「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第21番「ワルトシュタイン」
Beethoven: Piano Sonata No.21 ''Waldstein''


ベートーヴェンのピアノソナタ第21番(ハ長調 作品53)は、1804年に作曲されています。
ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると
「ヴァルトシュタイン」という通称は、パトロンだったヴァルトシュタイン伯爵に献呈されたことに由来するものです。
この頃、聴力に衰えが出始め、1802年には、遺書を書かせるまでとなっていたそうですが、エラール製のピアノが贈られて、5オクターヴ半の音域の音色が活力を与え、クロイツェルソナタや英雄などの傑作が生み出されていきます。

第1楽章 4/4拍子 ハ長調 ソナタ形式
第1主題では、打楽器的な和音連打と、エコーのような音型が繰り返されます。トレモロとなって反復されます。
コラール風の第2主題は、長3度上のホ長調で提示されます。低声部へ移った第2主題は、右手に3連符の対旋律を伴い、リズム要素を加えられて発展し、16分音符のパッセージに至します。ハ長調となって提示部を終え、展開部は、ヘ長調で開始され、第1主題のモティーフによって展開されるもの。長大なコーダは、第1主題が展開されてカデンツァと見まごうばかりの発展を遂げ、ハ長調で第2主題を回顧した後に、第1主題が軽く扱われて堂々と終わります。

第2楽章 6/8拍子 ヘ長調 三部形式
短い瞑想的な楽章で、第3楽章の序奏とも見ることができます。元々は、第2楽章として書かれた「アンダンテ・ファヴォリ」と同じヘ長調で書かれています。歌謡的な旋律が出され、他声部がこだまのように繰り返すもの。高らかなト音が、アタッカで、第3楽章へ続きます。

第3楽章 2/4拍子 ハ長調 ロンド形式
ペダリングが克明に書き込まれて和音の変化する間、長調と短調が入れ替わります。トリルの中に旋律が埋め込まれ、3連符の走句に続き、イ短調の主題が現れます。ロンド主題の再現があり、ハ短調の主題が出てきます。シンコペーションによる推移から、ロンド主題の大規模な展開が行われます。3連符のパッセージが大きく拡大され、クライマックスが終わるとコーダに至ります。オクターヴの急速なスケールがあり、最後は、ハ長調の主和音によって堂々と終わります。

ベートーヴェンは1770年生まれです。1802年に、ハイリゲンシュタットの遺書を書いているって、えっ いくつなのぉ。
わずか32歳なんですよね。でも、彼の楽曲は、ここから花開くわけで〜 ベートーヴェンさまに、エラール製のピアノを贈った方、ありがとう。って感じです。ヴァルトシュタイン(ワルトシュタイン)は、とっても楽しく、ダイナミックで明るい楽曲です。

クラウディオ・アラウ 1965年
Carlos Arrau



録音状態は良いのだが、左手と右手に均一にマイクがあたってないのか、右手の高音域が遠いような気がする。遅めの演奏で、揺れる振幅の大きい演奏で、ダイナミックなストーリーが描かれている。
60年代前半の旧盤である。2枚組

カップリング:
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 8番「悲愴」
14番「月光」、17番「テンペスト」、24番「テレーゼ」
21番「ヴァルトシュタイン」、23番「熱情」、26番「告別」

1楽章
アラウさんの弾いているワルトシュタインは、冒頭、ちょっと、もっちゃりしている感じがする。
「ふぁふぁふぁふぁ・・・ ら〜しらそ」「そそそそ・・・ そ〜しらそ」ってところが遅め。
タタタタ タタタタと進んでいくリズム感がイマイチのような感じで、右手左手の粒が揃ってない感じがして、なんか、もや〜っとした感じになってしまった。

で、規則正しいリズムのなかの、「れ〜どしらそ ふぁそ〜そふぁみれ どれみふぁ〜 どれみふぁ〜」というフレーズが煌めいて来ないし、う〜ん。変な節回しのような気がして、なんか馴染まない。
この21番のソナタは、出だしのところのリズムが命って感じがするんだけどなあ。音の粒が、均一的ではないというか、凸凹してて〜なんか揺れている。
ワタシは、特別に潔癖性ではないのだが、ちょっと、これでは気持ち悪いような気がする。

グルダ盤のように快速に飛ばしているわけでもなく、速さは遅めだし、揺れ揺れなのだ。
快速に飛ばしてくれ〜とは思わないのだが、ちょっと粘っこさと、揺れが特徴かなあ。
特に、「ら〜そふぁ み〜れ みふぁそ ら〜そ」 というところは、歌うように波打っており、ロマンティックだ。思わせぶりな感じで、今夜どう?なーんて誘っているような気分。
でも、どっか、こっそり〜 シャイに歌っている感じがする。内気そうなワルトシュタインって感じなのだ。
音の強弱をつけているので、そう聞こえてくるのかなあ。
でも、どっか、開放的に、「どどらふぁ ふぁふぁどら どどらふぁ ふぁふぁどら〜」でエネルギーが放出されているわけではないし、失恋でもしたような感じだ。

そのくせ、段々、なーんか自信をつけてきたみたいになって、繰り返していくうちに、いやに堂々としてくるのである。えっ なんか性格変わったの?って感じだ。
アラウさんの演奏は、どっかストーリーを描いて弾いているように聞こえる。
まっ、こっちも、勘ぐって聴いてしまうのかもしれないんだけど・・・。音の強弱が、結構大きめで、振幅の大きい演奏だ。
逡巡しているなかで、内気にもなったり、いやに堂々してみたり、人間臭いというか。極端から極端に走ってしまって、最後には、上段に構えてしまうような人かな〜っと感じてしまう。
なーんか、21番のワルトシュタインって、エンジン快速で飛ばして飛ばして〜 ダイナミックな機関車か、パワフルなスポーツカーに乗っている気分なのだが、逡巡するような感じの演奏って、珍しいような気がする。

後半、ペダルを踏みっぱなし状態のようで、音が濁るように思うんだけど。
えーっ ちょっと、つかみどころが無いやん。まっ、最後には、右手がようやく解放されて、自由に、キラキラしてくるし、活き活きとしているように思うし、シャボン玉のように、小さくハジケテいますね。
11分45秒の演奏のなかで、小説を1冊読んだような感じで、これほどストーリーを描けるとはな〜っと驚いちゃった盤です。
ちなみに、グルダさんの演奏は、9分26秒。単に、速いか遅いか〜ってことではないんだけど、最初のスタートで出遅れちゃったみたいに、エンジンの掛かり具合が遅めって感じがしちゃうところが悲しいかな。

2楽章
この楽章は、暗くて沈み込んだ楽章だが、う〜ん。アラウ盤は、異常に遅いってわけではないのだが〜
「そぉ〜れっれし〜 そぉ〜しっしふぁ〜 そどど そどっど そ〜 れれし〜」
なーんか、暗いし遅いし、ドボンっと、どっかに穴に落ちたみたいで、緊張感が途切れちゃって〜
モソモソと動いているような感覚で、ワタシ的には、あ〜 スルーしちゃう楽章になってしまう。
「れ れ れし〜らしどどれ〜み〜どし ら〜」というフレーズでは、ちょっと硬めに変わる。
冒頭は、ぼんやり穴のなか、そっから出たいっ。という意志が出てくるような感じだ。
まっ、簡単に言ってしまうと、緩く、硬く、緩く〜というような構成で、ぼんやり〜した雰囲気から、明確な意志を持った性格に変化するところが面白いって言えば面白い。

3楽章
で、ぼんやりした雰囲気で、緩めで柔らかいフレーズのなかから、第3楽章のテーマが出てくる。
「ららぁ〜ふぁ みられふぁ ららぁ〜ふぁみられぇ〜」 
「そそぉ〜みふぁれどみ そそぉ〜みふぁれどみ ふぁれどみ ふぁれど らららら らららら・・・ら〜」
ものすごい幻想的な雰囲気で、ブルックナーの原始霧のような感じで、左手の残響が長く、長く続く。
ソフトなペダリングで、息がものすごく長いので、永遠に続くかのような錯覚が生じる。
でも、そのうちに右手のタッチが深くなって、煌めきを持った音が、氷のように突き刺さってくる。
ひぇ〜っ。この変わり方が、凄く極端で、おっとろしい一面を見ちゃった感じで、さながら、おっとりした性格の天使さまが、豹変して一音一音、アイスピックで突いてくるような感じ。
うへっ。怖いっ。音と音の間にクレパスがあり、はあ、うっかりしてると落ちますねえ。この演奏は。

これを弾いているアラウさんの頭のなかには、どんな情景が、光景が浮かんでは消えているのだろう。
天上から落ちちゃった天使かい。まるで、踏み絵を踏め〜っと言われているようで、なんか、弾いている人の意志の強さというより、聴いている人間に、強制してくるようなプレッシャーを与える。
ワタシ的な勝手なイメージなのだが、アラウさんの演奏って、ストリーテラー、物語を読み聞かせている人に近い存在のようだ。
どっか、どっぷり、天使にもならず、地獄絵の主人公も、演じていないという感じだし、壮大な最後は、大きな石を、頭のうえで回転しているような、まるでギリシャ神話のアトランテスみたいな状態だし。
そうかと思えば、メッチャ快速で弾かれてしまって〜 ハイ、フレーズたちは、ころころ転げ堕ちていってしまったのでありました。と思うし。
またまた、止まって壮大に鳴るし〜 このアプローチの仕方って、なーんか極端で、構成のすごい変化に、ワタシ的にはついていけない感じで・・・ ちょっと疲れました。スミマセン。
 

フリードリヒ・グルダ 1967年
Friedrich Gulda

 

録音状態は良い。柔らかく、穏やかな音で、アナログ的な良さが詰まっているように思う。とにかく軽快。超快速盤である。グルダさんの演奏しているピアノ・ソナタは、デッカ盤とアマデオ盤があり、これは2回目の全集でアマデオ盤である。
ピアノ協奏曲(シュタイン指揮 ウィーン・フィル)と、アマデオ盤のピアノ・ソナタと一緒になった12枚組セットが、デッカから出ている。

1楽章
ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」は、ベートーヴェンの中期の作品である。
ワルトシュタインは、ヴァルトシュタインという表記もあるけど、人の名前である。ベートーヴェンのパトロンというか後援者だった伯爵さまのお名前である。
結構、中期としては有名なソナタだが、グルダさんの弾いている、このソナタは、メチャ速い。
超快速バーションで、まるで違った作品を聴いているような気分になる。
特に、1楽章は、どどどど どどどど・・・ と弾かれてて、血が逆流しちゃうかのようなテンションの高さで始まっている。可愛い楽章ではあるのだけど〜 メチャ早口で走り去ってしまうのだ。
「ふぁふぁふぁふぁ ふぁふぁふぁふぁ ら〜しら」「そそそそ そそそそ し〜どしらっ」
「ら〜そふぁ み〜れ みふぁそ ら〜そ」
「どどらふぁ ふぁふぁどら」 パラパラパラ〜 はあ。速い。あっけにとられるほど速い。
もちっと、ゆっくり弾いてくれても良いんだけど。なんで〜こんなに早口でまくしたてるほどの快速で走っていくんだろう。
「ら〜そふぁ み〜れ み〜ふぁそ ら〜そ ら〜そふぁ み〜れ どしれみふぁ〜」
このフレーズは、ゆったり鳴っているけれど、
「どどらふぁ ふぁふぁどら どどらふぁ ふぁふぁどら〜」 はあ、とにかく快速であります。
跳躍感あり、軽快このうえなし。このグルダ盤を聴きなれしまうと他の盤が鈍重に思えるほどで〜 目から鱗という感じで、新鮮だが、意外な展開に、あっけにとられる。

2楽章
一転して、メチャ暗い短い楽章で、落ち込んでしまって、はい上がれないような気分になるのだが、随所に可愛いフレーズが入っている。どことなく瞑想的というか、思い沈んでいるような。
3楽章が、また楽しげで、印象に残る楽章なので、その繋ぎというか。間奏的で、印象の薄い楽章になっている。グルダさんの演奏は、1楽章と3楽章が特に速めで、ほとんど間髪入れずに3楽章が始まってしまうので、2楽章は一休み的。

3楽章
「らら〜ふぁ みられふぁ らら〜ふぁ みられ〜」 
「そそ〜み ふぁれどみ そそ〜みふぁれどみ ふぁれどみ ふぁれどみ」
可愛いカウベルのような、牧歌的で楽しげで、春を待ちわびたような楽しげな開放感に、喜びに満ちあふれている。
左手のアルペジオの力強さのうえに、煌めくような右手の主題が乗っかってくる。
分散和音の心地よさが充分に伝わってくる演奏で、主題が繰り返されているが、繰り返されるフレーズが、それぞれに味わいが違ってて、同じ素材が、調理法を変えて目の前に差し出されてくるような、面白い印象を与えてくれる。
暖かい音色と、楽しげな雰囲気で、長いトリルも、なんのその〜 
豪快かつ繊細で、とにかく楽しげ。
最後も快速で、すっ飛ばしていくけれど、それがなんとも軽やかで、暖かい雰囲気で〜 ころころころ〜と転がってて楽しい。総体的に、とにかく軽やかで速く、飄々としたところが楽しい。

ベートーヴェンって、重々しく硬い。というのがイメージなのだが、これだけ速めに飄々と弾く人って、グルダさんぐらいなモノではないだろうか。まあ、どちらかというと異色盤なのだが、ワタシ的には好きだ。
特に3楽章は、ハイ 拍手〜 
  バレンボイム 1981年
Daniel Barenboim

けんかうっかぁ〜

録音状態は良い。硬くて力が強い、しなやかな演奏ではない。力づく〜って感じがする。ノリ感の悪い演奏だ。
カップリング:ベートーヴェン ピアノソナタ
1〜3 第17番「テンペスト」 (83年)
4〜7 第21番「ワルトシュタイン」 (81年)
8〜10 第26番「告別」 (81年)
1楽章
ワルトシュタインは、ものすごいスピードで、冒頭から、快速に弾いている方も、多いと思うのだが、バレンボイムさんの演奏は、あまりスマートとは言えないかもしれない。
打楽器的な和音連打のところは、粒立ちの綺麗な音ではなく、 均質的には乏しい。硬質感のある音ではなく、ちょっと、もっさりしている感がする。
まあ、もっとも、快速サイボーグマシーンのように弾かれても、ちょっと、ドンビキになるんですけど。
バレンボイムさんの音は、あまり音が立ってこない。音の粒としては、どうだろう。少し力が入っているのか、前につんのめっている感じがする。綺麗とは、ちょっと言い難いように思う。
1942年生まれなので、30代後半の演奏になると思うが、えっ もう指がまわらないの。音質も、指が太いの?って思っちゃう。(って、とても失礼な言い方だけど)
タタタタタ・・・ たぁ〜 ららら〜っと、なだらかなところは、さほど、なめらかでもないし、チャッチャ チャッチャ 「どどらふぁ ふぁふぁどら どどらふぁ ふぁふぁどら・・・」と、いうところも、ちょっとイマイチ感がある。
全体的には、なだらかなフレーズは、音が少し濁り気味だがダイナミックだ。ゆったりしたフレーズは、いいけれど、連打していくところは、とっても印象的な主題なので〜 ここが、速くて快活で、正確にキッチリ打ち込まれていかないと、う〜ん。
ちょっとな〜という感じになってしまう。
弾き飛ばしたわけではないだろうが、ワタシ的には、もう少し粒立ちの良さと、キッチリ感が欲しいかな〜と思う。

2楽章
瞑想的なフレーズが続くが、ちょっと何が言いたいのか、さっぱり。
音と音の間合いが、ちょっぴり速く、表情の細やかさは、ちょっと〜感じられなかった。

3楽章
「らら〜ふぁ みられふぁ らら〜ふぁ みられ〜」 
「そそ〜み ふぁれどみ そそ み ふぁれどみ ふぁれどみ・・・」
ゆったりと出てきて、高音域のフレーズは綺麗に聞こえてくるが、少し硬めでガツンっと、厳ついフレージングになっている。
ダイナミックで、左の音がすごく大きい。
カッチリしているのはいいが、 「ららぁ〜ふぁ みられふぁ ららぁ〜ふぁみられぇ〜」 
「そそぉ〜みふぁれどみ そそぉ〜みふぁれどみ ふぁれどみ ふぁれど らららら らららら・・・ら〜」
スピードが速めのところがあって、ん?
まあ、硬いというか、ゴツイというか、カカカカ・・・ カカカ・・・と聞こえてくる。
柔らかいところと、厳ついところとの差が大きく、ダイナミックな表現を取り入れているようだ。

ペダルを踏んでいるところは、柔らかい表情なのだが、突然、表情をいっぺんして、厳ついた、怒りの表情に変わる。
とても力が強いのだが、躍動感がなく、しなやかな弾力性がないため、せっかくの柔らかい表情が、生きてこないような気がする。どうも、その落差に、説得力がないように感じるのだ。
停滞している感じのなかで、打音の鋭い、厳ついワルトシュタインが、前面に出てしまう。
で、逆鱗にふれないように気をつけないと〜って感じになっちゃう。しなやかな体躯のフレージングは美しいのに、やっぱ、ガツンってやっちゃう。
ラストも、やっちゃえ〜って感じで粗いし、 総体的に、力が強くて、力でねじ伏せちゃう感じがする。
ルドルフ・ブッフビンダー 1980年〜82年
Rudolf Buchbinder



録音状態は良い。とにかく1楽章が速すぎて〜っ。
カップリング:
1〜4 ピアノ・ソナタ第15番「田園」
5〜6 ピアノ・ソナタ第19番
7〜8 ピアノ・ソナタ第20番
9〜11  ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」
12〜13 ピアノ・ソナタ第22番
1楽章
のっけから超快速で、へぇ〜
ブッフビンダーさんは、1946年、チェコボヘミア地方の生まれのオーストリアのピアニストである。巷ではウィーンの巨匠って感じで言われているようだが。
で、 1980年から82年にかけて、ベートーヴェンのピアノソナタ全集を収録されているが、2010年から11年にかけて再録しており、ドレスデンライブとして9枚組BOXが発売されているとのこと。
なので、このCDは、旧録にあたる。

1楽章は9分14秒、2楽章は3分37秒、3楽章は8分58秒である。
今、手元に他盤のCDがないので、比べていないのだが、う〜ん。ちょっと軽すぎて、絶句してしまった。
もう少し、ゆっくりで良いんですが・・・。
まあ、血の気の多い演奏も多いこと確かなのだが、聴いててリズムが心地良く、ノリノリ感があって、楽しく、ワクワクしちゃう楽曲なのだけど、何度か繰り返して聴くと、リズムを感じられるようになるのだが、 あのー 最初に1度聴いたぐらいでは、ちっとも楽しくないのである。

この弾いている音を聴いていると、平板に聞こえて、内省的になって、引き籠もっていくような感じがする。
それに、音質は、必ずしも煌めいているとか、美しいとか、粒立ちが良いとか、ちょっと言えない感じがするのだ。
でも、数回同じ1楽章を繰り返して聴くと、ふむ。ちょっとは、スピードについていけるし、愛想のない無窮動のような雰囲気から、少し脱出できるのだが。
でも、う〜ん 楽章の最後に向けて、まだスピードがあがっており、もはや、ワタシには、ついて行けない。
まだまだ、現役バリバリの演奏家なので来日も多いのだが、残念ながら生には接したことがないし、このCDは旧録なので、一概には言えないのだが、う〜ん ちょっとワタシとは相性が悪いかもしれない。

2楽章
「れっれれぇ〜 しぃ〜 らしど どれ〜 み どし らぁ〜」
くらっ・・・ 陰気な音が、粘着性を持って鳴ってくる。あのぉ〜1楽章の超快速からすると、沈み込みすぎ。
で、情感は置き去りのような気がして、どうも気味が悪い。虚脱感に襲われてしまうのと、音の暗さと、無機質なところが、苦手だ。

3楽章
「らら〜ふぁ みられ ふぁ らら〜ふぁ みられ〜」 「そそ〜み ふぁれどみ そそ〜み ふぁれどみ ふぁれどみ・・・」
繰り返してくると、少し明るめに変わるのは、他盤とさほど変わらないのだが、フレージングが短い。
ああ〜 ワタシの好きな演奏タイプは、歌うことなのだが、彼は歌わない人なんだな。と、ようやく、ここになってわかった。
まあ、ベートーヴェンで歌えって言われたって、歌えませんよぉ。という感じで、無骨なぐらい無骨なのかもしれない。
可愛くもないし、愉悦性も少なく、う〜ん、繊細な煌めき度の高い他盤の方が、やっぱり好きだよなあ。
ピアノの練習曲ではないのにねえ。
こんなに速く弾けますというテクを、几帳面に弾かれている感じがして、 なんだか、だんだんと嫌みな音に聞こえてしまった。ワタシ的には、ちょっと聴いてても楽しくない演奏で、苦虫をかみつぶした感に陥ってしまった。
演奏家さんが聴くには楽しいのかもしれませんが、ワタシには、なんとも・・・。ふと、グレン・グールドさんの演奏を思い出してしまった。(似ているというわけでもないのだが) 
ある意味模範演奏なのかもしれませんが、ワタシ的には、はあ、そうですか〜という感じがする。
アシュケナージ 1988年
Vladimir Ashkenazy

録音状態は良い。アナログ的な柔らかさがある。おとなしく柔らかさのある演奏で、あまり主張してこないが、最後は、さすがにテンポが速くなってくる。ワタシ的には1楽章から飛ばして欲しかった。
カップリング:ベートーヴェン ピアノソナタ第14番「月光」、第21番「ワルトシュタイン」、23番「熱情」

1楽章
グルダ盤が、「どどどど どどどど・・・」と、血が逆流しちゃうかのようなテンションの高さで、快速で始まっているのに比べて、ソフトといえばソフト。迫力が無い。なんとも頼りない感じで、かなり草食系だ。
楽しい楽曲なのだが、女性的で腰が弱い。
テンポは普通。ガンガンに弾きこなすというのではなく、あらら〜いつの間に始まったのだろう。という感じでスタートするんだなあ。
1本通った強靱さが感じられないので、ちょっとなぁ〜。ベートーヴェンでしょ。なら、もっと、強めでお願いしたいなあ。って思ってしまう。連続して音が鳴って、畳みかけてくるところ がなく盛り上げに欠けてしまう。いたっておとなしい。
少なくとも、「どどらふぁ ふぁふぁどら」 というフレーズは、強めでお願いします。と言いたいかなぁ。
「ら〜そふぁ み〜れ み〜ふぁそ ら〜そ ら〜そふぁ み〜れ どしれみふぁ〜」
という前のフレーズが、ちょっぴり弱いため、盛り上がりに欠けてしまう嫌いがあり、人を惹きつけるような魅力に乏しい。ゴツゴツのコワモテな演奏は、どうも苦手という方には良いかも。

2楽章
「れっれれぇ〜 しぃ〜 らしど どれ〜 み どし らぁ〜」
「れっれれ〜 どし どれ み どっ し〜」
弱々しく引きずってしまうタイプのようで、なんだか煮え切らない面が垣間見られてしまった。
瞑想的と言えば、確かに瞑想的ではあるが、素朴で几帳面でもある。
かといって、右手タッチの柔らかく、煌めきも感じさせる面もあって〜 これが、アシュケナージさんの人柄なのか、優しいのだが ・・・。1楽章との落差がさほど無いため、さほど抒情的には感じられない。

3楽章
続く、この楽章では、さらに優しくなっちゃってて〜 快活さが影を潜めている。
1回目の「らら〜ふぁ みられ ふぁ らら〜ふぁ みられ〜」 
「そそ〜み ふぁれどみ そそ〜み ふぁれどみ ふぁれどみ ふぁれどみ・・・ らららら らららら・・・」
ようやく2回目の「「らら〜ふぁ みられ ふぁ らら〜ふぁ みられ〜」では、ちょっぴり強めになってて、可愛いフレーズが、 可愛らしく微笑んでくれるようになるのだが〜 
アンタ、ちょっと遅いかも・・・。もっと、もっと、微笑んでくれ〜
最後に至るまでには、ところどころ、左手の音が、右手より強いと感じてしまうようになってて、う〜ん。
なかなかに、「らら〜ふぁ みられ〜」というフレーズは、何度も出てくるので、その回毎に変化をつけていくのが、難しいようだ。
ごっつい(いや、決して強くて逞しいごつさ ではないのだが〜)右手に比べて左手のタッチが、単に強く、棒のように叩きつけているように感じられて。う〜ん。これもなあ。ちょっと興ざめてしまった。

最後の方の細かいフレーズになっているところは、確かに綺麗だし〜 
さすがにテンポアップして、ようやく、オチャメに跳ねてくれて〜乗ってこれるんだけど〜オクテなのである。
1楽章との違いがなあ。1楽章も、もう少し跳ねててくれたら、良かったのに・・・。ちょっと残念。
まっ 表情の豊かさ、陰影の深さというよりは、表情の細やかさ、多様性というよりは、一貫して、柔らかさ、優しさでくるまれた演奏のように思う。

アルフレッド・ブレンデル 1993年
Alfred Brendel



録音状態は良い。ガツンとしたガツガツ、ガシガシに肩をいからせて演奏しているタイプではなく、庶民的と言ったら語弊があるが〜
柔らかく、リリックで、とってもチャーミングな演奏である。可愛い。
ブレンデルさんのピアノソナタ全集10枚組BOX(1992年〜96年)

冒頭こそ、テンポアップして走っていくのだが、ふわ〜っと広がって、伸びていく要素も多く含んでいる。
「ふぁふぁふぁふぁ ふぁふぁふぁふぁ・・・ そそそそ そそそそ・・・」
このフレーズは、快速だし、転がっていくのだが、
「どどれれみ どれみ みふぁそ ら ししし し〜」 「ら〜そふぁ み〜れ みふぁそ ら〜そ」  というところでは、一気にテンポを遅めにしてロマンティックに奏でている。
わりと詩的な感じで、へえ〜 結構ロマンティストじゃん。と思ってしまった。
でも、「ん〜タタタ ん〜タタタ ん〜タタタ」 「どど らふぁ ふぁどら どど らふぁ ふぁふぁどらっ。」というフレーズは、なんだか乱暴な感じがするぐらいなんだけどなあ。
跳躍感とか、快速な爽快感というより、怒ってるの?って感じもするし。ある時には、低音が濁るぐらいにごろごろ〜っとした響きに聞こえてしまう。
まっ 音が、タタタタ タタタタ タタタタ・・・と、走っていくなかで、右手の可愛らしさも出ているし、詩的な面も垣間見られるんだけど〜  このブレンデルさんの右手の煌めき度は高いし、安心して聴いてられるんですけど。低音のごろごろ感は、さほど強烈ではないものの、怒っているような怖さも持っている。
全体的には、怒って、弾き飛ばしているかのような感じも否めないし。う〜ん。よくワカンナイですね。
両面持ち合わせタイプかしらん。改めて聞き直すと、難しい楽曲だなあ〜って思います。

2楽章
特に、この楽章は、暗くて沈み込んだ楽章だが、う〜ん。ブレンデル盤は、落ち込みながらもソフト。
「れっれれ〜 し〜 らしど どれ〜 み どし らっ」
「れっれれ〜 どし どれ み どっ し〜」
結構、フレーズ崩し型なんだけど、むやみやたらとは落ち込んでなくて、柔らかく、瞑想的で、ふわーっと昇ってくるような、音の軽さを持っている。
「どっど そ〜 どっど し〜 そっそ み〜  そっそ そぉ〜」
タメてはいるけど、音の持ち方は柔らかく、柔らかい反響板にモノを投げているようで、物憂げなくせに、和音は優しく、どこか抒情的である。
で、その雰囲気を持ちながら、第3楽章に引き継がれていく。

3楽章
前楽章から続けて流れていくのだが、
「らら〜ふぁ みられ ふぁ らら〜ふぁ みられ〜」 
「そそ〜み ふぁれどみ そそ〜み ふぁれどみ ふぁれどみ ふぁれどみ・・・ らららら らららら・・・」
可愛いフレーズが、可愛く、ふんわりと鳴ってくる。
すごいソフトだな〜。 この音を聴くだけで、値打ちあるなあ〜って思ってしまった。
この柔らかい音と、転がる優美さ、テンポはゆったりしているが、開放感があって。イメージが、すごく膨らむのだ。繊細で優しいし、絶妙なニュアンスがあるというか・・・。

で、左手が強くなってきて、そのうちに、弾んだ左手にリズムが湧き起こり、力強くなってくる。
右手よりも、左手が力強く出ている。
「ふぁふぁふぁふぁ ふぁらし〜 みれみ〜 しししし ふぁふぁふぁふぁ らし〜・・・」
「ふぁふぁ〜 れれ〜し らみそ  そそ〜み どらそ み どらそ〜 み ど〜」  
この左手の力強さがあるから、最初の主題が柔らかく生きるんだな〜っと思いながら聴く。

でも、難しい楽曲で〜 力強い左手の音が主となって演奏されている。分散和音の力強さと、右手の煌めく音の調和が、う〜ん。すげっ。
最後は、速いパッセージを爽快に、瞑想的な感じも与えながら、ロマンティックに演奏してて〜
主題の可愛らしさに心奪われちゃう。
グルダ盤は、躍動感があり、快速・爽快感が楽しいが、ブレンデルさんの、ちょっぴりロマンティックな、詩的な演奏も、もちろん大好きである。
何度聴いても、このワルトシュタインは、楽しくて可愛いらしい。ホント、可愛いのだ。

アナリーゼできたら楽しいだろうな〜っと思いながらも、音楽は頭で聴くモンというのが、ワタシに出来ない悲しさっ。うぐぐっ。
難しい楽曲なんだけど、難しいことは置いておいて〜 とにかく聴く楽しさがあり、親しみやすく聴ける。
ワタシ的には、2楽章〜3楽章に入ってくるところが、ブレンデル盤の特に好きなところである。
ガチガチに肩をいからせたタイプではなく、庶民的と言ったら語弊があるかもしれないが、可愛く親しみやすいところが、このブレンデル盤の良さだとワタシ的には思っている。
1965年 クラウディオ・アラウ Ph ★★★
1967年 フリードリヒ・グルダ Amadeo ★★★★★
1981年 バレンボイム ★★★
1980年〜1年 ブッフビンダー Teldec ★★
1988年 アシュケナージ Dec ★★★
1993年 アルフレッド・ブレンデル Ph ★★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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