「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
Rachmaninov: Piano Concerto No.3


ジャン=フィリップ・コラール ミシェル・プラッソン トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
1978年
Jean-Philippe Collard  Michel Plasson
Orchestre National du Capitole de Toulouse
(Toulouse Capitol National Orchestra)

まっ こんなモン


録音は、まずまず。総体的には、さっぱり系だが、音も丸くふんわりした感覚で、さらり〜っと風のように流れていく。ただし、フレーズによってかなり変貌。
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲全集
1楽章
総体的に、さっぱり系で、聞きやすい演奏であり、 とろみ感は少なく、粘っこくない演奏だ。ひとくちで言っちゃうと、すーっと風のように流れ、ふと立ち止まる感じのする演奏である。
「みっ そふぁみ れみふぁみ ふぁみふぁそ〜そそ らそふぁみふぁ〜」
コラール盤は、フランス風ってワケじゃないと思うのだが、テンポの速いところと、立ち止まって、しばし耳をそばだてさせる、そんな、オン・オフの切り替えが、わりと面白い。
言いたいことが、いっぱい詰まってて、なんとなく、息苦しい感じのする楽曲なのだが、その点、間引いているというか、いや違う〜、すっと知らぬ振りして、通り過ぎてしまうような、そんな感じがする。
だから、ロシア臭いという感じはしない。

追いすがるような、執拗な、タップリとした重みのある演奏も好きなのだが、コラール盤を聴いていると、なーんとも、幽玄な、形の無い、ふんわりした感覚が、目の前に表れてくるような不思議な感じがする。
1つ1つの音が際立って、粒のように独立して飛び出してくるというより、音の小さな膨らみが、コロニーのように形成されているというか。ふんわり感のある夢想的な雰囲気が出ているのだ。
カデンツァ部分は、そりゃ結構力強く、強く叩かれているのだが、そこだけは、押しが強いものの、甘いフレーズについては、オブラートに包んじゃうという形に変化している。
壮大で華麗なカデンツァだけど、コラールさんのは執拗ではなく、幾分軽め。
テンポは、まずまず普通っぽい。激情型の恐ろしく壮大なピアノもあるし、げっ と、のけぞるようなテンポで駆け抜ける人もいるし〜 ピアニストによって、アプローチは異なるのだが、コラール盤では、ここだけはカッシリ、がっつり弾いている。
その他は、ソフトタッチだ。
でも、なんでしょーね。この変わり方は〜 タッチを使い分けてて〜
コラールさんのピアノの音質が、すっかり変わるのだ。まっ ここだけカデンツァらしい、強靱さが出てくるが、他は、柔らかい。
オケも、終始柔らかい伴奏で、低弦の響きもクリアーじゃなくって、ソフトフォーカスがかかっている。音の響きがクリアーじゃない分、雰囲気でやられるのかな〜って感じも否めない。

2楽章
この楽章は一応、間奏曲らしいのだが、プラッソンさんの振るオケからは、すーっと、シーンとした風景が広がってくる。
結構、オーボエの音色が明るい。涼しげなんだよなあ。
他の盤だと、鬱々とした感じになったりするんだが、音に広がり感があって、しっとりしているものの、どこか乾燥した空気感があって、物静かではあるが、鬱屈した感覚ではない。 で、歌謡風のフレーズが聞こえたりして、かなりソフトタッチで歌う。オリエンタルな雰囲気もしているんだけど、口調は、シャンソンを聴いているような雰囲気だ、
フランス語で喋られているような、中間色の彩度の高くない、丸みを帯びた、抑揚の少なめの波型で、ちょっと字余り風の喋り方というか〜 そんな感じ。
2楽章に限らず、音の数は多いのだけど、サワサワした感じで聞こえてきて、庭で例えると、春先のイングリッシュ・ガーデン風かなって感じる。
コラールさんのピアノは、フレーズのなかで、アクセントのついた音と、ボショボショ喋っている音と、絡み合って1つの音型になって、それが全体的に長めで、丸いというか。柔らかく、のぼって落ちる感じ。
いろんな要素が、これまた詰まってて〜 最後には、突然変異して、硬く、氷のようになって落ちてくる旋律がある。辛くなってしまうほど痛いフレーズが、オケと絡んで、絞り出すような声で呻く。
「それでも、好きなのよ〜」と叫んでいるみたいで〜 ありゃりゃ〜 強い愛情表現なんだろうなあ。と思いながら、いつも聴くのだが、コラールさんのピアノも情感が籠もっています。切ないなあ。個人的には、 アラビアのロレンスのように、オリエンタル風に聞こえるフレーズが好きだが、いかにも旋律はフランス風にアレンジされているかのように感じる。

3楽章
ツンツンするタッチで、氷のピックを突き刺すような激しい音型が続く。
コラールさんのピアノも、冷たく変貌してて、前2楽章とは、う〜ん別人なのだ。あのソフトタッチは、どこへ行ってしまったのか。オケの方も、強めの木管の音が入ってくるし〜険しい様相になっている。
で、音の詰まった楽章で、第1楽章の主題が聞こえてくるのだが、痛々しいんだよな。
眉にシワを立てないとイケナイほど、息を殺して呻いてしまう風情だが、ただ、コラールさんのピアノは、さほどテンポが速くないことと、クールにクリアーに音が聞こえてくるので、意外と、冷静に聞ける。
わりと録音状態がクリアーなので、明晰さが感じられるし、静寂感も漂っている。

これは、ワタシ自身の感じ方なのだが、楽曲自体が、感情の変化が激しく、変わり方の激しい一面を持っており、移ろい感が、肌に合わない時があって〜 まるで猫だなあ〜 こんな人とは、つきあい切れないや。っと、感じる時がある。
それに、最後には、ミリタリー調になってくるので、はあ。格好良くで決めたいのかな。と思いつつ、あれだけ執拗で、クネクネとロマンチストぶっておいて、最後は、軍服を着て、軍靴を踏みならして終わらないとイケナイのか、よくワカラン。
高揚感を増すためだけに、ミリタリー調で締めくくろうと言うのか。ブツブツ。
女性っぽいのか、男性っぽいのか、それとも両性具有タイプなのか。
性格的にも、この情感のうねりも、曲の構成も、イマイチわからん。と言いつつ〜 聴いていると、やっぱり、のせて、煽って、劇的に演奏して、最後は終わってもらわないと、気分が悪いもので、まっ 最後ぐらいはねえ。
キッパリで良いか。(ブツブツ・・・)

って感じで、なんだかわからない楽曲なのですよねえ。
まっ 暑苦しく、シツコイ感じの演奏は、その時の気分で嫌気がさす。って感じなので、結構、サッパリ系の演奏が好きなのかもしれません。 フレーズによってコラールさんのピアノが変貌するのは、面白いデス。(なんという論法なんでしょ)

ワイセンベルク バーンスタイン フランス国立管弦楽団 1979年
Alexis Weissenberg  Leonard Bernstein
Orchestre national de France

あちゃ〜

録音状態は良い。出だしのテンポこそ遅いが、そのうちに熱をおびて、オケの濃厚な誘いに乗せられて〜 逃れたくて走っているのか、それとも? 
カップリング:
1〜3 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
4 前奏曲嬰ハ短調 作品3−2(1979年)
1楽章
冒頭、「み〜ふぁ み〜ふぁ・・・ み そふぁみ れみふぁ み ふぁ みふぁそ そそ らそふぁみ ふぁ〜」
ピアノが入ってくると、ん?遅いやん。というのが最初の印象だ。
甘いのチェロのフレーズが、 そこはかとなく、ピアノに絡んでくるが、おっとり気味の、ゆったりしていたピアノが、実は導火線が短かったらしく、火がついたように変貌し、すばしっこく走り始める。
いや〜 いきなり細かい動きが激しくなって、分散和音が奏でられていく。

第2主題になると、オケは、まったり〜 オケの粘りのある歌を、またまたピアノが影響を受けて、ゆったり感じとっていく。
ピアノもオケも、フレージングが、ロマンティックに変貌するというか、ねちっこく歌いはじめる。
絢爛なという形容詞が似合いそうな、ゴージャス感を漂わせながら、むふふ〜という含み笑いをしながら、シナを作って、思わせぶりを、辺りにまき散らして、優雅に歩いていく。

しかし、しばらくすると、ピアノは、オケとは袂を分かち、自分を取り戻したかのように、硬質でダイナミックに逞しく変貌し、カデンツァに突入していく。
そして、この変わり方は、ちょっと異常なほど。こりゃー驚きだ。
重い金属製の杭のように、打音していく様は、やっぱり凄い圧を感じる。
ガツン、ガツンというより、ガッ ガッという感じで摩擦なく入っていく様が浮かび、ある意味、爽快というか。痛快というか。呆気にとられるというか。う〜ん この変貌ぶりは、やっぱ異常ですよぉ。
フルートなどの木管入ってくると、ほっとして息がつけるが〜 ちょっと(いや〜かなり)息苦しさを感じる。
で、第1主題が再び甘いフレーズを奏でると、また変貌してくる。
ほのかに暗く、陰鬱で、メランコリックな情感が、これでもかぁ〜式に迸る。
オケなんぞ、旋律のなかで、弦が、ひぇ〜っと裏返った声を出して甘えてくるというか、すりよってきて〜
いや〜 これはキモイっ。鳥肌が立ちそうになってくる。

う〜ん やっぱりバーンスタインさんだからか、濃厚なメランコリック感情の発露で、オケ全体が、甘ったれた猫みたいだ。
すりすり感の、テレテレ、たらんたらんとした、成熟した、爛熟した、熟れて落ちそうな、腐りかけの肉のように、甘美で、エロティックで、怠惰な世紀末絵画の様相を描きだしてくる。
はあ〜っと、もう やめて〜っ、ため息をつきそうになったところで、ピアノが、ぶち切れたのか、三行半をつきつけたかのように、ダイナミックに、突き放してオトコマエに変貌していく。ひぇ〜
オケとピアノの呼吸がねえ〜 誘われたが、踏みとどまったというべきなのか。挑戦を受けて戦ったというべきなのか。
しっぽを巻いて逃げたというべきなのか。結局、性格の不一致とは思うのですが、一瞬の気の迷いはあったのでしょうか。
結局、ピアノは、どうしたかったのでしょう? (笑)

2楽章
スクリャービンも真っ青な、とても官能的な楽章に仕上がっていて、美しいというより度が超えているような。
憂鬱というより隠微な、油断していると魂を売る羽目にないそうな、そんな引きずり込まれ感のある楽章だ。
とろけてしまいそうな〜と形容する時には、とろけたい〜という期待感を含めて使うが、いや〜 この演奏は、とろけてしまうというより、危険っ、アブナイの警報が発令されるようなエリアに達している。
オケがバーンスタインさんだからこその、濃密な時間なのだろう。
1楽章の主題が顔を覗かせながら、浮かび上がったと思ったら沈んで、また、彩りを変えて進んで行く。
時間よ止まれ〜と言いたいような、永劫回帰的な祈りのような心境に。
とにかく、超濃密で、う〜ん ここまでの濃い濃度になっていると、首がまわらないよぉ〜と、少し窮屈だ。
交響曲の2番のような感じで、少し冗長的に感じてしまうものの、多少は辟易しながらも、これがオケの魅力であり、オケの白眉かもしれないと思う。・・・が、これ〜 ピアノ協奏曲だっけ。

3楽章
強烈なアタッカから始まるが、最初のスピード感はさほどでもない。
重々しい舞曲というかミリタリー調の行進曲のような跳ねる旋律が描かれていく、片足を骨折したかのようなフレーズも入ってくるし、技巧満載の楽章だ。
ワイセンベルク盤で聴くと、骨折、少なくとも怪我をしたかのような、砕けた感の悲痛な旋律のように感じられて、ちょっと痛々しい。それに、おどけた感じのユーモアセンスは感じられず、明るさ陽気さは、影も形もなく〜 暗いっ。
おちゃめ感がないのだ。
メランコリックな空気感が垂れ込め、可愛らしさは、ピアノの弱音のソロ部分のみで〜 オケが重いんやん。
しかし、ピアノは、最後にかけて、一気に火がついたように燃え上がっていく。
いきなり導火線が短く、えっ と思ったら走っているという感じで、急にテンションがあがるのねぇ〜と驚かされる。

総体的には、ピアノよりも、オケの主張が強いというか。
濃厚で、濃密な旋律美に、多少辟易させられるものの、ラフマニノフの甘くてメランコリックな音楽が聴きたいのでしょう〜 だったらぁ〜 これを聴きなさいよぉ。と、薦められるまま、その気にさせられて・・・
はめられるというか。がんじがらめにさせられて、陥落させられていくというストーリー そのままを進みそうである。

これに便乗しているのか、利用しているのか、乗っかっているだけなのか、共感し、協働で造り上げた作品なのか。
ワイセンベルクさんの、オケへのアプローチが、気持ちが、どうだったのか、その点、ちょっとわからない。
オケの濃厚な誘いに乗せられて〜 逃れたくてピアノは走っているのか、それとも? 
う〜ん どうなんでしょうねえ。
ワタシ的には、なんだか、アブナイというか、う〜ん 変なものを見ちゃったような、見てはイケナイものを覗いてしまったような〜 ちょっと困った心境かなあ。
もはや、聴き手の生理感、倫理観を問われているかのような気もするし・・・ 
挑発というか、甘い誘惑に負けそうな気もするし。う〜ん。ジコチュウな世界感で、この演奏を聴いた聴き手のことは、蚊帳の外って気もするし。
いずれにしても、夢を見るような、ふるき良き時代の絢爛豪華な演奏って感じでしょうか。

  アルゲリッチ シャイー  ベルリン放送交響楽団 1982年
Martha Argerich  Riccardo Chailly
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
(Berlin Radio Symphony Orchestra)

あちゃ〜   めがまわる〜    倒れました。

録音状態は良い。ライブ盤なので、とびっきり良いとは言いがたいけれど、昔っからの名盤。超快速ですっ飛ばして、迫力満点。 最後拍手入り
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番、チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番(80年 コンドラシン指揮バイエルン放送響)ライブ盤
アルゲリッチさんの有名なライブ盤である。
チャイコフスキー ピアノ協奏曲1番とのカップリングで売り出されて、ハイ、昔っから聴いてましたねえ。
ライブ盤特有の熱っぽさと、すごい迫力で、あっけ〜にとられて、ラフマニノフの3番って言えば、このCDだったと思います。今、聴いてみると、さほど録音は宜しくない。
でも、細部がどうのこうのと言う前に、熱いパワーに押しまくられて、呑み込まれたようになってしまうので〜 押し切られてアウトって感じでしょうか。 他盤と比較するまでもなく、超快速で、迸る情熱に燃え尽くされてしまいます。

1楽章
「み〜ふぁ み〜ふぁ み〜ふぁ み〜ふぁ み〜」
「み〜そふぁみ れみふぁ〜み 〜ふぁ みふぁそ そそ ふぁみれ みふぁ〜」
「どれみみ そふぁみ れふぁみ らそふぁみ ふぁ〜 みれど れみふぁ〜」
オーボエのフレーズと共に、ピアノが始まる。
暗い出だしなのだが、主題をまずピアノが弾き始め、そのうちに、主題はオケに移り、ピアノは伴奏に回るのだが、これが速いんである。前につんのめるようにして主題はオケに移っているっていうのに、超前のめりになって走り出す。えーっ オケがついていけないようぉ〜 もうはやくも、滑り出して行くのだ。
綺麗というより、ふわーっとしたウツウツとした情感が籠もっていくという世界より、そんな世界は横に置いておいて〜って感じで、まあピアノだけが超快速なんである。
シャイーさんも、オケも、よく合わせられるな〜って驚いてしまうのだが、オケだけ演奏するときは、ハイ、まったり〜と歌うんですけどね。ピアノだけになると、これまた超快速っ。

最初に聴く盤じゃーないと思う。あー こりゃ、最初に聴いたらマズイ盤ですね。しかし、ワタシの場合、ずーっと、このアルゲリッチ盤でしか、ラフマニノフの3番は聴いてこなかったんですよ。こんな楽曲だと、ずーっと思い込んでいた。他盤で聴くと、ピアノが遅いじゃんっ、困るなあ。って、そんな筈ないのに〜(笑)
で、このラフマニノフ3番は、良さがわからず仕舞い。難しくて目が回る楽曲だと、ずーっと思ってました。
今聴いても、セカセカしてて、賑々しく、せわしい感じで目が回る。
ワタシ的には、音がイッパイありすぎて溢れてしまい、耳に馴染まず、アタマに到達するまでに次の音が入ってきて、整理不可能〜 落ち着かない演奏って感じでしょうか。
但し、情熱的というか、迸るエネルギーが制御不能って感じで、崩壊まぎわ。 緩やかに繊細な甘いフレーズは、確かに甘いものの、その甘いフレーズ以外の場面では、音の多さと鋭いタッチで、ガツンっと入ってきており、インパクトありすぎ。
そのため、叙情性という点では、う〜ん。無いとは言わないけれど、度外視されてて、あちゃーって感じ。
呼吸の速さ、余白無しって感じで、 聴き手にとっては、切迫感があり、胸苦しさを感じるぐらい。
キラキラしているものの、有無を言わせない強い打音、迫力と押しの強さに、ちょっと引いてしまいます。

2楽章
オーボエの叙情的なフレーズから始まる。影のある、木管と弦、そこにホルンが絡んだ甘くも切ない歌謡風フレーズ。
室内楽風に奏でられ、そして、不安定な旋律が序奏として流れてくるのだが、そこにピアノが、絡むとなんとも刺激的。
「し〜らふぁ〜 みれどし〜 しそふぁ ふぁしぃ〜」と風が吹いているようなフレーズに、ガツンと崖から転がり落ちるような感じで入ってくる。
「そぉ〜〜ふぁ れ〜れ〜 みぃ〜れどれ しぃ〜 ど ら ふぁみふぁ〜・・・」
歌謡風フレーズなのだが、歌うというよりは呟きに似ており、綺麗な歌というよりは、詩人がブツブツと韻を踏んでいるような、曖昧模糊とした感じだ。
沈みがちになりつつも、浮きたい音の昇りが感じられ、音の装飾音に彩られてはいるが、もわもわ〜としており、洒脱の効いた洗練感には遠い。躁鬱を繰り返すような、浮き沈み感があり、突き抜けられずにもがいている様が、もわ〜っと、厚みのある音の層のなかで、いつまでも繰り返される。
低い音からのうねりが感覚的に、ボディーブローのように効いてくる。
粘り感も適度にあって、透明度が高くなく、音が整理されず、そのまま提示されているようで、素人が聴いていると、かなり疲れてしまう。何が言いたいのかわからないような、気分的にスカッとしない。
この2楽章は、う〜 いつ聴いても、ワタシ的には疲れる。

3楽章
2楽章から、続けて、打楽器のようなピアノタッチで、アタッカで入ってくる。
この3楽章の冒頭から、もはや手がつけられないんですけど〜 ものすごい速いっ。
機能性は、わかってるんですけどね。
チャッチャカ チャッチャカ・・・ ものすごいスピードで、「しふぁ しっふぁ しふぁしふぁ ふぁ〜」
音の濁り感があって、「みらど みら〜そ ふぁみふぁど みれみし〜 どそふぁみ〜」「みらど みら〜そ ふぁみふぁし れふぁ らどし そふぁそ・・・」と主題が顔を出そうとしているのだが、オケの厚みのなかで、なかなか顔を上げられないでいる。
そのうちに次の主題に入ってしまうし〜 これがラフマニノフ楽曲の特有さなんだろうけど、戯けた細やかな飛び跳ねる旋律になって、複雑に心情が変化する。
この主題の変化に、まず、ワタシなんかはついていけないですけどね。
ハイなっているかと思うと、すぐに、不安定な感覚に陥って〜 ちと困るんだよね。これはアブナイっ楽曲だぁ〜
ワタシに言わせると、かなり気まぐれな猫のようなモノで、どう、おつきあいしたら良いやら。(苦笑)
次に、静寂を伴ったなかで、ピアノとオケが甘く融合する場面になるが、そのうちミリタリー調に変化して、盛り上がって終わるのだが、この最後に行くまでの複雑さと、テンションの高さ。

う〜ん 熱いとしか言いようがないんですけど。
途中の甘い緩やかなフレーズは、たっぷり歌ってくれるし、まあ文句は言えません。やっぱ とろみ感も充分。オケの何とも言えない余燼のような響きのなかで、ピアノがうねる。 この甘み成分は、断片的すぎて〜 断片が、綺麗にまとまってくれたら嬉しいのに、素人にわかるような、まとまり感がねえ。イマイチなんだよなあ。
オケを置いてきぼりにして、1人世界に入って猛然とダッシュ。

最後の打楽器、スネアの入ってくるところは、ピアノもオケも相当に走っているが、この足腰の強い、べとっとした粘りがなんとも言えず。 甘いフレーズが、甘いだけに、なんとも泥臭くて、うぷぷ〜
口が泡だらけになっても、ぐわーっと、目を見開いて、一気に駆け抜けていくところは、う〜 なーんか、飛沫が飛んでて、すっきりしない。 これは、ラフマニノフさん特有の主題の提示によるモノだと思うのだが。
あー やっぱり難しい楽曲だと、アタマ抱えて再認識しちゃった。演奏は、迫力満点なんですけどねぇ。
やっぱ本心は凄い演奏だけど、スッキリしない。

で、結論! やっぱり〜  このアルゲリッチ盤は、かなりラフマニノフを聞き込んだ方しか聴いちゃダメだと思います。
これは、マニアック向けでしょう。っていうことが、他盤を何枚か聴いて、はじめてわかりましたね。 こんな無茶な演奏は、1枚目に聴いてはいけない。絶対に聴いてはいけませんっ。という感じデス。 できる限り、まずは、かっちりとした楷書体の演奏をお薦めし、独りよがりに崩した演奏は(あっ 言ってはいけないことを言ってしまった〜)4〜5枚めぐらいに購入した方がよろしいかと。 そうでないと楽曲そのものの全容が見えてこないかもしれません。
アシュケナージ ハイティンク コンセルトヘボウ 1985年
Vladimir Ashkenazy  Bernard Haitink  Royal Concertgebouw Orchestra
(Amsterdam Concertgebouw Orchestra)

切なくて泣きそう

録音状態は極めて良い。アシュケナージさんの同曲4回目の録音である。大カデンツァが、ものの見事に弾かれており、すげーっ。ピアノとオケが融合一体となった大変美しい演奏だ。現在は、ピアノ協奏曲第3番と、パガニーニの主題による変奏曲とカップリングされている盤もあるが、ワタシの所有盤は3番のみ。
1楽章
ずーっと、こんな曲だと思い込んで聴いていたアルゲリッチ盤が、草書体だとしたら、このアシュケナージ盤は、健康体、楷書体のきっちりとした演奏だと思う。
バランスが整っているというか、安心感があるというか〜
この楽曲を、ずーっと聴き続けてきた方だと、面白みのない演奏だと言っちゃうかもしれないけれど、ワタシ的には、アシュケナージさんのピアノもさることながら、主題がオケに移った時の甘くて、ほの暗さが、コンセルトヘボウの音質の良さに、つい、ほろっ。

冒頭、「み〜ふぁ み〜ふぁ み〜ふぁ み〜ふぁ み〜」と、オーボエとピアノと低弦の響きが、うまく組み合わさっているな〜というのが、最初の印象だ。メチャ素人臭い感想である。
でも、それがホンネ。で、 オケに主題が移った際、ちょっぴりテンポをあげて速くなっていくが、このテンポで、ピアノが即興的に軽やかに、ジャズを弾いているような雰囲気を放ちながら、弾き切っちゃうんだよなあ。
う〜ん。すごいっと思った。
ピアノのテクニックは、素人なのでわからないけど、オケの間にピアノの音が、パシっと、はまり込んでいる感じを受ける。
フレーズのなかで、ピアノが浮いてくるところと、沈んで背景にまわるところがあって、その影のように、オケが付いてくるというか、前景になったり、背景にまわったりするピアノの動きにあわせて、コマ送りの絵のように見えてくる。
それにしても、難しい楽曲だな〜って思う。
大カデンツァ(オッシア)は、うわぁ〜 凄い和音だっ。
これ、何個音符がついているのか、想像も出来ないのだが、主題を不自然なく浮かび上がらせてくるのは、すごい。
絶句しちゃった。

それプラス、コンセルトヘボウの音で、甘くて切なくて〜というフレーズを奏でられると、感覚的に悶えちゃう。
アシュケナージ、ハイティンク盤で聴くと、ピアノの間合いと共に、オケの息づかいと、さらっとした弦、甘くて太めの響きを持っている木管の音質感が、ものすごく綺麗に組み合わさっている。
変奏曲のように、主題が何度も形を変えて登場してくるが、木管との絡みが、綺麗に組み合わさったパーツになって、難しい楽曲を構成していくんだな〜って、ワタシの耳に届いてくる。
オーボエやクラリネット、遠くから聞こえてくるホルン等が幾重にも絡み合って、この曲の持っている立体感が、素直に、ふわっとした感覚で出てくるようだ。
もちろんピアノの間合い、息づかいも、ワタシ的には余裕を持って、受け入れられる。
音の響きが、聴いている自分の感覚に落ちていく、時間があって〜  音から伝わってくる印象が、形になって、心のなかに定着していくような感じだ。

2楽章
弱音のヴァイオリンと、透明度の高いオーボエの叙情的なフレーズから始まる。
「みぃ〜れし  しぃ〜らふぁ ふぁ〜 ら〜そ ふぁそみ み〜 ふぁ〜」
「しら そふぁしぃ〜 しぃ〜らしら〜 ふぁ ふぁ〜」「ら〜そ ふぁそみ み〜 ふぁ〜」
さらっと演奏してて、粘りは少なく、すーっと流れていって、爽やかだ。
で、この長い序奏部分が終わって、ピアノが入ってくるのだが、崖から突き落とされたような感覚だったアルゲリッチ姉さんのピアノとは違って、アシュケナージ盤で聴くと、まるでハンググライダーのように、ふわっと風に乗ってグライダーで、草原を降りていく感じになっている。
アルゲリッチ・シャイー盤で聴くと、うー ワカラン。っと唸っていた2楽章なのだが、さらりと、風のように吹かれて、見通しよく流れていく。 もわーっとしたウツウツ感がなく、適度に粘るものの、ところどころ、ピアノが音を置いて、テンポを刻んでいくので、わかりやすい。 あー こういう曲だったのか。と、憑きものが落ちた感じだ。
横の流れが強調されるフレーズが続くので、まどろっこしさを感じないでもないし、ラフマニノフ特有の音の重ねがあったり、聴きづらい箇所が多いのだが、この盤は、フレーズを伸ばさず、さほど膨らませないで、あまり甘くならない。
息づかいは自然体で、神経質でもなく、ふわっとした感覚と、キラっと煌めく音も散らばっている。
途中の3拍子のフレーズも、木管が強調されてて、アクセントもついてて、リズム感が感じられるし。

3楽章
打楽器のような、アタッカで入ってくるのだが、このピアノ、すごく煌めいてて〜美しいっ。
「シャンっ! そ〜れ そ〜れ それそれそれそれ らぁ〜みみ らっら らぁ〜み らっら」
キラキラした右手の高い音が、ん〜パパ パッパ とスパークしてくる。
いやー 綺麗だっ。ン チャチャ ン チャチャ・・・ 
小さなリズムのパーツが、機械的に入ってて、すごく快感っ。小さなピアノのグリッサンドも、メチャ美しい。
もちろんピアノの音も綺麗なのだが、オケの特に木管の繊細な彩りのある音。
そして、テンポを刻む、リズム感覚、拍感覚が、綺麗に刻まれて行くので、ものすごく推進力が綺麗に出て行く。う〜 これは、綺麗っ。格好良いっ。
オケの伴奏も恰幅良く鳴っており、小さなリズムが、大きくうねりを作り出して、熱く盛り上がっていく姿の優美なこと。足を引きづったような、ん〜チャチャというリズムが、重ねられて、段々と大きくなって行く形が、スタイリッシュだし、リズム感が、巧いっ。

で、いったん沈み込みそうな、遅めのフレーズが出てくるが、結構、速めで走っていく。
「みらど みら〜そ ふぁみふぁど みれみし〜 どそふぁみ〜」
「みらど みら〜そ ふぁみふぁし れふぁ らどし そふぁそ・・・」という、主題が顔を出してくる。
あーっ 綺麗に入ってくるなあ。
オケは、元々、芳醇で豊かな音を持っているので、オケとピアノの混在感が、大変美しい。
ピアノの強弱も、オケの強弱も、メリハリがついてて、そして、繊細さがさりげない。

すーっと、まろやかなホルンの響きを挟んで、ピアノの細かいフレーズへと続くが、オケの、特にチェロの香りの高い甘さが、残り香のように漂っている。
細かい右手のタッチが、ホント綺麗だ。木管の綺麗な音と一緒になって、みごとに融合しながら、美しさが形成されていく。う〜 いったん沈静した際に、思わず目頭が熱くなって きちゃった。
ラストは、繊細な煌めきを放ちながら、テンポアップして、熱く金管が入ってくるし、気持ち良いほどのリズム感と、合いの手を入れていく木管のスパイスの効いた音。
重みを増しながら、テンポを維持して、主題を挟みつつ、シャキシャキした音型を保っている。
で、キレのある打楽器を使って、低い音からパワーアップ。
猛烈に下っていく音と、パパ〜ん。パパ〜ん。と、音を離していく音と、溜めた音と、すごい混在型のフレーズをまとめあげて、高揚していくところは、これは、さすがっ。これは見事です。

ピアノは、もちろん綺麗だし見事なのだが、ワタシ的には、特にオケの方が、出入りが難しそうな曲だな〜って感じた。
このアシュケナージ、ハイティンク盤は、理論的というか見せ方が、巧いのかな〜
とてもわかりやすいし、聴きやすく、細かな部分まで繊細に聞こえてくる。
何度聴いても、このラフ3番は、構成がつかみきれないと思っていたのだが、この盤は、論理的で、計算された演奏かな。て思う。
現在と過去を行きつ戻りつしてて〜 淡く儚い叙情性が感じられるし、煌めき度の高いピアノと木管。
特に、この融合が、ホント見事で、美しさが際立っている演奏だと思う。
何度繰り返して聴いても、聴けば聴くほど、新鮮に感じらられて飽きないし、涙が出ちゃうほど。
う〜ん。これは良かった。トレビアン!  ホント、良い演奏を聴かせていただきました、感謝っ!

ティボーデ  アシュケナージ クリーブランド管弦楽団  1994年
Jean-Yves Thibaudet  Vladimir Ashkenazy  Cleveland Orchestra

いかさねぇ〜

録音状態は良い。録音のためなのか音が濁り気味で、ピアノの粒立ちは、あまり良く聞こえない。横には流れるのだが、縦には跳躍していかないので、大きく立体的に響かず、表情に覇気が感じられない。
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲1番(95年)、3番(94年)
1楽章
冒頭、「み〜ふぁ み〜ふぁ・・・ み そふぁみ れみふぁ み ふぁ みふぁそ そそ らそふぁみ ふぁ〜」
結構、スピード感をもって冒頭のフレーズから始まって、すぐにピアノが入ってくるが、ふわっとした響きだが、すわーっと弾かれて、意外と、あっさりめというのが最初の印象だ。
オケが主題を奏で始めると、細かなピアノが走って行く。速いっ。
で、オケの音とピアノの音が、一緒に重なってしまって、ちょっと聴き取りづらく、なんだか音が濁って聞こえてしまう。
スピードの速いところが余計に音が重なって聞こえてしまい、なんか冴えない。

録音状態なのだと思うが、どこかピントが甘いというか、奥行き感がないというか、前後の感覚がわかりづらいし、なんか違和感を感じてしまった。オケとピアノと分離されていながら、ピアノの音像が、はっきりしていないというか〜
粒立ちがよく聞こえず、せっかくのピアノの分散和音が、クリアーに聞こえてこないのだ。その点、ちょっと悲しいかも。
もっとオケが引っ込んでくれていても良いのにね〜 旋律を奏でているのはわかるが、ちょっとうるさめ。
オケがたっぷり鳴らしすぎなのか、前に出てくる感じですねえ。

テンポが緩やかになってくる場面では、うっとりする歌い方ではあるが、たっぷり気味には演奏されておらず抑え気味だ。
で、さっぱり系のフレージングで、淡泊な音の運びで、弱音は細やかさが見えるが、大きなフレーズになると、鷹揚になりすぎて、緩く聞こえてしまう。
また、スピードをあげていくと、どう言えばよいか、きっちりとした旋律の運びには聞こえず、弾き飛ばしているかのように聞こえてしまう。お喋りが過ぎるほど、旋律が次から次へと押し寄せてくるような楽章だが、それが一様に聞こえてしまって、平板な感じがしてしまった。
演奏家は、情感を抑制しているというより、情感が乗っていないのでは、聴いている方も、情感が乗っていかない。
べつに、たっぷり気味に歌うかのように演奏して、というわけではないが、淡泊系にあっさり弾いていても、どっか共感は覚えるんだけなあ。う〜ん、無表情ですね。
特に、機械的でも、無機質でも、サイボーグでもないんですけど、なーんだろ。ストイックでもないし、高揚してくるような、熱っぽさも全く感じられないというか、大人というより、素っ気なさすぎ。なんだか、たくさんの音が鳴っていますね〜って感じで、興ざめしてしまった。フレーズに全く膨らみがなく、へっ? 終わり方も何これ・・・。

2楽章
「し〜ら ふぁ〜 みれどし〜 しそふぁ ふぁしぃ〜」と、オーボエの旋律は、悲しげに歌う。
弦も美しく絡み、悲嘆にくれて涙がこぼれそうなフレーズになっている。
そこに、入ってくるピアノは、ゆったりと入って、落ちていく。
あっ この楽章は、しかっかりティボーデさんも繊細に膨らませて歌い始めてくれる。
で、ソロ部分にはいると、ジャズっぽく弾き崩していく。
決して、オーバーアクションではないが、細やかさが感じられ、呟くようなフレーズで、やわらかく沈み込んでいく。
まあ、柔軟なフレージングだというか、ジャズっぽすぎるというか、主題が形を変えていくところは、自由に変化したいという意思の表れなのだろうが、柔らかい弾き方だな〜っと思う。
ここまで来て、 弾き飛ばなのではなく、ティボーデさん特有の柔らかい弾き方というか、フレージングのふわっとした弾き方なのだろうなあ〜と思い始めたのだが、う〜ん。どこか、ワタシ的には、このワルツ風のフレージングが、ぴたっとこず、気持ちが悪いというか、いささか柔らかすぎに思えてしまった。

3楽章
目の覚めるような、キンっとした音色で、アタッカで入ってくる。
「シャンっ! そ〜れ そ〜れ それそれそれそれ らぁ〜みみ らっら らぁ〜み らっら どぉ〜そ どぉ〜そっ」
ピアノの右手の、「み〜ら み〜らっ」という部分で、硬めの煌めきのあるフレーズを期待しが、いさかさ曇っている。えっ?
音がくすんでいるというか、ピアノは、ベーゼンドルファーを使っているの?違うよね。
で、オケの方は、トランペットのパッセージだけが、異様に浮いて、スパークしてるんですけど〜 あらま。(笑)
なんだか変ですよ。縦のラインも怪しいし、う〜ん どうなんだろうなあ。音の濁った感覚が、また蘇ってきて・・・。
弾まないというか、跳躍感に乏しいというか、平板化してしまっており、横に流れるフレーズだけで、あまり高さの感じられないピアノだな〜って思ってしまいましたねえ。う〜ん。どうしてなんでしょ。
で、こぢんまりした楽曲になってしまって、あまり魅力がないんですけど・・・。

感情に乏しく、大きく羽ばたくような気配もなく、大きな説得力がないというか、どこか、楽曲に飲まれているというか、気まぐれをおこして、大きくは勝負しないというか、う〜ん。
ひとり、つぶやきに似た旋律は美しいし、アナタのそのつぶやきに共感を感じるのに、どうも、大柄なフレーズになると、気乗りがしないような感じで、リズム感が乏しく、覇気がないですねえ。
反対に、オケは頑張りすぎて〜 金管さん、ちょっとアナタ目立ちすぎ。粗くてうるさいっ。やっぱアメリカのオケだっ。
  アルカディ・ヴォロドス レヴァイン ベルリン・フィル 1999年
Arcadi Volodos James Levine Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。超テクだが、ものすご〜く歌う。
カップリング:
1〜3 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
4 チェロ・ソナタよりアンダンテ(ピアノ編曲:ヴォロドス)
5 幻想的小品集より第5番セレナーデ
6 サロン小品集より 第6番ロマンス
7 13の前奏曲より第6番
8 前奏曲
9 練習曲集「音の絵」より第6(9)番
1楽章
冒頭の序奏部分は、いたって普通に始まっているし、ピアノも普通に呼応しているし、歌い始める。
が・・・細かいフレーズで金管がバックに入ってきた頃から、速めに回転しだして〜 オケが遅れてるの?と、一瞬感じたら、もう速いっ。
えっ こんなパッセージだっけ。
ピアノが猛烈にテンションがあがっており、圧倒的に音が多くて、オケが聞こえてこないぐらいに、あれっ あれっ あれれ〜っと、思うと、耳が、もうパンクしそうなぐらいに・・・
音がイッパイ聞こえてきて〜 で、フレーズが、いったん沈む。(ほっ)
弦が、「しぃ〜どしらぁ〜 そらし〜ふぁ〜 ふぁ〜ら そふふぁ みふぁそ〜れ どれみ〜」と、甘いフレーズが聞こえてきた。はあ、オケはちゃんと生きてるんだ。

甘いフレーズは、さほどとろみがあるわけではないが、しっかりと歌ってくれるし、うっとり〜 
が、主題が変わって、重厚な和音が入ってきて、木管、パコパコしているなかを、ピアノは、なにせ細かい音をイッパイ紡ぎ出してきて、3連符のところになってくると、猛烈に泡がイッパイ、イッパイ噴出されてくる感じで、聴いているワタシの耳は、完全にパンクし、口から泡を吹き出しそうになってくる。
また、なんとも不思議な、異次元へ行くような、浮遊感さえ漂ってくるようで〜 宇宙人のようになっている。
クラリネットの音が入ってきて〜 ピアノがソロになってくると、もはや、なんか変な生き物と見ているかのようで、変な生き物の息づかいを聴いているような・・・

あっ カデンツァの部分だとわかったときには、もはや別世界・・・。
怖ろしいほどの大カデンツァで、ここはどこっ?
あー ここは地球ではありません〜的な感じで、ぶっ飛んでしまった。フルートの音が、聞こえた頃には、もはや、宇宙空間を漂う藻屑のような雰囲気となっており、ピアノは、遙か彼方の宇宙空間へと、ふわーっと浮かんでいるかのようで、無重力空間に放り出されたワタシは、ぷかぷかぷか〜
で、冒頭の「み〜ふぁ み〜ふぁ み〜ふぁ  み そふぁみ れみふぁ〜み」というフレーズが出てきて、はっ!
ようやく意識を取り戻して、戻ってきたという感じとなる。で、あっけなく終わる。

2楽章
前半は、オケの方が、オーボエを主として、シーンっとしたフレーズを、うっとりするほど、まろやかに歌う。
弦の方も、映画のワンシーンのように美しく、チェロなんぞ、身もだえしそうなほどに、ひぃ〜っと雪崩落ちるほどに、切なく歌ってくる。なんて甘美で、退廃的な〜っと言いたくなるし、で、ピアノも、それに寄り添って、「しぃ〜〜 らそふぁぁ〜」と、雪崩落ちてくるかのように美しく入ってくる。
うっとり〜 うっとり〜 ピアノのソロなんぞ、爛熟した世紀末模様のように、ムーディだし、クリムトの絵を見ているかのような気分で、むせっかえるような、甘くて、怖ろしいほどのセクシャルな雰囲気を出す。
頂点を迎え、パラパラパラ・・・・と、襞いっぱいに降りて来て、アルペジオを、歌いながらも、うねり、うねりながら、思いっきり時代錯誤じゃんという感じで、夢幻的というか、官能的すぎて〜 歌う。
ここは、別世界でしょう〜という感じで、すごーい官能的な世界が充満してきて、これは、う〜ん 大昔の映画を見ているかのような、大柄で、濃厚で、クリーミーで、真綿で首を絞められるような、倒錯したセクシャルな雰囲気が漂っている。
どひゃーん、ぐふっ!
で、弾むリズムが出てくると、あひゃーっ オケにはかまわずに、ぶっとんでいってしまうのだ。速いっ。
で、このリズムは、草書体だ。オケの部分は、いつもどおり、穏やかで甘いフレーズだし〜 ここで息を整えて〜という感じがする。
ピアノが、タララ ランっ しらふぁっ! しらふぁっ! 凄い低音で、巻き舌風に入ってくる。
信じられないような、ゴツイ勢いのある音で、まるで、2000CCの大型バイクが、エンジンを空吹かしするかのように聞こえる。エンジンの始動音のようで、ホント、びっくり。いきなり猛烈に発進して、オケも負けじと猛ダッシュ状態で、3楽章に入っていく。

もうー 圧倒されて、音の多さに音量の大きさに、発進したと思ったら、高音域のピアノは、星が瞬いているかのようで〜
目から火花が出ているというか、花火が目の前から発射されたかのような感じで、びっくりする。
で、また、エンジンのトルクのように、音が打音されていく。
ここなんか、聴いているだけなのに〜 ウズウズ ワクワク、カラダが自然に動いてきてくるし、伸びやかなフレーズになると、カラダが自然に、特に、首のあたりが、くねくね〜っと、うずいてくる。
ひゃーっ 化け物のようなトルク音が続いていくと、すっと、甘いフレーズに変わり、また、襞襞の音に変わる。
いやー 面白い 面白すぎるっ。

オケも熱い。熱すぎる〜っ すごい、小太鼓が入ってきて、ピアノの打音が熱く〜 高揚してきて〜
シンバルと大太鼓の音が入って、ドスンドスンっという、おっそろしいほどの低音が鳴り響く。
で、ピアノの大きな膨らませ方と、歌い方には、う〜ん。ナミダメになっちゃうほど、狂おしい〜っ。

ド迫力で、猛烈ダッシュ、爆音でのすっ飛ばしというところは、馬力はあるし、濁らないで、ぶっといし〜 鋭く直線的だ。
で、タメてためて〜という面では、しなやかで柔らかく、曲線的な美しい跳躍感が感じられるし、また膨らませ方も巧い。
頂点のその一歩手前の、瞬間の間合いが、なんとも、はぁ〜 狂おしいほどに巧い。
いや、超ど派手な、オーバーな演出だとは思うが、ここまでやられると〜
ベルリン・フィルですからね〜 よくやっていただきました。涙ものですよねえ。ここまでやられると・・・。
圧巻!他に言う言葉が見つからないです。
くれぐれも、手を故障されませんよう〜にと、影ながらお祈り申し上げます。ハイっ。

1976年 ヴァーシャリ アーロノヴィッチ ロンドン交響楽団  
1977年 コラール プラッソン トゥールーズ・キャピトル国立管 EMI ★★★
1978年 ホロヴィッツ オーマンディ ニューヨーク・フィル  
1979年 ワイセンベルク バーンスタイン フランス国立管弦楽団 EMI ★★★★
1982年 アルゲリッチ シャイー ベルリン放送交響楽団 Ph ★★★
1983年 コチシュ デ・ワールト サンフランシスコ交響楽団 Ph  
1985年 アシュケナージ ハイティンク コンセルトヘボウ Dec ★★★★★
1993年 ジルベルシュテイン アバド ベルリン・フィル  
1994年 ティボーデ  アシュケナージ クリーブランド管弦楽団 Dec ★★★
1995年 アンスネス ベルグルンド オスロ・フィル EMI  
1999年 ヴィロドス レヴァイン ベルリン・フィル SC ★★★★★
2002年 プレトニョフ ロストロポーヴィチ  ロシア国立交響楽団  
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