「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番、第5番「トルコ風」
Mozart: Violin Concerto No.3, No.5


クレーメル アーノンクール ウィーン・フィル 1984年
Gidon Krener  Nikolaus Harnoncourt
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

いかすぜっ

録音状態は良い。ちょっぴり、おすましした貴婦人が踊っているかのよう。
カップリング:
1〜3 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番
4〜6 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第4番
7〜9 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番 トルコ風
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番

1楽章
このCDは、ギドン・クレーメルさんとアーノンクールさんのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集から、3番〜5番までをカップリングしたものである。
全集は2枚組BOXで、83年〜87年の録音だと思う。
で、個性的な2人が、どんな演奏するの?ってことで、注目を浴びていたように思うが、ワタシ的には、丁々発止の演奏だと思って、ちょっと敬遠気味だったし、実のところ、ほとんど聴いてこなかった。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、全部で5曲ある。この前、トルコ風というニックネームのついた5番を聴いて、ちょっとピンっとこなかったので、3番を聴いてみたのだが、これ、良い曲だなあ〜って素直に思う。
ワタシ的には、有名なトルコ風よりも、明るくて、のびのびしている3番の方が好みだ。

まずは、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたところ〜
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番(ト長調 K.216)は、1775年に作曲されている。
シュトラスブルグ協奏曲と呼ばれることもあり(4番も、そう言われることがあるらしい)、最初の成功作といえるとのこと。
第1楽章の第1主題は、モーツァルトが数か月前に書き上げた、オペラ「牧人の王」(K.208)第3曲のアリアの前奏部分から転用されたという。
2番を作曲してから、わずか3ヶ月しか経っていないのに、技術的にも、内容的にも、飛躍的な進歩を見せており、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の特色が、発揮され、充実した作品となっているとのこと。
3楽章で構成されており、演奏時間は約26分の楽曲である。

第1楽章 アレグロ ト長調 4/4拍子 協奏曲風ソナタ形式
第2楽章 アダージョ ニ長調 4/4拍子 ソナタ形式
第3楽章 ロンド アレグロ ト長調 8/3拍子 ロンド形式

クレーメル盤は、とても録音状態が良い。ワタシ的には、クレーメルさんと言えば、ゲンダイオンガクを弾く方で、キシキシ、カシカシとした、ドライで超辛口の演奏をする方というイメージがあるのだが、この演奏に関しては、リズミカルで、メリハリがついてていいなあ。と思う。

「らっらぁ〜 そらそら みっみぃ〜 どれどれ どっどぉ〜 みれみふぁ らそそぉ〜」
「しぃ〜 しらそら しど れっれぇ〜」
ヴァイオリン協奏曲というよりも、室内楽っぽいが、サロン風の軽やかで、華やかなフレーズが続く。
弦楽合奏的な弦の音の美しさがあり、そこにオーボエが、さらっと顔を出したりしている。
ウィーン・フィルだからといって、さほど、たれっとは演奏されてない。そこは、アーノンクールさんが、アハハ〜 制御してるんでしょうね。
ひととおり弦楽合奏にオケが奏でると、第2幕は、ワタシが主役でーす、という感じで登場しヴァイオリンが主題を歌い出すのだ。
モーツァルトは1756年生まれなので、この作品が75年に完成しているっていうことは、えっ 19歳の時の作品なの?
まあ、早熟の天才っていのは、泉のごとく美しい楽曲が湧いてくるのだろう。
音楽劇の「牧人の王」(作品K.208)のフレーズを転用しているというが、この作品は、ワタシは知らない。
しかし、転調して、短調にフレーズが変わるところの微妙な色彩感が、やっぱり巧い。
主題を使い回す(ってソナタ形式なんだけど)と、ちょっぴり金太郎飴状態で、飽きそうなものだが、するっと色彩が変わってくるところは、確かに面白く聴けちゃう。

2楽章
このアダージョの楽章は、ニ長調で、オケのヴァイオリンは弱音器を付けている。
そこに、ソロが、「しっ そ しみそ ふぁみぃ〜 ふぁみれど どししぃ〜」と歌う。
クレーメルさんの細いヴァイオリンの声が、音を転がして、オクターブの跳躍を、ゆったりとした旋律として、歌っていくのだ。
いつもの、カシカシ、ギシギシとした音質が、ここでは、クッキリとしたトレース線を描いているようで、メリハリがある。
ごつい太めの音も魅力的だが、このクレーメルさんの彫りのある線は、バックの柔らかい、丸みを帯びた音に、輪郭を点けていくかのようだ。

3楽章
「みぃ〜れど そそそ  みぃ〜どら ふぁふぁふぁ そぉ〜し らぁ〜ど し〜れど しぃ〜ら」
「みぃ〜れど そそそ  みぃ〜どら ふぁふぁふぁ そぉ〜し みぃ〜ど しどらふぁ」
軽やかな3拍子のフレーズが、活き活きとしてて楽しいのだが、ちょっぴり美形のツンとおすまし気味の演奏だ。
下手に媚びを売らないというか、もっと楽しく愉悦性の高い演奏でも、ワタシ的には嬉しいのだが、クレーメルさんのヴァイオリンで聴くと、高いヒールを履いた女性が、ツンっと、つま先で踊っているかのような雰囲気がする。
まあ、野暮ったいと言う言葉とは無縁ですねえ。
楽曲が優しいので、さほどクールには聞こえないが、う〜ん、まるでヴィヴァルディの楽曲のように聞こえたり、バロック的な要素が感じられる楽曲だ。
で、中間部での、「み〜れど そそそ  ふぁ〜れど ららら」っていう、「ん〜チャッチャチャ」っていうところの軽やかで、洗練されたフレーズは、やっぱりみごとだ。
宮廷サロンでの、貴婦人っぽい演奏だと感じる。
この楽曲は、CDのブックレットを見ると、3楽章のロンドは、主調に戻ってのアレグロ、最後のクプレはト長調によるフランス風のアンダンテに、ドイツの民謡のようなアレグレットが続く。と書いてあった。
えっ フランス風と、ドイツの民謡? はあ、ヴァイオリンの滑るようなフレーズのことかなあ。
不勉強で、ちょっとわからないのだが、このヴァイオリンは軽やかで、身軽で、跳躍のスピードといい、トリルの素早さといい、高音域の音の安定感と、繊細な線の細いクッキリした輪郭線が、みごとにマッチしているように思う。

先述したとおり、ワタシは、ツンツンした演奏だろうと思って、敬遠気味だったのだが、3番はチャーミングな楽曲だということも手伝って、さほど〜 素っ気なくもなく、メタリック系とは思わなかった。
まあ、高いヒールで、つま先の尖った靴を履いた貴婦人っぽい演奏だとは思いましたけど〜なかなか良かったデス。


ムター カラヤン ベルリン・フィル 1978年
Anne-Sophie Mutter Herbert von Karajan 
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

ばっちグー!


録音状態は極めて良い。ムターさん14歳の時の演奏で、2楽章は、恥じらうかのようなチャーミングな演奏だ。
カップリング:
1〜3 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」(78年)
4〜6 ベートーヴェン ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲(79年)
ヴァイオリン:ムター ピアノ:マーク・ゼルツァー チェロ:ヨー・ヨー・マ
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番

1楽章
アンネ・ゾフィー・ムターさんの14歳のデビュー盤である。ワタシが持っているCDは、帯に完全限定盤と書かれたもので、96年リリース盤である。デビュー当時のCDジャケットは、ここでご紹介しているCDとは違っていて、あどけない子供が弓を持って、カラヤンと向かい合っているものだ。みなさんも、ご覧になったことがあると思う。
ここでカップリングされているベートーヴェンの三重協奏曲(トリプルコンチェルト)は、デビュー盤に継ぐ2作目で、CDジャケットは、カラヤンを中心に3人揃って写真がCDジャケットになっている。

冒頭は、オケが、軽やかに「ど みそどみ そどみそ どみ・・・」という感じの階段をのぼるようなフレーズを奏でる。
「そふぁみれ どどど そふぁみれ れれれ そふぁみれ どぉ〜みそ そぉ〜 そふぁみれ・・・」  
とっても軽やかに、ハミングするかのような主題だ。
軽やかさが、充分に伝わってくる演奏で、カラヤンのオケも、とてもチャーミングに演奏されている。

で、ヴァイオリンが、「どぉ〜 みぃ〜 そぉ〜 みど らぁ〜 そらそらそら ふぁそ ふぁ〜 れし どしぃ〜」っと細い声で歌う。ムターさんの演奏なので、もっと濃厚なのかと思ったが、あまり粘らず、転がっていくトリルも爽やかで可愛い。
トルコ風というニックネームは、3楽章までお預けである。

ここで改めて、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番(イ長調K.219)は、1775年に作曲されています。
「トルコ風」のあだ名を持ち、堂々とした曲想と、当時の流行であるトルコ趣味とを合わせた作品であり、他の4曲と比べ技術的にも内容も充実しているので、現在でも人気が高いとされています。

第1楽章 イ長調 4/4拍子 協奏風ソナタ形式
外に発散する力強い楽章で、冒頭のトゥッティで主題が弦楽器のトレモロを伴って登場します。
独奏ヴァイオリンが現れると、主題の単純な繰り返しではなく、緩い歌謡風の導入を設けています。途中で、カデンツァが挟まれますが、モーツァルト自身のものは残されていません。各ヴァイオリニストが競って、自作を残しています。
マックス・ロスタル、ヨーゼフ・ヨアヒムなどの重音のものが有名です。カデンツァを終えると、独奏ヴァイオリンは沈黙して、オーケストラが力強く終わるものです。

第2楽章 ホ長調 2/4拍子 ソナタ形式
柔らかな中間楽章で、途中でカデンツァが差し挟まれます。拍子は、本来の2楽章とは異なり、4/4拍子に変更されています。

第3楽章 イ長調 3/4拍子 
フランス風の古い表記の通り、典雅なロンドで、途中トルコ風の行進曲部分(イ短調、2/4)が、オーボエで提示されています。弦楽器によるコル・レーニョが用いられ、ティンパニのような効果を挙げています。
カデンツァを経て、型通りにロンドを再現した後、次第に力を弱めていき、最後は静かに終結します。
全部で約30分の楽曲です。

2楽章
緩やかなフレーズで、ちょっぴり、おセンチな少女が、恥じらうかのようなフレーズが続く。
「どぉ〜しら れしらそ どらそふぁ しぃ〜 らぁ〜 れどれみ ふぁそらふぁ どぉ〜どしら」
ゆらゆら、揺らめく乙女心って感じである。
弦楽合奏のような穏やかなフレーズで、ため息が、でちゃうほど。
「らぁ〜 しらそふぁみ〜 ふぁ〜ど ら〜 しらそふぁみ ふぁみふぁみ ふぁみれど れどれど れみふぁみ・・・」
夢を見ているかのような感じだ。
ここで、ヴァイオリンが、「どぉら れしらそ どらそふぁ しぃ〜らぁ・・・」と、頬をピンクに染めて、恥じらう、乙女のごとく登場する。うふふっ・・・ これは、やっぱり14歳のムターさんならではの演奏だ。
いや、ムターさんでなくても、10代でないと演奏できないでしょう。30代や40代以降だと、とっても恥ずかしくて演奏できないと思うんだけど・・・。えっ いい歳のオジチャンも演奏してるって。う〜ん・・・(ウソでしょ。って感じです。笑)
50代で弾くとなると、濃艶すぎてノックアウトされるか、えっ 違うんじゃー?という感じで、むせかえるかもしれません。

3楽章
さて、お待ちかねのトルコ風と言われる所以の楽章だ。すこぶる優雅で、ころっと典雅なメヌエットである。
「れぇ〜みふぁみ そっ しぃ〜らっ  どぉ〜れ ふぁみれど しら しぃ〜れ ふぁっ」
「しぃ〜ら らそ そっそぉ〜ふぁ ふぁみっ みれっ・・・」

で、中間部分で、曲想ががらっと変わる。
まるで、宮廷で踊っていた女性が、身持ちを崩して、一気に場末のバーに転がり落ちたかのようで〜 いきなり泥臭いのだ。きな臭いというか、怪しいというか、ドラマティックというか。

ふぁぁ・・・そふぁそふぁそふぁ・・・ いきなり、ジプシー女性に変身って感じである。
「ふぁそふぁみ ふぁそふぁみ ふぁそふぁみ ふぁっし ふぁっし ふぁっし ふぁ〜」
唐突に暗雲が垂れ込め、宮廷がトルコに攻め込まれたかのような感じすらする。
どこで、こんなフレーズをモーツァルトは仕入れてきたのだろう。

「しふぁ れし ふぁれ しぃ〜  れふぁ しれ ふぁら しぃ〜」
「しふぁ れし ふぁれ しぃ〜  れふぁ しれ ふぁら しぃ〜」
「しふぁ れし ふぁれ しぃ〜  れふぁ しれ ふぁら しぃ〜」
ジャンジャンジャン・・・と縦の刻みを入れていく。
 
また、ここでは、コルレーニョという、弓の木の部分で、弦を叩く奏法が取り入れられており、とっても、怪しい雰囲気がでている。で、また、ころっと宮廷に戻ってきて、ふっと、立ち去っていくかのように終わるのだ。
ん〜 なんという構成なんだろう。この3楽章の中間部分がトルコ風・・・
ん〜 まったく違う異質なモノを、挟み込んでしまう、この大胆不敵な構成は、どうしても首を捻ってしまうが、これが当時の流行だったのだろうか。
まあ、ムターさんの少女時代の演奏だが、2楽章は、ホントチャーミングで、良かったと思う。
2005年には指揮振りで、ロンドン・フィルと再録音しており、話題になっていたように思うが。
でも〜 先述したとおり、あまり年齢を重ねての演奏は、ちょっと・・・ ワタシ的には、このCDで充分だと思っている。

第3番          
1984年 クレーメル アーノンクール ウィーン・フィル ★★★★
第5番          
1978年 ムター カラヤン ベルリン・フィル ★★★★
所有盤を整理中です。

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