「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第2番
Rachmaninov: Piano Concerto No.2


ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(作品18)は、1901年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

1897年、交響曲第1番の初演時に痛烈な批判を浴びたことにより、ラフマニノフは鬱状態となり、一時、創作不可能になってしまいますが、ニコライ・ダーリ博士の治療により、快方に向かったラフマニノフはこの曲を作曲し、大成功をおさめます。そのため、この曲はダーリ博士に献呈されています。

第1楽章 ハ短調 2/2拍子 自由なソナタ形式
ピアノ独奏がロシア正教の鐘を模した和音連打を、クレシェンドし続けながら打ち鳴らします。導入部がついに最高潮に達したところで主部となります。
第1主題は、オケが旋律を歌いあげ、ピアノはアルペッジョの伴奏音型を奏でます。長い第1主題の呈示が終わると、急速な音型の移行句が続き、ピアノによる変ホ長調の抒情的な第2主題が現れます。劇的な展開部は楽器法や調性を変えながら2つの主題音型です。展開部は、壮大なクライマックスで、再現部ではピアノが行進曲調になり、入念にコーダを準備するものです。1楽章はオケが目立っており、ピアノの超絶技巧の存在が、あまり目立っていません。

第2楽章 ホ長調 4/4拍子→ 2/3拍子と4/4拍子を行きつ戻りつ→ 4/4拍子 序奏つきの複合三部形式
緩徐楽章が、弦楽合奏のppで始まります。弦楽合奏の序奏は、ハ短調の主和音から、クレシェンドしながら4小節でホ長調へ転調し、ピアノソロとなります。フルートの甘美で長いメロディーが入り、ピアノの3連符の刻みと、メロディーのズレが神秘的な感じになります。その後、2/3拍子に変わり、4/4拍子、2/3拍子が、入れ替わりながら進みます。
フルートで奏でられた旋律が、ピアノ、ヴァイオリンに受け継がれ、さらにファゴット、低弦、フルート、オーボエが絡んできます。華やかな分散和音の後、オケと絡んで、ピアノのカデンツへと進みます。

第3楽章 ハ短調、ハ長調 2/2拍子
最初のホ長調の旋律は、循環形式によって第1楽章から引き出されており、主たる楽想は2つの対照的な主題を持ちつつ、前楽章で用いられたモチーフを断片的に使ったり融合するなど、自由なものです。
スケルツォ的な第1主題と、抒情的な第2主題が交互に現れ、ピアノのカデンツァの後にハ長調で全合奏されます。
2つの主題が融合されて、盛りあがるところは、高い演奏効果をもたらします。

大変美しいメランコリックな楽曲で、ラフマニノフの出世作であり、とても人気のあるピアノ協奏曲です。

ワイセンベルク カラヤン ベルリン・フィル 1972年
Alexis Weissenberg  Herbert von Karajan
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。リマスタリング盤である。派手なバックにも埋もれず、ずっしりしたタッチでピアノが熱く燃えて、あちゃちゃ〜というほど豪快っ。 これはこれで拍手っ。
カップリング:チャイコフスキー ピアノ協奏曲1番

1楽章
かなり重々しく、暗く、鐘が鳴り響く・・・ 段々大きくなり6音目、7音目、合いの手が入って、ごーん!
まるで、除夜の鐘のような響きで、ずしーっん!
げっ あぁ〜すげ。おもっ!
ワイセンベルクの弾くラフ2は、重い、暗い、冷たい。ひえーっと思うような、氷のような世界が広がっている。雪のなかを、重い足を引きずっているような歩き方 で、なんとも。恐ろしい。
弦が絡むと、ますます、その雰囲気が増幅され、雪の中を歩かされているような。悲痛な感じが してくる。なんとも、これじゃー 八甲田山死の彷徨じゃん。と思ったりする。
で、溜息混じりに、悲愴な感じが続く。
う〜ん。これはラフ2ではないのか? これでは、息が詰まりそうになるじゃーないか。
オケもピアノも、張りつめていた声にもならない声をあげて、音を吐き出すと、いったん落ち着つく。

アンサンブルの見事な演奏で、ピアノの響きはよく透っている。
あわてず騒がず、かといって鈍重ではなく、透明度が高く、聞きやすい。
強いところは、いささか強引と思うほど強く。弱いところは極端に弱く。メリハリがついているどころか、極端すぎるほどで・・・ ちょっと辟易。
ピアノは堅め。力強く、厳しい。今風のピアニストならば、ここは速いだろう〜と思うところが、わりとゆったりめなのだ。こりゃ天の邪鬼。
だが、伴奏と共にピアノのテンションがあがりはじめ、猛烈に高くなる。このピークは凄い。
かなりの激情型で、大がかりな演技で、泣くところは大泣きして叫んでいる。
うっ・・・ これは手に負えない。抑制が効かないようで、この演技には、ついていけない。(腰が引ける)
しかし、相手が悪く、かなり手強い。腕力強く、いささか強引にテンションを上げる。
無理矢理やん。とは思いつつ、のせられてしまうところが困ったところだ。1楽章でヘトヘトになる。

2楽章
1楽章で疲れることを計算しているのか、2楽章は、ものすごーく遅い。
消え入りそうな弱音で、眠気を誘われてしまう。

3楽章
また、大がかりな芝居が始まってくる。う アクが強いような感じがする。
ピアノの硬質なタッチが、大がかりなバックに負けていないところが凄い。凄すぎ。
まーしかし、まろやかで、うっとりするような甘い旋律もいいけど、強烈すぎて・・・
これほど強烈なラフ2番は、他に無いような気がする。
大きなうねりと、その勢いの良さに飲み込まれて、最後まで聞くヘトヘト。
いささかカラヤンの方が、速めに振るのだが、ワイセンベルクは、ゆったり弾きたがっているような気がする。テンポの違いが少し見えてしまうのだが、この強烈な流れは、龍が天に昇っていくかのような勢いがあり、演奏者も大変だろうが、聞く方もよほどの覚悟が必要。

ジャン=フィリップ・コラール ミシェル・プラッソン 1977年
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
Jean-Philippe Collard  Michel Plasson
Orchestre National du Capitole de Toulouse
(Toulouse Capitol National Orchestra)

録音は、う〜ん。イマイチ。カサカサした感じは拭えない。ほとんど伴奏の管弦楽の音が聞こえない。
カップリング:ラフマニノフピアノ協奏曲全集

1楽章
冒頭の鐘の音は、始めは小さく、段々大きく鳴っていく。弦部と合わさっていくところは力強い。
大河のうねりのような感じではないものの、低音も入っているため、まずまずの迫力がある。
但し、ピアノのバックの管弦楽の音量は、かなり低く、聞こえづらい。こもってしまっているのか、遠いのか、録音状態として、情報量が少なすぎ。
途中、ピアノが全面に出てくる時には、バックで、モコモコ ボコボコしているだけで、さっぱり〜
明瞭には聞こえないので、絡みがイマイチわかりづらい。
演奏自体は、粘着質ではなく、さらり〜としている。ラフマニノフなので、もう少し、ねばっこく演歌風でも良いのでは? とも思うが、フランス人だからか、さっぱりしている。

2楽章
区切りをつけて、細切れにしている。糸引き納豆まではいかないけれど、もう少し練って欲しいような。
いかにも音を置いている感じがしてしまう。
音の膨らみや、うねりりが少ない。夢見心地なロマンティックさが欠けており、う〜 おもしろみが少ないかも。

3楽章
う〜ん もう少し熱っぽく弾いて欲しいような。物足りなさを感じる。
洒落た雰囲気は出ているのだが、う〜 ここら辺は、フランス訛りが出ているのかもしれない。
泥臭いって感じは、嫌なのかなあ。情感たっぷりも、しんどいのだが、これでは盛り上がらない。
間の取り方も、う〜 私的には、隙間が見えてしまうというか、呼吸の長さが違うようで、私的には、濃密にしてもらった方が良かったかもしれない。
金管類も弦も厚みが少なく、ボコボコしている。アンサンブルも、いまいちかなあ。
最後のコーダだけ、ばかでかい音でキンキンしてて うっ! 誰の足音じゃー!合いの手を入れるなあ。
ホント 最後だけ盛り上げすぎで、いずれにしても、すきっとしていると言うよりは薄口すぎ〜
砂糖と醤油をけっちた、すき焼きもどきである。

レーゼル ザンデルリング ベルリン交響楽団 1980年
Peter Rösel  Kurt Sanderling
Berliner Sinfonie-Orchester

録音状態は潤いがあり、残響もほどよく、まろやか。線が細い感じがするが、品が良い。
カップリング:ラフマニノフのパガニーニの主題による変奏曲

1楽章
鐘の音は、静かにまろやかに響く。最後の音が、いささか高く響く。
伴奏のオケは、低音域豊かに温でまろやかで、大河のようなうねり。
波間にピアノが、ところどころ頭をのぞかせている状態で、最後の、ペンペン・・・としかピアノ音 は聞こえない。冒頭ではピアノは埋もれがちだが、ゆったりとした大河のようなうねりが、曲想としては好ましいかもしれない。
ふわ〜っとした木目調の暖かさがある。ほんわかしてしまう。音の響きが、柔らかい。真綿にくるまれた赤ちゃんの心境で、これは優しい。まろやかなラフ2。
う〜ん。まろやかすぎるほど・・・。とろけるなあ。
レーゼルは、大変みずみずしいタッチで、ワイセンベルクのような硬質なタッチではない。
自然な感じのする、自然体の演奏である。
もちろん、間違ってもカラヤンばりの大芝居は、ザンデルリンクには無縁。
みずみずしく、幾分、水分の多めの潤いのある演奏というか、その分、生ぬるい感じは否めないが、聞き疲れはしない。
ワイセンベルク+カラヤン盤とは、全く次元が違う。挑発もしないし、あおりもしない。ごく自然体。
ザンデルリンクさんともども、なんとも、のんびりした〜 牧歌的とすら言えるラフ2である。

2楽章〜3楽章
ロマンチックなラフマニノフに陶酔したかったら、いいなかなぁ〜と思う盤である。
どこまでも、まろやかで、永遠にどっぷりしたいという感覚になる。
いささか冗長と感じるところもあるけど、それは長所でもあり短所であって、表裏一体。
レーゼルの弾き方は丁寧である。もっさり〜には、なっていないと思うが、軽やかで速いタッチに耳慣れていたら、いささか古くさいと感じるかもしれない。
実際、鋭さもなく、まったりしすぎ〜とは感じる。
でも、このラフマニノフの2番なら、いかにも古くさい感じはするけど、まさしくそんな曲想なのだ。
いいんじゃーなかろうか。というのが私的な感想。ひと昔前の、ゆったり〜した浪漫感覚を楽しむ。
また、リラックスしたい時、取り出したい1枚になるだろう。

ゾルタン・コチシュ デ・ワールト サンフランシスコ交響楽団  1984年
Kocsis Zoltán  Edo de Waart
The San Francisco Symphony

録音はまずまず。低音が十分に入っているため重厚な印象がする が、結構スピード感もあってスタイリッシュ。でも、さっぱりしているのに、品があって、安定感があって・・・。

カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、3番、ヴォカリーズ

←下のCDは、全集盤である。

 

1楽章
冒頭、鐘の音は、はやめ〜 ただし、弦が絡んでくると、低音が十分に入っているため重厚である。
ユニゾンの弦の音も、かなりいい。ロシア風という感じがいかにもしている。
この重々しさがラフなのだ。と満足してしまう。およそ、サンフランシスコ交響楽団とは思えない。
のびやか〜 弦のバックも良い。木管の甘いメロディーも、心地よい。う〜む。これはいいぞ〜という予感がする。録音なのだろうか、ピアノの独奏も、かなり粒立ちのよい音だし、うねるような低音もあり、さすがフィリップス だなあ。やっぱりEMIより良いと感じ入ってしまった。
低音の弦や管については、ボコボコしていないわけではないのだが、エコーのように響く。
ティンパニーなんぞは、遠くで鳴り響く雷鳴のようだ。それにしても、この曲、録音のバランスが難しそうだ。ところどころ低音がものすごく、地鳴りがしているような感じがする。
ピアノの演奏自体は、もってまわった。練りまわした。という感じではない。オケの重厚さは感じるが、ドロドロ、とろとろ、ベトベトのど演歌で はない。だから、とろみ感の好きな方には向かない。(と、思う。)
ピアノも、さっぱりしているし、あっさりめなのだが、伴奏が、重厚であることから、ロシア風には 聴けるとは思うが〜 う〜ん。違うなあ。やっぱ。ロシアじゃないとは思うが、歌心ありなんだよなあ。
この辺りの微妙な表現は、言葉で出せないんだけど・・・。コブシまわりの聴いた演歌調にはならない、あっさり系統だが、抑揚感は充分に感じさせるものだ。この口当たり感が好きだ。比重は重くないが、さっぱりしているもののコクがある。

2楽章
穏やかに、泣きの旋律が演奏されている。さっぱりもせず、まどろっこしくもなく、ほどよい感じがする。
バックとピアノの小回りの利いた旋律が心地よい。コチシュって、猛烈に速い人だとの印象があったのだが、う〜ん。ワールトと共に聴かせてくれた。これはいい!

3楽章
ふわ〜っと快速で飛ばす。ホント、結構速いのだ。スピード感もあるのだけど、でも、とげとげしくなく、火花が飛んでいるわけでもなく、まろやかな余韻が残る。残り香が漂うような弾き方で、これ には、唸らされちゃった。こりゃ凄いわ。
必要以上に、まったりしていない。くど〜って言うほどでもない。わりとあっさりなのだ。しかし、余韻がある。こうなると、追いかけたくなっちゃうよね。
幾分細めで品があり、身のこなしの速い女性が、窓辺に立っており、ふわーっと眺めていたと思ったら、もういない。というような感じ・・・。

最後になって感じたことだが、ロシアというより、イギリスの貴族邸のような感じがした。どことなく、ジェームズ・アイヴォリー監督のハワーズ・エンドや、眺めの良い部屋などを思い浮かべてしまった。
あまりイメージには関係ないのだが・・・(苦笑)
全体的に重厚なのだが、ふわっとした感じがする。意外なほど、ふんわり感がある。
音の響きの重厚さと、音色としての明るさ、ピアノのスピード感が微妙に絡んで、大変面白い。 とてもバランスの良い演奏だと思う。

アンドレイ・ガヴリーロフ ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1989年
Andrei Gavrilov  Riccardo Muti
Philadelphia Orchestra

録音状態は良い。 最終楽章、いきなりギアチェンジがかかって、駆け抜けていくのだが・・・。
カップリング:パガニーニの主題による狂詩曲(全24変奏)

1楽章
冒頭の鐘の音は、段々に大きくなり、最後には硬く、ためをタップリとって、大きく叩かれている。
オケの音と共に、さらり〜としているようで、大きな伸びがあり、ゆったり、たっぷりとしている。
決して重量級ではないのだけど、スケールは大きく流麗である。
むしろ、序奏部分ではオケの煌めきが勝っているようで、オケの煌めき、スピード感覚が、テンポの揺れに耳が行ってしまう。
他の盤では、あまり聞こえないのに、ムーティ盤だと、結構大きくティンパニーが入っていたりするし、木管の音色が、よかったり〜 
反面、ピアノが少し遠く聞こえるので、高音部の煌めきがちょっと遠いので、もどかしい。
う〜ん。この録音では、ちょっとピアノには気の毒かなあ。もったいない感じがする。
ソロ部に入ってくると、さすがに美しい。どっぷり、臭い演歌調にもならず、さらり〜としつつも充分なタメを持っており、微妙な心理状態で、機微に富んでいると言えるかもしれない。

2楽章
オケの木管の線が、ちょっと細めで響きがイマイチだ。呟きに似た楽章なので、ふわ〜っとした感覚が欲しいところなのだが、う〜ん。ギクシャクしているというか、フレーズに膨らみが少ないように感じてしまって。
呟きや、まどろみの時間にはなってくれない。
ピアノの音の強弱はついているのに、オケが流れないというか停留してしまって、また、もう少し深みが欲しいところ。バックの弦が、もう少し大きな膨らみを持ってくれたらよかったのになあ。う〜ん。
これはオケが、しっかりと動いていないからじゃーっ。
しかし、楽章後半は、ピアノの音に潤いが出てきて、しっとり。
ヴァイオリンの高音部分の音も、ちゃんと綺麗に線が出てきて、共に、情感たっぷりに、じっくり聴かせてくれる。音の響きも充分、たっぷりとした揺れが出てくる。あ〜よかった生き返った。

3楽章
くっきり、はっきり〜 オケの序奏は、口調がきっぱりしていてキレがある。
そこから、ピアノが駆けめぐるのだが、小粒だがパッセージが速く、小回り抜群。
低音の「たらら〜」と、合いの手を入れるオケの音量も良いし、曲全体が、流麗さを取り戻す。
「そどぉ〜 らそふぁそ〜 みふぁみ そふぁみれ そふぁみれそ〜」というフレーズは、コテコテにならずに、タメを作れている。う〜ん。
次の音に行く時、指が、単にヨコにスライドしないで、山なりに降りてくるって感じが、すごくする。
中間部の静かで、まったりしたところでも、間合いが充分、緊張感を途切れさせることなく、この楽章は、優美に奏でられている。
で、短いフレーズになってくるところから後半・・・ ぎょえ〜っと思うほどに変わる。
どこで、火がついたのか。いきなりテンションがあがってくるのだ。
で、ピアノもオケも、げげ〜っと、思うほどに加速度的にテンポがあがる。このあげかた、いきなりだねえ。
テンポアップしたところは、オケの低音部分がないので、さほど「G」は、かからないのだが。
それでもねえ。驚くな。このテンションのあげ方。
最後、コーダに向かうところのあがりは、さすがに、オケも煽られて〜 熱情的だが、ちょいアブナイな〜と思うほど速い部分もあって、最後まで、超スピードで駆け抜けて終わる。
ただ、超テクの軽やかなタッチ、テンポの速さ、ガンガン叩く力強さ・・・
この楽曲に、必要なんだろうか。どうだろう。ガヴリーロフさんの良さが、引き出せる楽曲なのか。と言われたら、う〜ん。最後だけかなあ。特徴として出ているのは。そんな感じがする。
それも、いきなりギアチェンジがかかっているので、う〜ん。唸らざるを得ない。
オケに厚みが少ないので、線が細いと感じてしまうし、透明度もさほど高い録音とは言えないので、ちょっと分が悪いと思う。

アンスネス パッパーノ ベルリン・フィル 2005年
Leif Ove Andsnes  Antonio Pappano
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は良い。ピアノとオケが補完しあっているようだ。
ライブ盤 カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第1番

1楽章
冒頭の鐘の音は、派手には鳴らない。几帳面なほど、小さく、そして段々と大きくなっていく。
驚くのは、「ど〜れ ど〜れ どーしらしら〜」と奏でてくるパッパーノの振るオケの雄大さ。
弦の音量が大きく、太く、逞しい。そして、それに埋もれてしまわないピアノの低音。
テンポは、幾分速め。
弦の音が、「そら〜ふぁ そらし〜ら そらし〜どれ〜 どれ〜ど しどれみふぁ〜」と奏でるとき、かなり揺らめき、強弱の激しい揺れを感じる。
ゆったりした大河の流れてというよりは、風のようで、これには驚かされた。録音ミスかと思ったぐらい。
いやいや、すごい。オケが揺れている。
ティンパニーが絡んで盛り上がるところの迫力と勢いには、う〜ん。すげっ。
決して透明度の高い録音じゃないが、パワーが伝わってくる。若い迸りも煌めきもあり。
クラリネットの甘さも感じるが、コテコテの浪漫派ではなく、ねちっこくやらない。
「ら〜そふぁ〜れど〜そふぁ」と降りてきて、煌めきを見せてくれるし、転がりも良い。
「ンタタ タンタン ンタタ タンタン・・・」のリズミカルさもあるが、パワフルで、これ、ホントにベルリン・フィル?
いや〜 熱い。やっぱ風が吹いているような、突風的にさえ感じるところがある。熱風に近い。
ケも程度に甘くソロが奏でてくれるし、不思議な温度感だ。
甘く、暖かさも感じるし、さらり〜とした感触もあり、まったり感もあり、押しの強い圧迫感もあり。風のように揺らめくところもあり、なんとも言えない不思議な演奏だ。
ピアノは、幾分硬めだが、ガチガチさではなく、爽やかさも持っており、高音域のゆったりとした煌めき、低音の硬めに押し込む力強さ。その場面での力加減が、一辺倒ではなく、適応性が速い。

2楽章
楽章最初は、ピアノより、木管の響きの方が印象に残ってしまった。
もう少し粘りが出るのかと思ったのだが、わりと即物的に聞こえてしまう。
オケは、優雅さを感じるのだが、ピアノは、ピアノの練習か?と思うほど、素っ気なさを感じる面も。
あまりクネクネしていないところは現代風で、楽章最後には、跳ねて、かなり躍動感がある。
旋律よりも、リズム感覚が優れているんだろうな〜 この楽曲が、まったりしすぎなんだもん。普通だと息が持たないよなあ。と思わず楽曲のせいにしてしまう。
オケの力量がなければ、聞き続けていないかも。
でも、キラキラと小粒に輝くところと、大きな煌めきも感じさせるし、軽さもありながら、重量感もあり。
この楽章も、なんとな〜く、不思議さが残る。
おそらく、このオケとピアノのバランスだろう。オケの方に、バランスが勝っているのかなあ。

3楽章
オケが熱いっ。すごい勢いと圧倒的な音圧で押し切られてしまう。
まるでミリタリー調の、コワモテな表情をしているのだが、決して重くないのだ。これ不思議。
まるで、マーチのように聞こえてくるのだが、嫌らしくなく、味わいがすっきりしていう。
弦の響きもピチカートも、「たたら〜」という低弦の響きが、すごく豊かだ。
で、ピアノの高音域の跳躍と、まったりのばすフレーズと、この変わり身と、呟くような煌めき感。
う〜ん。こりゃ〜 オケが、すごいねえ。
オケの音量が豊かだし、ホールトーンも良い。で、ピアノが消えないところがすごい。
主題が変わって「たら〜 ららら ら〜」と、センチメンタルなところは、午睡のようにまろやかだ。
低弦の響きが、アクセントになっており、表情も色彩も豊かである。へえ〜 オケが良い演奏って、なかなか、ないんだよなあ。
で、肝心のラフ2の聴きどころであるピアノは、粘らない。
「たらぁ〜ららら らぁ〜っぁ」とは粘らない。演歌くさくなく、さっぱりしている。
ありゃりゃ〜 もう少し粘っこくしてもらってもよいのだが、ちょっとモノ足らない。しかし、旋律の粘りは少ないものの、高音域の弱音での、ゆったり〜 まろやか感が充実している。
楽章最後、テンポをあげて、すご〜く速くなる。弾んで駆けめぐる。ピアノは、草原を駆け回る風のように、凄く速く、捕まえられないほどに揺れる。
それに対するオケは、弦の 「たら〜 らららら〜」のフレーズは、これは、お見事。
まろやかで透明感があり、清潔感がある。品の良い貴婦人のような響きがしており、思わず、うっとり〜。
これは、パッパーノの振るベルリン・フィルが、ダントツに良いわ。
それに比べると、やっぱピアノは、まだまだ青い。線の細さがあり、スマートで好印象なのだが、これからどんな風に育つのだろう。なかなか、よさげ〜な青年であるが。

アンスネス、パッパーノ盤は、オケとピアノの補完作業を、綺麗に見せて貰ったような気がする。
オケとピアノが一体となって〜とは言えないし、挑発しているわけでもなく、戦々恐々でもないのだ。
それぞれの役割を、距離を置きながらも、きっちり果たしています〜的かなあ。
というか、互いに持っている色が違うんだと思う。でも、それが、微妙に変化してて、いつものロシア臭くない、別の風味が生まれた。そんな感じがする。
ただし、この盤では、オケが美音で、迫力もあり、優美で耽美的で・・・。思わずピアノより、オケに耳がいってしまった。というのが実情である。
1959年 リヒター ヴィスロツキ ワルシャワ・フィル  
1963年 アシュケナージ コンドラシン モスクワ・フィル Dec  
1964年 グラフマン バーンスタイン ニューヨーク・フィル SC  
1972年 ワイセンベルク カラヤン ベルリン・フィル EMI ★★★★
1974年 ハース インバル フランクフルト放送交響楽団 Ph  
1975年  ヴァーシャリー  アーロノヴィッチ  ロンドン交響楽団
1977年 コラール プラッソン トゥールーズ・キャピトル国立管 EMI ★★★
1980年 レーゼル ザンデルリンク ベルリン交響楽団 Berlin Classics ★★★
1984年 アシュケナージ ハイティンク コンセルトヘボウ Dec
1984年 コチシュ デ・ワールト サンフランシスコ交響楽団 Ph ★★★★★
1987年 ボレット デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1988年 キーシン ゲルギエフ ロンドン交響楽団 R
1989年 ガヴリーロフ ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI ★★★
1991年 ジルベルシュティン アバド ベルリン・フィル
2004年 ランラン ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団  
2005年 アンスネス パッパーノ ベルリン・フィル EMI ★★★★
2005年 ルガンスキー オラモ バーミンガム市交響楽団 Warner  
所有盤を整理中です。

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