「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

プーランク オルガン、弦とティンパニーのための協奏曲(オルガン協奏曲)
Poulenc: Concerto for Organ, String Orchestra & Timpani


  ミンシュ ボストン交響楽団 1961年
Charles Munch  Boston Symphony Orchestra
オルガン:ベルイ・ザムコヒアン  ティンパニー:エヴァレット・ファース

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録音状態はまずまず良い。 地獄行きと、天国行きが、交互にやってくる恐怖のジェットコースター体験映画のようで・・・。もろ怖いっ。
Blu-spec CDでも、限定販売されている。

カップリング:
1    ミヨー 世界の創造(1961年)
2〜9 ミヨー プロヴァンス組曲(1960年)
10    プーランク オルガン、弦とティンパニーのための協奏曲(1960年)
11〜13 ストラヴィンスキー カルタ遊び(1960年)

録音は、1961年と古いけれど、今も、販売され続けている有名な盤である。
ミヨーの「世界の創造」を聴きたくて買ったCDだが、その演奏は分厚く、主張の強い、ちょっぴりアクの強い、時代がかかった演奏だった。
さて、ここではプーランクの感想を書くわけだけど、洒脱が効いているかどうか、ちょっと心配だったのだが・・・。
のっけから凄い。ひぇ〜っ すげっ!オルガンの音量は強烈で、ものすごいスゴミがある。
「らぁ〜っ そらし〜らそら〜そふぁれ〜 そぉ〜」
冒頭のメッチャ印象的な、よくワカラン不協和音的なフレーズで、グワン!と、いっぱつかまされた。
まるで、ミュージカル「オペラ座の怪人」なみである。オルガンも怖いが、続く、不気味なティンパニーが鳴ってきて、背後から襲われるかのような、ホラー映画になってしまう。
ホント、ミュンシュ盤は、おっそろしい、凄みとエグミのある濃〜い楽曲になっているのだ。
おどろおどろしい雰囲気があって、メッチャ怖い。

このクープランの「オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲」通称、オルガン協奏曲と呼ばれている。で、管楽器は全く登場しない。
そのくせ、めちゃ迫力がある。まっ 弦5部だけで、充分だわな。このミンシュ盤だと・・・。という感じ。
オルガンが全てを圧倒して、管楽器の役割以上のパワフルさを持っている。
クープランって言えば、洒脱の効いたフランスのエスプリ満載の、軽妙な楽曲だと思いこんでいたし、最初に聴いたのが小澤さんの盤だった。で、華麗な、メリーゴーランドのような、おもちゃ箱をひっくり返したような曲だったし、気に入っていた。それなのに、なんだー  ミュンシュ盤って、相当怖いじゃんか。ひぃ〜っ。
これが、本来の楽曲の持ち味なんだろうか。ちょっと疑問に思ってしまったが、しかし、ミンシュ盤の迫力に、一気に呑み込まれた感じで、地下で拷問を受けているような感じが した。

このプーランクの「オルガン、弦とティンパニーのための協奏曲」は、ウィキペディア(Wikipedia)によると〜
「全曲は切れ目なしの単一楽章で演奏されるが、実際は3楽章に分けても考えられる。古典的協奏曲とは違い、各楽章の構成はかなり自由で、いくつかの動機や主題がたくみに使われ、全曲の統一も図られている。 」・・・とのこと。

楽曲が、7つに分かれているという人もいるんだけど、う〜ん。確かに、オルガンの凄みのある谷底に突き落とされる旋律と、軽やかで楽しげな旋律が、交互にやってくる不思議な曲である。
この交互の数をカウントしたら、楽章に分かれるのかもしれないが、まっ どっちでも〜。
そんなことより、地獄行きの切符と、天国行きの切符があるような、怖い二面性を持っている。
閻魔大王さま、お目見え〜という風でもあって、あまり心臓によろしくない。
暗闇で乗るジェットコースターというか、すーっとのぼって、ストンと落ちる遊園地のアトラクションみたいなモンにのせられて〜 ぎゃーっと叫びたい気分。
で、おまけにフランス風の洒脱が効いているどころか、ドイツ臭い楽曲で、踏み会をふめ〜っと迫られているような圧迫感のある厳めしい演奏だ。

また、ミュンシュさんの演奏は、相当にぶ厚いのである。あつぼったく、重々しく、どし〜ん。ずど〜ん。って感じで演奏され、22分8秒というクレジットのある演奏だが、もっと長く感じる。
それにさすがに古い録音なので、なんとも言えない、どんよりした空気感が残ってしまう。スマートに鳴らないっていうか・・・。どし〜ん。ずど〜ん。なので、 しっけた鳴り方なのだ。

テンポは、さほど遅いとは思わないが、かなり不可思議で、噛みしめがいのある楽曲であり、蠢くオルガンと、楔を打ち込む硬いティンパニー、雷のようなオルガンの音色、天上に連れてくれるオルガン。
循環式に流れてくる、まるでオルゴールのようなフレーズ・・・。
万華鏡を覗いて、キラキラしているかと思えば、突然場面が変わって、遊園地のメリーゴーランドのように、くるくる〜と回ってて・・・。でも、それは可愛い回転木馬のような馬じゃーなく、地獄行きの獣に乗せられて、ぐるぐる〜と回っているような感覚 で、ぎゃーっ 止めて〜っ、止めてぇ〜と、叫びたくなるような、恐怖を味わってしまった。
ホント、ミュンシュ盤は、結構怖いです。湿気感のある、おどろ〜おどろしい怖さがあります。

コンロンさんとのアラン盤は、結構、端正で上品、いたって普通というか、格調が高いというか。 この怖さを体験してしまうと、モノ足らない気分になるかもしれませんが、凡人のワタシには、中庸の小澤さんの演奏か、または、コンロンさんの盤で、よろしいかもしれません。
で、デュトワ盤は、ダイナミックで、ちょっぴり通俗的で、都会的かと思います。まっ 聴いたことが無い方は、一度おためしあれ〜♪ いずれにしても、怖いアトラクションが好きなた方は、クセになるかもしれません。
怖い、怖いといいつつ、ワタシも、結構それなりに所有しているので・・・(笑) 
あっ ミンシュ盤にカップリングされている他の楽曲は、オチャメで楽しい楽曲ですが、ちょっと、今風ではないですよね。

プレートル パリ音楽院管弦楽団 1961年
Georges Prêtre
Paris Conservatory Concert Society Orchestra
オルガン:モーリス・デュリュフレ

録音状態は良い。リマスタリング盤 ミンシュ盤と似ていて、堅牢な構築物を見ているようなところと、どん底に突き落とされる怖いところは同じ路線で双璧って感じがするが、もっと救済場面は優美であり格調が高い。 2枚組 カップリングは下記のとおり。

プーランク 協奏曲集、牝鹿 プレートル

1 オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲ト短調  オルガン:デュリュフレ
2 ロコマドゥールの黒衣の聖母へのリタニア オルガン:アンリエット・ロジ 指揮:ジャック・ジュイヌー
3 ピアノ協奏曲嬰ハ短調 ピアノ:タッキーノ
4 田園のコンセール チェンバロ:エイメエ・ヴァン・デル・ワイル 指揮:ピエール・デルヴォー
5 2台のピアノのための協奏曲
  ピアノ:フランシス・プーランク、ジャック・フェヴリエ 指揮:ピエール・デルヴォー
6 「オーバード」(舞踏協奏曲)ピアノと18楽器のための協奏舞踏曲   ピアノ:タッキーノ 指揮:プレートル
7 牝鹿 プレートル、フィルハーモニア管弦楽団

ミュンシュ盤と同じく、1961年と古い録音なので、どうかな〜と心配したのだが、結論から言うと、リマスタリングしてくれて〜アリガトウ。涙です〜という感じだ。
オルガンの音が命って感じの楽曲なので、オルガンの音が貧相だと、悲しくなって聴けないのだが、ちゃんと綺麗に入っている。
で、さすがプレートルさん。演奏は、なかなかに劇的で、そのくせ上品さがある。
オルガンは、作曲家としても有名なモーリス・デュリュフレさん。めちゃめちゃビートの効いた楽曲で、天国と地獄のような、究極の世界を2つ持ち合わせた優れた楽曲だ。
それも、短い時間のなかで、凝縮されて、サンドウィッチ状に詰まっている。
長大なマーラーの交響曲なんぞ、目じゃないよぉ〜って感じになっちゃうぐらい、あがりくだりの激しい、ハチャメチャぶりの、どっ疲れる楽曲だ。(笑)

なにせ、冒頭のオルガンの音が、すごい音量で飛び出してくる。
「らぁぁ〜っ そらし〜 らそら〜 そふぁれ〜 そふぁどぉ〜」「しどれ〜 どしど しらし〜」
いきなり判決を言い渡され、グワンと一発かまされた後、ティンパニーが、地獄へ、どうぞ行ってらしゃい〜と促してくる。で、しかたなく、とぼとぼ歩き出すって雰囲気だ。
再度「らぁあ〜 そらし らそら そふぁれ そふぁみ どぉ どみれ どふぁど・・・」
あぁ〜 すごい虚無感の漂う弱音で〜 ブラックホールに放り出された気分で、宙に浮かぶ。
絶望とか悲観なーんて言葉じゃなくって、なーんもない世界が広がっているのだ。
情感が、すっかり無くなって、魂の抜け殻のような虚無の世界にほうりだされる。

でも、また、恐ろしいオルガンの音で、そんな虚無感から引き戻され、現実に引き戻される。
そんな感じのフレーズが、サンドウィッチ状に交互にやってくる。
ひぇ〜 まるで、地獄の責め苦のようだ。
デュトワ盤のようなスリル満点という演奏ではないし、スポーツ感覚ではないが、これは、演奏をとりあげた時代が違うんでしょう。
61年代の録音って、ミュンシュ盤もそうだが、ちょっと古めかしい感覚だ。まるで、ゴシック建築を見ているかのような壮麗で、グロテスクな世界が描かれており、異次元の世界に突入って感じがする。
ラフな、明るい、現代的な感覚には、逃げられない格好となっている。
しかし、しかし〜 プレートル盤では、そんな怖い世界だけではなく、ちゃんと救済される世界が待っている。天国的な描写が美しく、オルガンの響きと、オケの弦の美しい音色で 、ちゃんと救われるのだ。

感覚的には、さらりとしていてミンシュ盤のような、どろり〜とした湿気や粘りは少ない。
しかし、虚無的な怖さがあり、パワーが、エナジーが抜けるような、抜かれるって感じの怖さだ。
演奏は、端正でありながら、硬くスマートでありながらも優美だし、手を伸ばせば、もしかしたら救われるかもしれない・・・。というような希望が見える。
救済の光そのものを描いているわけではないし、救済を描いた世界ではないとは思うが、少なくとも、ほっとさせてくれて、憧れの世界が見えるような。 そんな感じがする。

また、両極端の世界が、両面で反対を向いているのか、それとも混合されたものなのか、よくワカラナイけれど。この曲を聴くと、ダークサイドにも、足を踏み出し てしまった〜という感じを受ける。
あからさまに、露骨に、両面の2つの世界を描いた演奏ではないし、パワハラのような強制された、拷問を受けたかのような圧迫感のある演奏ではない。
しかし、深いっ。深いのだ。虚無感の恐ろしさ。自然にひきづり込まれている感覚。 足元がぽっかり〜という感覚。う〜ん。ミュンシュ盤とは違った怖さが広がっている。
ミュンシュ盤は、まるでオルガンが鈍い刃物を振り回し、踏み絵を踏めと言わんばかりに迫ってくる怖さがあったけれど、プレートル盤では、オルガンが、狂気を描き、そして天国を描く絵筆のように感じる。

う〜ん。芸術性が高いって言うと、なにやら俗っぽい言い方になるけれど〜 でも、そう思う。
他にカップリングされた楽曲も、古い録音年なのだが、リマスタリングされており美音で〜
かなり聴き応えあり。なかなか〜のすぐれものCDである。買ってよかったぁ。聴いてよかった〜と思う。

ジェイムズ・コンロン ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 1984年
James Conlon 
Rotterdam Philharmonic Orchestra
オルガン:マリー=クレール・アラン

録音状態はまずまず良い。淡泊な演奏である。他盤に、あまりにも個性的な盤を聴いてしまったためかもしれないが、物足りなさを感じてしまう。カップリングは下記のとおり。ワタシの所有するCDは通常版だが、2枚組
SHM-CDも限定発売されており、録音は改善されているかもしれません。

プーランク 鍵盤楽器のための協奏曲集 コンロン ロッテルダム・フィル

1     オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲ト短調  オルガン:マリー=クレール・アラン
2〜4  クラヴサンと管弦楽のための「田園のコンセール」 チェンバロ:トン・コープマン

1〜 3  2台のピアノのための協奏曲ニ短調 ピアノ:フランソワ=ルネ・デュシャーブル、ジャン=フィリップ・コラール
4〜6  ピアノ協奏曲 ピアノ:フランソワ=ルネ・デュシャーブル
7     「オーバード」(舞踏協奏曲)ピアノと18楽器のための協奏舞踏曲

録音状態はまずまずだが細め。すっきりしているというか弱いというか。う〜ん。やっぱり正直に言おう。
オルガン曲なのだから、もっとダイナミックレンジが欲しいっ!

「らぁぁ〜っ そらし らそら そふぁれ〜 そふぁどぉ〜」
「しどれ〜 どしど しらし そらそ〜」
まずまずの出だしだったのだが、リアル感に乏しい。
デュトワ+ハーフォード盤は、強烈でインパクトの強い、ダイナミックな演奏だったし、ちょっぴり、俗っぽさがあった。それに都会的。まあ、あの盤は、若い人向きで、ガンガン鳴るので喜ばれちゃうと思う。
で、アランさんとコンロン盤は、オケが、ちょっぴり後ろにあって、協奏曲というイメージよりも、オルガンが主体になっているものの、弱い。それに、オケが、おとなしい。
ティンパニーは前半、もっと鳴って欲しい。
ピアノの続きに響く筈なのだが、ちょっと弱いのだ。あまりにも、個性的な盤を聴いちゃったので、その後に聴くと、なんだか不利なのかもしれないが〜。
おどろおどろしい〜ってことでもないし、げっ、凄みがある。ってところまでにも行かない。
と、言っても、楽曲自体が、かなり個性的なので、没個性とまでは行かないのだけど。
スピードも、う〜ん。他の個性的な盤に比べると、シャープさに欠けちゃったイメージがする。

やっぱ、印象が弱いって感じ。
端正と言えば聞こえは良いのだが、インパクトが弱いってことだろうなあ。メリハリが弱いので、ぐわ〜っと湧き起こる旋律になっていないことと、地底から湧き起こる熱っぽさ。怖さ、戦慄するようなスリル感は、ちょっと味わえない。
って・・・ ワタシは、いったいこの楽曲に何を求めているのだろう。
アカン、アカン・・・。ミンシュ盤もデュトワ盤もパワフルすぎるのだ。いや〜 怖い楽曲なのだ。
アランさんには申し訳ないが、ちょっとなあ。がっかしだった。

後半、オルガンが、鞴のようになっている部分があり、そこは、パワフルになってくるのだが、ちょっと前半が弱く、もう少し勢いがあれば良かったのになあ。 平凡すぎる。
色彩的には、くぐもった感じがする。軽やかで軽妙タッチで、水彩画っぽい。
さらり〜っと、スッキリまとまっているというか、いや〜 やっぱり、はっきり淡泊だと言ってしまおう。
オルガンの音色は、音量豊かなところと弱音との差は、まずまず。
しかし、エキサイトしておらず、あっさりしすぎ。 それに、全体的に線が細めだと思う。

オケが、もう少しダイナミックであれば良いのだが、柔らかすぎるというか、メリハリが感じられない。
もう少し太めで、腰の強さや芯があっても良いかも。・・・ せっかくの豪華な演奏者が勢揃いしているのに。

プーランクの洒脱性というよりも、この曲は、明暗くっきり分かれた両極端な楽曲だと思うので、もっとコントラストがある方が良いのだと思う。もちろん、個人的な好みではあるが・・・。
また、録音のせいかもしれませんが〜
いたって普通の演奏だと言えば、マズイかもしれないが、やっぱモノ足らない。
もっと、深みを覗き込んだ怖さがあって良い筈。 アランさんのオルガンなんだけどなあ。期待してたのだけど、これは外れかも。(そんなことはないとは思うが)
で、マリー=クレール・アランさんがオルガンを演奏しているのは、マルティノン盤もカントロフとバンベルク響のCDあるのだが、ワタシは所有していない。また、聴いてみないと・・・


小澤征爾 ボストン交響楽団 1991年
Seiji  Ozawa
Boston Symphony Orchestra



録音状態は 極めて良い。多彩な顔を持つ楽曲だが、ふわっとした空気感も持ち不気味さも持っており、万華鏡のようなキラキラした色彩感もあって、爽やかに演奏されている。
多彩なオルガンの音色が、スムーズに組み合わさって、まるで精密機械のようだ。こりゃ〜おみごと。凄いっ。

小澤盤のプーランクの「オルガン、弦とティンパニーのための協奏曲」は、オルガンが、プレストンさん。
で、カップリングは、下記のとおり。
カップリング:
1〜6   プーランク グロリア ト長調
7〜9   プーランク オルガン、弦楽とティンパニーのための協奏曲 オルガン:サイモン・プレストン
10〜12 プーランク ハープシコード(チェンバロ)協奏曲 チェンバロ:ピノック

この曲は、単にオルガン協奏曲とも表記されることもあるが、構成は、オルガンとティンパニー、そして弦5部だけで演奏される。で、金管と木管の管楽器は除かれている のだ。
オルガンの音質は、一様ではないし、オルガンそのもので、とっても変わるので面白い。
もちろん、オルガンって多彩な音が出るし、ボリュームだって相当なモノ、ものすごい変化に富んでいる。
オチャメなフレーズが入っているので、厳格なバッハを聴くよりも、なかなかに面白いんだけど〜
ホント、真剣に聴き始めちゃうと、とーっても難解だ。

調性だって解りづらいし、不協和音は混じってくるし、かといって、苦虫を噛みしめていると、突如として、オチャメなフレーズや、人を食ったような、解りやすいお子ちゃまランチ風のフレーズが飛び出してくる。
ホント、いろんなフレーズが、組み合わさっているというか、まぜご飯のように、具がイッパイ混じってて〜かき混ぜながら食べようって感じで、一筋縄ではいかない曲なんである。
3楽章っていうけれど、実は7つのセンテンスで出来ているというし〜 理論的に聴いていかないと、こんがらがっちゃうんだよねえ。

さて、冒頭、ティンパニーとオルガンの不協和音で始まる。かなり不気味な出だし。らぁ〜〜
オペラ座の怪人の幕開けって感じだが、ドスンっというより、ジャーっという、音のクリアさが生きている。
「らぁ〜〜 そらしぃ〜 らそら そられぇ〜らふぁそぉ〜〜 しどえれ どれど〜 しらし〜 どれどぉ〜」
「どそしぃ〜そ らみふぁ そふぁれ しらそ・・・ ボン ボン どぉ〜ら どそしぃ〜そらふぁ ふぁれ み〜」
オルガンの音は透明感があって、よく透っているし、迫力もあって、明るめの明晰な音だ。
ティンパニーの音が、めちゃんこ怖い。
どろどろ感があって、残響がよく残っており、ぼよよよ よぉ〜ん。と響くのだ。弦が、これまた、よく軋んで、まるでホラー映画じゃん。って感じだ。
しーんとなった空間には、静謐さ、清潔さが漂い、音の配列が、そろり〜そろり〜っと演奏されて、ゲンダイ音楽のようなひんやりした空気感がある。

主題が変わって、「らっ そっふぁっふぁ み〜 みどら そみどら らみどら しれふぁらっ」
「そぉ〜ら ら〜そ そそそら ら〜そっ」「ふぁみれ どしらそ ら・・・・」という、落ちてくる可愛い音が鳴り始めると、小刻みにフレーズが動き出す。
これ以降のオルガンは、ヴァイオリン と共に躍動感があって、ノリ感がある。バロック風の音の動きのようにも感じるが、明るくて、シンプルな可愛いフレーズがちりばめられている。
親しみやすく、和音のように口ずさめるフレーズも、ところどころ顔を出す。
で、ジャン!と、ヴァイオリンが弾き出すと、あわただしく滑り出して、あがりくだりするオルガンのフレーズとなって、一気に走り出していく。

「らっ! みっそっ ふぁみっ み〜 みどら そみど ふぁみどふぁ しどれふぁっ」
「そぉ〜ら ら〜そ そそそら ら〜そ ふぁみれ れどし ら〜・・・」
オルガンは可愛いフレーズに変わり、可愛く「どしらそふぁみれどぉ〜」と、こぼれていく。
「ふぁ〜そ らぁ〜そ ふぁふぁふぁそ ら〜そ」
「そぉ〜し ら〜ふぁ そぉ〜し れぇ〜」
「ふぁ〜ど らぁ〜ふぁ ら〜み れぇ〜」という弦のフレーズに絡んでくるオルガンが、木漏れ日のような雰囲気がしたり、万華鏡のようにキラキラしている。

多彩な音がちりばめられていて、とっても綺麗だ。この美的センスって、すごく良いっ。ナイスっ。
高音域の弦と、オルガンの可愛い透る音の共演は、う〜ん。とっても素敵だっ。
柔らかくて、教会のなかのステンドグラスを見ているような光景が、広がっているのだ。う〜ん。とっても素敵な楽曲で、ふわーっとした空気感も漂ってくるし、オルガンの細い音が広がるときは、特に綺麗だ。
小澤盤は、3つのセンテンスに分かれていて、2楽章部分にあたるところは、すごく静謐で、柔らかいオルガンの音色が綺麗だ。
弦が、「しぃ〜れ ど〜ら しぃ〜れ ふぁ〜 しぃ〜れ みぃ〜ら ふぁ〜」とレースのようなフレーズを奏でると、そこに、瞬く星のように高音のオルガンが絡む。オルガンの間合いが、すごく自然で、キビキビしたリズミカルさも持っているし、すごい。オルガンって音を出すまでに時間がかかるというのに、へえぇ〜
こんな自然に、巧く絡んでこれるなんて〜ホントすご〜いと思う。

「しぃ〜 らしどしら しぃ〜 らしどしら しぃ〜 そぉ〜みどっ」
テンポがあがり、パラパラ〜っとした速いオルガンと、ところどころ、パンっと入ってくるティンパニーの音。
「どぉ〜 しどれどしどぉ〜 どぉ〜 しどれどしどぉ〜」
全体的に柔らかい音だが、硬いティンパニーの音で締まるのと、弦がピチピチした感じで、綺麗にフレーズを奏でると共に、リズムを刻むという多彩な役割もこなしている。
「れぇ〜 どらし〜 しそら〜そみふぁ〜 れみふぁ そふぁみれ ふぁぁ〜」

ミュンシュ盤のように恐怖のどん底に落とされるような、凍りついた場面って言うのは少ない。
どちらかというと、柔らかい空気感があって、宗教的な様相の方が強く、甘さもあって、オルガンの多彩な音色が、いっぱい詰まってて、耳がついていけないほどに出てくる。
「そらし どぉ〜 そらし どぉ〜 そらし どぉ〜 そらし どしらそ ふぁみれど〜」
メリーゴーランドが回っているような、軽やかな音が、ちりばめられてて〜
そうかと思うと、また冒頭の怖い音が、唐突に出てくるし〜 
最後の最後には、らそらぁ〜っとまるでバッハのような尊大な感じのフーガが壮大に鳴って、バンっ。
これで終わり。最後の最後は、もっと長いフーガのようなフレーズが流れるのかと思いきや、いとも簡単にあっさり終わってしまうのだが・・・

総体的には、ブキミで攻撃的なフレーズと、夢みる夢子チャン的な幻想的な楽しいフレーズと、宗教的な時空間を超えるようなフレーズと〜 
オルガンの音色の多彩さ。弦の多彩さ。そして、いろんな多彩な世界が、パッチワークのように繋ぎ合わさって、めくるめく世界が広がっている。小澤盤は、繊細で、弦とオルガンの可愛さと軽快がある。
リズミカルだし、オルガンが、スムーズに組み合わさっていて精密機械のように演奏されていることに、脱帽っ。こりゃ〜おみごと。凄いっ。拍手っ。


デュトワ フィルハーモニア管弦楽団 1992年
Charles Dutoit
Philharmonia Orchestra of London
オルガン:ピーター・ハーフォード



録音状態は極めて良い。現代社会の構造の歪みというか、都会的で、プログレ風に聞こえてきちゃったんだけど〜 なんか違うとは思うんだけど、ここまで突き抜けた世界だと拍手でしょうか。

カップリング:プーランク ピアノ協奏曲、2台のピアノのための協奏曲ニ短調、オルガン、弦とティンパニーのための協奏曲(オルガン協奏曲)

デュトワ盤は、他盤に比べて録音状態も良いし、うはぁ〜 すごいっ。勢いも抜群にあって、スリル満点状態になっている。もちろん、冒頭のオルガンの音が、すごい音量で入っている。
「らぁぁ〜っ そらし らそら そふぁれ〜 そふぁどぉ〜」「しどれ〜 どしど しらし そらそ〜」

グワンと一発かまされた後も、ティンパニーが添え物になってて、弦と共に暗く沈む。
再度「らぁあ〜 そらし らそら そふぁれ そふぁみ どぉ どみれ どふぁど・・・」
すげ〜濁った音で、ぶちまけられた醜い物体が、どわっと放出される。

冷たいクールな演奏とは、ちょっと違うし、湿気たジメジメ感があるわけでもない。
都会のコンクリート建物のなか、1人残業してて夜、歩いているような、シーンとした感じだ。そこにオルガンが不気味に響くって感じだろうか。
ヴァイオリンの美しいかもしれない音が入ってくるけれど、また、不協和音のぼわ〜っとした浮遊感に取り込まれてしまう。ティンパニーが鳴ってから、その後の速いテンポ。これは驚きだ。
スピード感があって、すごい。すごいっ。まるで、ジェットコースターに乗っているような、素晴らしいスピード感で、遠心力が働いて、振り回されていくような感じがする。
ヴァイオリンが速いっ。
ティンパニーの打ち込みは、硬くないし、ちょっぴり緩い感じはするが、弦のキレは、さすがに強く、ガシっ。ガツンと入ってくる。ハーフォードさんのオルガンも、これ、一緒に弾いているの? と思うほどテンポアップされている。

だが、聞き込むほどに、えっ 結構、あっけらかんと弾かれているような気がするんだけど・・・。
ミンシュ盤のような、おどろおどろしさはないし、さらり〜っと、スピードのある速めの演奏で、そういう意味では、クールなのかもしれない。サン=サーンスのオルガン交響曲でも、オケは違うが、オルガンは同じハーフォードさんだった。 いずれも巷では有名な盤だし、名盤の誉れも高い。
確かに録音は上出来だったし、煌びやかだし迫力もある。聴かせ処もツボを得ていたような気がする。
プーランクの、この楽曲では、もっと宗教的な深みというか、谷底と天国風雲の上的な両極端の世界が広がってて欲しいような気がする。

確かに綺麗だし、美しいし〜 雰囲気はあるんだけどなぁ。
もっと、地獄めいた、えぐり出された赤裸々感が欲しいような気がするし、蠢く怖さが、人間くさいところが無いですねえ。また、おどろおどろしい、バケモノ的な蠢き感や、地獄絵図 のような世界とは無縁だ。
怖さ、恐怖感、虚無感、権力に振り回されるような感覚ではなく、どちらかというと、スポーツ的。

でも、オルガンの音が前面に出てきてて、音量は凄いし、録音状態も良いし、ティンパニーも、結構すごい音で一発入ってくるし〜。全体的には、時代めかしたミンシュ盤のような、どろり〜と粘着質な感覚ではなく、ドライで、切れ味抜群、スピード感抜群、すっぱりした現代風なクールさ を持った演奏だ。
絵画で言うと、シュールレアリズム的な感覚かな。

宗教的という側面より、煌びやかな都会的のイルミネーションの世界というか、かなり世俗的だと思う。
世俗的な暗黒の世界とか、社会的なブラックホールというか、現代社会の歪みに、すっぽり落ち込んじゃったみたいな感覚というか。
どっちかというと、天国と地獄や、宗教的な世界観を描いた演奏ではないと思う。宗教観というより、むしろ暴力的かな。ガツンと一発叩きのめされた暴力、権力、現代的な暗さが強い かも。
それに、コミカルさが、漫画チックに入ってくるので、面白いって感じ。

今風の異なる2つの世界が混在してて、そのミスマッチ感が面白いのかもしれない。
で、いわゆる救済な面は、うーん。ワタシ的には感じないですね。皆無に近いですかねえ。この演奏で救済を感じ取れと言っても、匂いすら無いような感じ だし、きっと、アプローチの仕方が、救済を求めているモノとは違うんだと思う。

でも〜 クールで透明度が高く、澄んだ空気感があり、ハーフォードさんのオルガンが、シンセに聞こえるような気がします。 演奏自体は、まっ 迫力満点で、インパクトの強さは、所有するCDのなかでは、ダントツ一位だと思うし、あえて言うなら、プログレ(プログレッシブ・ロック)っぽい。
あくまでもワタシ的な感覚ですが、あえて言うなら、イギリスの「イエス(Yes)」の演奏してたアルバムをイメージしちゃったデスね。70年代〜80年代頃のアルバムが、妙に懐かしくなってきて。
Yesの「こわれもの」「危機」とか、「海洋地形学の物語」とか、ベストアルバム「Classic Yes」なーんてCDを探して聴きたくなりました。

あっ いかん いかん。これ、デュトワ盤のクラシックの感想でした。
馬鹿モノと怒られるかもしれませんが、でも〜 なんか、共通点があるような気がします。
オルガンが、シンセに聞こえてくるわけないのになあ・・・。不思議です。(笑)
なんか違うとは思うんだけど、ここまで突き抜けた演奏で別世界に誘われちゃうと、首を捻りながらも〜拍手でしょうか。
おもいっきし奇想天外な楽曲になってて、ここまで突き抜けられると面白いデス。
それにしても、プーランクさん、何にインスパイアされたんでしょうねえ。興味があります。


1960年 ミンシュ  ザムコヒアン ボストン交響楽団 ★★★★
1961年 プレートル デュリュフレ パリ音楽院管弦楽団 EMI ★★★★★
1984年 コンロン アラン ロッテルダム・フィル ★★★
1991年 小澤征爾 プレストン ボストン交響楽団 ★★★★★
1992年 デュトワ ハーフォード フィルハーモニア管弦楽団 Dec ★★★★
1997年 カントロフ アラン バンベルク交響楽団  
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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