「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドビュッシー 弦楽四重奏曲
Debussy: String Quartet


ドビュッシーの弦楽四重奏曲ト短調(作品10)は、1893年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
同じ年の12月にイザイ四重奏団によって初演されたそうですが、賛否両論だったそうです。ちなみに、ドビュッシーの作品番号OPというのは、この1曲のみ採番されているだけで、一般的に、音楽学者フランシス ・ルシュールが作成したL番号では、L85となっています。84年には、牧神の午後への前奏曲が作曲されています。
で、弦楽四重奏曲は、この1曲のみ〜
循環形式によって各楽章が関連付けられている点に、ドビュッシーが敬慕したセザール・フランクからの影響が看て取れる。全般的に旋法的で、ポリフォニックというよりホモフ ォニックな傾向ゆえ、グリーグの弦楽四重奏曲が、刺激になったと指摘されているそうです。他にも、ボロディンや、ジャワのガムランからの影響を見る向きもあるそうです。

以下の4つの楽章で構成されています。
1楽章 活気をもって、決然と (Animé et très décidé)
2楽章 十分生き生きと、きわめてリズミカルに (Assez vif et bien rythmé)
3楽章 アンダンティーノ、おだやかに、表情豊かに (Andantino, doucement expressif)
4楽章 非常にゆっくりと (Très modéré - Très mouvementé - Très animé)

えっ これだけの記載なの? と、ちょっと、ヒイテシマッタのですが、作品10って、とても若い頃の作品です。ドビュッシーは1862年生まれなので、まだ31歳頃だったわけで、牧神の午後への前奏曲が、92年から94年にかけて書いたそうなので、同じ時期になるのかと思います。
斬新で、短いテーマを使っているので統一感が出ていますが、それ以外には、甘くもあり鋭さもあり〜 ヴァイオリンの旋律とリズムが主で、他がそれに添っていくという形でもあり、とても多彩です。

  アルバン・ベルク弦楽四重奏団 1984年
Alban Berg Quartet
ヴァイオリン:ギュンター・ピヒラー Günter Pichler
ヴァイオリン:ゲルハルト・シュルツ Gerhard Schulz
ヴィオラ:トーマス・カクシュカ Thomas Kakuska
チェロ:ヴァレンティン・エルベン Valentin Erben

ばっちグー!

録音状態は良い。昔から名盤とされている演奏だ。活き活きとしてて闊達だが、まろやかな音質で、ツンツンした刺激が中和された感じがする。
1〜4 ドビュッシー 弦楽四重奏曲
5〜8 ラヴェル 弦楽四重奏曲
1楽章
この曲は、ドビュッシーが31歳頃に書いた作品で、とっても斬新である。
冒頭から、トリルがついて可愛く小節がまわりながら〜どことなく古風でありながら、新鮮な風が吹いてくる。
使っている音が、半音ぽいけれど、平明なのだ。 でも、どことなく、フレーズが東洋風というか、聴いたことがないような、不思議な音が続いて出てくる。
「らっ そぉ〜み みそし らっそぉ〜ら み〜み」
「どっ らぁ〜ど らどみ どっら〜ど らどみ」 
「らっそ〜み そらし らそぉ〜ら み〜 みど〜ら らっそ〜 みぃ〜」
・・・「み〜みぃ〜 らそら しっら みぃ〜みぃ〜」「れどど れどど どみれ しどぉ〜」

アルバン・ベルク盤は、昔から超有名盤である。抜群の切れ味で、斬新な音で奏でられ、耳から鱗が落ちるって感じで言われていた。今、う〜ん 久しぶりに聴いても、良い音で収録されている。あたりまえのごとく、 スマートに、一糸乱れず、すーっとした鋭利な切り口で跳躍し、端麗に進んでいく。昔に聴いた時は、もっと冷たく聞こえたように思うのだが、今聴くと、そうでもないかな。しかし、やっぱりキツク感じるところもある。
もっと昔だと、まったりした演奏が主流だったからか、さっぱりした、クール系の演奏スタイルが、定着したためか〜
冷たく、冷え冷え〜とした強靱で、怜悧な感覚というより、人肌の暖かみは感じられるようになった。
もっとも、あくまでも身のこなしはスレンダーだし、スタイリッシュな都会風ではあるが・・・。

どことなく曲想が、大地に根ざした感のある素朴な音なのだ。
えっ こんな組み合わせの音が出るの?と、ヴァイオリンとチェロの和音が、不可思議だ。
「ふぁふぁ〜そ ふぁふぁ〜そ ふぁ ら〜そみふぁ」
「ららぁ〜し ららぁ〜し ららどし そら〜」 「どぉ〜れど どぉ〜れど どみれしど」 
ちょっとした不協和音的な響きが、妙に、小気味良いのだが、どことなく土臭いフレーズが、 ものすごく硬質感のある艶っぽさを持って軽めの風合いで奏でられるのだ。この妙なミスマッチ感が、面白いというか、妙にタガが外れた感じがして、変な感覚が面白い。硬質な音で、鼻が詰まったような鼻音が発せられる。

2楽章
弦の強いピチカートで、「みっみっみっみっ らそみ そ〜ら みっみっみっみっ らそみ そ〜ら」
「らぁ〜そぉ〜み そぉ〜しどし らぁ〜そ みそぉ〜しぃ〜どしらぁ」
「らそみ そぉ〜 ら らそみ そぉ〜ら・・・・」
1楽章が教会旋法のような音の響きを持っていたが、この2楽章は、半音あがりくだりしつつ、 チェンバロンのように鳴っているというか、ロマ風の楽曲のように弦をかき鳴らして、カコカコカコカコカコ・・・・っと、快速で飛ばす飛ばしていく。
ものすごくエスニック。弾んだ玉が、あっちこっち、ぶつかりながら、パワーをつけていくような感じもするし、チェロの響きも、どことなくギターの大きい版って感じに響くので、楽しい。

3楽章
ドビュッシーの弦楽四重奏曲は、全部で4楽章で、この3楽章は、緩やかに奏でられている
まるで交響曲のように緩徐楽章が始まる。
で、ワタシは、2楽章最後から3楽章に入る際、音量が弱くなってくると、ぼや〜としてしまい、睡魔に襲われ、どこを聴いているのかわからなくなってしまうことが、しばしば起こる。それだけ、ゆったりと緊張がほぐれるわけだが、 単純に緩むだけかもしれない。
少し色っぽく、官能的ですら〜感じられるほど甘い旋律に包まれ、 お花畑のなかにいるような、いや、植物園の温室のなかをさまよっている蝶のような感じがする。 どこか、いつもの西洋風旋律を、わざとらしい東洋風にかえ、カモフラージュしつつ幻惑しようとしているかのような気配も感じるが美しいっ。

4楽章
怪しげなフレーズで、「れぇ〜ら ど しみふぁられ〜 しどぉ〜 どみししらぁ〜」
4楽章は、極めて穏やかに、極めて躍動し、少しずつ動きを付けて、極めて躍動し、情熱的に演奏しなければならないようである。 でも、ふわっとしてて、夢見る夢子ちゃんのように、ふわーっとしている。
伴奏だって、小声で「れししれ れししれ しーどそららら パラパラパラ・・・」とした、音にならない音で、色をつけて、添えているような風情である。
極めて躍動、情熱的に〜といわれても、がっしガッシに演奏されるわけではないのだ。
力の抜き加減って言えばよいのだろうか。音が、自然と、宙に浮くのを待っていなければならないような感じだ。
5音階フレーズというか、教会旋法というか、何の音が抜けているのか、ちょっとワカラナイです。
不思議な感じ・・・。としか言いようのない、ふわっとした、つかみどころのなさ。
でも、特に、何か話がしたいわけでも、 訴えるものがあるわけでもないくせに、緻密に計算された作品って感じがする。

で、これが完全で〜 ラストは、こんな落ちにしましょう、こう言わないとダメですよ〜というモノでもなさそうだし、結論があるわけでもないようだ。まったく自由な作りで閉塞感がない。
むしろ、こう構築しするのだ、 このストーリーでないといけないのだ。という定まったセオリーがない分、落ち着かない人は、この楽曲は、落ち着かないのではないだろうか。
う〜ん、ワタシには、1楽章〜2楽章は、すんなり聴けるものの、3楽章で、のびちゃう〜  4楽章では、完全に睡魔に襲われてしまいます。この斬新さがわからんとは、いったい何を聴いてるの〜と、呆れられそうなのですが、不協和音の軽妙さを聴き取りたいと、一応、果敢には挑戦するものの、いつもこの楽曲には、煙に巻かれてしまいます。
とても不思議作品で、ベクトルが違うのかと思いきや、意外と斬新さがあっていたのか、のびのびしつつも、適度に持ち味の硬質感が、現代風に聞こえてくるのが、アルバン・ベルク四重奏団なのかな〜と思ったりするが、 あまり解ってないくせに、闊達な感じがして好ましい・・・。って感想を書くのも、う〜ん。どうなんでしょ。(ただいま自問自答中です。)


エマーソン弦楽四重奏団 1984年
Emerson String Quartet
ヴァイオリン:ユージーン・ドラッカー  ヴァイオリン:フィリップ・セッツァー
ヴィオラ:  ローレンス・ダットン     チェロ:デイヴィッド・フィンケル

ばっちグー!

録音状態は良い。しなやかで、よく歌うし、緻密だがキツくなく、ロマンティックさも醸し出している。
カップリング:
1〜4 ドビュッシー 弦楽四重奏曲
5〜8 ラヴェル 弦楽四重奏曲
1楽章
ドビュッシーの弦楽四重奏曲は、よくラヴェルの弦楽四重奏曲と一緒にカップリングされてCDに収まっている。
いつ聴いても、すーっと耳に入ってくるのだが、馴染むようで馴染まない。気がついたら、曲が終わっていたという感じで、すんなりとアタマに定着しない曲の1つである。
で、ここでご紹介するエマーソンSQ盤のCDのブックレットを拝見すると、
・・・初演1893年12月29日 イザイ弦楽四重奏団 デュカら何人かの音楽家が強い感銘を受けたが、多くの人々は途方にくれ、初演を知らなかったふりをした。・・・ アハハ〜っ ワタシと同じやんっ。と、ちょっと、ほっとしたのである。

冒頭、「らぁっそぉ〜 みそし らっそぉ〜みっみぃ〜 どっらぁ〜 ど らどみ どっらぁ〜ら らどみ・・・」と勢いよく出てくる。ハーモニーは美しいが、ちょっと風変わりなフレーズで、「みぃ〜 みぃ〜 らそら みぃみ〜」 と泣いているようなフレーズが出てくると、いきなり海に放り込まれたような、波間に漂うような感じになる。
まあ、この冒頭のフレーズが、循環主題なのだが、
「ふぁ〜そふぁ ふぁ〜そふぁ ふぁらそみふぁ  らぁ〜しら らぁ〜しら らどしそらぁ どぉ〜れど どぉ〜れど・・・」
かなり、鼻が詰まったような変な音で綴られる。まあ、この鼻にかかったフレーズが、インパクトのあるものなので、これが無ければ、もっとわかりづらい、ぷわぷわ状態なのかも。

「らぁっそぉ〜 みそし らっそ〜」と、何度も唐突に登場する主題というか、音型が、音を変えて組み合わされているようだ。まるで、大きな波の頭の部分のように、「らっそ〜」が出てくる。
まあ、この音が出てきたら、小舟が、また波に飲み込まれて、くちゃくちゃっと渦巻くんだな。って感じなのだ。
まあ、今のところ、そんな風に聞いている。
アンタ〜 そりゃ邪道じゃ、もっと理論的に聴け〜っと言われても、ワタシの頭は、そんな精密でもなく、素速く方程式を描ききれるほどよろしくない。
あっ そうそう、エマーソン盤は、ヴァイオリンの透き通る音が、とっても綺麗だし、チェロの音色がとても甘い。
それに、強烈な、ガンっと一発かます〜的には出てこないので、キツク感じない。ある意味聴きやすいというのと、フレージングが硬くないので、いくら波間にただよっていても、さほど嫌にならないように思う。

2楽章
バンバンバンバン・・・ 「らそし そぉ〜し らそし そぉ〜し」 つま弾く弦の音が聞こえてくる。
まるで、フラメンコを聴いているかのような弦を掻き鳴らす音と、ラテン的な舞曲風の2楽章で、とても楽しい。
まあ、ここは、「らそし そぉ〜し」というテーマの音型が繰り返され、「らぁ〜そぉ〜〜 みぃ〜そぉ〜らしら そぉ〜」と、またまた、漂うようなフレーズが流れてくる。裏では、カチャカチャカチャ・・・と、細かい音がずーっと鳴らされている。
「しぃ〜らぁ〜ふぁ そ しどし らふぁそ しぃ〜れぇ〜 どれふぁれどれぇ〜」と甘く歌っては、「みらみっ みらみっ・・・」と落ちていく。形式的には3部形式だが、なんか、自由なスタイルだなあ〜って思う。
エマーソン盤で聴くと、始めは楽しそうな舞曲のようだと感じたが、舞曲ではなく、まるで水を弾いて遊んでいる子供の情景が浮かんできた。

3楽章
「らぁ〜しぃ ららぁ〜ど ららどぉ〜・・・ ふぁふぁ しぃ〜らぁ みふぁ〜 みふぁ そぉ〜ら・・・」と、沈んだ音で奏でられる美しい楽章だ。
循環する主題が、やっぱり最初に出てくるが、ヴァイオリンが、そのうちに美しく歌い始める。
弦の音の余韻が、とても柔らかく、特に、チェロの甘さに、ちょっと〜心をくすぐられる。
チェロの音質が、甘めで枯れてないところが、ワタシ的にはとても嬉しい。
中間部になると、チェロのフレーズがソロになり、一瞬オリエンタル風にもなり、可愛いトリルが入って夢幻的な和音が美しい。特に、チェロの「どぉ〜しぃどし〜 らどみ〜らぁ そ〜 みそみ れぇ〜ど しどらぁ〜 どみれ〜ど  しどら〜れどふぁぁ〜」ってところのフレーズには、うっとり。
ヴァイオリンのフレーズも、主張はしているけれど、キツくないし、心地よい音である。

4楽章
「れぇ〜 らしど しらそふぁ・・・」と不協和音の沈んだ出だしで、スケールで落ちてきたりする。
弾むリズムがあったり、「しぃ〜し どぉ〜ふぁ しぃ〜し どぉ〜ふぁ」というような断片的なフレーズが次々と出てくる。
「みみみ れれみ」っと繰り返しながら速いし、フーガのように、うわん うわんっと奏でられたり、ヨナ抜きの5音って感じの雰囲気もあり、とても多彩。ふっと歌うフレーズが挟まってきたりして、段々と熱を帯びていくが、エマーソン盤は、 ガツンっとした響きのない、ふわーっとしたなかにも、情熱的な雰囲気を醸し出してくる。

実は、ずーっとアルバン・ベルク盤を聴いてきたのだが、とても骨太で、ガッとした決然としたフレージングに馴染めないでいたのだが、エマーソン盤で聴くと、しなやかではあるけど鋭さもあり、さらっとした優美な歌いが聞こえてくるので、 耳に優しいし、緻密だけどロマンティックな要素が、ほどよく含まれている感じがします。


1965年 イタリア弦楽四重奏団  Ph  
1984年 アルバン・ベルク弦楽四重奏団 EMI ★★★★
1984年 エマーソン弦楽四重奏団 ★★★★★
1992年 カルミナ弦楽四重奏団 De  
1993年 ハーゲン弦楽四重奏団  
まだ所有盤を整理中です。

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