「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番 「アメリカ」
Dvorák:
String Quartet No.12 "American"


ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」(作品96, B.179)は、1893年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
ドヴォルザークは、1892年にアメリカに渡り、ニューヨーク・ナショナル音楽院の院長として活躍しますが、93年5月、交響曲第9番「新世界より」を作曲し、夏休みには、音楽院で、ヴァイオリンを学んでいた学生の父親の家に招かれ、チェコからの移民が多く住んでいたアイオワ州スピルヴィルで過ごすことにしました。そして、その一家が演奏するために6月に作曲した曲だそうです。

第1楽章 ヘ長調のソナタ形式。
 第1主題は、五音音階による、どこか懐かしい雰囲気の旋律で、ヴィオラにより歌われます。第2主題は、イ長調で第1ヴァイオリンが提示するもの。
第2楽章 二短調、三部形式
 感動的な緩徐楽章で、ヴァイオリンが黒人霊歌風の歌を切々と歌い、チェロがこれを受け継ぎ、中間部は、ボヘミアの民謡風の音楽で、郷愁を誘う楽章となっています。
第3楽章 ヘ長調のスケルツォ楽章
 中間部は、ヘ短調で、主部から派生した主題を用いて構成されています。この主題は、スピルヴィルで耳にした鳥のさえずりをメモしたといわれるもの。
第4楽章 ヘ長調のロンド
 ロンド主題は、快活な性格の主題ですが、第2副主題は、これとは対照的にコラール風なもので、美しい対比を奏でるものです。
演奏時間は、全曲で約25〜30分で、郷愁を誘うもので懐かしい気分になります。あっという間に書き上げた作品だそうですが、歌がたっぷり〜とても聴きやすい楽曲です。弦楽四重奏曲の入門編に、ぴったりかもしれません。

  スメタナ弦楽四重奏団 1966年
The Smetana String Quartet



録音状態は良い。幾分かすれた音なのだが、郷愁を感じさせる演奏となっている。
カップリング:
1〜4  ハイドン 弦楽四重奏曲第67番「ひばり」
5〜8  モーツァルト 弦楽四重奏曲第19番「不協和音」
9〜12 ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
13  チャイコフスキー 弦楽四重奏曲第1番より アンダンテ・カンタービレ
1楽章
「そしぃ〜れ みっそみ〜 れぇ〜し そらしれ〜 れぇ〜みそみ れぇ〜みそみ れそぉしみ れぇ〜しそぉ」
太い ヴィオラのフレーズで始まり、とても印象的だ。
続いてヴァイオリンで繰り返され、スメタナSQさんの演奏は、いささか、かすれ声なのだが、小節が、装飾音が可愛い。
艶のある音質ではないのだけど、そこが、また〜 土俗性があるというか、弱音で奏でられては、ふっと消える音が、何故か、ボヘミアという風景が、ほのかに見えてくるような気がする。
もちろん、ワタシの勝手なボヘミアのイメージなのだが、のどかで〜 のびやかな丘陵地帯を想像させるものだ。
チェロの力強さ、ヴィオラの端正で力強く、逞しさを感じさせる音が支配しており、決して美音ではないのだが、そこが、なんか良いよねえ〜って感じだ。
少し癖のある、ヨナ抜き風の旋律に合っている。

2楽章
「みし しみみし みし しみみし〜っ」と揺れるなか、「しぃ〜〜らぉ〜 そみみぃ〜」と、しみじみ歌われる。
この伴奏のフレーズが、泣けてきちゃう。
ちょっと感傷的かな〜とも思うが、枯れ葉舞い散るなかを・・・って感じで、かすれたヴァイオリンの音色が、揺れる響きのなかで、素朴に歌う。
スメタナSQの音は、幾分、老齢な感じがするので、切々と、ボンっ ボンっと響く音のうえを、奏でる旋律に胸が締め付けられちゃうのだ。故郷に帰れない、少しお年を召した方が、ふるさとを思い出しているかのような、切ない、寂し〜ぃ気分になってしまった。

3楽章
「れっそ〜みれみそ〜 れっそ〜みれみしっ」
「れっそ〜みれみそ〜 れっそ〜みれみしっ」
カシャ カシャ っと、舞曲風のスケルツォの楽章だが、ちょっと、元気がない。
チェロのフレーズが目立つのだが、「れぇ〜そぉ〜み れぇ〜み そぉ〜 れぇ〜そぉ〜み れみしっ〜」
トリオのフレーズが繰り返されるが、小鳥の鳴き声にしては、ちょっと・・・かすれ気味すぎて、ワタシの耳には、涙が涸れちゃったかのような、悲しくなる音で綴られている。もう少し元気よく快活でも良いかもしれないが、楽しさよりも、ずーっと落ち着いた郷愁感を感じる。

4楽章
「れぇ〜み そみ れしそみ みみみみ れぇ〜み そみ れしそみ みみみみみ れみ そみ れししし・・・」
春が到来したかのような、喜びが感じられる筈なんだけど〜 
快活でもよいのだが、ちょっとしなやかさ〜というよりは、やっぱり、老練な感じのする演奏である。
音質の硬さ、かすれた声が、少し重めに感じられるが、弾力性よりも、端正で、しまった音で聴かせてくれる。
あまりタメ感もないし、もう少し遊び心もあれば嬉しいぐらいに、スッキリとした端麗さを感じる。

アルバン・ベルク四重奏団 1989年
Alban Berg Quartet
ヴァイオリン:ギュンター・ピヒラー Günter Pichler ゲルハルト・シュルツGerhard Schulz
ヴィオラ:トーマス・カクシュカThomas Kakuska チェロ:ヴァレンティン・エルベンValentin Erben



ライブ盤(拍手入り) 録音状態は 極めて良い。すかっとした演奏で気持ちが良い。
カップリング:
1〜4 ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
5〜8 スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」
1楽章
「そしぃ〜れ みっそみ〜 れし〜そらしれ〜 れ〜みそみ れ〜みそみ」
ヴィオラのノスタルジック溢れるフレーズで始まる、と〜っても印象的な楽曲である。
で、チェロのピチカートが、まるでパンジョーのような音に聞こえて、まず驚いてしまった。 えっ これ、ホントにチェロなの?
「れ〜みそみ れ〜みそみ」の後ろ2音を、つま弾くのだろうか。この音が深く響いている。
続く、ヴァイオリンの艶のある音色で、同じフレーズを弾く。
「そしぃ〜れ みっそみ〜 れし〜そらしれ〜 れ〜みそみ れ〜みそみ れそしれ れしそ〜」
ひぃ〜 これはすごい美音である。もう冒頭で、はやくも、やられてしまった。
チェロの甘めの響きもすごいし、ライブ盤なのだが、録音状態はメチャ良い。

「み〜そしみし〜らそ み〜そみし〜らそ み〜ふぁそしし〜」
揺れるヴァイオリンの音を、深いチェロの音がしっかり受け止めており、聞きしにまさる抜群のアンサンブルだ。
「ふぁしれ〜どし ど〜(そ)しそそ〜 どし〜そふぁ しれふぁふぁ〜」
「ふぁれ〜ふぁそしそ〜 ふぁれ〜しれふぁれふぁ〜」
流れるようなフレーズであるのだけど、そこに悲しさや甘さもあって、ひとくちで表現できないほど優美でもある。
軽やかであるけど、苦みもあって。う〜ん。
ホント、テクニシャンという嫌みなく、穏やかに歌われており、惚れ惚れとしてしまった。
「そらし らそ らみら そみみ ら〜そみ れそしれ〜み〜どしれ〜」
バックの ん〜じゃじゃ ん〜じゃじゃ というリズムが弾んで、最後、「れそしれ〜れしそっ れそしれ〜れしそっ」と、力を入れて終わる。

2楽章
「みそ〜っそ みそ〜っそ  しみ〜 らそみ み〜 しみ みふぁそ〜み れ〜しれみ〜」
演歌風にも聞こえるフレーズだが、お腹に沁みるような音で、冬に海を目の前にして、しずかーに立っているような感じ。はあ。余計な力が抜けて、よよよぉ〜っと泣きたい気分になってしまう。
黒人霊歌風の歌だと言うが、やっぱ日本人なので、日本海を思い描いてしまう。
ヴァイオリンの音がメチャ良いこともだけど、主旋律を弾くフレーズを邪魔しないで、残りの弦の音量 そっと音を置いていくところが、すごいなあっと思う。 もちろん完璧っていうほど完成度が高い。ホント、これライブとは思えないほど。
チェロのバンバンっと響くなかで、ヴァイオリンの高音が歌う。
「ししし〜らそし〜 ふぁみ〜れどらふぁふぁ〜 らみ〜 れどらふぁふぁ〜」
特に、「ふぁ れど しらしふぁ〜 ふぁしら ふぁみふぁれ〜」のたっかい音には驚く。音がぶれず安定しているし、余裕をもって伸びている。

3楽章
「れっそ〜みれみそ〜 れっそ〜みれみしっ」「れみそ〜 れみし〜」
中音域の響きが豊かで、派手に弾まず落ち着いて演奏されている。弱音のところと強く引くところのメリハリもあるし、「どれ〜それ どれ〜どふぁ ど〜ふぁれ ど〜れら」
不協和音をつくる低音のごっつい音の響きが、ガレー船を漕いでいるように響く。
このチェロの音が、う〜 唸るような響きがあってインパクトが大きい。

4楽章
「れ〜み そみれし み〜みみみみ れ〜み そみれし・・・」
春が到来したかのような喜びが感じられる。ヴァイオリンの音も綺麗だけど、「た〜ら ららら」と弾むバックの音が美しい。
題名はアメリカだけど、アメリカから見た故郷って感じでもあるのだと思う。フレーズの節回し、ヨナ抜き的音の響き、ボヘミア風+アメリカ風=なのかもしれないけど、いずれにせよ民族音楽って、懐かしい音で鳴ってくるようだ。
私的には、アルバン・ベルクSQって、メチャ、メタリックな演奏だと思いこんでいたところがあるのだが、この楽曲で聴く限り、そんなイメージは、ほとんどない。
弦楽四重奏曲って難しいって思っていた頃、この楽曲を入り口にして聴き始めたことがあった。
久しぶりに聴いてみると、ドヴォルザークのメロディーにやられたうえに、アルバン・ベルクの語り口の巧さにやられてノックアウト状態だ。
明るい音色と穏やかさ、安定感が好ましい。
主題は、シンプルなのだが、民族風な独特の節回しがあり、個性豊かだが郷愁にかられるという、独特の曲である。
それが、完璧に仕上がっている。 ライブでありながらクリアーな録音であることと、アンサンブルのみごとさに脱帽っ。 これは、何度でも繰り返して聴きたくなる演奏だ。

1963年 ヤナーチェク弦楽四重奏団 Dec  
1966年 スメタナ弦楽四重奏団 EMI ★★★★
1989年 アルバン・ベルク弦楽四重奏団 EMI ★★★★★
1990年 エマーソン弦楽四重奏団  
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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