「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ブラームス 弦楽六重奏曲第1番
Brahms: String Sextets No.1


アマデウス弦楽四重奏団 1966年
Amadeus String Quartet
ヴァイオリン: ノーバート・ブレイニン Norbert Brainin ジークムント・ニッセル Siegmund Nissel
ヴィオラ: ペーター・シドロフ Peter Schidlof  セシル・アロノヴィッツ Cecil Aronowitz
チェロ: マーティン・ロヴェット Martin Lovett ウィリアム・ブリース William Pleeth



録音状態は、まずまず。中低音の響きがとてもぶ厚く、浪漫的な要素の強い演奏で、ワタシにとっては超渋〜く、超枯れている。しかし、これが、昔から名盤として有名な演奏である。カップリング:ブラームス 弦楽六重奏曲第1番、第2番

1楽章
「どぉ〜しど みれしそ しどみれしそ そぉ〜ふぁそふぁみ れ〜みれどし〜」
「そらし どぉ〜しど みれしそ しどみれしそ そぉ〜ふぁそふぁみ れ〜みれど しぃ〜れ そらし・・・」
最後のトリルが可愛いブラームスの27歳の時の曲。
しかし、27歳で、この重厚さだもんなあ。と恐れ入りつつ・・・聴く。チェロの声にしても、なんと渋いんだろう。
にがーい、ストロングコーヒーを味わっているようだ。
「しーどれふぁ〜 しーどれふぁ〜 れみふぁ そ〜しどし」

裏のピチカートの響きが、少し重い感じがして、ヴァイオリンの高音域も、これがまたシブイッ。ホントに渋〜い音なのだ。
ヴァイオリンの、ちょっと枯れた、すすり泣きのような声で、渋いおじちゃんに言い寄られているような感じで、やられる。
アマデウス弦楽四重奏団の演奏って、渋すぎるぐらい渋く男臭い。
にがーい。無骨に、背中で泣くっていう演奏タイプになるだろうか。古風だな〜 昭和の名優高倉健さんみたいだ。
ホント、渋くて、甘くて〜背中で、泣くような情熱タイプの演奏なのだ。
アマデウスSQの演奏は、枯れた味わい深い、古風なロマンティックな歌で、歌われ〜
むんむんとした男の体臭が、広がっていくような感じがする。

チェロ 「しれれ〜 どら〜れ〜 ししそ〜ふぁ ら〜れ そしし〜ら し〜ら みーそーしどどら〜れ」
ヴァイオリン 「れしし〜 れししれ〜 ど〜られ〜 れそ〜そふぁ〜ら そし〜し〜らし〜らみ そしどら」
構成は硬いドイツ風なのだが、この演奏のフレーズはカシカシしておらず、繰り出されるフレーズの滑らかさに驚かされる。
アマデウスSQ盤では、フレーズが柔らかく、次々とフレーズが重なって出てくる。
特に、この曲では、伸び縮み自由なルバートをかけた演奏だと思う。でも、甘美な楽章なので、これぐら適度に揺らめいてくれている方が、より情感がこもった感じを受けるが・・・ ちょっと、汗臭いかも。(笑)
ちょっと現代に聴くには、ひいてしまうかも。
今風の軽めでスマートさが無く、ひと昔前の演奏だよなあ・・・。とは思うももの、音が太めで、適度に擦れているので、たっぷりと歌っていても、まあ〜 まあ〜 ワタシ的には、しつこく感じない。
甘ったるすぎて、耳が痒い〜ってことはない。
(が、今の若い年代には、どうだろ? 名盤の存続は危ういかもなあ〜)

2楽章
「し〜み〜ふぁそふぁ〜 し〜そ〜らしら〜 ら〜ら しどれ〜 どみふぁそ〜らそらし〜」
非常にシンプルだけど、耳に残るフレーズで、甘いっ。
つとめて情緒的に弾いている感じはしないのだが、粘っこい。トリルの最後に「たらら〜ら〜」の最後の音が出る、ちょと前に、わざとらしい音の隙間が空いていたりする。
う〜っん。持って回った言い回しだなあ。という感じがしてしまうし、伴奏が、う〜っうっ。ら〜っらっ。し〜っしっ。最後の音が大きく粘っている。
うねりがあるというか、ねっちりしているというか。独特の節回しで、骨太で、ごついし、重々しい。
こりゃ〜 ブラームス27歳の時の作品だが、すっかり大人びて、悲恋を味わったという感じの曲想である。
ワタシ的には、もう少しさらり〜と演奏して欲しい感じがするが、恋心にもだえて〜 もだえて〜 悲痛な険しい心が、内声部にて蠢いている。

アマデウスSQ盤では、古楽的なバロック的な楽曲に仕上がっており、特に、伴奏が印象的だ。
先程言ったように粘った伴奏であり、チェロの伴奏が強めに、擦れた声で、「タララ ララっン」と、ボーイングされている。
主旋律より、伴奏の方が勝っているやん。と思う。
その分、内声部に厚みが生まれるのだが、う〜ん。これは、好みが分かれるかもしれないなあ。
繰り返しの最後のフレーズは、綺麗なヴァイオリンの音色が聞こえてくるが・・・。
ルイ・マル監督のフランス映画 ジャンヌ・モロー主演の「恋人たち」にも使われているそうだが、残念ながら、モローさんの映画は拝見していない。

3楽章
このスケルツォは、なかなかにオチャメで優美だ。
アマデウスSQ盤の、この楽章は、渋みがあるが、高音域を受け持つヴァイオリンが、弾んで、軽やかさがでている。最初はテンポが遅めなのだが、「れみふぁそ〜 れみふぁそ〜」と終わったあと、中間部より、テンポアップされている。「らしどれ〜 らしどれ〜」と、調が変わると、またテンポも変わる。
まあ。高揚感は出てくるのだが、渋い音で、「そふぁれ〜ど そふぁ〜れど そふぁ〜 そふぁ〜」
なんと渋く、湿り気のある音なんだろ。でも、短い楽章で、すぐに終わってしまう。

4楽章
チェロ 「そど〜しど みそふぁれっし〜ど れ〜み〜そふぁらそどど〜し」
転がるトリルが可愛い。で、ヴァイオリンが、同じフレーズを奏でていく。
伴奏が、ピチカートで和音を作っている。この低い、ボンボンという響きが心地よさを生んでいる。
そっそれ〜 どっどし〜 ウパウパ パパっ・・・という弾んだ音が奥でしている。

渋くて重いくせに、どこか明るめで、う〜ん。色彩感覚的が、よくワカラナイ。
もっと、ストレートに若さを爆発させりゃー 良いのになあ。と思うのは私だけだろうか。
ブラームスは、若い時から、年齢不詳的なワカモノで、なんか、ひねてる。それに、いきなり弦楽六重奏曲だとはなあ。驚きだ。このアンバランス感覚が、ブラームスなのだろうか ?
アマデウスSQ盤は、相当に渋い。熟成したワインのごとし〜
既に、枯れた境地に至ってしまったようで年寄りくさい。 う〜ん、青春の息吹が感じられるとは、とっても思えない。
イメージが変わってしまう・・・。といいつつ、 昔から名盤の誉れ高い1枚なんだよなあ・・・。
ワタシ的には、この渋さには、ちょっと〜 唸ってしまいましたけど・・・。どうでしょ。
これは、聴き手の年齢層で、好みが、わかれるかもしれません。(笑)


ラルキブデッリ 1995年
L'Archibudelli
ヴァイオリン: ベラ・ヴェス Vera Beths マリリン・マクドナルド Marilyn McDonald
ヴィオラ:ユルゲン・クスマウル Juegen Kussmaul フース・ジューケンドゥルップ Guus Jeukendrup
チェロ: アンナー・ビルスマ Anner Bylsma ケネス・スロウィック Kenneth Slowik

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態はとても良い。古楽器を使用した演奏なのだが、アクセントを強めに現代的で〜 クールというか、清々しい演奏である。
カップリング:ブラームス 弦楽六重奏曲第1番、第2番
弦楽六重奏曲第1番
ラルキブデッリ(L’Archibudelli)と言う名は、イタリア語の弓(archi)と、腸あるいは羊腸弦(Budella)という言葉を組み合わせたものらしい。
で、チェロの有名な奏者、ビルスマさんが組織した合奏団である。
で、名前のとおり、ピリオド楽器を使用している。
ブラームスの弦六は、結構、甘ったるい演奏が多いのだが、このグループでは、怜悧というかクールなのだ。そういう意味では、アマデウス弦楽四重奏団とは、ちょっと異にしている。
甘いのを想像していたんだけどなあ〜と、ちょっと、昔風の演奏が好きな方には、ちょっと不向きかもしれない。

で、アマデウスSQ盤の演奏とは違ってて、さすがに90年代半ばになると、ちょっとクールな感じかもしれない。
もだえるような青春時代の恋心〜っと言われても、さっぱりしてます。重々しい響きではなく、さっぱり〜
今や、いつでも携帯電話でお喋りができる時代だもん、すれ違いなんかもアリエナイし。直ぐに会えたきゃ会えるし。という世相が出ているかもしれませんが・・・。まさしく、そんな感じ。(笑)
まあ、冗談はさておき、ガットなので、音質が異なり、ビブラートがかかっていないため、音が直線的には出てくるのだが、もちろんフレーズの膨らみを持っているので、すーっと盛り上がって、すーっと自然的に消えていくのだ。
音が細切れに切れるのかな〜と思っていたのが、意外と、ふくよかな感じがする。もっとも、曲想にもよるのかもしれないが、意外とマッチしている。音質は、さっぱりしているが、とても歌う。

2楽章
なんとも新鮮な響きなんだろう〜 古楽器という響きで、古めかしいのかと思ったのだが、いや〜 とっても綺麗。
響きは、古めかしい感じがするが、瑞々しいっ。美しいっ。
いくぶん、ホップするような感じで、奏でられる。
「しっ みぃ〜 ふぁそふぁ〜 しぃっそぉ〜 らっしらぁ〜 ら〜らぁ〜 しどれぇ〜 どみふぁそぉ〜 らっそらしぃ〜」
水が迸ってくるかのような、新鮮な、もぎたての瑞々しい果物を食しているかのような、美しさ。
チェロの響きに支えられたヴァイオリンの強いが、しなやかなフレージングが、情熱が、迸って、楽しくてしょうがないって感じで活き活きと、瑞々しく響いている。
通奏低音のような低音は、とっても、アクセントが強いというか、アクがあって語り口調が強い。
しかし、そこに、ものすごく強いリズムが生まれて、何故なんだろう〜すごく説得力が感じられる。
ボーイングの強さが、なんだか、自信を持って弾いているというか、好きだ〜好きだ〜っと言われて続けているかのように、巻き込んで行く感じ、求心力がものすごく強い。ポジティブな感じが、好ましく感じられる。
押しの強いイケメン男性に、くどかれているかのような、そんな錯覚に〜(おいおい、そりゃ妄想だ)

3楽章
なかなかにオチャメな楽章で、ワクワクしている。
中音域の響きが、硬めなのだが、硬いマットレスのうえで、弾んでいる感じのヴァイオリンだ。
硬めの軽やかさ。というのだろうか、また、和音の響きが、新鮮というか、不協和音のようにも、現代的にも聞こえる。
何故なんだろう、ちょっと、不思議な響きだ。
テンポをあげて〜 テンションで盛り上がるが、すっと消えて終わる。

4楽章
「そ どぉ〜しどみ そ〜ふぁっしれど れ〜み〜 そふぁ らそ どれ ど〜し」
「そ どぉ〜しどみ ら〜そみど れ みっ ふぁ〜・・・」
まず、ふわっとチェロで弾かれて、続いて、転がるトリルが可愛いいヴァイオリンで奏でられる。
ヴァイオリンの弓が、強くなったり弱くなったり、その揺れが心地よい。
で、きらっとしたアクセントで、しなやかに強く、強調される。ちょっとかすれた音が届けられるが、あまり気にならない。
それよりも、 アクセントの強さが鼻につくのかも・・・。癖のあるフレージングだと思うが、慣れると〜 う〜ん。すごく、軽やかで、とても見通しのよい旋律に聞こえるのではないだろうか。
へえ〜 こんなブラームスがあったんだ。って感じ。目から耳から鱗っ!

ホント、とっても密集した音で、熱帯雨林的で、暑苦しい〜というブラームスしか聴いたことがないように思うのだけど。
なんて涼しげなブラームスなんでしょう。これだったら、夏でも聴けちゃう。(笑)
分厚く、塗り込めたかのような、暑苦しい演奏ではなく、リズミカルで、ポップ。
そして、さら〜っと、流れて行くような、まるで、森林のなかで見つけた清流のような感じなのだ。ホント、シンジラレナイよねえ〜 これが、ブラームスだなんてっ!

透明度が高く、清冽な潔さが感じられる演奏で、まるで、現代風にアレンジされたかのような〜演奏なのだ。
えっ?! これ、古楽器を使った演奏だったよね・・・。
あれっ? 使用している楽器は古楽器、浪漫派まっただ中の曲で、演奏は現代風? アハハ〜 これはやられました。
すごく楽しく、愉快だ。こりゃ〜 ひねりが効いてて工夫されている〜 痛快な演奏でした。拍手〜っ♪ 


1963年 メニューイン、マスターズ、アロノヴィッツ、ジャンドロン他 EMI
1966年 アマデウス弦楽四重奏団、アロノヴィッツ、プリース ★★★
1995年 ラルキブデッリ SC ★★★★★
所有盤を整理中です。

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