「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ブラームス ピアノ五重奏曲
Brahms:
Piano Quintet in F minor, Op.34


ブラームスのピアノ五重奏曲ヘ短調作品34は、1864年に作曲されています。
当初の版は、弦楽五重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2)として62年に作曲されたものの、終楽章を書かないままクララ・シューマンに草稿を送り、いったん弦楽五重奏曲を断念し、2年後の64年に、2台のピアノのためのソナタとして書き換え、作品34bとして出版しています。その後、ブラームスらしく逡巡したのち、ピアノと弦楽四重奏曲用のピアノ五重奏曲として書き直し、ヘッセン方伯家の公子妃マリア・アンナに献呈されて、65年に出版されています。
ウィキペディア(Wikipedia)によると、この曲の両端楽章は、和声法においてブラームスとしては冒険的で、落ち着かない印象を醸し出す。このことは、終楽章の序奏において半音階で上行していく音型にとりわけ当てはまっているとのこと。

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ  ヘ短調 4/4拍子
第2楽章 アンダンテ、ウン・ポコ・アダージョ 変イ長調、ホ長調 4/3拍子
第3楽章 スケルツォ アレグロ ハ短調、ハ長調 8/6拍子、4/2拍子
第4楽章 フィナーレ ヘ短調 2/2拍子、4/2拍子 8/6拍子 以上 4つの楽章からなっています。

吉井亜彦さんの名盤鑑定百科によると、ソナタ形式による第1楽章における両主題の対比感とその発展性には、いかにもブラームスらしいデリカシーと力強さがこめられ、第2楽章の抒情的美しさも印象的。ハ短調の調性をとるスケルツォ楽章の内向する情念の激しさ、色彩の濃厚さはブラームスの独壇場であり、序奏のついたロンド形式の終楽章も充実している。全体を通して「交響曲」のようなひびきを内包している。(当時のブラームスは、まだ1曲も交響曲は発表していない)・・・とのことで、ベタボメなのですが、確かにスケールも大きいしい、立派っ!という感じはします。

でも、ワタシには、甘いメロディーが、ちりばめられてて、ちょっと昔風の甘いロマンス風映画の主題曲のようにも聞こえちゃうんですけど。大御所の作品を、こんな風に言っちゃ〜マズイでしょうか。いっけん渋いけど、内実は、結構甘め。それにラストは燃える。演奏によっては、この渋さと甘さのバランス配合が異なるし、情念のようなモノが出てくるので、聞き比べてみると楽しいかもしれません。

ピアノ:グレン・グールド モントリオール弦楽四重奏団 1957年
Glenn Gould  Montreal String Quartet

あんたもやるね〜

録音状態は、それなり。ちょっと異質な感じ〜
カップリング:
1〜4 シューマン ピアノ四重奏曲(1968年)
5〜8 ブラームス ピアノ五重奏曲(1957年)
このCDは、グレン・グールドさんが、室内楽曲でピアノを弾いているというもの。
1つめが、シューマンのピアノ四重奏曲、2つめが、ブラームスのピアノ五重奏曲である。

シューマン ピアノ四重奏曲 1968年
グレン・グールド ジュリアード弦楽四重奏団
 ヴァイオリン:ロバート・マン ヴィオラ:ラファエル・ヒリヤー チェロ:クラウス・アダムス

ブラームス ピアノ五重奏曲 1957年
グレン・グールド モントリオール弦楽四重奏団
 ヴァイオリン:ハイマン・ブレス ヴァイオリン:ミルドレッド・グッドマン ヴィオラ:オットー・ジョアキム
 チェロ:ウォルター・ジョアキム

今日は、ブラームスを聴いたのだが、さすがに録音年が古いので、録音状態はそれなりで、多少歪みが見受けられる。
1957年8月のCBC放送録音盤である。
感想はというと〜 やっぱりピアノが主導権を握っている感じで、リズム感が、ピアノに制圧されているという感じ。
弦が歌えないというか、どうも窮屈そう。こりゃ〜 弦のフレージングではないですよねえ。弦特有のノビ感が、ほとんどないというか。普通なら、ここで、フレーズが伸びて、ゆったりするところでしょう〜というところが、紋切り調になって、すっぱり。
あれまっ 一辺倒という感じがする。
ブラームスを、ゆったり優雅に聴きましょうというのではなく、情緒というものがないのかしらん。
ちょっとオーバーに言ってしまうと、インテンポで機械的だ。近未来的感覚で、無機質的で、まるで無調音楽を聴いている風にも思えちゃうぐらい、ちょと不思議感のある演奏である。
それに、録音の仕方なんだろうけど、ピアノにスポットライトがあたっているのが、まるわかり。
かなり個性的な演奏・・・っていうか、ちょっと異質だ。グレン・グールドさんのファンの方は、どうぞ〜という感じだろうか。
プレヴィン ウィーン・ムジークフェライン四重奏団 1984年
André Previn  Vienna Musikverein String Quartet

いかすぜっ

録音状態は良い。最初は、分離した感じがするが、メリハリのある演奏で、艶っぽくもあり、新鮮な感じがする。
ピアノは、アンドレ・プレヴィン
ヴァイオリンは、ライナー・キュッヒルさんと、エックハルト・ザイフェルトさん、ヴィオラはペーター・ゲッツェルさん、チェロはフランツ・バルトロメイさんである。
1楽章
ウィーン・ムジークフェライン四重奏団とは、1973年、ウィーン・フィルのコンサートマスターだったヴァイオリニストのライナー・キュッヒルにより1973年に結成された四重奏団である。
「れ そぉ〜ら しそみそれ〜ら しそみそ らふぁれ らみらみ らぁ〜」
この冒頭のフレーズは、とっても個性的で、まるで鼻の詰まった、何とも言えないクサイ演歌風のフレーズなのだ。
で、とっても変わった旋律だな〜って、いつも思うのだが、これがウィーンの香りにミキシングされると、どうなるだろ。と、ちょっと興味を持って聴いたのだが・・・ やっぱ、クサイ演歌である。

でも、この冒頭だけといっていいぐらいで、あとは、明るくて、オシャレな音が出てくる。
ボロディン四重奏団さんの盤で聴くと、中高年風の落ち着きがあったのだが、このプレヴィン、ウィーン・ムジークフェライン四重奏団の盤で聴くと、活発で元気があり、色彩的に豊かだ。
弦のノビとか、ふぁっ〜っと、上に伸び上がって行くところは、なんともオキャンで、跳ねっ返りのお姉ちゃんとは言わないが、ちょっと、あのぉ〜 ブラームスなんですけど。もう少し、ほの暗さがあてもよろしいかと・・・思いつつも、若々しい、青年のようなブラームスとなっており、これはこれで、ワタシ的には好ましいかな〜と思う。

で、ピアノの音が、しっかり主張しているというか、ピアノの音が、妙に明るく、愉悦性が感じられる。
弦楽四重奏の方は、まろやかに、溶け合って聞こえてくるというよりは、各人が、それぞれに主張しているという感じで、まとまってはいるのだが、どこか、ソリストが集まっているという感じがする。
まあ、ワタシの勝手なイメージなのだが・・・。
録音の状態なんだろうが、マイクが、それぞれ1本ずつあって、それを均質的に収めました〜という感じがする。

CDのブックレットに掲載されていた文章から、少し引用させていただくと〜
ウィーン・フィルのコンサートマスターであるライナー・キュッヒルによって、1973年に創立された弦楽四重奏団で、ウィーン・フィルの本拠地であるムジークフェラインの栄誉ある名を冠したこの四重奏団は、ムジークフェラインザールでの定期演奏会、ザルツブルク音楽祭ほかのヨーロッパでの演奏での聴衆、評論家の心をつかみ、一躍その名で知られるようになった。4人ともウィーン音楽院の出身で、キュッヒルは、20歳でウィーン・フィルのコンサートマスターになった人で、この四重奏団は彼の名をとってキュッヒル四重奏団ともいわれている。・・・とのこと。

やっぱりヴァイオリンの音質は、ホント、だみ声風の音ではなく、綺麗な音で、濁らない。
このブラームスのピアノ五重奏曲は、チェロが入っているので、重い雰囲気が漂って停滞しちゃうイメージなのだが、この盤で聴くと、ピアノの存在が大きく、インパクトのあるカッチリとしてて、音が立って出てくる。
「れ そぉ〜ら しそみそれ〜ら・・・」という主題は、まろやかに、柔らかさを持って、横に流れていくというよりは、キッチリ、カッチリしており、しっかり文節を区切っていくかのような感じがする。
チェロのフレーズが、ため息まじりの穏やかさや抒情性を醸し出してくるのだが、甘すぎず、どちらかというと、ヴァイオリンの活発な感じやピアノのフレーズが主張している。
で、アコーディオンの楽曲を聴いてるかのように音が響いたりする。

2楽章
少し、穏やかに歌うかのように弾かれており、この楽章では、抒情的な雰囲気が漂う。
でも、やっぱり溶け合う音ではなく、各人の主張が、しっかりとしているなあ〜という、分離感がある。
ピアノに迷うかのようなフレーズがあるのだが、プレヴィンさんの演奏は、迷わない。憂いのようなところは、そぶりもなく〜
明晰なのだ。やっぱり、しっかりモノって感じだ。弦のフレーズは、美しく〜 品のある、物憂げな甘美なフレーズとなっており、退廃的な香りがする。ちょっと、ピアノとは、ミスマッチかなあ。
いや、そもそも、雰囲気の異なる音なのだ〜 そもそも、ピアノと弦とは相容れないじゃん・・・と、思ったりする。

3楽章
最初は小声なのだが、段々と大きくなって行く。
「らっ ららら らっ ららら・・・ らしら ふぁ そふぁそ らそみ ふぁみふぁ れ〜 ふぁみふぁ れ〜 みれみ らぁ〜」
ここのピアノのフレーズは、うってつけだ。
胸をはって、元気よく歩いて行く。
チェロがピツィカートで弾いているが、チャチャチャ チャンっ!と、歯切れが良い。アハハ〜 こりゃ良いわ。
ピアノの元気のよさが、細かく動き回って、シンコペーションが、気持ち良くフレージングされており、弦だけで弾いたり、主題が変わって、バーンっ!と、決めましたっ!と、決心したかのように、机を叩いたみたいで、おもしろい。

4楽章
前楽章とはうってかわって、鬱々・・・ 悶々としはじめる。その序奏が終わると、チェロが、「そっらっ しぃ〜らそ しっど れぇ〜 しっど れぇ れみふぁ〜」と、踊りだそうとしており、誘われていく。
「そらそら、れみふぁ〜みれっ そらっしぃ〜」
鬱々としたシンコペーションが入ってきて、ギクシャクしている。弦のフレージングは、穏やかだが、どことなくメラメラしているようでもある。女性の黒髪を、そのうちに振り乱して、「だだ だぁ〜だだ ダッダ ダーダダっ!」と、勢いがついてくるが、全体的には、さっぱりしている。
ほの暗くもあるが、黒光りしているかのような感じで、艶を出してきており美しい。
で、ワタシが所有しているこのCDは、このピアノ五重奏曲しか収録されておらず、なんと、41分ちょっと・・・
しかし、なかなかに聴き応えのあるメリハリ感があって、キッパリした感じが好ましい。

ボロディン弦楽四重奏団 ピアノ:エリソ・ヴィルサラーゼ 1990年
Borodin Quartet  Eliso Virsaladze

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。ゆったりと、暖かい音色とロマンティックなフレージングで、甘さと渋さが、とても頃合いに聞こえる。
カップリング:1〜4 ブラームス ピアノ五重奏曲
5〜8 ブラームス 弦楽四重奏曲第2番
1楽章
「れ そぉ〜ら しそみそれ〜 ら しそれふぁ らみれふぁ らみらみ らぁ〜」
「らどれみっ  そっふぁぁ らっそぉ れっど どっし・・・」
ガッシっとした弦の響きが、ベースになって、堅実なピアノが弦に絡んでくる。
弦の渋みが、勝っているのだが、沈み込むフレーズのところでは、ピアノが、少しだけ可愛く変身してくる。
まあ、ボロディン四重奏団さんのおじちゃんっぽい大らかな柔らかさと、ピアノの穏やかなフレーズが、中高年風で落ち着いた感じがする。
艶のある演奏とか、粒立ちの良さがあって、颯爽としているわけでも、ピアノに煌めきがある〜という感じではないが、シックなのだ。まあ、CDジャケットの想像の範疇内って感じだろうか。
弦のピチカートも、ボンボンボンって鳴っているし、主題が執拗に繰り返してやってくるのだが、イヤミなく、ふわんと聴ける。
やっぱ厚めの響きが重要視されているようで、「しそれそ らふぁれふぁ それしど・・・」と、分散和音なんだろうな〜
まるで交響曲風のコーダのように、予定調和的に、弦が、カッチリと終わる。

2楽章
「れふぁっ ふぁ〜 れそふぁふぁ〜」弦のふわっとしたフレーズと、ピアノのつぶやき風のフレーズが、お互いに巧く乗っていて、どちらが主体というわけではなく進んで行く。
あまり個性的ではないのだと思うが、ピアノが勝っていると、オケの伴奏のように弦は置いてきぼりになるだろうし、なかなかに難しそう。同等に弦とピアノが扱われないと、この楽章は調和しないかもしれない。
ワタシ的には、この鬱々感が、どーも苦手で、ブラームスも、シューベルトも、性に合わない。
聴いてて、イライラしてきて、ちゃっちゃと〜 さっさとしちゃってよぉ〜っと、うめきたくなるのだが、このボロディンさんの演奏は、鬱々、モゴモゴしているのではなく、ちょっぴり恥じらいのように聴けて、まあ、可愛いかな。と思える。
途中から、弦のハーモニーの方が主体となって、ピアノはレースの襞のように後ろにまわっている。
う〜ん やっぱりブラームスは、秋に聴くのがイチバンっ。
静かに、柔らかい明るさと優しさと、ほの暗い旋律が交錯していくので、秋の夕暮れって感じのシーンが思い浮かぶ。

3楽章
スキップするかのようなフレーズから始まり、胸を張って歩いて行くような感じで、段々とテンションをあげていく。
「らっ ららら・・・  らしら ふぁ そふぁそ らそみ ふぁみふぁ れ〜 ふぁみふぁ  れ〜」
「らっ ららら ららら・・・ らしら ふぁふぁふぁ み〜」
最初はピアノも、弦と一緒にフレーズを奏でるのだが、そのうちに和音を分けて、パララパララ・・・と奏で始める。
連打していくうちに、そりゃー テンションあがるでしょ。でも、ボロディン盤は、几帳面に連打を繰り返していく。段々と踊るかのようなフレーズになり、パワーをためていくのだが、ここまで来たら、ピアノは、テンションマックスになり、走り始めていきそうなところなのだが、弦の前に後ろにと、機敏に立ち回っている。
タタタ タン タタタ タンっ・・・・ れふぁられ れっ れふぁられ れっ・・・
で、ラストには、重厚な和音を、もっと細かく連打いていき、勇壮なクライマックスを形成していくのだが、低弦もボン ボンっとアクセント置いていくし、なかなかに手の込んだ響きとなる。

4楽章
チェロとピアノの静かに、そろーっと始まる主題だが、段々っと沈んで〜 静謐な序奏となっている。
で、「そっらっ しぃ〜らそ しっど れぇ〜 しっど れぇ れみふぁ〜」と舞踏風の主題が顔を出してくる。
で、そのウチに火がついたようにテンションがあがって、シンコペーションのリズムになって、たたぁ〜たた ダッダ ダーダダっ! と怒りを含んだように、燃え上がる。
まあ、ボロディン盤は大人なので、燃えて燃えて、燃え上がる〜ってところまでには至らないが、でも、やっぱり、ここは、しっかり燃えていただかないと、面白くないわけで・・・。このリズムの処理が、イマイチだと〜 締めとしては具合が悪い。
ヴァイオリンの高い硬い音で、ハンガリー風リズムなのかな? 輪郭を描いて、くっきりするのが良いみたい。
で、ラストは、ブラームスらしくなく、お洒落に終わる。

ボロディン盤は、穏やかで、弦のカッシリした重さのある演奏です。最終楽章は、もっとスリリングに演奏していただければ、もっとニヤリ〜っと喜んでしまえるのだが、やっぱ、大人なんですね。
でも、この楽曲 プチ交響曲 シミュレーションしているかのようで、なかなかに壮大だ。これが、30歳頃の作品だって? えっ 40歳過ぎに書いた作品だと思ってた。あらっ びっくり。
んじゃー もっと瑞々しい演奏でも、よかったんじゃーないかなあ。

1957年 グレン・グールド モントリオール弦楽四重奏団 SC ★★
1979年 ポリーニ   イタリア弦楽四重奏団  G  
1984年 プレヴィン ウィーン・ムジークフェライン四重奏団 Ph ★★★★
1990年 ヴィルサラーゼ   ボロディン弦楽四重奏団 T ★★★★
1990年 シフ   タカーチ弦楽四重奏団 Dec  
まだ所有盤を整理中です。

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