「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし 〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

ヤナーチェク ヴァイオリン・ソナタ
Janáček: Violin Sonata


ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタは、1914年に作曲されています。(1912年・13年という説もあり)
あまり馴染みがないので、ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると

ヤナーチェクは、1880年にライプツィヒ音楽院において、その後、ウィーンにおいて、ヴァイオリン・ソナタの作曲を試みているものの現存していないそうです。ヤナーチェクの現存するヴァイオリンの曲は、初期のピアノ伴奏による習作と、未完に終わった協奏曲「魂のさすらい」だけ。
で、このヴァイオリン・ソナタは、4楽章から構成されており、変イ短調を主調とした、きわめて民族色の濃厚な旋律、強烈な感情表現、フラットの多い調性への好み、特徴ある音型を執拗に繰り返す傾向にあります。
また、ソナタと言いながら、古典的な形式感を放棄しようとする独立独歩の志向など、ヤナーチェクの成熟期の訪れを告げる器楽曲となっているとのこと。
最初聴いたときは、なんて、ケッタイな楽曲なんだ・・・。と、冒頭の鋭い音に、仰天したものの〜
1楽章を乗り越えると、穏やかなフレーズが登場します。ちょっとアクの強い曲ですが、クセになるかもしれません。

ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ ピアノ:レイフ・オヴェ・アンスネス 1994年
Christian Tetzlaff Leif Ove Andsnes

う〜ん。どうだろ

録音状態は良い。2枚組BOX 1枚目は、テツラフさんのヴァイオリンで、2枚目は、ラーシュ・アンデシュ・トムテルのヴィオラのソナタとなっている。
カップリングは、下記のとおり。
カップリング:
CD1
1〜4 ヤナーチェク ヴァイオリン・ソナタ
5〜7 ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ
8〜10 ラヴェル ヴァイオリン・ソナタ
11〜13 ニールセン ヴァイオリン・ソナタ

ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ
ピアノ:レイフ・オヴェ・アンスネス
CD2
1〜4 ブラームス ヴィオラ・ソナタ第1番
5〜7 ブラームス ヴィオラ・ソナタ第2番
8〜11 シューマン おとぎの絵本

ヴィオラ:ラーシュ・アンデシュ・トムテル
ピアノ:レイフ・オヴェ・アンスネス

ここでは、ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタをご紹介する。
なんとも拍感覚の不思議な楽曲で、音がズレてくる感じで、ヴァイオリンのフレーズは、
「れぇ〜〜〜 どしふぁ どしらふぁ〜」「れぇ〜みし〜 らし〜み らしみ らしどぉ〜 しそ〜 しらふぁ れふぁ〜みぃしらふぁ れふぁ〜そぉ らしらぁ〜」と、女の人が柳の木の下で、泣いているというか、ちょっと、夏の肝試しのような曲である。

で、このヴァイオリンの旋律に合わせて、ピアノが入ってくるのだが、パラ パラン パラ パラララン・・・と、弦の震えたチェンバロンのような雰囲気で、シンコペーションのリズムのようなのだ。
って言うものの、どうも、リズム感が怪しくなってくるというか、最初からズレた感じで、ベロ ベロロン・・・って感じだ。
まあ、この冒頭の不思議な拍とリズム感が、1楽章における生命線って感じ。弦の響きを、ピアノで模しているのかなあ。
この曲、ヤナーチェク、唯一のヴァイオリン・ソナタなのだが、ヴァイオリンよりピアノの音が気になってしまって。アハハ〜
これで楽譜どおりに弾かれているのだろう。(だって、ピアノは、あの有名なアンスネスさんだから)
先日は、諏訪内さんのヴァイオリンと、ベレゾフスキーさんのピアノで聴いたが、テツラフさん、アンスネスさんのコンビで聴くと、少しおとなしい感じがする。
夏の肝試しというより、もともと、冷やっこい世界で、空気が涼しく、冷気が立ってくるような感じがする。
 
2楽章
「どふぁ〜 れぇどらしぃ〜」と、柔らかい日射しが射し込んでくるかのような穏やかさと、暖かい空気感で、幻想的な旋律で充満する楽章だ。
テツラフさんのヴァイオリンは、あまり抑揚がなく、すーっと風のように流れるもの。
「みふぁみれ〜ど し らしら そぉ〜ふぁ ふぁみ らぁ〜 どしら しどれぇ〜 ふぁそぉ〜」
もっと、歌って欲しいのだが、感情の露出度は低め。
思いっきり歌って〜っと、言いたくなってしまうのだが、いたってクールというか。涼しいというか。
感情が表に出てくるタイプではないらしい。
これは、これでアリだと思うのあが、寒い空で、どんよりとした雲から、粉雪が舞ってくる感じがする。

3楽章
「みみららしら みみみみららそそ みみららしら みみみみららそそ」
「れれみみらみ れれれれみみらみ れれれれみみ どふぁ みみみれどしら・・・」
粉雪が舞い始めて、雪が積もりそうな感じとなっている。いや、あるいは、雨が降り出してきたっ、という感じだろうか。
ただ、とても幻想的で、形ある世界が、形を無くしていくような雰囲気を持っており、弦のピチカートが、空を彷徨う。

4楽章
諏訪内盤を聴いたとき、ヴァイオリンは蚊が鳴いているような、カエルが鳴いているような、変な音だと思ったのだが、ここでは、無機質感が漂い、白黒の世界となっている。
テツラフさんのヴァイオリンは、正確なのだろうが、ワタシ的には、ちょっとキッチリした感じで、表現の幅が大きくない。
なので、この曲の持つエキセントリックな感じ、切れた感じ、ちょっとクレージーな雰囲気は少なめ。 もっと、ダイナミックに激情的でも良いのにな〜と、少し物足りなさを感じる。
演奏家さんの内なる世界へ、没入していく感覚がわかるのだが、ウチへウチへと入って行かれても、ちょっと・・・。
タイトな演奏だが、そうタイトでも、ぴりぴりした緊張感を感じるというものではないようだ。
ヴァイオリン:諏訪内晶子 ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー 1998年
Boris Berezovsky

ほぉ〜良いヤン


録音状態は良い。このCDは、スラヴォニック SLAVONIC とタイトルされたもので、カップリングは次のとおり。
1〜4 ドヴォルザーク 4つのロマンティックな小品
5〜7 ドヴォルザーク スラブ舞曲第1番〜3番(クライスラー編)
8〜11 ヤナーチェク ヴァイオリン・ソナタ
12〜13 ブラームス ヴァイオリン・ソナタ (原曲はクラリネット・ソナタ第2番)
15〜18 ブラームス ハンガリー舞曲 第2番、5番、8番、9番(ヨアヒム編)
1楽章
冒頭、鋭い一撃がある。
「れぇ〜〜〜 どしふぁ どしらふぁ〜」
「れぇ〜みし〜 らし〜み らしみ らしどぉ〜 しそ〜 しらふぁ れふぁ〜みぃしらふぁ れふぁ〜そぉ らしらぁ〜」 
とっても、難しい音がとれない、ヴァイオリン・ソナタで、なんとも言えない不思議な独特の和声なのだ。
へんてこりんな音と、拍感覚だ。冒頭から、いきなり、泣き叫ぶ女の声のようで、うぐぐっ・・・。
ピアノが、「れみし どみ しらふぁれ しらふぁれ ふぁみ」と優しく癒やしてくれるのだが、そこでも、
「みふぁら れ ふぁ み そられ みそれぇぇぇ・・・」と、わからん音が呟いてくる。
↑ ここに書いている音は、正確ではありません。(いや、ウチのサイトで書いている音は、全て正確ではありませんが)
シャープなのか、フラットなのかも、アヤシイ音がイッパイ飛びだしており、独特の世界が広がっている。
ピアノの音は、パラパラパラ〜っと、チェンバロンを掻き鳴らしているかのような音だったりする。
もちろん、穏やかに語りかけるフレーズだったりするのだが、なにせ、ヴァイオリンが特異なフレーズなので、大変だ。
「そふぁど そらそぉ〜 しらみ らしらぁ〜 しらそしどしぃぃ〜」っと、ヴァイオリンが甲高い悲鳴をあげる。
う〜ん まるで、ムンクの叫びさながらの様相で、ひぇぇ〜という感じだ。
  
2楽章
この楽想は穏やかだ。「どふぁ〜 れぇどらしぃ〜 (れふぁ〜 みぃれらど〜)」
「どふぁ〜 れぇどらし しし〜れぇ〜しらふぁどぉ〜」
穏やかになって、ほっとするし、春のような、おとぎの世界のような雰囲気がする。 
「そそそ ふぁ〜そ らら らしそぉ〜 ししし ら れ そそそ ふぁ ふぁふぁら れれどぉ〜」と、胸を膨らませて希望に満ちてくるようなフレーズが流れてくる。チャーミングなのだ。んじゃー 前の楽章は、どういう意味を持つのだろう。

3楽章
らららら〜 ぴゅうぅぅん〜という、滑る音をヴァイオリンが出しているなか、 
ピアノが、「みみららしら みみみみららそそ みみららしら みみみみららそそ」
「れれみみらみ れれれれみみらみ れれれれみみ どふぁ みみみれどしら・・・」
このピアノのフレーズは、けったいなのだが、面白い音が続く。
ピアノは、森に迷い込んだ子供が、ん・・・ れれれ・・・と、焦り迷って道を探しているかのような感じだ。で、ヴァイオリンは、滑る音だけで登場するのだが、ヤナーチェク独特の和音で滑るような音は、何を表すのだろう。
まあ、ワタシのアタマのなかには、勝手な情景がイメージされてくる。
その後は、まったく別の雰囲気の主題が登場する。
ん? 物語は終わったのかな。
ヴァイオリンは、「みふぁみれ〜ど し らしら そぉ〜ふぁ ふぁみ らぁ〜 どしら しどれぇ〜 ふぁそぉ〜」
なんだか、空想の世界に飛んでいったみたいだ。最初の主題が、こんどは、チャーミングに密やかに戻ってくる。

4楽章
ピアノが、「み〜ふぁそ ふぁし (みぃ〜れれれみっ) らしど しらそみ れみふぁみれ し ら (しぃ〜そそらっ)」
ヴァイオリンは、蚊が鳴いているような、カエルがないているような、変な音で参加する。
へっ?
それが終わると、主題が変わって「ふぁ〜どぉ そふぁどら し〜ふぁ〜みれどし らぁ〜」と歌い始める。
でも、このカエルがないているようなフレーズは、挟み込まれるのだ。
う〜ん。なんだろう、何を象徴しているのだろう。
穏やかで美しい旋律を、唐突に割って入ってくる軋んだ、変な声は、何か未来を告げるモノなのだろうか。
いやいや、これが肝なんだよ。悪さをする餓鬼ちゃんのような、存在なのだろうか。
繰り返しながらも、段々と小さくなって、すーっと、消えていくんですけどね。

なんだか、ケッタイナ〜 楽曲だと思いつつも、結構、風変わりなところが面白く感じる。
何度か、繰り返し聞いていると、ちょっとした小悪魔風でもあり、童話の世界のいたずら小僧のような感じで聴けたりする。まあ、ある意味、ケッタイだが、やみつきになりそうな楽曲で、今後は、流行るかも。
そもそも、あまり録音されておらず。まあ、CDも数枚ぐらいしか所有していないのだが、また、機会を設けて他盤を聴いてみたいと思います。

1994年 テツラフ アンスネス Virgin ★★★
1998年 諏訪内晶子 ボリス・ベレゾフスキー Dec ★★★★
所有盤を整理中です。

「 頭のなかの ♪ おたまじゃくし〜クラシック音楽を聴いてみよう〜」

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