「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ウェーバー ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)
Weber:
Konzertstuck Op.79


カール・マリア・ウェーバー(Carl Maria Friedrich Ernst von Weber)は、1786年生まれのドイツのロマン派初期の作曲家です。モーツァルトの妻コンスタンツェは、父方の従姉にあたる関係にあります。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、モーツァルトによるドイツオペラの伝統を継承し、「魔弾の射手」によって、ドイツ・ロマン派のオペラ様式を完成し、R・ワーグナーへと流れを導いた作曲家で、指揮棒を初めて用いた人物としても知られています。
ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)(作品79)は、元は、ピアノ協奏曲第3番として構想されていたそうですが、明快な筋書きを持たせ、「協奏曲」ではなく「コンツェルトシュテュック(Konzertstück)」としたそうです。
で、ストーリーは4つに分かれています。

1 ラルゲット・アッフェトゥオーソ ヘ短調
 ある婦人が遠くを見つめながら、一人バルコニーに腰掛けている。彼女の愛する騎士は十字軍としてパレスチナへ遠征しているのである。既に戦争が始まって数年の月日が経った。彼は生きているのだろうか。彼女は彼に再会できるのだろうか。
2 アレグロ・アッパッショナート ヘ短調
 彼女の脳裏には、傷ついた彼が戦地に横たわり、取り残されている情景が浮かんでくる。彼の元へと飛んでいき、彼と命を共にできたなら。彼女は不安に押しつぶされ、倒れこむ。そこへ遠くからトランペットの音色がこだまする。森の中、陽の光に輝くなにかが少しずつ近づいてくる。
3 テンポ・ディ・マルチャ ハ長調
 十字軍の甲冑を身にまとい、旗をはためかせた騎士たちとその従者たちに、群集が称賛の声を上げている。そしてその中にいるのは彼女の夫である。彼女は彼の胸に飛び込んだ。
4 プレスト・ジョコーソ ヘ長調
 終わることのない幸せ。木々と波が愛の歌を歌い、あまたの声が愛の勝利を宣言する。女が騎士のことを想いこがれ、離別と喜びの再会を果たすという主題は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番「告別」に似ています。

この曲で用いられるピアノ技巧で特徴的なのは、オクターブのグリッサンドで、1度目は第3の部分に、残りの2回はフィナーレに登場します。約16分の楽曲で、シンプルだけど、しっかりとしたストーリー性があり、チャーミングで、愉悦性の高い素敵な小品です。お薦め。

ピーター・レーゼル ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン1984年
Peter Rosel  Herbert Blomstedt
Sächsische Staatskapelle Dresden
(Staatskapelle Dresden)

ほぉ〜良いヤン


録音状態は良い。しとやかで内気そうな女性が主人公でしょうか。楚々としつつも、喜びを表現している演奏で、チャーミング。ちょっと滋味だけど・・・。
カップリング:
1 ウェーバー ピアノ小協奏曲
  (ピアノとオーケストラのためのコンツェルトシュテュック)
2〜4 ウェーバー ピアノ協奏曲第1番
5〜7 ウェーバー ピアノ協奏曲第2番
「しぃ〜ふぁぁ〜そ ふぁみれ どぉ〜しぃ そっふぁ〜らぁ」
「しぃふぁ〜そ ふぁみれ〜 どぉし れっ ふぁそっ」
レーゼル盤で聴くと、・・・ある婦人が遠くを見つめながら、一人バルコニーに腰掛けている。彼女の愛する騎士は十字軍としてパレスチナへ遠征しているのである。・・・というストーリーに登場する女性は、しとやかで、控えめな、まるでヤマトナデシコ(←ほとんど死語だが〜)のような女性が主人公のようだ。
レーゼルさんのピアノ、そしてブロムシュテットさんの指揮と言えば、少し滋味なの演奏かな〜
いぶし銀的な演奏かなあ。と思いながら聴いたが、ふむ。やっぱり、手堅い感じがする。

ウェーバーのピアノ曲なのだが、まるで、ショパンのソナタを聴いているような感じがするし、控えめで楚々としてて、おとなしく内気そうな、丘陵地帯から遠い彼方に目をやり、彼は生きているのだろうか・・・と、思い浮かべ、再会できるのだろうかと、悶々と気をもんでいる様子が、なんともけなげだ。

彼女のアタマのなかの想像では、傷ついた彼が戦地に横たわり、取り残されている情景が浮かんでくる・・・。
はあ、そこまで思い詰めなくても〜と、聴いているほうは、段々と切なくなっているのだが〜
ピアノの方は、彼女が、アタマの中で描いた、描写を描いていくようで、 ん? これじゃーまるで、映画のように、劇中劇だな〜っと思うのだが、聴いているワタシのアタマのなかにも、おそらく、よく似たとおぼしき映像が浮かんで来る。
ハイ、彼女ではなく、我が輩が、傷ついた彼を介抱している・・・ってな具合に。(← なんでワタシが介抱せなアカンねん)

まあ、突っ込みをしながらも、ピアノ主体の、ふわーっとした音のフレーズが、どうも遠い世界に誘ってしまうようで、レーゼル盤だと、多少、もやっている幻想的な音が、聴いている人の心を、遠い世界へと持って行ってしまう。
まあ、この点は、プレトニョフさんのピアノとは、ちょっと違う。
あの方は(プレトニョフさん)現実的で、ロマンチックとは言い難い、素っ気なさがあった。また、どっか客観的だ。
ブレンデル盤は、もっと繊細で上品なピアノなので、貴婦人風である。で、ワタシとは隔たりがあるのだが〜
レーゼル盤だと、庶民派の素朴な女性って感じがする。なので、ワタシ的には、親近感を感じるのだろう。
(えっ? と、そこで、突っ込みを入れないでね。)

で、シーンが変わり、ダンナとおぼしき十字軍の兵士たちが帰還したところでは、
行進曲のようで、「そっ そそ そっそ どぉ〜 しぃら らそ そふぁ みっみれどぉ〜」
「れどしらそ らそふぁみれ そふぁみれ みっどぉ〜」 「れどしらそ らそふぁみれ そふぁみれ みっ〜」
というクラリネットの軽やかなフレーズが聞こえてくる。
喜びイッパイのシーンで、オケが派手に鳴ってくる。
ここだけが、オケが精一杯元気に演奏し、ティンパニーも高らかに響く。まっ、そこだけが勇壮な演奏になっている。
(って言っても、さほど、派手じゃーないんですけど)
オケは、兵士たちの行進を表し、ピアノは、彼女の心情を表しているようで、彼女は、小走りに、その帰還してきた兵士の元へ走って行くのだ。えへっ とっても喜んでいるねっ。とても、チャーミングだ。

ピアノのグリッサンドは、さほど派手に鳴っておらず、庶民的(←っていうか控えめ)な表現である。
プレトニョフ盤のように、男性の胸に、派手にダイビングしました〜って感じではない。

まあ、派手さには欠けるし、ダイナミックなストーリーの描き方ではない。
が、う〜ん オーソドックスなんだけど、心情的には親しみを持って聴けるような気がする。
しかし、このストーリーを知らないと、なんて地味な曲なんだろ〜 なんで、途中で行進曲風のフレーズが出てくるんだろう。と、いぶかしく思ってしまうかも。 さすがに、演奏会では、もう少しオーバーでもよいかなあ。とは思う。

ベタに例えると、プレトニョフ盤だと、ちょっぴり派手な水商売系の女性、レーゼル盤だと、控えめな庶民的な女性、ブレンデル盤だと、貴婦人風の女性〜って感じで、ストーリーに描かれている主人公の女性の印象が、随分変わる。
まっ これは演奏家(ピアニスト)の個性だと思うのですが〜 聴かれる男性諸氏のお好みにも、かなり、印象が左右されるかもしれません。
まっ 女性であるワタシ的には、どのタイプでもよろしいのですが〜
時代的には、ブレンデル盤が、いちばん、マッチしているのかなあ〜と思います。ぜひ、聞き比べてくださいな。(笑)


ミハイル・プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 1996年
Mikhail Pletnev Russian National Orchestra

これもありかっ

録音状態はまずまず。しなやかで優美なフレージングではないのだが、ピアノの硬めの素速い動き、快速なテクに意外とはまる。
カップリング:
1〜4 ウェーバー ピアノ小協奏曲
    (ピアノとオーケストラのためのコンツェルトシュテュック)
5  歌劇「魔弾の射手」序曲
6  歌劇「アブ・ハッサン」序曲
7  歌劇「オベロン」序曲
8  歌劇「精霊の王」序曲
9  舞踏への招待(ベルリオーズ編)
10 歌劇「3人のピント」間奏曲(マーラー編)
11 歌劇「オイリアンテ」序曲
1楽章
「しぃ〜ふぁぁ〜そ ふぁみれ どぉ〜しぃ そっふぁ〜らぁ しぃふぁ〜そ ふぁみれ どぉし ふぁそっ」
甘くて切ないような、遠い彼方を見ているかのようなフレーズから始まる。
あまりフレージングは、緩やかではないし、しなやかさにも欠けている。
しかし、ピアノは、まるでショパンのように可愛く、「られふぁら どれふぁら どふぁら・・・・」パラパラっと始まる。
「れっふぁ そ ふぁっみれっ  どっしっ そ ふぁらっ しっふぁっそ ふぁみれ〜 ど しれ ふぁそ・・・」

プレトニョフさんのピアノは、細切れで、余韻なく、素っ気なく登場しちゃう。
その、ふっと間合いのあくところは、はれっ〜 ロマンチックではないのね〜 素っ気ないというか、つれないというか。
スタッカートで、奏でてくるところが、そっとしておいて〜と言わないばかりだ。
ほの暗さを持ちながらも、多少は甘さもあって、どことなく、ショパン風だが、ロシアの体臭は強めかな。
あんまり、人情味の深い女性的って感じではないのだ。情感の表し方は、どこか、男っぽいかも。
えっ でも、これ、ウェーバーだったよねえ。
モーツァルトの嫁さんが、ウェーバーのいとこ・・・だったはずなんだけど、この楽曲は、ロマン派のどまんなか的である。

2楽章
「れぇ〜」っと短い金管の小さな咆吼があって、間髪入れず、「れしそふぁらどれ どれみふぁれっ」「そふぁふぁみ みれれど・・・」と進んで行く。
1楽章は、たっぷりと甘さを持っていたが、2楽章は速い。
プレトニョフさんのピアノは、快速で、勢いがついてオケと共に、すわーっと弾かれちゃう。
細かい粒立ちの良いピアノが、軽やかに、テクが良すぎるのか、速攻だ。
木管のフレーズが主になって、ピアノは、そらふぁらど・・・と駆け上がってしまい、もう少し、まったりでも、よろしいのに。
あまりオケは分厚くなく、木管のフレーズが聞こえてくるぐらいで、どてっとした楽曲ではない。
風のように、さらっと、パラパラ・・・ しらそふぁ みふぁそふぁ パラパラ・・・と流れて行く。
「そふぁみれどしらそ・・・・」と、ピアノの速い粒立ちの良い。グリッサンドが聞こえてくる。

3楽章
行進曲のようで、「そっ そそ そっそ どぉ〜 しぃら らそ そふぁ みっみれどぉ〜」
「れどしらそ らそふぁみれ そふぁみれ みっどぉ〜」 「れどしらそ らそふぁみれ そふぁみれ みっ〜」
「どれ みみ みみ らぁ〜 らそふぁみ ふぁ そふぁみれ ふぁみれどし〜」
「そらしらそぉ〜 しどれどし そらしどれぇ〜みふぁぁぁ〜」
クラリネットの軽やかな、ファゴットへの受け渡しなど、チャーミングで軽快なフレーズが聞こえてくる。
で、その木管のフレーズが可愛いなあ。と思っていると、ばぁ〜ん!と、一発ピアノの強烈な和音が聞こえて、強烈なグリッサンド、そこからオケが、同じ主題を奏でていく。
まるで、びっくり箱のようだけど、これが、また面白いっ。

ここは、十字軍の甲冑を身にまとい、旗をはためかせた騎士たちとその従者たちに、群集が称賛の声を上げている。
そして、その中にいるのは彼女の夫である。彼女は彼の胸に飛び込んだ。
あっ そういうこと。
ピアノのグリッサンドは、彼女は、ダンナの胸にダイビングしたってわけね。こりゃ〜 わかりやすいっ! (笑)
「みっみど みっみど みっみどぉ〜」 めでだし めでたし〜

4楽章
「どぉ〜 れれれれっ れぇ〜パパパパ・・・」と、超快速で、パパパパ・・・と続く。
もう速くてついていけないのだけど〜 なんともチャーミングで、れれれれ みみみみ・・・
シンプルな音なのだけど、速くて、れれれれ れみふぁそ らそあみっと、軽快このうえなく、なんて楽しい楽曲なんでしょ。
ピアノのグリッサンドが奏でられて、跳躍して、たぁ〜たぁ〜たぁ〜ん パパパパっ。
喜びがはじけちゃって〜 興奮してますやん。
オケの方が、祝祭的に色づけしており、ピアノはシンプルに、「れれれれ れみふぁそ らそふぁみぃ〜」と、超快速で、お子ちゃま風に走り回って、そぉ〜しそしそしそっ パンパンパン!っと終わる。

ウィキペディア(Wikipedia)には、ピアノのグリッサンドは3回って書いてあったのだが、ワタシ、数え間違えたのかなあ。
もっとあったように聞こえちゃったんですけどね。(笑)
プレトニョフ盤だと、15分43秒というクレジットのある小品なのだけど、シンプルだけど、ものすごく楽しくて〜
喜びの爆破度が、ピアノのグリッサンドに表されている感のするもので、聴いているワタシも、ノリノリで〜 オケも楽しそうに、ワクワクと演奏されている。

プレトニョフ盤は、このピアノの快速度合いが、やっぱ凄くて、超テクに近い。
サイボーグではないが、直線的で、跳躍にも優美さは、ちょっと・・・
でも、それが、イヤミに聞こえてこないところが、この楽曲の良さかもしれない。
オケの方は、立派な演奏をしているわけでもないのだが、クラの転がる具合とか、ホルンの合いの手とか、ちょっとした場面で登場するぐらいなのだが、軽妙で〜 聴いて、一発で好きになっちゃった作品です。

まあ、プレトニョフ盤は、ブレンデル盤とは異なり、女性のしなやかさや、色気には欠けています。
ちょっと、ダイナミックなのよねえ。表現が・・・ 
逢いたかったダンナの胸に、ホント、ダイビングしたかのようで、直接的で、あっけらかん〜 としてます。(笑)
録音状態の方も、さほどよろしくなくって〜 ブレンデル盤の方が、録音状態も良く、優美さが感じられます。

1979年 ブレンデル アバド  ロンドン交響楽団 Ph  
1984年 レーゼル ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン ★★★
1996年 プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 ★★★★
所有盤を整理中です。

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