ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第22番 Beethoven: Piano Sonata No.22

 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第22番
Beethoven: Piano Sonata No.22
スティーヴン・コヴァセヴィッチ 1999年
Stephen Kovacevich

この22番は、とても短く約12分の楽曲で、2つの楽章で終わる。Wikipedia(ウィキペディア)を元に記述すると、ピアノソナタ第22番 ヘ長調(作品54)は、1804年に作曲されており、交響曲第3番「英雄」が完成している。
で、弦楽四重奏曲7~9番がすぐあとに作曲されたり、ピアノ協奏曲第4番が作曲されるなど、中期の創作シーズン到来の時期なのだ。
ソナタでありながらソナタ形式の楽章を持たないというスタイルで、21番「ヴァルトシュタイン」、第23番「熱情」の間にあり、イマイチぱっとしない存在だ。ワタシも初めて聴いたように思う。骨休め的な、習作作品かもしれないが、自由な雰囲気があり、柔らかい雰囲気を持っているが、新しい試みをしているのかもしれない。

第1楽章 3/4拍子 ヘ長調
ロンド形式に近い形式で、メヌエットのゆな主題が優しく奏でられ繰り返される。「れふぁそぉ~ れふぁそぉ~ れそしぃ~ らふぁそぉ」気持ち良く聴いていると、突然、3連符のオクターヴ連打による副主題が現れる。カノンのようなフレーズになると、階段ののぼりくだりが始まる感じ。1小節先行する左手を右手が追いかける。いきなりピアノのお稽古が始まるのだ。リズムも、ヘミオラを駆使して、明確な3拍子の第1主題とは好対照をなす。

第2楽章 2/4拍子 ヘ長調
パラパラ~した飾りのある音が続き、左手の低い音、タターンと響くうえを、無表情で駆け足で歩いていく。無骨で、かわいげのない練習曲のようにも聞こえる。低音から湧き上がるようなモチーフが提示され、「痙攣」と表現する方もおられたようだが、無窮動的に動き回り、上昇モチーフと下降モチーフが、最後まで展開される。「タ タータタタぁ~」と繰り返されると、まるで警告音のようでもあり、無窮動のよう。

コヴァセヴィッチ盤は、最初こそ優しいが、そのうち、回転度数があがると、じわーっと熱くなっていく。柔らかい音質ではあるが、リズミカルで、自分で熱していくパワーが感じられる。2楽章の最後のほうには、なぜか、チャーミングな雰囲気がしてくる。
不思議なことだが、左手の響きが、ふわーっと気体のように立ち上って、そのなかで、細かなアクセントのついた音が、地面が揺れるかのように演奏されている。息をつく暇を与えないような音が緻密に詰まった楽曲なので、表情の起伏が少なく、単調な調べだと思いそうだが、いやいや、細かな波が、自然と押し寄せててくるパワーとなっている。なんだか、現代音楽に似た、ミニマムな雰囲気に近い、パルス的なものが生まれている気がする。
聴いてて、楽しい演奏だ。

カップリング:ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第23番「熱情」、第22番、第25番、第4番(全て1999年の録音)


ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第22番
1999年 コヴァセヴィッチ EMI ★★★★




YouTubeでの視聴

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第22番
Beethoven Piano Sonata No. 22 in F Major, Op. 54
スティーヴン・コヴァセヴィチ - トピック
Stephen Kovacevich - Topic
Provided to YouTube by Warner Classics
第1楽章 https://www.youtube.com/watch?v=vO6geb7f-44
第2楽章 https://www.youtube.com/watch?v=9DnNlzW0yR4


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