「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

フランク ヴァイオリン・ソナタ イ長調
Franck: Violin Sonata


フランクのヴァイオリン・ソナタは、1886年に作曲されています。フランクは、1822年生まれなので、64歳頃の作品になります。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、
フランス系のヴァイオリンソナタの最高傑作といわれ、いくつかの動機を基にして、全曲を統一する循環形式で作曲されています。ピアノとヴァイオリンの音楽的内容が対等で、ピアノはヴァイオリンの伴奏ではなく、ヴァイオリンも単なる独奏楽器ではなく、ピアノとヴァイオリンの二重奏曲という感じの曲で、ベルギー人のヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイに結婚祝いとして作曲され献呈されたものです。

第1楽章 イ長調 8/9拍子 展開部のないソナタ形式
属九の和音による開始は、とても印象的で、第2主題は、もっぱらピアノのみによって奏されます。

第2楽章 ニ短調 4/4拍子 ソナタ形式
きわめて情熱的な楽章で、ピアノ、ヴァイオリン双方に高度な演奏技術を要するそうです。

第3楽章 2/2拍子 「幻想的な叙唱」と題された自由な形式による楽章
調性表記は無いのですが、転調を重ねて最後には嬰ヘ短調で終結するもの。

第4楽章 イ長調 2/2拍子
ヴァイオリンとピアノのカノン風の楽想による自由なロンドソナタ形式。最後を飾るにふさわしい輝かしいフィナーレです。

大人のラブロマンスのような楽曲かな〜って思うのワタシだけでしょうか。いやいや、この曲を好きな方は多いはず。
ヴァイオリンとピアノが、愛の語らいのように、穏やかに演奏されると、とても嬉しくなります。

チョン・キョン・ファ ルプー 1977年
Kyung-Wha Chung    Radu Lupu



録音は良いが、ちょっと音源が遠い。ボリュームをあげて聴きたい。とろけるような幻想的な楽章と、キリキリと追いつめてくる楽章があり、激しい。まるで恋の駆け引きのようで〜 これが結婚祝いなのか? うっそ〜っと苦笑いしてしまった。
カップリング:ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ

1楽章
フランクのヴァイオリン・ソナタは、大変美しい。柔らかなタッチで奏でられる。
チョン・キョン・ファン盤では、溜息のつくようなピアノの揺れるフレーズ 「どみ〜そど〜どそ〜そみ〜」
「みそみどら〜そどみ〜 みそみどら らどれ〜 ふぁれど〜ら ふぁれど〜ら ふぁどみれそふぁみ〜」
「らそふぁ〜れ らそふぁ〜れ らどれどみれど〜 れ〜 ふぁらそ そふぁれど〜しふぁそらど〜」
不可思議なまどろみフレーズが、連綿と続いていく。
この音の響きが、得も言われぬ、ふわ〜っとした独特の世界に誘ってくれる。

う〜ん。この音の飛び方が、個性的なんだなあ。
声が裏返っているっていうか、幻想的で、夢見心地のフレーズで、いつも聴くような和音では構成されていない。
「ふぁら〜ふぁれしら〜 ふぁら〜ふぁれしら〜」
「みそみどら そどみ〜 みそみどら そどれ〜」
「ししどらふぁれ ししどら そみれ ふぁどみれふぁみれ〜 み〜そどら らそみれど どらど〜」
シャープもフラットも、いっぱいついていそうな音がちりばめられている。
調性が不可思議な感覚を生む。使われているのは、属9の和音というのだそうだが、専門的なことは、どーもよく分からない。ただ、音が1オクターブ以上、ふわっ〜と飛んでいくらしい。
「たらっらら ららら〜」  キョン・ファさんのヴァイオリンは、単に柔らかいだけではなく、ひぃ〜という声をあげて飛んでいくような気がする。硬いってワケではないのだが、飛び方が放物線を描くというよりは、最短距離を〜という風にも聞こえる。
いや、タメはあるのだが、なだらかに余裕のある。というよりは、ちょっと、せっかち気味。
 
2楽章
一転して、激しいっ。熱情的にピアノが出てきて、擦れた太い声で、ヴァイオリンが鳴ってくる。
「そ〜ふぁふぁみ そ〜ふぁふぁみ〜 れ〜どどし れ〜どどし〜」
チョンさんのヴァイオリンで聴いていると、ねえ。どーして ねえ。どーして。と問いつめられているような気分になってしまう。まるで浮気が、ばれちゃった時の詰問状態に追い込まれる。
う〜 1楽章は、よかったのになあ。甘い切ない、まどろみ的ななかで、果敢にも、ふわ〜っと飛んで、女性を口説き落とし、いい気分でHをしてきたのに、2楽章では、女房に問いつめられて攻撃されているような気分だ。まるで、ぶちこわし。
いや、この楽章は、女房が、どうやら嫉妬で心乱れているようだ。キョンさんのヴァイオリンは、この嫉妬に狂った女の怖い一面が・・・ う〜ん。出ているような。。。うぐっ。

3楽章
重奏的に、れれ〜っ と震える声で攻められる。
1楽章の雰囲気が、少し戻ってくる。主題のカタチは、ちょっと変化しているもの雰囲気は、そーっくり。
あっ そうそう、フランクって言えば、循環形式だっけ。
とろみのあるフレーズが、いっぱい詰まっていて、2楽章とは別の浮気相手が登場してくるようだ。
妖艶とは純朴でもないなあ。もちろん純潔とも言い難いのだが、エロティックな相手である。
で、この楽章後半部分では、結婚を迫られた気分になっちまって。言い寄られている。

4楽章
ようやく、平和的で〜 家庭的な雰囲気に。ピアノとヴァイオリンが同じフレーズを追い駆けっこしている。
「どれ しらそふぁ〜 (ど〜れしらそふぁ〜)」
「れみふぁ〜 そらし〜 らそど〜 (れ〜みふぁ そらしらそど〜)」
「そど〜れ みれみど〜 そどふぁ〜みれど〜 し らそふぁ」
あ〜 ようやく元のサヤに収まったらしい。この楽章は、ことのほか美しいのだが、愛の語らいフレーズのようで、微笑ましい。まっ キョンさんのヴァイオリンも鋭さが影を潜めている。
っていうか、鋭い爪が隠れたらしい。元のサヤに収めてくれたというべきか。
女房が、単純に喜んでいるようで、なんとも。初ヤツよ。と言いたくなってしまうが、そう単純には終わらない。またあのフレーズがやってくる。よろめいてしまうんだよな。別の女に・・・。
んでゃー 女房は、怖い顔に変貌するし・・・。
いつまでも終わらない。

今まで、フランクのヴァイオリン・ソナタは、なーんとなく幻想的で、ふわ〜っとした音楽だな。と聴いてきたし、BGM的に流してしまうことが多かった。 しかし、チョン・キョン・ファとルプー盤で聴くと、恋のいざこざ、駆け引き風に聞こえくる。
ツヨイ女の意思と行動が、ヴァイオリンに表出しているようで、ちょっと怖い。
これじゃー チョン・キョン・ファさんが、2人の女を描き分けているのか、女の二面性を描いているのか、 どちらかのような気がする。
ただ〜 やっぱ2楽章において、攻撃的で、ヒスを起こしている女がイメージされ、また、他の曲を奏でている彼女のイメージもあって、どちらかと言うとエロティックな女より、シャープで力強く、そして怒っているかのような印象が強く残ってしまった。
まさか、フランクのヴァイオリン・ソナタで、恋のさや当てをイメージし、追いつめられるとは。意外っ。聴いててツライっ。

ジャン=ジャック・カントロフ、ジャック・ルヴィエ 1982年
Jean-Jacques Kantorowz   Jacques Rouvier

いかすぜっ

録音状態はまずまず。少しこもりがちだが、暖かい柔らかい雰囲気が、色彩豊かでありながら中庸であり、バランスがとれていて、大変美しく微笑ましく、幸福感が満ちている。
カップリング:ラヴェル ヴァイオリン・ソナタ

1楽章
フランクのヴァイオリン・ソナタは、柔らかなタッチで奏でられており、まろやかに響く。
カントロフ盤の録音は、少しクリアさには欠いているが、暖かみのある柔らかな響きを醸し出す。
でも、やっぱ〜 ピアノの音が、少しこもりがちで、もわ〜っとしている。少しボリュームをあげて聴きたい。
「そ どみ〜 そど〜 どそ〜 そみ〜」
「みそみどら どみ〜 みそみどそ そしれ〜 ふぁれど〜ら ふぁれど〜ら」
カントロフさんのヴァイオリンは、柔らかくソフトフォーカス的に響いている。ちょっと腰が無いような気もするが、雰囲気的には、イチバンまろやかなのではないだろうか。
カントロフさんのヴァイオリンは、低音の響きがアルトの太めの声で、安定しており、ひぃ〜っと悲鳴はあげない。ヴィオラ的な、チェロ的な響きって言えば良いだろうか。とても安心して聴ける。
ちょっと太めの喉から出てくる、安心感のある声なのだ。
そこには、派手さはないのだが、中庸的な美しさ。バランスの良さ、安定感。

金属的な、ひぃ〜っと悲鳴をあげるような声じゃーないので、このフランクのヴァイオリン・ソナタは、うってつけだと思う。
高音域のフレーズ 「らそ ふぁ〜れ らそ ふぁ〜れ らどれどみれど〜」「れ〜 ふぁらそ そふぁれ〜どしふぁ」
このフレーズなんかは、カントロフ盤でないと・・・。という感じがするし、ちょっと強めに、喉を詰めて、粘るように奏でられている場面でも、「そぉ〜どぉぉみ〜 どぉ〜みぃそ〜 そぉ〜しぃれ〜」と、擦れ気味に歌われていても、そこに、余計、哀愁を感じて、悲しみを柔らかく聞こえさえてくれる。

で、フランクのこの楽曲は、なんだか字余り的なフレーズに聞こえて、フレーズの切れ目がわかりづらい。
でも、これが良さでもあるし〜  ピアノも、ヴァイオリンも、タメも充分に取っていて、かなりロマンティック。
音が飛んで、不可思議な和音を形成しているのだが、カントロフ盤では、違和感がほとんど感じず、自然にす〜っと聞こえてくる。 「たらっらら ららら〜」 憂いの帯びた、ちょっぴり擦れ声でセンチなメロディーを奏でられると、いつまでも聴いていたい気分に。

2楽章
激しいうねりを感じさせる楽章で、そどみ そどみ〜と渦巻くなかに、ヴァイオリンが登場してくる。
「し〜どれ〜どれみれ〜みふぁ〜 れ〜みふぁみ そふぁ〜らし」
太めの声で泣きが入ってきて、うっ〜 大声で泣きたいのを我慢しているが、それでも、こらえきれずに、泣いているような男泣き風。かなり激しく、慟哭気味に聞こえて、うっ。
キョン・ファ盤だと、詰問してくるような怖い女性の声に聞こえてくるのだが、カントロフ盤は、まさに男泣き風。う〜ん。不思議なんだけどね。まあ。もっとも勝手なイメージだが・・・。
スピードのある力強い太めの声で、「・・・しみどし し〜どどし れ〜どみそ れ〜みふぁ ふぁそし〜」
と飛んでいくところ、そして、「そし〜そ そふぁみそし〜そ そふぁみそしそしそ〜れ〜」と、女性的なフレーズに変わるところ。これが、素早く、性格を変えるぐらいの変わり身で、これは凄いっ。
まるで、両性具有的っ。(笑)

3楽章
「みしれ〜ど れふぁ〜み みそ〜ふぁ」 深いピアノのため息のようなフレーズに誘われて、ヴァイオリンが、「みぃみ〜 ふぁ〜ら ふぁしど〜らみ〜れどしどど〜れみみ〜」と、震える声で呼応する。
1楽章の主題が、形を変えて戻るのだが、悲しみをこらえて「られふぁ〜 れ〜 ふぁみれ〜」
「ふぁら〜し しれ〜ど しぃし〜ふぁどしど そふぁらららら〜そらし」
ここのフレーズでは、カントロフさんの優しさが悲しみに変わり、すすり泣いているようだ。
ふぁふぁ〜とした、幻想的で、跳躍的なフレーズが続き、聴きどころとなっている。 ピアノとヴァイオリンが絡んだ夢幻的な世界で、フランクの特徴が出ている。 「れ〜それら〜 れ〜それふぁ〜 ふぁ〜そふぁ どふぁ〜」
この楽章は、カントロフ盤の白眉ではないかと思う。
ところどころ、1楽章のフレーズが絡み合って、官能的でもあり、無限大に解き放たれた感覚に陥る。

4楽章
「どれ しらそふぁ〜 (ど〜れしらそふぁ〜)」
「れみふぁ〜 そらし〜 らそど〜 (れ〜みふぁ そらしらそど〜)」
「そど〜れ みれみど〜 そどふぁ〜みれど〜 し らそふぁ」
カントロフさんのヴァイオリンと、ジャック・ルヴィエさんのピアノが、とても優しい。
う〜ん。これは唸ってしまった。柔らかく、優しく、ちょっとほろ苦い甘さが、部屋いっぱいに広がってくるではないか。
窓に柔らかい陽射しが射し込んで、カーテンを揺らしながら風が入ってくる。そんな感じがする。
カントロフさんの柔らかい線の細い動き、ソフトなピアノの響き、リズミカルでありながら、キツクなく。
いたわりあいながら、寄り添うような雰囲気が、もののみごとに描かれていると思う。
う〜ん。これぞ、フランクのヴァイオリン・ソナタの響き、なんだろうなあ〜。
不安定なフレーズだろうけど、耳に馴染むと妙に安定感のある、ちょっとした跳躍感。調が変わることによる微妙な変化が、心情の変化として、揺らめく情念が、さらり〜と描かれている。
色は多彩だが、その色彩は中庸的で、柔らかく〜 光線の変化として感じられるし、その心情の変化は、なにやら楽しげである。 微笑みのなかで、ほっとさせてくれる貴重な1枚である。

アン・アキコ・マイヤーズ  ロハン・デ・シルヴァ 1992年
Anne Akiko Meyers    Rohan De Silva

録音状態は良い。ゆったりとしながらも、さらり、すーっと風のごとく流れる演奏だが、何故か、染み入ってくる。
最後は、キビキビ快活なので、ちょっと不思議感が残るけど・・・。
カップリング:フランク、R・シュトラウス ヴァイオリン・ソナタ

1楽章
アン・アキコ・マイヤーズさんのCDは、R・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタが聴きたくて、購入した1枚だったのだが〜
意外といえば大変失礼なのだが、マイヤーズさんのフランクのヴァイオリン・ソナタも、すごく良かった。
すごく穏やかで落ち着いた演奏で、抒情的だ。
ことさらに、柔らかでも硬くもなく中庸的なのだが、すーっと染み入るような雰囲気が漂っている。
もう少し推進力があっても良いかな〜とは思うが、風景を見ているかのような自然さがあり、やわらかな音質で、音そのものよりも、ふわーっとした包まれた周りの響きが印象的だ。
色彩感の強い、タッチの強い描き方というよりは、柔らかいルノアールのような印象派風のタッチと言えば良いだろうか。

カントロフ盤と良く似ているとも思うけれど、それよりは、クリアーで、カントロフ盤は、少しこもりがちなのが玉に瑕なのだけど、このマイヤーズ盤は、より一層ナチュラル感があるような気がする。
いたって揺れは、穏やかなので、気がつけば遠い目になって、あらぬ方向を見ているような気にさせちゃうところがある。
音楽を聴いているというより、雰囲気なんだけどねっ。
なーんか、引きこまれるなあ。

枯れてもいないし、擦れもないし、悲痛でもない。いたって、ふわーっと流れる風のようだ。
で、主義主張の強い、ガツンと一発というような楽曲でもないのだが、そんな没個性的なところが、より一層マッチングした演奏のようで、好ましいと感じる。
「ふぁら〜ふぁれしら〜 ふぁら〜ふぁれしら〜」 
「らそ ふぁ〜れ らそ ふぁ〜れ らどれどみれど〜」「れ〜 ふぁらそ そふぁれ〜どしふぁ」
このフレーズが、恐ろしいほど、すんなり入ってくる。
うーん。アン・アキコ・マイヤーズさんは、日系の方だから、日本人の心境に近いのかしらん。と思わずにはいられないのだけど。憂いがちだが、変な感情移入なく、この楽曲の音型の揺れが、なにか、近しい感覚に、DNA的な親しみを感じさせてくれる。

2楽章
うねりのある楽章で、幾分、強靱な声をあげてくる楽章なのだがけど、マイヤーズ盤は、1楽章と、さほど変わらないスタンスで、柔らかい。
出だしこそ、力強さはあるが、その内に、水のなかで泳ぐような雰囲気って感じだし、すーっと、ふわーっと、音がスムーズに、なだらかな山なりを描いて流れていく。
ホント、確固たる形があるわけではないし、彫刻のような、彫りの深さはない。
構造物や造形物の美しさというよりは、形の無い美というイメージを受ける。
慟哭されても困るんだが、マイヤーズ盤は、人間臭くなく、自然派的な達観された、別次元のような虚無感がある。えっ〜 まだお若い演奏家なのに・・・ こりゃ すごい。
女性臭く無いし、人間臭い、匂いがしないんだよねえ。 ありゃりゃーっ これには絶句。

3楽章
ピアノが激しさを込めて歌い始めるが、ヴァイオリンが、甘いが太い声で諫める。
ヴァイオリンとピアノの掛け合いが、この楽章では、激しくなるのだが、マイヤーズ盤では、さほど震えて来ない。
他の盤で聞くと、まるで激怒したような、ケンカ腰で言い合いしているのかっ。とも思わせちゃう場面なのだが、いや。この盤は違っていた。
さらり〜っと聴いてしまうと、また、この楽曲を初めて聴くと、なんと中庸的で、何が言いたいのかワカラン。ということになるのかもしれない。ひとことで言うと、穏和なんだよねえ。ケンカにはならないのだ。
で、1楽章のフレーズが戻ってくると、ほっとさせられる場面なのだが、いたってナチュラル。
どうやら、激しく怒らないタイプらしい。(← と、勝手に決めつける。)
つかみどころがないと言っちゃえば、そのままなのだけど〜  バリバリに、カキカキと、ひっかくタイプではなく、クールでもないし、激情型でもない。
理知的でテクニシャンだろうけど、効率を追い求めるような、また、冷たい合理主義的ではないんだよね。楽曲自体が、適度に時代遅れという感じなのだけど、妙にマッチングしているような気がする。
夢幻的、うっとり〜というよりは、もう少し薄めで、さらり〜としている。

4楽章
「どれ しらそふぁ〜 (ど〜れしらそふぁ〜)」
「れみふぁ〜 そらし〜 らそど〜 (れ〜みふぁ そらしらそど〜)」
「そど〜れ みれみど〜 そどふぁ〜みれど〜 し らそふぁ」
柔らかく、可愛いフレーズが満載の楽章だが、ここは、結構、スピーディに奏でていく。
柔らかい陽射しを感じる楽章だけど、意外と、サクサク、キビキビしてて〜 おっ 前楽章とは異なった演奏スタイルのように感じさせられた。
あらっ 結構、現代的だよねえ。煌めきがあって、今風の幾分、キャピッとした女性らしくなってくる。
跳躍感も出てくるし、かといって、ゆったりしたテンポに変わって、妖艶にもなっているし。
七変化風で面白い。
この楽章は、力強い弓の運びで、強さが出てくるところが面白い。
循環して主要主題が出てくると、1楽章とは異なり、成長した女性のような姿に変化しているのだ。
人格変わっちゃったのかしらん。キビキビ、シャキシャキ、快活・・・。
まるで、都会のまんなかに、自立した力強い、前向きに生きる、サバサバした女性のようで〜
あれまあー  なんで、どこで、急に変化しちゃったんだろ。と、驚かされる。
なんとまあ。 先の楽章は、虚無感が描かれていたように思うのに、この最終楽章では、力強く、パワフルで、ポジティブに生きている決意表明のようで〜 最後、変身しちゃったのだ。
循環しているうちに、脱皮したってことだろうか・・・。

うーん。まるで人生観が変わったような、演奏の違い。
なんだか、キツネにつままれた気分なんだけど・・・ まっ これも面白いモノで。
演奏スタイルが一環していないとも言えるのかもしれないけれど、前半楽章では、こりゃ〜すごいよね。
ホント、メチャ若い演奏家なくせに、甘美でも、夢幻的でもなく、虚無感を漂わせているし、かといって、最後は、シャキシャキして快活だし。
ちょっと一風変わっているかもしれないが、いずれにしても、嫌みのない好ましい演奏である。

デュメイ ピリス 1993年
Augustin Dumay    Maria João Pires



録音状態は良い。激しいドラマティックな演奏で、夢想的な演奏が好きな私には、どうもいただけなかった。苦手デス。
カップリング:ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ、ラヴェル「フォーレの名による子守歌」「ハバネラ形式の小品」「ツィガーヌ」

1楽章
極めて録音は良いし、よく通るヴァイオリンの音色だ。
揺れるフレーズに、気持ちは良いし、最初は、ヴァイオリンの音色に耳を傾けていたのだが、そのうち〜
なぜか、ピリスさんの弾く伴奏のピアノに気が行ってしまった。
ヴァイオリンのソロが終わって、ピアノのフレーズに移ると・・・それが顕著に。
「ふぁぁ〜 どしららそ〜 らどどし みれれどし どみみれ そふぁふぁ み〜れ」と、奏でられると、いっきにピアノに引き込まれてしまって、これがヴァイオリン・ソナタだということを忘れてしまった。

で、この楽曲では、音が遠くに飛ぶのだが、飛ぶだけでなく、この演奏、テンポがひんぱんに揺れる。
それも、山なりになったところで、メチャためがある。
最初は良かったのだが、そのうち、船酔い気分になってしまって。う〜 小舟に揺られて、気持ちワルっ。という感じになっちまった。デュメイさんの弾き方は、癖があって、よく揺れる。 
フランクのソナタは、不協和音(と言っても、気持ちのよい不協和音なのだが)が、連続して流れてくるし、転調もしているし、つかみどころが無いって言えば無い。
それが、この楽曲の特徴でもあり、最大の長所で良さなのだ。で、この楽曲を聴く時には、夢想的、幻想的な世界を感じたい。

でも、デュメイさんのフレーズは、なんだかオーバーアクション気味に聞こえる。高音で、喉を震わせて歌うのだが、その震えが、この楽曲には・・・あってないように思う。
ドライで、キツイ弾き方で、う〜っ やっぱり、ワタシ的には、気持ち悪い。
どうも相性が悪いようで、何度聴いてもダメだ。段々と苦痛になって、嫌いなってしまった。
この楽曲に求めているモノが、ワタシ的には感じられなかったってことで。う〜ん。ごめんなさい。

2楽章〜3楽章
2楽章は、一転して、激しいピアノの旋律がある。
更に、ヴァイオリンまでも、熱情的に奏でてくる。いきなり高音域から、ふってくるようなフレーズや、細かく揺れる、パラパラパラ・・・としたフレーズが重なっている。
このデュメイ、ピリス盤では、感情的に移入しづらいし、表面的に聞こえてしまうのだが。どうだろう。
仲良く演奏されているとは思うのだが、う〜ん。
よく動くヴァイオリンとピアノなのだが、ドライでクールなのか、激しい旋律でキツイなあ〜と感じるわりには、燃えるような熱情が表れてきていないような気がする。
内部で、火がいこっているという感じは、まーったく感じなかった。肌合いの冷たいことよ。う〜ん。

4楽章
「どれしらそふぁ〜 (どれ しらそふぁ〜)」 「れみふぁ〜 そらし〜 らそど〜(れみふぁ そらしらそど〜)」 「そど〜れ みれみど〜 そみふぁ〜みれど〜 し らそふぁ」
この最終楽章の冒頭フレーズは、う〜恐ろしく綺麗である。
特に、ヴァイオリンの音色には、やられた。
しっかし、やっぱ肌のぬくもりがなあ。あまり温かじゃーないんだよなあ。
小春日和のような、平和的で、ほのぼの〜とした旋律がなあ。安心感や安堵感が、もう少しあれば良いのだが、それが感じないのだ。
で、なんでー 繰り返しのところで、激しく、ガシガシって、弓をあててくるんさ。
それも、テンポのあげ方の急なこと。とほほ。スパイス効きすぎて、味が、わからないよ。もっと中庸で、丸みがあってソフトさが欲しいよぉ。
幻想的、夢想的という、ふわ〜っとした、浮遊感や、まどろみ〜 そんな言葉が出てこない。
それどころか、目の覚めるような、ひやっこい演奏で、激情型で、口調のキツイこと。
これじゃー きつすぎ。テクは凄いとは思うのだが、すっかり興ざめして、どうもいただけませんでした。
ごめんなさい。(これは個人の好みですので、あしからず。)

サラ・チャン ラルス・フォークト 2003年
Sarah Chang    Lars Vogt

ふむふむ。

録音状態は良い。少し線が細めかな〜って思うが、水の精のように揺らめき、沈み、浮かぶかのような不思議な感覚がある。
1〜4 フランク ヴァイオリン・ソナタ
5〜8 サン・サーンス ヴァイオリンソナタ1番
9〜11 ラヴェル ヴァイオリン・ソナタ
1楽章
サラ・チャンさんの演奏は、繊細だが、ゆったりと波打つ感じで演奏されている。まるで舟歌を聴いているかのような、心地良さがある。
「みそみどら〜そどみ〜 みそみどら らどれ〜 ふぁれどぉ〜ら ふぁれどぉ〜ら・・・」
このヴァイオリンの跳躍したフレーズが、こそばいほどに、首筋を撫でていく。
今日は3月上旬で、暖かい日だったので、縁側の猫状態で聴いたのだが、とっても穏やかで〜 聴いているうちに、つい、ウトウトしそうになった。
まどろみのなかで、白昼夢のような、とろけるかのような気持ちにもなる。
「たらっらら ららら〜」
キョンファさんのヴァイオリンで聴いた時には、ひぃ〜 ひぇ〜という声をあげて飛んでいくような気がしたが、このサラ・チャン盤で聴くと、柔らかく聞こえる。
また、ピアノのフォークトさんの演奏が、沈み込み、そして浮かぶかのような浮遊感があって、好ましい。
直線的な跳躍ではなく、線は細めだが、間合いが充分にとられてて、消えていく感じだ。

2楽章
ピアノのちょっぴり、パラパラ感のする激しいフレーズがあって、そして、ヴァイオリンが太い声で歌い始める。
「し〜どれ〜どれみれ〜みふぁ〜 れ〜みふぁみ そふぁ〜らし」
くねっとした腰つきで、妖艶さを持って迫ってくるかのようなフレーズだが、情熱的ではあるが、髪の毛を振り乱したかのような強面の感じはしない。
すぐに細身の裏声で囁き、なだめ、すかしてくるかのような表情に変わる。
あれまっ、ご大層には泣かないので、表情がすぐに変わる。
循環的に使われる主題が、とらえどころのない不安定な心情を描くようで、まるで、マリッジブルーなの?というような感じがする。単に情熱的というだけでなく、するっと主題が、すり抜けて行くような感じがする。

3楽章
ゆったりと低音の響きを確かめるかのようなピアノ、太い声のヴァイオリンが、喉を震わすかのように聞こえる。
あまり、ねっとりとした演奏ではなく、とろみ感よりは、さっぱり系だ。
音だけを聴いていると、ヴィオラかチェロのような音に聞こえ、そして、呟くかのように、水中に沈むかのように、ふわっと音が、消えていく。
まるで、ヴァイオリン協奏曲のソロのように弾かれているシーンがあるのだが、そこは、さりげなく、儚く、しみじみと、ピアノとヴァイオリンが対峙しつつ、語りかけるかのように演奏される。
心を振るわせ、感慨にカラダを振るわせ、背中を振るわせ泣いているかのような感じだ。小さな背中が痛々しいかのように震える雰囲気がある。
聴いているうちに、水の精が、ふわーっと浮かび、そして、また沈むかのような動態をイメージさせる。う〜ん まるで、人魚のようになった少女じゃん。(えっ それじゃー違うでしょ。)
でも、ホント、このサラ・チャン盤は、どこか水をイメージさせる。音の温度は、さほど冷たくないのだが、呟きながら、上をみたり、下をみたりを繰り返し、安定しないのだが、どこか心地よく響く。
躍動するリズムではないのだが、かといって、沈殿しないところがあって、するっと、なめらかに上昇する。

4楽章
フランクのヴァイオリンソナタっていえば、この最終楽章でしょう。
ヴァイオリンとピアノのカノン風の楽想が、とてもチャーミングで、このフレーズを聴けば、ころっと参ってしまうほど、シアワセ感のある、可愛いフレーズが続く。
サラ・チャン盤は、それまでの水の精のような、不可思議感が漂っていたのがウソのように可愛い少女の姿に戻っている。しかし、ここは、もう少し、明るめで、彩度が高めで〜 活発で躍動的な演奏の方が、個人的に嬉しいんだけど。
細い声を、いっそう細くして、振り絞った感じで歌うし、 どこか、落ち着きすぎて〜 あまりテンポは変えない。
繊細な動きは巧いのだが、表情が少しくらめ。
もう少し健康的で、躍動感のある方がワタシ的には、嬉しいのだけど、しかし、上に伸びる音の鋭さと意思の強さを感じさせる。 太く落ちてくる音は、凄みはあまり感じず、音の震えは少なめのように思う。
このラストは、素直な音ではあるけど、大きな高揚感や、自然な、ほっこりしたシアワセ感までは、ちょっと伝わってこなかったので、う〜ん、ちょっと残念かも。大人の健康的で、開放感のある、喜びあふれる演奏とは、ちょっと言い難いかも。

1961年 グリュミオー ハイデュ Ph  
1972年 ウィウコミルスカ パルボサ Conn  
1977年 チョン・キョン・ファ ルプー Dec ★★★
1982年 カントロフ ルヴィエ De ★★★★★
1985年 ミンツ ブロンフマン  
1992年 アン・アキコ・マイヤーズ ロハン・デ・シルヴァ ★★★★★
1993年 デュメイ ピリス ★★★
2003年 サラ・チャン ラルス・フォークト EMI ★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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