「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

スメタナ 弦楽四重奏曲第1番 「わが生涯より」
Smetana : String Quartet No.1 "From My Life"


スメタナの弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」は、1876年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
スメタナは、1824年生まれのチェコの作曲家で、当時、オーストリア=ハンガリー帝国によって支配されていたチェコの独立国家への願望、チェコ民族主義と密接に関係する国民楽派を発展させた先駆者です。 6つの交響詩で構成されてる「わが祖国」が、ダントツで有名で、祖国チェコにおいては、広くチェコ音楽の祖とみなされている方です。

ここでご紹介する弦楽四重奏曲は、彼の生涯を象徴する、自叙伝のような内容で、「わが生涯より」という副題がついています。聴力を失ってしまった作曲家が、プラハからヤブケニツェ(チェコ語版)へと隠遁して間もない1876年に作曲を始め、 約2ヶ月で完成しているのですが、第3楽章が、技術的に困難であるとされたことや、様式的に欠陥があると指摘され、初演の引き受け手がなかなか見つからなかったそうです。
初演されたとき、ヴィオラ奏者を務めたのがドヴォルザークであったそうな。

4つの楽章から構成され、約30分の楽曲です。
Allegro vivo appassionato  Allegro moderato  Largo sostenuto  Vivace

第1楽章の開始においてヴィオラが高音域で主旋律を奏でることや、終楽章において第1ヴァイオリンが、ハーモニクスでホ音の保続音(スメタナに聞こえていた幻聴の象徴で、実際にはイ長調の主和音が聞こえていたそうです。)を奏でることで名高いものです。 リストは、この作品に熱狂したといいます。ドヴォルザークは初演に登場している、リストは生で聴いたというし、作曲家同士での繋がりもあるんですね〜。

スメタナ四重奏団 1976年
Smetana Quartet
ヴァイオリン:イルジー・ノヴァーク リュボミール・コステツキー
ヴィオラ:ミラン・シュカンパ チェロ:アントニーン・コホウト

ほぉ〜良いヤン

録音状態は良い。弦の音質は少し古風で、かすれ気味で、懐かしい渋い演奏だ。やっぱり本場なのだろうか、かなりローカル色が強い。
カップリング:
1〜4 スメタナ 弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」
5〜8 スメタナ 弦楽四重奏曲第2番
1楽章
「ふぁぁっ〜! どどぉ〜 ふぁっそ らぉ〜どっ ふぁ〜らっし どふぁっそ らふぁっそ ら〜 しど  らしどぉ〜・・・」
「れっれぇ〜 ふぁ っそ らぁれみ ら〜ふぁそ れ〜ふぁそ らぁ〜れみ・・・」
たぁ〜らったた たらららら・・・という感じで速い。
まあ、最初の一音で、呪縛にかかったような雰囲気がするのだが、スメタナ四重奏団の演奏で聴くと、タイトに縛り付けられる感じはしない。この冒頭は、ヴィオラが大活躍なのだが、チェロのひとひきがあったり、さりげない。
熱くもなく、アクもあまりないのだが、しなやかにインパクトがある。

「どどぉ〜 ふぁっそ らぁ〜ど ふぁ〜らっし・・・」
「ふぁれみふぁれみふぁれみ・・・」という、この回転のパランパランっという雰囲気と、弦の二重奏的な穏やかさ隣り合わせのようになっている。
情熱的でもあるし、回転する不思議なリズム感と、穏やかさが同居しているような感じ。
ヴァイオリンが入ってくると、ちょっぴりロマンティックさが感じられ、春の雰囲気がするのだが、どこか異質さを感じる。
穏やかだけではなく、短調と長調のまじりあった、するっと抜けるような、ふわっとしたところがあり、キツク感じられる面と穏やかな面と、甘さと渋さが、なーんか、同居してる感じ。
「ららぁ〜れ れれぇ〜そ それ〜みふぁ〜そらぁ〜」となってくるところは、中音域から、すーっと、寂しくなってしまうし、チェロのフレーズは、柔らかく悲しそうでもある。チェロの音とヴィオラの音が、同化して聞こえるが、ヴァイオリンは、少し、 ワタシの耳には浮いた感じがする。

2楽章
チェロの舞曲風なのだが、「そっ らぁ〜 らどら そふぁら みれみどっし どっれれ みっ」
「れふぁそっ れふぁそっ らどれっ らどれっ みみみっ・・・」
ふぁぁ〜っという みぃぃ〜っという長い音が、アコーディオンの音のようで、野外でのパーティのような、民族舞踊って感じだろうか。
「そぉ〜ししぃ〜 そみっみぃ〜」 掻き鳴らす風のフレーズと、「れふぁそ れふぁそ れふぁそっ・・・ブンチャッチャ。」というメロディーとが、楽しいような悲しいような、 なんだか、明るいのやら、暗いのやら、わからない雰囲気で、泣き笑いって感じに聞こえてくる。
また、活気があるのか、すすりないているのか、はあ・・・。ちょっと不思議な、独特の節回しだ。 ロマ風の香りがするというか、アクの強いような少ないような、いや、それがアクが強いって言うのだろうが。
チェロのかすれ気味の音質が、渋くて〜  えっ この調性は? ちょっと、不思議な和音が強調されているような気がする。和音に濁り感があり、拍感覚が、微妙にずれている。
特に、 弦の音質は、ホント、アコーディオンのようで、一種独特な雰囲気が漂っている。

3楽章
「そぉ〜  どぉれ〜ふぁみふぁ そぉ〜 らぁしどれ みぃ〜ふぁ そ しらし・・・どどどどっ」と、暗く落ちていく。
へっ 冒頭のフレーズで、もう、チェロの音が低いっ。深みに落ちていくみたいだ。
もっとムーディな楽章だと思っていたのだが、意外と暗く、「み〜 れみ ふぁぁ〜 ふぁぁ〜 そふぁ れみ れど ど どぉれど しら らぁ〜そ らぁぁらぁぁらぁぁ そふぁそしぃ〜」と、つらつらと奏でられる。
はあ? この楽章は、初恋を描いたものらしいんですけど。
「しどれしどれ れぇ〜れれれっ しぃ〜しししっ ふぁぁ〜っふぁふぁっ どぉ〜どどどどっ」
「みふぁそ みふぁそ・・・」
あーっ もっとロマンティックな楽章をイメージしていたのだが、落ち込んだ感じで、旋律らしきものが断片的だ。
ヴァイオリンは必死に歌うのだが、チェロが低音のピチカートで、渋いっ。
オルガンのような和音が奏でられ、ちょっぴり、ハレの日のような雰囲気も奏でられるのだが、結構、この楽章は、いろんなシーンが描かれているようで、それぞれにイメージはしやすいが、ころころ変わる心情についていけてない。ワタシ・・・。

4楽章
「らぁ〜 しどれどれどれどれどれど・・・らそぉ〜 らぁ〜 しどれどれどれどれどれど・・・らそぉ〜」
「ふぁふぁっ ふぁふぁっ ふぁふぁっ どどっ どどっ ふぁふぁっ ふぁふぁっ・・・」
勢いのあるスケルツォのような雰囲気と、バンジョーのように鳴っているフレーズがあったり、舞曲風のような歌謡風フレーズが聞こえたりする。
結構、複合的で、いろんな要素が詰まっている。
で、明るい生活で、ウキウキとした、お祝いごとの、そうだ〜 結婚式のような雰囲気もする。
細かい跳躍するようなフレーズと、じゃ〜ん じゃ〜んというような、弦の合いの手が組み合わさっている。まあ、民族音楽を聴いている楽しさ、ポルカの楽しさが、この楽章イッパイに広がっている。
で、回転度数があがって、激しくなった途端、急に止まって、ヴァイオリンのハーモニクスが登場して、えっーーーーっ。
急に悲劇の幕開けというか、奈落に落ちちゃったみたいで。
あっ ここが、聴力を失ってしまった。という場面なのだ。なるほど、この楽曲が半生を描いたもの・・・というのが、ラストで、わかるようになっている。

昔から、名盤の誉れ高いものだったと思うのだが、いささか渋めで、作家の半生を描いたものというか、すでに老年に達しているような安定感、穏やかさがある。といいつつ、情熱的なんですけどね。
総体的には、他盤と聞き比べて、やっぱりスメタナ盤は、民族の匂いが、たっぷり〜感じられる演奏だと思う。節回しというか、音色というか、完全に違うと思ったのは、やっぱりフレージングの粘りだ。
幾重にも重なった弦に厚みがあり、重みをもって、節がまわっており、また、懐古調で、回想的にフレージングされており、遙か彼方に視線があるように感じられる。ある一種の諦念というのだろうか〜。
それだけに、ラストが、ちょっと〜 悲痛で・・・。これは、唐突すぎる。
ちょっと、噛みしめて聴かないと・・・。若い年齢の時に聴くと、ちょっと、共感しづらいかもしれない、、、そんな感じだ。

アマデウス四重奏団 1977年
Amadeus Quartet

録音状態は良い。メリハリはあるが、ローカル色は抜け落ちて中庸感がある。
カップリング:
1〜4 スメタナ弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」(1977年)
5〜8 ドヴォルザーク弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」(1979年)
限定盤で、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番も含めて3曲カップリングも発売されている。
1楽章
「ふぁぁっ〜! どどぉ〜ふぁそ らぉ〜どぉっ ふぁ〜らっし ど〜ふぁっそ らふぁっ らふぁ・・・」
「れっ れぇ〜ふぁっ そらぁ〜れ み ふぁ〜れみ ふぁらぁ〜れみ ふぁれみ・・・」
冒頭は、一撃をくらった感じで強めだが、その後は、ゆったりとした間合いを持ちながらも畳みかけるフレーズを描いている。たぁ〜らったた たらららら・・・という感じで速いが、スメタナ盤よりも、ゆったりしている。

「どどぉ〜 ふぁっそ らぁ〜ど ふぁ〜らっし・・・」
「ふぁれみふぁれみふぁれみ・・・」という、パランパランっという雰囲気には、余裕があって、スメタナ盤に比べると、さっぱりした感じで、まろやかなコクが感じられる。
やっぱりスメタナ盤の方が、かなり民族臭かったと思う。独特のリズム感があって、ロマ風の節回しが感じられたのだが、アマデウス盤は、アクが少なく、中庸っぽい。
これは、他盤と聞き比べをしないと、わかりづらいのだが〜 また、どこがどうなの?と、突っ込まれちゃうと、なかなかに難しいのだけど、フレージングの粘り、ちょっとした擦れ音と、ぐぐ〜っと粘る情感だろうか。
特に、この1楽章は、とても民族クサイ節回しが冒頭に出てくるし、「ららぁ〜れ れれぇ〜そ それ〜みふぁ〜そらぁ〜」と、執拗に粘って鳴るのだが、このアマデウス盤で聴くと、さほど熱血漢ではなく、まとまりの良さを感じる。
さっぱりとした語り口で、一般的というか、ローカル色が緩和された演奏となっているようだ。

2楽章
「そぉっ らぁ〜 らどら そふぁら みれふぁみどっし どっれれ みっど しぃ〜 みぃ〜 みそみ れっど・・・」
「れふぁそっ れふぁそっ らどれっ らどれっ みみみっ・・・」
舞曲風フレーズだが、あまり粘らず、さっぱりと、さらっと演奏されている。
スメタナ盤で聴くと、アクの強いアコーディオンのフレーズのように聞こえていたのだが、そこまでは民族舞踏という感じがしな いが、風味としてはあり、「そぉ れっれぇ〜」という少なからずパンチがあって、勢いがある。
中間部は、まったりと品良く、可愛く弦のブンチャッチャ風フレーズに変わっており、チャーミングだ。

3楽章
この楽章は、アマデウス盤で聴くと、とても品良く、ふわーっと優しく奏でられている。フレージングがなだらかで、とても抒情的に綴られている。擦れた感じの渋い音色ではなく、さりげなく、すわーっと風が吹いているような清潔感があり、優しい。
慈愛に満ちた、包容力のようなモノを弦から感じる。
「そぉ〜  どぉれ〜ふぁみふぁ そぉ〜 らぁしどれ みぃ〜ふぁ そ しらし〜」と、チェロの響きが落ちていくのだが、深みがあり、すくいあげてくれるかのような弦の調べが、すかさず入ってくる。
息が長めなので、ヴァイオリンが入ってくると、さらっと雰囲気が変わり、情感たっぷりに歌われていくので、暖かさを感じられるのだ。ただ、少し情感がこもりすぎて〜 ヴァイオリンの高音域の音質が、悲痛にも聞こえてしまう。
「しどれしどれ れぇ〜れれれっ しぃ〜しししっ ふぁぁ〜っふぁふぁっ どぉ〜どどどどっ」と、硬めの音が出てくるので、相反するモノが同居しているような、不安感が漂う。

4楽章
「らぁ〜 しどれどれどれどれどれど・・・らそぉ〜 らぁ〜 しどれどれどれどれどれど・・・らそぉ〜」
「ふぁふぁっ ふぁふぁっ ふぁふぁっ どどっ どどっ ふぁふぁっ ふぁふぁっ・・・」
この楽章は、アマデウス盤の真骨頂という感じで、品良く中庸的に、まろややかに歌うように奏でられている。
弦の弾むところは、あまり民族臭くない。
スメタナ盤で聴くと、おおっ。情熱的な舞曲だと感じられたのだが、ほのかに楽しげ。
ウキウキした感じが素直に感じられる。ヴァイオリンが良く歌っており、チャーミングな曲となっており、独特のリズムが、親しみの感じられるものとなっている。
まあ、本場のスメタナ盤に比べると、アクがないので、その点、物足りなさを感じる方もいらっしゃるかもしれない。
唐突に、ハーモニクスになって、幸福感から絶望へ、まっさかさま〜というような劇的な部分となるのだが、アマデウス盤では、その唐突さが、ギーッと奈落におちてしまうほど悲痛ではない。
総体的には、メリハリがあるが、色彩的には中庸だ。アクの強い民族風、ローカル色の強いものではないので、さっぱりと聴けちゃう。最初の一枚にお薦めという感じだろうか。
1976年 スメタナ四重奏団 Dec ★★★★
1977年 アマデウス四重奏団 ★★★
所有盤を整理中です。

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