「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調
Tchaikovsky: Violin Concerto in D major


チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、1878年に作曲されており、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスに次いで4大ヴァイオリン協奏曲と称されることがあります。それだけ有名なのですが、初演をお願いしたヴァイオリニストには演奏不可能として拒否され、81年初演も悪評で、批評家なんぞは、悪臭を放つと言ったそうです。繰り返して演奏されることで評価が高まったそうですが、作曲しても演奏されないとなると、確かに、歴史のなかに、埋もれてしまいますよね。

さて、ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
第1楽章 ニ長調 ソナタ形式
オーケストラの第1ヴァイオリンが奏でる導入主題で始まり、第1主題の断片が表れます。ソロヴァイオリンがカデンツァ風に入り、悠々とした第1主題が提示されます。この主題を確保しつつクライマックスを迎え、抒情的な第2主題がソロによって提示されます。提示部は、終始ソロの主導で進み、展開部はオケ最強奏による第1主題が奏でられます。途中から、ソロも加わり華やかに展開が進みカデンツァとなります。展開部の後にカデンツァが置かれているのが、作品の特徴です。再現部は、オケとソロ第1主題を静かに奏で、徐々に広げて、型通りに第2主題を再現し、終結に向けて速度を増し、華やかな技巧と激しいリズムで楽章を閉じます。

第2楽章 ト短調 複合三部形式
管楽器だけの序奏に続いて、ソロが愁いに満ちた美しい第1主題を奏で、第2主題は第1主題に比べると、やや動きのある主題です。第1主題が回帰後、ソロが沈黙し、オケによる第3楽章へ突入します。

第3楽章 ニ長調 ロンドソナタ形式
第1主題を予告するようなリズムの序奏の後、ソロが、ロシアの民族舞曲トレパークに基づく第1主題を奏でます。激しいリズムが特徴です。少し引きずる感じの第2主題の後、快活さを取り戻しますが、またテンポを落とし緩やかに。やがてソロが第1主題の断片を演奏し始めると、徐々に最初のリズムと快活さを取り戻し、第1・第2主題が回帰します。最後は、華やかで熱狂的なフィナーレとなって幕を閉じます。

演奏される機会のとりわけ多い楽曲なので、みなさんも、耳にされたことのある曲ではないでしょうか。
これからも、演奏家さんたちに感謝して、聴いていきたい楽曲のひとつです。

チョン・キョンファ デュトワ モントリオール交響楽団 1981年
Kyung Wha Chung  Charles Dutoit  Orchestre Symphonique de Montreal
(Montreal Symphony Orchestra)

もえてるぅ〜   あちゃ〜     こりゃ良いわ〜拍手 ←演奏後、しばらく経ってから・・・。

録音状態は良い。メラメラ燃えつつ、喉を震わせ、スケールの大きな歌いまわしで歌いあげる。う〜ん。パッションを感じる。
カップリング:チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲、メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲
1楽章
当盤、デュトワ/モントリオール響との録音は、2回目の録音である。キョンファさんが33か34歳頃の演奏である。
現在は、すっかり影を潜めてしまった感があるが、やっぱり、ものすご〜い演奏だと思う。
語り口が、図太いっと言えば良いだろうか、ゴツイのだ。そのくせ、切れもよいし、歌心もあるし、ひぇ〜っという鳥肌ものの裏返った細い声で、高音域を歌うものだから、聴き手は、ころり〜っと、まいってしまう。

第1主題は、まず、ゆったりとヴァイオリンがソロで奏でていく。
この1楽章の最初は、オケもヴァイオリンも、結構、さらっと弾いていくし、特に、最初は、オケの力が抜けているんじゃーないかしらんというほどに、バックに徹している。
第2主題も、ソロヴァイオリンが提示していくし、歌い始めたら、う〜ん。甘くて切なくて〜という、絵に描いたようなフレーズで、すごく切なそうに歌われて〜胸キュンになりそうな語り口である。
これを聴くと、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾くのに、最も適したヴァイオリニストって感じというか、これを弾くために生まれてきたみたいな方っていうか。
とにかく、ツボにすっかりはまって、超納得してしまうような演奏だ。ヴァイオリンの裏方には徹しているが、展開部では、オケが、主題を、ゆったり、たっぷりの声で歌っているし、教会での録音なのか、残響も適度にあって、まろやかに響く。
暖かみのある、甘みのある音質だ。

ソロ部分のカデンツァは、骨太だが繊細で、その声の太さを、自由自在に変えていくところが、すごいな〜っと、息をのんじゃう。高音域でとどまっている音、線の細さと、ひっ ひぃ〜っと上昇する際の跳躍する音のかたち。
そこから、ひらり〜っと落ちてくるような、たぁ ららららら〜っと、落ちてくる際の音の揺れ方が、セクシーだ。
はあ〜 久々に耳にするが、うわ〜 やっぱり凄い、なんとも言えない快感っ! ヴァイオリンならではの、セクシーな音の響きが、こりゃ 心を鷲づかみにされちゃうのも無理からぬことで。 
総体的には、オケはゆったりめ、ヴァイオリンは、テンポは速め。
今風のドライな演奏ではなく、とろみ感が適度にあって、当然、即物的ではない。

2楽章
オケが寂しそうな序奏を奏でて、そこにヴァイオリンが主題を奏でる。
「みぃ〜 らし どれみ〜 みみみ み〜そふぁみ〜 みらしどれみみみみ みれどし どしら そふぁみ〜」
で、このフレーズを繰り返し、高揚していくなかで、「みぃ〜〜〜」と音を転がすのだが、そこで、音が割れそうなぐらいに喉を震わせて、歌うところが、超すごいんである。
厚みのある音質ではないので、さほど執拗には感じないが、ドスがきいているような、圧は感じる。
なんか、やっぱ、演歌ですねえ〜音の転がし方というか、ヴィヴラートというか、猫のようで〜 むふふっ。

3楽章
超絶技巧というよりも、メチャ熱い。芯の強い情熱的なパッションを感じる楽章だ。
まず、ロシアの民族舞曲を奏でる。「しっ しらぁ〜 どっ どらぁ〜 っれ れぇらぁ〜」 弦をつま弾くパンパンっ。
ヴァイオリンとオケの呼応した挑発感のあるリズム、
「しっ ふぁ〜 らぁ〜そふぁ みみっ れ どぉ しら〜 そそそ そぉ〜ふぁみ れ〜」
このフレーズが、スピードを変えて、音を変えて、楽器を変えて奏でられていく。
てれっと スピードを落として、ねっとりと歌い上げていく場面もあるし、シコを踏んで、まるでフラメンコのように激しく踊るような場面もあるし、めまぐるしい。
このあたりのリズム感は、スラブ系でもないのに〜 
韓国の方とは思えないほどの、熱い歌いっぷり、身のこなし、開放的な伸びやかな歌いっぷりは、とっても明るい。
主題を繰り返すなかで、自ら燃焼させていくところの、すごいパワーと、喉笛のような、ひろひろひろ〜っとした音の響き。
そして、めらめら〜っとした、燃焼パワーというか、目には見えないんだけど、確実に感じる何かが〜
ヴァイオリンから立ち上っていくかのようで〜
聴き手も聴いているうちに、鳥肌を立て、喉の奥から頭の先に向けて、声にならない声を、ひぇ〜っとあげそうになるのだ。
あっはは〜 なんかライブ盤みたいに聴けますね。

世の中の男性陣は、これで参ってしまうのだろうか。久しぶりに聴いて燃えちゃった〜 思わず笑えてしまうが、でも、ホント 一世を風靡しただけのことはあると大いに納得するし、いや〜 やっぱ、今聴いてもすごい。鳥肌ものだと思います。
ヴァイオリンは、やっぱキョンファさま・・・という80年代でした。
まあ、あまりこんな演奏を、繰り返して聴くと、なんかいかがわしい、クスリみたいで〜 麻痺してしまいますけど。
でも、かつては、これがチャイコのヴァイオリン協奏曲の定盤だった。そう思うし、すり込まれてしまったイメージがあります。
技巧だけではなく、スケール感の大きい、歌まわしの大きさ。 大きく情感を歌い上げるという、ひとつの型があったようにも思います。それを忘れてもらっちゃー やっぱり困るかな。時代遅れと言われそうだけど、やっぱ懐かしいかもしれません。
キョンファさんには、1970年、プレヴィン・ ロンドン響との録音(デビュー盤)があります。

  ジョシュア・ベル アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 1988年
Joshua Bell  Vladimir Ashkenazy Cleveland Orchestra

ほぉ〜良いヤン

録音状態は極めて良い。透明度の高い素直な演奏で、アクの強い演奏が好きな方には向いてない。清々しいほどのニュートラルな演奏である。
カップリング:チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲、ヴィエニャフスキ ヴァイオリン協奏曲第2番 当盤以外にも、メンデルスゾーンとのカップリング盤や、五嶋みどりの「ゆううつなセレナード」とカップリングされている盤もある。2005年、MTT、ベルリン・フィルとのライブ盤(SC)がある。
1楽章
透明度の高い録音で、とてもヌケが良い。で、すきっとした感じで推進していく。
クリーヴランド管の通る音色のなかを、ヴァイオリンが、まず、ゆったりとソロで描く。タメ感を持ちながら、弾んでいくリズム感も良く、太めのヴァイオリンの音色で、重音も良いし、高い音になると、すきっと青空見えるかのように明るい。
低音のフレーズを丁寧に描いており、わざと太く振るわせているのかな〜 ゆったりと弾いており、できる限りタメている。
で、けっして弾き飛ばすことなく、めちゃくちゃ丁寧で清潔だ。フレーズの最後まで、きっちりと音が出ている。
オケの金管のパッセージも、一音もゆるがせにしないかのように、きっちり。
アタリマエのことだと思うが、勢いに任せて行ってしまいがちなフレーズも、最後まで丁寧にという感じがする。
あっ もちろんテンポ良く進んでおり、停滞することはない。

実は、先日、チョン・キョンファさんの熱い熱い演奏を聴いたところなので、すごい丁寧に幾分冷やっこい気分で、チャイコフスキーのこの曲を聞いているのだが、いや〜気持ち良いですよ。すかっとしてて。
もちろん、アクの強い演奏が好きな方には、もの足らない感じがするかもしれないんですけど、これほどクリアーな録音で、綺麗に弾かれると、これまた目から鱗、いや、耳を洗っていただいたかのような演奏に思われる。
カデンツァの部分に来ると、シーンとしたなかで、テンポ良く、「しぃ〜どぉ〜しらそふぁみれどし しどし しどし しどしぃ〜」と歌われる。
まあ、泥臭い、演歌調の歌いっぷりではないので、細いし、狂おしいほどに泣かないけれど、これだけ透明で、透き通った音色も、まあ、珍しいかも。アクのない清らかな音色で、もう少し踏み込んで〜と言いたい気持ちはありますが。
ヌケるような蒼い空のもとで、奏でられているような清潔さ、曇りのなさ、湿気感のない、気持ち良さがある。
若い瑞々しい音色で、高音域の響きも良く、ヴァイオリンの細い音色の美しさに、心を奪われる。

2楽章
甘すぎないが、少し音が消えてしまうところがあり、もう少し、太い声で歌って欲しいかな〜
停滞はしていないが、でも、もっと深めに情感たっぷりに彫り込んで欲しいかも。小節がまわっていないというか、もっと、持って回った言い方をしてくれないと。ちょっと・・・。オケも、「みぃ〜 らぁ〜し どれ みみみ み〜 そふぁみぃ〜」
あらっ 粘りが無く、素直すぎるかもしれないですね。
下にくだるフレーズで、もう少しためて欲しい。綺麗なんですけどねえ。ここは、粘っこく〜 フレーズをそのまま通過せずに、小節をまわして悶えてくれぇ〜。

3楽章
情熱的で、粘っこいところが、ぐぐぐ〜っと欲しい楽章だ。
「しぃ〜 どっどし みぃ〜 どっどし みぃ〜 どっどし みぃ〜(れふぁっしっ)」 弦を掻き鳴らし、ぱぱぱっ。と弾く
あの〜 フレーズの合間の空間が欲しいんですよね。焦らすような間合いが少ない。
語尾を、ちょっと引き絞って、ギギギッっと、引き絞って、いっきに弓を放つように行って欲しいかな。
アクを付けないと面白くないんですけど、ちょっと淡泊ですかね。
民族性のある粘りは、もう少しかなあ。
でも、このアクの強い演出は、難しいでしょうねえ。フレージングの妙は、やっぱ年齢を重ねてこそかもしれないし、演奏家ご本人のDNAにもよるところが大きそうで〜 ベルさんの演奏は、ちょっと華麗すぎるけれど、嫌みはないです。
いやいや、ホント、瑞々しい演奏で、ピチピチしてて、清々しい。まだ、手垢のついてないピュアな演奏です。
手練手管な、おっちゃんの演奏とは違うので、脂質のこびりついたような加齢臭はない。(笑)

パッションは感じるけれど、陸上競技の選手のように、ほどよく引き締まったスマートさがあり、綺麗すぎるほど綺麗だ。
最後に向けて、猛ダッシュしているが、すごく回転率が高く、それも丁寧に最後まで一音もゆるがせにしないで、フレーズを丁寧に、字余りにならずに、弾ききっているところが、すごいと思っちゃいました。
また、録音状態が極めて良いので、点数は高めですが、アクの強い個性盤が多いなか、没個性っていうのが個性に近いのかもしれませんが、これでは勝負になりません。テクは巧いとは思うけれど、ニュートラルな演奏も珍しく感じます。
まあ、今後、ここにどんな風に、個性を乗せていくのか楽しみです。

サラ・チャン C・デイヴィス ロンドン交響楽団 1992年
Sarah Chang  Colin Davis London Symphony Orchestra

ほぉ〜良いヤン


録音状態はまずまず。12歳当時の演奏なので・・・。
カップリング:
1〜3 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
4〜7 ブラームス ハンガリー舞曲 7番、2番、4番、1番
ピアノ:ジョナサン・フェルドマン Jonathna Feldman
ベタなチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲なのだが、サラ・チャンさんは1980年生まれなので、なんとまあ〜 当時12歳ってわけで、少女なんですねえ。
CDジャケットそのまま、あどけなさが残っているのだが、演奏は、堂々としたもので驚かされる。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、3歳のときに両親にヴァイオリンをねだり、4歳の誕生日に1/16サイズのヴァイオリンを買ってもらい、練習を始めた。
6歳でジュリアード音楽院の入学試験を受け、マックス・ブルッフのヴァイオリン協奏曲を演奏して入学許可を得る。
同院ではドロシー・ディレイに師事。パールマンや五嶋みどり、ギル・シャハム、諏訪内晶子、シュロモ・ミンツらの妹弟子にあたる。10歳でファーストアルバムの録音を行い、それまでハイフェッツが持っていた最年少記録(11歳)を塗り替えた。アルバムは翌年、EMI クラシックスから発売され、発売後まもなく、クラシック音楽のベストセラーとして、ビルボードチャートに入った。・・・とあった。

はあ〜 なんという経歴なんだろ。驚きの連続だが、さすがに年齢を知ってしまうと、どうも先入観が先に立ってしまって、音質に艶が無いとか、まだまだ〜と言ってしまいそうだ。しかし、まあ、高音域の音も安定して、しっかりと音が出ている。
さすがに、デビューアルバムは所有していないが、このデビューアルバムには、1991年録音で、カルメン幻想曲を主とした小品が収録されているようだ。

チャイコフスキーの協奏曲は、1楽章から、テンポはゆったりしているし、堂々としたもの。力強い。
2楽章においても、優美さは感じられるし、歌い方は、さすがに、もっと微妙なねちっこさが欲しいところだが、それは無い物ねだり的になってしまいそう。もう少し大人っぽさが欲しいよねえ・・・といっても、なにせ12歳である。
3楽章は、太い喉で歌っているかのような、太い音が出てきて、驚かされるし、跳躍はみごと。
アクの強い歌いっぷりには聞こえてこないが、そつなく、弾かれているし、ラスト近くになってくると、テンポを速めて一気呵成に、熱っぽく演奏されていく。素直に驚かされる。
う〜ん、やっぱ天才なんでしょうねえ。オケの方が、ぐっとテンポを落としたり、アコギな面も感じられるぐらいだ。
まだまだ、30歳半ばで、これからの成長が楽しみな演奏家だと思う。

ヴェンゲーロフ アバド ベルリン・フィル 1995年
Maxim Vengerov Claudio Abbado Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

こりゃ良いわ〜拍手


録音状態は良い。ちょっと線が細めで、泥臭い演歌調ではないので素っ気なさを感じさせるのだが、聴けば聴くほどヴァイオリンの多彩な音と、弾む節回しが素敵になっちゃった。カップリング:チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲、グラズノフ ヴァイオリン協奏曲
1楽章
ヴェンゲーロフさんの若い時の演奏で、アバド指揮のベルリン・フィルがバックを務めている。すごい豪華なキャスティングなんである。
しかし、最初に聴いたとき、もっと演歌調に、粘って朗々と歌うのだろうと思っていたのに、あにはからんや。
ワタシの思惑が外れてしまい〜 なんとも素っ気ない、冷たい演奏なんだろう。がっくり・・・。と、お蔵入り状態にしてしまったCDである。
もちろん、その後も何度か聴いていたのだが、意外と繊細な演奏である。チャイコフスキーの泥臭い演奏を期待して、メッチャ演歌風に、泣き節で演奏されているのではなく、都会的で、スマートな演奏で、透明度の高い線細さ、線の太さ両面を併せ持って、太い声は逞しくしゃがれ、高い音になると超細い絹糸のようなピンと、張力を持った旋律が流れてくる。

オケは、録音状態にもよるのだろうが、厚めに鳴らず、超薄口に聞こえる。
小編成のオケかしらんと思うほど見通しが良く、邪魔せず、裏方に徹して、決して前には出てこない。
揺らしたくなる場面でもキチンとテンポを守り、ある意味、徹しすぎだーっと言いたくなるほどで、あー なんて几帳面すぎるんだ。なんでー、ここで熱を帯びてこないんだっ。と、文句を言いたくなるほど。
可愛そうすぎるほどに、オケは裏方なんですねえ。
でも、ヴァイオリンのソロが始まると、はあ。やっぱ、素敵っ・・・。悲しく切なくなるほど、身をよじって、よじって〜歌うように聞こえてくるのだ。ここは、さすがに聴きどころ。
ヴェンゲーロフさんのヴァイオリンは、さすがにテクは安定しているし、ヴァイオリンの身を削って、よじって歌うその節回しに、やられてしまう。
繊細で、かつ内に秘めたような情熱感、こぼれ落ちるような氷の粒。
儚げさが、危なかっかしく、そして虚ろな夢を見るような余韻を残して、伸びやかに、でも伸びきらずに、消え去るような音の出し方には、うわぁ〜 すげっ。
音の1つ1つが、とってもクリアーで、繊細すぎて怖いほど。 聴いている我が身が細るような思いとなってしまう。(笑) 
で、1楽章 最後になると、想いが吹っ切れたように、駆け足で去っていく。
う〜ん。ワタシが、今まで、聴いてきたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の概念が、ある意味、ちょっぴり変わるような演奏である。 

2楽章
甘すぎないメランコリックさ。というのかなあ。落ち着いてて、クールに響く。
オケの方は、奥に引っ込んだ感じで、慎ましやかだが、ところどころ、ソロになると、はぁ〜 やっぱり巧い。
木管のフレーズなんぞ、最高な音色で、空を通っていく。
テンポは遅めなので、オケが音を置いていく感じで、いささか素っ気ない感じも受けるけれど、タップリ鳴ってくる音量を持たず、耳を傾けないと聴けないぐらいの弱音ではあるが、そのくせ、各オケのソロが主張してくるのだ。あ〜 こんなところで、ヴァイオリンと一緒に鳴っているんだ。と、普段気づかなかったオケの音が聞こえたりする。テンポは遅めだが緊張感があり、木訥とした歌いなのだが、木訥とし過ぎず、平凡じゃーない。室内楽のように響く音に、新鮮さを感じちゃった。

3楽章
この楽章になると、野太い音が、弾けるんだよなあ。民族性の高いフレーズが、ヴァイオリンから出てくる。
音を持って、持ってまわった言い方に突然変わって、音と音の間合いを楽しむかのように、じらすんである。なーんとニクイ演出でしょう。
そのくせ、泥臭い演歌調にならないところがねえ、テクでしょうか。
テンポよく、繊細に弾いて、推進力を持たせて進むくせに、そのくせ見せ場になると、身をよじって遊ぶ。
そんな余裕が感じられる。あー 聴き手が、遊ばれてるヤン。
楽章のなかで、緩急自在に、フレーズを大きく演出し、情感を圧縮しておいて、一度に駆け上がっていく。ヴァイオリンの超テク、細かいフレーズまで、しっかり奏でられており、耳にとっては超ご馳走だ。

まあ、総体的な感想としては、ワタシの最初の印象どおり、きっと、素っ気ない。だろうと思う。
いかにもロシアって感じが前面に出ていないし、民俗調には鳴ってこないところが、不満な点なんだと思う。でも、まあ、そういう演奏って、他の盤にまかせっちゃって〜よいかもしれない。
繊細に都会的に、スマートに格好良く、情感は秘めてクールに演奏されているように思う。
特筆するのは、天性なリズム感っていうのか、弾けて飛び跳ねているのは、やっぱすごい。
それに、まるで、ヴァイオリンが、ツィンバロンのように、また、バラライカのように色彩豊かに響い聞こえてくるのだ。
なんていうか、多くの弦が柔らかく叩かれているようにも、また、バチで掻き鳴らされているようにも思えて、大変、カラフルで、いくつもの重なる音が聞こえてくる。
よく響いているのだ。この音色がすごい。また、笛を吹いているようにも、ヴァイオリンが奏でられている。
う〜ん。すごい。多彩・多才だなあって感心しきり。 そういう意味では、とっても楽しい。

以前お蔵入り状態にしていたのが、申し訳ないほど〜(あー ごめんなさい)
チャイコのヴァイコンのイメージ、また、ヴァイオリンの音色に対して持っていた固定的なイメージが崩されて、ワタシ的には、とっても新鮮に感じられた一枚である。

五嶋みどり アバド ベルリン・フィル 1995年
Midori  Claudio Abbado  Berliner Philharmoniker
(Berlin Philharmonic Orchestra)

録音状態は、少しバランスが悪い。オケの音量の方が勝っている。ワタシ的には、ちょっと音量がモノ足らず、細い音があまり聞こえないというもどかしさがある。ライブ盤 
カップリング:チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ショスタコーヴィッチ ヴァイオリン協奏曲第1番
1楽章
ライブ盤だからか、オケの音量と、ヴァイオリンの音量とのバランスが少し悪いようだ。 もう少し、ヴァイオリンの音量があれば〜いいんだが。合いの手を入れるオケが、でかすぎ。
テンポは、ゆったりめ。どちらかと言うと、出だしから、ちょっと乗れてないような気がする。
みどりさんのヴァイオリンは、線が幾分が細い。
チャイコンの1楽章は、高音域の耳に入ってくる旋律が多いので、声を振り絞って高いキーを歌う歌手のように感じて、ちょっと苦しく 聞こえてくる。透明度は高くて、綺麗な美音なのだが・・・ それと共に、太くて、豊かな低音域の音が入ってこないと、ちょっと辛いかなあ。 う〜ん。ヴァイオリンが綺麗すぎて・・・ 

2楽章
高音域が勝っているので、絞り出すような音にしか聞こえず〜 う〜ん。やっぱツライ。
かなり内省的なのは判るが、外にほとばしるモノが、あまり感じられない。
几帳面すぎて聴くには苦しい。ひたむきさも、きまじめさも感じられるのだが、そこから、何かプラスしたモノというか、適度な粘りけが欲しい。また、それを期待してしまう。なんだか聴いて、う〜ん。

3楽章
オケと、さっぱり混じり合わっていないように感じてしまった。それに、どぎつさとか、きわどさがない。
テクは、完璧だとは思うのですが、 チャイコは、どこか泥臭く演歌調のところがないと面白みが欠けてくるのだが、みどりさんのヴァイオリンは、スマートすぎるというか、洗練されすぎというか。まあ、若い方にありがちな 繊細で、粘りけが少なく、こぶしが少なく、泣きが少なく、あっさり系。 まだ、ちょっと硬い少女のようで、面白みがちょっと少ないかも。 いろんな盤を聴いていると、蠱惑的で、あくどく 適度にアホになって、適度に泣いてくれて〜  そこに、ちょっとしたアブナイ色気とか、艶やかさが加われば〜 と、つい思ってしまう。
この盤は、気品があり、完璧さも持ち合わせてはいるが・・・ 最後、突き抜けて・・・これが、私の生き様なのよぉ〜と、なりふり構わず、主張しきってくる そんな情熱が無い。 無いと言っちゃダメなら、圧倒させるだけの迫力が感じられないというか、ホント申し訳ないけれど、少し面白くないような気がします。
それに、きっと、録音状態にも恵まれてないような気がします。せっかくのオケなんですけどね。
えらそうなことを言ってスミマセン。

ムター プレヴィン ウィーン・フィル 2003年
Anne-Sophie Mutter André Previn
Wiener Philharmoniker
(Vienna Philharmonic Orchestra)

あちゃ〜  → 倒れました。

録音状態は良い。スケールが大きすぎて濃厚すぎて、むせっかえりそう。
カップリング:
1〜3 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲(ウィーン・フィル 2003年)
4〜6 コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲(ロンドン響 2003年)
1楽章
まあ、のっけから濃厚な味わいで、むせっかえりそうなほど・・・。
タメにタメて、するっと逃げちゃって肩すかしを食らった感のある強烈なフレージングで、太く、そして細く、音が自在にクネクネと動いている。
伸びたり縮んだりする旋律で、ちょっと、気持ち悪いほど。これは悪酔いしちゃう〜 
まあ、想像の範囲ではあるのだが、それにしても、今ならどんな風に演奏されるのだろう。録音状態は良いのだが、どこかヌケが良くなく、厚い響きで彩られ、どっぷりとした比重の重さを感じてしまう。
か細く、儚く、弾いているかと思えば、強引というか強靱で・・・という、身振り、そぶりの大きさがあり、かなり独特の感性の濃さが表出しており、これに眉をひそめる方も多いかもしれない。
ワタシ的には、う〜ん、久々に聴いたが、これはちょっと濃厚すぎて、うっぷぷ。
カデンツァは、さながら、歌舞伎役者のように、舞台映えしているが〜 相当スケールが大きく、緊張感もあるし、ライブだと、すごぉ〜と息を飲んで聴き入ってしまうだろうが、CDで聴くとなると、うぐっ。身振り手振りの大きい隈取りの表現は、一方の雄とは思うものの、これでは、繰り返しては聴けない。

2楽章
この楽章も濃厚なフレージングで、執拗だ。匂いがプンプンしており、かなりゆったりとしたテンポで、ロマンティックという言葉を遙かに超えちゃって、なんだか、そこらへんのヤスモノ臭いにおいがしてきちゃう。
媚びとるやんか〜っという、妖しい匂いがプンプンしてて、こりゃ一線を越えたでしょ。という感じになっており、これは、ちょっとやり過ぎでしょう。官能的すぎて・・・。クラクラしちゃう。
最初の1枚として聴いちゃうと、トラウマになりそう。ワカモノがこれを聴くと鼻血が出ちゃうかもしれないほど。この妖艶さにはついていけない。まあ、しかし、こんな表現をしちゃうところがムターさんらしいのかもしれないが、もう少し抑制したモノがあっても良いのだが、これはこれで苦笑しちゃう。

3楽章
妖艶なまま終楽章に突入していくが、楚々とした表現ではなく、まあ、ぶりっこしちゃって、弱々しくしておきながら、猛烈なアタックがある。強弱の差の大きい、インパクトのある演奏だ。
緩急が大きく、激情的で怖ろしい。終始、強靱な表現で圧倒される。
例えが悪いが、さめざめと泣いているので慰めていると、急に泣きわめき、急に怒り出して、手がつけられないという感じで、この感情の起伏の大きさには手を焼いてしまう。
自分の感情の迸りで、身を焦がさないのだろうか〜と心配しちゃうほどだが、まあ、ここまでやっちゃうのだから、やっぱ役者なのでしょう。

まあ、こんな具合で、ワタシのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、現在のところ、ムター盤で打ち止めになってしまっており、 これ以降、購入できなくなってしまったのでした。
で、この当盤は、チャイコが終わるとコルンゴルトの曲が始まるのだが、こっちも、楽曲そのものがすごく濃厚なのだ。
で、もう聴けない・・・。倒れそう・・・ってことに・・・。
この演奏もすごいが、これをカップリングにしちゃおうという企画した方が、すごすぎ・・・。
1957年 ハイフェッツ ライナー シカゴ交響楽団  
1967年 パールマン ラインスドルフ ボストン交響楽団  
1970年 チョン・キョンファ プレヴィン ロンドン交響楽団 Dec  
1972年 ミルシティン アバド ウィーン・フィル  
1975年 グリュミオー クレンツ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 Ph  
1981年 アモイヤル デュトワ フィルハーモニア管弦楽団  
1981年 チョン・キョンファ デュトワ モントリオール交響楽団 Dec ★★★★★
1984年 ズーカーマン メータ イスラエル・フィル SC  
1985年 ムローヴァ 小澤征爾 ボストン交響楽団 Ph  
1987年 ツィマーマン マゼール ベルリン・フィル EMI  
1988年 ムター カラヤン ウィーン・フィル  
1988年 ベル アシュケナージ クリーブランド管弦楽団 Dec ★★★
1989年 スタドレル フェドセーエフ モスクワ放送交響楽団  
1991年 シャハム シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団  
1992年 サラ・チャン C・デイヴィス ロンドン交響楽団 EMI ★★★
1995年 ヴェンゲーロフ アバド ベルリン・フィル Teldec ★★★★★
1995年 五嶋みどり アバド ベルリン・フィル SC ★★★
2000年 ローゼンベルク シャムバダル スロヴェニア放送  NOVA  
2002年 レーピン ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 Dec  
2003年 ムター プレヴィン ウィーン・フィル ★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

Copyright (c) mamama All rights reserved