「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第8番
Shostakovich: String Quartet No.8


ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番ハ短調(作品110)は、1960年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

「ファシズムと戦争の犠牲者の想い出に」捧げるとしており、ショスタコーヴィチ自身のイニシャルが音名「D-S(Es)-C-H」が織り込まれていることで有名です。
不本意ながら共産党に入党することを決意し、ソビエト軍によるドレスデンのナチスからの解放の場面のための音楽を書くため、ドレスデンに行ったショスタコーヴィチは、戦争の惨禍を目の当たりにし、自身の精神的荒廃と重ね合わせ、表向きには「ファシズムと戦争の犠牲者」に献呈するようにみせつつ、圧政により、精神的荒廃に追い込まれた自身への献呈として、3日間でこの曲を作曲したとのこと。
「この曲を書きながら、半ダースのビールを飲んだ後の小便と同じほどの涙を流しました。帰宅後もこの曲を二度弾こうとしましたが、やはり泣いてしまいました」・・・と、苦しい気持ちを友人に訴えているそうです。

ショスタコーヴィチのドイツ語のイニシャル「Dmitri Schostakovich」より、D-S(Es)-C-Hの音形が、全曲のテーマとして現れ、過去の自身の作曲等を引用しているそうです。
第1楽章 Largo ハ短調 4/4拍子
第2楽章 Allegro molto 嬰ト短調 2/2拍子
第3楽章 Allegretto ト短調 2/2-3/4拍子
第4楽章 Largo 嬰ハ短調 3/4拍子
第5楽章 Largo ハ短調 4/4拍子

全楽章は続けて演奏され、約20分の楽曲です。「DSCH動機」とは、彼の姓名の頭文字(Д. Ш.)が、ドイツ語で D. Sch. と綴られることから、ドイツ音名によるD-Es-C-H 英語音名:D-E♭-C-B、日本音名:ニ-変ホ-ハ-ロの4音より構成されるもの。ハ長調でいうと、「れ み♭ ど し」になるでしょうか。そんなイニシャル音型が織り込まれたことよりも、う〜ん、こんな楽曲を聴くと、虚無感に陥り、大事なモノを抜かれそうな感じで、ついには壊れちゃいそうです。
ノー天気なワタシには、とっても耐えがたき楽曲で〜聴けませんっ。

ボロディン弦楽四重奏団 1978年
Borodin Quartet

ひぇーぇぇ〜

録音状態は極めて良い。
1〜3  ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第8番(1978年)
4〜8  ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第9番(1981年)
9〜13 ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第10番(1981年)

ヴァイオリン:ミハイル・コペルマン ヴァイオリン:アンドレイ・アブラメンコフ
ヴィオラ:ドミトリー・シェバリーン チェロ:ワレンチン・ベルリンスキー
← 1978年〜83年の全集のなかの1枚である。原盤はメロディア5
2015年、新メンバーによる最新盤が、デッカから発売されている。
1楽章
聴き始めた冒頭より、しまった・・・と、瞬間的に思ってしまった。キモチ悪い楽曲が、ますまず深淵を覗いているかのようで・・・うぷっぷ。鳥肌が立ってきそうになる。
ボロディン弦楽四重奏団の演奏は、この1楽章は遅め。1楽章が5分5秒、2楽章が2分50秒、3楽章が4分24秒、4楽章が5分49秒、5楽章が3分48秒というクレジットになっている。
先日聴いたブロドスキー弦楽四重奏団さんの演奏だと、1楽章が4分48秒だったので、27秒も遅い。
3楽章は20秒遅いし、4楽章も23秒遅いのだ。まあ、他の楽章はほぼ同じなのだが〜

かすれた音質で、何とも言えない、首筋のあたりが、すーっと風に撫でられているかのようで、うすら寒いのだ。
で、かなり不気味で、低弦の響き、和音の響き方が、ジジジーっと響いていく。それも、ユニゾンっぽいフレーズで来られるので、首根っこを押さえつけられたかのように、カラダが固まってしまう。
で、薄ら寒い音のなかで、弦を掻き鳴らす、ジャジャジャ・・・というところが鋭い。
その鋭さは、細身の尖ったという感じではなく、分厚く、鈍い尖った刃物のようであり、ウツウツとしてて、それでいて、場面が変わると、高音域の弦が祈りを捧げるかのようなフレーズになっていく。
録音状態は極めて良いので、聴き応えはあるのだが、相当な覚悟が必要で〜 悲しみがイッパイに詰まっている。

「ふぁれらぁ〜 そそそ そそそっ ぼぼぼっ」 なんとも嫌なフレーズだ。
「どぉ〜ら〜みぃ〜 れれれっ れれれっ」
なんだか、おっそろしいモノが、扉を叩いて侵入してくるかのようで、心の隙間に忍び寄ってくる悪霊のようでもあり。
ひぃ〜っ! お助けくだされぇ〜っ。と叫んでしまいそうになる。 

2楽章
この楽章は、ちょってもインパクトがある。焦燥感にかられるというより、怖い化け物に追いかけられているかのようで、相当にキショイ。スピーディで、「そぉ〜らぁ れぇれぇ〜 そぉ〜ら れっれぇ〜 れぇら〜しらら そしぃ〜  みみふぁれっどぉ〜」
う〜ん ボロディンSQさんの演奏は、スムーズに強弱がついてて、すーっと忍び寄ってくる怖さと鋭さ、そして熱さがあるように思う。また、演奏のふっと間合いのあくところが、薄ら寒くて、落ち込んでしまいそうになる。
狂気の沙汰でしょ・・・っという感じで、乾いた虚無感があり、そして、空を見て、にひひ〜っと笑っている感じだ。
その哄笑的なところが、なんとも言えない悪意が感じられるくせに、キモチ悪いのに、キモチ良く感じられてくるような、一瞬、反転する瞬間が来る。我ながらなんとも言えない、自らの怖さを感じてしまう。
ひひひぃ〜 ひひひぇ〜っ。

3楽章
「みみふぁっれ どぉ〜っ!」
ブンチャッチャっと、○の舞踏という感じで、相当に気色悪いっ。
弦をつま弾く感じで、鋭さもあるし、アタマのどこかの線が切れているかのような感じだ。ついに壊れた。

4楽章
持続音が続く中、どらみれぇ〜ジャジャジャ ジャジャジャ・・・
ブロドスキーSQさんの演奏は、ウツウツっとしていたような気がするのと、ぬめっとしていたように感じたが、ボロディンSQの演奏は、録音状態が良く、乾いているが、持続音のなかをアコーディオンを弾いているかのように鳴ってくる。
「ふぁれら そぉ〜 そそそっ そそそっ」 地面がすすり泣いているかのような、なんとも寒々しい泣き節で〜
震えが止まらない壊れた機械のようだもあり、持続音のなか、チェロなのかヴィオラの音なのか、ぶるぶる震えているなかで、ところどころ強い和音が奏でられる。うっ、瞬間的に息が詰まってしまいそうになる。

5楽章
ラストの楽章まで、切れ目なく演奏されていくのだが、ここでは1楽章が戻ってくる。
いやーん もう戻ってこなくていいのに〜 今度は力尽きて倒れるかのような感じで、重々しく、痛々しいっ。

総体的に、ボロディンSQの演奏は、録音状態が良く、スピーディで、一糸乱れずにキモチ悪いフレーズを繰り返して、ほとんどナミダメになって聴かないといけない状態に陥る。特に2楽章は、金縛り状態になってしまうが、この不気味なフレーズを、そのうち、口ずさんでしまっている自分に気づいてしまう。キモチ悪い極限を超えたら、キモチ良くなるのだろうか。
アンタ、アホか・・・と、自分でも呆れるのだが、ちょっぴり自虐的な心境に・・・ これ、相当いアブナイ感じがする。

ブロドスキー弦楽四重奏団 1989年
Brodsky Quartet
ヴァイオリン:マイケル・トーマス  ヴァイオリン:イアン・ベルトン
ヴィオラ:ポール・キャシディ   チェロ:ジャクリーヌ・トーマス

ガタガタガタ・・・

録音状態は良い。感想を述べるどころの状態ではなく〜 尋常ではない楽曲なので、最後まで、聴き通すのがやっとでした。(謝) 原盤はTeldec
1〜3  ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第7番
4〜8  ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第8番
9〜13 ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第9番
1楽章
ショスタコーヴィチの曲って、とっても暗い。それなのに、この弦四の8番は、う〜ん。
CDを購入して聴き始めて、シマッタ・・・っと即座に思うほど、悲痛きわまりない。ブロドスキー弦楽四重奏団の演奏が、どうのこうのと言う以前に、キモイ、逃げ出したいって感じしか思えなかった。
我慢して何度か聴いたのだけど、するっ〜っと、地獄の蓋が開いたかのような不気味な音で、とっても暗いっ。
「みふぁれどぉ〜しどぉら ふぁれどぉ そらふぁ ふぁれどぉ しどら そら」
なんだか、穏やかではあるが、ヴァイオリンのフレーズで、「ふぁ〜みれ どぉ〜 しぃら〜  ふぁ〜〜みれ どぉ〜しど どれみふぁ み〜れぇ〜どぉ」と、美しいがかすれた声で歌われており、沈痛な面持ちにさせられる。
あーん オトムライのような楽曲なのだ。そう、弦楽四重奏で描かれた葬送の音楽なのだろう。
低い声で、「みぃ〜ふぁ〜れぇ〜どぉ〜 どれれぇ」 とても、沈痛な感じで、肌がヒリヒリしてきて痛いっ。

2楽章
「どらしら どらしらっ・・・ ババババっ ららっ そそっ」 「ふぁれどれ ふぁれどれっ ふぁれどしっ・・・」
快速で、「そぉ〜られぇ〜 そそぉ〜られぇ れぇら ししら どしぃ〜 ししら どぉ〜しっ〜」
ブンブンっと蜂が飛んでいるかのような、舞曲風の渦巻き現象に突入する。
なぜか、これが変にキモチ良いと思ってしまい、そう感じてしまう自分の感覚が、麻痺してそうで〜怖い。

3楽章
「みみふぁっれ どぉ〜」グロテスクな感じで〜ブンチャッチャというワルツが始まる。
「みみふぁれどっ みみふぁれどっ」 ブンチャッチャ ブンチャッチャ・・・
こりゃ〜 ○の舞踏でしょう〜という感じで、蝶番が剥がれ落ちそうな感じで、いやだーっ。

4楽章
チェロのどす黒い響きのなかで、 ふぁれしらぁ〜 チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・
れぇ〜らぁ〜そぉ〜 チャチャチャ・・・ 

5楽章
押さえつけられた圧迫感があり、しぃ〜らあ〜 なんだか、ずぶずぶと1楽章のフレーズが回帰してくる。
もう、やだぁ〜っ。真っ暗闇のなかを手探りで歩いているような、押しつぶされた感があり、耐えがたいっ。
ショスタコの弦楽四重奏曲のなかでも有名だというから聴いたけれど、う〜ん。こんな曲を、自ら進んで、聴こうと思わないですねえ。とりあえず、聴いてみたけれど、う〜っ ひぃ〜っ なんとも言えない脱力感を覚えます。
ヤワで、ノー天気なワタシには、このような楽曲は、逃げ出したくなって〜 とってもムリです。(大泣)


1978年 ボロディン弦楽四重奏団 BMG ★★★★★
1989年 ブロドスキー弦楽四重奏団 Apex ★★★
1990年 クロノス・クァルテット Nonesuch  
所有盤を整理中です。

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