ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第13番「幻想曲風ソナタ」

 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第13番「幻想曲風ソナタ」
Beethoven: Piano Sonata No.13
スティーヴン・コヴァセヴィッチ 1999年
Stephen Kovacevich

コヴァセヴィッチさんの演奏は、ゆったりとしたテンポで可愛く始まり、快活な感じのハ長調になって8分の6拍子に変化するのだが、これが唐突で驚かされる。パラパラ~っと歯切れ良く左手が強め。第2楽章は、左手が、 バンバンバンっと歯切れが良い。ちょっと怖いぐらいの強いタッチだ。分散和音だろうが、叩きつけるような強いフレーズと、馬に乗って駆けている雰囲気のするスキップのリズム感であっという間に終わってしまう。アタマに 血が上ったようにテンションの高い演奏だ。第3楽章は、今度は眠くなっちゃうような、ゆったりリズムに変化する。まどろみ感のある抒情的な楽章だ。次の楽章への序奏だというが、次が怖い激しい楽章なので、ここでゆったり 休息を取っておきましょうという親切設計である。第4楽章は、とっても快活、溌剌、怖いぐらいにテンションマックスになっており、楽しいフレーズなのだが、これに乗らないといけない。大変速いので、弾き飛ばしているかの ように聞こえ、語尾にアクセントがついてて、ぴよ~んと飛んで行く感じがする。ベートーヴェンさまのリズム感って、多彩で楽しい。ビートが効いており、今でも十分通じるノリノリ感が出てくる。このラストの楽章だけ、何 度も繰り返して聴けちゃうぐらいノリノリ。バン バーンっ バン バカバンッ、爆発を繰り返すが、ラストは、元の穏やかなフレーズになって落ち着きを取り戻して終わる。舞曲というよりはビートの効いたロック調という感 じのする演奏だ。コヴァセヴィッチさんのピアノは、総体的に柔らかいがキレがあり、テンションマックスになるのが速く、瞬間的に爆発をする。パッションがあって、ビートが効いて、スポーティ、さっさと遊んで~ すぐに 、おすましモードに戻るところに遊び心がある。文武両道的に思いっきり遊んで、さっさと勉強する知的派だ。
カップリング:ベートーヴェン ピアノソナタ第12番、第13番、14番、19番


 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第13番「幻想曲風ソナタ」
Beethoven: Piano Sonata No.13
マウリツィオ・ポリーニ 1991年
Maurizio Pollini

ポリーニさんのベートーヴェンのピアノソナタは、1975年から2014年まで、39年の歳月をかけて完成されている。このロングランの収録にも超驚かされる。13番は、「どどら~ そそどぉ~ どどら~ そどぉ~ど ふぁ~」 という主題が、チャーミングに演奏される。しかし、ポリーニの演奏は、音が音として存在している。それ以外には、あまり余計なモノは付帯されていない。先日、コヴァセヴィッチさん演奏を拝聴したが、それはタッチの柔らか い演奏だった。それに比べると、ポリーニさんの演奏は、素っ気ないというか表情が硬いというか。音の粒立ちは鋭く、硬めで、速いところは速く、パラパラと音が鳴っている。いっさいの感情が排除されて、ちょっと素っ気なさ 過ぎ。詩情が少ないというか、さっぱり、あっさり弾かれている。総じてクールで、打音の強弱の差が大きく、唐突に小爆発をする。硬質な音だが、澄んでいる感じがあまりしない。また、ゆったりした幻想というイメージは無く 、ドラマティックではあるが、激情的で迸る感じでキツク感じる。テンポを落として弾いている部分でも、素っ気なくつまらない。つきあいづらい。呼吸が速く、ビートを効かした楽しげな楽曲には聞こえず、ノリノリ感はない。クールで、強弱の差が大きく、硬質的てキツク感じちゃう。この曲は、ワタシ的には、ゆったりタッチの柔らかい穏やかな詩情感、夢見心地の演奏の方が好きである。
カップリング:ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第13番、第14番、第15番


ベートーヴェン ピアノソナタ第13番「幻想風ソナタ」
1991年 マウリツィオ・ポリーニ G ★★★
1999年 スティーヴン・コヴァセヴィッチ EMI ★★★★★


ベートーヴェンのピアノソナタ第13番(作品27の2)は、1801年に作曲されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、ピアノソナタ第13番(変ホ長調 作品27-1)は、「幻想曲風ソナタ」(Sonata quasi una Fantasia)と呼ばれます。
1800年から翌年にかけて作曲され、14番の月光とともに、作品27として出版されています。作品27の2曲はいずれも作曲者自身により「幻想曲風ソナタ」との名づけられ、厳格な楽式に依拠するソナタと、 自由な幻想曲との融合が試みられています。4つの楽章で構成されていますが、ソナタ形式の楽章はなく、全楽章を切れ目なしに演奏するのが特徴です。約16分の楽曲です。

第1楽章 2/2拍子 6/8拍子 2/2拍子 変ホ長調 三部形式
柔和な印象を与える主題で、変奏されて繰り返されますが、突然アレグロで、ハ長調 6/8拍子となり、ドイツ舞曲風の中間部に入ります。ハ短調を経由して変ホ長調に戻り、音階が上昇すると、するっと元の主題に戻ります。左右の手の役割を入れ替えて主題が繰り返され、コーダでは音を減らして静まります。で、アタッカで休みを置かずに次の楽章へ。

第2楽章 3/4拍子 ハ短調 三部形式
スケルツォと考えられる楽章で、左右の手が同一の三和音を奏し、非旋律的で不気味な主題で始まります。変イ長調の中間部は、スタッカートに乗って狩りを思わせるリズムを刻みます。頂点で崩れ落ちるように終わりを迎え、切れ目なく次の楽章に進みます。
第3楽章 3/4拍子 変イ長調 短いながらも穏やかで感動的な情感を湛えた短い楽章です。

第4楽章 2/4拍子 変ホ長調 ロンド形式
生き生きとした明るい主題に始まり、溌剌として演奏されます。オクターヴのアルペッジョがアーチを描きながら上昇するような経過句、対位法的な手法を用いて展開されます。ラストは、プレストに転じ最後まで煌びやかに駆け抜けます。




YouTubeでの視聴

ベートーヴェン ピアノソナタ第13番「幻想風ソナタ」
Piano Sonata No. 13 in E-Flat Major, Op. 27-1
スティーヴン・コヴァセヴィチ - トピック Stephen Kovacevich - Topic
Provided to YouTube by Warner Classics
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=4LQCCQpZAAM
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=1a7lOZUPxIo
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=DHnkyaScFnA
第4楽章 https://www.youtube.com/watch?v=Pml0CFGXgmU


Beethoven: Piano Sonata No.13 In E Flat, Op.27-1
マウリツィオ・ポリーニ - トピック
Provided to YouTube by Universal Music Group
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=mK2mQHxEUmw
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=ero4MnGlUwY
第3楽章 https://www.youtube.com/watch?v=KLZbibXTW5o


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