァイオリンの弦に、弓が、どんな風に当たっているのか、素人のワタシにはわからないのだが〜
ギクシャクした感じは、まるで、機械のパーツ 歯車のようだ。
このギアの大きさによって、不快な音が大きくなり、ますます、歯がギシギシ言う音になって、まるで大きな工場で機械のパーツを作っているようなイメージになる。
隣り合わせになっている音が、半音ずれたような音で、スピードアップして悲鳴を上げて〜 凄い速さで回転していくように感じる。
乾いた、カシカシ音が、繊細に飛び跳ねてくるところは、とっても優美とは言えないのだが、でも、このシュタイバッハーさんの演奏は、ふふっ。結構繊細なのだ。
ふわーっと伸びて、伸びて、しなやかに伸びきってくれそうなところがあり、上に伸びた時には、バーバーのヴァイオリン協奏曲のような幻想的な雰囲気まで醸し出してくる。

このCDは、ハチャトゥリアン生誕100年を記念した演奏会、2003年のライブ盤である。
ヴァイオリンは、アラベラ・シュタインバッハーさん。時々、アラベラ・美歩・シュタインバッハー(Arabella Miho Steinbacher)として、ミドルネームも表記されている場合があるが、ドイツ人のパパと、日本人のママの間に生まれた女性である。
この演奏は、彼女が、大きく取り上げられて人気が出てくる前の録音になると思う。
今は、ORFEO(オルフェオ)、Pentatone(ペンタトーン)から、CDが発売されているが〜
その大きく飛躍する前の録音で、貴重な演奏盤だと思う。ライブ盤なので、録音状態はイマイチなのだけど、ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲のCDが、新しく出てこなかったので、 ワタシはたまたま買い求めたものだったが・・・。
とても繊細で優美な演奏で、ほほぉ〜良いやん。って思ってしまった。なんたって華麗だっ。
オジチャンたちの無骨な演奏も、大変面白いのだが、女性らしい演奏というのは、なかなかに優美で、得難いモノがある。
ロシア臭い演奏とは違う。
センスのある都会的な暗さ、スマートで、高音域へ駆け上っていくフレーズとか、間合いとか、ロマンティックさが詰まってて、すすり泣きをする多彩な顔を見せる。
コーガン盤のように、50年代後半の古いCDを聴いてきた耳にとっては、とってもご馳走っ。
一辺倒なカシカシな演奏ではなく、線の細い音だが、湿気がなく、 しなやかさの内にも、キッパリした演奏で、メリハリが出てて熱い。

2楽章
三拍子の揺りかごのようなフレーズ。
乾いた音の響きだが、アラビア風千夜一夜のような官能の世界が拡がっている。
弦の優美な、ねっとり系の間合いがあって、沈み込んでいく。
「どみ ふぁ〜ふぁ ふぁ〜らそ ふぁらそふぁ〜 しれみぃ〜みみ みらそ ふぁ〜」
字余り風の転がる付点リズム。魅惑的で〜 
暗い音色ではなく、あくまでも明るめで乾いてて〜 若い魅惑が詰まっているって感じだ。
とろり感はあるが、どろり〜とした粘り感覚ではなく、すぃ〜っとした線の綺麗さがあり、透明度の高い官能性だ。濁り感の少ない、爽やかな粘りで、間合いの、ふっとした空気感があって、執拗さはあまり感じさせないまま、高音域の美しい音色に耳がそばだつ。
間合いの美しさというか、すーっと天上的に音がのびあがっていくところが、すごく美しい。
いつも1楽章と3楽章のイメージが強かったハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲だが、2楽章の美しさにアハハ、今頃気づいた。って感じ。 まあ、オケの方はそのままロシア臭さを持っているが。

3楽章
オケは、さすがに派手に、賑々しくベタな鳴りっぷりだが、ヴァイオリンのフレーズが入ってくると、とっても、しまってキュートになっている。へえ〜 このシュタイバッハー盤で聴くと、コミカルで、可愛い。
すごい超テクのすばしっこいフレーズが続くが、平板にならない。
いつもハチャトゥリアンって、ベタなバタクサイ通俗的な楽曲だな。と思っていたのだが、その、いつも感じていたフレーズが、繊細で、可愛く変貌していくのだ。これが面白い。
オケもヴァイオリンも、互いに推進力があり、サクサクとした肌触りで、跳躍を繰り返し、スマートな都会的で現代的な感覚を得て、洗練されている。
無窮動のフレーズが、ベタなオケのフレーズを足がかりに、虹を描いていくかのような〜 昇っていく上昇するエネルギー、ベクトルを描いていくようで、う〜ん。このヴァイオリンのフレーズは、すごい。

ベタでバタクサイ楽曲だと思い込んでいたが、洗練されたスタイリッシュな楽曲に早変わり。
う〜 これは佳いやん。と、驚かされた1枚である。
あー これで、ハチャトゥリアンも、ひと皮向けて、21世紀にも生き残れるかしらん。と、僭越ながら思っちゃった。(←余計なお世話と言われそうだけど)
ホント、生誕100年 おめでとう。先を見越したような先見の明あり。シュタイバッハーさんの起用は大当たりだと思う。佳い楽曲になりつつあるようで嬉しい。今後、女性がこの楽曲を取り上げて、演奏してくれると嬉しいなぁ〜。

エマニュエル・パユ ジンマン チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 2002年
Emmanuel Pahud  David Zinman
Tonhalle Orchester Zürich
(Zurich Tonhalle Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手 ← テク  これもありかっ ← 原曲のイメージからすると・・・

録音状態は良い。この速いフレーズを、どう吹かれるのか、息継ぎができるのか、心配しちゃいましたが、さすがっ。でも、ヴァイオリンのイメージとは、どうしても変わってしまう。
カップリング:ハチャトゥリアン フルート協奏曲、イベール フルート独奏のための小品、イベール フルート協奏曲
フルート協奏曲(ヴァイオリン協奏曲の編曲)

まずは、オケが登場して、 「どぉ〜ら し〜そ どしど ら〜ふぁ〜」
「そ〜みふぁ〜れ そふぁそれ ふぁ〜れ しぃ〜ら ふぁれそしふぁ そぉ〜ら〜し〜 ふぁっしっ!」
いきなり、全合奏で序奏部分を、巻き舌風に、まくし立てるように豪勢に奏でたあと、通常ヴァイオリンのフレーズのところを、フルートが奏で始める。

「みそふぁそ みそふぁそ みぃ〜そふぁそ ふぁらそら みらそら ふぁらそら ・・・」
「しぃ〜らしそ しらしそらぁ〜 ら〜れしら しっそ しらしそ らぁ〜」
えっ〜っ! ヴァイオリンのところを、フルートがそのまま吹くっ? うっそ〜 速いパッセージなのだ。
ヴァイオリンのようには速いのは無理でしょ? え〜っ パユさんは、なんなく吹いているっ。
と、もう冒頭と第1主題で絶句するほど・・・。
ヴァイオリンは、快速パッセージには、確かに左手はまわらないとダメだけど、息継ぎはしなくて良いのである。
フルートって、これだけ速いフレーズを、息継ぎなしで走るうっ〜? ひや〜っ シンジラレナイっ。

で、ヴァイオリンとの違いは、息継ぎも大きな問題だが、音程が正確でなければならないし、雰囲気だって〜あるのだ。
第一、フルートの使われ方って、こんな汗臭い楽曲は、全くご縁がない。
だって、湖のように神秘的であったり、内省的で静謐さがあったり、小春日和のような感じだったり、天使の声のように、ふわーっと空気感を醸し出したり、幻想的だったりするじゃ〜ないですか。
今まで聴いてきたフルートの楽曲って・・・。

ラヴェルのダフニスとクロエだったり、タイスの瞑想曲だったり、アルルの女のメヌエットだったり、名曲が、ひきもききらず・・・。
それが、こんなハチャトゥリアンのような楽曲で、フルートを主役にする?
えっ、こんな民俗音楽の舞踏のような塊のような、汗臭くて、血なまぐさい(流血騒ぎにはなってないか)、ウォッカをあおって踊っているかのような、血湧き肉躍る楽曲を、フルートで吹く? 
うっそ〜 マギャク 全く、180度違うでしょーっ。イメージ違うやん。

ハチャトリアンに、フルート協奏曲を作曲依頼するランパルさんも、すごい勇気のある人だが、新曲を断られて、ヴァイオリンのかわりにフルートにしたら〜という、破れかぶれ的な提案をするハチャトゥリアン。
で、ホントに編曲して吹いちゃうランパルさん。この応酬がすごい。
ランパルさんのフルート協奏曲のCDも所有しているが、う〜ん・・・。やっぱ天才は奇想天外だ。

で、パユさんのフルートは、元がヴァイオリン協奏曲とは思えないほどに、イメージが違っている。
冒頭の入りの部分、オケの全奏部分は、全くヴァイオリン協奏曲と同じ雰囲気を持っているが、汗臭くなく、血湧き肉躍るというよりは、穏やかで、とてもノスタルジックになってて雰囲気が違うのです。
原曲のヴァイオリン協奏曲のイメージとは、かなり異なり、豪快で汗臭くムンムンした熱気、跳躍感が影を潜めています。
オケは、汗臭いフレーズを、まったり〜と、うねるように演奏しますが、フルートは、草原の風のように聞こえてきます。

3楽章の怒濤のようなフレーズは、さすがに無理だと思っていたんですが、ヴァイオリンの超快速パッセージを、なんなく〜っ クリアーです。この超テクには、やっぱりすごいな〜っと、感心しちゃいました。
しかし、民俗音楽の塊のような主題は、アクがすっかり抜けおちた感じで、えへへっ。正直あれま・・・。って感じです。
あの豪快で、ねちっこい粘りのある跳躍感は、土壌が違いすぎでしょう。
ワタシ的には、パユさんには、やっぱり透き通る音で、天使の羽根のようなフレーズを吹いてもらいたい。そう思います。

ヴァイオリン協奏曲        
1956年 リッチ フィストゥラーリ ロンドン・フィル Dec ★★
1958年 コーガン モントゥー ボストン交響楽団 ★★★★
1983年 パールマン メータ イスラエル・フィル EMI ★★★
2003年 シュタインバッハー フェドセーエフ モスクワ放送交響楽団 VISTA VERA ★★★★
フルート協奏曲        
2002年 パユ(フルート) ジンマン チューリヒ・トーンハレ管 EMI ★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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