「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

シベリウス 弦楽四重奏曲「親愛なる声」
Sibelius:
String Quartet


シベリウスの弦楽四重奏曲(ニ短調 作品56)は、1909年に作曲されています。
シベリウスは、1865年〜1957年のご生涯だったので、とても長命な方なのですが、実は、1925年の交響詩「タピオラ」以後は、筆を折ってしまわれているので、実質60歳で、定年退職しちゃった状態なのです。
あまり馴染みがないので、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら

弦楽四重奏曲は、4曲あるそうなのですが、ここでご紹介する作品56が、「親愛なる声」(親しき声)という標題を持っているのですが、あとの3曲は学生時代に書かれ、ほとんど演奏されないそうなので、実質、この作品が唯一の弦楽四重奏曲です。作風は弦楽四重奏というよりも、弦楽合奏に近く、ヴァイオリン2挺、ヴィオラ、チェロで演奏されます。

5楽章で構成されていますが、切れ目なく演奏される約25分の楽曲です。

第1楽章 4/4拍子〜3/4拍子 ソナタ形式 ヴァイオリンとチェロの短い対話の後、トゥッティで提示される主部の第1主題に移り、この主題をチェロが引き継いだ後、第2主題に入ります。

第2楽章 2/4拍子 冒頭にヴァイオリンが提示する旋律は、第1楽章の第2主題と繋がりがあり、コーダ付近に現れる動機は、3楽章と4楽章の旋律に関連性が見られるとのこと。

第3楽章 2/4拍子 ヴァイオリンで提示される主題の一部は、第2楽章のコーダ付近の動機と繋がりがある。
第4楽章 2/4拍子 舞曲風の楽章
第5楽章 2/4拍子 第1ヴァイオリンで最初に提示される主題の中には、第1楽章第1主題の旋律が散見されるとのことで、主題が有機的に繋がっているようです。

フィッツウィリアム弦楽四重奏団 1978年
Fitzwilliam String Quartet

う〜ん。どうだろ

録音状態は良い。柔らかいトーンで響き、優しい。
カップリング:
1〜5 シベリウス 弦楽四重奏曲(1978年)
6〜9 ディーリアス 弦楽四重奏曲(1978年)
10 ディーリアス チェロソナタ(チェロとピアノのための1楽章のソナタ)(1971年)
1楽章
シベリウスの弦楽四重奏曲って、とても静かで穏やかな弦楽四重奏曲である。
まず、冒頭から、ヴァイオリンとチェロの旋律が会話しているかのようにフレージングされている。
「しどし らしそ ふぁそし み〜 み〜 しみふぁ そらし みぃ〜れぇ〜みぃ〜」
このあとも、弦の美しい調べが、メジロ押し状態で繰りだされてくる。
このフィッツウィリアム弦楽四重奏団の演奏は、78年の録音で、少し古いのだが、丸みのある音質で、弦楽合奏の雰囲気を醸しており、「そらぁ〜 そらぁ〜し〜 ふぁぁ〜っ」と、良い和音の響きとなっている。
あまり透明度は高くないが、ツーンとした響きではなく、とても聴きやすい。
暖かい人柄がでており、親愛なる声というのも頷ける。
ヴァイオリンが、いつも寄り添うように奏でられており、とても和音が優しいのだ。慈愛に満ちた、母親のようでもあり、より神さまに近い声のように感じられる。主題が少し埋もれがちかな〜とも思うが、この和音の響きが、とても優しい。

2楽章
速めの細かいフレーズが、掛け合うように、忙しく動きまわる。
ところどこ、前の楽章で出来たフレーズが、垣間見られるのだが、あまりハッキリとは、顔を出さない。
弦のピチカートが、入ってくるので、リズムに勢いが出てくるが、パワフルではなく、ほの暗く、どこか寒さが感じられ、青白く光っているかのようだ。

3楽章
アダージョの楽章だが、弱々しく、少しかぼそいフレーズで、「しぃ〜どれ ふぁ〜みぃれ そぉ〜らし・・・」と繰り返して行く。 
チェロの声と、ヴァイオリンの声が、和音を作っており、とても安定した響きとなる。
まるで弦のユニゾンを聴いているような、優しい音を形成している。
雰囲気的には、厳格で、悲痛なフレーズのように思うのだが、この和音の響きが、優しく、暖かい〜という雰囲気を作り出しているように思う。旋律そのものは、嶮しく厳しいのだが、響きは優しい。という、両面を持ち合わせた、父性と母性を兼ね備えたような楽章だ。フィッツウィリアム弦楽四重奏団の演奏で聴くと、う〜ん葬送のような楽曲にも聞こえ、寂しく、小さく震えているかのようにも感じる。

4楽章
「みふぁそ ふぁ〜み ふぁみ ふぁ〜み ふぁみ」という舞曲風の楽章だ。
舞曲とはいっても、シベリウスの楽曲なので、まあ、踊れません。
とても、悲しそうなフレーズで、とても、明るいトーンとは言えない。薄暗い空の元で、風が舞っているかのようでもあり、寒いと震えているかのようでもあり、う〜ん、北欧ならではの舞曲風という感じ。
彫りの深い鋭いキレ味ではないのだが、やっぱり寒い。

5楽章
「しぃ〜らし どれしら しぃ〜 らぁ〜そら しどらそ ふぁ〜」というフレーズから始まる。
慌ただしく走って行くのだが、どこか、無常観のようなものを感じる。
時間が通り過ぎていくかのような、抽象的な雰囲気がして、すーっと、暗くなったり、ほの明るく鳴ってみたりする。
変わりやすい天気のようでもあり、儚くもあり、とらえどころのない移ろいやすさを感じで、すっと寒くなってくる。
最後まで、疾風怒濤のように奏でられ、猛烈に速く駆け抜けて行ってしまう。
えっ タイトルは、確か・・・ 親愛なる声なんですけど。
う〜ん、ワタシは、置いてけぼりをくらったような感じで・・・ ちょっと呆然としてしまった。

総体的に、フィッツウィリアム弦楽四重奏団の演奏は、ストイックで、厳しいという雰囲気は与えない。
でも、彫りはキツクないのだが、単に優しい、穏やかさとは違い、聞き進めると、どこか、すーっと寒くなってくる。
すかっと晴れない楽曲で、甘くもないし、冷たすぎるわけでもないが、でも、楽章が進むにつれて、どこか、客観的で、クールな感じがしてくる。 「親愛なる声」というものの、寂しげでもあるし、う〜ん人肌の暖かさを感じたりもするし〜
ちょっと、解りづらい。えぇ〜 最初はとても安定感のある楽曲だと思ったのに、最後になると、え〜っ?!
このタイトルは、どうとらえてよいものか・・・。ちょっと、考えてあぐねてしまった。
段々と、ワタシと、距離が開いていくのだけど・・・。ホント、親愛の情があるのだろうか、不安になっちゃう。う〜ん。

ニュー・ヘルシンキ弦楽四重奏団 1997年
New Helsinki String Quartet
ヴァイオリン:ヤン・ショーデルブロム、ペトリ・アールニオ
ヴィオラ:イラリ・アンゲルヴォ
チェロ:マルコ・ユロネン

ばっちグー!

録音状態は良い。なかなかに厳しい演奏だが、均質化された和音が美しく、スピード感もあって、聴き応えあり。(って、このスピードについていけてないんですが)
1〜5 シベリウス 弦楽四重奏曲「親愛なる声」
6〜9 グリーグ 弦楽四重奏曲
1楽章
ヴァイオリンが、そしてチェロが続けて演奏される。
「しどし らしそ ふぁそし みぃ〜〜  しみふぁそらし みぃ〜れぇ〜みぃ〜」
「しみれどしらそふぁそし みぃ〜みぃ〜 しみふぁそらし みぃ〜れぇ〜みぃ〜」
で、二重奏に入る。
「しぃ〜 みふぁそふぁ みれみふぁ そらしら そらしど れみしぃ〜 らそふぁみれらそらし どれしぃ〜」と、雪崩落ちてくるような感じで、悲しみの底に向かっていくような厳しい旋律だ。

以前に聴いたフィッツウィリアム弦楽四重奏団の演奏は、暖かさや柔らかさを感じたのだが、このニュー・ヘルシンキ弦楽四重奏団は、とても硬くて厚みのある弦で、エッジが鋭く、強く、嶮しいように感じる。
この楽曲のサブタイトルは、「親愛の声」だと思っていたのだが、 ウィキを見ると、「内なる声」(ラテン語:Voces Intimae)という表題を持っていると書かれてあった。
ぎょえっ。ちょっとイメージが変わるなあ。
主題を繰り返して行くなかでも、タッチが強く、鋭さがあって、全体が厳しいように思う。
ただ、すごくまとまりの良い演奏で、ボーイングは完璧に揃っているように感じられ、とても、均質化された4人の弦の音色があり、息づかいも同時って感じがする。だから、和音の美しさはすこぶる気持ち良い。
「しどぉ〜 しどぉ〜 れぇ らぁ〜 そらぁ〜 そらぁ しぃふぁ〜 みふぁ〜そ みぃ〜ふぁ〜ふぁ〜」
オルガンの和音のように、弦が揃って和音を奏でて、荘厳な雰囲気を醸し出している。

2楽章 
細かく震えるような弦の響きのうえで、不思議な調性を持った音が、細かく飛んでいく。
隣り合わせの音が、カシャカシャ カシャカシャ・・・と、素速く動いていって、底でゴロゴロ、ガシガシ、かしげていきながら、階段をのぼっていくような感じ。
「そそっらし ららっしど ししっどれ どどっれみ れっれみふぁ みみっふぁそ」
「ふぁっふぁそら らっらそぉ しぃ〜ららっし どぉ〜しっど れどしら どしらし れど バンッっ」
まるで、虻か蜂が飛んでいるようなところは、面白いのだが、鋭くって、スポーティで、メチャ速い。
あっという間に走り去っていってしまい、あっけにとられてしまった。
とてもリズミカルで、たぁ〜ら らった たぁ〜ら らった と、勢いよく、階段を駆け上っていく。

3楽章
「らしぃ〜どれ〜み ふぁ〜そぉ〜ふぁ〜 ふぁみ〜 れぇ〜どぉれ〜」
「そぉ〜らし れみ〜 れどれ〜 れみ れどぉ〜 し らら らぁ〜しぃ〜 どぉ〜し み みぃ〜れ」
「そそぉ〜 ふぁし ししぃ〜 し らしどれぇ〜 みふぁ らぁ〜そぉ〜」と、アダージョの楽章である。
なんだか、拍感覚がわかりづらいまま、足取りを引きづった感じで、弦が、かわるがわる旋律を引き継いでいく。
息がつけないまま、ずずずーっと続く感じ。
この楽章は、温かい音を持ち合わせてて、鼻をすすって泣いている感じ。 まあ、そんな下品な演奏ではないですけどね。とても美しいのです。 美しいのだけど、なんとも不思議な和音で、「しぃ〜どれ ふぁ〜みれ そぉ〜」という旋律が連綿と続き、そのうちに、有機的に分解されていくような、そんな感じ。

「どぉ〜れ ふぁ〜みぃ〜 どどれ らぁ〜そ みみ ふぁ どぉ〜し」と、悲しみをこらえて、うぐぐっ。
この3楽章だけ聴いても、かなり聴き応えはあるし、弦のユニゾンが、力強く、チェロの響きをエネルギーにかえて、うえにむかって昇ろうとしているようで、そこに、ヴァイオリンが高音域の音を出している。
弦の弾力性を持った旋律が、上下にわかれていく和声というか、2に分かれて世界を作り出している感じがする。
「ふぁそ らそ ふぁそ らそ ふぁそ らそ・・・」と続けられると、教会の鐘のような雰囲気がしてくる。
ちょっと、寂しすぎて〜でも、人肌の暖かみを感じるもので、祈りの心持ちかな。とても美しい。

4楽章
この楽章は、嗄れた声のオジチャンが、歌を歌い、舞曲を奏でているような感じだ。
「みぃ ふぁ そぉ  ふぁ〜み ふぁみ ふぁ〜み ふぁみ」
「みふぁそら しどれ どぉ〜し どし らしそふぁ みふぁれどし どれみ みれど しぃ〜」
低音が、ふぁ〜み のところで、バンっバンっ とリズムを入れて、掻き鳴らしているかのような雰囲気をつくっている。
「ごぉ〜ん ごぉ〜ん」って感じの拍感覚があり、とてもインパクトがある。
その後、風が急に出てきて、雪が舞ってくるかのような雰囲気に変わり、低音に向けて鋭いボーイングがある。
「みれみ そふぁ〜」と風が舞っていたり、風が巻いているような3拍子の渦巻くフレーズが入ってきたりする。
風雪のシーンが描かれているだろうなあ。という感じを受ける。
ここでも、 重さと軽さが同居しているような2つの世界が描かれており、かたや空を舞っているし、かたや地面にへばりついているかのような、北風に向かって歩いているかのようで、う〜ん。
人の世界と天空の世界が、同時に、描かれているような雰囲気がある。

5楽章
「ししらし どれしら しぃ〜 (しらし どしらそ ら) ららそら しどらそ らぁ〜」
この楽章は、奥行き感が出てきて、まるで洞窟のなかで響いているかのようなエコーが感じられる。
「みぃ〜 れぇ〜どらっ みぃ〜 れぇ〜どらっ」と、威勢が良いというか、スピード感があり、蒸気機関車に乗せられたような勢いを感じる。
だが、急に静まって、細かい弱音で、飛び跳ねていたりする。
「ふぁぁ〜みれ ボソボソ・・・ しどし れみどら しぃ みぃ〜 れど しっら しぃ〜」というようなフレーズが細切れで飛んでいる。よくわかんない。
風がまた出てきたのか、多分16分音符が、いっぱい譜面には飛んでいるだろうが、ワタシの耳がついていかない。
なんとも、とらえどころがなく、宙を浮いているのか、風になってしまったのか、とりあえず、弱音で舞々している楽章だ。
とってもシャープで、軽やかだが、なにせ速いっ。
強烈なスピードでの舞曲が始まってしまって、目が回ってしまった。
あーっ 猛烈にはやい。空気感は、段々と熱くなって、ひぃ〜っと悲鳴をあげるころに、オーバーヒートして、美しい和音で、ぷしゅんと終わる。あらま。
ニュー・ヘルシンキ弦楽四重奏団の演奏は、調和を持ちつつ二元論的な世界が広がってて、すごくリアルだ。すごく内容の濃い演奏というか、短い楽章のなかで、いろんなことを描こうとしているような感じがする。
う〜ん もっと、聞き込まなければ、見えてこない情報があるかもしれない。ワタシの感度を、もっとあげないと・・・。
1978年 フィッツウィリアム弦楽四重奏団 Dec ★★★
1997年 ニュー・ヘルシンキ弦楽四重奏団 Apex ★★★★★
1998年 メロス弦楽四重奏団 HM  
所有盤を整理中です。

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