「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第26番「 告別」
Beethoven: Piano Sonata No.21 ''Les Adieux''


スティーヴン・コヴァセヴィッチ 2002年
Stephen Kovacevich



録音状態はまずまず。演奏としては、フレイレ盤を聴いてから聞いちゃったので、愛想のない可愛くないオンナだ。と思っちゃいました。せっかく再会したのになんだよぉ〜 間合いが詰まってて、ワタシ的にはシンドイ。
カップリングは下記のとおり。スティーヴン・コヴァセヴィチ
〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集〜 3枚組BOX

スティーヴン・コヴァセヴィチ 〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集〜 3枚組BOX
CD1
ピアノ・ソナタ第8番  「悲愴」 1997年
ピアノ・ソナタ第14番 「月光」 1999年
ピアノ・ソナタ第15番 「田園」 1998年
ピアノ・ソナタ第31番 1992年
CD2
ピアノ・ソナタ第21番 「ワルトシュタイン」 1992年
ピアノ・ソナタ第23番 「熱情」 1999年
ピアノ・ソナタ第32番 2003年
CD3
ピアノ・ソナタ第17番 「テンペスト」 1994年
ピアノ・ソナタ第26番 「告別」 2002年
ピアノ・ソナタ第29番 「ハンマークラヴィーア」 2001年

コヴァセヴィチさんのピアノは、軽やかではあるのだが、どっか弾き飛ばした感じがしちゃった。
フレイレ盤を聴いてから聞いちゃうと、なーんか、ハイ、さようなら〜 あっ、またお会いしましたね。
って感じで、あんまり情感が籠もってないんである。愛情のない弾き方だなあ。って、ちょっと不満である。

1楽章
「らぁ〜そぉ〜ふぁ〜 ふぁ〜らそ そ〜れど どぉれどれみ ふぁ〜 れどぉ」 
「らふぁ ふぁ〜れどぉ ど〜 ど〜 ふぁ〜どれしどら そぉ〜 ふぁ ふぁ〜」
あまり残響の残らないピアノで、ふわっとした抑揚が少なく、名残惜しそうな感じがしないんだよなあ。
「そらしっ しっ しっ し〜らぁ らそそそっふぁ ふぁ〜みふぁそらしど ら ど どぉ〜ら・・・」と、展開して、活発に変わっていくのだが、せっかちっていうか、間合いが詰まっている。
なーんか、やっぱ素っ気ないじゃん。柔らかい音ではなく、ちょっぴり直線的かなあ。
「らど どぉ〜 どぉ〜ら そみどし しし しぃ〜 し〜らそみどし」と、跳躍してくところの打音がキツイなあ。って感じてしまったのだ。
ふんわりした感覚ではなく、手が右手に直線的に移動して、ガツンって感じで打ち込まれてしまう感じがして、とっても強い。げぼっ。と噴き出してしまう。アンタ、怒ってるのぉ?
で、ペダルが重いのか、下の音が濁って聞こえる感じだ。
う〜ん。フレイレ盤を聴いちゃった後だと、キツイオンナだなあ。って感じちゃって〜 
アハハ。そうそう、オンナじゃなかったんだ。ベートーヴェンがルドルフ大公に宛てた感情だっけ?
勢いはあるのだが、情感が籠もっておらず、キレキレになっちゃうような感じがしちゃいましたね。

2楽章
「らぁ〜そし〜 らぁ〜そし〜 し〜ふぁふぁ〜み らら そ〜しし どぉ〜 れどしどぉ〜」
ちょっぴりクールな感じで、素っ気ない感がする。
木訥としてはいないのだが、低音の響きが厚みがあり、旋律のまどろっこしさのなかに、冷たいクールさが潜んでいる感じがする。
恨めしいって感じまでにはいかないが、えーっ。とふくれっ面して、むくれているような感じで、ちーっとも可愛らしくない。それにしても、なーんで、こんな重い音が入ってくるだろ。
で、「れぇ〜どみ れぇ〜どみ れ〜どふぁ〜 ふぁみそ〜」と、沈んでいたと思ったら、突然、ばんっ!と跳ねるんである。跳ねるというより、爆ぜるって感じだろうか。そっから3楽章だ。

3楽章
この人の再会の喜びは、直線的な表現である。
嬉々として走っていくのは良いが、高音域の響きもまずまずなんだけど、粒立ちの軽やかさ、まろやかさではなく、音が細かく走った後に、間髪入れずに、バンっと冷たく叩かれるんである。
こりゃ やりきれんわ。
再会した途端、頬を叩かれた気分で、こんなキツイオンナ、ワタシだと逃げたくなっちゃう〜
アルペジオの響きも、なーんか濁った感じがしちゃうんですけどねえ。跳ねている感じはするし、トリル付きの跳ねる音は良いけれど、やっぱクールだなあ。
高音域に駆け上がって、ポロポロポロっと響く高い音より、低音の音が気になっちゃって、低音の打音が強いっすね。バランスがなあ。
それに、ここは、せっかくの再会なのだから、可愛く振る舞ってよぉ〜 速いテンポの弾き方には異論はないんだけど、冷たいっ。直線的で怖いっす。ワタシ的には、間合いが詰まってて息苦しいデス。ジャン ジャン ジャンっ。って結構紋切り調だし、なんて感情が硬いんだろ。色気なし。
この演奏家、コヴァセヴィチさんて、もうお爺ちゃんなのかな? 1940年生まれなので、2002年だと、60歳そこそこなんだよねえ。う〜ん。もう少し練れてても良かったかなあ。ってワタシ的には思っちゃいました。

ネルソン・フレイレ 2006年
Nelson Freire

 

録音状態は良い。2006年のわりには、ヌケが綺麗ではないのだが、人肌の暖かさ、情感の柔らかさがあって、耳を傾けたくなるような雰囲気を持っている。
カップリング:ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第21番ヴァルトシュタイン、26番告別、31番、14番月光

1楽章
「らぁ〜そぉ〜ふぁ〜  ふぁ〜しら ら〜れどっ どぉれどれみ ふぁ〜 れど〜」 
「らふぁ ふぁ〜そ れどぉ ど〜 ど〜 ふぁ〜 そどれしどら そぉ〜 ふぁぁ〜」
フレイレさんのピアノは、優しい音質で、ふわっとしていながら、サヨウナラと言っている。
結構女性的で、名残惜しそうな雰囲気が、さらっとしつつも、うっすら涙を浮かべているような感じだ。

「らどぉ どぉ〜 どぉ〜ら そみどし し し しぃ〜 し〜ら ふぁそれふぁみ〜」
細やかなフレーズだなぁ〜って思う。繊細なのだが、繊細すぎず。
人肌の暖かさを感じさせる音の質で、特に、どぉ どぉ どぉ〜っと飛ぶ最後の高い音の1音が、とっても楚々としてて品が良くて綺麗なんである。
総体的に、歌っている感じがして、とても柔らかくて暖かい。
ガッチガッチのベートーヴェンの楽曲ではなくって、情感がふんわりと漂っていて、なーんか、聴いているうちに、ほっこり感が出てきて、嬉しくなってくる。
ほんのりとした香りもあって、かなり女性的な演奏だが、何が伝えたいのか、よく解るような気がする。
よく解るって言うと誤解されちゃうかもしれないが〜 少なくとも、何が言いたいの?っと優しく耳を傾けたくなるような〜 語ってくれるのを、自然に待つ感じで、ピアノの音を聴きたくなるような感じになっちゃう。
で、うんうん。と頷きたくなるような・・・。そんな演奏に思える。

2楽章
「らぁ〜そし〜 らぁ〜そし〜 しふぁふぁ〜み らら そ」
フレイレさんの演奏って、最初から、なーんか惹きつけられちゃいますね。
ペラペラ喋るってタイプじゃーないので、語り口の巧い人だなぁ〜っていうタイプじゃないのだが、なんか、最初っから、雰囲気で引きこんじゃうタイプだ。
「そぉ〜ふぁらぁ〜 そぉ〜ふぁらぁ〜 られれれぇ〜ど どそそ そ らら ふぁぁ〜」
間合いなのかなあ。音と音の間の、行間が充分に取られて、そこで、聴き手が、ふんわりと乗せられて、耳を傾けたくなってしまうんだと思う。こりゃ〜音と音の間合い、呼吸になるんだろうか。間合いの巧い人っているのかもしれないですねえ。

3楽章
2楽章に続いて3楽章が続くが、音の細やかさ、スピードアップしていくところも凄い。
間合いが、自由自在に動いてて伸び縮みしてて、音も多彩だし、細やかな音が、ほのかにカーテンの後ろから響いていくような感じだ。
音の1つ1つは、細やかな動きなのだが、底辺には大きな波が感じられて、タラン タランっと流れていく。
弾んだ感覚がホント軽やかで、ウキウキしてくるのを抑えているものの抑えきれないような喜びに変わっていくようで、オンナ心を、ホント良く知ってますねぇ。と笑いたくなってくる感じ。
まあ、ベートーヴェンだから女性の気持ちではないのでしょうけど・・・。

総体的に、音に柔軟さがあって、ピアノの持つ余韻と空気感に飲まれてしまいます。
で、ストーリーテラーのような要素を感じるし、とっても不思議な告別だ。
聴いているうちに、なんだか情景が目に浮かぶような演奏で〜
アンタ、勝手にイメージを膨らませているだけじゃーないのって言われそうだが、ワタシ的には、自分の脳からアルファ波が出てくるような気分に〜
フレイレ盤を聴くと、そんな感じになっちゃうんですよね。(笑)
なんだか聞かされているって感じから、ひと皮剥けて脱皮したようなベートーヴェンで、ワタシ的には嬉しい「告別」なんであります。

で、ネルソン・フレイレさん、アルゲリッチ姉さんとのデュオ演奏のCDが出ているのは知っていたのだが、なんでも20年ぶりという〜ホント久々に CDが出たらしい。デッカに移籍されて良かったね。
このCD、唐突な感じで後期の31番がカップリングされているのだが、また新しい盤を出してくださるかしらん?かなり楽しみにしている。
2002年 スティーヴン・コヴァセヴィッチ EMI ★★
2006年 ネルソン・フレイレ Dec ★★★★★
所有盤を整理中です。

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