「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

モーツァルト ピアノ協奏曲第22番
Mozart: Piano Concerto No.22 K.482


モーツァルトのピアノ協奏曲第22番 変ホ長調(K.482)は、1785年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
第20番と第21番の傑作を生み出したあとの一連の協奏曲群は、次第に、作曲者の内面を表現する傾向のものに変化していったとのことです。この第22番と23番を一緒に書いており、共にオーボエをはぶいて、クラリネットが使用されています。編成は、独奏ピアノ、フルート1、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦五部

第1楽章 Allegro 変ホ長調
がっちりした形式を持ち、後期の一連の協奏曲郡に見られる管楽器の対位法的な掛け合いが、この作品にも用いられています。

第2楽章 Andante ハ短調
後期のモーツァルトの特徴である深く考え込むような緩徐楽章で、ハ短調と変ホ長調の間を行ったり来たりし、中間部はハ長調となるなど、ドラマチックです。チェロとコントラバスが、実音で2オクターブの間隔をあけて重ねられるなど、音響的にも工夫が見られるもの。

第3楽章 Allegro 変ホ長調 ロンド形式
ロンド主題は驚くほど簡素ですが、豊かな楽想によって曲が彩られていきます。中間部では一転して、変イ長調 3/4拍子で、クラリネットによる甘い旋律が歌われています。

この22番からクラリネットが登場して、とてもキュートに明るい音色で包みこみます。また、ピアノがころころ〜っと転がっていく様は、聴いていて小さなシアワセ感が漂い、包まれて、ほっこり〜心が和らぎ楽しくなってきます。

バレンボイム イギリス室内管弦楽団 1971年
Daniel Barenboim
English Chamber Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。ほのかにシアワセ感が感じられ、暖められ、聴いているうちに、じわっ〜と充実感が満たされてくる、言葉では表せないような演奏だ。
カップリング:
1〜3 モーツァルト ピアノ協奏曲第22番(1971年)
4〜6 モーツァルト ピアノ協奏曲第23番(1967年)
1楽章
「ふぁ〜ふぁ〜ふぁぁ〜 らっふぁっどぉ〜 ふぁふぁふぁ れっれ みそみ どっど れふぁれ しっし どっど・・・」
この冒頭の繰り返しの部分と、続く木管群、そして弦の絡みが、もう絶品っ!
爽やかという言葉では、収まり切れないぐらいの美音で〜 う〜ん。ピアノが登場するまでに、やられてしまう。
ふぁぁ〜っとのびたところのパラパラ〜 フルート、クラリネット、ファゴット そしてホルンの音色が、う〜巧すぎっ。
ホント、この序奏部で悩殺されそうなほど、魅力満載のフレーズになっている。
少ない人数での演奏だと思うのだけど、これほど木管の響きが、爽やかに絡む響きって、なかなかに聴けないのではないだろうか。ワタシは、この出だしで、素敵っ!と、心を鷲づかみにされてしまった。

ピアノは、さらっとしているが、木管の響きが優しく、まろやかで、ピアノもそれに溶け合ってくるところが、なんとも言えないシアワセな気分になる。
「ふぁぁ〜ふぁ〜ふぁ〜らふぁっどっ」というところは、力強いが、柔らかく弾力のある響きとなっている。
やっぱり、ピアノも巧いし、ころころ〜っと転がっているところは、文句なしにチャーミングで、ふふっ。と、ほくそ笑んでしまう。
クラを登場させたことで、オケの響きが、柔らかく全てを包み込むかのようになっており、ピアノと木管の響きが、うまく一緒になっている。
協奏曲とはいえ、ピアノの存在は、オケの響きのなかに埋まっているかのようで、一緒になって、全体の響きとして聞こえてくる。録音の状態も良く、ピアノ単独では聞こえてこない。まるで、ピアノをとりかこんで、木管のセッションが組まれているかのように聞こえてくる。これは、耳にとっては極上のご馳走だと思う。
それに、弦も、ピアノもスピード感があって、このスピードに合わせて細かい木管の音が、きちんと入ってくるのだもん。
オケとソロ楽器が張り合うのが、協奏曲って思っていたところがあるのだが、これは違う。協奏曲という概念が、ちょっと変わるかも・・・。
このピアノの音は、とっても柔らかいし、ここのオケの響きと、とってもマッチしていて、張り合うとか、伴奏に徹するということはない。トータルで構成された室内楽のようだ。ピアノ三重奏、五重奏なんかを聴くと、木管とピアノの響きって全く別モノで、別次元の響きの違いを楽しむかのようだけど、この演奏を聴く限り、う〜ん、同質化しているんですけどねえ。ちょっとこの感覚は驚異的かもしれない。

2楽章
「らぁれ〜 ふぁ どれ らしら そぉら〜 らし〜 ら らしぃ〜  しどれぇ〜 どしら〜 そそそ らしらぁ・・・」
とても沈み込んだ悲しみをうちに秘めたようなフレーズが続く。
すすり泣いているかのようだが、ほの明るさが見え隠れし、ふっとため息を小さくついているかのようなフレーズだ。
ピアノは、「らららら れ〜 ふぁみどれ れれふぁら どししら らそら〜」
「ららら し〜どれみふぁそらし ししら ららら し〜どれみふぁそらしし しどれ〜」
「らそれ らそれ らそれ しらど どしら らどし しらそ そふぁそ ふぁ〜」
バレンボイムさんのピアノは、くすんだ表情があり、眉に縦皺を刻むかのような悲痛さはないが、翳りは濃い。
「れみみ みぃ〜」という感情を、少し高ぶらせる音の響きは、ここは男性だからね〜 女性ピアニストが弾くと、もう少し、くっと来ちゃうかもしれない。内田さんのピアノの方が、うっと、うめくような、カラダをひねったようなエロチックさがあったように思う。
木管のフレーズになると、これまた絶品の響きで、フルートとクラリネット、ファゴットさんの美しい音色が楽しめる。
木管は、きちんと明るめに強めに主張しており、それにつれて、ピアノが心情を動かし、頑なな表情を緩めてくるかのようだ。こりゃ〜 ピアノは女性の役割をしているんでしょうか。
この楽章の、この演奏を聞いていると、男性と女性の秘めた行為というか、謎めいた愛の告白っぽく聞こえてくる。

3楽章
「どっ ふぁっふぁっふぁっ ふぁ〜ら ふぁ そっそっそっ そぉ〜し そ らっらっらっ どぉ〜らふぁ そぉ〜しそふぁ」
この楽章は、明るく小さな家庭を持ちました〜って感じで、シアワセ感が漂ってくる。
まるで、ピアノは、シアワセになりましたという報告をしているかのようだ。
聴いているだけで、ほっこり〜 ほんわか〜っとなってくる。
細かなピアノのフレーズが、静かに転がりシアワセ感を示すと、「ふぁふぁふぁ ふぁ〜 れどれどぉ〜ふぁっ れどれど どぉ〜ふぁっ」と、ティンパニーと弦が、子供たちが家庭を持ったことを祝福している親のようで〜。
まあ、これはたわいもないワタシの勝手なイメージだけど、純粋に、汚れのない、天使風のフレーズが続いていくことは確かで、ほのぼのとした春の、うららかさが感じられる。
中間部では、ゆったりとした安心感を漂わせ、少し落ち着いた心情となり、しみじみ、ちょっぴり苦しかった頃を思い出しているかのような心情が綴られている。

この曲と演奏は、聴き手がどこまで心が寄り添って聴けるか、同化していけるかに、とっても左右される気がする。
ワタシ的には、この曲を聴いていると、親しい友人が語ってくれた小さな告白、小さな発露を、そっと聴いてあげよぉ〜っという気持ち、いたわる・・・という、つい忘れがちの心境になって〜 なんだか、単に音楽を聴いているという以上に、心が動かされます。ある意味、隣人愛を描いた楽曲かな〜って。
さて、皆さんはどうお聴きになるでしょう。

バレンボイム ベルリン・フィル 1988年
Daniel Barenboim
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)



録音状態は良い。バレンボイムさんの指揮振りで、オケが立派。木管との絡みが室内楽っぽくて良い。ちょっとテンポを落とすところがなあ〜。
カップリング:モーツァルト ピアノ協奏曲22番、23番

1楽章
「ふぁ〜ふぁ〜ふぁ らっふぁっどぉ〜」という冒頭のフレーズから始まり、ピアノ協奏曲というよりは、まるでシンフォニーの出だしのようだ。
ホルン の音色のなかに、ファゴットやフルートが絡んできて、木管の音色がタップリ取り入れられている。
長く伸びやかに、明るく歌う可愛いフレーズが出てくるのだ。そこに、ころころっと転がる装飾があって、ふふっ。可愛いっ。ピアノは、なかなか登場していないのに、この序奏部で、すでに良い曲だな〜って直ぐ感じちゃうだけの魅力満載のフレーズになっている。
「どぉ〜しどれど どぉ〜ふぁ〜」「ふぁ〜どれれど どぉ〜ふぁ〜」「み〜れみふぁみ み〜そぉ〜」
「ふぁ〜そぉ〜ら〜 どしらそ ふぁっ」
ティンパニーも入ってきて快活だし。
でも〜 なぜか、あまり22番って人気がないのである。後期のピアノ協奏曲のなかでも、カップリングがなあ。うまく行かないのだ。ショパンのP協奏曲1番のように、冒頭のオケが立派すぎて、ピアノが、ひがんでいるのかも。(笑)

ようようピアノが、「ふぁ〜ふぁみ ふぁっそら〜 らしど どどみ ふぁ〜」と、転ぶように登場しちゃう。
でも、オケの伴奏みたいになってて、ちょっと笑えてしまう、ピアノは、長調なのに、えっ短調だっけ。という感じさせられる翳りを含んで、小声で、プチュプチュ 転がるように呟いていく。
この盤は、オケが立派。立派すぎて〜 どこか恰幅の良い紳士風で、モーツァルトの素朴で可愛い甘えた風情は、ちょっぴり影を潜めている。楽章最後の方になると、ピアノがオケと渡り合っているのだが、さらっと演奏してしまった方が粋なのかもしれないのだが、バレンボイム盤の新録で聴くと、テンポをぐぐっと落として演出臭くなってしまい〜 ご大層さが、見え見えすぎて、ちょっと鼻につく。

2楽章
「らぁれ〜 ふぁ どれ〜 らしら そぉら〜」
「ららし〜  ら ららし〜  しどれ〜 どしら〜」
すごく沈み込んだ楽章で、悲しみに暮れている感じのフレーズが続く。
ピアノは、「らららら れ〜ふぁみどれ れれふぁら どししら らそら〜」
「ららら し〜どれみふぁそらし ららら し〜どれみふぁそらし しどれ〜」
「らそれ らそれ らそれ しらど どしら らどし・・・」
すごく魅力的に沈むフレーズとなっていて、重く沈んだ感情と、頭のなかで思い出される回想風の情景が、すわーっと浮かんで来る感じになっている。
しばらくすると、その沈み込んでいる気持ちに、クラリネットが現れると〜
今までの沈んだ心に、光が射し込んだように、ほのぼのとした明るいフレーズに変わる。
はあ。すごっ。なるほど、クラリネットをこんな風に使うのか。
クラリネットやフルートの使い方が巧いなあ〜と、内心舌を巻きつつ、心情の変化を、ピアノと共に同化していってしまう。フルートやクラが登場すると、まるで室内楽のような可愛いフレーズが満載となってくるが、そこに翳りも色濃く残っているし、かなり意味深な楽章だ。

3楽章
「どっ ふぁっふぁっふぁっ ふぁ〜ら ふぁ そっそっそっ そぉ〜し そ」
「らっらっらっ どぉ〜らふぁ そぉ〜 しそふぁ」 
ハイ、聴いたことのあるフレーズが登場してくる。
柔らかく華やかで、快活なフレーズで幕開けする歌劇の序曲のような感じで、これがオチャメで可愛い。天使のご登場って感じのコロコロした装飾音が聞こえてくる。
オケなんぞ、ぱこぱこ〜 ぺこぺこ〜としか伴奏してない風なんだけど、この開放的な木管や金管が、とっても喜びを表している。
ピアノの快速コロコロが出てきて、「み〜そ れ〜そ どれみ ふぁみれ〜」と、ピアノと木管が掛け合って、ふふふっ。可愛く踊ってくるのだ。あの先の楽章の影を引きずりながら、あまり開放的にノー天気には演奏されていないが、可愛らしさ、愛らしさ、べービー誕生のような、ちょっぴりウキウキした可愛さがある。

総体的には、翳りの多い演奏になっているが、ソロが巧いので、ピアノよりフルートやクラリネット等の木管の方に耳がそばだってしまう。ピアノの音質は、キラキラした音ではなく、くすみ感のある質感で、オケの音に埋没することなく、オケと一体になっている感じがする。
室内楽っぽさが出てて、木管との絡みが、ちょうど良いかな〜とは思うが、どうだろう。
もっと華やかで、愉悦感がしてきても良いぐらいだが〜 ピアノとオケの間に、ちょっとした間合いがあったり、すぐに沈む心情、翳りの方が勝っている感じがする演奏となっている。
最後には、かなりテンポを落としてしまうので、ちょっとやらせっぽい、演出臭い感じがしちゃって〜
えーっ さっきのテンポで行ってくれれば良いのにねえ。と、ワタシ的には、1楽章同様に感じてしまった。
表情付けは、ちょっと濃いめ。なにも、テンポに関してはいじらなくても、充分に、悲しくも明るいという、泣き笑いの表情が出てくるのにな。と思った次第です。

シフ シャーンドル・ヴェーグ 
カメラータ・ザルツブルク室内管弦楽団 1989年

Andras Schiff Sándor Végh
Salzburg Camerata Academica Mozarteums



録音状態は良い。ピアノは3楽章、軽やかに羽根がついたようにころころと可愛い。総体的には、温かみのある音質で、素朴に、チャーミング。
カップリング:モーツァルト ピアノ協奏曲第22番、23番

1楽章
「ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜らっふぁっどぉ〜」という冒頭のフレーズは、元気。
いつも、この22番は、ピアノ協奏曲というよりは、 交響曲のようだな〜って思いながら聴いているのだが、シフ盤は、柔らかいが、シッカリした芯があって、明るめのオケと、渋めのピアノの音色を楽しんでいる。
ピアノ協奏曲というより、弾むリズミカルさと、ホルンを初めとしたオケの明るく外向きに響く音が、まず耳に入ってくる。
オケは室内管弦楽団とは言うものの、恰幅も良く立派だし、ピアノの音質は幾分沈んだ感じだが、それが結構、補色関係のように寄り添いながらバランスが取れているのかもしれない。
いっけんすると、自然な感じで嫌みなく聴けるものの、ところどころ、あれっ アレンジしているのかな。って感じで音が良く入ってくる。
総体的には、主張は強くないのだが、ピアノの低音域がちょっぴり強めで、まるでベートーヴェンみたいだなあ。と感じるところもあるが、華やかさのあるフレーズが続く。

2楽章
沈み込んだ、ウツウツとしたフレーズが続いたあと、ピアノが「らららら れ〜ふぁみどれ れれふぁら どししら らそら〜」「ららら し〜どれみふぁそらし ららら し〜どれみふぁそらし しどれ〜」 と、呟くように出てくる。寄せる波のような、「らそれ らそれ〜っ」というフレーズがあるが、訥々とした語り口で、素朴だ。
木管群の音色は、ちょっと太めで、もう少し線の細めが好きなのだが、ちょっぴり元気だ。
翳りのあるフレーズなのに、ちょっとぉ〜と、思わなくもないんだけど、ほのぼの感はあるが、あまり叙情性は高くない。ところで、あまり、カチッとアンサンブルが合っているって感じがしないんだけどなあ。
ワタシの気のせいかもしれないんだけど・・・。何故なんだろ。

3楽章
大好きな楽章で、「どっ ふぁっふぁっふぁっ ふぁ〜ら ふぁ そっそっそっ そぉ〜し らっらっらっ どぉ〜らふぁ そぉ〜 みそふぁ」と、オチャメなフレーズが登場する。
シフさんの、軽やかな羽根のついたようなタッチが、存分に楽しめちゃう楽章になっている。
ここは、ピアノを聴くのがとっても楽しみな場面だ。
うん。ピアノから、軽やかで、まろやかな音が出てきて、むふふっ。
オケの方が、ふぁそふぁそ ふぁそふぁそ〜、ぺろぺろぺろ〜っと、伴奏しているだけど、ここの活発で溌剌とした木管の響きは好ましい。
春に聴くのが合ってるなぁ〜って感じの、ほんのりした暖かさと、ころころした粒立ちの丸い、ぷるぷるした音が聞こえてくるのは嬉しい。総体的には、くすみ感を少し感じさせながら、ころころした軽やかさ、ちょっぴり崩し気味の即興性を感じさせるピアノ。オケの方は、ちょっと素朴で、溌剌としている。
この相性はどうなんだろ?
まあ、どちらかというと、あまり洗練されていない可愛らしさというか。(ちょっと失礼かな)
愛くるしいフレーズが続いていくが、母親が、赤ちゃんの顔を覗き込んで、頬を触れているかのような、素朴なシアワセ感が感じられる。日常的な可愛らしさ。家族的なシアワセ感。べービーの顔を覗き込んでは、これから魅力的な女性に成長してね〜っていう期待感を抱かせるような演奏である。
1971年 バレンボイム イギリス室内管弦楽団 EMI ★★★★★
1988年 バレンボイム ベルリン・フィル T ★★★★
1989年 シフ カメラータ・ザルツブルク室内管弦楽団 Dec ★★★
所有盤を整理中です。

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