「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
Tchaikovsky: Piano Concerto No.1


チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(作品23)は、1875年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

チャイコフスキーは、当初、ニコライ・ルビンシテインを初演者として、彼に献呈しようと考え、1874年、クリスマスにこの作品の草稿の段階でルビンシテインと、もう2人の楽友に聞かせました。しかし、ルビンシテインから、思いがけずに「この作品は陳腐で不細工であり、役に立たない代物であり、貧弱な作品で演奏不可能であるので、私の意見に従って根本的に書き直すのが望ましい」と、激しく非難されてしまったそうです。
で、しかたなく、ハンス・フォン・ビューローへ献呈し、1875年に初演されました。
最初は酷評していたルビンシテインも、後に、何度も弾いて、この協奏曲を世に広めたというお話は有名です。
1879年、88年の2度にわたって、改訂されており、有名な冒頭のフレーズは、改訂の際に加えられています。

第1楽章 変ロ短調→変ロ長調 雄大な序奏と、変則的なソナタ形式の主部
有名な序奏は、シンフォニックで壮麗ですが、序奏主題は二度と再現されず、協奏曲全体で特異的な位置を占めています。ソナタ形式の主部は、3つの主題を持ち、第1主題はウクライナ民謡のリズムに基づいたもの、第2主題は、クラリネットで、さらに第3主題が変ニ長調で提示されます。
ピアノの華麗な装飾を伴って2つの主題が確保されると、第3主題から始まる展開部に入り、クライマックスが形成されます。再現部は、第2主題の再現後、カデンツァに入り、カデンツァは第3主題の再現を兼ねています。
第2主題が現れて、カデンツァが終わります。その後、オーケストラで第3主題が奏され、そのまま短いコーダに入って雄大に曲が閉じられます。

第2楽章 変ニ長調→ヘ長調→変ニ長調
地味なロシア風アンダンテと中間のソロのヴィルトゥオーソとなっています。

第3楽章 変ロ短調→変ロ長調
自由なロンド形式で、A-B-A-B-A-B-Coda(A)の構造をとっており、ソナタ形式の原理の応用も見られるもの。
第1主題は、ウクライナ民謡に基づいています。第1楽章の序奏主題のテンポが、第3楽章のコーダ直前の副主題の再現と(ほぼ)一致します。

なによりも冒頭のフレーズが、超有名な楽曲です。ここだけ聴いても、ハイ、とても気持ちの良いものですが〜 改訂の際に付け加えられたモノだったのですね。(今頃、知りました・・・)

ヴェルナー・ハース インバル モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団
1970年

Werner Haas  Eliahu Inbal
Orchestre Philharmonique de Monte-Carlo
(Monte Carlo Opera Orchestra)

ピアノは→    オケは→ 

録音状態は良い。地中海風というか、印象派的な演奏である。
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

1楽章
印象的なホルン「ふぁれどし ふぁれどし・・・」の後の、カデンツァ 「どっふぁっらっ どっふぁっらっ・・・ 」は、強いタッチだが細め。 ごつい感じではなく、いたって繊細な雰囲気が出ており、スマートである。 カデンツァにあわせたオケの音量も細めで、テンポは幾分速め。
「らふぁみ れふぁ〜み そ〜ふぁどれ しみ〜ふぁし」
「みどし ら〜み〜ふぁ〜ら みみふぁ〜 らふぁし〜らみ」
軽やかなタッチで、飄々と進み、ちょっと速めの回転である。
ピアノは、下降線を辿るところは力強い。メチャ、強い打ち込みなのだ、全体的には軽め。
泥臭くなく、汗くさくもなく、土の香りもしない。
オケが奏でている間、ピアノが埋もれそうになる盤もあるのだが、このハース盤はバランスが良い。
オケが、いたって軽やかに演奏されているためでもあるが、いや、軽めではあるが、意思は硬そう。ってな感じなのだ。重量もあり、硬めの渋い音色のピアノが、しっかりと弾かれている。
で、煌めきの良さ、粒立ちの良さとともに、低音では強い押し込みがある。
全体的には、軽やかで涼しい。
特に、弦の高音域のす〜っとした雰囲気は独特で、う〜ん。ロシア的とは言い難いし、ドイツ風という厳めしさもなく、どちらかというとフランス風。そう。おフランスである。
チャイコと言えば、厚めで硬くイカツイというイメージだったのだが、このハース盤には驚きっ。まるで、春風のような雰囲気がある。ハースのピアノでは、ドビュッシーのCDを持っていて愛聴盤だ。
で、主題が戻ってくるところ、「らふぁみ れ〜ふぁ〜み そ〜ふぁどれ しみふぁし〜」この弦の音って、滑り落ちそうなほど、ひぃ〜っと高い音で奏でられている。

はあ。モンテカルロって。こんな音だっけ。おおよそチャイコらしくない。って感じもするのだが。 これでは、まるで、地中海のような雰囲気だよなあ。やっぱり・・・。
音色は、明るくて印象派風の色彩である。で、ハースのピアノは、飛び跳ねているので、大変リズミカルだ。それに、パラパラと綺麗な装飾音がついているかのように、音が多く聞こえる。
まるで、風に吹かれたレースのようなのだ。
チャコの1番が、レースのようだとは・・・。にわかには信じがたいのだが。
音色は渋めだが、持っているパレットには豊富な色合いが詰まっているという感じがする。少し明るめのサウンドで、活き活きと、はつらつとしており、楽しげな気分にさせる。
フルートとピアノが絡むところは、まるで羽根が生えているかのように、ふわ〜っと聞こえる。

2楽章
「ら〜みしら〜 れどし み〜みら〜 らしれみ〜み れみふぁそ〜そ ふぁそらし〜し」
「ら〜みしら れどし み〜みら〜 らしれみ〜み れみふぁそ〜そ ふぁそら しれどど」
1楽章は、目から鱗的な、粒立ちの良い、色彩豊かなチャイコフスキーだったが、2楽章も続いていく。 柔らかくソフトで、フルートとピアノ、クラリネットやホルンの響きと、光が溶け合うように響いている。
オケ全体の響きとしては、高音が幾分勝っており、低音部分が薄い。
で、あまり、どっしりした雰囲気は持ち合わせていない。低弦の音が、入っていることは入っているのだが、1楽章から腰高になっている。
オケが巧いかと言われたら。う〜ん。どうでしょ。
しかし、食傷気味だったチャイコが、新鮮に聞こえてくることは確かである。
色彩感とリズム感には、どっしりした歯ごたえは無いものの、もっと、シャリシャリした、全く異なる風味を持ち合わせており、いかにも印象派的である。特に、小回りの効いたフレーズが出てくるところは、全く別の曲になっている。こんなに音が多いのか、音の多いフレーズだったのか。と驚く。
私自身のチャイコのイメージが硬直していたのか、偏っていたのか。
まっ目から鱗状態で、とにかく、耳が驚いてしまった。

3楽章
舞踏風のフレーズが続いていくが、タッチは硬いが細身で、「らっそ〜ふぁみっ らっそ〜ふぁみっ」
ッチャチャ・・・という合いの手が入っているが、オケが、へっ と思うほど、軽くて。こりゃ〜イカンでしょ。
金管がスカみたいな音で入ってきて、ちょっと。ずっこけた。
う〜ん ここはコクが欲しいところだが、いかにもオケが薄口で、まったりした感覚が少ない。
粘りが出てこないので、薄っぺらい映画音楽風に聞こえてしまう。
オケが、「らしら ら〜 ふぁそふぁらみ みふぁれ〜しれら らしら ら〜ふぁそらしど〜」
その後、ピアノが同じフレーズを弾くのだが、これは硬めでしっかり、ハキハキと刻んで行くので、ひょ〜
怒っているのか。と思うほど。明瞭で、きっぱりした口調で、テンションがあがっている。

オケの金管が、いかにも安っぽい雰囲気がするが、おかげでピアノが良く聞こえる。
これは、チャイコを聴くというよりも、ウェルナー・ハースのピアノの音を追いかけて、美音に浸る。という感じの演奏であるのかもしれない。
スマートで、地中海の乾いた風が、レースを揺らすような独特の風合いを持った演奏で、オケの力量は、どーも感心しないが、ピアノは絶品という。ちぐはぐな盤である。

ワイセンベルク カラヤン パリ管弦楽団 1970年
Alexis Weissenberg
Herbert von Karajan
Orchestre de Paris

録音状態は、まずまず。リマスタリングされており、わりとクリアーに聞こえる。分厚く、押しても引いても、動かないぐらいの堂々とした演奏である。圧巻。 カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

1楽章
かなり分厚い音で、雄大勇壮に、かっこよく冒頭のホルンが吹かれ、じゃじゃじゃじゃーん。と出てくる。
う〜ん。いかにも英雄的。ピアノもゴツイ。テンポはゆったりめ。
めちゃくちゃ堂々として、こりゃ〜びくともしません。
インテンポ。うへっ これまた、堂々としすぎで、唖然。
序奏部の終わりがた、いきなり弱音で、オケの身のかわし方が素早い。歌舞伎の七変化的で、変わり身の速さよ〜 ホルンが吹かれて序奏部の終息を告げる。
ここからは、ピアノの独壇場になるが重いこと、このうえない。

2楽章
意識しているのか、可愛く出てきて、う〜ん。ぶりっこ。と思ってしまう。
かなりテンポは遅めである。ゆったり〜まったりしているようだが、身をかがめて、指を動かして〜
そのうち、ピアノソロになると、メチャ速い。
合いの手のオケの「ジャン」も、相当分厚い響きあり。
これは、聞き所である。クラリネットの高音域の音色が響く。

3楽章
少し間を置いて、ティンパニーと低弦が響く。舞曲風のところは、最初の頃は、3拍目のアクセントがさほどついていない。いささか引きずっている感がしないでもないが、2度目は、ほどよくアクセントあり。
むしろ、オケの弦のピチカートが、よく響いて聞こえる。
ら〜しらら〜 ららららら・・・と甘い旋律のところは、ピアノとしては、とても浪漫的である。
さほど息が長い方ではないとは思うが、舞曲風に戻るところも、いろんなオケの音が聞こえてきて、
う〜ん。チャイコの多彩な顔が見えてくる。これはバックが面白い。
オケが壮大な舞曲になるが、ヴァイオリンの音色の甘さにピアノもまけていない。ここは、アルゲリッチの方が、熱くて、鋭い踊りを披露してくれているが、、、 まあ。ワイセンベルクさんの方は、オジチャンだよなあ。どっしり構えている感じだ。

オケの方が、がぜん、聴き応えがあるな〜と、ヴァイオリンの弦の後ろの木管の音に聞き惚れていたら・・・
ドシドレ・・・・と、怒ったように大きな杭を穿つごとく、ゴン!と、ピアノの音が鳴り始めた。
うわっ。ゴツイ。
オケとピアノと強奏するところは、あまりにもゴージャスで圧倒される。
ピアノの駆け上がるところは、ちょっとはっきり聞こえない。クリアーではなく、粒立ちは、う〜ん。綺麗ではないが、押しの一手で、迫力の方が勝るというべきか。
マッチョで、パワフルで、圧倒的な存在感があり、結構ねばり腰もあり、
う〜ん。これは、壮大で豪快なお膳立てのもと、立派な英雄サンを努めたと思う。ホント、見事だ。

ギレリス メータ ニューヨーク・フィル 1979年
Emil Gilels   Zubin Mehta
New York Philharmonic

録音状態は、あまり良くない。デジタルでのライブ盤なのだが、高音域が強くなると、甲高くなって聞き苦しいところがある。
演奏は、豪快かつ繊細で、抒情的である。
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番(ピアノ:ゲイリー・グラフマン、バーンスタイン ニューヨーク・フィル 64年)

1楽章
冒頭のホルンから、もう圧巻。すごい音量でパワフルに出てくる。オケの弦の迫力と力強さ、締まりの良さに、何度聴いても、すげ〜っ。すごいっ。
その後のカデンツァも、硬めでがっちりしており、なみなみならぬ迫力に圧倒される。これぞ、チャイコだ。
また、音が良い。よく響いて、迫力とリリシズムと、刻むリズムの感触がたまらない。 深夜であっても、大きな音で、ボリュームアップして聴きたい衝動に駆られる。

3拍子の「らふぁみ れふぁ〜み そ〜ふぁ どれみれどし〜み〜ふぁし〜」
「みどしら〜み〜ふぁ ら〜みれみふぁ〜そら〜ふぁ〜しらら〜 みふぁふぁ〜 ふぁどしし〜それどど〜」
ちょっとペダリングの甘いところもあるけれど、なんと綺麗な3拍子なんだろう。
綺麗で、キラキラしてて、それでいて、硬くって。ベタな表現だが、鉱物が光り輝いている様のようだ。
で、リズムを抑えて、ブレーキもかかっている。
オケがのヴァイオリンが、高音になると、ヒスを起こすのが玉に瑕だが、これはいかんともしがたいが、ピアノには、ホント、ぞっこんになるほど。
ホルンが鳴ったあとは、ピアノのソロが始まるが、タッチが硬いけれど粒が良いのだろう。
強いタッチで、テンポを保ったまま淡々と進むが、木管の抒情的なフレーズが奏でられると、ピアノも一気に抒情的な雰囲気に変わる。会話をしているかのような、優しげな表情に変わるところは、みごとだ。

「れし〜ど そど〜れ らそしら そふぁみし れれらふぁれ らそふぁそ らそふぁそ〜」
とリリシズムたっぷりに木管が奏でると、ピアノも寄り添って、細かいフレーズを刻むし。
豪快さと繊細さの両方を兼ね備えたところは、心底すごい。と思う。
そのあとの息づくようなフレーズから、フルートが囁くフレーズも、ホルンの呼応も、裏のピアノが装飾してくれてこそ生きてくるし。ピアノが前面に出てくるところと、バックを務めるところと、微妙に音を変えるところが、やっぱすごい。このピアノのタッチや音色の変化が、粋で〜 楽しい。

ティンパニーの後、「ふぁ〜みれ〜 ふぁ〜みれ しどふぁ〜みれ し〜ららそ らそ し〜らそ」
このため息をついているかのようなメランコリックな旋律も、オケとピアノが調和しながら奏でられている。
このギレリス盤を聴いていると、チャイコフスキーのP1番は、冒頭だけじゃーない。
中味も、ぎっしり詰まってるな〜って、心底思い、そして聞き惚れてしまう。
(あたりまえなのだが、再度、認識をするのだ) オケも巧い。盛り上げ方を知っている。

2楽章
「ら〜みしら〜 れどし み〜みら〜 らしれみ〜み れみふぁそ〜そ ふぁそらし〜し」
フルートを聴いていると、適度な残響があることに気づく。
柔らかく、緩やかさを持っている。ホルンとフルートが呼応するなか、ピアノは、鮮やかなタッチで、細やかに刻んでいく。旋律は、チェロに移っていくが、バックを務めるピアノの綺麗さが際立っている。
オーボエの音も良いし、オケも、なかなかに歌っており、のびやかで気持ちが良い。
まるで小鳥がさえずるような、ピアノのソロがあり、いや〜 ふくよかで、幸福な楽章なのだと、今更ながらに感じてしまった。爽やかな気分にさせてくれる楽章なんだな。と。
へえ〜 この楽章って、気が緩んで、いつも眠くなるところなのだ。
ギレリス+メータ盤は、この楽章も、良い意味で緊張が切れない。木管が大活躍だと思う。

3楽章
変な癖がない、素直な付点のリズムだと思う。大きな舞曲で、おおらかだ。
「ん たら〜らら ん たら〜らら」
品もあるし、歌心も満載で、のびやかである。異常なほど熱気を帯びてくる盤もあるのだが、いや〜抑制が効いている。内声部も、速く回転しており、よく聞こえてくる。聞こえすぎるほど〜。
これだけ、木管が響いていた盤があっただろうか。アルゲリッチ盤は、ほとんどピアノしか聞こえてこないぐらい、豪快でダイナミックだったと思うが。
メータのオケも、鳴りっぷりも大きく、豪快だが、きちんと内声部も主張している。クラリネットも、オーボエもよく通る声をしているのだ。そのくせ、弦に旋律が移ると、う〜ん、メランコリックに抑揚がついてくるし。
あ〜っ たまらないほどに、歌い方が巧すぎる。
テンポを微妙に落として歌うところ、そして、更にテンポをあげていく。その間合いが、きっちりとられていて、舞曲と、メランコリックな歌と、木管群との兼ね合い。リズムだけが主体とはなっていない。 そのバランスの良さが、特筆される。
最後、ピアノの豪快な駆けあがり。う〜ん。すごいパワフルな音である。度肝を抜かれる。

「そらそ そ〜みふぁみそれ れみど〜らどそ そらそ ど〜 どれみふぁみ〜 どれみふぁみ〜」
「みふぁそらそ みふぁそらそ そらしどし そらし〜みらそ〜れそふぁ〜しそふぁ〜しふぁみ らみれ ら〜」
弦が、ちょっとヒスっているが、う〜ん なんのなんの。メチャ速く最後は、一気に駆け上がる。
ど〜ぉっっ 最後の音に、拍手がかぶっているが、う〜ん。こりゃ〜フライングも致し方ないか。
この心情、わからんでもないかな。すごく熱狂的に終わっている。おみごとっ。

デジタルのライヴ録音で、ギレリスさんの恐らく6回目の録音で、最後になったもの。
弦の高い部分では歪みがあり、擦れた甲高い音になってしまっているが、この演奏を損ねるという感じにはならない。もちろん、リマスタリング盤があれば欲しいが、SONY盤は出ていないように思う。
この録音の前に、75年のマゼールとの共演盤(EMI)があり、これはリマスタリングされているようであるが、私は未聴である。
ヴィクトリア・ポストニコワ ロジェストヴェンスキー
ウィーン交響楽団 1982年
Viktoria Postnikova Rozhdestvensky
Wiener Symphoniker
(Vienna Symphony Orchestra)



録音状態は良い。あまりメリハリ感がなく、平凡な感じがして、あまり楽しく聞けなかった。ごめんなさい。
カップリング:チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番、第3番
1楽章
ポストニコワさんは、指揮者ロジェストヴェンスキーさんの奥さんである。
勇壮なホルンから始まり、ピアノのダイナミックな響きもあって、最初の登場は、いいな〜って思いつつ聴いていた。ちょっとスピードは遅めだが、丁寧な弾き方である。
録音状態も良いし、なかなか良いなあ〜と、しんみり聴いていたのだが、ピアノの小節まわしが、ちょっと癖が強いんである。繊細な音というよりは、図太い音が響く。
それに、節回しというか、階段を降りてくるのに、どうも膝が悪い感じで、ギクシャクしているのだ。
変なところにタメが強い。ん ぐぐっ。 ん ぐぐっ。あらら〜 関節痛なんだわ。って感じである。
録音当日、小指が痛かったのかもしれない。いや、いや冗談だが〜
それか、ペダルを踏み込みすぎて、足が引っかかったとか。(そんなワケないか〜)

粒立ちよく、タタタタ タタタタ・・・と、ピアノとコロコロ転がっていくフレーズのところでは、ぼやけていたので、ちょっと、のけぞってしまった。
えぇーっ ここは、もっと音を立てて、キラキラ弾いてくれないと〜 
う〜ん。足腰の弱い、おばあちゃんのような転がり方で、よろめき過ぎで、とっても怪しい。
しかし、それは、ほんの一部のフレーズだけで、総体的には、おおらかにピアノもオケも歌っており、悪くはない。
金管も勇壮に響いているし、迫力も十分である。
スピード感のある、切れのある演奏ではないが、さほど、泥臭いワケでもない。
ただ、内省的なフレーズになると、一気に鬱々と、もわもわ〜と弾いているのである。
おそらく、これが、ピアニストの癖なのか、アプローチ、解釈なのだと思う。

スレンダーな女性的な演奏ではなく、どこか、表現が濃いというか、味付けを濃くしているというか、胸板の厚いおじちゃんの前に、変に、ウジウジした、ちょっと太めの女性が、突然現れてくるようで、、、
なーんか、メロドラマを見ているような気分になって、ワタシ的には、ちょっと、ひいてしまった。
この雰囲気には、、、う〜ん。ワタシ的には、賛同しかねてしまう。
ピアノの音と音の間合いが、ちょっと、あいちゃう感じもするし、う〜ん、ちょっと一貫性がない感じを受けてしまった。

2楽章
内省的な静かなフレーズが続くので、1楽章のように、モワモワ〜っとしていたら困るなあ。と思っていたのだが、まずまず、静謐な感じがして好ましい。
オーボエのフレーズも丁寧で、穏やかだ。
特に、際立っているわけではないけれど、粒立ちも良いと思うし、巧いとは思う。
ホント、穏やかな丁寧な感じを受ける。ピアノの表情付けは濃くないし、普通。(普通って言っちゃ、とても失礼だが)
ワタシ的には、オーボエのフレーズが主体で、ピアノが、さりげなく寄り添って行く感じがして、好感が持てる。

3楽章
もっと、バンっとティンパニーが入ってくるかと思ったが、意外とおとなしい。
跳ねているフレーズに、癖は感じない。もっと、跳躍感が欲しいし、この舞踏的なフレーズには、タメが欲しいぐらい。
う〜ん。やっぱりパンチが効いていない。
高音域のピアノも、キラキラしているし、フレージングの膨らまし方には、嫌みはないのだが、それがかえって個性に欠けているとも言えるし、このバランス感覚は、なんとも難しい。
木管群とピアノの呼応しているところは、巧いと思う。だけど〜 やっぱ内心、ピアノに個性が欲しいところ。
幾分、なまっているものの、結構、平凡な感じがする。ワタシが、濃い味付けの演奏に慣れてしまったのかもしれないが、ねっとりした感覚だが、どこか鈍い。ポストニコワさんの演奏は、う〜ん。

総体的に、このCDは、テンポが遅めなので、重々しく勇壮な感じを受けるが、ピアノに、メリハリ感が少なく、何度か繰り返して聴くと、飽きる。どことなく平凡な感じを受けるのだが、なぜだろう。
もっと、引き締まった筋肉質のピアノの方が、好ましいかもしれない。オケは、どっしり感はあるものの、中音域が、妙に乾いた感じがする。う〜ん、慣れ親しんだ曲だが、なかなか、しっくりしたCDに出会わない。

アンドラーシュ・シフ ショルティ シカゴ交響楽団 1985年
Andras Schiff
Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

もえてるぅ〜    こりゃ良いわ〜拍手   

録音状態は極めて良い。シカゴ響のオケの切れが良く活力があり、シフさんのピアノも綺麗だ。疾風怒濤のなかでの繊細な演奏で、とても瑞々しく、そして熱い。
ライブ盤さながらの熱気が充満しつつ、新鮮で目から鱗!これはメチャお薦めっ。
カップリング:チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番、ドホナーニ 童謡の主題による変奏曲(キラキラ星の主題による変奏曲)Op25

1楽章
まず、冒頭のシカゴ響の金管 ホルンの出だしが、う〜ん。スッキリっ。
勢いがあって、切れの良い音に仰天してしまった。なんて勢いのあるスピードの速い、活力のある音なんだろう。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲の冒頭は、ぶあつくて、どっぷりとした音でなければ・・・と、耳も頭も、勝手に思い込んでいたようである。
あーっ なんて、クリアーな綺麗な音だ。今まで、音の割れた、ぼわっと、でっぷりとしたホルンの音を聞きすぎたのか・・・。
この冒頭のフレーズだけで、なんだか、目から鱗が落ちた感じがする。
とにかく、シカゴ響の冒頭のフレーズで、まず、やられました。こんなに、スキッとした勢いのあるホルンの冒頭は聴いたことがない〜 とホント思う。
もちろん、シフさんのピアノの音も負けておらず、この冒頭の勢いに乗っている。
ソロに入ってから、幾分スピードは落としているが、それにしても繊細で、細かな音のなかに、きらっと光っており、粒立ちがハッキリとして極めて美しい。音が立っているというか、ホント瑞々しく、音が上向きに弾む。
それに、とっても録音状態が良いのだ。メチャクチャ、ヌケが良てクリアーで、いっきに引き込んでくる、静まり感がある。

なんたって、低音の音もしっかり入っているし、オケが、迫力がありながら、切れのよい尻上がりにテンポをあげて、歌うっ。
勢いと、うねる勢いと、音の広がり感が、マッチしている。
オケの木管も透き通った音で、見通しが良く、ティンパニーの打ち込みは激しく、金管と共に、盛り上がってきてスピードを上げていく。テンションの高さと、静まり具合の良さ、緊張感を持っているため、途中で、だれない。

そこにピアノがかぶさっていくのだが、スピードは落ちない。で、一気にスピードを落としてソロに突入。すげっ。
怒濤と静寂が、紙一重的に、すわっと入れ替わり、で、またまた、ピアノの繊細な音が、段々と盛り上げて行く。
なにせ、オケのテンションが超高いっ。でも、かなり理性的なのだ。
「ふぁどぉ〜れ らみ〜ふぁ どしれど しらそれ みみら〜み らしみど そら みど〜れ ふぁどぉ〜・・・」
歌うところは、みごとにフレーズを膨らませて、ゆったり優美に歌う。
そりゃ 黙って素っ気なく弾いても、チャイコフスキーの旋律は美しいが、金管の「しぃ〜 しぃ〜っ」っと連続で吹かれている場面だって、ピアノの音が綺麗に呼応して響いている。これは、みごと。
オケの怒濤のような熱き旋律と、優美で繊細な旋律、そして静寂が、入れ替わり立ち替わりにお越しになって、ワタシは、久々に、メロメロ状態になってしまった。
この曲で、1楽章だけで、これだけ、聞き惚れた盤があったかしらん。

2楽章
「ら〜みしら〜 れどし み〜みら〜 らしれみ〜み れみふぁそ〜そ ふぁそらし〜し」
オケの木管フレーズは、細身だが、しっかりと芯のある音で、ゆったりとトレースしていく。ヌケるような音質で、繊細なピアノを傷つけないように寄り添っていく。
そろっと、しかし、深く息を吸い込んで、それでいてスピードを持って進んでいく。ホルンの音色も、神秘的で柔らかく深い。
ここは、木管、特にオーボエの素敵なフレージングで、やられました。
また、中間部のピアノのソロでは、くるみ割り人形のようなチャーミングな遊び心満載なフレーズが続き、なんて、密やかに遊ぶのだろうと、感動すら覚える。
チャイコのピアノソナタかと思うような、夢のなかで遊ぶような広がり感があり、チャーミングさ、細やかでゆったりと優美な、手抜きのないピアノの丁寧な細やかな音が続く。ここだけで世界観が完成されている。

3楽章
この楽章は、疾風怒濤と繊細な音で、う〜っ 凄すぎっ。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲が、まるでプロコフィエフの3番を聴いているように、メチャクチャ興奮して聴けてしまった。
はーっ! すごいっ。これライブ盤じゃーないですよね。
すごいっ。これだけのテンションで、ピアノも走っているし、オケの熱いっ ありえないっ!
激しい舞曲の付点のリズムのついた「ッチャチャ たら〜」という舞曲風のリズムが入ってて、かなり熱っぽくなる終楽章だ。
いささか攻撃的とも思えるオケの畳みかける勢いと、それを、いなしてかわして繊細なピアノの音が入ってくる。
アハハ〜 こりゃ、ケンカにはならないわ。性質が異なるものが、コラボしてて〜 完成品になっているのだ。
オケは、確かに、勢いはあるが、木管の繊細な音は絶品だし、透明度の高い、奥行の深いホール感のある舞台だ。
で、チャーミングに、それでいて丁寧に粒立ち良く、几帳面に弾かれていくピアノの音には、ホント驚かされてしまいました。
自分の主張は曲げない。これぞ、協奏曲っ!

思わず、3回繰り返して聴いてしまった。すごいっ すごく楽しいっ すごく面白い、凄い目から鱗っ!!!
こりゃー 何度聞いても、拍手です。ライブ盤さながらの熱き演奏で、オケもピアノも、メチャすごい。聞き慣れたこのチャイコフスキーの協奏曲が、いかに新鮮に聞こえるか。
昔っから聴いていた、この曲、ワタシは、いったい誰のCDを刷り込まれてしまったのだろう。アルゲリッチお姉さんの演奏だろうか〜 コンドラシン盤だったっけ。いや、ワイセンベルク盤だろうか・・・。いやいや、それも凄かった。

しかし、シフさんは、バッハやモーツァルト、お国モノのバルトークが有名だが、勝手にイメージをつくりあげて、チャイコフスキーは圏外だと、てっきり思い込んでおりました。で、今、えっ 廃盤状態っ。
うっそ〜っ こんな素敵な盤は現役で売ってくださいよぉ。これは廃盤にしちゃーダメですよぉ。
(って、ワタシも偉そうなことは言えませんが・・・汗) なにとぞ、現役盤に戻してくださいませ。お願いしますっ。

イーヴォ・ポゴレリチ アバド ロンドン交響楽団 1985年
Ivo Pogorelić  Claudio Abbado
London Symphony Orchestra

         

録音状態は良い。遅いところはメチャ遅いという、個性的なテンポ設定だが、繊細 で、傷つきやすそうな、極めて内省的な演奏だ。しかし、これが、チャイコの生涯とダブり、どこか郷愁を感じ、共感をおぼえる。
カップリングは、下記のとおり。
「The Genius of Pogorelich」 2枚組BOXより

カップリング
CD1
ショパン プレリュード嬰ハ短調op.45、スケルツォ 嬰ハ短調op.39、ノクターン 変ホ長調op.55-2、シューマン トッカータ op.7、ブラームス  間奏曲 イ長調 op.118-2、スカルラッティ ソナタ K.135、K.13、K.380
ラヴェル 夜のガスパール
CD2
ショパン ピアノ協奏曲第2番(アバド シカゴ交響楽団)
チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番(アバド ロンドン交響楽団)

1980年の第10回ショパン・コンクールの時、ポゴレリチさんが入賞できなかったことに、アルゲリッチが猛烈に抗議して、審査員をやめた〜という話は超有名だ。 また、自分の倍ほどの年上の女性師匠と結婚したものの、この師匠&奥様が亡くなってしまい、そこから、どうも落ち込んだらしく、ポゴレリチさんは病気になってしまったとのこと 。
その後、復活されたのかどうか・・・ ワタシは近況を知らないが、天才肌の演奏家というイメージがある。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲は、う〜ん。これは絶句状態。
聴きなれた曲だが、これは、もう〜 別モノという感じで新鮮である。
カップリングされたショパンの2番の方が、もっと特徴が際立っており、かなり新鮮に聴ける。

1楽章〜3楽章
印象的なホルン「ふぁれどし〜(ジャン) ふぁれどし〜(ジャン)」と勇壮に鳴ったあとの、ピアノのカデンツァは、 最後の3つめの和音が、すごい甲高い音で、弾んだように叩かれる。
それが5度続く。
6度め、7度めは、普通の柔らかい音だが、また、甲高い鋭い音が続いていく。
うへっ? なんでぇ〜。この分散和音にどういう意味を持たせているのか、ちょっと解らないが、この3つめの和音を、弾むように、高めに叩くっていうのは印象的だ。
まっ アバドの指揮も、結構、初めから熱く、鳴りっぷりが良い。
流麗で布がはためくような、柔らかく、彩度の高い音色で、充分に鳴っている。
録音状態にもよるのだろうが、オケのピチカートが、ピアノに隠れてしまいがちだが、重厚さというよりも横に流れていく感覚が気持ちよい。
縦の和音が、カッチリ合わさっているというよりは、横のフレーズ重視で、振幅の大きさと、膨らみ感があり、流れの良さというのを感じる。 ピアノのソロは、水の流れのように〜 いつの間にか、水面に隠れてしまうような〜 ナイーブな感じだ。
弱音で、消え入るように奏でられており、そこから、じわじわ〜と染み出て、また膨らみいくような感じがする。すごい。この消え入るような弱音で、雨粒のように演奏されるチャイコねえ。
はあ。なんか違うよなあ。と思いつつも、あまりの新鮮さに、あまりの繊細さに、驚きっ。

間違っても、ギレリス盤のような、鉱物資源のような、硬いピアノではない。 ポゴレリチさんって、ワタシ的には、これは液体的演奏家だとな〜って思う。
雨粒が降っているように弱音に徹して演奏しているかと思えば、怒濤のように下りおりて、沈殿しているし〜いつの間にか、水面に隠れてしまうし〜  その形が、すばやく変化しており、自分の掌では、とても、とらえきれない、もどかしさと、繊細さを感じさせられ〜 思わず、耳がそばだち、聴こうとする意欲に駆られる。
気がついたら、のめり込んでいるって感じ。

アルゲリッチさんの演奏だと、この点は、猛烈に肉食系、動物的って感じがするんだけど〜 ポゴレリチさんは、水系、液体系って感じがするんだよなあ。
音の流れが、さっぱりしてて、もっとナチュラルで、跳ね返ってくる余韻があって〜 とっても不思議感の漂うモノになっている。音楽って、1つ1つのフレーズ、いや1つ1つの音で、これほど心境に変化を与えるモンなんですねえ。(と、改めて気づかされるのだ。) 何度聴いてみても、ものすご〜く、感覚的に訴えてくる演奏で、この演奏家の感性が、表面に出てきてて〜 この人の感性に共感を覚える方は、何度聴いても、飽きないと思うんですけど、合わない方は、ダメって感じで終わっちゃう演奏です。

どういえば良いのか〜 ホント、このCDを聴いた感想って、ワタシの持っている言葉では、ちょっと〜
書き表せないデス。超感覚的な言葉が必要で〜
とても、とても〜 1楽章から分析的には書けないです。文字や絵では表現できないって、これは、音楽の持っている大変重要な感覚の1つだな〜とは思うんですけどね。(苦笑)
テンポをいじってくる演奏家も多いと思うんですが、CDでは、普通は、何度も聴けないです。
また、このポゴレリチ盤も、繊細すぎて〜 何度も繰り返し聴くには、正直、ちょっとシンドイ。
しかし、共感は感じました。この点は、聴き手の感性にも相当に依存すると思いが、、、

ボレット デュトワ モントリオール交響楽団 1986年
Jorge Bolet
Charles Dutoit
Montreal Symphony Orchestra

    おぇ〜キモイ         

録音状態は、まあまあ〜 演奏は、超スローでテンポが定まらず、速いところが遅めで、遅いところが速めという状態で、予測不可能で、気持ちが悪い。船酔い気分に陥った。
ある意味、嫌がらせ的な演奏だ。
カップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

1楽章
ホルンの冒頭は、普通に出てきた。ピアノの三拍子のバンバンバン・・・のカデンツも、普通のテンポだったと思う。
弦のピチカートの後・・・ ん? えーーっ???

ボレットさんって、遅いんだなあ。この人、リスト弾きじゃーなかたっけ?
確かなタッチと美音で有名な筈。と思って聴いていたのだが、そのうち、段々遅くなってきて、ますます遅くなってきて〜
えっ 壊れたの。うちのCDプレーヤー? という状態に陥った。 段々、1音1音が、止まりそうなぐらい遅くなっていく。
はぁ? 
極めつけは、遠いホルンの音色があって序奏部が終わりを告げる際で、ホルンが気の毒なぐらい、もうアカン。
息継ぎができないほど、のびて のびきって〜 音が垂れはじめたその頃。
うはぁ。。。なんじゃこりゃ?!
ピアノが始まるその部分になって、更に口が、ぽかーん。

あのアルゲリッチの火の出るような、ほとばしる勢いの演奏を聴いた後だと、耐え難いほどの超スローだ。
確かに、チェリビダッケのように遅い演奏は、あるにはある。が、しかし・・・ あのチェリさまの演奏は、緊張感が続く。
このボレットの演奏は、緊張感は、ワタシ的には、まったく続かない。ソロの部分は特に・・・。これじゃー演奏家が泣くでしょ。嫌がらせですかねえ。デュトワさんも、黙っているのかしらん。CDジャケットの写真は社交辞令でしょうが・・・。
それに、これでは協奏曲にはならないような気がする。
バックが間延びしきってしまって、異様に遅いピアノについていけてない。そりゃ〜 めんくらうわなあ。テンポが、普通の演奏とは、ちぐはぐなのだから。真逆でしょ〜

ピアノは確かに美音である。水滴が、空中に飛んでいるような気がする。 ピチピチしていて、高音など、美しいのだが、う〜ん。やっぱ。ボレットさん、アンタだけやん、自分の世界に浸りきってるの。
百歩譲って、チャイコのピーコンには、どんな音が詰まっているのか、まっ ある意味、耳にして、考え、覚え、学ぶ。という点では、勉強にはなる。なるにはなるが、音楽を構成している要素の1つが、抜け落ちてしまったら、どうなるか。
本音を言うと、ただでさえ長大な1楽章が、ながくって〜息切れして、満腹になってしまったのである。

2楽章
初めは、1楽章と同じく、超すろー。眠気に誘われてしまって。。。
途中、壊れたような目覚めのティンパニーが1発。怒ったように叩かれたが、また寝そうになった。

3楽章
火のついたようなアルゲリッチが、こんな音を弾いていたんだ〜と、思い出しながらボレットの演奏を聴く。
バックは、普通に演奏したいのだろう。走り出したくて、ウズウズしているようだ。
とにかく、テンポが定まらず、予測ができない。
速いところ、普通のところ、スローのところ。どれにしますか?と、いちいち、お問い合わせが必要なようで、オケが空中分解。なんだか、こっちまでイライラしてくるし、あーっ やだ。 イライラするっ。
普通に演奏してよぉ〜!と、文句を言っていたら、高速に変わって盛り上げて、一応普通に終わった。
なんだぁ〜これ?
超スローでするなら、最初から最後まで、やりとおしてくれよぉ〜(泣)
これじゃ。まるで船酔い気分だよぉ〜 速くても、緩くても、ある程度の時間をおくと、耳は慣れてくれるのだが・・・ もともと緩いところに、ところどころテンポが変わり、それが予測できず。
おまけに、速くして欲しいところが速くなく、へっ。と思うところで速いとなると・・・ う〜ん。

少なくともワタシには、不快であるとしか言えない。だめだぁ〜こりゃ。今、えっ これ現役盤で売っているの?
うっそーっ ! なぜ、こんな超スローテンポにしているのか、そのワケを知りたいところだが〜
とにかく、このボレット盤は、スピード感は、音楽の大切な構成要素の1つであると教えてくれた盤ですが、こんな反面教師的な盤は、う〜 どひゃん、聴き手をどう思っているんでしょうねえ。これには倒れました。ワタシには無理です。

ミハイル・プレトニョフ フェドセーエフ 
フィルハーモニア管弦楽団 1990年

Mikhail Pletnev
Vladimir Fedoseyev Philharmonia Orchestra of London

   

録音状態は、まずまず。大胆かと思えば繊細で、クールなくせに熱く、煌びやかで綺麗かと思うと音が濁る。二面性のある個性的な演奏。
カップリング:チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番〜3番、協奏的幻想曲Op.56 2枚組

1楽章〜3楽章
冒頭の有名なフレーズは良いのだが、ちょっぴり個性的な演奏である。
ハッキリと、メリハリつけて、細かく動き、俊敏に動きまわるような動物的なピアノである。
フレーズのなかで、句読点を打つところが、ちょっと他の人と違っていて、ギクシャク聞こえてしまうところもあるが、総体的には煌びやかな音色である。
「れし〜ど そど〜れ らそしら そふぁみし どど ふぁ〜ど ふぁられし」
「れし〜ど そど〜れ らそしら そふぁみし どど らふぁみれ らそふぁそ らふぁみれ しらそら〜」
「ら しどれ れ みふぁそ そらしど どれみふぁ・・・」、打ち込みの強い音で上がっていくところがある。
う〜ん。美しい音色でオケが奏でているところを、ドンっとアクセントを置くところがある。
ふわ〜っと弾き流すところと、ふわっ〜っとピアノが寄り添い、オケに乗るところを、ガツンと一発入れるところがあって、なーんか違和感を感じてしまった。
綺麗なピアノの音なんだけどなあ・・・。

フェドセーエフさんのオケも、かなり熱っぽいのだが、急に火がつくようなところがあって〜 
恐ろしいピアノの駆け下り、駆け上がりが、競演って感じで演出されている。
で、ペダルが長くて、ぐわ〜っと音が濁って、濁ったなかで渦巻きが起こっているような感じだ。
オケと一緒になって、急にテンションがあがって、一緒に燃え上がっているのだが、聴き手が置いてけぼり〜って感じがなきにしもあらず。
えっ こんなところで火がつくの〜と驚いているうちに、次に進んでいくし、切り替えが速い。

で、弱音のところは、メチャ綺麗に音が、小さな粒になって飛んでいく。
この盤、ライブじゃーなかったと思うんだけど・・・。←スタジオ録音でした。
恐ろしく繊細で、エキセントリックなところと、ふてぶてしいほど堂々として、厳つい弾き方をするところと、驚くほど対極の要素が混在している。
二面性のあるチャイコってところだろうか。
まっ、二面性だけじゃー ゲイジュツカはつとまらないだろうけど。
クールに演奏されるところと、たっぷり朗々と歌うところがあって、それが面白いと言えば面白いが、かなり聞き込んで馴れないといけないかも。 打ち込みの速さ、強さ、熱いくせに、クールに嘘ぶいて、いたって澄まして歌ってくるところがニクイ。
聴き手が手玉にとられているような感じがするし、個性的ではあるが、演奏家としてはユニークだと思うし、新しい発見もあり、新しいアプローチに引きこまれてしまう。 問題提言をしているような演奏なんだよね。

しかし、熱いのは良いけど、ガツンと一発爆発しておいて、ぐわーっと濁った音でかき鳴らす、このスタイルは、ちょっと驚きである。 ホント最終楽章のガツンは、相当に驚かされた。
プレトニョフさんの演奏は、かなり風変わりだが、食傷気味になっているこの楽曲を、再度見直すというか、考えさせられちゃうところがあり、変わっているが相当に面白い。少なくとも、聞き直す、聞き込みたいと思わせる要素を含んでいることは確かっ。 なんだろ〜 どーしてなんだろ? いつもと違う。予定の範囲を超えているんだなあ〜
ホント、この人、役者みたいだ〜と思っちゃう。はぐらかされてるんだけど、それが、許容範囲を、幾分超えたところだけで済んでいるところが、またニクイ。くっそ、くやし〜いっ。そう思っちゃうのだ。

で、プレトニョフさんは、指揮者としても活躍しているが・・・。
この人が、もしマーラーを振ったらどんなことになるのか、ちょいと想像がつかない。
誇大妄想が、さらに発展し、巨大なバケモノへと変化するだろうか。興味はある。
で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1〜3番の全曲と、協奏的幻想曲まで入っているという貴重な盤でもある。これは、やられますなあ。くやしーっ。

ヤブロンスキー ペーター・マーク フィルハーモニア管弦楽団 1993年
Peter Jablonski  Peter Maag
Philharmonia Orchestra of London



録音状態は悪くはないが、93年のわりにはお粗末。
抒情的だが、熱すぎず淡泊すぎず、ロシア風の匂いはせず。
私的には未知数だな〜と感じさせる1枚だ。オケが、どーも、私的には肌に合わない。 カップリング:グリーグ ピアノ協奏曲、チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番〜3番 2枚組

1楽章
印象的なホルン「ふぁれどし〜(ジャン) ふぁれどし〜(ジャン)」と勇壮に鳴ったあとの、ピアノのカデンツァは、ゆったりと重厚に鳴っているが、いたって普通。
鳴りっぷりには文句はないが、テンポがゆったりしている感じがする。
ピアノの「らふぁみ れふぁ〜み そ〜ふぁどれ しみ〜ふぁし」「みどし ら〜み〜ふぁ〜ら みみふぁ〜 らふぁし〜らみ」 と、重厚には鳴っているが、う〜ん。ワタシが速いバージョンを聴いてしまったからかもしれないけれど、丁寧ではあるが、特段繊細でもなく、テンポが遅いなあ〜と思ってしまった。

ヤブロンスキーさんのピアノが悪いわけじゃーないのだが、オケの重さが気になる。
これ、録音状態が悪いのか、音色が悪いのか、高音域のパラパラした音は、それなりに綺麗に聞こえるように思うんだけど、コントラバスかな。低弦の音が、ピアノの後に続いて、同じ音を低い音で出して行くが、「そみれどし そみれど しそふぁみ・・・」と続く音が、う〜ん。濁るんだよなあ。

「らふぁみ れ〜ふぁ〜み そ〜ふぁどれ し〜みふぁみ〜みどしら〜」と続くフレーズの、ねちっこさ。
どろどろ〜と濁った音で、れぇえ〜 そぉ〜 しぃ〜と響いている。
低弦の響きに透明度がなく、ティンパニーの音がどろどろ響き、総体的に弦にキレが無いので、後味がすこぶる悪い。ピチカートも、もっさりしてるし〜 なんじゃーこれ。
ピアノの低い音も入っているのだが、なーんか、キレがイマイチなのだ。
フィルハーモニア管なので、音色は悪い筈ないと思うだけど〜 あー どうしてなんだろ。オケ自体の音色が、変わってしまったのかしらん。
ひとことで言っちゃうと、オケは、鈍重に感じちゃう。
音のバランスがイマイチなのだと思う。
オケでも、フルートはよく響く通る音をしているが、弦の低い音が、ほとんど聞こえてこなかったり、うまく収まっていると感じられない。 かといって、熱っぽくは演奏してくるし〜 楷書体でありながら、柔らかいフレーズ感であるし〜
でも、何故か、あまり褒められない。
いや、ピアノと頭出しが揃わず、えっ。と感じちゃうところもあるし、どーも巧いとは言い難い。 ピアノは、重厚さと繊細さを持ち合わせてて、淡泊すぎず、こってりすぎず、硬いのか、粒立ちが良いのか、う〜 微妙なところでバランスが取られている感じがする。
でも、まだ、どっちも言えないような〜 う〜 これを聴く限り、私的には未知数だな。と思ってしまった が、かなりの繊細さを持っており、ソロ盤を聴きてみたいと思わせる。

2楽章
粒立ちが良いとは言いがたいけれど、なかなかに、煌めきを感じさせる繊細な音が入っている。
オケは、このさい、どっちでもいいや〜的で、風呂場風に響いている音が、ぼったり厚め。
が、ピアノが、「ら〜しみら〜 れどし み〜みら〜」と奏で始めると、うっ これいいかも。と思わせる。
協奏曲じゃなくって、ソロの小曲の方が向いているのかもしれない。って思い始める。
なかなかに可愛いのだ。

ホルンの「ふぁ〜しみら〜」 フルートの「し〜み〜しら〜」のフレーズのところで、ピアノが「「らしらしらし らしらしらし・・・」と弾いているのだけど、このあたりの繊細でかわいらしさは、聴き応えあるのだ。
多分、低音の響きがクリアーじゃないことが致命的なんだろう。音が重なってくると、どーもドンよりしているのが感じられるのだ。あとは良い〜んだけどなあ。普段なら気づかない音が、さりげなく入っているようで。
結構、このピアノはいける。他の人だと、どーでもよいや〜的な箇所(← いや正しくないな)
普段、耳がピクンと、ならないところが、ヤブロンスキー盤では、丁寧に粒立ちよく聞こえるのだ。
天の邪鬼とも言えないけれど〜 新鮮に聞こえてくるのは確かである。2楽章は、良いなあ〜。

3楽章
ちょっと木管が良く聞こえて〜 舞踏風のフレーズが、軽やかに演奏されている。
この3楽章は、歌うフレーズがたっぷり入っていることと、「ッチャチャ たら〜」という舞曲風のリズムが入ってて、かなり熱っぽくなる終楽章だ。
で、この演奏は、ずぶずぶにロシア的ではない。 木管が大活躍してて、よーく聞こえるのだが、これで良いのか疑問に思うほど、全体的にはバランスが悪いように感じる。フルートだけ、どーして輝いて聞こえるのか、よく解らない。
はたまた、テンポ設定が、中間部で、ちょっと遅めになっていること。そうかと思ったら舞曲は、重厚で相当に重く、速めに変わること。
この音の重みの設定と、主題によって、テンポが変動してて〜 フレーズが自然に流れていかないような気がする。主題が重なって聞こえるほどに、展開が速めなのだが、はっきりし過ぎなのかな。
で、最後の盛り上がるところは、重厚な音が、なかなかに入ってこないし、いらっ。
ギアチェンジがスムーズではなく、突然的に、テンポは速くなってくるし〜
なんか音が、まとまって聞こえてこない感じがして〜 なーんか、変だなっ。って思ってしまう。

あー ヤブロンスキーさんのピアノより、オケに文句言っている感想になっちゃったけど・・・。
ピアノの繊細で、硬めの音色、かわいらしさがあるのに、オケがサポートできていないような気がする。
サポートというより、調和や協調、路線を同じくする方向性が、あまり巧くないような〜
まっ とても素人の勝手な感想なので、気に障ったら、ごめんなさい。
でも私的には、どー言えば良いのか、よくわかんないですが、しっくり来こない。
ある意味、チャイコのPコンは、野太く図太く、泥臭いくせに、そのくせ、内声部には繊細でなきゃダメな要素を持っている、この加減がイマイチなんだろうな。って思う。
カップリングされているグリーグの方が、格段に良いのだ。繊細で、DNAにマッチしているというか、手慣れた感じがしており、音色も格段に透明度があり、まったく違う人が演奏し、録音されているみたいだ。

アルゲリッチ アバド ベルリン・フィル 1994年
Martha Argerich
Claudio Abbado
Berliner Philharmoniker

  

録音状態は良い。ライブ盤 1楽章は意外とアルゲリッチさんにしては、おとなしいと思ったのだが・・・。最後は熱い、熱すぎて速すぎて。ぎゃー

1楽章
あれれ〜 冒頭のホルンは、あまりにスマートすぎて拍子抜け。
洗練されているのか、気合いが入っていないのか、面白くないな〜っと思ってしまった。
ライブ盤だが、まずまずの録音の良さであるし、そのうちにヒートアップしてくるのだが、1楽章の出だしは、あまりにも、オケが恐る恐る出てきてスマートしすぎか。
ホルンが序奏部分の終わりを告げるところは、なんとも〜 神妙にしすぎ。

アルゲリッチさんのピアノは、「しどれど ふぁみれど しどそふぁ しどそふぁ〜」ゴロゴロ鳴り出すところから、なかなかにユニークな姿を出してくるのだが、みごとにオケが、肩すかしをくらわす。
「れし〜ど そど〜れ らそしら そふぁみし れれらふぁれ らそふぁそ らそふぁそ〜」
と、叙情性のあるところは、神妙なのだが、その後、細かく上昇してくるとヒートアップしてくる。
低音の図太いダイナミックな音に変貌しており、ようやく溜飲を下げる状態だ。
それでも、う〜ん。感情や情感が籠もっていないというか、ルーティン作業をしているような気になる。
後半、ようやく火がついてくれる。
「そそらしそっら しどれっ そそらしそっら しどれっ どどれみどっれ みふぁそ・・・」
このフレーズから走り出す。この後のピアノの重くて長いペダリング。う〜ん。その後は、深いため息をつくような呼応から、うねりを生じて、ぐわ〜っとのぼっていくが、前半の神妙さが災いして、とってつけたみたいに感じるのは私だけだろうか。のぼりくだりを繰り返すが、なんとなーく退屈してしまう。 コンドラシンとのライブ盤が、強烈すぎるのかなあ。

2楽章
「ら〜みしら〜 れどし み〜みら〜 らしれみ〜み れみふぁそ〜そ ふぁそらし〜し」
オケは、あいかわらずクールだが、ピアノがバックを務めるところは、まるでプロコフィエフかラヴェルのような、煌めく、粒立ちのよい楽曲のようで、ほほ〜っ。素早い動きで、駆けめぐっている。
もちろん、フルートをはじめとした木管が聴きどころになっている楽章なので、ここではパワーは抑え気味だが、プツプツ、ブツブツ、ピイピイと、木管たちを横目に、鮮やかに動いている。
ピアノというよりパーカッション的な要素が強い。必ずしもテンポは一様ではなく、自由自在。
もちろんピアノ協奏曲なのだから、アンタが主役だとは思うが、色彩がピアノだけ違うんだよなあ。
はあ。オケの木管たちも情けないというか、もっと頑張れ〜っ。しっかりピアノに食われている。
ただし、美しい。

3楽章
この終楽章は熱い。前楽章が、ウッソみたいに変貌している。
楽章最初からして、ティンパニーと弦の「ん じゃーじゃかじゃん」が、前につんのめった感じ入ってくる。
あっらら〜 弦が慌てて降りている。ピチカートも、慌て気味。
テンポがそろっていないのか、アンサンブルが乱れかける。なんだか、既にバタバタと〜してしまっている感じがする。どうやら、アルゲリッチさんから、オーラが放出されているようだ。

2巡目に入って金管が絡むと、ヒートアップして、んじゃ〜じゃか。じゃか。と鳴り出してくる。
まー 一気に行きますか。で、弦の抒情的なフレーズが間に挟まるので、歌いたいのに、なんだか、ちぐはぐな様相で、速いのか、タメが充分なのか、どーも歌いきれず〜 
もちろんピアノも速いっ。木管も、舌がもつれそうな速さである。
ピアノは、歌わず打楽器に徹している感じだし、弾み方が異様なほど。で、チャイコのメランコリックな歌が中途半端になってしまって、相当に、はっしょっている。
舞曲の面白さはあるが、アクセントがついているものの、タメが充分にないので、う〜ん 滑ってしまう感じがする。オケが充分に歌いきれず、せっかくの旋律美が、う〜ん。
熱いのは熱いが・・・ 最後のピアノの豪快な鳴りっぷりには、畏れ入るが・・・。
「そらそ そ〜みふぁみそれ れみど〜らどそ そらそ ど〜 どれみふぁみ〜 どれみふぁみ〜」
「みふぁそらそ みふぁそらそ そらしどし そらし〜みらそ〜れそふぁ〜しそふぁ〜しふぁみ らみれ ら〜」
恐ろしく音が濁ってしまって、どどどど ど〜っ。と勢いだけで行ってしまう。
ティンパニーの響き、ピアノのペダルの長くて重い響き、よく分離されておらず。う〜ん。
オケの響きが相当に汚い。なんと粗くたい〜 鳴りっぷりだろう。
ライブで聴いていたら、おそらく、熱くなって拍手するだろうけど。このCDとしては、どーでしょね。ちょっと疑問だ。

同じアルゲリッチさんのライブだと、やっぱりコンドラシン盤かなあ。
ギレリス盤の方が、録音状態は悪いが完成度は高いのではないかと感じる。
アルゲリッチ盤は3枚所有しているが、このアバドとのライブ盤はイマイチ。ワタシ的には後味が悪い。
あまりにも有名になって、馴染みのある楽曲だが、新鮮で瑞々しい演奏でありつつ、手堅い、ノーマルな演奏は、なかなか発見できない。といって、アクの強い演奏も好きだし〜 ワタシ自身が一貫性がないのかもしれない。(泣)

ファジル・サイ テルミカーノフ サンクトペテルブルグ・フィル 2001年
Fazil Say
Yuri Temirkanov
Saint Petersburg Philharmonic Orchestra

これもありかっ

録音状態は良い。強いタッチで描かれており、途中で少し疲れてしまった。
少し崩し気味の2楽章は、異質な感じもするが、結構楽しい。聞き込むと、癖になるかもしれません。
カップリング:
1〜3 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番(2001年)
4〜6 リスト ピアノ・ソナタ(2001年)
1楽章
オケも勇壮だし、ピアノも力強く始まり、おおっ良いヤン。
久々にチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を聴いたので、そう思った。
細かいフレーズについても、なかなかに聴かせてくれるし、粒立ちも良い。硬質的な響きが、たっぷり詰まっている。

しかし、だんだんと、硬い音で耳が疲れだして・・・ きたのだ。
妥協のない強いタッチで描かれている。
優美さというより、強靱なしなやかさというのか、速くて、容赦なく打ち込まれていく音が、鋭く、突き刺さるかのようだ。
どことなく、余裕のない、容赦がないように・・・感じられてくるのだ。
ゴツイ音ではなく、細身の軽やかなタッチなのである。
で、最初は、キモチ良く感じられているのだが、ふっと気づくと、抒情性だとか、土俗性だとか、感じられないので、息苦しく硬さが、だんだんと違和感を覚えてしまう。
特に、オケが静まり、ピアノだけの柔らかいフレーズに差し掛かってくると、やっぱり〜抒情性が欲しくなってしまう。

いやいや、演奏自体は、とっても良いのだ。歌わないまま、推進していくため、段々とボディーブローのように、パンチが打ち込まれてしまい、ワタシが、ちょっと疲れてしまったのだと思う。
オケが静まり、ピアノだけになる場面は、確かに、静かにピアノは奏でられている。が、流麗さとか、優美さとかから、段々とかけ離れてしまう感じがする。
この方の指は、ホントに人の指なんだろうか。テルミカーノフさんのオケも、とても、内声部の響きも、しっかり入っており、思い入れたっぷりに歌おうとしているようなのだが、ピアノのスピードに巻き込まれてしまい、抒情性からは遠ざかってしまう。

イヤミはないのだけど、次々と繰りだしてくるフレーズが、余白のない、芸術作品を見ているかのようで〜
どうも、息が詰まってしまった。ふっと力を抜いてくれる場面が、少なからずないと〜 やっぱり、行間とか、余白が、適度に感じられないと、ちょっと苦しくなってしまうようである。

2楽章
この楽章は、緩やかに流れて行く。
ピアノの弾んだ場面に差し掛かると、猛烈に速くなっていく。アハハ〜 サイさんの真骨頂だろう。
まるで、別の曲を聴いているかのような、ジャズっぽい崩しの軽やかさが出てきて、これは楽しいっ。
まあ、邪道だと言われる可能性も高いけれど、チャイコでないようなところと、ゆったりと主題を奏でていくところとの微妙な移り変わりが、夢見心地になっていく。

3楽章
最初のフレーズで踊るかのような場面は、かなり軽やかだが、スピードがある。
もう少し粘っこく弾かれてもいいのだが、崩し気味のリズムで、ノリノリだ。
オケが粘りをもって行こうとしているのだが、ピアノは、音のたっぷり詰まったフレーズを奏でていくので、オケがひっぱられていってしまう。まあ、これだけ木管が、速く吹けるなあ〜と、ピタッとついて行けることに、驚きつつも感心しちゃう。
アハっ なんとも、スマートでスタイリッシュ、ちょっぴりジャズっぽいチャイコで、まるで別モノのようになっているが、アルゲリッチさんの演奏のようには、猛烈に火柱が立っているというほどには、熱くならない。
結構、スマートにすました顔で、猛烈な回転でピアノが鳴っていく。
こりゃ〜 速い、21世紀版のチャイコのような気がする。
木管、特に、フルートのフレーズがなければ、いつもの、チャイコのピアノ協奏曲とは、ワカラナイかもしれない。
細身のピアノだが、タッチは鋭く、かといってサイボーグでもなく、さらっと、演奏している。ラストの駆け上っていく感じは、なんとも格好良いのだが、あまりにも、スポーティで、あっけにとられてしまうほど。

う〜ん、何度か繰り返して聴いたのだが、いつものチャイコフスキーの雄大な感じは、お馴染みの冒頭、ホルンとジャンジャンジャンっと弾かれるピアノの場面だけで、1楽章の最初だけかな。
あとは、う〜ん、別の曲を聴いているかのような感じになってしまう。でも、今風なんだろうなあ、こんな演奏を受け入れていかないと、21世紀のクラシックにはならないのかもしれない。ちょっと複雑な心境に・・・。
(あー ワタシの感覚が、だんだんと古くなっていくのだろうか。)
でも、良い演奏だったと思います。聞き込んで行くと、癖になってしまう可能性がありますね〜

ラン・ラン バレンボイム シカゴ交響楽団 2003年
Lang Lang
Daniel Barenboim
Chicago Symphony Orchestra

いかすぜっ

録音状態は良い。硬いチャイコフスキーなんだけどなあ。でも、特に2楽章は別の楽曲を聴いているかのように聞こえるが、聞かされてしまう。
カップリング:
1〜3 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
4〜6 メンデルスゾーン ピアノ協奏曲第1番
1楽章
確か、これが、ラン・ランさんのデビュー盤だったと思う。82年生まれなので〜 まだ、オントシ20歳だった。
勇壮なホルンが、「ふぁれどしぃ〜 ふぁれどしぃ〜 ふぁれどしぃ〜 しらし しどれっ」 (← 音は怪しいです。)
おおっ 久々に良い出だしだぁ〜と、冒頭、かなりシンフォニックに鳴っている。

で、ピアノが、「それ そそれ」って奏でる有名なフレーズのバックのオケ、「らふぁみ れぇ〜そぁ〜」というフレーズが薄いし、繰り返しに入っていくと、段々、途中から、微妙に遅くなっていく。
へっ? 弦のピチカートも、ほとんど聞こえない。
冒頭のホルンのフレーズが良かっただけに、戸惑ってしまった。 ラン・ランさんのピアノは、うえから落ちてくるようなフレーズは、確かにキラキラしてて綺麗だ。 で、オケと共に、シツコイぐらいに、ダメ押しするかのように強く音を奏でるところがあり、す〜っと、オケが消えていくところがあり、メリハリがすごく強い。
大きな表情づけだ。タメ感は少なく、とろみ系でない。細かいフレーズを、より細かく砕いていくかのような感じで煌めきを出そうとしているような、こだわりを感じるフレージングだ。

バレンボイムさんのオケの方は、かなり ダイナミックな音で、ちょっと、昔なつかしい〜懐古調って感じの演奏だ。
相当にボリュームがあり、厚くて、強く、硬い。かといって、 弱音になると、消え入りそうになってくる。う〜ん、オケは、音量でスケールを出そうとしているのかなあ。
ピアノは、細かく砕こうとしているかのように聞こえてくるし、う〜ん。聴いているほうが、この差の大きさ、ダイナミックさに、固まってしまいそうになる。
スピードは、ピアノは、はやい。小さく、細かく、そしてスピードをあげて、氷を砕いていくかのように進む。
付点のリズムでの主題は、遅めで、ギクシャク感があり、このリズム感は、クセがあるというか、アクがあるというか、速めに、丸く転がっていくところが、文字通り、ギクシャク ギクシャク・・・と、鳴っているような気がする。
ソロ部分に入ると、遅めだが、ラストに向けて、したたかなほど〜 堂々とした演奏を繰り広げる。

2楽章
かなりテンポはかなり遅めで、細かく、細部に神経を使って、表情をつけながら、語っていく。
また、音を置いていく感じで、細かくフレーズを切っていったり、まるでショパンなんかの小品を弾いているみたいで、流れていかない。
オーボエのフレーズが始まるのだが、一緒になって歌うわけでもないし、ひとりごちの、ピアノソロ部分となっており、呟きに似た速いパッセージが特長となっている。
独特の世界で、ピアノとオケが呼応するという雰囲気とは違っている。
2楽章だけ聴くと、チャイコの協奏曲ではなく、違う作品、そう〜 ピアノの小品、ピアノソナタのような世界だ。
完全にピアノだけで、ひとり世界を構築しており、ピアノだけで聴かせてくる。

3楽章
ここでは、オケが勢いを取り戻してくるが、ピアノの付点リズムは、やっぱりギクシャクして聞こえる。
独特のアクセントがあるというか、「ん たー タタ」というところの2番目の音が強めで、うえに跳ねて、間合いがあく。
オケの方も、クセのある付点を奏でており、強いタッチだ。
細かいフレーズは綺麗だが、超スピードで駆け抜けて行く。
う〜ん とっても個性的だが、アクが強すぎて〜というほどでもないが、チャイコフスキーにしては硬い感じがする。
ピアノもオケも、かなり、ダイナミックで〜 この方向性では同じなのかもしれない。

ダイナミックといっても、ゆったりとした大河のように流れて行く演奏ではなく、う〜ん、どちらかというと、硬い鉱石を掘っているような感じで、ゆとりのある、まろやかさ〜とかは、あまり感じない。
まあ、もっとも20歳そこそこなんだし・・・。これだけ弾けるって凄いし、自分の世界観を持っているな。
やっぱり、2楽章は、独特なんですけど〜惹きつけられてしまうので、正直すごいっと思う。

1962年 リヒテル カラヤン ウィーン交響楽団  
1970年 アルゲリッチ デュトワ ロイヤル・フィル  
1970年 ハース インバル モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団 Ph ★★★
1970年 ワイセンベルク カラヤン パリ管弦楽団 EMI ★★★★
1979年 アラウ C・デイヴィス ボストン交響楽団 Ph  
1979年 ガウリーロフ ムーティ フィルハーモニア管弦楽団 EMI  
1979年 ギレリス メータ ニューヨーク・フィル SC ★★★★
1980年 アルゲリッチ コンドラシン バイエルン放送交響楽団 Ph  
1982年 ポストニコワ ロジェストヴェンスキー ウィーン交響楽団 Dec ★★★
1985年 シフ ショルティ シカゴ交響楽団 Dec ★★★★★
1985年 ポゴレリチ アバド ロンドン交響楽団 G ★★★★
1986年 ボレット デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1990年 プレトニョフ フェドセーエフ フィルハーモニア管弦楽団 VC ★★★★
1991年 ドヴァイヨン デュトワ フィルハーモニア管弦楽団  
1993年 ヤブロンスキー マーク フィルハーモニア管弦楽団 Dec ★★★
1994年 アルゲリッチ アバド ベルリン・フィル ★★★
2001年 ファジル・サイ テミルカーノフ サンクト・ペテルスブルク・フィル Teldec ★★★
2002年 ヴォロドス 小澤征爾 ベルリン・フィル SC  
2003年 ラン・ラン バレンボイム シカゴ交響楽団 ★★★
2005年 ブロンフマン ヤンソンス バイエルン放送交響楽団 SC  
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