「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

シューマン  ピアノ協奏曲イ短調
Schumann: Piano Concerto


シューマンのピアノ協奏曲イ短調(作品54)は、1845年に作曲されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると41年には交響曲第1番を書いた後、後にピアノ協奏曲の第1楽章となる「ピアノと管弦楽のための幻想曲」を書いていますが、45年に改作して完成させています。

1楽章
冒頭は、イ短調属調長調のホ長調の強奏で、鋭い付点リズムでピアノが応え、主題につながります。
第1主題は、木管の素朴な響きが印象的で、オーボエが、C-H-Aの主題を印象付けるものとなっています。展開部はもと「幻想曲」であったこともあり、非常に自由でな雰囲気を持っています。変イ長調の夜想曲風の変奏は、C-H-Aの主題を印象付けており、冒頭序奏の鋭いリズムが同調で現れます。再現部で、イ長調の昂揚が終わり、コーダは、C-H-Aの主題を木管が執拗に繰り返すなか、ピアノは、オブリガートに徹しています。

2楽章
間奏曲と題された、落ち着いたヘ長調楽章で、A-B-C-Dのつぶやくような進行があります。
最後に前楽章主題のC-H-Aが短調長調で現れ、循環形式による楽章間の調整を図っているもの。次楽章とは切れ目がなく、第1楽章の動機 (C-H-A) が管楽器で繰り返されます。

3楽章 4/3拍子 
堂々と律動的な第1主題で、イ長調の華やかな曲想が作曲技術に凝りすぎだという批判を和らげている。ホ長調のヘミオラが登場する。ヘミオラ (hemiola) とは、主にバロック音楽やクラシック(古典音楽、特にベートーヴェン)などにおいて、3拍子の曲で2小節をまとめて、それを3つの拍に分け、大きな3拍子のようにすること。聴こえ方の特徴としては、強拍がずれるため、突然本来の拍節感を失い、そのため、その部分だけが大変不思議な感覚を感じます。
シューマンがこの最終楽章で多用しているものです。不思議に落ち着いた演出で、管弦楽とピアノが、時にオブリガートを互いに務めるという凝った構成とのこと。ピアノのトッカータ的演奏と打楽器とが曲想を盛り上げて終わります。

リヒテル ロヴィツキ ワルシャワ・フィル 1958年
Sviatoslav Richter  Stanislaw Wislocki
Warsaw National Philharmonic Orchestra

録音はさすがに古いのだが、マスタリングのためか、ピアノの音はハッキリ聞こえる。
カップリング:序奏とアレグロ・アパッショナート、トッカータ ハ長調、森の情景

1楽章
バックの音はやっぱり貧弱さは免れないが、う〜ん 冒頭のタッチの強さがいい。
歯切れ良く。パンっ! と出てくる。リヒテルのピアノはよく聞き取れるのだが、オケが、かなり弱体で〜
オーボエの音など艶がなく、弦部もカスカスなのだが。リヒテルの伴奏としては、わりとぴったり寄り添っている感じがする。
冒頭から、う〜ん。リヒテルのピアノは、低音の響きと高音のきらめくような打ち込みがあり、一気に流れ出す。トロトロに甘い演奏ではなく、印象に残るのは、歯切れの良さと強さ。 あまり叙情的ではない。

2楽章 
あらら〜 こりゃ。ささやきの場面か。 なんだか、木陰でイチャイチャしているような感じがする。なんとなく、悪女的な要素も感じられて・・・不思議な感じがする。 リヒテルは1楽章とは違って、かなりテンポを揺らし、ロマンティックに演奏している。

3楽章
2楽章から引き続いて演奏されるのだが、明るく、軽快で、のびのび〜 生き生きしてくる楽章である。
テンポよく、解放感や達成感と共に、幸福な雰囲気のいい楽章になっている。
速いなあ〜 すごい。テンポがいい。それに、リヒテルの低音の響きの重さが〜リズミカルで心地よい。この重さがあって、あの高音域の力強い小気味良さが生きているのかもしれない。 まあ〜 幸福感タップリの楽章なのだが、この速いパッセージに緊張感があって、いい感じだった。 悲しいのは、やっぱり伴奏のオケですね。
う〜ん。せっかくリヒテルさんで聴くのであれば、もう少し巧いオケとして欲しかったと、思っちゃいました。

ゲザ・アンダ クーベリック ベルリン・フィル 1963年
Geza Anda  Rafael Kubelik  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

63年と古いのだが、クリアーな録音状態で、う〜ん。ちょっと高音域のヴァイオリンがヒスっているように感じる部分もあるけれど、満足度はかなり高い。
カップリング:シューマン ピアノ協奏曲 グリーグ ピアノ協奏曲

1楽章
かなり力強い。音量も十分で切れもよく、オケと共に、力強いピアノのタッチが聴ける。
木管も渋い艶のある音で、それに絡むように、ピアノの粒立ちの良い音が聞こえてくる。 冒頭部のあとは、テンポは総じて速く、おおっ。と息をのむほど・・・ 速いパッセージなのだが、ピアノ音は、かなりクリアで、粒立ちがキラキラしてて〜綺麗だ。歌うところは、かなり歌ってくれる。
なにしろ、最初に、いい録音だ〜っと、63年の音に、惚れ惚れしてしまうほど。
オケも力強いし、それに負けてないピアノで、う〜ん。これぞ協奏曲って感じがした。
シューマンの協奏曲は、女々しそうな曲想なのだが、アンダ盤では、力強く、強靱な男性版という感じがする。
木管の伴奏のようにピアノが寄り添う場面があるのだが、ちゃんと丁寧にピアノが寄り添ってて、聴かせどころになっているし、アンダは、自己主張だけする人じゃ〜ないんだ、と感心しちゃった。
オケが強奏するところは、ピアノもちゃんと主張しているし、負けてない強いタッチなのだ。
かといって、しなやかだしねえ。さすがクーベリックさんが、バックを務めているだけあるわい。
全体の演奏スタイルとしても、今風の演奏で、すっきり系。かなり都会的と言ってもいいだろうなあ。
ピアノは、高音域のキラキラした輝きが、特に素晴らしい。決して派手な演奏でもなく、ぎらぎらした個性的な演奏でもない。デフォルメもしていないし、几帳面な感じのする演奏なのだが、これは定盤としてもいいぐらい。

2楽章
わりとまったり〜 ん? もっと歯切れが良い筈では? と思うのだが、シューマンらしく、迷いや憂いが感じられて、こっちの演奏が良いかもしれん。ふふふ。軽快ではない。ちょっぴり、鬱々している感じ。
内向的な恋愛感情のようで、はっきりしろよぉ〜っと、言いたくなるような感じを受けるが、他の盤だと、まったりしてて〜 ネチネチねっちりしているのだが、やっぱ違うんだなあ。
アンダとクーベリック盤の場合は、これ、美しい世界が広がっている。

3楽章
冒頭は、きっぱり! ちょっとテンポが遅めだが、う〜ん。丁寧というか、きっちりというか・・・ 手を抜かない。
テンポを上げて、流れるように颯爽と弾いていく盤が多いのだが、決しておろそかにはしないぞ。と言わんばかりに、小さな音が駆け回っている。 3拍子が2拍子に聞こえてくるところは、う〜ん 他の盤では、聞き取りづらいのだが、シューマンらしい雰囲気が漂って、美しい演奏になっている。
和音が美しいことと、ピアノのきらめきと、オケの演奏の確かさ。力強さとしなやかさ。艶やかさと、まろやかさ。
いろんな面をこの演奏から聴くことができるように感じる。やっぱテクが違うな〜と、 さりげないが、じっくり聞き込むと、相当に美しいと感じるのだ。う〜ん これは目から鱗・・・でした。

ピアノに関しては、1楽章は、わりと力強く感じたのだが、2楽章以降は、かなり叙情的。
力ずくで押し切るわけでも、強引でもなく、かといって、全体に女々しいわけでもなく・・・男性的でありつつ女性的であり、両性具有的な曲のような感じを受けた。
多面的で、一辺倒ではいかない、心の彩り豊かなシューマンのピアノ協奏曲を聴くことができるようで、これは今後も聴いていきたい。圧倒的ではないが、聞き込める1枚としてかなり貴重。
あまり有名な盤ではないのだが、これは良いと思います。

ルプー プレヴィン ロンドン交響楽団 1973年
Radu Lupu  Andre Previn
London Symphony Orchestra

録音状態は良い。 奥行きもあり瑞々しさを失わない録音。シューマンのP協奏曲のなかでは、ダントツの現役盤です。
カップリング:シューマン ピアノ協奏曲 グリーグ ピアノ協奏曲

1楽章〜2楽章
さらさら〜した爽やかな印象を受ける。洗い髪のような気分で、瑞々しく美しい。
イメージ的には、木綿のハンカチーフって感じだろうか。
でも、単なる素朴さとは違って、きらめき、やわらかさ、ソフト感もあり、ちょっとした高級感というか艶っぽさも感じられる。音に膨らみと伸びやかさとを感じるのは、きっと、伴奏のプレヴィンさんの明るさが反映していると思うし、ルプーの繊細な音を、包み込むかのような伴奏で、う〜ん。良いなあ。
特に、2楽章なんぞ、ちょっとした繊細なニュアンスがたまらない。
微妙な感覚なのだが、ナイーブな少女の心境みたい。ほれぼれしてしまう。微妙な揺れが、少女のときめきのようで、う〜ん、たまらん。
ロリコン趣味のようだが、、、、取り扱い注意的な、繊細な感じがする。
インバル盤のように、陰気な感じがせず、明るく色彩的に豊か。
ことに弦の音色と音量が、かなり気を遣ってコントロールされているように感じられる。
フレーズの語尾が、かなり慎重。息の長さ、深さが、私的には、絶句するほど巧い!
2楽章は、とにかく絶品って感じがする。

3楽章
品良く繊細な感じを与えている。
ピアノはキラキラしているわけでもないが、あまり照り返しはないものの、粒立ちは良い。
ピカピカしているわけではない。自分で光りを放つというのではなく、光を受けて輝いている感じ。
自己主張をことさらしているようではないのだが、控えめながら光っている。
強引とか、力強いとかではなく、控えめながら自己主張しているタイプ。
かえって、耳を澄まそうという気にさせてくれる。じっくり〜と、聴きたくなる。
総体的に繊細で、脆そう。
金管の咆吼は前面に出てこない。奥の深い遠いところから聞こえてくるのが印象を強めている。
ティンパニーも奥から響いている。歯切れが良く、テンポの良さはピカイチだ。バランスが良い。
この楽曲では、控えめさが好ましい。爽やか。

シューマンのピアノ協奏曲では、このルプーとプレヴィン盤が、昔から有名ですよね。
これを凌ぐ名盤はないのかなあ。と思うのだが、、、どうでしょ。

ブレンデル アバド ロンドン交響楽団 1979年
Alfred Brendel    Claudio Abbado
London Symphony Orchestra

むむっ〜


録音状態は良い。意外なほど素っ気ないというか、情感が薄く、性格の不一致って感じで、歩み寄れない完全なすれ違い夫婦という感じ。
カップリング:1〜3 シューマン ピアノ協奏曲
4〜5 ウェーバー コンッチェルトシュテュック(ピアノ小協奏曲)
1楽章
「どぉ〜 し〜らら らしど みぃ〜 れ〜どどぉ〜し どし ふぁみふぁ そふぁ れ〜 ふぁみっ・・・」
冒頭のオケのフレーズは、いつもどおり〜という感じなのだが、そこから続くピアノが、情熱的ではなく、クールさの漂う、ひんやりとしたピアノになっている。オケは、うねりを感じて歌っているのだが、肝心のピアノがあまり歌わない。
最初は、フレージングが小さく、音が細かいというか、パラパラとしている感じがして、あれっ こんなモノだっけ。
ピアノの旋律が膨らまず、平坦な感じがしてしまったが、静かに鬱っとした感じがあって、悩める心境が出ているような気がする。
オケの方がジワジワ〜っと、煽るかのような膨らみを持って絡んでくると、勢いがついてくる。
「みふぁみ みれどしら みふぁみれどしら みふぁそみ〜 みふぁそみ〜」っと、繰り返していきながらテンポが少しあがる。
しかし、また沈みがちで〜 オケとの兼ね合いは、どうなんだろう。資質が違うのだろうか。
ピアノの沈む音に、なんだかオケが、えっ という戸惑いを隠せない感じがしちゃう。
ひとりごちなピアノに、オケの方は寄り添いを見せるのだが、どこか、突き放しているかのような雰囲気がする。
「れぇ〜どしし しどれ みっそ〜(ぱ〜ん) れぇ〜どしし しどれ ふぁ〜ら(ぱ〜ん)」
「みれみそ っそ そぉ〜みれ どれみれみそ そし しぃ〜そみ」
オーボエの吹くフレーズとピアノの絡むフレーズを聴いているだけでも、なーんか、ケンカしているの? つれないなあ〜という感じで、ピアノがクールだ。

2楽章
「しどれみっ らしどれっ しらそ そぉ〜 み ど らしら らぁ〜ふぁれ みど・・・」
やっぱり、ピアノが、ブツブツとひとりごちで呟いているが、こそっと秘密を持っている感じ。
内面的な心理状態が、なんだか複雑で、「そぉ〜 みどぉ〜 らそぉ〜」とオケが問いかけるが、つれない。

3楽章
跳躍感が少し紋切り調のようで、リズムが厳しいというか、少しきつめに感じてしまう。
ピアノは、間合いの詰まった、速いタッチで、風のように、さーっと弾いて行く。
木管のフレーズも同じように、さっと素っ気ないぐらいに速い。ピアノの粒の速いパッセージだけが強調されている。
ロマン派というよりも、どこか、表情が硬く、無窮動めいたパッセージの速い、情感の少ない、素っ気ない感じが表面に表れて、孤立した感じの1人舞台のようだ。う〜ん、これは呆気にとられてしまう。
オケの方は、華やかを求めて演じたいようで、暖かさを持って奏でていこうとしているのだが、どこか、ピアノとは、完全にすれ違っていくような感じがする。これはベクトルが違いすぎるような気がするのだが〜 あれれっ?

アリシア・デ・ラローチャ デュトワ ロイヤル・フィル 1980年
Alicia de Larrocha   Charles Dutoit Royal Philharmonic Orchestra



録音状態は良い。柔らかく包み込まれるようなシューマンで、優しい演奏で、まるで、傷つきやすいシューマン青年を暖かく包み込む母親のような演奏である。
ワタシが所有しているのは、ピアノマスターワークスからの1枚で50枚組BOXの49番目に収録されている。
←ジャケット写真は、マスターピアノワークス(50枚組BOX)を掲載しています。
細やかではあるが、優しいシューマンで、エキセントリックな角が取れて、とても丸くなっている。
少女時代の多感な時期を過ぎて、まろやかな大人の女性ってところだろうか。または、傷ついている青年シューマンを、暖かく包み込む母親のような気持ちで演奏されているような、そんな感じがする。

良い意味で、清潔で、穏やか。品性を保ったなかでの恋愛的な感情が描かれているみたいで、奔放さとかは皆無だし、さほど内省的ではない。
まあ、シューマンらしくないって言えばシューマンらしくない気もするけど〜
シューマン好きな方からすると、思いっきり楽天的で、傷つかない、すぎると言われかねないけどな〜
演奏自体には、陰影はあるのだが、もはや、その年齢は過ぎてます。って感じだろうか。

丸すぎて穏やかすぎて、あぁ〜あの頃を思い出すのは、ちょっと避けたいよ。くすぐったいし〜という方にとっては、さらっと、この曲を聴くには良いとは思うが。さて、どうでしょ。

ワタシが所有しているのは、マスターピアノワークス(Master Pianoworks)から、ピックアップして中古品で購入したものなので、ジャケット写真は異なります。
この協奏曲は、単独でCDにはなっておらず、このBOXで初めてCD化されたもののようだ。
ラローチャさんのサイトを拝見すると、LP時代にはラフマニノフのP協2番とのカップリングだったようである。
で、ちなみに、49枚目に収められており、下記のカップリングになっている。
1 幻想曲ハ長調 Op.17 1975年
2 アレグロ ロ短調 Op.8 1971年
3 ロマンス Op.28−2   1971年
4 ピアノ協奏曲イ短調 Op.54 1980年 全てDECCA音源である。

ボレット シャイー ベルリン放送交響楽団 1985年
Jorge Bolet    Riccardo Chailly
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
(Berlin Radio Symphony Orchestra)

録音状態は良いのだが・・・。なにせ遅くて、かわったテンポについていけない。
カップリング:シューマン ピアノ協奏曲 グリーグ ピアノ協奏曲
1楽章
出だしは、ぼぼーん。と出てくる。わりと落ち着いたテンポで〜 降りてくる。まったり系
このボレットさんのピアノで、イチバン笑ってしまったというか、ずっこけてしまったのは、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番だった。あれは、私的にはトンデモ盤だと思っている。
シューマンのピアノ協奏曲で、ボレット盤は、結構、一般に流布しているようだが・・・
洗練された感じというより、ちょっぴり田舎くささが残っている恋愛状態ですなあ。
繊細という感じより、かなり もっさり〜系だなあ。こりゃ。
ボレットのピアノは、音色が太めで、小指で叩くキーは、さほど強くなく、アクセントが強くない。
耳障りになるほど、最後の音が強い演奏家も多いのだが、ボレットの場合は、それほどでもないので、聞きやすいかも。
音色にはアクが少ないのだが、テンポにアクがある。

2楽章
シャイーは、さっぱり気味にスマートに演奏したかったのかもしれないが、ボレットのピアノのテンポに合わせて、かなり田舎臭くなっている。それを、特に感じさせるのが、2楽章で・・・
このまったり感には、眠くなってしまうかもしれない。
何が言いたいのぉ〜 はやく、おっしゃいよぉ〜と言いたくなるぐらいで、決して、今風ではない。
若い年下の男性というより、いい歳したオッサンのような呟きだし・・・。でも、私的には、この演奏は、いいかも。よさげ〜って感じがする。この演奏の背景は、決して都会ではないのだ。
田園や草原のなかでの、男女の恋愛なのだから、これくらいの穏やかさでもいいかもしれない。
干し草の匂いや、純朴さや、まどろっこしさ〜が出ており、この不器用さを感じさせるところは、大いに許したくなる。まあ〜 もっさり的だわな。

3楽章
のびのび〜している。その開放感は、青い空と緑豊かな草原の空間なのだ。
決して、ノー天気というわけではない。幾何学的でもなく。即物的でもなく・・・ この演奏は、いたって素朴な風景のなかにあり、自然とのなかでの普通の自然な喜びなのだ。
あくどい感じや駆け引きなしの恋愛感情で、何も特別なことをしているわけでもなく、さりげなく、自然の風景と溶け合った恋愛感情の表現という感じがする。 いい意味で、かなり大柄で、おおらかだ。
このおおらかさは、う〜ん。このシューマンを聴く時には、かなり素敵な要素なんだな〜っと改めて感じる。
テンポは、今となっては、ゆったりめ。
速く、クールな演奏がと多いなか、良い意味で、まったりしており、自然・素朴な浪漫派という要素が強いと思うが。私的には、まったりしすぎて・・・ 古くさい感じも否めない。

ミシェル・ダルベルト インバル ウィーン交響楽団  1993年
Michel Dalberto  Eliahu Inbal  Wiener Symphoniker
(Vienna Symphony Orchestra)

録音状態は良いが、伴奏のオケが少しこもり気味。(ライブ盤らしいが未確認)
カップリング:シューマン ピアノ協奏曲 グリーグ ピアノ協奏曲
1楽章
オケのインバルの演奏は、どちらかというとオフ気味で、ティンパニーの音が、あまり響かない。
ピアノは、装飾音が綺麗でキラキラしている。
叙情的で、柔らかく、優しい。打ち込みの鋭いリヒテルとか、アクの強いアルゲリッチとは違って、自然なのだが、春の陽射しのようで、木々の間から漏れてくるような光のきらめきがある。
音色に艶がなく、粒立ちが鋭いわけでもない。どことなく凡庸なのだが、ピアノと一緒になった室内楽的のような雰囲気で、演奏されているようだ。
分厚い和音をことさらに強調しているわけでもなく・・・ アクも個性も強烈ではないのだが、気分が変わる場面は、なかなかの機敏さという感じがするし、憂いがある。

2楽章
ちょっと憂いがち。オケも溜息をついている感じがする。この2楽章は、センチになっている。
その溜息の付き方が絶妙って感じで、落ち込みがちな心情が良く表れている。
ちょっと陰気なインバルさんのバックが、いいかもしれない。
ピアノもオケも、どちらかと言えば陰気なのか。几帳面さが出ているのか、演奏は硬め。

3楽章
装飾音が綺麗やねえ〜 ぽろぽろ〜っ ころころっ〜している。
伴奏のフルートと絡むところは、綺麗だし、最終に至るまでの駆け抜けていく美しさが、こぼれんばかりなのだが。もう少し録音がクリアーだったらいいのになあ。ちょっと惜しいような気がする。
レイフ・オヴェ・アンスネス ヤンソンス ベルリン・フィル 2002年
Leif Ove Andsnes  Mariss Jansons 
Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

  

録音状態は良い。鬱々したところもあるのだが、内から、迸るかのような情熱的に燃えている演奏だ。
1〜3 グリーグ ピアノ協奏曲
4〜6 シューマン ピアノ協奏曲
1楽章
これは良い演奏だっ。グリーグのピアノ協奏曲もナイスな演奏で、内面からメラメラ炎が立ちのぼっているかのように熱い演奏だったのだが、シューマンも良い演奏である。
耳タコ状態の2曲なのだが、久々に聴いて感動しちゃった。
冒頭、スキップをしながら階段を降りてくるようなフレーズがあり、「どぉ〜 し〜らら らしど みぃ〜れ〜どどぉ〜し」
という木管フレーズが出てくる。2回目のピアノの主題は、憂いを含んだもので鬱としている。
オケのフレーズは、さらっとしているが、最初から熱気を含んだもので、水の流れが、どこか渦巻いているような、うねっとしたうねりを感じさせる力強いものだ。
ティンパニーの叩きも、弦も、歯切れの良さがある。
ピアノは、鬱として、落ち着き払った顔をしつつも、熱を孕んだ感じが初めからしている。やっぱり若いロマンティシズムを感じるなあ〜 どこか、たぎる熱さを感じさせるものだ。
まあ、オケの方も熱いし、木管がオケから浮いて、綺麗にピアノに絡みついている。
ごごごぉ〜という低音を響かせて、粘るところもあるし、長い髪が絡みついた感の、なよっとした雰囲気もある。
かといって、スピードをあげて演奏されており、モタモタしていないところもあり、なかなか芸達者。
今風のスピード感は持っているが、フレージング自体は、熱くて、淀みを持たせて、うねっとした感触を持ったもので、昔風の香りのする古典的な演奏だったりする。ハハハ〜 なかなかに両面持ち合わせた演奏だ。
 
2楽章
「しどれみっ らしどれっ しらそ そぉ〜 み ど らしら らぁ〜ふぁれ みど・・・」
この楽章は、テンポが速め。アンスネス盤では、ここが5分7秒となっている。
ちなみに、他盤だと何分なんだろう。ルプー盤で5分23秒、まあ、ちょっと速めかな。あまり、とろとろしていないが、情感たっぷりというわけでもなく、ブツブツ、ひとり呟いている風でもない。

3楽章
弾む感触が巧く出ており、付点のリズムが心地良い。
低弦の響きが、ボンボンっと聞こえるのだが、これがまるでジャズを聴いているかのように思えちゃう。
この楽章では、まったりしておらず、ねちっこさもなく、軽やかでパラパラした飛翔感があり、速いっ。えっ こんな演奏ってあったっけ、というほど、弾き飛ばしに近い雰囲気がする。
オケは低音を響かせて、昔風のロマンティックな演奏だが、ピアノは、斬新な感じがするのだ。
えーっ どこが他盤と違うのだろう。
ピアノ、オケ、ピアノ、オケという感じで入れ替わって、1楽章のねっとり絡みつく風情から離れて、互いが自立してて、適度な距離感を感じるモノとなっている。そのくせ、呼応して語りかけており、挑発するような感じで熱っぽい。
3楽章は、スタイリッシュに決まっている。
ピアノは、細かいフレーズを、すごい快速で、パラパラパラ〜っと情熱的に、ラストに向けてテンションがあがっていく。

う〜ん これはすごい。
1楽章は若い頃の恋心。2楽章は新婚家庭。3楽章になると壮年・・・って感じで、時代の変遷を描いているみたいで、アプローチが現代風に変わってるみたい。アハハ〜 これは、あくまでもワタシ的感想ですけどね。
これは、一気に聴かせてくれる演奏です。ライブ盤かしらんと思うほど、熱くて〜
うふっ 恋心はいつまでも持ってなきゃ〜って感じでしょうか。ハイ、なかなかに、情熱的で嬉しくなっちゃいます。
1958年 リヒテル ロヴィツキ ワルシャワ・フィル ★★★
1960年 バックハウス ヴァント ウィーン・フィル Dec  
1963年 アンダ クーベリック ベルリン・フィル ★★★★
1963年 アラウ ドホナーニ コンセルトヘボウ Ph  
1973年 ルプー   プレヴィン  ロンドン交響楽団 Dec ★★★★★
1978年 アルゲリッチ ロストロポーヴィッチ ナショナル交響楽団  
1979年 ブレンデル アバド ロンドン交響楽団 Ph ★★★
1980年 ラローチャ デュトワ ロイヤル・フィル Dec ★★
1982年 ツィマーマン カラヤン ベルリン・フィル  
1985年 ボレット シャイー ベルリン放送交響楽団 Dec ★★
1989年 ポリーニ アバド ベルリン・フィル  
1993年 ダルベルト インバル ウィーン交響楽団 De ★★★
2002年 アンスネス ヤンソンス ベルリン・フィル EMI ★★★★★
2003年 アルゲリッチ ラビノヴィチ スイス・イタリア語放送管弦楽団 EMI  
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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