「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

シベリウス ヴァイオリン協奏曲
Sibelius: Violin Concerto


シベリウスのヴァイオリン協奏曲ニ短調(作品47)は、1903年に作曲され、05年に改訂されています。交響曲第2番と第3番との間に作曲され、比較的初期の作品です。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

第1楽章 ニ短調 拡大された自由なソナタ形式 提示部(3つの主題)-展開部(カデンツァ)-やや変形された再現部とコーダ の形を取っています。4声に分割された弱音器付きのヴァイオリンが、小さく和声を刻むうえを、ソロヴァイオリンが第1主題を提示し、カデンツァ風にパッセージを奏でた後、チェロとファゴットが4分の6拍子で、第2主題を奏でます。主題の確立後、ソロが、ゆったりとこの主題を歌い、長いトリルを奏でた後、曲は2分の2拍子の第3主題部(変ロ短調)となり、オケが主題を奏でて高揚します。続いてソロが、3つの主題を素材にしたカデンツァを奏でます。
通例は、楽章の最後に置かれるカデンツァが、ソナタ形式の展開部にあたる楽章の中央に位置するのが、この作品の最大の特徴です。 ソナタ形式の原理に当てはめるならば、カデンツァの後が再現部となるのですが、通常のソナタ形式の再現部とは異なり、各主題は大きく変化した形で再現され、再現しながら展開するという独創的な形です。

第2楽章 変ロ長調 3部形式
はじめに木管楽器が導入句を演奏し、ソロが主部主題を厳かに奏でます。弦楽器が、突然冒頭部の動機を強音で演奏し、劇的な中間部に入り、ヴィオラ、オーボエ、クラリネットが主部主題を提示し、楽章は静かに閉じられるもの。

第3楽章 ニ長調 自由なロンド形式でA−B−A−B−A’(コーダ)
ティンパニ、低弦の刻むリズムに乗って、ソロが華やかで常動的なロンド主題を奏します。副楽節は、短調に転じた舞曲風のリズミックな主題で、次いでロンド部、副楽節部と展開しながら反復し、華麗に盛り上がるもの。
最後は、ロンド部の断片を結尾として華やかに終止します。

特に、第1楽章に独創的で、交響的で重厚な響きと、室内楽的な雰囲気を持っています。
シベリウス自身が、冒頭部分を、「極寒の澄み切った北の空を、悠然と滑空する鷲のように」と述べているとのことで〜
最初は、厳しく、重厚で、とっつきづらく感じるかもしれません。シベリウスの交響曲などを聴くうちに、屹立とした雰囲気はあるものの、それが、潔さや清冽さとして好ましく感じられるかもしれませんが、最初は難しいっ。
ある程度の年齢にならないと〜と思いますが、シベリウスは、これを40歳前後で作曲しています。(汗)

  シュロモ・ミンツ レヴァイン ベルリン・フィル 1986年
Shlomo Mintz  James Levine  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

ほぉ〜良いヤン  ← ヴァイオリン  なんじゃ こりゃ〜  ← オケ

録音状態は良いとは言えない。ヴァイオリンとオケとのバランスが悪く、また、最終楽章では、オケの音量が大きすぎて、ティンパニーの強打音が割れている。
カップリング:
シベリウス ヴァイオリン協奏曲、ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲
シベリウスの交響曲第2番とカップリングされている盤もある。
1楽章
「そぉ〜 らみぃ〜 みそ ふぁみ〜 しれぇ〜どしぃ〜 らし みぃ〜 ふぁ れどしぃ〜」
録音状態は良いのだが、ヴァイオリンがちょっと控えめのような気がする。というか、オケが、ごつすぎて・・・。
というのが、第一印象だった。
ボリュームをあげて聞き出すと、オケの音が大きい。で、ミンツさんのヴァイオリンは細身の美音で、すーっと駆け上がって、空に抜けていくって感じだ。
リズミカルよりも繊細さで、高音域の音は安定しており、ソロの中間部のカデンツァは、はあ〜 ため息が出ちゃうほどの美音で奏でられる。声が裏返るとか、音の幅が途中で太くなったり、細くなってしまったりしない。
で、オケがねえ〜 交響曲のように、力強くって「みっ れっ どぉ〜 どっし〜 どっふぁぁ〜」と、ライオンのように咆吼する場面があるが、力強く、硬い。なんとまぁ〜 恰幅の良いことで〜 ここしか出番がないみたいにオケが鳴る。
ミンツさんのヴァイオリンは、あくまでも理知的で、クールだ。キョンファ盤のように、慟哭に近い泣くという場面はない。
また、シャハム盤のような、うねり感覚は少なく、舞曲風のフレーズになっても、あまり感情を表面化せずに、さらっと、すーっと弾かれてしまう。弦のうえを弓が踊っていくのだが、あまり楽しげではない。
「しふぁそれみ しふぁそれみ しどしら しふぁそみ みふぁみれ みふぁそら しぃ〜」と、ちょっぴり裏返った感じで奏でられるものの、精神的な非痛感は漂ってこない。
 
2楽章
この楽章は、じわじわ〜っと、滲みてくるようなフレーズが、ゆったりと奏でられている。
「みぃ〜れぇ〜しどぉ ふぁ〜みぃ〜 れぇ〜 れみぃ〜ふぁ」
「れどれみふぁそら しぃ〜ら れっど れみふぁそら しぃぃ〜らぁ〜」と、思い入れいっぱいのヴァイオリンである。
で、オケが、また、しゃしゃり出てくるのが、少し邪魔かなあ、と思う。オケの音量が大きすぎるのだ。
ボリューム調整が困るんだよなあ。

3楽章
オケの弦の弾んだ音のなかで、ヴァイオリンが、「どぉ〜っど しっし みぃ〜 みれみ ふぁふぁふぁ みぃ〜み みれみ」と、すーっと弾んだり、蝶のように舞っていたりしている。
ヴァイオリンだけを聴いていると、お花畑のような風景が浮かんでくるのだが、オケの音が粗悪で・・・
ティンパニーの音と、弦の音が団子になってて〜 分離ができておらず、それもダイナミックな音量で出てくる。げぼっ。
まあ、すごいオケの音量と汚さで、参りました。これじゃー ミンツさんのヴァイオリンも台無し。
ワタシの所有しているのは、発売当時の輸入盤(DG 419 618-2)なんだけどなあ〜 
もしかしたら、国内盤の方が録音状態が良いのかもしれませ。ちょっとわからず・・・。

ミリアム・フリード オッコ・カム ヘルシンキ・フィル 1987年
Miriam Fried  Okko Kamu  Helsinki Philharmonic Orchestra

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。2つの有名コンクールの覇者だけあって、安定感抜群だが、今となっては少しスピードが欲しいかも。
カップリング:
シベリウス 交響曲第1番(サラステ フィンランド放送響 93年)
シベリウス ヴァイオリン協奏曲
1楽章
ぴーんっと張ったヴァイオリンの音色で、高いところ、低いところの音程が安定してて、ゆったりとしたテンポで始まる。
低音の豊かな響きが、すーっと伸びて気持ちは良い。
少し遅いな〜っとは思うが、すごく高音にのびていく音の鋭さ、張り詰めた音の感覚が、大変気持ち良いので、実際に聴いている音の流れよりも、広がり感があって〜 オケのゆったりした伴奏と共に、緑豊かな大地を感じさせる。
寒冷地というよりは、どこか、湿原を見ている感じだけど・・・

ひと昔前のたっぷりとした演奏って感じがする。どこか懐かしい匂いを運んでくるような〜 
優雅な雰囲気と、張り詰めた神経質な面を持っているので、ツンツンした、この楽曲が苦手なワタシには。嬉しい。
舞曲風の主題は、やっぱ〜 リズミカルに弾んでもらいたいが、ちょっと重め。
カデンツァは、張り詰めた感はあるが、やっぱりスピード感が、いまひとつ。しかし、アクロバティックだし、音の跳躍感はあるし、切れもあるし、音に張り感や冴え感がある。
コシコシとしたかすれた音ではなく、ホント、瑞々しいし、音のヴィヴラートもきめが細かい。良いやん〜っ。
音に厚みがあるのだが、弾力があって、適度にしなって跳躍を繰り返す。だから、音が、ささくれない〜 キツく感じないように思う。

2楽章
穏やかな木管の音色が、ゆったりとしたフレーズに絡んで、いつになったらヴァイオリンが奏でるのだろう〜と思ってしまったぐらいだったが、でも、ふくよかなヴィオラのような響きで登場し、暖かい音色に包まれる。
オケの金管を伴った大きな響きと、相対するようにヴァイオリンが悲しげにフレーズを奏でる。
う〜ん 歌うというより、痛切に、せつせつと訴えてくるモノがある。説得力があるように感じるし、喉を震わせて奏でられる音の揺れは、ふくよかな中年女性の泣き節のように感じる。
ヴァイオリンの音色は、喉が少し太めって感じなのだ。
そこに色気を感じる面と、安定を感じる面と、つまんないと感じる、相反する要素が入れ替わる危うさがある。

3楽章
ティンパニーと低弦の刻むバックは、邪魔にならずにヴァオリンをリズムに乗せる。
ヴァイオリンが主題を奏でていくが、スピード感は遅め。
弦のしなり、音のたわみが安定してて、安心して聴けるものの、横の広がり感や、雄大は感じられるものの、う〜ん。
オケの演奏はもっさりしている。全体的に、熱く、舞曲風に、しなり、うねり、付点リズムを鋭く刻んでいく、聴いててワクワクするような楽しさは少ない。

ただ、ヴァイオリンの高音域のフレージングは、超綺麗で、音が透っている。
超高音域でありながら、綺麗な音で安定しており、余裕〜って感じで聞かせてくれる。女性のヴァイオリニストだと言われないと、少し男性っぽさが感じられるほど〜 力強い。
音の跳躍時に、すぅ〜っと音自体が細くなり、ねじった感じで、走り高跳びをするように音が伸びて、バーを超すという感じだが、音の幅が〜 ねじられて、高みに昇る〜という感じで弾くヴァイオリニストが多いのだが、 ミリアム・フリードさんのヴァイオリンは、音が、ゆがまず、細くもならず、そのままの音の太さで、跳躍していく。
まあ、これが安定感って感じに繋がるんだけど〜 でも、聴いている方(見てる方)にとっては、身をよじって、高音域を演奏してもらう方が、嬉しいかもしれません。
それに、少し繊細で内省的な演奏というよりは、どちらかといえば情熱的で、ブラームスなりチャイコフスキーの演奏を聴きたいような気がします。

ちなみに、ヴァイオリンのミリアム・フリードさんは、ルーマニア生まれのイスラエル人。 
第15回パガニーニ国際コンクール(1968年)、エリザベート王妃国際音楽コンクール ヴァイオリン部門(1971年)
この有名なコンサートを2つも制覇された方だそうである。すげっ。
CDが少ないのが残念だが、息子は最近来日もしているピアニスト ジョナサン・ビス(Jonathan Biss)さんだそうです。

シャハム シノーポリ フィルハーモニア 1991年
Gil Shaham Giuseppe Sinopoli
Philharmonia Orchestra of London

あれ〜変 だよ。


録音状態は良い。もともとこの楽曲が苦手なのだが、高音域を、ツンツン刺すかのように、力強く飛び跳ねている刺激的で大柄な演奏だ。これでは強すぎだよぉ〜
ワタシ的には、ちょと〜ギブアップ。
カップリング:シベリウス ヴァイオリン協奏曲、チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
1楽章
冒頭のヴァイオリンのフレーズが特徴で、なんとも悲しい雰囲気がする。
「そぉ〜 らみぃ〜 みそ ふぁみ〜 しれぇ〜どしぃ〜 らし みぃ〜 ふぁ れどしぃ〜」
ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、なんでもシベリウスは、この冒頭部分に関して「極寒の澄み切った北の空を、 悠然と滑空する鷲のように」と述べているらしい。
う〜ん さもありなん。という感じはするが、この寒々しいフレーズに代表されるように、シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、ホント、ツーンとした冷たさ、寒さが全体を覆っていて、ちょっと苦手なのだ。

で、バンバンっとティンパニーが、「どっれ み〜 れみ ふぁっそ れ〜 みふぁ れっれ〜 ふぁふぁ・・・」
ティンパニーが、「そど そど そっ どぉ〜」 と、最後の一音を叩きつけるように鳴らしたあと、ヴァイオリンが、「それっ それっ どしら れそれそっ・・・と、舞おうとする。
この辺り、シノーポリさんが振るオケのフレージングは、相当に鋭い。

続いて、ヴァイオリンのカデンツァに入っていくが、「みれぇ〜 みらぁ〜 らしどぉ〜しら みぃ〜」
シベリウスの一連の交響曲のように、力強くって「みっ れっ どぉ しら〜 みっ れぇ〜どぉ しらぁ〜」と、ライオンのように咆吼するのだ。なんと力強いというか・・・
とても、オトコマエな楽想で、あまちゃんのワタシなんぞ、寒さに耐えかねてしまう。
ヴァイオリン協奏曲って、演奏者が男性か女性で、全くアプローチが違うよなあ〜と、感じてしまうのだが、このシベリウスのヴァイオリン協奏曲も、シャハムさんの演奏は、泣きが入っているのか、グリッサンドで降りてくるのだが、気持ち悪い。
「シュワシュワ〜 みれどぉ〜 シュワシュワ〜 みれどぉ〜 それそれ〜 どれどれ〜 み〜み〜・・・」
「しふぁ〜 そぉ〜れみ〜 しふぁ〜 そぉ〜れみ〜 しどしら しふぁそみ みふぁみふぁ そら ひぃ〜〜」
シャハムさんのヴァイオリンは、フレージングが、とてもうねる。
で、裏返った声が、汚く、音が違うんじゃーないかと思うような音になって聞こえてくる。うわぁ〜 うわぁ〜 と、ううわ〜っと、音が波打っており、とっても気持ちが悪い。
特に、オクターブで跳躍していると思うんだけど、音程の幅が違うような感じで、(プロなのだから、合っているとは思うんだけど・・・。) なんだか、ワタシ的には、船酔いしそうだ。

2楽章
先程の1楽章が、過激だったので、ホットできる楽章なのだが、ここでも、軽やかというよりは、ちょっと強い。
木管のハーモニーが可愛いのだが、夢を見るような感じとは違い、この楽章もヴァイオリンが出てくると、強い。
「みぃ〜れ〜しど ふぁ〜みぃ〜 れぇ〜 れみぃ〜ふぁ そぉ〜そぉ〜ら し どぉ〜」
十分に伸びやかには歌おうとしているし、悲しみが、さざ波のように寄せてくる。
「れどれ みふぁ そら しぃ〜 らぁ  れどれ みふぁ そら しぃ〜 らぁ」 
大きな劇的な効果を生もうと、精一杯膨らんで、ちょっぴり強めに弾かれている。

3楽章
ティンパニーと、低弦の刻む、バンババンバンバンバ・・・オケの弦のつま弾く音にならない音が、バックにあって、そこをヴァイオリンは奏でていく。このオケのリズムと、ヴァイオリンの跳ねる音が、ワタシにはどうもマッチしない。
舞踏風ではあるのだが、オケの弦を掻きならす、変なリズムは耳障りだ。
付点のリズムが底辺にあるのだが、その付点の効果はあるのだろうか、どうも平板に感じるし、ノリが悪いというか、パッセージとして活き活きしていない感がするのだ。
オケが、耳慣れたフレーズ 「みぃ〜 みれみっ ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜 みぃ〜 みれみっ し〜し〜し〜」
「どぉ〜 どしどっ  そぉ〜そぉ〜そぉ〜  ら〜ら そふぁ・・・ 」と鳴り出して、ちょっと落ち着くのだが、シャハムさんのヴァイオリンは、風を切るように身振りが大きく、音が立派すぎるというか、力任せに、ねじ伏せられるかのような感覚になる。
たぶん、その雰囲気が苦手なのか〜 シベリウスんの演奏としては、どうだろう〜?
繊細で、内省的な、控えめそうながら、強靱なバネを持っているようなシベリウスの曲想には、シノーポリさんのオケといい、滑るリズムと力強いフレージングと、超高音域のヴァイオリンのフレーズは、さすがにテクニシャンだと思うが、ワタシの耳にはツンツン・・・ 力強く、飛び跳ねて、ツンツン刺さる音が立派すぎて〜 う〜ん。唸ってしまった。

もっと、ふくよかで、大柄な、大河のうねりを表現するかのような曲の方が、シャハムさんには似合っているのではないだろうか。シベリウスには、ちょっと立派すぎるというか、強すぎるというか・・・ ワタシ的には、ギブアップでした。

ヴェンゲーロフ バレンボイム シカゴ交響楽団 1996年
Maxim Vengerov  Daniel Barenboim  Chicago Symphony Orchestra

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態はまずまず。オケは、もっさりしているのだが、ヴァイオリンの歌いっぷりは巧い。
情熱をいったん抑え込んで、ラストにメラメラ〜
カップリング:
1〜3 シベリウス ヴァイオリン協奏曲
4〜7 ニールセン ヴァイオリン協奏曲
1楽章
「そぉ〜ら みぃ〜 みそ ふぁみ〜 しれぇ〜どしぃ〜 らしみぃ〜ふぁ れどしぃ〜」
線の細いヴァイオリンが、沈みつつもツーンとした響きのなかで、悶えるように、次第に浮き上がってくる。
録音状態は、90年代後半のわりには、ちょっとイマイチだろうか。
しかし、ヴェンゲーロフさんの22歳頃の演奏は、やっぱり情熱的だ。冒頭から、キレ味の鋭い、いささか硬質感のある、ツーンとした響きを紡ぎ出している。オケは、分厚く、弦の動きが、もっさりしておりシャープさが足らない。
いつ聴いても、シベリウスのヴァイオリン協奏曲って、難しいなあ〜と思うのだが、1楽章の中間で、カデンツァが、いきなりやってくるからだろうか。それとも、空気感、温度差なのだろうか。
聴き手が勝手にイメージしてしまう冷気の漂うような空気感と、ジワジワと地熱のように、熱を帯びてくるところの温度差なのだろうか。カデンツァについては、ホント、どうして1楽章にあるんでしょうねえ。

ヴェンゲーロフさんのソロは、熱を帯びるまでの間に、かなり抑えて、焦らして焦らして〜という感じで進む。
で、全曲を通して知っているものには、この焦らされた感が、すごく、まどろっこしくもあるが、にひひ〜っと、笑えてしまうところがある。いつ爆発するんだろう〜と、思って聞いていると、焦らされることが快感に変わっちゃって。
(あー なんて表現なんだ。節操がない。)
特に、1楽章は、なかなかに盛りあがってこない。まだ、ここは頂点ではないんだ〜という感じで収まるのだが、この歌い方が巧い。カデンツァが終わった後が、あーっ 焦らすなよぉ。と言いたくなってしまうほど、身もだえしちゃう歌い方なのだ。
で、やられちゃった。

2楽章
木管の二重奏のような雰囲気で始まる楽章だが、もわっとした空気感がある。
「みぃ〜れ〜ど ふぁ み みふぁ〜そぉ〜そ ら〜し〜どぉ ふぁ〜そぉ」
「ら〜 そそぉ ふぁふぁ み れ どぉしどれみ れどれみふぁみ れ〜しそぉ」
ヴァイオリンは、低い声で歌う。静かに詩情豊かに歌いあげてくるので、ぐぐっ〜ときてしまう。
幾分、かすれ気味のヴァイオリンの声だが、分厚いオケが合いの手のフレーズを入れてくるので、ヴァイオリンのかぼそげに歌う様が、妙にはまる。
ヴァイオリンの超高音域で歌うさまは、うぐぐっ。

3楽章
ティンパニーと低弦の刻む、バンババンバンバンバ・・・これが、モソモソっと動いているだけで、イマイチ、インパクトがない。
で、籠もり気味のオケに対して、すぐに、ヴァイオリンが舞曲風フレーズを奏でていく。
どうも、このあたりのバランスは、マッチしないのだが、他盤でも、そういう雰囲気がする。
ヴァイオリンだけが妙に浮き上がって、ノリノリになっているのに、オケが伴奏に徹していて平板なのだ。

で、オケの方が低弦を主題を奏でてくるところは、妙にどす黒く、暗黒の闇のように鳴っている。
その世界観と、ヴァイオリンの「みぃ〜 みれみっ ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜 みぃ〜 みれみっ し〜し〜し〜」と歌うところのミスマッチな感覚が、どうも〜 しっくりこない。やっぱりミスマッチだ。
オケのもっさりしたリズム感が、ヴァイオリンのリズムの足をひっぱっているような気もするのだが、いやいや、ヴァイオリンの優美で、変わり身の早い猫のような表情付けに、舌を巻くというか。ヴァイオリンのタッチが繊細で、こしげた弾き方は、巧い。巧すぎ〜 これは、20歳そこそこの男性ヴァイオリニストの勝ちという感じで、恐れ入りました。

ホント、ヴァイオリンの歌い方は、繊細で、表情付けが、色合いがみごと。
さほど濃厚な色使いではないのだが、モノトーンながら、喉を震わせて歌い上げるさまは、とても20代とは思えないっ。
それも男性だよねえ〜 ひぇ〜っ。すごいテクで、安定感バッチリなのだが、これほど熱いとは。
じわじわ〜っと、ラストに向けて切々と歌い上げつつ、清潔で、執拗に感じさせない、弾力性のある腰のしなやかさと、鋭さには、これは参りました。
3楽章でこれだけ歌うんだったら、もう少し1楽章でも抑制せずに、ぐわっと熱く演奏してくれても良かったのに〜と、ちょっと恨めしい気もするが、いやいや、3楽章で充分満足です。拍手〜っ。
1966年 パールマン ラインスドルフ ボストン交響楽団  
1970年 チョン・キョン・ファ プレヴィン ロンドン交響楽団 Dec  
1977年 クレーメル ロジェストヴェンスキー ロンドン交響楽団 Eu  
1982年 クレーメル ムーティ フィルハーモニア管弦楽団 EMI
1985年 ムローヴァ 小澤征爾 ボストン交響楽団 Ph  
1987年 ミンツ レヴァイン ベルリン・フィル ★★★★
1987年 ミリアム・フリード カム ヘルシンキ・フィル Finlandia ★★★
1987年 マルコヴィチ N・ヤルヴィ エーテボリ交響楽団 BIS  
1991年 シャハム シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 ★★★
1996年 ヴェンゲーロフ バレンボイム シカゴ交響楽団 ★★★★★

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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