ボロディン 弦楽四重奏曲第2番 Borodin: String Quartet No.2

 ボロディン 弦楽四重奏曲第2番
Borodin: String Quartet No.2
エマーソン弦楽四重奏団 1984年
Emerson String Quartet

冒頭、「しー そし~そふぁ みそれそ どそどし どれみふぁ~そそふぁ~」美しく甘い調べがチェロのフレーズのうえに、そろっとヴィオラ、そしてヴァイオリンが寄り添うように弾かれている。一度聴いたら忘れられないほどの、柔らかい、ちょっと甘めのフレーズである。何度も繰り返されるので、覚えやすい。チェロの深みのある音色にやられた。フレーズが変わるところでも、途切れないように、そろっとチェロが優しく問いかけ始めているし、この楽曲は、チェロがメイン。主人公のようだ。チェロってこんな深みのある音も出せるんだな~っと驚くほど、低音域の響きが心地良く鳴っている。揺れ動くフレーズも、心地良い。ピチカートも弾んではいるが、上品で、ソフト感覚が優れている。最後、転調していくところも美しい。3楽章が有名な楽曲だが、1楽章も、なかなか美しい。エマーソンSQの甘い調べ 特に、チェロの音色に、ころり~とやられた。芳しき香りが、辺り一面に広がってくるようで、それも、爽やかな風に乗って、ほのかに香る。

第2楽章は、若々しい、それでいて品があって柔らかい。まろやかで、弾んだピチカートが特徴的。
第3楽章 ノッテルノ 夜想曲。チェロに続いてヴァイオリンが同じフレーズを弾いていく。ヴァイオリンの超高音域の音色が、キンキンに鳴らず、ほっ。チェロが、ブンチャブンチャ・・・と、リズムをとるなか、「ししっ~ そっそ~」と、ヴィオラが乗ってきて、ヴァイオリンが階段をのぼりおり~ エマーソンSQの軽めの音でいながら、爽やかさが良いな。と思う。とろとろ~に濃厚ではないし、若さも感じられるし、色っぽくもあるし。

第4楽章は、ちょっと風変わりな冒頭で、「そしらそふぁど~し~」「みふぁらそ ふぁそどし~」ちょっと不安定な旋律で、不協和音で、ヴァイオリンとチェロが呼応したあと、そこから、無窮動のように、せわしく動き回っていく。ん? どんなシーンがイメージされるんだろ。と考えたのだが、幻想的な響きも持っている。まるで、未知との遭遇的な、変わった和音の応酬があるのだが、喧嘩でもしたのか。ちょっぴり、妬いているような気もするが、まあ。それでも甘い世界が続いており、微笑ましい。通俗的になりがちな1楽章からの甘いフレーズを、この楽章で、渋みを効かせているようだが、なんだか場違いなような、つけたしたような感じで。思い違いって感じもするが、まあ。風変わりには仕上がっている。エマーソン盤では、この渋みというか苦みも、爽やかに、すすっ~っと風が吹いているように演奏されているので、重く沈殿せずに聴くことができた。爽やかで、ほどよく甘く、ほどよくセクシャルで、ほのかに香りがついてて、嬉しくなる貴重な1枚である。。


 ボロディン 弦楽四重奏曲第2番
Borodin: String Quartet No.2
ボロディン弦楽四重奏団 1962年
Borodin Quartet

作曲家ボロディンの名前を冠にしたボロディン弦楽四重奏団。本家本元という感じのする四重奏団の盤である。チェロから始まるフレーズが、思ったより意外とテンポが速めで少し驚いた。渋い音で鳴ってくるのだろうと勝手にイメージしていたのだが、新しい録音のエマーソンSQ盤より、あっさりしている。チェロがもう少し深めで出てくると思っていたが、どちらかと言えばヴァイオリンの音色が艶やかで、のびのある高音域の声が美しく、耳が、そっちに行ってしまう。チェロリストが、泣いて喜ぶようなメインのフレーズが続くのだが、チェロが控えめに聞こえる。珍しくチェロの方が主役って感じの楽曲だよぉ~。全体的に、まったりしてても良いような気がする。途中で息継ぎ(管でもないのに、弦で息継ぎって言うのも変だが)しており、フレーズが、少し間が開いているところが、ちょっと気になった。奥ゆかしい。ぐぐ~っと深く吸い込む、伸び縮み自由自在にルバートをかけるかと思ったのだが、前半は、わりとあっさり弾かれている。もちろん、チェロの豊かな音もバッチリ聞こえるが、ヴァイオリンが、あ~ なんと色っぽい音なのだろう。このヴァイオリンの音色が、しっかり色つやを出している。第1主題が戻ってくるところは、冒頭よりは、まるみが帯びている。ヴァイオリンは、高音域で粘っている。だったら、チェロは低音域で粘って欲しい。意外と几帳面で、かっちり、肉厚で、かつヴァイオリンだけ艶っぽいインパクトあり。

第2楽章は、ヴァイオリンの音色が、やっぱり明るく快活に、楽章を引っ張っていく。揺らめくフレーズもあるのだが、このパラパラ、ふわふわ~ 硬めと柔らかめの両面が、交互にやってくるような楽章になっている。で、「ふぁっれ れっどしっ らしらし そらそら ふぁれ~」と、ヴァイオリンが、はためく布のように、パラパラ~ ふぁらふぁら~と、音を立てている。ソフトな旋律でもあるのだが、ヴァイオリンの音色に艶があり、色彩が豊かで、ちょっと陽射しの強い初夏を思わせる雰囲気だ。弦のボーイングというか、弾き方に力強さがある。南欧風とも感じさせる面があり、ちょっと驚き。

第3楽章は、ノッテルノ 夜想曲と言われる有名な楽章だ。下支えの「ふぁふぁ~ そそ~ れれ~」が、なにか気になる。浮いた感じがするというか、まろやかに1つのフレーズとして聞こえてこない。先のチェロに続いて、ヴァイオリンが、主題を弾いていく。ヴァイオリンの超高音域の音色が、のってくる。エマーソンSQとは違って、こっちは、少し違和感がある高い音で、多少、キンキンに聞こえてくる。目覚めのノッテルノ。例えが、とても悪いのだが、寝床で蚊が鳴っているような感じがする。全体的なまろやかさは、エマーソンSQ盤の方が好ましい。ボロディンSQ盤の各楽器の音質が、それぞれ個性が強いのかもしれない。弦楽四重奏曲を演奏する際には、各楽器の音質というか、音の響きが、それぞれ似ている方が良いのか、役割が違うのだから、違う音質、個性的な方が良いのか。楽器奏者ではないので、ワカラナイのだが、似た音質だと、きっと、まとまり良く聞こえるだと思う。
ブンチャブンチャ・・・と、リズムをとる楽器があるのに、「ししっ~ そっそ~」と奏でる楽器がある。このリズムを刻む音は良いのだが、変なヴィブラートのかかった、れふぁれふぁ~ しそしそ~という音が、なんとも、人工的な音に聞こえる。ふにゃふにゃ~ ん? なんだ~この音。リマスタリングした際にでも、変になっちまったのか。糸が、ビビビビ・・・と震えているようで、気味が悪い。違和感がある。

第4楽章は、「そしらそふぁど~し~」「みふぁらそ ふぁそどし~」チェロの音が、なーんか変な不協和音を弾いているって感じで、乾燥した感じがする。無窮動のように、せわしく動き回っていく楽章ではあるのだけど、んーー? 冒頭があまりにも、無感動すぎて。先の楽章との関連が、よくわからない。いきなり抽象画を見ているようで唸ってしまう心境だ。それが、ボロディンSQの音の響きで助長されてしまった。

エマーソンSQで聴くと、幻想的というか、少し甘さが残っていたのだが、ボロディンSQだと、弦が強めに弾かれているためか、録音のためなのかわからないけれど、悲痛な響きがしている。戦争後の荒野の風景が広がっているようで、一気に、現代音楽かと思うほど、無感動に聞こえてる。意図して、響くことを抑えているのかもしれない。妻に結婚20周年記念として贈った曲としては、最後が~ どういう意味なんだろうねえ。全体的には、楽章の違いを、それぞれ楽しむには、ボロディンSQ盤は良い。エマーソンSQ盤が、全体的に色を統一しているように感じられたのとは違う。各楽章が、それぞれ個性的であり、この違いが明確に描かれているような気がする。というか、明確に、描き分けているような気がする。ボロディンのこの楽曲が、単に甘いだけの楽曲ではないってことは、よくわかった。特に、4楽章が強烈なインパクトを放っている。 


ボロディン 弦楽四重奏曲第2番
1962年 ボロディン弦楽四重奏団 Dec ★★★
1984年 エマーソン弦楽四重奏団 G ★★★★★




YouTubeでの視聴

ボロディン 弦楽四重奏曲第2番
エマーソン弦楽四重奏団 トピック
Provided to YouTube by Universal Music Group
Borodin: String Quartet No.2 in D
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=K3IMOCg7U6g
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=LakAfVUY_WA
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=T1aZdvRWEcc
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=Nbr50kZ48EA


Borodin: String Quartet No. 2 in D Major
ボロディン弦楽四重奏団 - トピック
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=WUveUFqd2p4
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=NohswNmsabQ
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=jIKss_GIZDo
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=4LorwuAVVVE

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