「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ショパン チェロ・ソナタ
Chopin: Cello Sonata


ショパンのチェロ・ソナタ(ト短調 作品65)は、1846年に作曲されています。
あまり馴染みがないので、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら
ショパンは、ピアノとチェロのための作品が3曲あり、そのうち、2曲は青年期に書かれたものだそうですが、このチェロ・ソナタは、彼の親友でチェリストであったオーギュスト・フランショーム(フランコーム)の存在が大きいとのこと。フランショームさんは、ショパンを支え続けてきた人物だったそうで、友情に報い、彼との共演を想定して作曲されたものなのだそうです。

第1楽章 ト短調 ソナタ形式
下降音型を特徴とする第1主題、瞑想的な第2主題からなっており、高度な和声法・転調・対位法・展開技法などが駆使されています。冒頭から、ピアノの主題−カデンツァが流れ、チェロが野太い主題でそれに答えるもの。再現部では、第1主題が再現されずに第2主題が再現されます。これは、ピアノソナタ(第2番・第3番)と共通したもので、転調は、ト短調に止まらず、変ロ長短調、変ニ長調など、ピアニズムにも配慮したものとなっています。コーダはチェロの凱歌となっています。

第2楽章 ニ短調 スケルツォ形式
スケルツォでは、拍節感が明快な主題が奏され、転調を繰り返して豊かな色彩を帯びたものとなっています。
中間部では、ニ長調に転じ、チェロが、レガートで歌う主題がスケルツォ部の主題と対比され美しいもので、ピアノ伴奏(右手声部)では、広い音形が用いられています。

第3楽章 変ロ長調 緩徐楽章
アルフレッド・コルトーは、この楽章をピアノ独奏用に編曲しているそうです。

第4楽章 ト短調 ロンド形式を組み込んだソナタ形式
第1主題は、スケッチのみ残されている未完のオクターヴのカノンの半音階的な主題が使われており、この主題が、チェロとピアノによって対位法的に絡み合いながら進行するもの。第2主題は、全音階的な重音奏法が用いられ、2つの主題が対比されることによって、曲は展開を繰り広げた後、最後はコデッタ主題により結ばれるものです。
ショパンと言えば、ピアノですが〜 なんと、チェロ・ソナタがあったんです。

ポール・トルトゥリエ チッコリーニ 1967年
Paul Tortelier
Aldo Ciccolin

はぁ?

録音状態は良い。確かに60年代後半なので、古めかしいのだが〜
もろ楷書体の演奏である。これだけ無駄を削ぎ落としていながら、カクシャクとしながらも、甘く歌われちゃうと驚いてしまう。
←2枚組BOX カップリングは、下記のとおり。
1〜4 ショパン チェロ・ソナタ ピアノ:チッコリーニ(1967年)
5〜8 ラフマニノフ チェロ・ソナタ ピアノ:チッコリーニ(1968年)
9〜11 フォーレ チェロ・ソナタ第2番 ピアノ:エリック・ハイドシェック(1968年)
1〜3 メンデルスゾーン チェロ・ソナタ第1番 ピアノ:マリア・ド・ラ・パオ(1978年)
4〜7 メンデルスゾーン チェロ・ソナタ第2番 ピアノ:マリア・ド・ラ・パオ(1978年)
8〜10 フォーレ チェロ・ソナタ第1番 ピアノ:エリック・ハイドシェック(1974年)

ポール・トルトゥリエ(Paul Tortelier)さんは、1914年生まれのフランスのチェリストである。
今は、息子さんのヤン・パスカル・トルトゥリエさんが、指揮者として活躍されている。
で、一応、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、チェロ演奏では卓越した技巧、芯の太い音色の上に、真摯で深い精神性を湛えた表現で名高い。とのこと。

で、ショパンのチェロ・ソナタは、冒頭、ピアノから登場する。
「み〜れど らそら ふぁみぃ そふぁみぃ みみふぁ〜そぉら〜れし〜どしぃ〜(パラパラ〜)」
カッチリしたピアノのフレーズで、また、チェロが「しぃ〜どしぃ〜」と、ちょっと厳めしいフレーズで、ガッシリ!受け止めている。
チェロもピアノも、いかにも楷書体のフレーズで、甘いも酸いも噛み分けた・・・という感じがする。
カッチリとした動じない無骨さのある演奏で、まあ〜渋い。

ちょと硬めの太い声で、渋みのある音質で、これが、なんというか〜 均整のとれた彫像のように感じられる。
まるで、大理石造りの美術館で、大理石で造られた、白い八頭身の彫像を観ているような雰囲気が漂う。
ミケランジェロのダビデ像というか・・・ 
ベルリーニのような官能美のある女性モノではなくって〜 もちろん、筋肉質な男性の彫像である。
なんでしょ、親しみやすさというよりも、格調が高くて、ちょっぴり近づきがたいというか、立派というか、堂々としているというか、さすがに60年代の律儀な渋さというか。え〜っ ショパンって、こんな硬めだっけ。

以前、ショパンのピアノ協奏曲をマガロフ盤で聴いたときも、同じようなイメージを抱いたような気がする。
それに似ているというか。キッパリとした口調で、歌っているのである。
これが60年代の良さというか、こうでなきゃ〜ならなかったのだろうか。世情を反映しているのだろうか。
今のように、軟弱ではないというか(ちょっと偏見かしらん)、背筋をピンっと伸ばして、かくしゃくとした年輪を刻んだおじいちゃんが、う〜んっと、弓を大きく構えて、ショパンを弾いているという感じで、呆気にとられてしまった。

ウィキに、芯の太い音色の上に〜って、トルトゥリエさんのチェロのご紹介が書いてあったが、う〜ん 確かに。
ホント、理性を保ちながら、立派に甘い歌を歌っており、パパパ パパパ パパパ・・・と、早口で、キッチリとした口調で弾かれているチッコリーニさんのピアノと一緒に、カッチリと歌いあげている。

まず、音が揺れない。あまりヴィヴラートのかかった音ではない。
スーッと弾かれてて、変にアコーギクは使われてないし、表情づけは濃くない。淡々としながら、フレージングは、しみじみとしてて、まるで野武士のようでもあり、でも、きっちり歌われているのだ。
また、弱音が美しく、音がずーっと続き、ホントに自然に音が減衰していく。はあ〜 う〜ん、すごっ。
録音状態は、60年代だもん、満足な状態ではなかっただろう〜時代だ。
もちろん、デジタルじゃないんだし、ほとんど、一発取りなんでしょうしねえ。恐れ入りました。たまには、古い録音の演奏も聴いてみるもんです。端麗辛口系の潔さ、無駄な贅肉を削ぎ落としたような旋律美で、30年ものの、蔵出ししたモルトウィスキーのような雰囲気がします。
  ロストロポーヴィチ アルゲリッチ 1980年
Mstislav Rostropovich  Martha Argerich

ばっちグー!

録音状態は良い。大人の演奏って感じで、ロストロさんのチェロが、アルゲリッチさんのピアノをガシっと受け止めている感じだ。
カップリング:
1〜4 ショパン チェロ・ソナタ
5 ショパン 序奏と華麗なるポロネーズ
6 シューマン アダージョとアレグロ
1楽章
ショパンと言えば、ピアノでしょう〜って感じなのですが、思いがけなく〜チェロ・ソナタがあるのです。
へぇ〜 ですよね。
で、聴けば、やっぱり甘いっ。さすがショパン。ピアノのフレーズも、チェロのフレーズも、甘く、せつなく〜という、まるで絵に描いたような楽曲だ。ショパンのピアノが大好きな方にも、このチェロソナタは、お薦めである。
まず冒頭はピアノから始まる。
「み〜れど らそら ふぁみぃ ふぁみぃ みみふぁ〜 そぉら〜 れし〜 どしぃ〜(パラパラ〜)」
続いてチェロが、ちょっと唸るように、「しぃ〜どしぃ〜」とため息交じりに奏でたあと、
堰を切ったように「みぃれどぉ らそら ふぁみぃ〜 そふぁみ〜 みみ ふぁ〜そら みみぃ〜ふぁれ らみふぁ〜れ ふぁふぁそれ〜」と、甘く囁くように入ってくる。

なかなかに魅力的で、すぐに好きになっちゃうのではないだろうか。さすがに、ピアノの煌めきは、とっても素敵だ。
そして、ピアノは、チェロの伴奏に徹しているわけではなく、対等に描かれているようで、ふわっと、夢を見ているかのような曲線の膨らみがあり、互いに絡みつくように流れていく。
で、ふと、ロストロポーヴィチさんのチェロというより、マイスキーさんのチェロだと間違えそうになってしまった。

アルゲリッチさんとマイスキーさんの組み合わせで、この楽曲は演奏されていないのだろうかと調べたら、アハハ〜 ありました。2000年京都コンサートホールでのライブ盤で、ショパン、ドビュッシー、フランク 3曲のチェロ・ソナタである。
(やっぱりねえ〜 って、ワタシは、このライブ盤は、所有していないのだが・・・)
で、ロストロさんと一緒の、ここでの、アルゲリッチさんのピアノは、やや、おとなしめ。
さほど、苛烈に燃えあがっていないし、勝手に走り出してもおらず、巨匠の渋いチェロに合わせているように思える。
(といっても、かかっ〜っと、一瞬燃えあがるかのようには鳴ってますけどね。)

2楽章
すごく速いパッセージで、チェロもピアノも、自由に走り回って行く。
ここでのロストロポーヴィチさんも、結構、燃えているのではないだろうか。ガシっとした、太めのぐぐっとパワーのあるところもあるし、火花の散っているところもあり〜 チェロが歌うと、ピアノは伴奏に受けるが、ん 調性が変わるのかな。
まあ、しかし、大人なのだ。アルゲリッチ姉さんの奔放さを、ガシッと受け止めて、主導権はやっぱり握っているという感じがする。歌をたんまり〜、アコギに、歌うタイプのチェロではないけれど、スピードの速さには、さっすが〜 格好いい。

3楽章
沈んだ3分41秒の楽章だが、まず、チェロが歌を歌っているのだが、するっと、ピアノが入れ替わって歌う。
とてもシンプルなのだが、チェロのフレーズが、なかなかに難しい。
また、単純にピアノが伴奏にまわっているわけではないようだ。消え行くように終わる。

4楽章
ちょっとわかりづらい楽章で、主題がチェロとピアノで、わけあっているような〜
ピアノが弾むようなフレーズを奏で、続いて、チェロが弾むように弾いているのだが、追いかけっこしているようなフレーズが出てきたり、カノンのような感じだと思っていたら、ん?
なんだか、ちょっと複雑なハモりぐあいで、チェロが重音で和音を奏でているかと思ったら、ピアノは奔放に振る舞い、弾んで行ってしまう。えっ、どっちが主役?あーっ わかんなくなっちゃった。
チェロは、柔らかい歌うようなフレージングなのだが、リズミカルで弾むピアノに翻弄されそう〜
やっぱ、双方共に、ラストに向けて、火がつきそうになっていながら、なんとか収まりました。って感じだろうか。
この楽章は、やっぱ難しいのだが、軽快でガッツもあって、スピーディで、スリリングだ。
燃える寸前って、いや燃えてるんだけど、表面的に、エキサイティングしないところが〜 大人だなあ〜っと、微妙に感じられる。
いや〜 ピアノソナタより、ずーっと素敵な楽曲だと・・・ ワタシは思っちゃいました。
数枚CDを所有しているので、また、聴きたいと思います。

  チェロ:トゥルルス・モルク ピアノ:キャスリン・ストット 2006年 
Truls Mørk  Kathryn Stott

こりゃ良いわ〜拍手

録音状態は良い。とびっきりの美音で綴られ、うっとり〜
カップリングは、次のとおり。
1  ショパン 夜想曲 ホ短調 作品72-1
2  ショパン 前奏曲 ロ短調 作品28-6
3〜6 ショパン チェロ・ソナタ ト短調 作品65
7  ショパン 前奏曲 ホ短調 作品28-4
8  ショパン ワルツ イ短調 作品34-2
9  ショパン 夜想曲 嬰ハ短調(遺作)
10 ショパン 序奏と華麗なるポロネーズ 作品3
11 ショパン 夜想曲 変ホ長調 作品55-2
12 ショパン 練習曲 嬰ハ短調 作品25-7
13 ショパン 練習曲 変ホ短調 作品10-6

1楽章
モルクさんのチェロって、スッキリして端正なのだが、とても美しく旋律を歌っていく。
つぶれた嗄れた声ではなく、ホント無駄のないスッキリとした音で、甘く歌われたものなら、完全にノックアウトである。
絵に描いたような音って感じで、(って、どんな音なのだ・・・)濁らない。
「み〜れど らそら ふぁみぃ ふぁみぃ みみふぁ〜 そぉら〜 れし〜 どしぃ〜(パラパラ〜)」
続いてチェロが、ちょっと唸るように、「しぃ〜 どしぃ〜」と、入ってくるのだが、ふっと力を抜いて、主題に入っていく。
「みぃれどぉ らそら ふぁみぃ〜 そふぁみ〜 みみ ふぁ〜そら みみぃ〜ふぁれ らみふぁ〜れ ふぁふぁそれ〜」
出だしの強い引きがあるわけでも、畳みかけてくる落ち着けがましいパワーがあるわけでもない。
うぐぐ〜っとタメた感は、少なめだ。

でも、旋律の間というか、出だしに、すっと、ふっと、呼吸している感がすごいのだ。はやる気持ちを抑えて、瞬間に、息を吸い込んでという感じがする。
で、シツコイ、どろっとした濃厚さ、切迫感、せっついた感じがしないので、ある意味呼吸を整えて聴くことができる。
もちろん、均質的ではなく、速いところは、超快速ではあるが、余分な、よいしょっ・・・という感覚はない。
ピアノは、熱いのだが、邪魔にならない程度に抑えてあり、しっかり一緒に歌う。
パワフルに、ぐっと、引き込まれるような魔力みたいなものは感じないが、弱音部分の美しさもあり、緊張感が途切れず、すーっと音がのび、いっきに深みに連れて行かれる感じがする。
一緒になって歌うというよりも、呼吸している感じに近いかもしれない。ホント、美音である。

2楽章〜4楽章
チェロって、こんな美音だっけ〜と思うような、ホント、八頭身に近い音がしており、まろやかでコクがある。
弓にガシっと当たって、擦れたという感じがしないのだ。摩擦感ってないんですねえ〜 このモルクさんの弓の弾きは。
えーっ ウソと思うなら、一度聴いて欲しいんだけど・・・。
いや〜ホントに、どんだっけ、しなやかに腕が泳いでいるんだろう。かといって、音はぶれない、揺れてないしなあ。
信じられないんですけどね。
弦のしなりもあるんですけど、しなって、もちろん、ビヨン ビヨンっとは鳴らないし。ヴィヴラートも、かけ過ぎてはおられないんだけど、歌っているし〜 音は、直線的でもなく、強く弾くところも弱音も同じ格好で音が出てくるようだし。
う〜ん、なんだか、怖ろしく整った、美の塊のようなギリシャ彫刻を見ているかのような気分になるというか、造形的な音である。気がついたら、ショパンの曲を聴いているというよりも、モルクさんのチェロの音を、しっかりと聞きたい〜と思うようになっていた。

ショパンのチェロの曲と言えば、序奏と華麗なるポロネーズ(作品3)、ピアノ三重奏曲(作品8)、チェロ・ソナタ(作品65)、マイアベーアの歌劇「悪魔ロベール」の主題による大二重奏曲という楽曲がある。
その4曲のうち、2曲がこのCDで聴けるわけ。
まあ、何を隠そう、ショパン=ピアノ というイメージが確立されており、チェロの楽曲があることすら、最近まで知らなかったので、えらそうなことは言えないが、聴けば、とろけちゃうこと間違いなしである。
どんな硬派の方の演奏であろうと、蜜月の時間を過ごせそうなぐらいだが、モルク盤は、かなり上質だ。ほのかに甘く香る品のある甘さだと思う。しっかり、ピアノと一緒に歌われており、どちらが主、どちらが従というわけでも、巨匠2人のがっぷり相撲でもなく。火のついたような丁々発止の演奏ではない。
ハイ、しっかりと芳醇な、艶のある演奏だと〜 これは美しいっ。
まさしく鳥肌モノの美音だと、間違いなく言えちゃいます。 
1967年 P・トルトゥリエ チッコリーニ EMI ★★★★
1980年 ロストロポーヴィチ アルゲリッチ ★★★★
1992年 ヨーヨー・マ エマニュエル・アックス SC  
2006年 モルク カスラン・ストット Virgin classics ★★★★★ 
2006年 アレキサンドル・クニャーゼフ ルガンスキー Warner  
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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