「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドビュッシー ピアノ三重奏曲
Debussy: Piano Trio


ドビュッシーのピアノ三重奏曲は、18歳の頃、チャイコフスキーのパトロンで有名なフォン・メック夫人の家で家庭教師をしていた時に作曲されたと言われています。

ウィキペディア(Wikipedia)で、フォン・メック夫人のページで調べてみたら
少年時代のドビュッシーを自分の娘のピアノ教師として雇い、長期旅行に同伴させた。この際、夫人の長男および次男とドビュッシーがピアノ三重奏を組んで彼のピアノ三重奏曲を演奏したり、またドビュッシーがピアノ連弾用に編曲したチャイコフスキーの「白鳥の湖」を演奏している。
夫人はドビュッシーの習作ピアノ曲「ボヘミア舞曲」をチャイコフスキーに郵送したが、1ヵ月後に返ってきたチャイコフスキーの返事は「とてもかわいらしい曲ですが、短すぎます」という未熟を諭す冷淡なものだった。この曲はドビュッシーの死後まで出版されなかった。
その後、ドビュッシーは夫人の娘と恋愛関係に陥り、それを知った夫人は激怒して彼を解雇した。この顛末はチャイコフスキーへの手紙にも報告されている。・・・とのこと。

あ〜 ドビュッシーって、女癖が悪かったんですよねえ。この点は、ラヴェルとはマギャクっ。
1880年頃にこのピアノ三重奏曲は、作曲されたといわれていますが、楽譜が発行されているのが1986年なので、つい最近のことなのです。
後の作品とは、かなり印象を異にしており、青春時代にしか書けないような、ショパンか、チャイコフスキーの楽曲かと思うような、ロマンティックで、ちょっと甘めのフレーズが詰まっています。とても瑞々しく、とても親しみやすく、優しい楽曲です。

ピアノ:ジャック・ルヴィエ ヴァイオリン:ジャン=ジャック・カントロフ
チェロ:フィリップ・ミュレル 1985年、87年
Jacques Rouvier Jean-Jacques Kantorow Philippe Muller

ふむふむ。


録音状態はまあまあ。柔らかいフレーズで、草書タッチで綴られた演奏だが、颯爽としてて良いけれど、少し速めかな〜と思う。
カップリング:
1〜4  ドビュッシー ピアノ三重奏曲 
5〜8  ラヴェル ピアノ三重奏曲
9〜11 フォーレ ピアノ三重奏曲
1楽章
フランス近代ピアノ・トリオ選とタイトルされたCDで、ドビュッシー、ラヴェル、フォーレのピアノ三重奏がお得感のある3曲セットで収録されている。
で、録音年が85年と87年の各2日間で収録されているのだが、どの曲が85年で、どの曲が87年なのかは表記がなかった。
「らそふぁら そぉ〜み ふぁそふぁ〜・・・」
「らみどら それしどれ〜 ふぁどらみ みどそらし〜 しどしど らしらし れみれみ ふぁそらふぁ しぃ〜」
とっても柔らかいフレーズで、ピアノもヴァイオリンも奏でられていく。
ふわっとした草書体の語調で、ふわっと、柔らかい〜 それが第一印象だが、柔らかい音で、しっかり主張してくる押し出しもあり、畳みかけてくるようなフレージングとなっている。ノリ感があり、らそふぁみ みれどし ふぁ・・・と、続くところは速い。
「タッターった たぁ〜」と伸びるところは、リズムを放る感じで鋭くヴァイオリンのフレーズが伸びていく。
かなり速く、回転していくし、夢を見るようなフレーズのところも、まどろまずにストレートに、瑞々しい音を紡ぎ出して、開放感のある演奏となっている。ワタシ的には、少し速いかな〜とは思うのだが、情熱的な演奏とも言えるのかも。
このあたりは、ソリスト3人のピアノトリオなんだろうなあ〜と思う。

2楽章
弦のピチカートで、「そそそそ ふぁ〜 らららら そぉ〜」という不協和音風の出だしから、「どし どっそっどぉ しらしっ ふぁ〜 どし どっそっどぉ しら しっふぁ〜」というチャーミングなフレーズになる。
間合いがタイトで、速めにさらっと弾かれる。
草書体だなあ〜っと思うが、ちょっと即興的な演奏で、テンポは速めにスイスイっ。
テンポが多少変わり、チェロはゆったり奏でているのだが、ヴァイオリンは速めで〜やっぱソリストという顔が覗くのかなあと思ったりする。「どしどっそど しらしっふぁ〜」という主題に戻ると、多少穏やかな雰囲気を取り戻すのだが、やっぱり速め。
トリオとしての団体の演奏とは、かなり趣を異にしているように思う。
ワタシ的には、もう少し息が深くて、ゆったり〜と、弾いてくれたらいいのになあ〜と思う。

3楽章
「しどれど しどれ〜ふぁ〜 ふぁそらそ ふぁそ らぁ〜どぉ どれみれ どれみぉ〜そ ふぁ〜ふぁ〜み」
で、チェロの主題が、「らぁ〜〜 そみどそ しぃ〜 れどし ふぁみれみ ふぁられふぁ みぃ〜〜」と、とても、ゆったりとしたフレージングで、このテンポだと聴いてても気持ち良いのだが。
やっぱ、ヴァイオリンが速めなのかなあと思う。ヴァイオリンが速いんだわ、やっぱり・・・。
カントロフさんのヴァイオリンの息は浅めで、速く回転するかのような〜多少せっかちな、弾きかたに聞こえちゃいますね。

4楽章
ピアノが、「みぃ〜どし しら みらど しぃ〜ら そしら〜み れみふぁ そらし そぉ〜ふぁぁ」と、超早口で歌いはじめる。
パパパ パパパ パパパ・・・と速めで、みぃ〜 どし しぃ〜っ。という切り口は鋭く、始めの音が強いっ。
瑞々しいというよりは、う〜ん、どうなんでしょ、ワタシは、イラチだな〜慌ただしいなあ〜っと感じてしまったことと、弾き飛ばしとは言わないが、語尾が曖昧なように思うのだが、どうだろう。
普段はソリストとして演奏されている方々のピアノ・トリオなので、即興的な演奏として聴くには良いのかもしれない。
しかし、やっぱり〜 颯爽としているものの、ワタシ的には、もう少し、ゆったりと、まどろむように聴きたかったかな〜と思う。

トリオ・フォントネ 1989年
Trio Fontenay
ピアノ:ヴォルフ・ハーデン Wolf Harden
ヴァイオリン:ミヒャエル・ミュッケ Michael Mücke
チェロ:ニクラス・シュミット Niklas Schmidt

ばっちグー!

録音状態は良く、輪郭のはっきりとした活気のある若々しい演奏だ。
カップリング:
1〜4  ラヴェル ピアノ三重奏曲
5〜8  ドビュッシー ピアノ三重奏曲
9〜11 フォーレ ピアノ三重奏曲
1楽章
チャーミングにピアノが最初に登場する。「らそふぁら そぉ〜み ふぁそふぁ〜 れどしれ しどしぃ〜」
ヴァイオリンが、続いて登場する。
「らみどら それしどれ〜 ふぁどらみ みどそらし〜 しどしど らしらし れみれみ ふぁそらふぁ しぃ〜」
で、少し間をあけて、チェロが続く。「そみどれ み〜ど しどみれそ みふぁどれみそ そぉ〜ふぁ・・・」 
チャーミングな楽想で、歌謡風フレーズが、ヴァイオリンに乗って歌われていく。
主題の持ち回り、ヴァイオリンが主題を、そして、甘いチェロが主題を奏でていくので、とても穏やかさを感じる。
ちょっと、主題を弾くときのピアノが、ちょっと音が強いかな〜とは思うのだが、まあ、インパクトがあって良いのかもしれない。
ヴァイオリンもチェロも一緒に、二重奏のように弾かれていくところのハーモニーは美しい。

2楽章
弦のピチカートの不協和音風序奏があって、そこにピアノが絡む。
「どし どっそっどぉ しらしっ ふぁ〜 どし どっそっどぉ しら しっふぁ〜 そどみそ みそそみ しれれふぁ ふぁ〜」
う〜ん、とっても可愛いフレーズで、ピアノ曲の「子供の領分」に収められている曲と言っても通じるなあ。
ホント、ピアノ曲としても使えるよねえ。という感じで、この頃からドビュッシーの特性が、開花しかけている感じだ。

3楽章
ピアノの序奏で始まる。「しどれど しどれ〜っふぁ〜 ふぁそらそ ふぁそ らぁ〜ど どれみれ どれみ〜そ・・・」
で、チェロの主題が奏でられる。
「らぁ〜〜 そみどそ しぃ〜 れどし ふぁみれみ ふぁられふぁ みぃ〜〜」
「らぁ〜〜 そみどそ しぃ〜 らふぁら そどみそ みどそら れぇ〜ど」
で、続いてヴァイオリンに変わる。
で、ひととおり主題が奏でられると、「れみふぁ みれみふぁ〜 そぉ〜ふぁれしそふぁ〜 どしら みれみふぁ・・・」と高揚してまた、沈んでいくという、気分のあがりくだりを、なだらかに描いていく。
小春日和に、草原で寝っ転がって、お空を見ているという感じで、緩やかに、青空が広がって、あーっ 胸にシアワセ感をたたみ込んでおきたい気分に〜。
ピアノが、また良いですよねえ。これはやっぱり、ピアノ三重奏の醍醐味だよなあ。

4楽章
チャッチャチャ・・・という弦のフレーズの序奏のあと、ピアノが主題を、「みぃ〜どし しら みらど しぃ〜ら そしら〜み れみふぁ そらし そぉ〜ふぁぁ」と歌う。で、続いてヴァイオリンが。
う〜ん、これは完全に歌の世界ですねえ。
甘いなあ〜言いつつ、とっても切なくなってしまうフレーズで、こりゃ女性がイチコロになってしまう感じ。
アハハ〜 やられてしまうわ。こんな曲を18歳頃から作ってるんじゃ〜 ドビュッシーは、女性に、モテテしかたないでしょうねえ。フォン・メック夫人も、娘がいるんじゃー気をつけてなきゃいけない筈なのに・・・
夫人自身も、この曲を聞いて、とろけちゃったんじゃ〜ないのだろうか。

まあ、3楽章まででも、充分にうっとりさせられる楽曲だが、4楽章もあるんだと、ちょっと驚いてしまった。普通、ピアノ三重奏って、ソナタ形式急・緩・舞・急の4楽章か、急・緩・急の3楽章だと思うのだが、このドビュッシーのピアノ三重奏は、いずれも緩やかな雰囲気を持っている。
で、2楽章はスケルツォなんだろうけど、4楽章ぐらいが、ちょっぴり速めに演奏される個所があるぐらい。
トリオ・フォントネ盤は、ルヴィエ、カントロフ、ミュレ盤よりは、輪郭が明瞭で、ハッキリしており、高音域のヴァイオリン、ピアノが、主題を奏でるところは、くっきりと、いささか強め、硬めに描き出している。
少しメリハリが強めに演奏されているので、フランス系は、ふわっとしているのが好き〜とおっしゃる方は、ちょっと強めに感じちゃうかもしれません。

フロレスタン・トリオ 1999年
The Florestan Trio
ヴァイオリン:アンソニー・マーウッド Anthony Marwood
チェロ:リチャード・レスター Richard Lester
ピアノ:スーザン・トムズ Suszan Tomes

こりゃ良いわ〜拍手

ピアノ、チェロ、ヴァイオリンの流れが、それぞれ波動のように、互い違いにやってきて、柔らかく伸びて、ニュアンスが豊かにえ感じられる。これぞピアノトリオっ。文字どおり三位一体といった感じの演奏だ。
カップリング:
1〜4  ラヴェル ピアノ三重奏曲
5〜8  ドビュッシー ピアノ三重奏曲
9〜11 フォーレ ピアノ三重奏曲
1楽章
「らそふぁら そぉ〜み ふぁそふぁ〜 れどしれ どら しどしぃ〜」
最初のピアノの旋律が、出だしの「らそふぁら」が、ふわっと、すごく、ゆったりしているのだが、「ふぁそふぁ〜」の間合いだけを詰めて、語り出す。
で、ヴァイオリンが、続いて登場する。
「らみどら それしどれ〜 ふぁどらみ みどそらし〜 しどしど らしらし れみれみ ふぁそらふぁ しぃ〜」
チェロが「そみどれ み〜ど しどみれそ みふぁどれみそ そぉ〜 ふぁそら どれどれ そらしら そらそふぁ そらしらそぉ〜」

間合いは結構詰まってフレージングされているのだが、独特の、さら〜っとした感覚があって、とっても爽やかさがある。
へえ〜 音質が柔らかく、流麗なフレージングだ。とっても柔らかい。そのくせ、前に前にと繰りだしてくる勢いがある。
へえ〜 タッチが柔らかいのに、なんで、勢いが出るんだろ。
とっても不思議な感じがした。とても速い弾き方なのだが、ふわっとした感覚で、とても柔らかい。
キツくないので、むしろ、心地よいのだ。へえ〜 この前に聴いたトリオ・フォントネさんとは、随分と異なっている。

ふわっとしつつ、押し出しの良いフレージングで、ふあっ ふぁっ・・・としてながら、音節単位で繰りだしてくる。
例えば、タタタ タタタ タタタっという繰り返しがあれば、「タタタ」を1つとして数えて3つ。
この3つの速さがそれぞれ違うのだ。
ああ〜 そうか、この最初の「タタタ」の1つの固まりが、アクセントになっているって感じなのだ。単なる最初のひとつめの「タ」の音に、アクセントがついているのではない。で、空間の2つの間合いが均等ではなく、後ろの方の間合いが狭いって感じなのだ。

ふ〜ん。そうかあ。だから、柔らかい感じで勢いが増してくるんだな。なるほどね〜
(こんな説明で、読んでいる方に、わかってもらえるのか、ちょっと心配だけど・・・)
そんな微妙なテンポの変え方で、力の入れ方が、それぞれに違っているので、ふわっとしたところと、硬いところとがあって、平板な感じを与えず、さらっとしながら流麗さがあり、音が立体的に聞こえてくる。
油絵だと、2次元を3次元の空間にするために、遠近感を出したり、重ねて色を塗り、反対色をわざと入れたりして立体感を出していくのだが〜
音の強さの凹凸と、音と音の間合いの空いたところと詰まったところがあり、音が綺麗にのびていく。
で、ピアノの流れと、チェロの流れが、ヴァイオリンの流れが、それぞれ波動のように、互い違いにやってきて、3声になって押し寄せてくる感じがするので、とっても、音が立体感に感じられる。すご〜っい。これは心地よい。こりゃ〜いいわ!

2楽章
弦のピチカートとピアノの不協和音で始まるが、弦のピチカートが、とっても響く。
弦のピチカートだけでも聴き応えがあり、間合いのニュアンスが感じられる。
「どし どっそっどぉ しらしっ ふぁ〜 どし どっそっどぉ しら しっふぁ〜 そどみそ みそそみ しれれふぁ ふぁ〜」
このフレーズのなかの、「ふぁ〜」の音が、宙に浮くというか、空間に広がって、パチンっとはじける感じで〜
なんだか、音が宙に浮いて、シャボン玉みたいに見えてくる。
余白の楽しみのようなモノが感じられて、ヴァイオリンの音色にも適度に艶を持たせてあるので、とっても印象に残る。くすみ具合と、明るい音色とのコントラストが強くもないのに、弦の音色が多彩だ。

3楽章
気持ちの良い秋空を見ているかのように、透き通った空気感がある。
「らぁ〜〜 そみどそ しぃ〜 れどし ふぁみれみ ふぁられふぁ みぃ〜〜」
「らぁ〜〜 そみどそ しぃ〜 らふぁら そどみそ みどそら れぇ〜どぉ」
チェロとヴァイオリンの安定した音色が、澄み渡った雲一つない青空のような印象を受ける。
フレーズに奥行き感と広がり感があり、フレージングにのびがあり、ノビしろが感じられ、柔軟性が高い。
もともと、フレージングのつかみが大きいところに、息の浅い、深いがあって、語尾が優しいし、すっと力が、巧い具合にヌケていく。強く弾いているところも、鋭く、強く聞こえない妙があるのに、さらに、弱音の美しさを感じされ、う〜ん、巧い。
冒頭には、真っ青の空が広がっていたのに、翳りが出て、雲がかかってきたかのような描写となる。

4楽章
か細い序奏から、ピアノが主題を、「みぃ〜どし しら みらど しぃ〜ら そしら〜み れ〜みふぁ」と歌う。
その伴奏のチャチャチャ・・・が、強くなってみたり弱くなってみたり、速いテンポだが、フィージングは丸い。
演奏者が、一体となって、ひとつのフレーズを作る。互いの音をしっかり聞いてニュアンスを作っているように思う。
競い合って演奏しているんじゃないことが、聴いてて直ぐ、聴き手にわかる。
特に、ヴァイオリンが、高音域に行っても、とっても柔らかいので、耳に刺さらない。
チェロの声は甘いのだが、甘すぎず中庸的な存在で、中間部のピチカートも、アクセント的に鳴っており、ヴァイオリンとチェロの弦の音が一体化していく。やっぱり弱音の美しさと、柔らかい音質が、語りかけてきて〜 とってもシアワセな感じを作り出している。

ドビュッシーの若い頃の作品だが、フロレスタン・トリオ盤で聴くと、青春時代の多感さというより、中年の穏やかさ、家庭的なシアワセ感、日々の積み重ねを充分に経て、三人は家族なのか〜というような、一体感みたいなものを感じる。
3人の多彩な音を、それぞれ聞かすというよりも、3人で1つ〜みたいな・・・。
ピアノトリオなんだから、アタリマエだけど、なかなかアタリマエにならないところが、あるでしょ。(笑)
いやいや〜 ホント、この演奏を聴くと、これぞピアノトリオっ 三位一体だ〜と感じられる。もちろん、フレージングの妙技であったり、3声の調和を感じ、熟練のワザみたいなものを、この穏やかな演奏のなかに垣間見られて〜
ホント、楽しく、嬉しく思う演奏でした。これは〜拍手っ!

1985年 ルヴィエ、カントロフ、ミュレ DENON ★★★
1989年 トリオ・フォントネ Tel ★★★
1999年 フロレスタン・トリオ Hyperion ★★★★★
まだ所有盤を整理中です。

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