「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調
Ravel: Piano Concerto in G major


ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調(作品83)は、1931年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

第1楽章 2/2拍子 ト長調 ソナタ形式
ピシャという鞭の音で始まり、ピアノ奏でる複調のアルペッジョに乗って、ピッコロがバスク風の第1主題を奏でます。
ピアノが、ロ短調の第2主題を奏で、提示部では、さらに3つの主題が現れ、展開部、再現部と進みます。
型通りのソナタ形式ではなく、特に、再現部末尾において、ピアノのカデンツァに先立ち、ハープ・木管楽器によるカデンツァが挿入されています。リズミカルでユーモラスなイメージが続き、ブルーノートの使用やトロンボーンのグリッサンド、 トランペットのフラッタータンギングなどにジャズの影響がうかがえるものです。

第2楽章 3/4拍子 ホ長調 叙情的なサラバンド風の楽章
冒頭のピアノ独奏は、全108小節の3分の1弱にあたる33小節間あります。旋律は3/4拍子ですが、楽章の終止まで常に続けられる伴奏は6/8拍子のように書かれています。
長いピアノのソロのあと、弦の和声にのってフルート、オーボエ、クラリネットが途切れずに旋律を歌い、コーラングレのソロが、最初の主題を再現します。ピアノとコーラングレと対話し、短2度や長7度の不協和音を奏でる弦が、感傷的なものにします。 コーラングレのソロが終わった後、木管楽器が旋律を受け継ぎ、ピアノのトリルで儚げに終わるものです。

第3楽章 2/2拍子 ト長調
ドラムロールに乗って、トランペットなどの金管楽器が特徴的なリズムを刻みます。諧謔さを持ち、活力にあふれた動的な楽章で、ピアノはトッカータ風で、半音階を左右のオクターヴにずらしたりしています。
冒頭のリズムのほか、甲高い変ホ調クラリネットによる第1の主題、平行和音による第2の主題、6/8拍子の行進曲風の第3の主題が、展開されており、巧みなオーケストレーションにより、華やかなリズムによって曲を締めるもの。

ラヴェルには2曲のピアノ協奏曲がありますが、このト長調は1929年に着手されています。続いて、左手のためのピアノ協奏曲が、ほぼ同時進行で書かれていますが、先に、左手〜が完成しています。
左手は重厚で、ト長調は陽気で華やかな印象を受けます。性格の異なるものを同時に書いていたのは、驚きですが〜 初演当時より人気を博して受け入れられたようです。
約20分の曲ですが、とても斬新で、いつも聴いても新鮮で、活き活き〜 ワクワク〜 元気になる楽曲です。

ミケランジェリ エットーレ・グラチス フィルハーモニア管弦楽団 1957年
Arturo Benedetti Michelangeli    Ettore Gracis 
The Philharmonia Orchestra

 ←ピアノ  ←オケ

録音状態は良い。ピアノは綺麗なのだが、オケがジャズの雰囲気を醸し出せておらず、精緻さに?マークがつく。リマスタリング盤 
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第4番
1楽章
シャンっ!となるムチの音から始まるが、なんともか細い。
えぇぇ〜、もっと気合いを入れて、ぴしっと豪快に鳴らさんかいっ。
「らみみっ ふぁっそみそっ みれそ〜みふぁっみっ・・・」と、ピッコロが続くところは、う〜ん。テンポが、ちょっと遅めで、リズムに乗れきれないところがある。
おっかなびっくり状態では、この軽快で、不可思議な楽しいリズムは作れない。
もうちょっと、頑張ってくれ〜っ。それこそ、ムチを入れたい気分になる。
で、ピアノは、綺麗だっ。めちゃんこ輝いていて、ひんやり〜とした輝きを放っている。うっふふふ。 
ちゃらら〜っと弾かれていて、う〜ん。文句なしに巧いっ。
トランペット 「らみみっ ふぁっそみそっ みれそ〜 らそみ ふぁっみ・・・」
「ぱっぱ ぱっ ぱっぱ ぱっぱ ぱっぱっぱ ぱっぱ ぱっぱ・・・」 
「そらど そらど〜」← ホントは、もっと不可思議な音だが、この3音のぱらら〜ん。と弾いたあとの、まったりした、「どぉし〜どれどぉ〜」  この場所は、ジャズの要素が、たんまり入っているところだ。
で、続いて、「れ〜み しらそぉ〜 れ〜みしらそぉ〜」と粘ってフレーズを吹くところがあるのだが、これが、ジャズの要素がわかってないらしく、メトロノーム式に奏でられてしまってて、単に、「れみしらそ〜っ」と下ってきている。
え〜っ。どーすんのさっ。こんな単調にしてしまって。あちゃちゃ〜(頭を抱えてしまう)
この盤は、ミケランジェリのピアノは綺麗だが、オケは下手だと言われている。う〜ん。まさしくっ。と言わざるを得ない。これじゃ〜ダメっしょ。
この盤は、う〜ん。オケより、ずーっと、ミケランジェリのピアノを追いかけていく方が正解だと思う。
オケに、この楽曲に、ジャズの要素を求めるのは無理なのだ。何度か、このフレーズが出てくるのだが。
う〜ん、みんなダメでした。ジャズを知らなかった。知っていたが、メトロノーム式に奏でた。う〜ん。どちらかは不明だが、期待するジャズ的要素は入っていない。

2楽章
この楽章は、ピアノソロが多い。で、ミケランジェリの煌めく、氷の世界が待っている。
ジャン=フィリップ・コラール盤では、腰の細い女が、後ろ向きで煙草でもふかしているかのような、気怠い雰囲気を感じたのだが、ミケランジェリ盤では、気怠いというのではなく、ひや〜っとした空気感がある。
物憂げに、考えているような考えていないような、虚ろな目をした女が座っているような気分だ。
フルートの音も、つーっっと聞こえており、抑揚が少なく細く、あまり響かない音である。
オーボエも、同質で乾燥した音で、甘くないんだなあ。
ピアノは、冷たさから、ちょっと動きが見えて、暖かさを帯びてくるのに〜 いつまでも、木管たちは、感情のこもらない、ひ〜んやり冷たい〜 空気のままで、そのまま行ききってしまうのだ。
なんとも、北極圏状態のフルートとオーボエというか、無味乾燥というか、これじゃ なーんとも言えんわ。
すれ違い風情である。
まっ これは、これで雰囲気としてハッキリ出ているので、あっそっ。そうくるかぁ〜という気分に。

3楽章
「らっら ふぁ らっ! ドンっ」
3楽章は、ミケランジェリさんのピアノの回転度数がメチャ高いっ。火が噴いているっ。
で、オケが、ついていけないっ・・・ 「らっら ふぁ らっ! ドンっ」
「れどしっ れどしっ れどしっ みっ ふぁっ・・・」← ピアノで、ゴジラのテーマ
オケは、ゴジラが酔って足元がふらついた感じで、木管と金管がバラバラになりかけている。
おそらくピアノのテンポが速すぎて〜 おぼつかないのだと思う。
旋律に精緻さがなくなってしまって。やばいっ。
「どどっ らぁぱぁ どぉん! パシっ。」 ムチがしなる。
軍隊調に聞こえるフレーズとか、う〜ん。やっぱ、オケが崩壊しそうで、、、あらま。
オケには気の毒だが、まあ。こうなっちゃったからには、ピアノ主体で聴きましょう。
ゴジラ風味は、ちょっとパワーが落ちているが、それでも、聞こえてくるので、まっ それで楽しめるけど。
ミケランジェリさんのピアノは、何かが憑依したようで〜 ますます快速に聞こえてくるのに対して、オケが、なーんとも。
もっとグレードの高いオケと録音してくれりゃ〜良かったのになあ。
「どしら どしら どしどれみっ。」 で、最後、ピアノのトリルが、頑張りましょう〜 頑張りましょう〜っ、と言っているようにフレーズが弾んで、終わりっ。

結構、昔から評価の高い盤だと思うし、今でも廃盤にならずに出ている。 ミケランジェリさんのピアノは、聴きどころが多いし、ホント綺麗だと思う。 録音状態もリマスタリングされていて、良い状態で聴くことができて、ホント嬉しい限りである。
だが、オケが、ジャズの風味を取り込めていないこと。崩壊気味になっていることを考えると、う〜ん。がっくし〜っ である。

フランソワ クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 1959年
Samson François
André Cluytens
Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire



録音状態は、59年にしては良い方だと思う。昔からの名盤中の名盤。懐かしい白黒映画を見ているようで雰囲気あり。
カップリング:ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲、夜のガスパール(水の精、絞首台、スカルボ)
1楽章
昔っから、これぞ名盤という誉れの高い盤で、フランソワとクリュイタンスっていう組み合わせ、サイコウ〜という評価を受けている。
こうこう、これじゃないと、フランス音楽じゃない。って感じの評論家の先生のコメントが多かったし、いつまでも、最高の評価で、ランキング1位って感じだった。
新譜が出たって、みんなことごとく、アウチ!
で、う〜ん。久しぶりに改めて聴いたが、さすがに録音は古い。これステレオ録音だと言うが、あまりバランスがよろしくない。でも、古いけれど、そこから出てくる音は、やっぱり自由奔放で煌びやかだし、雰囲気があるのだ。
録音状態は、少しカサカサめで、ヌケは良くない。パンっ という冒頭のムチがしなる音も小さいし、ピッコロの鳴り方も、もう少し聞こえて欲しいし、オケの奥で鳴っている管が遠い。
途中、ピアノのゴロゴロしてて、響く弦が、ビンビン機械っぽく響くところも見受けられて、イマイチだ。
テンポは、前につんのめてて、アンサンブルも今聴くと、ちょっと危うい。
でも〜 この楽曲自体が、くだけているのが洒脱と解され、自由闊達で、飛び跳ねていないと面白くないわけで。危なっかしいのが、また面白いのかもしれない。
途中のグリッサンドには、私的には、文句があって〜 タメがなあ〜
「れ〜みしらそぉ〜」というフレーズが流れるところが、「れぇ〜みしらそぉ」 じゃなくって、「れみしらそ〜」に、なっている。はあ? このフレーズが、サッパリ、キッパリと、「レミソラソ」と流れると、がっかりしちゃうのだ。うぎゃーっ。 なんじゃっこれ。ミケランジェリ盤も、同じだったんだけど・・・ この当時は、これが流行の演奏スタイルだったのぉ?

そのくせ、ピアノは、ほぉ。やっぱ独特って感じのタメがある。
テンポが落ちた時の、フランソワさんのピアノは、煙草臭い部屋で、もわ〜っと弾いている感じがするし、「ソソソソソ・・・」とテンポアップするところの立ち上がりは、確かに素早い。まっ、単細胞なので、「らそみ らそみ らそ そふぁみっ」 ってリズムは、快適だけど、「たぁ〜ら らららぁ〜」じゃないのは、やっぱり私的には気にくわねぇー。ってわけです。
グリッサンドの要素が、どうして淡泊なのかはワカラナイけど。
全体的なテンポの揺れは、船酔い気分にもさせられるが、遅いところが、特に、まーったりしてて、これがこのフランソワ盤の良さなんだろうな〜と思う。
スマートな演奏をする盤は、他にあるから・・・。

2楽章
この盤の白眉だと思う。ピアノの物悲しいけど沈み込まない音色。
シンプルな音型が並んでいるんだけど、左手の音色が柔らかさと、強く響かない、もわっとした音の響き、そして、音と音の間合いに、つい引きこまれる。
この間合い〜 そして、ふわっとした空気感と、ぼんやり感が、良いんだなあ。これが、名盤と言われている所以かしらん。ノスタルジックで、白黒映画の持っている、なんとも穏やかで、落ち着いた風合いというか、セピア色というか。
むかし〜って感じの匂いがする。おじいちゃんが座っていた、おばあちゃんが使っていた椅子が、ぽこんと狭い部屋に、いつまでも置いてあるような。今でもレコードがかかっているような喫茶店というか、昔ながらのカフェバー的雰囲気が漂っているのだ。
で、フルートやコーラングレの音色が、また抜群に雰囲気を醸し出してくる。
ピアノ協奏曲というより、室内楽的なんですけど、ピアノに絡むソロの音色が、すごいっす。
で、高音域のピアノの音も、よいっす。星空みたいで〜
あー やっぱ、2楽章ですねえ。名盤と呼ばれるゆえんは、ここですわ。ハイ、やられました。

3楽章
この楽章は、別名ゴジラ。
快速バージョンの盤が多いし、スマートに、バッチリ、アンサンブルを決めてくる盤が多いので、今となっては、遅いです・・・。まっ 名盤です〜という扱いなので、聴いてますけど。
もし、評判も知らず、これだけ今聴くと、う〜ん。アマオケ風に聞こえちゃうかも。
でも、金管の短いパッセージや、木管の鋭い響きが入ってくるところとか、蛇使いのようなグリッサンド風の演奏を聴いていると、59年当時としては、すごいテクだったのだろうと思うし、面白いです。

デジタルではなく、アナログ時代の懐かしさ、機械的じゃ〜ない手作り感のある音楽づくり、楽曲づくりが、垣間見られて嬉しいし、おもちゃ箱のような、はちゃけた楽曲を手作りしている雰囲気が残っています。今のガシガシにあわせたアンサンブルで、 懸命に駆け抜けていくオケを聴いているばかりだと、ある意味、演奏家の大変さがワカランのですけど。
なんか、ホント、手作り感があって、ある意味、別格扱いで嬉しかったデス。テンションも高いですし。
フランソワさんのピアノ協奏曲っていうより、オケのみなさんも含めて〜 合奏曲風で楽しめちゃいます。
ミケランジェリ盤と、フランソワ盤・・・ う〜ん。音としてはミケランジェリ、雰囲気としてはフランソワ。
えっ 短絡すぎてますかね。でも、甲乙つけられないし、楽曲自体が大好きだし、どっちの盤も好きなので、私は、手元に残しています。

もし初めて、ラヴェルのピアノ協奏曲を聴こうというのであれば、やっぱり今時の新しく出ている盤をお薦めします。
そうですね〜 あえて例えると、懐かしいクラシック映画 そうだなあ。アカデミー賞特集映画を見ているような感じでしょうか。で、教養の1つではないかと思います。例えば、 映画が好きなら、「風と共に去りぬ」とか「アラビアのロレンス」とか、最低限、知ってないと〜という感じでしょ。名画ならぬ名盤なのです。
演奏作品の1つとして、これからも残って欲しい盤だと、そう感じます。

コラール マゼール フランス国立管弦楽団 1979年
Jean-Philippe Collard
Lorin Maazel
Orchestre national de France



録音状態は良い。煌びやかで楽しい演奏で、リズムも硬めで、速くキビキビしている。
カップリング:ラヴェル 左手のための協奏曲、亡き王女のためのパヴァーヌ、水の戯れ、ラ・ヴァルス(ピアノ:ベロフ)
1楽章
チャンっ!となるムチの音から始まる。
「らみみっ ふぁっそみそっ みれそ〜みふぁっみっ・・・」とピッコロが続く。
ちゃらら〜っとピアノが鳴っているが、主には「っパっパっ」という、ピッコロと打楽器の軽快なリズムで彩られている。
メッチャ楽しい楽曲で、おもちゃ箱を覗いているような気分である。
トランペットが、冒頭のピッコロの主題 「らみみっ ふぁっそみそっ みれそ〜みふぁっみっ〜 みふぁみ どっど どしどれ・・・」と細かく吹いてくる。このフレーズを支えている打楽器のリズム。ふふっ これが面白い。
でも、このリズムどこから来ているのやら。
パッパ パパパ パっパパ・・・(← 打楽器演奏者じゃーないので、リズムが取れないっ。泣)

ピアノ協奏曲とは言うが、「ぱらら〜 ぱらら〜 れどれみれ〜と、鳴っているだけでオケに埋没している。
そのうちに、ジャズのフレーズ「れ〜み しらそぉ〜 れ〜みしらそぉ〜」という木管と金管の合いの手が入ってくるし、それに気を取られてしまうが、ピアノは、「ンチャチャ・・・」としか弾いていないし、鼻声の「し〜し〜 みれ〜どれし〜」と鳴いているだけ。
まあ。オケが静まると、断片的に抒情的なフレーズをピアノは弾いてくるのだが、断片的。
主なフレーズは、ホルンと打楽器である。「ふぁそ〜ら ど〜れふぁ〜 れどれどら〜しどれ〜ふぁそぉ〜」
まるで、パッチワークのように繋がれていて、難しい楽曲だが、メっチャ楽しいのだ。
ぱらぱらした音のなかで、強めの「どぉ ふぁぁ〜ど しらしぃ〜」が流れてくると、ふむ。ジャズじゃ。
聞こえないぐらいの弱音のなかで、再び、「どぉ ふぁ〜ど しらしぃ〜 ふぁ〜そ れどしぃ〜」
一瞬なので、ひゅーっとした音と弦の音とか、ピアノの音とか、イッパイ詰まっているのだが、聞き取れない。 
「ふぁぉ〜ん。」と最後で鳴ってくる金管は、何なのだろう。
サクソファンみたいなのだが、コーラングレかもしれないし。よくワカラナイなあ。
コラールさんのピアノは、ピアノは、ジャズ風のフレーズを、飛び跳ねるように、粘っこく、左手のドシンっとした強打もよく響いているし、明るくて、暗くて〜 粒も立っているし、風のように揺らめいたり、色彩豊かな響きになっている。
ほどよい音色で、派手でもないし、埋没するほど渋くないし。私的には好きだ。
「みふぁ〜らし どみふぁ どみふぁ ら〜ふぁみふぁみ らしど〜 れ〜みふぁ ら〜 パラララ・・・」
低い音から 「どっどどっ どっどどっ タっタタタ タタタタ・・・パララ パララ・・・」
めちゃ速いトルクのような音が立ち上がってきて、金管、木管のパッセージと絡んで、「れれれししら〜」と駆け抜け、段々と2拍子のリズムで高揚していく。
冒頭のピッコロ主題が絡んで、「らしどれ ふぁそしれ・・・」とのぼって、最後、「ららっ れそふぁ みれどっ」とオチが着く。ハハハ〜 こりゃメチャ楽しい。

2楽章
前楽章とは別人のように、「どふぁふぁ・・・ ら〜し ら〜そ〜ふぁ どぉ〜しどれ〜ど れ〜ど」
ブンチャチャのリズムではあるが、憂いがイッパイの2楽章になっている。
コラール盤で聴くと、まるで、酔いつぶれた後の気だるさのようで・・・。あれだけ遊んだんだから疲れたのか、気抜けしちゃったのか、気怠く、脱力感ある楽章になっている。
おいおいっ これは二日酔いで頭が痛いのか。飲み過ぎて後悔しちゃってるのか。う〜ん。
この楽章は、まるで、気怠いフランス映画を見ているかのよう。
シーツがくしゃくしゃになったベットのうえで、後ろ姿の腰の細い若い裸婦が、煙草を吸って、ぼや〜っとしている映像が浮かんできちゃう。
薄暗い光のなかでの、ソフトフォーカスだなあ。このピアノの気だるさは、たまらんねえ。
朝だというのに、カーテンを引いて朝寝するなよぉ。と言いたいんだけど。朝方に寝たんでしょう。
照明さん、もっとライトをあてて〜と叫びたくなるが、まあ。これぐらいの照明で良いんだろうと思う。
ちょっとは、光が射し込んくるかのように、ピアノも硬く弾くようになってくるのだが、それでも、すぐに沈没。
このアンニュイさが、たまらんねえ。それにしても煙いなあ。
もや〜っとしているし。よくワカラン音が、フレーズに関係なく鳴るし、どよ〜ん。ぼよよ〜ん。
フルートが、「れぇ〜〜 ど〜れ ふぁ〜そら ふぁみふぁ〜 らしど〜」
「み〜ど〜 しれ〜どし〜そ れ〜らどみらし〜 らみれみ しそ みふぁそみ〜れ み〜」
弦が、なんとなーく旋律を描くのだが、ピアノは、あさって向いて、違う音が鳴らせながら、高揚してくる。
オーボエが、「らしぃ〜〜ら そ〜ふぁ〜どぉ〜 しどれど〜」
「ど〜れど ら〜そふぁそぉ〜 そ〜らどら そみみ〜ふぁみれ ふぁそしれ〜・・・」
この奥で、ピアノが、「しみれみ どみしそ ふぁどしど・・・」← 半音イッパイ。
フルートが、この煙い空気を一掃してくれるのだが、それでも、まったり感は収まらず、背中をくねらせた女は、まだ目覚めない感じだ。
主題は、木管となっており、バックをピアノが務めている。

3楽章
「らっら ふぁ らっ! ドンっ」
前楽章から時間が経過して、今度は夜の遊びの時間になる。うちゃ〜 頑張るじょ。
まるで、夜の繁華街を歩いているかのような洒落た時間帯になっている。ワクワクしているかのような、ピアノが、パラパラパラ・・・鳴ってくる。
どこを、ほっつきあるいているのか、挑発するような、夜のお誘いの声のように、クラリネットが鳴っている。
「らっら ふぁ らっ! ドンっ」
「れどしっ れどしっ れどしっ みっ ふぁっ・・・」← ピアノで、ゴジラのテーマ
「どどっ らぁぱぁ どぉん! パシっ。」 ムチがしなる。
トランペットで、「そそみし そそみし れれそれ」と、こうるさい女の声が入るし。ぎぇ〜まるで娼婦のような気分だ。あのムチは、SMの世界なのかぁ? 
それにしても、喧しい、パラパラパラパラ・・・と、よく喋る声だなあと、ピアノの音が女の声に聞こえる。
トロンボーンとファゴットの声だと思うが、奥の方から重い声 「れどしっ れどしっ」
低弦のうえに、高い「れみふぁみっ れみふぁみっ」という。甲高い声。
ピアノは、その内に、子供ゴジラのように「らそふぁ らそふぁっ」と、高い声で奏でる。
まっ この「らそふぁ らそふぁっ」のリズムで、終わってしまうんですけどね。
木管群が、巧いです。もちろんピアノも・・・(付け足しのようですが)

私的には、コラール+マゼール盤で、夜のオチャラケシーンと、気怠い朝と、また夜の繁華街をイメージしちゃったが、この楽曲、誰の演奏でも楽しめちゃうと思う。マゼールが振っているオケで、これだけ、気怠い2楽章を聴けるとは、ちょっと嬉しい感じで、 期待以上の演奏です。
コラールさんのピアノは、キビキビしてて、若くて新鮮な粒立ち感があるが、それにしても、両端は洒落た夜のお遊びモードで、中はなんとも不思議な、むふふっ〜感のある楽章の演奏だったと思います。

パスカル・ロジェ デュトワ モントリオール交響楽団 1982年
Pascal Rogé  Charles Dutoit
Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)



録音状態は良い。キラキラした音、淡い乳白色系の光が感じられて〜 とっても素敵だ。
カップリング:
1〜3 ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調
4 古風なメヌエット
5 ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲
6 海原の小舟
7 バレエ音楽 ジャンヌの扇 〜ファンファーレ〜 

1楽章
ムチのしなり具合も良く、テンポは速めで、木管もクリアでチャーミングな音で、ピアノは、とっても綺麗なグリッサンドが聞こえてくる。
ちょっと、録音は遠めなのかもしれないが、それぞれの音は綺麗に収録されている。
一瞬、ん? 和音の音間違ってない?と、怪しげな感じがしたが、音色のカラフルさ、音の立っていく感じ、広がり感は、とても気持ちの良いもので、ジャズの要素も感じられるし、キラキラしてて、オケも、音の1粒1粒が、とっても綺麗だ。
「たぁ〜ら らららぁ〜」と、落ちてくるフレーズや、「どしら どしら れしら れしら・・・」と繰り返す部分など、さっぱりしているのだが、速めに行こうという推進力もあるし、テンポも良いし、オケの金管の音質もカラフルだし、ユーモアもあるし、 ツボが押さえられていて、巧いと思う。
でも、ところどころ、オケとピアノの縦の線が合っていないような気がするのだ。速いところは、呼吸がイマイチ合ってない感じがするのと、もう少し、パンチが効いて欲しいかな〜 もう少し、粘りが欲しいかな。と、ないものねだりをしたくなる。
速いパッセージの部分よりも、ゆったりした場面での美しさは、絶品っ。

2楽章
この楽章は、さすがに磨き抜かれた感じがする。
ゆったり〜 ふわっと、まどろみ感のある雰囲気が、とっても素晴らしい。
少し内省的で、控えめな音で、ピアノは淡々と演奏しているように思うのだが、音の流れは弛緩しないし、左手の伴奏の柔らかい響きのなかで、揺りかごのなかで、まどろんでいる感じがする。
また、フルートが入ってきたところのオケが、すごい。
音の柔らかさと広がりによって、いっきに解き放たれ、別の夢幻の世界へと誘われるようだ。時間を忘れるかのような雰囲気があり、また、閉じられた世界なのだが、そこで無限大に広がっていくような、パラドックスが起こる。
ロジェさんのピアノも素敵だが、ここでは、やっぱり、オケの木管が聴かせてくれる。
息の長い、安定した音の流れ、ぶれることのない音質、そして、乳白色色の淡い光が射し込んでくるかのような美しい世界を描ききっており、う〜ん。とっても素晴らしい。素敵だ。

3楽章
もちろん、超快速な演奏なのだが、オケが巧い。
ピアノも猛烈に速く弾かれていくし、軽妙で、明るく、ホントに色彩豊かな演奏だと思う。色彩豊かだといっても、もちろん、極彩色系でなく、淡いけれど、キラキラしたところが、とても素敵なのだ。
まるで、万華鏡を覗いているかのような、ワクワクした音の色が感じられる。
ピアノの和音も混濁せずに、クリアーに聞こえてくるし、ピアノと木管のセッションが、見えるかのように聞こえてくる。
愉悦性も感じられるが、セッションに集中した感じで、この楽章は、ぴたっと決まってて気持ちが良い。
テンポをあげて、ぐわーっと、燃え立つような演奏ではないので、意外とあっさり、さらっと行かれちゃったという感じがするのだが、細部にこだわった感じがする。
もちろん、速めの演奏なので、だれるわけではない。
でもね、そう、勢いだけで行きました。テンションは、マックス〜です。というものではなく、磨き抜かれた綺麗さ、キラキラした音が詰め合わされているような感じがするのだ。
で、何度も聞き返すと、結構、これが耳のご馳走である。ゴールに向けて、突進するようなライブ演奏は、他盤でどうぞ。
オケの音色、緻密さで勝負って感じだろうか。とても素敵な1枚である。
  アルゲリッチ アバド ロンドン交響楽団 1984年
Martha Argerich    Claudio Abbado London Symphony Orchestra

  

録音状態は良い。
カップリング:
1〜3 ラヴェル ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調
4 ラヴェル 左手のための協奏曲(ピアノ:ベロフ 1987年)
5 ラヴェル バレエ音楽「ジャンヌの扇〜ファンファーレ〜」
6 ラヴェル 古風なメヌエット
7〜10 ラヴェル クープランの墓(管弦楽版)

アルゲリッチさんのラヴェルのピアノ協奏曲ト長調の録音は、3つある。
1967年録音 アバド ベルリン・フィル
1984年録音 アバド ロンドン交響楽団
1997年録音 デュトワ モントリオール交響楽団(ライブ盤)

で、この3枚のCDのうち、どれが良いとは、なかなか言いづらい。カップリングの違いもあるし・・・。
私的には84年のこの録音が気に入っており、愛聴盤ではあるのだが、妙に落ち着いた演奏である。
録音状態が良く、テンションは、わりと高いもののリアル感が露骨に出ていない。
すっかり、これに聞き馴染んでしまったというのが本当のところなのだが、だが、聞き比べると〜
ランクが落ちちゃうんだよなあ。もっとくだけて、エキサイティングでも良いのに。と感じてしまう。

1楽章
冒頭のムチの鳴り方は、パンっと勢いも良いし、よく残響もとらえている。
ピッコロとピアノの響きもよろしく〜 ピアノのかき鳴らすグリッサンドも速いっ。
金管の「れみみっ れそしれみ れみそ〜ら らっそ」も決まっている。アンサンブルが抜群だし、音の華やかさもあって、「れーみしらそ」というオチャラケ風のフレーズは、う〜ん。タメがないのが残念なのだけど。
まっ 仕方ないか。ジャズ的かと言われたら、さほどではないが、でも、手堅いんだよね。
オチャラケ風というか、くだけた洒落た風味や、スパイス的な要素は、さほど感じないのだけど、もちろん運動機能性は抜群だし、他を寄せ付けないし、自由度も高くて、多彩なのだ。
でも、面白いか?と言われちゃったら、う〜ん。どうでしょ。
フランソワ盤とかミケランジェリ盤を聴いた後だと、模範的というか、硬いかも。って感じちゃうと思う。
確かに、メチャうまだし、アルゲリッチさんのピアノって、やっぱ、すげーっ切れ味が凄いし、パワフルだし、粒立ちだって、メチャキラしているし、エキセントリックに奏でるし、スポーティだし、き〜っと高みにのぼって、昇天しちゃうところがある。
だけど、この楽曲は、オケの持っている風合いによって、かなり変わるんじゃーないかと思うのだ。ピアノ協奏曲なんだけど、ピアノだけの力ではダメなんだと思う。
もちろん、もともと、ピアノで制御できるんじゃな いんだけど、他の楽曲より遙かに、オケの持っている色彩感、テンポの設定や歌い方に左右されるように思う。また、オケのソロの巧さも、これ大きい。で、指揮者のDNA や手腕に拠るところが、ずいぶん大きいって感じがするのだ。

2楽章
やっぱ綺麗なんですけど〜 どことなく雰囲気が、なんか欠けているっていうか。
オケのソロ部分が、ご遠慮ぎみなのかなあ。深い音色は、たっぷり、まったり気味に鳴っているんですけど。退廃的って感じもあってよさげですけど。健康的っつか。もちろんピアノは綺麗です。
リリックな感じはするんだけど、小作品的な雰囲気を持つ楽章なので、もっと違っていても良いのかな。
私的には、幾分、退廃的な要素が欲しいかな。って思っちゃったが、そんな要素は少なめ。
いたって健康的で、純粋に音が美しく鳴っている。

3楽章
ハイ、ここは、やっぱ機能的で、メチャ快速なので、むふふ〜っ。完璧っ。
「らっら ふぁ らっ! ドンっ」
ゴジラのフレーズが、フーガのように鳴っており、楽しいし音も良いし、金管の吹き方も、たぁらぁ〜オチャメに決まっている。ピアノも力強いし、煌びやかだし、「どどっ らぁぱぁ どぉん! パシっ。」 ムチも良く聞こえて、力強くなっているし。 いひひ〜っ良いじゃん。
この楽章は、特に、金管が良くなきゃ〜文句を言いたくなるところだし、木管も強く吹いてくれないと、メリハリがつかないのだが、さすがに歯切れも良いし、テンションも高い・・・。
オケの煌びやかさと、強さ、これも面白い要素が多々詰まっている。
それにしても、テンポが手堅いっ。崩さないなあーっ。
健康的アバドに彩られて、手綱が絞られてしまったかも。う〜ん。ビート感はさすがにあるし、アンサンブルもみごとだし、オケ軍団も文句は言えないほど巧いんだけど、う〜ん。
イマイチ、なーんか足らない。ラテン的な開放感が、ちょっぴり足らないって感じがしちゃう。構造的というか、がっしり固めちゃった感は良いんだけど、そこを突き抜けて行ってくれない不満が残る。
1回目は良いんだけど、2回、3回、そして、他の盤と聞き比べちゃうと、段々とランクが下がってしまうような。そんな感じがする。なんか妙に落ち着いちゃって、手堅くまとまって、スリリングなところが、ちょっぴり足らないのかな〜って思うのだが、 演奏自体は、やっぱ完成度が高い。
もっと楽しい楽曲の筈だとは思うが、大人の演奏というか、CDで繰り返して聴く分には良いし〜。
まっ くだけた演奏というか、フランスの香りって言うスパイスや雰囲気は、他の盤 例えばフランソワ盤の方が、やっぱ良いのだと思う。何度も聴くと、もっと〜もっと〜と欲が出ちゃうもので、、、スミマセン。
聴き手のワタシの勝手な言い分なのであります。(苦笑)

ロルティ フリューベック・デ・ブルゴス ロンドン交響楽団   1989年
Louis Lortie  Rafael Frühbeck de Burgos
London Symphony Orchestra 



録音状態は良い。全体的に柔らかく、気怠さが残る演奏で、スピード感やエキサイト感は少ない。
カップリング:ラヴェル 左手のための協奏曲ニ長調、フォーレ「バラード嬰ヘ長調」
1楽章
シャンっ!となるムチのような音から始まるが、ちょっとテンポが遅め。
で、「らみみっ ふぁっそみそっ みれそ〜みふぁっみっ・・・」とピッコロが続き、ちゃらら〜っとピアノが 入ってくる。色彩的にはカラフルな傾向にあるけれど、柔らかく響いて、ちょっぴりテンポは遅め。
エキセントリックなほど、追いつめていくという雰囲気ではない。ロルティさんのピアノも、ソフトタッチで、しなやかだ。しなやか過ぎるかなあ。
指でかき鳴らすグリッサンドは、とても綺麗だけど〜 
タッチがソフトすぎるのか、「ん チャララっら らら ららら〜」という独特のリズム感が、活き活きしていないような気がする。
オケの「れーみしらそ〜」というジャズ要素のフレーズも、1回目はタメが少なめ。
ただ、猛烈に、気怠い感じが、1楽章から始まっている。
そのギャップを生かしてくれる、おもちゃ箱をひっくり返したような遊び心は、オケにキレが無く、豪快さや豪華さが欠けているので、全体的に面白さが少ない。
私的には、もっと伸びやかに、ハチャメチャ風にして・・・欲しいかなあ。
ロルティさんのピアノは、快速のテンポで弾き進めていくところでは、オケが、ちょっぴり付いていけない感じがする。オケの切れ味がイマイチ。そうかと言えば、ピアノが遅く〜 たゆとう〜としているところで、間が持たない感じもするし。 なんだか、オケとピアノの呼吸、全体的なテンポ設定が難しそうだ。
ロルティさんの右手の細やかな音は綺麗だが、打ち込みの強さをあまり感じないので、この楽曲の面白いリズムが、生かされていないかもしれない。
あー もったいない。あ〜 これでは、ヤワすぎる〜っ。
中間色のトレモロ的な、装飾音がいっぱい詰まったフレーズは、メチャ綺麗なのに。
もうちょっと強めに叩いて〜というテンポアップした箇所では、明晰さや明確さ、きっぱりした口調の左手の音、楔を打ち込む強さ、クリアーでちょっと、ひんやりとした感覚やクールな響きも欲しい気がする。
そうじゃないと、燃えないよぉ。

2楽章
かなり弱音で、気怠く埋没していく。ここではボリュームをあげていかないと、ちょっと聞きづらい。
テンポをあまりいじらず、これだけインテンポで、まどろみを表現する盤も珍しいような気がする。
底辺で蠢いているというよりは、底に重く沈む、下にひっぱる重量感があって、すーっとひきづり込まれてしまう感じがする。それも自然に落ち込んじゃうような感じ。木管はフラットに吹かれているのだが、上昇するとか、頭の上を、すーっと通っていくという感じではない。 空気感が暖かく感じるためか、どんより〜している。

3楽章
「らっら ふぁ らっ! ドンっ」 金管の音が、イマイチ綺麗に響いておらず、リアルな音が届けられる。
奥行き感はあるのだけど、生々しい感じがする。
ピアノの音と、オケの音が分離しているというか、一体型で燃え上がる演奏ではない。挑発する気配もあまり感じられないし、渾然一体化した火柱が立つような演奏ではない。
「れどしっ れどしっ れどしっ みっ ふぁっ・・・」 ゴジラのテーマ も迫力がイマイチで、愛想がないというか、まとまり感がないというか。ピアノは綺麗には聞こえるけれど、「どどっ らぁぱぁ どぉん! パシっ。」 ムチがしなる ところも、もう少し、ぴりっと響いて欲しい気がする。ちょっと、生ぬるいかなあ。
スピード感も少なく、エキセントリックな感覚に乏しく、もっとエキサイトして欲しいかなあ〜  意外とおとなしく中庸的だ。
2楽章は、けっこう気怠く〜生暖かいが、ヒンヤリ、ぴりっとした緊張感が感じられないところが、イマイチかも。

ツィマーマン ブーレーズ  クリーヴランド管弦楽団 1994年
Krystian Zimerman  Pierre Boulez  Cleveland Orchestra



録音状態は、まずまず。繊細なト長調で、テンポが超遅いところと快速のところの落差が大きい。ナルシストかしらん。
カップリング:ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調、高雅にして感傷的なワルツ(ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 1994年)、左手のためのピアノ協奏曲(ブーレーズ ロンドン交響楽団 1996年)
1楽章
冒頭こそ、ムチが鳴って勢いよく飛び出して、前につんのめってくるような勢いがあるのだが〜。
グリッサンドまでは、他盤とスピードは変わらないのだが、やや線が細い。
豪快さが少ないように思う。
録音状態については、ピアノからマイクが、ちょぴり遠いのかなあ。
金管の「れみみっ れそしれみ れみそ〜ら らっそ」は、勢いはあるが、華やかさに欠けているような気がする。左手の方が、ロンドン響だったので、オケが違うのだが、ロンドン響の方は、響きが芳醇な感じがする。クリーヴランド管は、幾分線が細いのかも。

で、序奏部分が終わったところで、「ふぁっふぁっ ふぁっふぁっ ふぁふぁ ふぁ〜しら れみどし れみしらそ〜」「どぉ れーみしらそ〜 れーみしらそ」と言いかけるが、この辺りから、メッチャ、テンポが遅くなる。
勢いが急激に削がれ、テンポが緩くなり、まるで、老人の呟きのようになる。
「そ そ そ そ どれふぁそ らど れふぁ〜  れどれ どふぁら しらそ どしら そふぁみ・・・」
えっ〜 こんなにテンポ遅めでやるのぉ。信じられない。
タメは充分あるのだが、ありすぎるほど有るのだが、何故か淡泊な感じがする。
なんでぇ〜 どーしてぇ。こんなにスピードを落としてしまって、どうするんだろ。と信じられない心境になるほど、テンポが遅い。すっかり2楽章先取りの、白昼夢世界に入ってしまう。

ピアノの音は、ハイ、もちろん、とっても綺麗なんです。でも、なんと、か細く鳴っていることだろう。
ト長調っていうのは、快活な楽曲だと思っているんですけどねえ。ううっ。。。
で、「どどそそ らららら らららら しししし・・・」 オブリガートのように、音が細かく動き、叩いてくる場面になると、メッチャ、テンポが速くなるのだ。
う〜ん。ツィマーマンさんのテンポ設定は、わからん。
異常だと思うほど、遅いのは、う〜ん。どういうワケなのだろう・・・。その意図が、よく解らない。この遅さは、再び繰り返される。あっ まただ〜 また遅い。

超快速テンポと鈍重なほどの遅いテンポ。極端すぎて、う〜ん。ついていけないワタシ。
遅い部分が、特に・・・。ワタシ的には、憤懣やるかたなし状態になってしまって、欲求不満のように、ぶーたれてしまった。これでは、流れが淀んでしまうような気がする。
ジャズっぽいフレーズは、まったりしすぎて〜 これまた遅め。そのくせ、楽章最後は、メチャ速いのである。
キラキラするフレーズは、確かに綺麗なのだが、揺れるスイングは、ある程度のスピードが無いと、ツマンナイのではないだろうか。とにかく、このテンポ設定は、う〜ん。
但し、最後、メチャメチャ 大きく膨らんで、メチャメチャ快速で、恐ろしいぐらい、切れが出ている。
で、あの白昼夢の世界が、生きてくるですねえ。まるで、何かが目覚めたような感じです。

2楽章
この楽章は、もともと緩楽章なのだが、うっ。遅い。予期したとおり、遅い。
音は、多彩に、いろんなフレーズが聞こえてくる。
確かに、他の盤では聞こえてこないようなフレーズも聞こえてくるが、どことなく、淀んだ、かったるい、ワルツに聞こえてしまう。
時空間の広がりは、確かに描こうとしているし、大きく膨らませ、また萎んで〜という、揺らめきも多彩である。白昼夢のような淡い色彩だし、まるで、幻影を見ているような感じだ。
この楽章だけを取り出して、何度か聴いているうちに、やっぱ〜 アブナイ世界に足を踏み込んでしまうような、トリップ状態になってしまった。
ただ〜 どことなく、美しいという感じには、う〜ん。違うような気がするんだよね。
とっても、自己満足なナルシスト的な空間で、他人を寄せ付けないような雰囲気の世界が構築されているように、聞こえちゃうのである。
まっ それはそれで、理解できるんだけど、、、

3楽章
快活さが前面に出てこないで、どっか、ぼんやりした細かい動きで終始している。
テンションの高い演奏に馴れているからかもしれないのだが、どーも。イマイチ、ノリの悪い演奏に聞こえてしまった。
ツィマーマンさんの演奏が、外向的な、オーラが出てくるような演奏ではないので、ウチに籠もった演奏に聞こえてしまう。繊細で、流麗ではあるのだが、う〜ん。
旋律の美ではなく、叩きつけるような細かい音の動きと、テンションの高さ、快活で飛び跳ねて来る躍動感、挑みかかってくるパワー全開の曲だと思うのだ。
まるで、曲芸師のように、軽やかに、飛んで貰わないと〜 面白くないのだ。

ツィマーマンさんの演奏は。几帳面すぎて、キチンとし過ぎているのかもしれないんだけど〜 う〜ん。繊細だ。確かに繊細だ。細かい運動が行われており、運動機能は優秀である。極めて超快速に、音が流れていく。
しかし、、、しかし、何かが足らない。
外に向かって放出されるような、大きなエネルギーに不足している。
ラヴェルの左手は、ナイスな演奏だと思っていたのに、ト長調では、うぐぐ。なんで〜 こうも違うんでしょ。とほほ。もしかしたら、ト長調は、アルゲリッチ姉さんの盤が、とてつもなく大きく、怒濤的な、破壊的な演奏だったので、 それが、刷り込まれているのかもしれないのだが〜(ワタシのイメージだが)

それと比べるのは、ダメだと思うんだけど、ツィマーマンさんのト長調は、淡泊な感じ。
無窮動のように流れていくフレーズのなかでは、アクセントが、あまりついておらず、受けるインパクトが少ないように思う。
ピアニストのアクの強さが出るんでしょうねえ。この楽曲は・・・。
ツィマーマンさんの演奏は、かなりテンポをいじくっているんだけど、どうも、ワタシ的には、無色透明に近い、乳白色系というか。淡い色彩的な演奏だと思う。
ちょっと、ワタシには、混沌とした蠢き、湧き起こるかのようなエネルギー、怒濤のようなパワーが少ないように感じられちゃった。確かに最後は、盛り上がってくれるんだけどなあ。
きっと、挑発的で、センセーショナルで、扇情的に煽ってくる演奏に親しんでしまったからなんだろうなあ。
情緒に流されていないところが、ツィマーマンさんの個性だが、ワタシ的には、煽られちゃうほうが、好きなんだと思う。もちろん演奏自体は否定しないし、理知的な演奏だと思うし、大いに受け入れられるモノなんだけど〜
なんだか、 ちょっぴり物足りなさを感じちゃったですね。 また、今度、冷静に聴いてみます。

1957年 ミケランジェリ グラチス フィルハーモニア管弦楽団 EMI ★★★★★
1959年 フランソワ クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 EMI ★★★
1965年 アース ポール・パレー フランス国立放送管弦楽団  
1967年 アルゲリッチ アバド ベルリン・フィル  
1979年 コラール マゼール フランス国立管弦楽団 EMI ★★★★★
1982年 ロジェ デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★
1984年 アルゲリッチ アバド ロンドン交響楽団 G ★★★★
1989年 ロルティ ブルゴス ロンドン交響楽団 Chandos ★★★
1995年 ティボーデ デュトワ モントリオール交響楽団 Dec  
1995年 デュシャーブル プラッソン トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 EMI  
1995年 コチシュ フィッシャー  ブタペスト祝祭管弦楽団 Ph  
1996年 ツィマーマン ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 ★★★
1999年 フセイン・セルメット クリヴィヌ フランス国立リヨン管弦楽団 Auvidis
所有盤を整理中です。

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