「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ボロディン 弦楽四重奏曲第2番
Borodin: String Quartet No.2


ボロディン弦楽四重奏団 1962年
Borodin Quartet



録音状態は良い。リマスタリング盤だと思う。各楽章の違いを明確に描き分けており、特に、ヴァイオリンの高音域の色彩が強く、インパクトあり。
カップリング:ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲 第12番「アメリカ 」 ヤナーチェク弦楽四重奏団
ショスタコーヴィッチ 弦楽四重奏曲第8番 ボロディン弦楽四重奏団

1楽章
作曲家ボロディンの名前を冠にした、ボロディン弦楽四重奏団・・・。
本家本元という感じのする四重奏団の盤である。
「しー そし〜そふぁ みそれそ どそどし どれみふぁ〜そそふぁ〜」
チェロから始まるフレーズが、思ったより意外とテンポが速めで少し驚いた。
テンポはゆったり、渋い音で鳴ってくるのだろうと勝手にイメージしていたのだが、新しい録音のエマーソンSQ盤より、あっさり〜している。
チェロがもう少し深めで出てくると思っていたのだが、このボロディンSQ盤は、どちらかと言えばヴァイオリンの音色が艶やかで、のびのある高音域の声が美しく、耳が、そっちに行ってしまう。
チェロリストが、泣いて喜ぶようなメインのフレーズが続くのだが、チェロが控えめに聞こえるのだ。
珍しくチェロの方が主役って感じの楽曲だよぉ〜。
もうすこし、全体的に、まったりしてても良いような気がする。
途中で息継ぎ(管でもないのに、弦で息継ぎって言うのも変だが)しており、フレーズが、少し間が開いているところが、ちょっと気になった。え〜 奥ゆかしいなあ。
ぐぐ〜っと深く吸い込む、伸び縮み自由自在にルバートをかけるかと思ったのだが、前半は、わりとあっさり弾かれている。
もちろん、チェロの豊かな音もバッチリ聞こえるのだが、それにまして、ヴァイオリンが、、、あ〜 なんと色っぽい音なのだろう。このヴァイオリンの音色が、しっかり色つやを出している。
第1主題が戻ってくるところは、冒頭よりは、まるみが帯びているのだが、チェロのフレーズが、やっぱり淡泊に聞こえてしまう。
私的には、せっかくの甘いフレーズなのだから、多少は、ロマンティックに奏でて欲しい〜という思いがある。ヴァイオリンは、高音域で粘っている。だったら、チェロは低音域で粘って欲しいのだ。
意外と几帳面で、かっちり、肉厚で、かつヴァイオリンだけ艶っぽいインパクトあり。
でも、なーんか、1楽章の印象が、薄い気がするんだけどなあ。

2楽章
う〜 これは、ヴァイオリンの音色が、やっぱり明るく快活に、楽章を引っ張っていく。
「そふぁみれみれ そふぁみれみれ しらそふぁみれ・・・」
「どふぁ〜 どふぁ〜 れそ〜 れそ〜」と揺らめくフレーズもあるのだが、このパラパラ、ふわふわ〜
硬めと柔らかめの両面が、交互にやってくるような楽章になっている。
で、「ふぁっれ れっどしっ らしらし そらそら ふぁれ〜」と、ヴァイオリンが、はためく布のように、パラパラ〜 ふぁらふぁら〜と、音を立てている。
ソフトな旋律でもあるのだが、ヴァイオリンの音色に艶があり、色彩が豊かで、ちょっと陽射しの強い初夏を思わせる雰囲気だ。弦のボーイングというか、弾き方に力強さがある。
南欧風とも感じさせる面があり、ちょっと驚き。

3楽章
ノッテルノ 夜想曲と言われる有名な楽章だ。
「し〜らそらふぁ〜 みふぁみふぁそ〜ふぁ〜どふぁ〜しそ〜ふぁ みれみど〜しどれみれどふぁ〜どふぁ〜」
「しーらそらふぁ〜 みふぁみふぁそ〜 ふぁ〜どふぁ〜しそ〜ふぁ〜みふぁみど らしどしられ〜」
下支えの「ふぁふぁ〜 そそ〜 れれ〜」が、なにか気になる。
浮いた感じがするというか、まろやかに1つのフレーズとして聞こえてこない。
先のチェロに続いて、ヴァイオリンが、主題を弾いていく。ヴァイオリンの超高音域の音色が、のってくるのだが、う〜ん。
エマーソンSQとは違って、こっちは、少し違和感がある高い音で、多少、キンキンに聞こえてくる。
う〜っ。こりゃ。目覚めのノッテルノ。
例えが、とても悪いのだが、寝床で蚊が鳴っているような感じがする。全体的なまろやかさは、エマーソンSQ盤の方が、私的には好ましい。
ボロディンSQ盤の各楽器の音質が、う〜ん。それぞれ個性が強いのかもしれないなあ。
弦楽四重奏曲を演奏する際には、各楽器の音質というか、音の響きが、それぞれ似ている方が良いのか、役割が違うのだから、違う音質、個性的な方が良いのか。楽器奏者ではないので、ワカラナイのだが、似た音質だと、きっと、まとまり良く聞こえるだと思う。

ブンチャブンチャ・・・と、リズムをとる楽器があるのに、「ししっ〜 そっそ〜」と奏でる楽器がある。
このリズムを刻む音は良いのだが、変なヴィブラートのかかった、れふぁれふぁ〜 しそしそ〜という音が、なんとも、人工的な音に聞こえる。ふにゃふにゃ〜 ん? なんだ〜この音。リマスタリングした際にでも、変になっちまったのか。糸が、ビビビビ・・・と震えているようで、気味が悪い。非常に違和感がある。

4楽章
「そしらそふぁど〜し〜」「みふぁらそ ふぁそどし〜」
チェロの音が、なーんか変な不協和音を弾いているって感じで、乾燥した感じがする。
無窮動のように、せわしく動き回っていく楽章ではあるのだけど、んーー?
冒頭があまりにも、無感動すぎて。先の楽章との関連が、よくワカラン。いきなり抽象画を見ているようで、よくワカランっ。と唸ってしまう心境だ。それが、ボロディンSQの音の響きで助長されてしまった。
エマーソンSQで聴くと、まだ幻想的というか、少し甘さが残っていたのだが、ボロディンSQだと、弦が強めに弾かれているのか、録音のためなのかわからないけれど、悲痛な響きがしている。
戦争後の荒野の風景が広がっているようで、一気に、現代音楽か〜と思うほど、無感動に聞こえてる。
意図して、響くことを抑えているのかもしれないけれど。
妻に結婚20周年記念として贈った曲としては、最後が〜 どういう意味なんだろうねえ。ワカランなあ。

全体的には、う〜ん。楽章の違いを、それぞれ楽しむには、ボロディンSQ盤は良いみたい。
エマーソンSQ盤が、全体的に色を統一しているように感じられたのとは、違う。
各楽章が、それぞれ個性的であり、この違いが明確に描かれているような気がする。というか、明確に、描き分けているような気がする。
ボロディンのこの楽曲が、単に甘いだけの楽曲ではないってことは、う〜ん。よくわかった。
特に、4楽章が強烈なインパクトを放っている。 
エマーソン弦楽四重奏団 1984年
Emerson String Quartet



録音状態は良い。ほどよく甘美で、若々しい。
カップリング:ドヴォルザーク弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」、チャイコフスキー弦楽四重奏曲第1番
1楽章
「しー そし〜そふぁ みそれそ どそどし どれみふぁ〜そそふぁ〜」 
美しく甘い調べがチェロのフレーズのうえに、そろっとヴィオラ、そしてヴァイオリンが寄り添うように弾かれている。一度聴いたら忘れられないほどの、柔らかい、ちょっと甘めのフレーズである。
何度も繰り返されるので、覚えやすい。
チェロの深みのある音色にやられた。フレーズが変わるところでも、途切れないように、そろっとチェロが優しく問いかけ始めているし、この楽曲は、チェロがメイン。主人公のようだ。
チェロってこんな深みのある音も出せるんだな〜っと驚くほど、低音域の響きが心地良く鳴っている。
揺れ動くフレーズも、心地良い。ピチカートも弾んではいるが、上品で、ソフト感覚が優れている。
「そっみ〜 そっみ〜 ふぁっれ〜」と、いうようなフレーズの受け渡しもスムーズ。
「しー そし〜そふぁ みそれそ どそどし どれみふぁ〜そ そふぁ〜」
「どみ〜どしらど そど ふぁどふぁみ ふぁ〜そらしどそ〜ふぁ〜ど〜」 
「れそそふぁ〜み どれみれふぁ〜み〜しれど〜 そ〜ふぁど〜れそふぁ〜みれみ しどれど〜らそふぁそ」
「しー そし〜そふぁ みそれそ どそどし どれみふぁ〜そそふぁ〜」
最後、転調していくところも美しい。3楽章が有名な楽曲だが、1楽章も、なかなか美しい。
エマーソンSQの甘い調べ 特に、チェロの音色に、ころり〜とやられた。
芳しき香りが、辺り一面に広がってくるようで、それも、爽やかな風に乗って、ほのかに香る。

2楽章
若々しい、それでいて品があって柔らかい。まろやかで、弾んだピチカートが特徴的。

3楽章
ノッテルノ 夜想曲。
「し〜らそらふぁ〜 みふぁみふぁそ〜ふぁ〜どふぁ〜しそ〜ふぁ みれみど〜しどれみれどふぁ〜どふぁ〜」
「しーらそらふぁ〜 みふぁみふぁそ〜 ふぁ〜どふぁ〜しそ〜ふぁ〜みふぁみど らしどしられ〜」
チェロに続いてヴァイオリンが同じフレーズを弾いていく。
ヴァイオリンの超高音域の音色が、キンキンに鳴らず、ほっ。
チェロが、ブンチャブンチャ・・・と、リズムをとるなか、「ししっ〜 そっそ〜」と、ヴィオラが乗ってきて、ヴァイオリンが階段をのぼりおり〜 エマーソンSQの軽めの音でいながら、爽やかさが良いな。と思う。
とろとろ〜に濃厚ではないし、若さも感じられるし、色っぽくもあるし。

4楽章
ちょっと風変わりな冒頭で、「そしらそふぁど〜し〜」「みふぁらそ ふぁそどし〜」
ちょっと不安定な旋律で、不協和音で、ヴァイオリンとチェロが呼応したあと、そこから、無窮動のように、せわしく動き回っていく。ん? どんなシーンがイメージされるんだろ。と考えたのだが、、、
幻想的な響きも持っている。 
まるで、未知との遭遇的な、変わった和音の応酬があるのだが、喧嘩でもしたのか。
ちょっぴり、妬いているような気もするが、まあ。それでも甘い世界が続いており、微笑ましい。
通俗的になりがちな1楽章からの甘いフレーズを、この楽章で、渋みを効かせているようだが、なんだか場違いなような、つけたしたような感じで。思い違いって感じもするが、まあ。風変わりには仕上がっている。
エマーソン盤では、この渋みというか苦みも、爽やかに、すすっ〜っと風が吹いているように演奏されているので、重く沈殿せずに聴くことができた。
爽やかで、ほどよく甘く、ほどよくセクシャルで、ほのかに香りがついてて、嬉しくなる貴重な1枚である。
1962年 ボロディン弦楽四重奏団 Dec ★★★
1984年 エマーソン弦楽四重奏団 ★★★★★
所有盤を整理中です。

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