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ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第17番「 テンペスト」
Beethoven: Piano Sonata No.17 "Tempest"


ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番ニ短調(作品31-2)は、1802年に作曲された曲で、テンペストという愛称で親しまれています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
「テンペスト」という通称は、弟子のアントン・シンドラーが、この曲とピアノ・ソナタ第23番の解釈について尋ねたとき、ベートーヴェンが、「シェイクスピアのテンペストを読め」と言ったとされることに由来しています。
特に、第3楽章が有名で、単独で演奏される機会も多く、ごく短い動機が、楽章全体を支配しているという点で、後の交響曲第5番にもつながる実験的な試みのひとつとして考えられているそうです。また、3つの楽章のいずれもがソナタ形式で作曲されている点も、この作品のユニークな点として知られています。

第1楽章 ニ短調 ソナタ形式
ラルゴ−アレグロを主体としながらもテンポ表示は頻繁に変わり、全体は、3つの部分からなっています。再現部の前の朗詠調のレシタチーヴォ、刻々と変わる発想記号などは、朗読劇を聞いているようで、中期作曲者の劇的な作風の典型です。終結も陰鬱な低音が静かに現れるだけで、演者が(幕が下り)静かに立ち去る様子を模写しているように映ります。

第2楽章 変ロ長調 展開部を欠くソナタ形式。第1楽章との間にも緊密な関連があるもの。

第3楽章 ニ短調 ソナタ形式
単純な音型を休みなく繰り返すが、単に激しい速さで演奏するものでなく、もとは馬車の走行から採譜したものといわれています。

グルダ 1967年
Friedrich Gulda

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。驚くほどテンポが速めで軽やか。活気があって軽妙。リズミカルで、爽快で、ワクワクしちゃうテンペストだ。
(えっ これでいいの〜)と思いつつ、完全に乗せられる。
ベートーヴェン ピアノソナタ全集からの1枚。
1楽章
テンペストっていう愛称のある17番は、特に、3楽章が有名で、「みそふぁみ みそふぁみ みそふぁみ みそみふぁ〜」 「ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどそ〜」というフレーズを聴いたら、あっ この曲か。と言うぐらいである。

「しららそ しららそ みれれど らし し〜」 
細かいフレーズで、追いかけられているような感じで始まる。
「れどどしみ みれれどふぁ ふぁみ みどど・・・」
「どししみ どししみっ・・・  みっそしみ〜 ふぁ〜られふぁ〜 し〜みしぃ〜」
メチャメチャ緊張感の走るフレーズで、グルダさんの快速ピアノなので、ますます、アセ アセッっとしてくる。

「ん ッタッタぁ〜 ん ッタッタぁ〜」 と、途中で弾く音が楔のように打ち込まれる。
冒頭の音も、なんだか音がもっと多いような気がするんだけど、よくわかんない。耳が悪いな〜っと自分で呆れてしまうのだが、まあ、嵐の情景て感じでよいんだろうなあと思う。
「テンペスト」っていうタイトルは、お弟子さんのシンドラーが、この曲について、ベートーヴェンに尋ねたところ、シェークスピアの「テンペスト」を読めっと言われたことから由来しているのは、有名なお話だ。
暗い夜に、雨が降っているようで、「んタタタ たぁ〜」 パラパラパラ〜  落ち込んでいるところに、冷たい雨に降られて、ますます落ち込んでしまうような、弱り目に祟り目のような暗い楽曲である。
ワタシ的には、基本的に明るい楽曲の方が好きなので、あんまり暗いと、ダメなんですけど。

なーんか、カラリっとしてて弾き飛ばしているように聞こえるが、ドスンっとテンポが落ちて、うちひしがれて、けど、また、小走りに走り出す感じがして、グルダさんのピアノは好きだ。
負けてないでぇ〜と、細かいフレーズの右手の上の音が、力強く鳴ってくるところが好きだ。
ベートーヴェンの演奏のなかでも、リズミカルで、「そぉ〜 みそっしっ」と、最初にアクセントがついて、スポーティな感じがする。途中で、パパパパっ パパパパっ 
「しっしっしっしっ みっみっみっみ ふぁ〜 ふぁふぁふぁふぁ そぉ〜」と跳躍するところもあるし、パラパラしている感じが好き。
まっ それにしても、この構成力っていうか、平凡な音のくせして、劇的に変わるところが、やっぱベートーヴェンの面白さだな〜って改めて思う。このテンポ設定は、超むずかしそう。
テンポの速さの変わり方が、これだけ劇的に変化するっていう構成が、う〜ん。難しいけれど面白い。
速さの変化、スピード感で、これを提示してくれている気持ちの良いピアノ演奏だと思う。

2楽章
「み ふぁそ〜(どし)  し どれ〜(ふぁみ)」
「みっ ふぁ そ そそ ふぁ みれれれ れ〜」「みっ れみふぁそ〜 れっ どれみふぁ〜」
ちょっと転がる可愛いフレーズが入っていて、この可愛さは、抱きしめてあげたいぐらい。
焦げ付きそうな憔悴感の漂う1楽章から、うってかわって、なんてキュートに変貌するんだろう。
「どどっ どらそ ふぁ〜  らしど どらし」という、平凡なフレーズにも、小さく「れれ れれっ」って入ってくる。これが、小さな鐘のように、ちょこっと金属の鳴るような音みたいで、小さな平和的 、シアワセ感が漂ってくる。微笑ましいぐらいに柔らかく、そして、慈しむ感じにさせられる。
「れ〜 しそ  みれ〜 しど らそ しらそら らぁ〜し」 
「れ〜 ふぁそ しそ みれ ふぁそ しれどみら れ〜し」
ちょっと渋めの音質が、しっとりした柔らかさと、シックな感じを与える。

3楽章
超有名なフレーズが詰まった楽章で、タララ ラン タララ ランっと、転がっていく16音符の連続ワザ。
「みそふぁみ みそふぁみ みそふぁみ みそみふぁ〜」
「ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどそ〜」
「みそしそ どっど らふぁ ふぁっ ふぁっそ みっみっ れっれっ みっふぁ〜」

左手の強いタッチが、気持ちよく響く。音が立ってくるので、大変面白く、刺激的である。
音が沈む感じではなく、立ってくるようなリズミカルさがあって、立つと同時に、横に転がっていく感じがするので、音の転がる運動エネルギーが直に伝わってくる。
なかなか巧く言えないんですけど〜 無窮動のように同じ音型が続くなかで、快感が得られる。
グルダ盤では、激動的に奔走しているというより、無理のないスポーツという感で、朝、爽快に汗を流して運動をしているような感じがする。 汗くさいエネルギッシュな感じではなく、実に爽快なのだ。
楽しみながら快速に飛ばしている。そこには必死の形相感はないし、実に愉快。

もっと、必死に頑張らないと。もっと精神性をっ。と言わるかもしれないけど、悲痛な感じは、皆無かなあ〜と思う。
かといって、もちろんノー天気状態ではないし、サイボーグ型でもなく、しっかり暖かい血がかよっているし、 実に柔らかく、粒立ちの良い、ところどころ顔を覗かして、音が立って流れていく。
そのくせ、こりゃ〜 柔らかい動きだよな〜 メチャ弾力があって、モチモチ、ピチピチしている。
左手のゴツンとした深いえぐるような感覚は少なめで、神妙さは少ないかもしれないけれど、でも、この細かい16音符のなかで、燦然と輝く音の粒が、ところどころ見つかるんですよね。 微妙な音質の変化もあるし、へえ〜
山をのぼったり、くだったり、山をのぼるときの力の入れ方や、くだって、淀む時の力が、ふっ と抜けるところとか、まるで、朝日を受けて流れている山の清流みたい。
いたって普通に、自然に、音の流れの向きが、すっと変わっているようなんだけど〜この自然な感じが、爽快さを生んでいるような気がする。曲によっては、もちろん、この軽妙さがアダになるところもあるけれど、 ワタシは、この弾力のあるテンペストは大好きっ。

アシュケナージ 1976年
Vladimir Ashkenazy



録音状態は良い。暖かみのある録音で、硬質感はあまり感じられない。
カップリング:
1〜3 ベートーヴェン ピアノソナタ第21番 ワルトシュタイン(73年)
4〜5 ベートーヴェン ピアノソナタ第17番 テンペスト(76年)
6〜8 ベートーヴェン ピアノソナタ第26番 告別(73年)
1楽章
テンペストの1楽章は、細やかに動くフレーズが多く、胸騒ぎがして〜慌ただしく押し寄せてくる切迫感がある。
「れどどしみ みれれどふぁ ふぁみ みどど・・・」
「どししみ どししみっ・・・  みっそしみ〜 ふぁ〜られふぁ〜 し〜みしぃ〜」
アシュケナージさんのピアノの音は、柔らかいので、硬質感のある音が好きな方にはむいていないかも。
「み〜そしみ〜 どぉ〜ふぁらど しぃ〜れそし」というような、レガートのあるフレーズでは、力は感じるのだが、細かく踊るかのような付点のリズムは、もう少し繊細で、鋭さが欲しいように思う。
やっぱり音が柔らかすぎて・・・ 長所が短所に変わるようで、イマイチ、突き刺さるかのようには響かない。
左手のドスンっという響きには、パワーがあるので驚かされちゃった。
録音状態にもよるのだと思うが、粒立ちがイマイチで、ピアノの音質が、カラっとしていない。

2楽章
「み ふぁそ〜(どし)  し どれ〜(ふぁみ)」
「みっ ふぁ そ そそ ふぁ みれれれ れ〜」「みっ れみふぁそ〜 れっ どれみふぁ〜」
小声で始まり、転がる可愛いフレーズとなっている楽章で、くぐもった感じがするものの、それが、恥ずかしがっているような、うつむき加減の少女のようで、キュートな感じがする。
しかし、間合いの悪さというか、緊張感が続かないので、どこを演奏しているのか。わからなくなってしまった。
センテンスのまとまりの良さをあまり感じない。特徴のあるフレーズは、巧く弾くが、その他が、う〜ん。

3楽章
「しそふぁみ しそふぁみ しそふぁみ しそみふぁ〜」
「ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどそ〜」
とても柔らかいフレージングで、穏やかに演奏されており、左の音が強いので、音の広がりは大きくふわっと広がる。
几帳面な打ち込みだな〜という感じを受ける。
抑揚が少なめで、淡々としているなかで、何かを訴えてくるというわけでもなく、熱くもならず〜
へっ? 終わったの。
と、いきなり終わられてしまった感がある。
同じ音型が続くので、どうやって変化をつけてくるのか、見どころなのだが、あまり変化が大きくなかったような・・・。

ギレリス 1981年
Emil Gilels

ばっちグー!

録音状態は良い。思索的だが重すぎず、音の間合い、色合い、音の微妙な変化に耳がそばだち〜 音楽の魅力を再発見っ・・・て感じで目(耳)から鱗状態。
カップリング:ベートーヴェン ピアノソナタ
1〜3 第17番「テンペスト」 (81年)
4〜7 第21番「ワルトシュタイン」 (72年)
8〜10 第26番「告別」 (74年)
1楽章
弱い細かいフレーズで、 「しららそふぁみ しららそふぁみ みれれど らし しぃ〜」と、走り出しておいて、いったん静まるところの間合いが、考えさせられる。
ギレリスさんって鋼鉄のピアニストっていう評判だが、この曲に関しては、瞑想的というか、詩情感があふれているというか、ものすご〜く詩情感があふれている。滲み出てくるような雰囲気があり、間合いのとりかたが絶妙だ。
グルダ盤のように、軽快に快速に飛ばす雰囲気はなく、穏やかでありながら、思索している感じだ。
「どししみ れれみみ どどしし どししみっ・・・」
「みぃ〜そしみ し〜それふぁ〜 どぉ〜しみそ そぉ〜れふぁら そぉ〜しみそ・・・」

細かく踊るかのようなフレーズも、さほど跳躍しないのだが、左手の音の深さに吸い込まれる。
なにか際だって、粒立ちが良いとか、軽やかだとか、重いとか・・・ そんな言葉が使えないような、声をかけられないような、ふっとした間合いがある。
次のセンテンスに移る前の、ふっとした間合いに、音が消えているところが、えっ・・・
音と音の行間に、なんか吸い込まれてしまう。
「しら らそ ふぁみ しら らそ ふぁみ みれ れど らし らし しぃ〜」
なーんか、ものすごく意味深で〜深い楽曲だ。と、なんかよくわからないまま、そう感じてしまう。
大きく分散和音のフレーズを鳴らすところと、細かいフレーズとの入れ替わりとか、ふっと音が無くなってしまうところの場面とかの切り替えが、さほど大きい身振りではないくせに、引き込まれるというか〜

2楽章
「み ふぁそ〜(どし)  し どれ〜(ふぁみ)」
呟く楽章だが、前の楽章と一緒になって、独りごちに、ぽつぽつと音が置かれていくのだが、ポポポ・・・という音が、雨粒のように気になる。
「れぇ〜 しそぉ  みれぇ〜 しど らそ しら そら らぁ〜し」 
フレーズが短いので、音の間合いがやっぱりあるのだが、そこは柔らかく通っていく。
「み〜 みふぁそぉ〜(どぉ〜し〜)  れふぁれ しれふぁし ふぁれしれ れっれみふぁぁ〜」
弱音の美しいこと。

3楽章
超有名なフレーズが詰まった楽章で、タララ ラン タララ ランっと、転がっていく16音符の連続ワザ。
「しそふぁみ しそふぁみ しそふぁみ しそみふぁ〜」
「ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどふぁ ふぁらどそ〜」
「みそしど どっど らふぁ ふぁっ ふぁっそ みっみっ れっれっ みっふぁ〜」

とても柔らかいフレージングで、とって穏やかに演奏されており、繰り返しは大きくなっていくが、転がるフレーズも可愛く、そそふぁふぁ そそふぁふぁ・・・ と、音に粒ができてくる。
強いタッチというよりは、音はとても丸い。シャボン玉のように、ふわっと右の方向に飛んでいくみたいだ。
左手の「みそふぁみ みそふぁみ・・・」 右手の「れふぁら れふぁれふぁられ〜」
タラン タラン タラン・・・ そそふぁふぁ そそふぁふぁ・・・
いや〜 いろんな要素の詰まったのが、次から次に登場してくるのだが、その強弱の差が付きすぎず、かといって平板でもなく、なにー この不思議さっ。
タタタん タタタん タタタん っと、この、ん のところで、柔らかく。ふわっと音が上の方向に昇るのだ。
この気持ち良さっていったら、ないわ〜 言葉にならないなあ。
これぞ、音だけの持つ魅力というか、音の表現性なんだな〜って、いやはや目から鱗状態ですね。
耳も目も洗わないと・・・ 

グルダ盤のように快速に飛ばしていくのではないのだが、すごく魅力的だ。
なんていうのか、続けて同じ音型を弾いている筈なのに、何かが、すごーく変わるのだ。すごく微妙なんだけど、確かに違うんである。えっ 何が変わるのか?
なんだろ。同じフレーズを音型を弾いているのに、なんでー こんなに受ける印象が変わるのか?
う〜ん。何が違っているのか。今のワタシには、全く、わかんないです。でも、音楽ってやっぱ魅力的だ〜 ギレリス盤で聴くと、音の消え方が、すごいっ。絵のように強いタッチが目に見えてわかるんじゃーないけど、 耳が、そばだつんだけど、言葉に表現できない。超もどかしい。
音の強弱は、まあアタリマエだが、滑らかさ 次に移るときの間合いとか、消え方というか。音の押し具合というか入れ具合というか。(音というより鍵盤なんだけど)、ちょっとした入り具合なんだろうなあ。
いやー 単純じゃないですねえ。奥が深いわぁ〜 もっと、よく聴いて、聴いて、聴きこまないと・・・こりゃすごいわ。
久々に感動しちゃった。

1967年 グルダ CH ★★★★★
1976年 アシュケナージ Dec ★★★
1981年 ギレリス ★★★★★
所有盤を整理中です。

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