ブラームス ピアノ三重奏曲第1番、ピアノ四重奏曲第1番

 ブラームス ピアノ三重奏曲第1番
Brahms: Piano Trio
ピアノ:ジュリアス・カッチェン 1968年
ヴァイオリン:ヨゼフ・スーク(スク)
チェロ:ヤーノシュ・シュタルケル 
Julius Katchen Josef Suk János Starker

ブラームスのピアノ三重奏曲第1番は、本来は、若かりし頃に作曲された楽曲だ。作品番号8。そう、21歳頃の作品なのだが、なぜか58歳になって書き直した。現在は、この改訂版が演奏されている。かなり古い録音なので、多少音痩せしてはいるが若々しさが垣間見られる演奏だった。ただ、楽章が後ろになるにつれて枯れていく。特に3楽章のアダージョに入ると、疲れ果ててツラくなってしまう。(寂しすぎて聴いてられないわぁ~)カッチェンさんは1926年生まれなので、当盤は最晩年にあたる。シュタルケルさんは、1924年生まれ、スークさんは1929年生まれ、この3名で演奏されている。まだまだ演奏家として脂ののった時期だが、若々しさとは遠い。寂寥感に包まれるというか、まるで落ち葉が降り積もり、晩秋のような演奏だと思う。この楽曲は、冒頭のフレーズが、全てを言い尽くしている。とてもシンプルなのだが、親しみやすく、甘く切なく、じわじわ心に滲みる。ワタシ的には、ピアノとチェロの歌い方で惚れ惚れした。しばらくは、主題がアタマから離れない状態に。1楽章は、ホント良い曲だ。きっと、この楽曲を聴いた方は、そうなっちゃうと思う。

この演奏は、カッチェンさんのピアノは渋く、受け継いだシュタルケルさんのチェロが、またまた渋くて、枯れた味わい。1番にしては、すっかり老境に入ってしまった感がする。ピリス、デュメイ、ジャン・ワンさんのチェロという演奏を聴いた時は、しっとりとした歌い方で心地よい演奏だった。ボザール・トリオの演奏は、渋かったように思う。トリオ・フォントネの演奏は、若いというより勢いがあり、尖った演奏だったように思う。演奏家によって、かなり語り口が違うので、楽曲から受ける印象も異なってしまうように思う。
カップリング:ブラームス ピアノ三重奏曲第1番 1968年、クラリネット五重奏曲 クラリネット:ジャック・ブライマー アレグリ弦楽四重奏団 1978年


 ブラームス ピアノ四重奏曲第1番
Brahms: The Piano Quartet No.1
ピアノ:エミール・ギレリス  アマデウス四重奏団 1970年
Emil Gilels Amadeus String Quarte
ヴァイオリン:ノーバート・ブレイニン Norbert Brainin
ヴァイオリン:ジークムント・ニッセル Siegmund Nissel
ヴィオラ:ピーター・シドロフ Peter Schidlof
チェロ:マーティン・ロヴェット Martin Lovett

ブラームスの室内楽は、大変充実している。ヴァイオリン・ソナタが3曲あるし、クラリネット三重奏、五重奏、ソナタ、チェロ・ソナタが2曲、ホルン三重奏、ピアノ三重奏に四重奏、五重奏、弦楽四重奏3曲に五重奏が2曲、六重奏が2曲だったと思う。
このピアノ四重奏曲第1番は、ロマンティックで甘いメロディーが多い。旋律は平明で優しく、ちょっぴり甘め。しかし、ギレリスさんとアマデウスSQの演奏は、弦の響きがタイトでガンガン突き刺さる感じがする。室内楽なのだから、もう少しゆったりとした気分にさせてもらいたいのが、キチキチ感のする余裕のない演奏なのだ。

第2楽章は、これまた渋い。抽出されたエキスが固まって、底にはりついたような渋みや硬さが残る。良薬は口に苦しという感じで、ありがたく聴いてみたがが余裕がないように思える。前のめりの勢い、熱さが感じられた。第3楽章は、緩やかに牧歌的、草原のなかでのデートというような感じの楽章だ。老いらくの恋という雰囲気がする。それにしても、なーんという渋い音色の弦楽なのだろう。中間部では、行進曲風のメロディーになるが、弦の音は弾力性が少なく、硬くて乾燥しきったカサカサの軋みのある音で、行進を始める。ピアノも同じように負けんとばかりに、勇壮に、熱く語られている。ちょっと聴いててツラい。

第4楽章は、ジプシー風ロンドと言われる舞曲風の楽章である。ロマ風の激しい楽曲で3小節単位の情熱的な主題が登場する。この激しい楽曲には、かすれて軋みのある音の方がリアル感があるかもしれない。アハハ~ 速すぎて、足がもつれそうになっており前に突っ伏してしまいそうな勢いだ。(あまり無理しなくても~)
喉笛を吹いているような弦の音と、坂道を、転がり落ちそうになりながら、必死に走るピアノ。あーっ、指がもつれるぅ。録音状態がイマイチで、水分が抜けきったかのような、お肌がガサガサ状態。ささくれ立って、かすれた音が、どうも気になるのだが、最終楽章は、ものすごく熱く、ライブさながらにテンションMAX状態で終わる。正直なところ、ちょっとご勘弁してもらえないかと耐えて聴いてたのだが~ ぷふっ巨匠も大変だ。驚きながらも笑いがこぼれてしまった。
カップリング:ブラームス ピアノ四重奏曲第1番 1970年、ブラームス バラード集全4曲 1975年


ブラームス ピアノ三重奏曲第1番
1968年 カッチェン スーク シュタルケル Dec ★★★

ブラームス ピアノ四重奏曲第1番
1970年 ギレリス アマデウス弦楽四重奏団 G ★★★




YouTubeでの視聴


ブラームス ピアノ三重奏曲第1番
Brahms: Piano Trio No.1 in B, Op.8
ヨセフ・スク - トピック Josef Suk - Topic
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=oQajNYfpbY8
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=8mKngRSr3qk
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=Gjacg6By3WM
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=M2HKItig0pw


ブラームス ピアノ四重奏曲第1番
Brahms: Piano Quartet No.1 In G Minor, Op. 25
チャンネル:エミール・ギレリス - トピック
Emil Gilels - Topic
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=gPAqgfXOtvg
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=xZbT53KEl_Q
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=qL61IqKS1Is
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=K5Nt_IVZTTg



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