「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

リスト ピアノ協奏曲第1番
Liszt: Piano Concerto No.1


リストのピアノ協奏曲第1番(変ホ長調 S.124/R.455)は、1830年代から1856年にかけて作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
1835年に初稿が完成していますが、この時には、3楽章という構成でした。その後、単一楽章に改訂を行い、39年に改訂版を、49年最終稿が出来た筈なのに〜 53年にまた改訂、56年にも推敲が行われたんだとか・・・。
4つの楽章で構成されていますが、全曲を通じて連続して演奏されるもので、約17分の楽曲です。

第1楽章 変ホ長調 4/4拍子 自由なソナタ形式
オーケストラの全合奏による力強い第1主題が呈示され、直後にピアノによるカデンツァ風の楽句が奏されます。このカデンツァ風の楽句は、「グランディオーソ(堂々と)」と指示されているもの。

第2楽章 ロ長調 8/12拍子(または4分の4拍子)
自由な形式による緩徐楽章で、この楽章は2部からなっており、1部は弱音器を付けた弦楽器で始まり、2部はピアノによるトリルとアルベッジョによるカデンツァで始まるもの。

第3楽章 変ホ長調 4/3拍子
スケルツォに相当する楽章で、トライアングルが登場します。

第4楽章 変ホ長調 4/4拍子 
木管を主体とする華やかな行進曲風の楽想を奏し、既存の動機を取り入れながら速度を高め、第1楽章の冒頭主題が再現され、この主題によるクライマックスが築かれて結ばれるものです。

3楽章にトライアングルが入ってくるので、「トライアングル協奏曲」と揶揄されたり、バルトークは、「循環形式によるソナタ形式を初めて完全に実現させた作品であり、共通の主題が変奏の原理によって扱われている」と述べたそうです。
それにしても、リストは改訂魔だったんですね。2番も相当に手を入れて完成させているし、演奏会で自分で弾いては、気になる点を改良していたのでしょうか。初演は1855年で、ベルリオーズの指揮でリストがピアノを弾いたのだそうです。
アハハ〜 すごい組み合わせ。さすが大物は違います。

リヒテル コンドラシン ロンドン交響楽団 1961年
Sviatoslav Richter
Kiril Kondrashin
London Symphony Orchestra

録音状態はまずまず。厳ついくせに、シャイで甘く〜両極端を兼ね備えた演奏で、圧倒的である。

1楽章
「ふぁ〜みふぁ〜み ふぁみれっ〜 (パパ〜) れーどれっどれど・・・」
まず、強靱で、ゴツゴツとしたオケが響き渡る。
で、すかさず、ゴツンと一発、ピアノのカデンツァが入ってくる。
「れふぁみ れらふぁ・・・ れ〜どれっどれらし〜」
硬いっ。鋭いっ。速いっ。一気に駆け抜けて行くスピーディさがあり、一発かまされたかのような気分になる。
で、階段を堂々とした足取りで、ぐぐぐ〜っと駆け上ったピアノは、頂点で、華麗なる 軽やかな響きで可愛く踊る。ひ〜っ なんて速くて変わり身の早いピアノなのだろう。
階段をのぼっていく間に、イカツイ男から、いつの間にか可愛い女性に早変わりしているのである。
オケも、ヴァイオリンの音色が綺麗にあわさってきて、たら〜らら〜と歌い始める。
うっそー あの冒頭のいかつさ、怖いぐらいの迫力は、どこに行ったのか。
なにせ、速いっ。ダイナミックに演奏されている。
しかし、歌い始めると、これまた、うっとりするようなメロディラスで・・・ 「たらら〜 たらら〜ら」 なんと甘くて気品の漂う演奏だろう。
木管の音色と共に、またヴァイオリンのソロと共に、しばし、聞き惚れながら、うっとりし始めると・・・
冒頭のフレーズに戻ってくる。すると、また暴風雨状態なのである。恐ろしいほど速いっ。
それも、猛烈な勢いで走っている。カデンツァのごつさ。
これには、ただただ、ひれ伏すほどのごつさだ。
リヒテル盤の1楽章は、ゴツゴツした野武士のような冒頭のフレーズと、ひたすら甘くて、煌めく可愛い少女が同居しており、その両極端を兼ね備えた演奏である。

2楽章
オケが深く甘い溜息のようなフレーズを奏でてくる。「み〜ふぁら〜そ らど〜れみ〜れどしら〜」
まず、低弦の緩やかな音色が響く。ピアノが左で伴奏をしながら、「たら〜ら ら〜」
アラウ盤のような厚めの線の太さではなく、すっきりしたフレーズで、引き締まった体で動き回っている。
筋肉質でありながら、優しさがあり、節度ある甘さもあって、やられてしまった。
で、たらら〜らしし〜 ピアノの可愛いトリルが鳴り響き、そこにオケの木管が絡んでいる。
テンポはゆったりめだが、コンドラシンさんの振るオケが、これまたスマートに、クールでありながら、まったりと絡み合ってくるのだ。

3楽章
「みっ そっ ふぁみれっどしらみっ」と、弾んだピアノと、トライアングルが響く。
この楽章を聴くと、まるで、チャイコフスキーのバレエ音楽を聴いている雰囲気になるのだが、ここのテンポは、とても速く、みみっ そそっ ふぁふぁ みみっ ・・・と、音を重ねていく。
「んたら〜ららら ららら ら〜」と、キラキラ星変奏曲のようにも聞こえてくる。
すごく速い展開で、よく指がついていくな〜っと、その軽やかさに驚かされる。でも、ホント、星が転がり落ちてくるように、ピアノのキーが動き回っているのだ。
チャチャチャチャ チャチャチャチャ・・・ 音が増えていく。
リヒテル盤では、夜空に瞬く星の多さに驚かされる。いやいや、音がこれほど繊細で、細かく響いて聞こえてくるのって、ホント、とても凄い。
最後、1楽章の冒頭の金管のフレーズが堂々と吹かれ、主題が戻ってくる。
再度、このフレーズの堂々とした、スマートで速くて、かといって、流れておらず、引き締まった硬い音なので、再度驚かされる。ひとことで言うと、すごみがあるっていうのだろうか。
いや〜 ホント、すごみがあって、やくざっぽいのだが、繊細で、シャイな感じもするので、この両面が同居していることに、ホント驚かされ、脱帽状態である。

4楽章
威圧感のある1楽章のフレーズが戻ってきて、これまた暴風雨のような猛烈な風を、まともに受けてしまって、完全ノックアウト。
カデンツァの豪快さと共に、オケのストレートさに驚き、切れの良さに目を見張ってしまって。
ついには、口を、あんぐりさせてしまうほど。
なんとも、無骨で無口で、ストレートで、一本気というか。まるでタカクラケンさん風である。
はあ〜 そのくせ、どうやらモテル男のようで、こりゃまいった。
昔の任侠映画のようなドスの聴いた音色と、すごみ。切れ味、格好良さは抜群。
オケは、猛烈に速いし、粒立ちのよいピアノが、みずから転がっていくような動的なリズムがある。
オケもピアノも、迫力満点で、特に、シンバルと金管と、ピアノの硬い強靱な音の響きに、はあ〜 一気に飲み込まれてしまった。
アラウ盤が、好々爺のような、ほのぼのとしたゴージャスな感じなのだが、リヒテル盤は、さすがに強靱で、鋼のようでありながら、甘くシャイで・・・ この協奏曲ならではの魅力がプンプンしている。
両性具有的な、両面を兼ね備えた演奏で、ハイ、完全に参りました。
(単一楽章だが、便宜上分けて記載しています)

ベルマン ジュリーニ ウィーン交響楽団 1976年
Lazar Berman
Carlo Maria Giulini
Vienna Symphony Orchestra

録音状態は良い。繊細で、他の盤より音が多いんじゃーないかと思うほどに感じる。甘さもゴージャス感もあるけど、さっぱり系。
カップリング:リスト ピアノ協奏曲第1番、ピアノ協奏曲第2番、巡礼の年 第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」

1楽章
「ふぁ〜み ふぁ〜み ふぁみれっ〜 (パパ〜) れ〜ど れっど れどし〜っ」
オケの冒頭に続いて、「ら〜ど どしどみそど らふぁみれ らふぁ・・・ れ〜どれっどれらし〜」
ピアノの大きなカデンツァがある。特に、ベルマンさんのピアノの低音の堂々とした鳴りっぷりに、びっくり。
オケなんぞ要らないって感じで、ピアノが分厚い低音の響きを伴って駆け上っていく。
その後の「ど どれどしどそ〜ら どれ〜」と、ひえ〜っと寒気がしそうな可愛いフレーズ。
で、ピアノとの華麗なる重厚な響きと、す〜っと引くような繊細さで、この落差にやられる。
のっけから、ゴージャスだろうと予測していたのだが、いや〜 意外と繊細なフレーズで、弱音の綺麗なこと。繊細すぎて壊れてしまうのではないかという怖さを感じる。
また、ピアノと、オケのヴァイオリンの高音域の絡みあうフレーズ、「れ〜どしらそ そ〜みふぁ」「れ〜どしらそ そ〜みふぁら〜そ ら〜そ〜しら〜ど〜しら」
リヒテル盤のような、一発かまされた〜という雰囲気でも、アラウ盤のご大層さとも、全く違うんだよなあ。
ベルマンさんって熊のようなおじさんなのだが、へえ。と思うほど、繊細だ。
ピアノの粒立ちが細かく、小さいくせにプリプリして聞こえてくる。

2楽章
チェロの鼻にかかったフレーズ 「みふぁら〜そ ら〜ど〜しどみ〜 れしらそふぁみ〜」
オケの「みふぁら〜そ らど〜しどみ〜っれ しらふぁみ〜」 
ピアノの「みふぁら〜そ らど〜れみ〜 れどみし〜ら そそ〜れ それれ〜み」 
ベルマン盤は、アラウ盤ほどテンポは遅く感じないし、フレーズのごつい太さもない。
甘い。確かにコテコテ風の甘さがあって、浪漫派どっぷり的なフレーズが続くし、ショパン風の甘いせつないフレーズが続く。
オケは、またジュリーニさんだから、テンポも相当に遅いのだろうと覚悟していたが、まっ 遅い方だと思う。ちなみに、一応、CDジャケットの表記によると、9分47秒だ。アラウ盤は10分15秒になる。
遅めだが、音が、とーっても繊細なのだ。たっぷりしたタメはあるが、出てくる音は、それは繊細だ。
ジュリーニの振るオケも、そ〜っと出てくる甘さで、押し付け気味さを感じない。
なので、うっぷぷ。とはならない。私的には、リヒテル盤のごつい甘さも棄てがたいけれど、ベルマン盤の甘さが、ちょうど頃合いかも。
で、2楽章後半 フルートの「ふぁそふぁ〜 れみみ〜 しどし〜 そらら〜」の後ろで、きら星のように引かれているピアノが好きなのだ。オケの木管の甘い声。クラリネットさんも巧いし。

3楽章
「みっ そふぁみ そふぁど みっれどしらみっ」・・・
トライアングルが登場する 楽章として有名だが、星空の瞬きのような可愛い、金平糖が弾むような楽章である。まるでディズニー映画のBGMみたいなのだけれど。
この楽章は、ベルマン盤が、う〜ん こりゃ〜良いわ。リヒテル盤もよかったけどな。
う〜ん。比較してどうかと言われても、ちょっと困るのだが、リヒテル盤よりは、すっきり系に聞こえるのだが、録音の状態に左右されているかもしれない。
リヒテル盤の方が、緊迫感が張りつめてて息苦しく感じちゃうのだが、ベルマン盤は、私的には、柔らかく聞こえるし、厳つさは感じない。ソフトだけど、もち、弛緩してなんかおらず、キッチリ楷書体。
でも息苦しさがないの〜である。まっ そんな私的な感じ方しか言えないんですけどね。
私的には、可愛い〜っ と感じる楽章だし、テンポや間のとり方も好きだ。このピアノは、女性的に聞こえるので好きです。

4楽章
ピアノの「どしらそふぁ〜」と入った後、オケが、「らっしれ〜ど れっみふぁ〜」と楽しげなシンプルな出だし。
オケの音が柔らかく、のびやかで、ホント楽しげで明るい。
オケが、「らっしれ〜ど れっみっふぁ〜」と、リズミカルに明るく歌う。クソ大層に鳴らないところが好ましい。「みっれら〜そふぁ」という金管も、ソフトでありながら堂々としている。おしけない堂々さ。とでも言えば良いだろうか。ピアノと金管が対抗してフレーズを奏でているが、なかなか楽しげだ。
う〜ん。リズム感かなあ。この楽しさは・・・。打楽器の音も、シャンっと鳴ってて、チャチャチャ・・・と、開放的で、南欧風に聞こえてくる。
「みっれ どみし〜ら〜そ」「ふぁ〜ど どしれ らそみ れふぁど しれそふぁ〜」
「みっれ どみし〜ら〜そ」「みぁ〜ど どしみ らそし みしら  どしみ らそし み〜れ〜どみしら〜」
堂々とピアノとブラスが奏でて、その後のきら星のごとくフレーズが続く。
ふふふ。リストの両極端な面が出ていて、これも面白い。フレーズの使い回しの巧いこと。

テンポの良さが、ベルマン+ジュリーニ盤の良いところで、回想風に主題が帰ってきているところを、快速に飛ばして行く。執拗ではなく、さらり〜っと演奏していくところが特徴になっていると思う。
しごく、あっさり系に、最後は快速に行くところが、メチャ嬉しい。
こってり、まったり、とろとろ、コテコテ、べっとり〜とした感覚が、今、リストがあまり受け入れられていない要素であるのだとしたら、私的はベルマン盤は、今風で良いと思う。
後味が、さっぱり。口直しが必要なほど、しつこくなく、格調もあり、粒立ちも良く、食傷気味に感じることは少ないと思う。新鮮に聞こえる。

アラウ C・デイヴィス ロンドン交響楽団 1979年
Claudio Arrau
Colin davis
London symphony orchestra

録音状態はまずまず。まったりと響いている。分厚いピアノの音が、リストを更にゴージャスにしており、うっぷぷっ〜系
カップリング:リスト ピアノ協奏曲第1番、「3つの演奏会用練習曲」

1楽章
「ふぁ〜みふぁ〜み ふぁみれっ〜 (パパ〜) れーどれっど・・・」
まず、ゆったりとしたオケの堂々とした太い音色で奏でられる。メチャ威圧感あり。
大きなカデンツァがあり、分厚い金管が鳴り響く。
「れふぁみ れらふぁ・・・ れ〜どれっどれらし〜」
分厚い低音の響きと駆け上っていく様と、ピアノとの華麗なる重厚な響きで、冒頭から、まーっ なんとご大層で、ご立派な〜っ。
大袈裟な出だしで、ゴージャスこのうえない。
出だしから、今時、これほど大時代がかったピアノって聴かれるのだろうか。ふと疑問に感じてしまうほど。
「れーど れーど どしら〜」と威圧的に鳴らしておきながら、ヴァイオリンの響きとピアノの呟きと、レースの襞のような軽やかな響きが続く。
悲劇的な運命の冒頭というよりは、う〜ん。まるでシェエラザードじゃん。こわ〜いオッサンと、美女の組み合わせかと思えるほどの落差の激しいフレーズが冒頭で奏でられる。

金管の唐突な「そーふぁ そっふぁ〜そふぁふぁ・・・」
う〜ん。運命の動機のような、悲劇の動機というか。なんだこのテーマは。
その後、またピアノの分厚いカデンツァが流れ、その後、いっきに、あま〜く浪漫派どっぷり的なフレーズが続く。ショパンも真っ青なほどの、ロマンティックなフレーズが続き、ところどころ、オッサンのテーマが垣間見られたものの、それが消えていく。
オケも、ふわ〜っとした、ふんだんに盛り込まれており、とろけちゃいそうだ。

2楽章
「み〜ふぁら〜そ らど〜み〜 れみし〜ら そふぁ〜」 
貴族さまたちのとろけちゃう会話か、気怠い午睡時間というか。とろけるティータイムというか。
巧く言葉で出てこないが・・・なにせ、綿菓子のような砂糖菓子のような、とろけちゃうような楽章だ。
また、アラウのピアノも、1楽章においては、太くてゴツイ感じと、2楽章の可愛く控えめに、ただ肯いているかのような、とろける甘さと。う〜ん。2つの極端な顔を持っているようで・・・ 
いや、この楽曲のなかで、男役と女役を一度に演じわけているかのような。そう、なんだか1人2役って感じなのだ。で、いつまで、いちゃついてるんだろ〜って感じの甘い囁きが、いつまでも続く。
こりゃ〜 きいてられねーっ。トロトロになってしまう緩徐楽章である。うぷぷっ!

3楽章
トライアングルが登場する 楽章として有名だが、星空の瞬きのような可愛い、金平糖が弾むような楽章で、「みっ そふぁみ そふぁど みっれどしらみっ」←音がしっかり聞き取れていないが。
とっても可愛いっ。この楽章は、私的には、とても気に入っている。
まるでチャイコフスキーの金平糖の踊りのような雰囲気を持っている。
で、弾んで、みみっ そそっ ふぁふぁ みみっ ・・・と、音を重ねている間に、可愛くトライアングルが合いの手を入れてくる。
チャチャチャチャ チャチャチャチャ・・・ 音が増えていく。
「んーたららン」 この楽章は、とても幻想的な煌めきがあり。俗世間とは違った、また一風変わったところがある。でも、1楽章のフレーズが変奏曲のように顔を覗かせる。

4楽章
この楽章だけを聴いているとピアノ協奏曲とは、およそ思えないほどスケールが大きい。
まるで管弦楽曲で、堂々としすぎかなあ。しかし、ピアノも負けておらずオケと対等にスケールの大きさを感じさせる。1楽章のフレーズが出てきたり、今までの主題が回想風に蘇ってくる。
ピアノは、先の楽章のフレーズを可愛く演奏してみたり、1楽章の強烈な威圧感タップリのフレーズをオケが奏でながら盛り上げていく。ピアノは、その間、忙しく、のぼりくだりしながら大円団に参加している。

アラウ盤は、まるで重〜いデコラティブな衣装を纏っているかのような貴婦人風で、シャンデリアがあって、アンティークな 家具が置かれているようなサロンで演奏されているような雰囲気だ。
装飾過多のサロン風な演奏とはいえ、これが、リスト本来の持ち味を生かした演奏なのかも。
う〜ん。重すぎっ。と一言で片付けるには、忍びない演奏であることと。他の盤を聴いて、う〜ん。このアラウ盤が本来なのかなあ。と思ってみたりする のだが、やっぱり〜しつこいのだ。
うっぷぷ〜となってしまう。今風ではないんだろうなあ。
とにかくゴージャス極まりない。それには脱帽するが〜 何度も聴こうとは思わないし、むしろリスト嫌いになりそうな一枚である。

ツィマーマン 小澤征爾 ボストン交響楽団 1987年
Krystian Zimerman
Seiji  Ozawa
Boston Symphony Orchestra

録音状態は極めて良い。透明感がありクリアー ゴージャスさよりも爽やか系。
カップリング:リスト ピアノ協奏曲第1番、第2番、死の舞踏〜怒りの日によるピアノと管弦楽のためのパラフレーズ(ピアノと管弦楽のための「死の舞踏」)

リスト ピアノ協奏曲第1番

1楽章〜2楽章
快速で、冒頭より、テンポよく展開する。オケの演奏も、パパーっ と金管が破裂しているし、軽快。
ピアノの響きは、アラウ盤に比べて、細身だがスマートであり、今風・・・で良い。
厚ぼったくないが、ボリュームはあり、固くてゴツイっ。
凄いパワフルだが、音階をあがってしまうと、ふわ〜っとしてくる。この素晴らしい変わり身の速さ。
そこに、煌めきと、ゴツゴツした骨太さを同時に感じさせる。
ちょっと、あまりにも素っ気ないかしらん。と不安になってしまうほどの快速演奏だが、煌めきは、さすがにあって、キラキラして いるというよりも、迸ってくるような気配さえある。
装飾音が細かく、綺麗なレースのように、はためいている。
この煌めきは、さすがに録音年代が新しい方が良いなあ。アラウ盤だと重いっと感じてしまうところがある。
しかし、かなりスピードが速く、さっさと進んでしまって・・・
あっけにとられるほどで〜 余韻があまり残らない。テクニックには、もちろん敬意を表するところなのだが、はたして、リストのロマンティックな味わいが 出ているかどうか。また感じられるかどうかと言われたら。
う〜ん。イマイチかなあ。
やっぱ時代がかっている楽曲なので、アラウ盤の方が、本来の味なのかも。

楽曲に対して、なんとオーバーなフレーズなんだ。とブツブツ文句を言ったところで・・・
リストは、やっぱゴージャスでなければ、面白くないのかもしれない。
ピアノソロの部分は、ツィマーマンの優しさとソフトさ。適度なテンポが、必要だと思う。
あまりにもアラウ盤は、ねちっこくて〜辟易してしまったところがある。メタボ系なのでね。これぐらいの切れが欲しい なあ。と、ツィマーマン盤を聴いていて感じてしまった。
いずれにしても、2楽章は、とろとろの砂糖壺にはまった感じで、あまりのめり込んでは、聴けない楽曲 なので、うっぷ〜としてしまった。私的には、まだ、ツィマーマン盤の方が、マシってところだろうか。

3楽章
アラウ盤とはことなり、スピードが速いため、不安定で、不安げな楽曲に聞こえる。
可愛いフレーズというよりも、妖怪が走り回って飛び回っているような、、、邪悪なモノがウロウロしているような感じがした。
甘い楽曲の後には、骸骨の死の舞踏的雰囲気が、辺りに漂ってくるものらしい。
愛と死・・・ ふーむ。この両面で迫り来るか〜っ。
この2つの面を両立させてこその浪漫派なのだろうか。なるほどねえ。
カップリングされた「死の舞踏〜怒りの日によるピアノと管弦楽のためのパラフレーズ」との意味あいを含めて、含蓄ある演奏となっている。

4楽章
威圧感のある1楽章のフレーズが戻る。カデンツァが豪快に弾かれており、死の気配をふりほどき、逃げてくるかのような感じである。
で、華やかな行進曲風になっているのだが、オケは、レガート気味に奏でており、う〜ん。どっちつかずかなあ。と感じたりする。
3楽章の再現部分は、蚊が飛んでいるような、う〜ん。色気もナシ。なんだろ〜これっ?
ピアノの高音域が硬いっ。硬いかなあ。やっぱ。
変な虫が飛んでいるような、耳障り感がどうしても感じてしまう。煌めきというより。う〜ん。虫っぽい。
何度か繰り返して聴いてみたのだが、アラウ盤と比べてしまうと、やっぱ速すぎっ。
面白さとか奇抜さは、う〜ん。3楽章のブキミさを感じた以外は、う〜ん。と唸ってしまった。


死の舞踏 〜怒りの日によるピアノと管弦楽のためのパラフレーズ〜

リストの「死の舞踏〜怒りの日によるピアノと管弦楽のためのパラフレーズ〜」は、ピアノの「そしれし そしれし・・・そしどし そしどし」とゴッツイ、ピアノの低音の怖い叩き方のなかから、金管の咆吼が始まる。
この金管が、怒りの日の主題である。
「そ〜ふぁ〜そ〜み ふぁ〜れ みぃ〜 そぉ〜そら そふぁみれ ふぁ〜そぉ〜ふぁ〜 み〜」

このフレーズのなかでは、ピアノも打楽器も総力戦で、ごっつく分厚く、硬く演奏さえれ強烈なインパクトを与える。その後、ピアノは、低音の響きを持ちながら、上のキーに駆け上っていく。
この駆け上るアルペジオの綺麗なこと。不気味なフレーズのなかから、ひぇ〜っと言うぐらいの悲鳴をあげて、するする〜っと、魂が上昇していくように、駆けあがるのだ。
「そふぁそみ ふぁれ み〜 そぉ〜 そらそふぁみ ふぁそふぁ〜み〜」

いや〜 リストって、格好良いというか、決まりすぎているというか。豪快っていうか。
なにせ、ピアノの低音から高音域の全部の音を使って、まあ、天国と地獄を描く。
こりゃ〜やっぱ天才ですよね。リストにとっては、怒りの日のフレーズは、格好の材料ってことなんだろうか。
まっ このフレーズを使って、5つのパターンの変奏曲を奏でていくのだが、ピアノの可能性を、これぐらい粋に使って演奏できるような曲を書くって、やっぱ役者ですよ。
最高のプレーヤーで、最高の演出家で、最高の創作家なんだろうなあ。という感じがする。
ピアノと管弦楽の相互の醍醐味があるような気がする。ピアノの能力を、最大限に引き出しているんじゃーないかなあ。と、素人でも思っちゃう。いやいや、ホント、ピアノって凄い楽器だな〜って思う。
また、これを演奏しちゃう人も、やっぱ、天才なんだろうなあ〜。

ピアノって、強打による怖いぐらいの音で、打楽器としてのパワーを冒頭に見せつけられて、その後に、グリッサンドでしょ。まるでハープのように、グラデーション豊かに音をかき鳴らしていく。
いや〜 この綺麗な音が、小さなハープのように、かき鳴らされて、光が飛散していくようだ。
で、適度な残響を持つ、ピアノの音。小回りの効く節回しにしても、とても、繊細で可愛らしく、叙情性も醸し出せるし、すごい楽器なんですねえ。と改めて思う。

ツィマーマン盤のテンポは、冒頭遅めなのだが、電光石火のごとく、駆け上っていくフレーズで、完全に目が覚める。それにしても、低音の強烈なこと。
ここだけ、ボリュームアップして録音したんじゃーないかと思うほど。(違うとは思うけど、、、)

多彩で多様で、すごい細かな装飾がついてて、デコラティブなのだが、それが丁寧に削がれてスッキリしている。この点、さすがに巧いし、極めてバランスが良いというか、速いだけではなく、丁寧にしっかり弾かれているようにも思うし、イマジネーションの豊かさも感じられる。 しっかし、ピアノもパワーがあるが、オケも良いなあ。って思う。
聴いてて、なぜか楽しいのだ。(世界が広がるというか、視野が広がるっていう意味で〜)
トロンボーンも、ホルンなんかの金管も、奥行き感のある録音で、極めて良いし、難癖つけられる状態ではない。豪快さとゴージャスさ、多様な要素を、おしげもなく描き出しているし、煌めき度も凄い。
繊細な音が、きっちり入ってて、軽い目眩が起こってしまうほど、煌びやかで鮮やかでもあり、スリル感もあるし、リズミカルに弾んで、全く飽きさせない。
破天荒な楽曲だが、演奏自体は、品良くまとまっているし、オケとピアノの旋律が、主題に絡んで、交互に聞こえてくるし、掛け合いの呼吸も決まっているし、やっぱ〜凄いっすね。

この曲の楽譜を見たって、素人には、さーっぱり解らないが、音符が、まっくろく、凄い状態、上がり下りして、キツイ黒点状態の楽譜になっている。げぼっ。これを見て弾くのぉ〜 と驚いちゃうぐらい。
楽譜を見ているだけで激しいっ。って感じの曲である。

「怒りの日」のフレーズは、このリストの楽曲だけではなく、ラフマニノフも好きだし、なんと言っても、ベルリオーズの幻想交響曲のなかで描かれているので、超有名になっている。
このリストのパラフレーズは、サン=サーンスの死の舞踏のように、コミカルでもなく、カチカチ骨が鳴るような、骸骨が踊っているようなイメージのモノではない。木琴 がピアノになったわけではないのだ。
単なる、骸骨踊りを描いているわけではなく、怒りの日のモチーフは使っているけど、人、それぞれの多彩な、多様な、恍惚感のある美と死の、隣り合わせの光景かもしれない。

変奏曲のなかでは、踊るようなフレーズも出てくるが、木琴とは違って、とても、細かくて、美的要素がたっぷり。まるで、太陽の光が、木々の葉っぱで遮られ、木漏れ日的な柔らかな光となり、白昼夢のような、繊細でガラス細工のような面も 、同時に描いて変容するのである。
かといって、強烈に一撃を食らわす場面のあるし、これは、一筋縄ではいきません。
だって〜 怒りの日のモチーフは使っているけど、まるで、可愛く、天上的な世界が見えてくるし、とっても、幻想的なんだもん。これは、完全にやられる。

主題は、いたってシンプル。
簡単とも言えるグレゴリオ聖歌の厳かなフレーズだが、リストの手にかかると、これが多彩で複雑なフレーズが、いろんな形となり、大きな宇宙に放り込まれては、 ふんわり〜と浮かぶのだ。
ホント、少なくとも、いつの間にか、いろんな要素が編み込まれて、一枚の絵画として完成している。

二次元いや三次元の絵画のなかに描かれた主題で、グロテスクではあるが、その色彩は豊かで美しい。
この相反するモノを、綺麗に収めている技量が〜 う〜ん。すげっ。
リアルすぎず、あくまでも発露するものは、浪漫なんだろうか。愛なんだろか〜なーんて思いを巡らせる世界観もある。
ふむ、なんか感動しながら、ピアノを聴いているのだが〜 
これは、美と隣り合わせと言いつつも、やっぱ、邪悪なモノ。パンドラの箱 を、膝のうえに抱えて〜はてさて、開けて良いものか、否か〜と、誘惑にかられながら逡巡しているようなモノかも。
いやいや、二律背反の命題を、永遠に矛盾するものを、ずーっと膝にかかえて逡巡しているようなモノなのかもしれない。(↑ 自分自身でも、なんだか〜何を書いているのか、わかんなくなっちゃう)
いずれにしても、ツィマーマンさんの演奏は、グロテスクではあるが、一方で、大変美しく、彼の美意識が詰まっているような演奏である。
ピアノ協奏曲第1番
1961年 リヒテル コンドラシン ロンドン交響楽団 Ph ★★★★★
1968年 アルゲリッチ アバド ロンドン交響楽団  
1976年 ベルマン ジュリーニ ウィーン交響楽団 ★★★★
1979年 アラウ C・デイヴィス ロンドン交響楽団 Ph ★★★
1987年 ツィマーマン 小澤征爾 ボストン交響楽団 ★★★★
1990年 ティボーデ デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1994年 ベレゾフスキー ウルフ フィルハーモニア管弦楽団 Tel
死の舞踏 〜怒りの日によるピアノと管弦楽のためのパラフレーズ〜
1987年 ツィマーマン 小澤征爾 ボストン交響楽団 ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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