「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

モーツァルト ピアノ協奏曲第24番
Mozart: Piano Concerto No.24
K.491


モーツァルトのピアノ協奏曲第24番(ハ短調 K.491)は、1786年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、作曲されたのは3月24日で、初演は4月7日だそうです。
ちなみに、この第24番が書かれた直前の3月2日には、ピアノ協奏曲第23番が作曲されているとのことで〜
えっ、ホント? 超驚きの作曲ペースで、およそ人間ワザとは思えない・・・。神がかり的です。

さて、このピアノ協奏曲第24番は、ご存知のとおり、モーツァルトのピアノ協奏曲のなかでは珍しいハ短調の作品で、この24番と20番のみが短調作品となっています。明るい曲ではなく、暗く情熱的な作品なので、「ベートーヴェン的な」作品とも言われているそうです。編成は、ソロのピアノ、フルート、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦五部となっており、オーボエとクラリネットの両方が登場し、木管が活躍する曲です。

第1楽章 ハ短調 3/4拍子 ソナタ形式
ぎくしゃくとした印象の第1主題で始まり、第1主題の中の跳躍する音型は、第1楽章の中で何度も繰り返されるもの。
第2提示部で、第1主題が繰り返される前に、ピアノが独自の主題を見せるのは、ニ短調の協奏曲と共通するもの。

第2楽章 変ホ長調 2/2拍子 ロンド形式
前後の楽章とは対照的に、穏やかな優しい曲で、木管とピアノの応答がとても美しい楽章です。

第3楽章 ハ短調 2/2拍子 変奏曲
主題と、8つの変奏からなる変奏曲で、第4変奏と第6変奏では、第2楽章に似た木管とピアノの楽しい応答があります。最後には、6/8拍子に変わり、ニ短調の協奏曲とは違って悲劇的なまま締めくくられるもの。

第1楽章のカデンツァ、第2、第3楽章のアインガングは、モーツァルト自身のものは残されておらず、ピアノのパートを完成させていない部分が、いくつかあるそうで、演奏会で即興演奏した部分なのだろうと思われるとのこと。
いつもの明るくて陽気なモーツァルトとは違いますが、別の境地を発見する〜 これが天才たる所以なのでしょう。

  マレイ・ペライア イギリス室内管弦楽団 1977年
Murray Perahia  English Chamber Orchestra

ふむふむ。


録音状態は良い。少しもやっとしているが、ピアノは、とてもピュアで清潔で、癖が少ない。
カップリング:
1〜3 モーツァルト ピアノ協奏曲第20番(1977年)
4〜6 モーツァルト ピアノ協奏曲第24番(1975年)
1楽章
「れぇ〜ふぁ〜 しぃ〜ら そっふぁ っそ らそふぁ みっれ っそ そふぁみ みっど・・・」という、とても暗いモーツァルトの短調のピアノ協奏曲である。
指揮振りをしておられるので、オケの方は、指揮者がいない。
ペライアさんといえば、淡々と弾かれていくが、清水のごとく清潔で、ピュアなピアノの音色が特徴だ。
この短調の協奏曲は、内面的で、さほどキラキラする音がない。鬱々とした沈み込むかのような、暗澹たる想いがする楽曲で、内省的なもの。そのため、音質の煌めき、輝きは、ここでは活かされないのだが、 フレージングは、単に暗くならず、伸びやかさを感じるものとなっている。
オケの方は、弦は活発に弾かれているが、もう少し木管やホルンの音が聞こえてくれれば嬉しいのだが、奥まってしまって浮かんで来ない。ちょっとバランスが悪いように感じる。
「らぁ〜 らしらし らしらし らしらし らぁ〜   れぇ〜 みれみれ みれみれ みれみれ れぇ〜」
この悲痛なフレーズは、さすがに音量をあげて、ドスンっという音圧があり、ピアノの音をかきけさんばかりに鳴っているが、鋭さが少し感じられず、さほどインパクトのある感じにはなっていない。

2楽章
「どぉ〜どぉど どふぁふぁ〜らみふぁそ どぉ〜  らぁ〜らら ど らふぁ みみみ ふぁ〜」
まずピアノ、そしてオケが、同じ主題を奏でてる。
「そぉ〜そそ らぁ〜ふぁ らぁ〜らら しぃ〜そ しぃ〜しし らぁれど どしらし どぉ〜」
うつむき加減だが、少女が窓辺で本を読んでいるかのような、ゆったり穏やか。チャーミングな雰囲気がある。
ただ、ここでは、木管の音色がイマイチ通ってこないのだ。確かにピアノが主人公ではあるが、そのピアノの音に寄り添い、 すーっと春の風が通っていくような、ファゴット、オーボエ、クラリネット、フルートの音が・・・ 少し弱いかも。

3楽章
「らぁ れふっ みっみ れぇ ら れれ ふぁそら〜 らぁ しししし しどれ らそふぁ ら どぉしら らそらぁ〜」
このオケのフレーズが、もう少しリズミカルに鳴ってないと、少し愉悦性が削がれるように思う。
オケの旋律が全体的に重く、装飾音に軽やかさが少ない。ペライアさんのピアノは、軽快に音を奏でているのだが、パコパコパコ・・・という木管は遠いし、

で、軍隊行進曲風になっていくところは、やたらめったらオケの音量が大きくなっており、ドッドドンと、いかにも無造作に叩かれており、繊細さに欠ける。う〜ん。参ってしまった。
木管のチャーミングなフレーズがなあ。生かしきれていないのと、せっかくのピアノの煌めきが、かすみ、翳り、どんよりとしてしまっている。
なんで、指揮振りにしたのかわからないが、オケをコントロールしきれていないのではないだろうか。
はたまた、録音が悪いのか。ちょっと残念です。
確か75年のアナログから録音を初め、約10年の歳月をかけて 12枚組BOXの全集を完成されており、後に、リマスタリングをしたものが発売されている。ワタシの持っているCDは、とっても古い初期のものなので、購入を考えておられるのであれば、リマスタリングされたものをお薦めします。
  内田光子 ジェフリー・テイト イギリス・チェンバーオーケストラ 1988年
Mitsuko Uchida    Jeffrey Tate  English Chamber Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。さほど暗くなく、3楽章は室内楽的に、とても楽しげ。
カップリング:
1〜3 モーツァルト ピアノ協奏曲第20番
4〜6 モーツァルト ピアノ協奏曲第24番
他にも24番、25番でカップリング、21番と24番でカップリング、全集の8枚組BOXも発売されている。最近は、クリーヴランド管弦楽団との演奏もある。
1楽章
最近は、クリーヴランド管弦楽団を指揮振りしながら演奏しておられるCDが発売されているのだが、これは、80年代に演奏されたもので旧録にあたる。
実は、旧録音の21番とのカップリングCDも、8枚組BOXの全集も所有しているのだが、あまり聴いてこなかった。
内田さんの演奏が苦手というより、モーツァルトが苦手だったから・・・。

でも、最近になって、ちょこちょこ聴き出すようになった途端、あらら〜 ピュアな楽曲が多くて、すこぶる気持ちが良い。
今まで、苦手としていたのがウソみたいに〜 シンプル・イズ・ベストって感じで、屈託のないピュアさが嬉しく思う。
まるで、音楽の原点に戻ってきたようである。(モーツァルトが原点と言わないが・・・)

さて、80年代の演奏を今頃聴いているようでは、完全な周回遅れで、お恥ずかしい限りなのだが、短調の曲だということを忘れてしまうほど、暗さは感じない。
「れぇ〜ふぁ〜 しぃ〜ら そっふぁ っそ らそふぁ みっれ っそ そふぁみ みっど・・・」と、奏でられる。
もちろんイッパイ半音がついてて、すげ〜 ヘンテコリンな音なのだ。なんだ〜 この変な旋律はと、のけぞってしまいながら、しばらく我慢して聴くと、不思議と、すーっと、雲が消えたように、明るいフルートは入ってきて色彩が変わる。
このしばらく、不気味なティンパニーと、かしげた弦の序奏が、執拗に提示してくる。

で、ピアノの方は、「ら らぁ〜 そふぁみれ どれ れれれ どぉ〜  し しぃ〜 らそふぁみれど ししし らぁ〜」と、呟きながら、諦めの胸中に居るように出てくる。
で、そこに覆い被さるようにオケが、くらーい旋律を奏でる。明るいのか、暗いのか、いや〜どうなってるの? という嫌な雰囲気なのだが、その暗さを振り払うように、長調風に奏でてくる旋律もあって、とても、もやもや〜っとした気分だ。

どちらかというと、ズブズブの暗さではなく、内田さんのピアノは、伸びやかに、ピュアさを失わず、暗さをはねのけるかのように語り出す。また、木管フレーズも、オーボエもスッキリと、弦のフレーズも柔らかくも、すーっとノノビと歌っているので、希望を失わずに歩いているかのような、心境になってくる。瑞々しさが、冒頭の暗さを圧倒していくのだ。

モーツァルトの妙なのだろうか、この暗さと不安定な心境を劇的に、突き落とすかのようなフレーズが出てくる。
「らぁ〜 らしらし らしらし らしらし らぁ〜  れぇ〜 みれみれ みれみれ みれみれ れぇ〜」
「そぉ〜 らそらそ らそらそ らそらそ そぉ〜」っていうようなフレーズを繰り返し、ますます悲劇的な要素を深めていく。
でも、悲痛な感じではなく、オーボエのフレーズや、木管の柔らかさ、ピアノのキュートさに、救いが見える。

2楽章
「ど〜どぉ ど どふぁ ふぁ〜 らみふぁそ どぉ〜」
柔らかいフレーズでピアノが始まり、オケが同じフレーズを奏でていく。
「らぁ〜らら どぉ〜らふぁ  そそそ ふぁ〜」「そぉ〜そそ らぁ〜ふぁ らぁ〜らら しぃ〜そ しぃ〜しし らぁれど どしらし どぉ〜」 穏やかで優しいフレーズが、ピアノとオケと呼応していく楽章で、ピアノの優しさと、特に、木管のファゴット、オーボエ、クラリネットのフレーズが、至福の時を描く。また、フルートの美しいこと。ゆったりとしたテンポが、とても良い。

3楽章
「らぁ れふっ みっみ れぇ  ら れっれ ふぁそら〜」
「らぁ しししし しどれ らそふぁ ら どぉしら らそらぁ〜」と、いうフレーズの変奏曲である。
この2行目の しどれらそふぁっ というフレーズが、コロンっと、回転している。ここがチャーミングなところだ。
まずオケで始まり、ピアノが続くのだが、このコロンっという回転するとこと、音の弾み具合が、とっても柔らかく、そして芯があって、付点のリズムが心地よく続いていく。
木管だけの旋律が間にはいって、またピアノが登場するなど、とても軽妙で〜 ファゴットがまるで通奏低音のように吹かれており、そこに、即興的にピアノが楽しげに踊っていく。
勇壮な感じでオケが続いたり、ジャンカじゃんっという賑々しさを演出したり、コミカルなマーチ風になったり、これが楽しい。
ピアノ協奏曲というよりは、管弦楽曲のなかにピアノが、潜んでいるかのようで、ソロのテクニックをひけらかす楽曲ではない。内田さんのピアノと、テイトさんのオケは、とても明るく、このコラボが楽しく聴けちゃう。
オーボエのペタンとした音と、クラリネットの明るさ、ちょっぴりおすましのフルートの音が、相容れないように見えて、すっぽり、室内楽の楽曲のよう楽しめちゃう。この妙は、すごいっ。

シフ シャーンドル・ヴェーグ カメラータ・ザルツブルク室内管弦楽団 1989年
Andras Schiff  Sándor Végh  Salzburg Camerata Academica Mozarteums

ほぉ〜良いヤン


録音状態は良い。室内楽的なオケに、粒立ちのよいピアノが絡む。
カップリング:
1〜3 モーツァルト ピアノ協奏曲第24番
4〜6 モーツァルト ピアノ協奏曲第25番
ピアノ協奏曲全集9枚組BOXも発売されている。
1楽章
モーツァルトは、短調のピアノ協奏曲を、20番と24番の2曲を作曲している。
いつもは華やかな長調の曲なのに、なーんで、こんな暗いのを2曲作曲しているのか、謎だ。
ちなみに20番はニ短調、24番はハ短調である。
24番は、1786年に作曲されており、4月には自分で初演しているという。で、翌月はフィガロの結婚が初演されているという充実ぶり(忙しさ)なのだ。でも、予約演奏会で弾くのは、これで終わり〜ということになってしまったらしい。

冒頭、ファゴットだと思うのだが、「れ〜ふぁ〜 しぃ〜ら そっふぁ らそふぁ みっれ そふぁみ みっど ふぁっれ それぇ〜ら・・・」と、奏でられる。もちろんイッパイ半音がついてて、↑ しっかりと音はとれてないが〜
なんとも蠢いた気味の悪い主題だ。
弦と木管が一緒に奏でられたりして繰り返され、かなり、シツコイ主題の提示だ。
明るいフレーズが間にくっついているが、主体は暗く、悩みの深みに突如落ち込んで、鬱々している感がする。
ファゴットだけではなく、フルートやクラリネットが使われ音色が増しており、おおっ 交響曲じゃん。と思え、へえ〜 ピアノ協奏曲という、ジャンルの枠を超えたんだなあ〜と思う。
まあ、ワタシたちは、モーツァルト以降の、編成の大きくなった多彩な楽曲を聴いているので、あまり驚かないけれど、予約してモーツァルトの明るいピアノを聴けると思って演奏会に来た当時の聴衆は、当然、えっ なんじゃーこりゃ。と怒ってしまっただろうなあ。とは思う。

だって、ピアノもちょこっと、やっぱりピアノという楽器よりも、ファゴットという楽器の木管の持つ魅力を使った感じがするし、ピアノ協奏曲というよりは、弦楽合奏という雰囲気が感じられる。
もちろんピアノは出てくるのだが、オケの方が主体性を持っている。で、執拗なくらいに暗い主題が主導権を握っている。たまには明るくなるが、暗さに引き戻されるという感じで、安定しない。単に気持ちが悪い〜 いや。あらっ 減7度の跳躍で、う〜ん 視点がずれた人のように、壊れたみたいになっている。
あのぉ〜 ノー天気なぐらいに明るいのが、アナタの基本的性格だったのでは? 
シフ盤で聴くと、ファゴットの音色にひきつけられ、ピアノよりも、この楽器の方に耳がいっちゃって〜 使っているのはバソンかな〜と思ったり、いや違うかな〜と思ったりする。
シフ盤では、あまり深淵な怖い面をことさら強調せず、木管を浮かび上がらせたオケを主体にして、ピアノは、こっそり〜的に演奏されている。木管の使い方が楽しく、少し深みにつれててやろ〜的な演出の妙を感じ、クレパスの深みに、はまりこみました〜という超怖い世界ではない。むしろ、ずれることの楽しさみたいな作品に感じられる。

2楽章
前楽章とは違って、憂愁を感じさせるピアノと、いや木管のフレーズの方が心に迫るなあ〜という感じで、秋めいた風情が漂う。柔らかくて暖かい、しかし、隙間風を感じさせるようなファゴットのフレーズが、なんとも〜
落ち葉が、はらり〜 足元の風が少し冷たく感じられるような、あら、いつの間にか秋になってきたわね〜という感じで、切々と奏でられていく。
ピアノが登場すると、あっ そうでしたね〜 ピアノ協奏曲だったねえ・・・という感じに引き戻される。
ピアノとオケの呼応する雰囲気が、大変穏やかで、呼応しつつも一緒になって演奏されている感があるが、やっぱり木管が主体になるだろうか。
これじゃー ファゴット協奏曲じゃん。って感じですが、モーツァルトは、この渋い音色の楽器が使いたくて〜 使いたくて〜っていう感じだったんじゃないのかなあ。シフ盤を聴いていると、単純にそう思ってしまったのですけど、これじゃー モーツァルトにも、ピアノ演奏家に怒られるかも。(笑)

3楽章
この楽章も、ピアノ協奏曲というよりは、木管の協奏曲っぽくなっており、主題と8つの変奏からなっている。
ピアノの方が可愛く演奏されているのだが、木管の方がため息のようで、ポコポコ・・・と吹かれているファゴットが、リズムを与えて推進力にもなっている。
ピアノもそのうちに、軽やかさを持って、リズムカルに動き始めて、ようやく、本来の姿を取り戻すかのようになっていく。
オケが伴奏を務めるようになって、ふむふむ、ようやくピアノ協奏曲らしくなってきたね〜と、思わせるのだが、この変奏曲にしておいて、ようやくピアノを主役に持って行こうとしている感があって、この展開は面白い。
でも、ピアノよりも、木管の巧さ、ファゴットにオーボエ、クラリネットの音色の違いとか、一緒に吹かれた時の、まろやかだけど、音色の違いなんかに、ついつい、耳を奪われていく。
シフ盤できくと、ピアノ協奏曲というより、木管の魅力を前に押し出したプチ交響曲的な雰囲気があります。

1977年 ペライア イギリス室内管弦楽団 SC ★★
1988年 内田光子 ジェフリー・テイト イギリス・チェンバーオーケストラ Ph ★★★★★
1989年 シフ カメラータ・ザルツブルク室内管弦楽団 Dec ★★★★
所有盤を整理中です。

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