「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
Prokofiev: Piano Concerto No.3


プロコフィエフは、ロシアの作曲家で、ピアノ協奏曲第3番は、1921年に完成しています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
1楽章は、クラリネットのソロから二重奏になり全奏となってヴァイオリンがリズミカルな音型を奏でると、ピアノソロが入ってきます。熱狂的な調子と輝かしいリズムに乗って、抒情的な気分を出し抜けにピアノがひっくり返します。第2主題はピアノのソロで和音を打ち、打楽器に伴奏された旋律を歌います。緩やかな序奏の主題を展開した後は、不協和音を経て第1主題が再現され、展開され、第2主題が再現され、華麗なアレグロで締めくくられます。

2楽章は、ホ短調の主題に5つの変奏が続きます。主要な楽想は、オーケストラの全奏で提示されますが、ためらいがちな洗練されたガヴォットで、第1変奏はピアノソロで、クラリネットのグリッサンドを予兆したもの。第2変奏は、ギャロップ風に、ピアノがあがりくだりし、トランペットがガボット主題を、第3変奏は、ブギウギ風のバックビートに乗せてシンコペーションが主題を崩し、第4変奏は、彷徨うような瞑想をして、ピアノの3度の組み合わせで漂うように下降する音型の繰り返しが、異界的な雰囲気を作り出し、第5変奏では、快活にピアノとオケが絡みます。主題が断片となって2拍子のなかに投げ込まれ、緊張を高めたのちにコーダへ。

3楽章は、ピアノソロとオケの「討論」で、弦楽器のピチカートとファゴットが主題を提示すると、ピアノが割り込み、機関車のようにスピードをあげていきます。木管による緩やかで抒情的な第2主題が出てくるとピアノが皮肉に返し、漂う音型で展開します。ピアノと弦楽器がユニゾンでクライマックスに達すると、コーダへ。主題がホ短調で繰り返され、ピアノがニ長調で提示し、オブリガートへと滑り込んでいくと弦がト短調で支え、戦いが爆発っ。ハ長調で収束します。とのこと。

オケは、ピアノの添え物ではありません。情熱的でかつ抒情的であり、緻密に組み込まれたスリリングで燃えあがるような楽曲です。リズムに乗せられて、愉悦感、開放感が楽しめます。

ベロフ マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1974年
Michel Béroff Kurt Masur
Gewandhausorchester Leipzig
(Leipzig Gewandhaus Orchestra)

いかすぜっ

録音状態はまずまず。ベロフさんののピアノは超素晴らしい。
オケはマズアさんが振っているので心配したけれど、思いのほか巧かった。(マズアさんゴメン。見直しちゃった〜)
カップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲1〜5番(全曲)

1楽章
「ふぁみ しぃ〜そ ふぁ〜どぉ れどしら しぃ〜ふぁ〜〜  ふぁそ ふぁそ らしどれみ ふぁ〜そ ら〜どぉれ〜」
クラリネットのフレーズで、印象的な息のなが〜いフレーズで始まる。
「そふぁど〜らそ〜れ どれどふぁ どふぁみれ〜み どれみふぁしど〜」ヴァイオリンの高音域のフレーズが続く。
ここのオケは、ちょっぴり、腰がひけているというか、もう少し綺麗な音で奏でて欲しいなと、文句のひとつぐらいつぶやいてしまいそうである。
で、ティンパニーと、弦の上昇があって、鋭い悲鳴のような音が出てくる。
「どっそら〜 しどれっそっそらふぁ〜 ふぁど ど〜ど〜」 ピアノが、ガツンっと抒情的なフレーズを壊してしまう。

そうなると、もはや、 パンドラの箱が開いたように、その後、メチャテンポの速い音が続く。
初めてだと、耳で、追い切れないほど速いが、でも・・・何度か繰り返して聴いているうちに、メチャ快感〜って感じに変わっていく。 不協和音でもあるが、で快感で。うふふっ。
「どっれっ どっれっ  しっし〜ふぁみふぁみ しっし〜 ふぁみふぁみ ふぁふぁどふぁ〜」
ピアノと木管、弦の低い音とのセッションなど、メチャくちゃ面白い。
「ふぁふぁ どふぁ らふぁ しふぁ らふぁ  ふぁ〜っ」
「しらそ みふぁ ふぁ どふぁ〜  らっそっふぁ カチカチ・・・」

重量の移動が面白いとか、合いの手が複雑に入ってきて、パーカッションの活躍も耳にして、おもちゃ箱のようで、聴けば聴くほど、いろんな要素が詰まっているのがわかってくる。 リズムの一様ではなく、音も、へっちゃらで飛んでいく。
ベロフのピアノも、鋭く叩いた部分が火花を散らして面白いが、オケの音が少し薄いというか、 遠いという感じがする。
録音状態は、とびっきり良いとは言えないが、まずまず。

ところどころは、ん?と思うところもあるけれど、これだけ快速バージョンの楽曲なので、 嵐のような「らっらそふぁっふぁそ〜」と吹き荒れて、ピアノがゴロゴロとした音を回しているなか、「どっ ふぁ〜 どっ ふぁ〜」と、遠いところで汽笛のように鳴る。
う〜ん。オケの音がちょっと小さいし、擦れているが、主題が回帰してくる。

オケが雄大に、「らそれ〜し ら〜み れみれそら〜そふぁみ〜ら〜 そふぁみ〜 ふぁれ〜」
冒頭のクラリネット 「ふぁみし〜そ ふぁ〜ど れどしらし〜ふぁ〜 み」  ピアノとクラリネットが輪唱風に絡む。
「ふぁみし〜そ ふぁ〜ど れどしらし〜ふぁ〜」  う〜ん。このフレーズは、とても印象に残るが、ちょっと繊細とはいえない。
オケが、イマイチ甘美でもなく、音色が悪いので、げんなりしちゃう。
ベロフのピアノは、また、音階を細かく刻んであがっていくが、ティンパニーが奥の方で鳴って追随してくれるし、弦も、木管も、細かいフレーズが続くので、あわせるのが難しそうだが、金管の鳴りもまずまず馬力がある。
「ふぁしら〜 しらふぁ〜 ふぁしら〜しらふぁ〜 ふぁしら〜そふぁみふぁ そらし〜」
「れ れどらふぁ〜 しどれらしれ〜」 まるで、お祭のお囃子のように聞こえてくる。
この合いの手を挟んで、カデンツァを入れたり、タラララン〜という節を奏でたり、メチャ忙しい。
で、また転がっていきながら階段をのぼっていく。う〜ん。ちょっと粗いが、まずまず壮大。 

2楽章
木管のウエットの聴いたフレーズ 「どっどふぁ〜 そふぁみれ ふぁっみっれっどっ ふぁっみっ・・・」
弦と絡んで優美なフレーズ 「ふぁふぁし〜 ど〜ふぁ  ど〜し(しどれみふぁ) ど〜らそ(らしどれみ)」
優美だけど、けったいな音なのだ。ガボットのフレーズだと思うのだが・・・
サティのピアノ曲のようにも聞こえるし、ジャズ風にも聞こえるが、ちょっと、ひねくれた感じで、すねた感じのフレーズである。で、ピアノがカデンツァを弾いて調が変わる。
いきなり、調子はずれのトランペットが、「れ〜みれどし れどしそふぁ〜そふぁ〜」
音型は同じなのに、調子がずれていく。ピアノは、悲しみに暮れたように落ち込んでしまう。
どうやら、変奏曲になっているらしい。
4番目の変奏曲で、ピアノは、ペダリングをつかって幻想的に描いていく。水中に漂うクラゲのように聞こえてくる。オケは、木管の高い音や、ホントに短い金管で、音をつけているだけ。 まったり感はあるが、透明度の高い録音ではないので、ちょっと残念でした。

最後、弦とピアノが振り子のように、アクセントをつけて、音を揺らしたあと、金管があわさってきてミリタリー調になる。
それが、いっけんドレミの歌のようなのだが、調が変わっているのだ。
「しっしみ〜 らしどれみれどしみ〜 らしどれみれど〜れみふぁ〜れみふぁそら〜」 
ここでのピアノは、1つの伴奏として鳴っている。コミカルなフレーズは、木管が主役で、ピアノは、彩り風に使われている。へえ〜 ピアノ協奏曲なのに打楽器なのだ。
入れ替わり立ち替わり、立場が変わっているところが、また面白みがある。
ベロフのピアノも、確実性が高いし脇に回っていても、ちゃんとカタチを変えて、主張をしている。

3楽章
ファゴットか低弦の音が、ぼわぼわ鳴っているところで、ピアノが、たららら〜っと短いカデンツァを入れて、割り込んでくる。「みっらっ みっら〜」「しっそふぁ しっみれ どっそみれ そっどふぁ」
木管たちは、ほっておいて無関係にピアノがしゃべり出してくる。
人の話を訊いてないでしょって感じ。
で、ひとしきりピアノが喋りつつけたあと、突然、エンジンがかかってしまって、「れっどし・・・どれふぁみ れっし〜」とテンポを速めてしまう。で、ピアノが勝手に飛び跳ねていくのだ。
この場面でのベロフ盤は、オケが必死になって相手をしている感じがする。オケが美音とは言い難いのだが、間合いとして、しっかり聞こえているし、まあ擦れた音色の方が、この楽曲に合っているかも。という心境になっている。
で、いったん、また唐突に、オケが、木管と弦で抒情的なフレーズを奏でてくる。
ピアノは打楽器風で攻撃型、木管と弦がロマンチスト型って感じで対峙しているようだ。

木管 「ら〜ふぁみれ ら〜ふぁふぁ〜れ ど〜ら どそれら〜ふぁ らふぁみれれどど ふぁ〜」
弦 「ふぁ〜ふぁ ら〜そふぁみれら〜ふぁ〜れ し〜そししど〜ふぁれ〜」
また、ピアノが割って入る。この楽曲、ピアノは、抒情的なフレーズを割ってはいる役回りらしい。
どうやら、ベロフの奏でるピアノは、役割は、ひねくれものらしいが、なかなかに弾き方は優美だ。
で、そのうちに気が変わったらしく、ピアノも、そこそこに変貌してくれる。
主題は、弦と木管なんだけどねえ。木管のソフトさになびいたらしい。抒情的なフレーズより、主題が変わって、またエンジンが掛かり、超快速バージョンに突入。
調を変えながら、「タン タカタン〜 タン タカタン〜」の音型の間に、ピアノのグリッサンドが入ってくる。
「そっ みみみっ〜 そっ みみみっ〜」 「う〜ぱっ ぱらららら〜」 「チャンチャカチャカチャン」 

ベロフのピアノは、強打して場面と、よーく手が回るなあ〜と唖然するほど速い場面とで大忙し。
高音域の粒立ちも申し分ないし、強い鋭いエッジも持ち合わせているし、この複雑で、美しいフレーズをみごとに、きちんと演じ分けているって感じがする。
特に、高い音域の硬い音が、メチャ印象的だ。なによりも、カタチが整っている。
超快速でも、音型が崩れていない。これは〜 拍手喝采である。すげ〜っ! 拍手っ!
アルゲリッチ盤と、双璧って言っちゃ〜まずいかもしれないが、個人的には、ベロフ盤の方が何度も聴きやすいことは確か。
(だと思う。アルゲリッチ盤は、超名盤だとは思うけど。勢い良すぎて・・・疲れちゃうこともある。)
マズアさんのゲヴァント管も、音色はともかく、ちゃんと快速バージョンについていっているし、お〜っ、巧いぞぉ〜と、思わず拍手である。まあ、豪快な感じが、どうしてもしてしまうが。勢いで行っちゃいました。という感じだろうか。
てれ〜っとした鈍い、どんよりした空気感、機敏に動けないオケだと思いこんでいて、申し訳ないぐらい。
全楽章約30分弱 ベロフ盤で27分48秒というクレジットが入っているが、メチャ快速なので、30分どころか、3〜5倍ぐらい聴いているような、中味の濃〜い世界が広がっている。


アシュケナージ プレヴィン ロンドン交響楽団 1975年
Vladimir Ashkenazy
Andre Previn
London Symphony Orchestra

録音状態は良い。快活で抒情的なフレーズは、壮大かつ甘美で、うっとりとさせられるのだが、超快速の最後は、ちょっと弾き飛ばしてしまったでしょ。という感じ。
愉悦性は高いが、緻密かと言われたら、ちょっと・・・。
カップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番〜第5番

1楽章
「ふぁみら〜ふぁ〜み〜し どしらそら〜み み〜〜ふぁそ〜 ふぁそらしどれみふぁそ〜らしし〜」
クラリネットの2声のフレーズは、明るく夜明けを告げるように深々と響いている。
「そふぁど〜らそ〜れ どれどふぁ そ〜ふぁみれ み〜ふぁそ〜 どふぁみれ〜み どれみふぁしど〜」
ヴァイオリンの高音域と絡んで、プレヴィン盤では、この冒頭が、まるで朝焼けに輝く明るいシーンのように描かれている。未来が拓けていきそうな。明るい陽射しが、こぼれている冒頭になっている。

「どっそら〜 しどれっそっそらふぁ〜  ふぁど ど〜ど〜」
ピアノが、抒情的なフレーズを壊していたように聞こえたのだが・・・。
不思議なもので、ベロフ盤がパンドラの箱を開けた時の悲鳴に聞こえていたのが、アシュケナージ盤だと太陽が昇っていくように感じる。 う〜ん。演奏に、どんな違いがあるというのだろう。 演奏によって、受ける印象が大きく変わる。
オケの音色が、随分と違うことは確かで、 違ってあたりまえなのだが、ただオケの音色の違いで、これほど大きく変わるものなのだろうか。 いや〜 ピアノの音色も随分と異なって聞こえる。

アシュケナージのピアノの音は、前面に出ていて、わりと大きく、図太く、柔らかい感じがするが、 ベロフ盤では、オケが擦れた声だったことと、ピアノは繊細で硬め、幾分神経質に聞こえた。 まあ。その後、ドスンドスンと言うティンパニーと低弦の響きと、メチャテンポの速いピアノ音が続く。 重量の移動が面白いとか、合いの手が複雑に入ってきて、パーカッションの活躍も耳にして、おもちゃ箱のように感じるのは、アシュケナージ盤でも同じだ。

こちらは、録音状態も良いので、ピアノの音はシビアだし、パーカッションもよく聞こえている。 総じて明るい音色で、アシュケナージは快活に飛ばしている。
嵐のような「らっらそふぁっふぁそ〜」と吹き荒れていても、ピアノがゴロゴロ鳴っていても、なんだか明るさが伴っている。
そういう意味では、オチャメである。
ちょこっと、フレーズをはっしょっているところも感じるが。
オケが雄大に奏でているが、「そふぁ〜ど〜し それ どれどふぁそ〜ふぁみれ〜そ ふぁみれ〜みど〜」
冒頭のクラリネット 「みれら〜ふぁ みし〜どしら〜み ふぁ〜そら〜」
ピアノとクラリネットが輪唱風に絡む。 「ふぁみし〜そ ふぁ〜ど れどしらし〜ふぁ〜」
う〜ん。このフレーズは、とても印象に残る。
しかし、何度か繰り返して聴いても不思議な音だ。七色のように、聴く度に違って聞こえる。
オケは、期待したほど艶っぽくはなく、幻想的でもなく、 アシュケナージのピアノは、力強く階段を上っていく。
まるで、お祭のお囃子のように聞こえてくるフレーズは、プレヴィン盤では、まったりしており、 深くて低い音が、充分に入っているため、高い音域との音の差が大きい。 そのため、音が、メチャ飛んでいるのがわかる。
カデンツァを入れたり、タラララン〜という節を奏でたり、メチャ忙しい のだが、その跳躍度合いが大きく、壮大に聞こえる。
で、テンポを途中で変えて、大股で飛んでいる感じがする。繊細さよりも、巨人風でデカイっ。 

2楽章
木管の舌足らずなフレーズ 「どっどふぁ〜 そふぁみれ ふぁっみっれっどっ ふぁっみっ・・・」
弦と絡んで優美なフレーズ 「ふぁふぁし〜 ど〜ふぁ  ど〜し(しどれみふぁ) ど〜らそ(らしどれみ)」
ガボット風のフレーズが、ひねくれた感じがするのだが、わりと諧謔的には聞こえず、まったりめ。
こぶし回しが、ちょっと少ないのでスパイスが効いていない感じがしちゃう。で、 いきなり、調子はずれのトランペットが、「れ〜みれどし れどし それふぁ〜」
ピアノの音が大きく、オケとのバランスが、ちょっとイマイチで、ピアノの音像が、大きく響く。
音型は同じなのに、調子がずれていく変奏曲なのだが、ピアノが、象の歩みの様に聞こえてしまうところもあって、う〜ん。低弦の響きがデカイ。でかすぎだよぉ〜
4番目の変奏曲で、ピアノは、「ど〜 どっどど〜っ ふぁそらし しど〜れ〜どし しししし・・・」
摩訶不思議な世界に突入していく。「れ〜 れ〜 れそふぁら ふぁみどれ〜」

暖かみのある水槽で、ぷわぷら浮かんでいるように感じる。暗さは少ないが、 妖艶さに欠けているところが、う〜ん。
もったないないかも。怪しさが少ないのかも。 その後、テンポがあがって、タンバリンの音が、チャチャチャチャ・・・。
 金管があわさってきてミリタリー調になる。
マーチ風になる筈なのだが、鋭さが欠けていて、う〜ん、これでは象のダンスじゃん。 この諧謔な皮肉っぽさが、遊びの要素を多分に含んでいるのだが、いまいち、健康すぎて〜 面白みを欠いている。
ちょっと健康すぎるのが、玉に瑕かもしれません。

3楽章
ファゴットか低弦の音が、ぼわぼわ鳴っているところで、ピアノが、たららら〜っと短いカデンツァを入れて、割り込んでくる。テンポは、ここはゆったりめ。鷹揚に振る舞っている。
エッジが少なく、丸みのある演奏だ。
「れっどし・・・どれふぁみ れっし〜」 力強く、ごっつい感じはするが、あまり急速には変わらない。
いつまでも、鷹揚に振る舞っていてもなあ。面白くないのだが、緊張感が、いきなり走ってテンポを速めて いくという風ではない。ベロフ盤で、ここは、メチャ緊張したんだが。
アシュケナージ盤では、ここは重い。
で、いったん、また唐突に、オケが、木管と弦で抒情的なフレーズを奏でてくる。
ピアノは打楽器風で攻撃型、木管と弦がロマンチスト型って感じで対峙しているようなのだが、この違いは、アシュケナージ盤では、あまり感じない。
アシュケナージとプレヴィンさんは、仲良く手を取り合って、協調しあってというタイプに聞こえる。

木管 「ら〜ふぁみれ ら〜ふぁふぁ〜れ ど〜ら どそれら〜ふぁ らふぁみれれどど ふぁ〜」
弦 「ふぁ〜ふぁ ら〜そふぁみれら〜ふぁ〜れ し〜そししど〜ふぁれ〜」
ベロフ盤では、抒情的なフレーズを割って入る役回り が、ピアノだと感じたのだが、ここでは、そうは思えない。アプローチが違うらしく、融合し、一体になってという感じに聞こえる。
これは、これで美しい響きになっており、う〜ん。なかなか壮大で、優美に聞こえてくる。
宇宙的、神秘的にさえ、聞こえてくる。 これは、このアシュケナージ盤の白眉でしょう。う〜ん。これは綺麗だし、うっとりさせてくれる甘美さも持ち合わせている。

抒情的・壮大なフレーズより主題が変わって、突然、エンジンが掛かり、快速バージョンに突入。
調を変えながら、「タン タカタン〜 タン タカタン〜」の音型の間に、ピアノのグリッサンドが入ってくる。
「そっ みみみっ〜 そっ みみみっ〜」 「う〜ぱっ ぱらららら〜」 「チャンチャカチャカチャン」
プレヴィンさんの振っているオケでは、音型がつぶれて聞こえる。
アシュケナージの叩くピアノの音も、カタチが、う〜 途中でカタチが歪んでるようだ。熱いのは良いのだが、カタチは変えないでよぉ。

総じて明るいことと、元気なことは良いのだが、ちょっと、あらくたいかなあ。ってところを感じる。
詰めが甘いって感じがしないでもないのだ。おおらかって言えば、おおらかで、良い風に聞こえるかもしれないけど、ベロフ盤ほど、シビアではないと思う。
また、アルゲリッチ盤に比べると〜 う〜ん。足元にも及ばないって感じになっちゃうかも。
テンポの遅めのフレーズは、それは甘美で〜 壮大で、うっとりさせてくれる歌はあるのだが、超快速で終わる最後の最後は、う〜ん。オブリガートではなあ。イマイチです。

ヴラディミール・クライネフ キタエンコ
フランクフルト放送交響楽団 1992年

Vladimir Krainev  Dmitri Kitaenko
Radio Sinfonie-orchester Frankfurt
(Frankfurt Radio Symphony Orchestra)

録音状態は良い。残響が少し多め。ところどころ崩壊しそうになりながら、それがスリリングさに繋がっているとも言える。
カップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番〜5番(全曲)

1楽章
冒頭、静寂のなかから木管のフレーズ、「ふぁみら〜ふぁ み〜し どしらそら〜み み〜ふぁそ〜 」
オケの綺麗な線の細さが出ていて、とっても好ましい。
ホント、綺麗だな〜っと、うっとりして聞き惚れる。で、そのあと上昇してくる。
「どれみふぁ〜そ〜らしど」 
最初のピアノが合わさってくるところは、まだ穏やかなのだが、このピアノ、めちゃんこ速い。
「どっ そら〜 しどれっそっそらふぁ〜 ふぁど ど〜ど〜」
木管の合いの手が綺麗に入っているにもかかわらず、ピアノが暴走気味。
ひゃ〜 速いっ。荒くたいこと。テンポが刻めていないように感じる。

「ふぁ〜どっ ふぁ〜どっ」という重りが、急速すぎの振り回しすぎ。で、自分でテンポを崩していく感じがする。駆け下りてくるフレーズなんぞ、はしょりすぎて汚いっ。
「どっれっ どっれっ  しっし〜ふぁみふぁみ しっし〜 ふぁみふぁみ ふぁふぁどふぁ〜」
「ふぁふぁ どふぁ らふぁ しふぁ らふぁ  ふぁ〜っ」
「しらそ みふぁ ふぁ どふぁ〜  らっそっふぁ カチカチ・・・」
どひゃ〜ん。これじゃー あ〜あっ。ボロボロになっちゃった。あー 知らないよぉ。
せっかく良い録音で、オケも、きっちり伴奏してくれているのに、ああ。ダメじゃん。
パーカッション群も恐ろしいほど、クリアーに響いている。

テンポが緩やかに落ちて、「そふぁ ど〜ら それ どれどふぁ ふぁ〜そふぁみ〜 ふぁみれ〜みど〜」
とオケが盛り上げてくれるとろは、美しい。
このクライネフ盤は、テンポがゆったりしているところの方が、幻想的で、めちゃ美しい。
とろける幻想的風景が広がっている。
でもっ テンポアップすると、ダメなのだ。砕け散ってしまう。無理せず、普通のテンポで弾いてくれたら良いものを。何を血迷ったのか、テンポをあげるものだから崩壊する。
ぐぐーっとテンポアップしてくるところは、一陣の風のように速いのだが、今度は、まずまず。
今度は安心して聴いてられる。
オケのフルートやパーカッションの余韻が、多少多めにあり。特に高い音が、よく響く。
ワタシ的には残響は好きなので、幻想的に響くと感じるが、残響が多少気になる方もいられると思う。
もう少しドライでもよいかもしれないが、ま〜 録音状態うんぬんよりも、この前につんのめるような1楽章は、ワタシ的には、いただけない。ただし、几帳面すぎるのが、どうも飽きちゃったという方は、このつんのめるパワーに圧倒され、スリリングで、火花がスパークしているような演奏は、面白いかもしれない。
崩壊していると思うんですけどね。
乱暴な力づくの演奏ではなく、音が圧倒的に多く、荒削りに聞こえるが、音自体はとても繊細で、綺麗な音が詰まっている。問題はテンポなんだと思うけどな・・・。

2楽章
「どっどふぁ〜 そふぁみれ ふぁっみっれっどっ ふぁっみっ・・・」
「ふぁふぁし〜 ど〜ふぁ  ど〜し(しどれみふぁ) ど〜らそ(らしどれみ)」
オケのフレーズは、何度も言うようだが綺麗だ。線の細さと、しなやかさ。
二重写しのように、リズムを刻むなか、ちょっと、すねた感じがする演奏になっている。
で、ピアノも、ふふふっ と笑えるほど繊細で、ねっちり演奏してて楽想にマッチしている。
腰をくねらせたようなジャズっぽい雰囲気を漂わせつつ、粒立ちのよいピアノの高音が絡みついている。
で、調子はずれの金管が鳴り、またテンポがあがってくる。
今度は機械的なフレーズになるのだが、これがクールに響き、急速に熱を帯ては、また冷める。
この2楽章は、幻想的な変奏曲で、いろんな色彩が詰まっており、どのように解釈してもOKという感じで、イマジネーションが沸き立つ。

理論もへったくれ〜もなく、極めて感覚的な楽章で、悦楽に浸れる。
クライネフ盤は、非常に幻想的で、ぶっ飛んだ世界が広がっている。
空中に浮かぶ、ぷわぷわ感があり、余韻と共に、音が、あちこちをさまよっているかのような雰囲気がある。うふふっ〜状態である。この楽章、なかなかに面白い。
クライネフ盤のこの楽章は、点数がとても高い。
楽章最後の、オケとの合奏は、なかなかに力強く迫力もある。ピアノが埋没せず、オケの旋律の不思議感を、ピアノの高音域が更に刺激する。メチャ面白い。
このテンポを刻む音は、形が無くなりそうなところを補っており、破綻していない。

3楽章
ファゴットか低弦の音が、ピアノが、たららら〜っと、短いカデンツァを入れてくる。「みっらっ みっら〜」「しっそふぁ しっみれ どっそみれ そっどふぁ」 「れっどっしっそ・・・」
遊び心が満載で、杓子定規に演奏しつつも、スリリングな挑発的要素も、毒素も含んでいる。
オケも、なかなか〜 クールでニヒルでありながら、そのくせ熱い。
感覚が刺激されて、ビンビンになってくる。
客観的で覚めた感覚なのだが、ところどころ、顔をもたげて変貌してくる。
木管 「ら〜ふぁみれ ら〜ふぁふぁ〜れ ど〜ら どそれら〜ふぁ らふぁみれれどど ふぁ〜」
弦 「ふぁ〜ふぁ ら〜そふぁみれら〜ふぁ〜れ し〜そししど〜ふぁれ〜」
ピアノが、この不思議な旋律に、「たらら〜 たらら ら〜ん」と、再度絡みついていく。
抒情的にもなり、動物的な匂いも放ちながら、すーっと引きつつ、ぐぐ〜っと押してくるような感覚がある。
ひねくれた言い回しのアクセントがあり、かなり個性的で、 何度聴いても飽きない。

「れっどし・・・どれふぁみ れっし〜」、ピアノが、豪快に飛び跳ねていく。まるでじゃじゃ馬のようだ。
ロマンティックに歌うところもあり、オケの浪漫に、ピアノは、乗っていかないような素振りをしながら、しっかり、最後に、寄り添うところが演出としてニクイ。
大きなうねりとなり、独特のとろり〜感を出して官能的である。
調を変えながら、「タン タカタン〜 タン タカタン〜」の音型の間に、ピアノのグリッサンドが入ってくる。
「そっ みみみっ〜 そっ みみみっ〜」 「う〜ぱっ ぱらららら〜」 「チャンチャカチャカチャン」
大円団状態になって、楽章を終わるが、この暴れ馬的なピアノのグリッサンドが、面白い。
甲高い高音域の音が印象的で、悲鳴に近い声を、ところどころ出している。

1楽章のテンポアップしたところは、崩壊するかと思ったが、なかなか幻想的で異次元空間を醸し出しており、なかなか官能的で面白い。 ところどころ、崩壊しそうに感じるところも、スリリングに感じられる。 

キーシン アバド ベルリン・フィル 1993年
Evgeny Kissin
Claudio Abbado
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra

録音状態は良い。ライブ盤 演奏は淡泊薄味で、綺麗だけど。ぐぐ〜っとくる楽しさ、愉快さが、きまじめすぎて足らない。
カップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番、第3番

1楽章
冒頭の雰囲気は、まずまず。木管のフレーズ、「ふぁみら〜ふぁ み〜し どしらそら〜み み〜ふぁそ〜 」は穏やかで、朝日が昇ってくる前のような静謐さが出ている。弦にのびやかさも感じる。
で、いきなり上昇気流が巻き起こってくるのだが、そこに乗ってくるキーシンのピアノの音。
もっと新鮮でピチピチ感を期待していたのだが、意外とそうでもない。落ち着いているっていうか。
音色に爽やかな感覚や、色彩感が乏しい。あれれれ・・・。高音域の粒の立った感じが。うっ。しない。
そのかわり、低音がものすごく響く。
「しぃしぃ〜 らみらみ しぃしぃ〜 らみらみ ふぁふぁ〜 どふぁどふぁ」
振り下ろされる杭打ち機のように、ガンガン・・・と響き、タッチが深そうである。 コミカルさも、あるっちゃあるのだが、楽しげには、ちょっと聞こえてこない。 杓子定規的なのかなあ。テンポが揺れないようで、テンポを速めていくところもあって、よくつかめない。 ピアノとオケが、絡んでいるようで、別って感じもするし、パーカッションの響きが飛び込んで来ない。
音階を細かく刻んであがっていくところは、メチャ快速。

「ふぁしら〜 しらふぁ〜 ふぁしら〜しらふぁ〜 ふぁしら〜そふぁみふぁ そらし〜」
「れ れどらふぁ〜 しどれらしれ〜」 まるで、お祭のお囃子のように聞こえてくるところも軽妙である。
でも、ちょっと、オケが〜 微妙に歯車が合ってないような。で、音も軽すぎるんだけどね。
最後の音は、キレがあるのだが、無理矢理あわせたでしょ。という感じで、内部の音がばらけて聞こえる。
で、いったんテンポを落として「ふぁふぁ〜ふぁみ れ〜れみど〜」というところは、音が多いもののまとまりが出ておらず、ありゃ〜崩壊してる。って感じになっている。
機関車のように、「れっれそら〜 れっれそら〜」と、オケが鳴っているところ、ピアノが、ジャーと弾かれているが、う〜ん。慎重なのかもっと、パワーがあればいいんだが。
で、また快速バージョンに突入。快速バージョンは、風のように吹き抜けていく。ここは、軽快で良いが。
う〜ん。どうだろう。ちょっと、全般的に、こなれていない感じがしちゃうのは、オケのせい?

2楽章
「どっどふぁ〜 そふぁみれ ふぁっみっれっどっ ふぁっみっ・・・」
「ふぁふぁし〜 ど〜ふぁ  ど〜し(しどれみふぁ) ど〜らそ(らしどれみ)」
優美だけど、けったいな雰囲気の楽章である。
でも、なーんか几帳面っていうか、雰囲気に流されるのが嫌なのか。雰囲気づくりがイマイチ。
オケが硬いんだよなあ。ピアノも、遊び心がないっつうか、ウィットが効かないっていうか。
で、快速バージョンになったら活気がでてくる。
いきなり、調子はずれのトランペットが、「れ〜みれどし れどしそふぁ〜そふぁ〜」 まあ。付け足しのように聞こえてきて。はあ〜 
ベロフ盤のような、水中に漂うクラゲ風には、聞こえてこない。別にクラゲになれっていうワケじゃないんですけどねえ。もう少し雰囲気が欲しいなあ。単なるピアノもオケも、快速だけでは〜面白くないデス。

3楽章
う〜ん。ファゴットか低弦の音が、ぼわぼわ鳴っているところで、ピアノが、たららら〜っと短いカデンツァを入れて、割り込んでくる。「みっらっ みっら〜」「しっそふぁ しっみれ どっそみれ そっどふぁ」
ここだけ聴いても、シニカルさが出てきてない。もっと粘るか、遊ぶか、ためるかしてくれないと。
淡泊なのか、勝手に音が鳴っているって感じがして、なんだか面白く聞こえて来ないのだが。
あのぉ〜 機械じゃ〜ないんですけど。
唐突に、オケが、木管と弦で抒情的なフレーズを奏でてきたり、メタリックな感じのするフレーズが出てきたり、この落差を楽しむ楽曲でもあるのだが、 抒情的なフレーズが、イマイチ深く聞こえてこない。

挑発するところは、もっと、金管が「ひぃ〜ふぁっ ひぃ〜ふぁっ」と、強く吹かれても良いし、抒情的なフレーズは、もっと深く音色を豊かに、のびていただかないと、陶酔感が出てこないのではないだろうか。
主題の形を変えて奏でるには、もう少しメリハリがあれば良いのだけど、変わり身を楽しめない。 タメや深みは、あるにはあるのだが、なんか味が薄い感じだ。 この味の薄さ。どこがどう薄いっていうのが、表現として難しいが、 ぐぐ〜っと、ゴツイ厚みがないっていうか。低音が薄いだけじゃーなくって、がが〜っ。ぎっぎ〜っと来る波がないっていうか、ちょっと伸縮が少ないのか、幅が足らないっていうか。
「タン タカタン〜 タン タカタン〜」の音型の間に、ピアノのグリッサンドが入っており、綺麗って言えば、綺麗なんですけどねえ。
熱っぽくもなきゃ〜 冷え切ってもいないし。この温度は、どう表現したらよいのやら。
何かに徹していないって感じがするんですけどねえ。
「う〜ぱっ ぱらららら〜」 「チャンチャカチャカチャン」 少なくともラストぐらい、もうちょっと熱くなってよぉ。

はあ。確かに、メタリックな感じのする楽曲なのだが、人間が弾いているとか、奏でているという感じがしてこないので、う〜ん。唸ってしまった。なんと淡泊で、薄味で面白みの欠けた機械なんだろう。
アシュケナージ盤の方が、人間臭くって良いや。これ、ホントにライブ盤なの?

アレクサンドル・トラーゼ ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 1996年
Alexander Toradze  Valery Gergiev
Kirov Orchestra of the Mariinsky Theatre
(St.Petersburg Kirov Orchestra)



録音状態はまずまず。粗い、壊れたような、がさつな演奏だが、力強く個性的。「ピアノ・マスターワークス 50CD」の1枚 
カップリング:同第1番、第4番

1楽章
ひとことで言ってしまうと、とても粗野で、豪放磊落。
汗くさく、泥臭く、嫌になっちゃうような、ゴンゴンとなるプロコフィエフになっている。
出だしの木管こそ神秘的ではあるが、弦が合わさってくると、一気に加速して、狂ったような荒々しさ。
なんじゃーこれっ。ぴゅ〜っと吹かれたフルート。うへっ。火がついたように真っ赤になって、突進してくる。
で、ピアノが登場してくると〜 う〜ん。粗いっ。荒っぽい。狂ったように音を、投げつけてくる。
まるで、壁にペンキで塗りたくって、いたづら書きをしているかのような雰囲気で、これがゲイジュツです。と誇らしげに自画自賛しているワカモノのように感じる。
テンポが猛烈に速く、間合いがとれていない。
パーカッションも微妙にテンポが変わり、凸凹しており、速く弾くなら弾ききって欲しいと思ってしまった。
また、叙情性というモノがないのか、綺麗なフレーズが、ささくれだって刺々しい。
他の盤だと、澄み切った清々しいフレーズが、音が濁っているかのように、どろどろしている。
何度か繰り返して聴いたら、快感〜というような気持ちの良さを生むと思うのだが、これは、濁って聞こえてしまって、オケとピアノの熱情と豪快さは、ある程度わかっても、共感がしづらい。
いったん鎮まって、再度、立ち上ってくるのだが、あ〜 やっぱり粗い。
テンポが変わるところが、極端で、オケがばらけそうになっているし。う〜ん。精緻ではない。
精緻すぎても面白くない楽曲だと思うが、面白みに欠けているというか、ウィットに欠けているというか。
余裕のないフレージングで、ふわっとしたところが少なく、直線的。
転がるようなフレーズも、転がり感がないので、ゴンゴン ガンガン的に聞こえてしまう。
1人、トップで走って行きたいのなら、どうぞ〜勝手に行ってくれ〜という気分になる。

2楽章
乾燥しきったというか音作りで、人間味がないというか。合わさってくる色彩の楽しさが少ない。
特に、オケがバラバラに聞こえて、パーツが組み合わさった感覚がしない。オケが有機的に響かず、構造的にイマイチで、どことなく、古ぼけた壊れかけのビルをイメージしてしまう。
中間部では、幻想的な雰囲気も多少は生まれているのだが、温度感が、う〜ん。
濁った海の底で、モゴモゴ動いているような感覚で、光の届かない闇の世界である。
海の上は機械化された世界で、海の底で濁るのか。
う〜ん。いずれにせよ、生命観があまり感じられない。動きが芽生えると、荒々しい息吹となっているし。
ほっとさせるとか、ふふっと苦笑いできる要素とか、ふわ〜っとした感覚とかが少なく、苦みがあって、硬く、しかめっつらして聴かざるを得ない。

3楽章
「みっらっ みっら〜」「しっそふぁ しっみれ どっそみれ そっどふぁ」
で、ひとしきりピアノが喋りつつけたあと、突然、エンジンがかかって、「れっどし・・・どれふぁみ れっし〜」とテンポを速めて、ピアノが勝手に飛び跳ねていく。
このトラーゼ、ゲルギエフ盤では、う〜 こりゃ酷いっ。わざと醜く仕上げているかのような気がする。
極寒の地で、ウォッカでもひっかけて歌っているような感じで、寒々しく見てられないっ。
奇妙なフレーズでは、ことさらに、チョウツガイが外れた感じで弾いている。
う〜ん。確かになあ。
他の盤だと、コミカルに演出されて奏でられているところが、この演奏だと、もう〜ホントはボロボロなんです。この機械、どうみても壊れてるでしょ。と演出されているような感じだ。
調和した感じが少なく、崩壊している現状を視察させられているような感じ。崩壊していることを見せつけて、何が言いたいのだろう。
オブラートなんかで包みません。壊れているモノは、壊れているんです。と言わんばかり。 でも、壊れてなんていないと思うんだけどなあ。 トラーゼ盤を聴いて、この楽曲が、なんだかよくわからなくなってしまった。 トラーゼさんやゲルギエフさんって、壊し屋さんなのかなあ。
既成物を壊す。で、新しい世界観を生む。って言うのなら良いんだが、壊して終わりだろうか。
う〜ん。美音で、壊れそうで壊れない、しっかりした構造を持ちつつ、危うげな繊細さが好きだったんだけど・・・。
儚げで、硬くて柔らかい、美しさと醜さを持ち合わせた、その多様さが好きなんだがなあ。 トラーゼ盤で聴くと、破壊的に聞こえるし、美しくないんだよなあ。 歯車なら歯車の規則正しく動く美しさを感じるものなのだが、う〜ん。どうも、ギクシャクしてて、噛み合って動いてくれていないような。よくワカリマセン。不快感が残る演奏ですが、個性的です。


プレトニョフ ロストロポーヴィチ ロシア国立交響楽団 2002年
Mikhail Pletnev  Mstislav Rostropovich
Svetlanov State Academic Orchestra
(Russian State Symphony Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は極めて良い。情報量の多い演奏で、燃えあがるようなパッションを感じさせる演奏というよりは、作曲者の意図を、数式を用いて解いて応えるのを楽しみとしているかのような演奏だ。
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番、プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
1楽章
とっても録音状態が良いので、しーっと静まりかえったなかで、クラリネットの二重奏から始まる。
「ふぁみ しぃ〜そ ふぁ〜どぉ れどしら しぃ〜ふぁ〜〜  ふぁそ ふぁそ らしどれみ ふぁ〜そ ら〜どぉれ〜」
「そふぁ れぇ〜し そ〜れ どれどふぁ そ〜ふぁみれ み〜どれみふぁそ らしどぉ〜 パンパンパン・・・」
なんという硬質感のある、粒立ちの綺麗な、それも粒の細かい、キラキラした音なのだろう。
繊細で、こんなシーンとした中から始まる演奏を聴いたことが、あっただろうか。
高音のピアノの綺麗さと、低音の響きの厚み、また、打楽器のリズムの良さと、残響・・・。
カスタネットの響きのなかで、リズムが生まれて、転がるピアノの響きと、拍子の変わりめの素早さ。
で、金管が吹かれて、一瞬ドンドン シャンシャンっ・・・ どっふぁ〜 どっふぁ〜 

透き通る音色と、破壊的なパワーが凄まじく、リズムのなかで、うねって練りあがっていく。
コラールのように、「そふぁ どぉ〜し らみ れみれそ らそふぁ みふぁ〜 みふぁ れぇ〜」
また、クラリネットに戻ってきて、抒情的な響きに戻り、ピアノが、少し甘めにゆったりと〜奏でられる。ピアノとクラリネットのコラボが、なかなかに抒情的で、えにもいえない天上的な響きとなって、宙に浮き上がっていく。
繊細で極めて緻密で、情報量の多い演奏で、う〜ん。すばらしいっ。これぞ芸術っ!と思わず、叫んでしまった。
特に、木管群の色彩的なフレーズが、たっぷりと詰まっており、不協和音と言いつつも、細かい雪の結晶が飛び交っているかのようで、リズムの変化も絶妙だ。

2楽章
木管のウエットの聴いたフレーズ 「どっど ふぁ〜 そふぁみれ ふぁっみっ れれっどっ ふぁっみっ」
弦と絡んで優美なフレーズ 「ふぁふぁし〜 ど〜ふぁ  どぉ〜し(しどれみふぁ) ど〜らそ(らしどれみ)」
優美だけど、けったいな音が続くのだ。
ガボットのフレーズが、気怠い どっど ふぁぁ〜 どっど ふぁぁ〜 パパパパ ぱっ。
あまり諧謔的には演奏されていないが、ほろ苦さというか、クールななかに、理知的な皮肉っぽさと気怠さの風味がある。
フレーズの歯切れが良く、多彩に変化する主題が、与えられたテーマごとに特徴を強く、明瞭に打ち出して、楽しげに提示していく。
音がプツプツ、プチプチと広がっており、すごく〜 淡く、水中に浮かんで消えていく泡のように聞こえる。
縦横無尽に広がり、宇宙空間を漂っているかのような、そんな無重力感のようでもあり、しばし、サラウンドのように楽しめる。また、オケとピアノのバランスが良く、パーカッションの音も、残響と共に、ホールいっぱいに広がって行く。
ピアノとオケとのコラボが、とっても楽しめる。これは面白いっ。
とても機能的で、なによりも、プレゼンテーション能力に長けて、すごくわかりやすい変奏曲となっていた。

3楽章
他盤のように、火柱が上がるようなパッションはないし、スピード狂って感じで猛ダッシュしない。
また、情熱で身を焦がすという燃える感じにはならないが、青白く炎をあげているかのようで、かえって不気味だ。
機関車のような、エンジンのトルクを感じる体験はできないが、その代わり、漂うフレーズが、すごい。
アクのある演奏ではなく、えぐみのない透明度の高い演奏だが、その純度の高さゆえに、余計に、水中に閉じ込められた気密性というか、圧が感じられる。
ピアノと弦楽器がユニゾンの場面でも、クリアーに配役が決められているかのように、自分のピアノは、ピアノで演じており、オケはオケで、細かな細密がを描き出していく。
この情報量の多さには驚かされる。繊細な細かな細工を、鮮やかに提示してくるので、息を思わずのんでしまう。

プレトニョフ盤は、録音状態が極めて良く、構成がわかりやすい。
余計なパッションは不要とばかりに、情熱に身を焦がすことなく、淡々と演奏をしているようだが、それが、またみごと。
ここからここまでが1つの提示ですという感じで、パッチワーク的に描いて、わかりやすく見せられている感じだ。
場面展開が解りよいため、総体的に見通しが良いことと、また、木管と弦の多層的に響くフレーズが、モノトーンになりがちな楽曲に、色彩を与えてくれており、楽しめる。
繊細な絵画を見ているかのような演奏のうえに、プレゼン能力が高く、どちらかというと、初めてこの曲を聴くという方よりは、何度か、聴いたことがあり、より深く聴きたいという方に向いている。体力勝負というよりは、数式を解くかのような知的ゲームのように感じられれば、メチャクチャ楽しめると思う。


1966年 グラフマン セル クリーヴランド管弦楽団 SC  
1967年 アルゲリッチ アバド ベルリン・フィル  
1974年 ベロフ マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管 EMI ★★★★
1975年 アシュケナージ プレヴィン ロンドン交響楽団 Dec ★★★
1978年 テレンス・ジャッド ラザレフ モスクワ・フィル Chandos  
1990年 グティエレス ヤルヴィ コンセルトヘボウ Chandos  
1992年 クライネフ キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 ★★★★
1993年 キーシン アバド ベルリン・フィル ★★
1996年 トラーゼ ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 Ph ★★★
1997年 アルゲリッチ デュトワ モントリオール交響楽団 EMI
2002年 プレトニョフ ロストロポーヴィチ ロシア・ナショナル管弦楽団 ★★★★★
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