「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

 プロコフィエフ 交響的協奏曲(チェロ協奏曲第2番)
Prokofiev: Sinfonia concertante (Symphony-Concerto for cello)


プロコフィエフのチェロと管弦楽のための交響的協奏曲(ホ短調 作品125)は、1952年に作曲されています。
あまり馴染みがないので、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら
この協奏曲が、チェロ協奏曲第2番とされなかった理由は、おそらく、チェロ協奏曲第1番(作品58)を改作したものであるからだとされています。
ちなみに、1番は、1932年の亡命時代の終わり頃に、着手され、ソ連復帰後の38年に完成した作品なのですが、野心作ではあったものの、チェロのパートにほとんど全曲を通じて高音部記号が用いられ、高音域の重音を多用していて技巧的に難しいことなどの理由により、初演は不評だったのだそうです。
47年になって、この曲を改作するの意思を表明しており、49年にはチェロ・ソナタを作曲し、51年から古今のチェロ曲を研究し、ロストロポーヴィチの協力を得て、改作に着手したのだそうです。
で、この曲は、初演者であり、改作にも協力したロストロポーヴィチに献呈されています。

3楽章から構成されています。楽章の構成と配置は、基本的に協奏曲第1番と同じですが、全曲約24分の曲が、約38分へと拡大されています。
1楽章 アンダンテ ホ短調 4/2拍子 三部形式。
2楽章 アレグロ・ジュスト イ短調 4/4拍子 自由なソナタ形式
3楽章 アンダンテ・コン・モート ホ長調 2/3拍子
二重変奏曲形式(2つの主題による別個の変奏が組み合わされている)
2つ目の主題は、ベラルーシ民謡によるものです。

ぱっと聴いて、すっとわかるような楽曲ではなく、なかなかに難しい楽曲です。でも、1楽章では、ん? ロミオとジュリエットのフレーズが聞こえてきたりします。

ハンナ・チャン パッパーノ ロンドン交響楽団 2002年
Han-Na Chang
Antonio Pappano
London Symphony Orchestra



録音状態は良い。力強いチェロで、オケに埋没することなく主張しつつも、柔らかい。
1〜3 交響的協奏曲
4〜6 チェロ・ソナタ (ピアノ:アントニオ・パッパーノ)

1楽章
このプロコフィエフの交響的協奏曲は、実質、チェロ協奏曲第2番と呼ぶべき楽曲だが、とっても難しい。
いや、ゲンダイオンガクの晦渋さでもないし、旋律が断片すぎてわからないというのではなく、風変わりで面白いのだけど、イッパイ要素が詰まりすぎて、ワタシの頭がパンクしちゃう〜という感じなのだ。

好きな楽曲なのだけど、まだまだ、全容が把握できてないというか、深すぎ、大きすぎて把握できそうにもないのだが、しかし、好きだけど〜まだ、みんな理解できた感じがしない。というものは、あらゆるものが、そうとも言えるので〜 あまり気にしていたら前に進めないようにも思う。
で、この前から、ハインリヒ・シフさんのチェロで繰り返して聴いたのだが、なーんか、しっくりこない。今日は、ハンア・チャン盤で聴いてみたところ、まだ若いのだが、やっぱり元気が良い。シャキシャキしてて、わりと歌っている。
が、やっぱりこれは、チェロの存在が、オケのなかに埋もれそうになるのは、致し方ないのかもしれないと〜思った。

「ふぁそらど ふぁそらど ふぁそらど っふぁそらど (たたん) ふぁそらど・・・」と、続いていく冒頭で、とっても変わっている。
弦を主体としたオケと、ちょっと引きずったような弦のピチカートのあと、チェロが出てくる。
「どぉ〜〜 そふぁ〜 らどふぁ みど〜 れ〜しぃ らぁそぉ〜・・・(パン)」
「れそぉ〜 れれみれぇ れど れぇ〜 どしらそ みそふぁ〜み れどみ しぃ〜ら そど ふぁぁ〜」
(ふぁそらど ふぁそらど・・・)

パッパーノさんの振るオケの冒頭フレーズは、すごくキレが良く、力強い。
また、低音の響きが、ソロのチェロに負けないほどの力強さ、重厚を持ってて、かなり大きく聞こえてくる。ソロのチェロは、音量も大きめで、主張を持って、しっかりと歌っている。
オケの方も、弦のしなりがあり、フレーズが勇壮に大きく奏でられている。いや〜これだけ力強く、冒頭から訴えてきていただくと、嬉しくなっちゃう。
で、すーっと、静謐になっていくフレーズは、そのまま高さ維持して、緊張感が保たれており、音質は、冷たい涼やかさよりも、暖かさが感じられる。
ソロのチェロは、オケに埋没することなく、力強く奏でられており、フレーズが切れることなく、なめらかに続けられていく。
前に出てきてて、ソロのフレーズが、きっちりと、瑞々しく聴けるので、なんだか新鮮さを感じて嬉しい。

オケが、ちょっと音が籠もりがちなのだが、金管の太いフレーズが、どこかで聴いたようなプロコの交響曲のようだ。
「れみふぁらっ れみふぁらっ しっ! ふぁ みぃ〜れしっ ふぁっ みぃ〜れ どしそみ れっ!」
このチェロとオケのフレーズの掛け合いも、負けちゃ-いない。弦をつま弾く音が、はじけとんでいる。
高音域の弦のフレーズも、オケの、ふぁそらし ふぁそらしっ という伴奏の上を、力強くフレージングしていく。

2楽章
この楽章は、滑稽さがあり、素速く無窮動風の楽章となっており、ピアノ協奏曲で聴くような、蜂や虻が飛んでいるかのような感じで続く。スネアを伴って、オケがシャキシャキ〜 「ふぁぁ〜 ふぁ ふぁ ふぁぁ〜」
オケが、一気に火がついたように、情熱的に走り出す。
で、チェロは、「どぉ〜れ ふぁぁ〜み どぉ〜れ ふぁぁ〜み」と流しながら、チャカチャカ ちゃーっ。
やっぱ、若いだけあって、速くて、勢いが感じられるので、聴いてて楽しい。おおっ 派手にスネアも入っているし、チャカチャカ言わせて、オケが走る。
中間部は、いったん静まって、主題を「そ らそふぁど れどどぉ〜」と歌い始めるところは、ぞくぞく〜としちゃう。
若いチェリストなので、色っぽさなどは期待してなかったのだが、いやいや 隅に置けない。しっかり、妖艶さを垣間見せて歌ってくれており、ふくよかさもあり、青白さも持ち合わせているかのようで、これは、今後、期待できそうだ。
ショスタコ風のように奏でられる場面もあり、ツーンとした冷たさではないが、もっともっと、妖艶に、妖しく光りを放ちそうな気がする。あ〜 やっぱり女性のチェリストって、しなやかだなあ。
オケが勇壮に締める。

3楽章
ジャンっ!ソロのチェロが、「ふぁ〜らぁ〜 そぉ〜ふぁ みれど ふぁらどぉ〜し〜らどぉれそぉ〜」と歌う。
弦の重奏が、とても美しい。
その後、ふぁ〜らぁ〜どしそぉ〜と、オケが歌い始めると、チェロは、細かい動きを始める。
スケールのような感じだが歌っているのだ。情熱的に、ピチカートを奏でるし、小声で、素速く駆け上っていくし、重奏の部分が続いていく。こんな妖しくて美しい重奏は、あらま〜 信じられないほど。
チェロのテクは、最高潮って感じだろうか。チェロが、こんな細かく動けるだけでも、すごいんじゃーないかしらん。
で、オケの金管が、主題を吹き出すと、大きく音量をあげ勇壮となって、主題を高らかに歌いあげてくる。
チェロの甘い調べと、オケの勇壮さの対比も面白く、躁鬱のように、力強さと、か細さが同居しているかのような雰囲気がするが、この落差の大きさが、聴いている分には面白く、ティンパニーが、そろっと叩かれる場面からは、静謐さが勝ってくる。
ラストは、独特の和声を伴って、甘さと冷たいなかで、舞曲が始まり感じる。
チェロは、細かい音符がこれでもか〜という感じで続いていくので、この、ラストスパートは、凄まじいものがありそう。
オケは、金管が、ぶぉ〜 ぶぉ〜っと吹かれ、金管はファンファーレ風に鳴っていくし、大太鼓までは登場して、灼熱の大地のような広がりを見せはじめているなかを、チェロは、細かいフレーズを奏で続けて、オケと一緒になって燃え尽きるように消えるのだ。

ハンナ・チャンさんは、82年生まれの韓国人である。なので、20歳そこそこの演奏なの?
えっ ワタシ計算間違ってません うっそーっ! って感じるぐらい、安定した演奏で、オケには、決して負けてないし、きっちりと主張をしてて楽しいし、オケに埋没することなく、力強く演奏されている。
パッパーノさんの振るオケも、結構、身振りが大きく、決して録音状態は良いとは褒められないなかでも、スケール大きく、広がり感を感じさせ、勇壮さを感じさせるものとなっている。
ハンナ・チャン盤を聴いて、やっぱり、この楽曲は、協奏曲という範疇は、うん、超えているわ。さすがに、交響的協奏曲と名付けただけのスケール感はあると、ものすごく、納得しちゃいました。


2002年 ハンナ・チャン パッパーノ ロンドン交響楽団 EMI ★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

Copyright (c) mamama All rights reserved